2018年3月31日土曜日

(前編)法務省:テロ等準備罪処罰法についてホームページで公表!

 すでにテロ等準備罪処罰法が施行されております。

 法務省では、一般の会社が法人税を脱税することを計画し、脱税するための帳簿を作成した場合、その会社が正当な事業を行っている会社ならば、『重大な犯罪等を実行することを目的として集まっていること』との要件を満たさず、テロ等準備罪では処罰されないことを同省ホームページで公表しております。

 テロ等準備罪の処罰の対象となる犯罪行為は277つあり、テロとは関係のなさそうなものも処罰の対象となるといわれております。

 税法関係では、地方税法(軽油等の不正製造、軽油引取税に係る脱税)、所得税法(偽りにより所得税を免れる行為等、所得税の不納付)、法人税法(偽りにより法人税を免れる行為等)、消費税法(偽りにより消費税を免れる行為等)による罪が、法律の別表で規定されております。

 テロ等準備罪が適用される要件は、「組織的な犯罪集団」の関与、重大な犯罪を2人以上で「計画」、計画した犯罪の「実行準備行為」の3つあり、これらの要件の1つでも欠けていれば、テロ等準備罪は成立しないとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年1月12日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


2018年3月30日金曜日

(後編)国税庁:2016事務年度の贈与税調査事績を公表!

(前編からのつづき)

 申告漏れ財産をみてみますと、「現金・預貯金等」が全体の73.1%(2,725件)、「有価証券」が9.9%(369件)、「土地」が3.5%(129件)、「家屋」が41件(1.1%)となりました。

 そもそも贈与税の申告漏れ事案の端緒は、相続税調査時の被相続人の預貯金等状況の確認等の場合が多く、事例では相続税調査の際、相続人Aから「被相続人から現金を贈与されたことがあるが、申告をしていなかったので期限後申告をしたい」との申し出があったケースで、調査官から他に贈与がないかの確認を受けた相続人はないと回答したが、被相続人名義の預金口座から不明出金があったことからAへの贈与税の調査が行われました。

 調査の結果、被相続人名義の預金口座からの不明出金について、A名義の預金口座へ入金されている事実が把握され、相続人Aは、この預金も贈与税の申告対象となることを知りながら、税負担を少なくするため贈与の一部のみを調査官に話したことが明らかとなり、Aに対して申告漏れ課税価格約3,000万円について重加算税を含め約1,200万円が追徴課税されております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年3月29日木曜日

(前編)国税庁:2016事務年度の贈与税調査事績を公表!

 国税庁は、2016事務年度の贈与税調査事績を公表しました。

 それによりますと、2016事務年度(2017年6月までの1年間)において、3,722件(前事務年度比3.0%増)の実地調査が行われ、3,434件(同2.5%増)から1,918億円(同883.9%増)の申告漏れ課税価格を把握しました。

 そして、追徴税額は加算税を含め453億円(前事務年度比823.8%増)にのぼりました。

 申告漏れ課税価格及び加算税の大幅増加は、大口事案があったための特異なもので、この影響から1件あたりでも申告漏れ課税価格は5,153万円、追徴税額は1,218万円と高額になっております。

 また、国税当局では相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するため、積極的に資料情報を収集するとともに、贈与税の無申告事案の積極的な調査に努めた結果、申告漏れのうち80.3%が無申告事案でした。

 上記は、贈与金額が少ないことなどの理由から申告しない納税者が多いことがうかがえます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

確定申告、決算対策などのご相談はこちらから。。。


2018年3月28日水曜日

個人事業所と社会保険加入

◆法人と個人事業所 社会保険適用の違い

 健康保険、厚生年金保険では事業所が法人の場合は社会保険の適用事業所となり、法人に使用されるものとして代表取締役も被保険者になります。

 一方、事業所が個人の場合は個人事業主そのものが適用事業所の事業主とされ被保険者になりません。

 さらに個人事業主の同居の親族は被保険者となるでしょうか。

 個人事業主と同居している家族がその仕事に専従し事業主が家族に給与を払っている場合でも、同居の家族は個人事業主と一体と考えられることから社会保険の被保険者にはなれないのが原則です。

 その為個人事業主が社会保険新規適用を行う時も世帯全員の住民票を添付しなくてはなりません。

 なお、個人事業所の事業主と同居の親族を原則として被保険者にしないと言う考えは雇用保険においても同様の取り扱いがされています。

◆同居の家族が被保険者になれる場合

 個人事業主と同居している家族であってもいわゆる労働者性があれば社会保険及び雇用保険の被保険者になる事ができます。

 条件は、
(1)事業主の指揮命令に従っている。
(2)就労実態が他の労働者と同様で、賃金もこれに応じて支払われている。
ア、始業、終業、労働時間や休日の要件
イ、賃金の決定や計算等が他の従業員と同様である
(3)取締役等事業主と利益を一にしていない。

◆任意適用事業所とは

 法人事業所や常時5人以上被保険者となる従業員を使用する個人事業主は、事業主や従業員の意思に関わらず強制加入となっています。

 一方、常時5人未満の従業員を使用する個人事業所や、人数に関わりなく農牧水産業、一部のサービス業(旅館、飲食、理美容、法務関連士業、娯楽、スポーツ、保養施設等)の個人事業所は強制加入ではありません。

 しかし加入する場合は従業員の半数以上の同意を得れば任意適用事業所として加入できます。

 事業主世帯の全員の住民票、任意適用申請書、同意書が求められます。

 なお、事業所が住民票に記載されている所在地と異なる場合は「建物の賃貸借契約書」「不動産登記簿謄本」等所在地の確認ができる書類の添付が必要です。


後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年3月27日火曜日

「ねんきんネット」で年金情報確認

◆自分の年金はねんきんネットで確認できる

 「ねんきんネット」とはインターネットでご自身の年金情報を手軽に確認できるサービスです。

 パソコンやスマートフォン等で時間を問わず確認する事ができます。

「ねんきんネット」でできる事は、
(1)自分自身の年金記録の確認
(2)将来の年金見込額の確認
(3)電子版「ねんきん定期便」の閲覧
(4)日本年金機構から郵送された各種通知書の確認

◆利用するには登録から始める

 日本年金機構のホームページから「ねんきんネット」を検索、ご利用登録から入ります。

 画面に従い必要事項を入力します。

 アクセスキーを持っていない場合はねんきん定期便に記載されている17桁の番号がアクセスキーですので、これを入力すると即時にIDが取得できます。

 これで「ねんきんネット」へログインできます。

◆何が分かるのか

(1)年金記録照会

 最新の年金記録を確認。

 これまでの公的年金制度加入記録………厚生年金や国民年金の加入記録。保険料納付額など。

(2)受給見込額試算

 受け取る年金の見込額を確認………現在の職業を60歳まで延長した時の試算。

・今後の職業や収入について質問形式で試算できる
・年金受給開始年齢設定や見込額が表やグラフで表示される

(3)電子版「ねんきん定期便」

 年金加入中の方に毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」は自宅のパソコンでダウンロードできるので、過去の記録の再確認もできます。

 また、これまでの年金加入記録が一覧で確認できる電子版「被保険者記録照会回答票」もあります。

(4)支払通知書の確認

 年金受給中の方は過去に送付された年金支払いに関する通知書を確認できます。

 年金振込通知書や源泉徴収票も確認できます。

(5)その他

 日本年金機構に提出する一部の届出書をパソコンで作成、基礎年金番号や氏名が自動表示され印刷できます。

 持ち主不明の年金記録の検索ができます。

確定申告、決算対策などのご相談はこちらから。。。


2018年3月26日月曜日

福井の大雪被害で中小企業支援策

 2月上旬の大雪で福井県の経済活動に影響が出ていることを受け、中小企業庁は被災中小企業や小規模事業者を対象とする支援策を公表しました。

 支援策は、
①特別相談窓口の設置、
②災害復旧貸付の実施、
③セーフティネット保証4号の適用、
④債務の返済条件緩和などの対応、
⑤小規模企業共済災害時貸付
――の5つです。

 ①は、福井県の商工会議所の各支部や日本政策金融公庫、よろず支援拠点などに電話相談窓口を設置するもの。

 詳しい連絡先などは中企庁のホームページで確認できます。

 ②は、被災した事業者を対象に、福井県の日本政策金融公庫と商工組合中央金庫が運転資金や設備資金を貸し付ける措置です。

 事業資金を融資する中小企業事業と、生活資金などを含めて融資する国民生活事業に分かれています。

 ③は、県内でも特に被害が大きく、災害救助法を適用された地域の事業者に対して、福井県信用保証協会が一般枠と別に最大2億円まで融資額の100%を保証するものです。

 災害救助法は2月15日時点で、福井県福井市、大野市、勝山市、鯖江市、あわら市、越前市、坂井市、吉田郡永平寺町、丹生郡越前町に適用されています。

 ④は、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会が、すでに契約している融資について、返済猶予の条件変更や貸出手続きの迅速化、担保の弾力運用などに努めるというもの。

 自社の被害状況を忘れずに記録し、交渉に当たりたいところです。

 ⑤は、③と同じく災害救助法を適用された市で、小規模事業者を対象に災害時貸付を行うというもの。

 通常の融資に比べて即日、低利で融資を受けられることが特徴となっています。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年3月25日日曜日

ふるさと納税の特例、6カ所以上なら不可

 昨年分のふるさと納税で税優遇を受けるには、今年3月15日までに申告を済ませなければなりません。

 また、収入が給与所得のみで確定申告を必要としない人が適用できる「ワンストップ特例」では、寄付先の数などによっては申告しなければ税優遇が受けられないケースもあります。

 適用条件をきちんと確認しておきたいところです。

 もともと確定申告を必要とする人は、申告書の「寄附金控除」の欄にそれぞれの金額を入力するだけで済み、大した手間はありません。

 ただし寄付をした自治体から送付されてきた「寄附金受領証明書」を必ず申告書に添付しなければならないので、申告の前に手元にそれぞれの証明書があるかを確認しておきましょう。

 2015年にスタートした「ワンストップ特例」を使う人も多いと思われます。

 同特例は、寄付先の自治体に特例利用の申請をすることで、自治体が税優遇のための手続きを代行してくれるもの。

 寄付をすると送られてくる「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に住所や氏名、マイナンバーなどの必要事項を記入し、マイナンバーの本人確認書類を同封して送れば、自分で確定申告をする必要がなくなります。

 特例を利用できるのは、収入が給与所得のみなど、もともと確定申告を必要としない人だけです。

 もちろん、今年1月までにそれぞれの自治体へ「特例申請書」を提出していることも条件となります。

 ただし、収入が給与所得控除のみで、特例申請書を出している人であっても、税控除を受けるためには確定申告が必要な人もいるという点には気を付けなくてはなりません。

 具体的には、
①医療費控除や住宅ローン控除など、別の理由で確定申告をする人、
②6カ所以上に寄付をした人
――は、すべての寄付について改めて確定申告をしないと、税優遇は適用できません。

 特に②については、特例が使えなくなるのは5団体を超えた6団体目からではなく、寄付したすべての自治体です。

 つまり6自治体に寄付をしたなら、その6カ所への寄付すべてについて申告する必要があります。

 確定申告を行わないと、どれだけ多額であっても、そのすべてが純然たる寄付となってしまうので気を付けたいところです。


確定申告、決算対策などのご相談はこちらから。。。

2018年3月23日金曜日

職場の花粉症対策

◆花粉症の季節です

 花粉症は日本人の約4割がかかっているとも言われています。

 花粉症の原因で最も知られているのがスギ花粉です。

 スギ花粉が飛ぶのは2月に始まり3月がピークとなり、4月頃までとなります。

 花粉症が労働力にどのくらい影響力をおよぼしているかを考え職場で行う花粉症対策を考えたいと思います。

 目のかゆみ、鼻水、くしゃみ、予防薬の副作用からくる睡魔等は、仕事に集中できず生産性も下がります。

 花粉症は個人の問題と思うかもしれません。しかし調査によると花粉症の為に仕事の効率が落ちた事による生産性の低下が大きな問題となっています。

 その損失額は300億円とも言われています。さらに医療費、薬代等の費用もあわせると3000億円を超えると言う試算もあるほどです。

◆職場でできる対策は

 家庭でも同様ですが花粉を室内に入れない事が大事です。

 オフィスに入る前に上着や帽子を取り、外で、はたいてから入る。

 エントランスにはそのような内容の手作りのポスターを貼る等もあります。

 また、窓やドアを閉める、エアコンフィルターの清掃、加湿器や空気清浄機も花粉を湿らせ飛ぶのを抑える効果があります。

 時々は空気の入れ替えも必要になるでしょうが、加湿器や空気清浄機等は室内の空気をきれいにするには有効でしょう。

 花粉症は発症しない人には気にならないため、これらの対策に協力してもらう等、職場全体の理解を得る事も大切でしょう。

◆福利厚生的支援

 最近は福利厚生面から会社が個人の花粉症対策に協力するところもあるようです。

 対策グッズや薬にはそれなりの費用がかかります。

 ティシュ、マスク、対策用メガネを配ったり、医療費の一部を負担したり、花粉症のピークの時期にはテレワークにし、家から出ないようにしたり等もあるそうです。

 花粉症の症状が和らげば、精神的にもゆとりが生まれ、オフィスの雰囲気も良くなり生産性向上につながるでしょう。

 会社が福利厚生の一環として花粉症対策に取り組むのは、出来るところから始めてみるのが良いでしょう。


後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。エリアは問いません。ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年3月22日木曜日

(後編)財務省:2019年12月に集中電話催告システムを統合へ!

(前編からのつづき)

 少額滞納者を対象に、2002年度に東京と大阪の国税局において初めて導入され、2004年までに残りの10国税局(所)に設置が完了し、稼働させております。

 現状、国税庁事務管理センターの徴収システムと催告システムのサーバ間でデータ連絡をした滞納者情報を、国税庁ネットワークにより集中電話催告センター室のサーバに送信しており、税務署と集中電話催告センター室間ではメールやFAXによって連絡しております。

 しかし、徴収システムと催告システムは別々に構築されており、データ連携にタイムラグがあるため、徴収システムと催告システムを統合します。

 統合によって、事務管理センターのサーバと集中電話催告センター室のサーバ・専用端末が削減され、運用経費(機器の借料など)が年間約3.6億円削減される見込みです。

 さらに、徴収システムと催告システム間の日次処理による夜間データ連絡が廃止され、リアルタイムな情報連携が可能となるため、税務署と集中電話催告センター室間のメールやFAXによる連絡が不要になるなど、事務量が年間約10万時間削減される見込みです。
(注意)
 上記の記載内容は、平成29年12月15日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年3月21日水曜日

(前編)財務省:2019年12月に集中電話催告システムを統合へ!

 財務省は、財務省行政事業レビュー(公開プロセス)を公表しました。

 行政事業レビューとは、各省庁の事業を各省庁自身が点検するもので、事業の執行状況や資金の流れを統一した様式にして公表する「レビューシート」や、各省庁が実施した事業の自己点検のうち、外部の視点を活用して公開の場で行う「公開プロセス」があります。

 そして、財務省は2019年12月に国税庁の「集中電話催告システム」のシステム統合をすると明らかにしました。

 法人税や消費税など国税の滞納整理の一端を担っているのが、集中電話催告システムを用いての集中電話催告センター室での電話催告です。

 集中電話催告システムとは、徴収システムから各国税局の集中電話催告センター室の集中電話催告システム専用端末に送られてくる滞納者情報をもとに、自動で滞納者に電話をかけて、滞納者が応答した場合には、オペレーターが滞納者情報を見ながら電話催告を行うことができる仕組みです。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年12月15日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

確定申告、決算対策などのご相談はこちらから。。。

2018年3月20日火曜日

(後編)ダイレクト納付とは

(前編からのつづき)

 また、すでにダイレクト納付を利用しているケースでは、これまで利用している預貯金口座を継続して利用できますので、新たに利用しようとする預貯金口座を記載したダイレクト納付利用届出書を事前に税務署に提出する必要があります。

 電子納税については、ダイレクト納付のほか、ペイジーに対応した金融機関を利用すれば、インターネットバンキングやモバイルバイキング、またはATMを利用して電子納税ができます。

 こちらもダイレクト納付同様、電子証明書等は不要です。

 インターネットバンキング等による電子納税が利用可能な金融機関については、国税庁HPにてご確認ください。

 なお、電子納税は、国税(内国税)に関する全ての税目を対象としておりますので、中間申告(予定申告)や予定納税についても利用可能です。

 また、本税に加えて、附帯税(加算税、延滞税など)にも電子納税ができますが、特定納税専用手続きを選択した場合は、申告所得税、法人税、地方法人税、消費税及び地方消費税、申告所得税及び復興特別所得税、復興特別法人税のみの電子納税が可能となりますので、あわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年1月19日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


2018年3月19日月曜日

(前編)ダイレクト納付とは

 ダイレクト納付とは、事前に税務署に届出をしておけば、e-Taxを利用して電子申告・徴収高計算書データの送信又は納付情報登録依頼をした後に、届出をした預貯金口座からの振替で、即時又は指定期日に納付できる便利な電子納税の納付手段をいいます。

 これまでのダイレクト納付は、一つの預貯金口座しか登録できませんでしたが、すでに2018年1月4日から、預貯金口座ごとにダイレクト納付利用届出書を提出することで、ダイレクト納付の際に、利用する預貯金口座を選択することができるようになりました。

 徴収高計算書データの送信に電子証明書やICカードリーダライタは不要で、ダイレクト納付も電子証明書などは不要となります。

 これにより、例えば、法人税がA銀行、源泉所得税がB銀行など、税金の種類別に異なる預貯金口座を使用したダイレクト納付が利用できるようになります。

 同一金融機関における複数の預貯金口座で使い分けることも可能ですが、複数の口座利用不可の金融機関もあるようですのでご注意ください。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年1月19日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

確定申告、決算対策などのご相談はこちらから。。。

2018年3月18日日曜日

同一労働・同一賃金とは

◆同一労働・同一賃金ガイドライン案

 労働契約法第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)に「同一の使用者と労働契約を締結している、有期雇用労働者と無期雇用労働者との間で期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることを禁止する」とされています。

 最近耳にするこの事項は同じ条件で働く有期と無期の労働者の処遇について示されています。

 その中で労働条件が不合理かどうかとは次のようなことを言っています。

①職務内容の仕事と担っている責任度合い

②人材活用の仕組み

 転勤の有無、範囲、職務変更の有無、範囲、将来に向かってのキャリアの範囲

 また、通勤手当、食堂の利用、安全管理等についての労働条件を相違させる事は特段の理由がない限り合理的とは認められないとしています。

◆労使で勤務体系を考える論議望まれる

 同一労働・同一賃金のガイドライン案は正規か非正規かと言う雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保し両者の不合理な待遇差の解消を目指そうとするものです。

 これを解消するには各企業において職務や能力と賃金の処遇体系全体を話し合い、確認する事が肝要としています。

◆待遇差で問題となる例

①基本給について

・無期雇用フルタイム労働者Aは有期雇用労働者Bより多くの職務経験を有する事を理由としてAにより多くの賃金を支給しているがAの職業体験は現在の業務と無関係

・基本給の一部を業績・成果で支給していて、無期雇用者が販売目標を達成した場合支給しているが、パート労働者が無期フルタイム労働者の販売目標に達しない場合には支給していない(労働時間が少ない)

・勤続年数に応じて支給しているが有期フルタイム労働者には通算の勤続年数は考慮していない

②賞与について

・会社業績の貢献度に応じた支給をしている会社が無期フルタイム労働者には職務内容・貢献度にかかわらず全員支給しているが有期雇用労働者やパートには支給しない

 これからは正社員だから、有期雇用者だからと言った理由だけで不合理な制度では労働者は不満を感じてしまうかもしれません。


後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年3月17日土曜日

無期転換申込権発生に備えての対応

◆無期転換申込権とは

 今年の4月より無期転換制度が始まります。

 この法は従前には無かった新しい制度であり企業に有期雇用労働者がいる場合、必要な手続を行う事が求められます。

 無期雇用転換制度とは労働契約法第18条(有期労働契約者の期間の定めのない労働契約への転換)に規定されています。

 「同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了するまでの間に、当該満了日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の申込みをしたときは、使用者は申込みを承諾したものとみなす」と言うものです。

 つまり同一事業主の下、有期労働契約を更新していて5年を超えた時、本人が無期転換申し込みをしたら定年・再雇用までの継続勤務として扱うと言う事です。

◆目前に迫る開始期日と対応

 対象労働者は平成25年4月1日以降に有期雇用契約をし更新した方が、平成30年の4月1日以降通算5年を経過すると、無期転換申込権が発生、その日以降いつでも、申し込みができる状態になる訳です。

 具体的な対応としては、

(1)平成25年4月1日以降に有期雇用契約をした対象者に対し転換時期(通算5年を超えた日)を知らせる必要があります。

 その際、就労実態を調べ社内の仕事を整理区分し任せる仕事を考えます。

 また、無期雇用とは必ずしも正社員と同一労働条件を指すものではないので、今までと同じ待遇と言う場合もあるでしょう。

(2)無期転換雇用者就業規則の定めをする

(3)高年齢者や再雇用者の対応

 有期特措法の適用で定年後の継続雇用の方の無期雇用の適用除外認定手続きを取る。

◆今後の会社の方針を検討する

 有期雇用労働者を5年以上続けて雇い入れている企業は、今後どのような方法を採るかを考える必要があります。

(1)正社員や多様な正社員への登用

(2)雇い入れ期間設定(通算5年未満)や勤務評価の上限設定。

 但し申込権発生直前の雇止めは慎重さが必要です。

(3)申し込みがあれば無期雇用にはするが労働条件は変えない

……等があります。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年3月16日金曜日

【時事解説】仮想通貨による資金調達と可能性 その2

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 最近、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)という、仮想通貨を用いた資金調達の手段に注目が集まっています。

 企業にとって、ICOのメリットはIPO(新規公開株、株式上場)と比べて、手軽に資金を調達できる点にあります。

 投資家のメリットは、トークン(株式のようなもの)の価格や、仮想通貨の価格が上がれば、売却益を得ることができます。

 とはいえ、リスクも多くあります。

 投資先のプロジェクトが失敗すれば、株式と同じように投資家は損失を被ります。

 しかも、株式と違い、議決権がないので、投資対象の企業が破綻しても、残余財産を受け取ることができません。

 もう一つの懸念は、仮想通貨の価格が安定しないことです。

 仮想通貨は多数の種類がありますが、もっとも有名なビットコインは、昨年12月に約240万円程度の価格をつけました。

 しかし、2018年1月、価格が大幅に下がり、100万円を割れたこともあります。

 企業は仮想通貨で資金を集めても、仮想通貨の価値が下がると、せっかく集めたお金の価値が下がってしまいます。

 また法が整っていないため、詐欺まがいの案件が生じていることもあげられます。

 このほか、大きな懸念は、中国や韓国など、ICOによる資金調達を禁止する国が出ていることです。

 その一方で、スイスなど、規制を緩めICOを容認する国もあります。

 また、米国やカナダなど、ICOについて育成の姿勢をみせる国もあります。

 日本は禁止の姿勢はみせておらず、法整備を進めている段階にあります。

 リスクは多いもののメリットも多いICO。今後に注目です。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

確定申告、決算対策などのご相談はこちらから。。。お気軽にご連絡ください。

2018年3月15日木曜日

時事【解説】仮想通貨による資金調達と可能性 その1

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 最近、ビットコインなどの仮想通貨に注目が集まっています。

 昨年末、仮想通貨の価格が暴騰し、億単位の利益を得た投資家が続出しました。

 そのため、投機的な商品として話題になっています。

 実のところ、仮想通貨は投資だけでなく、企業の資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)の手段としても活用が進んでいます。

 ICOとは、どのようにして資金を集める方法なのでしょうか。

 資金調達といえば、IPO(新規公開株、株式上場)が手段の一つとしてよく知られています。

 ICOの仕組みはIPOと共通点が多くあります。

 IPOの場合、企業は株式を発行し、投資家に株式を買ってもらい資金を集めます。

 ICOは株式の代わりに、トークンとよばれるデジタル権利書を発行します。

 企業は投資家に事業内容などを説明し、賛同する投資家はトークンの代金として仮想通貨を払い込みます。

 資金として、現金ではなく、仮想通貨を払い込んでもらうところに特徴があります。

 ICOは、米国では盛んに行われています。

 日本では端緒についたばかりですが、すでに109億円を調達した企業も出ています。

 なにより、ICOのメリットは、IPOと比べて審査が簡便なので、手軽に実施できる点にあります。

 IPOよりも早く資金を調達できることが魅力です。

 投資家のメリットはトークンが仮想通貨の取引所に上場されれば、新たな仮想通貨として取引できます。

 加えて、トークンは株式と同じように売買時の価格(株式でいえば株価のようなもの)がつきますが、価格が上昇すれば、株式と同じように、売却による差益を得ることができます。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年3月14日水曜日

【時事解説】地方創生とまち・ひと・しごと創生総合戦略 その2

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の遂行にあたっては、人口減少克服・地方創生を実現するための5つの政策原則として、①自立性、②将来性、③地域性、④直接性、⑤結果重視を掲げています。

 また、4つの基本目標を、「①地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」、「②地方への新しいひとの流れをつくる」、「③若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」、「④時代に合った地域をつくり、安全なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する」としています。

 さらに、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、評価基準として「KPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)」が施策ごとに設定されています。

 さらに、施策の進行管理を適切に行い、その成果を高める仕組みとして、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を繰り返すPDCAサイクルが組み込まれています。

 例えば、2017年12月22日に改訂された国の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、基本目標「①地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」の主要施策として、「地域の中核企業、中核企業候補支援」、「観光業を強化する地域における連携体制の構築」、「農林水産業の成長産業化」を掲げています。

 このうち「農林水産業の成長産業化」においては、6次産業化市場10兆円、農林水産物・食品の輸出額1兆円というKPIを設定しています。

 このように「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、上記のような特徴ある戦略遂行を通じて、地方創生の着実な推進に向けた取組みが行われているのです。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)



2018年3月13日火曜日

【時事解説】地方創生とまち・ひと・しごと創生総合戦略 その1

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の改訂が、2017年12月22日に閣議決定されました。

 「まち・ひと・しごと創生総合戦略」は「まち・ひと・しごと創生法」に位置づけられています。

 同法によると地方創生とは、まち(国民が夢や希望をもち、潤いのある豊かな生活を安心して営める地域社会の形成)、ひと(地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保)、しごと(地域における魅力ある多様な就業機会の創出)の創生を指し、これら3つを一体的に推進することが求められています。

 地方創生に向けた政策の展開についてみると、日本創成会議・人口減少問題検討分科会が2014年5月に公表した「ストップ少子化・地方元気戦略」において、20~39歳の女性の数が2010年から2040年にかけて5割以下に減る自治体を「消滅可能性都市」と位置付け、全国の市区町村の半分にあたる896自治体を指定し、早急な人口対策の必要性が提示されました。

 こうした流れの中、「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」と「まち・ひと・しごと創生法」、「まち・ひと・しごと創生総合戦略(国の総合戦略)」が2014年12月までに策定され、2015年度を初年度とする5か年の目標、施策に関する基本的方向等が定められました。

 また、「まち・ひと・しごと創生法」では、地方版総合戦略として、都道府県が都道府県版総合戦略、市町村が市町村版総合戦略の策定に努めることが謳われています。

 このように「まち・ひと・しごと創生総合戦略」は国、都道府県、市町村のそれぞれが策定し、地方創生を推進していくことが求められているのです。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年3月12日月曜日

年金機構が源泉徴収票でミス

提供:エヌピー通信社

 国税庁は日本年金機構が年金受給者に送付した「公的年金等の源泉徴収票」の記載内容の一部にミスがあったことを受け、源泉徴収票の記載に誤りがある人は再送付を待ってから確定申告書を作成するように呼び掛けました。

 日本年金機構はミスがあったことを1月19日に公表。源泉徴収票に記載された「控除対象配偶者」と「控除対象扶養親族」の氏名欄に一部誤りがありました。

 支払い金額や源泉徴収税額など、他の項目に誤りはないとのことです。

 そのため税額に影響する誤りではありません。

 国税庁は納税者に対し、1月に送られてきた徴収票を確認し、誤りがあれば新しく発送された徴収票を使うように求めています。

 機構は1月末までに該当者に正しい源泉徴収票を再送付しています。

 送付費用は国民が支払った保険料の一部にほかならず、機構のミスで無駄遣いされることになります。

 機構では年金の計算誤りや書類の送付ミスなど様々な問題が相次いで発覚しており、批判の声が高まっているところです。

 なお、すでに提出した申告書の源泉徴収票に誤りがあり、是正が必要な人は、税務署からその旨の連絡が来ることになっています。


<情報提供:エヌピー通信社>

確定申告、決算対策などのご相談はこちらから。。。
お気軽にご連絡ください。

2018年3月11日日曜日

脱税事件に異例の懲役7年半

提供:エヌピー通信社

 輸出免税の還付制度を使って約17億円を脱税したとして、消費税法違反などの罪に問われていた宝飾店販売業を営む被告に、大阪地裁は懲役7年6カ月、罰金6千万円の実刑判決を言い渡しました。

 脱税だけで執行猶予なしの実刑判決が下されること自体がまれで、過去にない長期間の懲役刑を科された理由には、計画的かつ常習的とみなされた脱税の悪質性があるようです。

 起訴状などによると、被告は2010年~16年にわたって香港からの高級腕時計の架空仕入れを計上する手口で、不正に消費税11億円の支払いを免れたほか、輸出免税制度を利用して4社合わせて約6億8千万円の不正還付を受けたそうです。

 消費税は、「国内で消費される財貨やサービスに対して課せられる税」で、国外との取引には原則的に課税されません。

 しかし国内の事業者から商品を仕入れる際には消費税分が上乗せされているので、国外取引を行う事業者は、仕入れにかかった消費税額を申告することで、その分の還付を受けることができます。

 この制度を悪用し、架空の海外取引を計上して消費税の還付を受ける手口は横行しています。

<情報提供:エヌピー通信社>

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年3月10日土曜日

個人情報の利用目的の変更

◆すべての事業者が個人情報保護法の対象に

 平成27年9月3日に成立した改正個人情報保護法が、平成29年5月30日から全面的に施行され、すべての事業者が個人情報取扱事業者として同法の適用を受けることになりました。

 個人情報取扱事業者は、個人情報の利用目的を特定したうえで、個人情報を取得した際に、これを公表または本人に通知しなければならないとされています。

 しかし、本人に通知していた利用目的に漏れがあったり、事業の拡大により利用目的の追加が生じることも考えられます。

 その場合はどのように対応すればよいのでしょうか。

◆利用目的の変更が認められる範囲

 まず、一旦通知した個人情報の利用目的を一方的に事業者が変更できるとすれば、事前に利用目的を通知しなければならないとした趣旨を没却することになります。

 そこで、原則として、本人の同意がなければ利用目的を変更することはできません。

 本人の同意を得る手続は、事業者にとって非常に負担の大きいものとなります。

 もっとも、例外的に、「変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲」については、変更後の利用目的を本人に対して通知するか、公表することにより、個人情報を利用することができるとされています。

 例えば、フィットネス事業者における「顧客の食事メニューの指導」と「当該食事メニューに関する食品販売」という利用目的は、関連性を有するものとして認められると考えられています。

◆目的外利用に対する制裁とは

 では、本人の同意を得ずに利用目的を変更した場合など、本人に通知していた目的の範囲外で個人情報を利用した場合はどうなるのでしょうか。 

 個人情報保護法では、法令に基づく場合(例:裁判官の令状による場合)など目的外利用が認められる例外事項が列挙されています。

 しかし、これらに該当しない場合には同法違反の行為となりますので、個人情報保護委員会という組織より、指導・助言、勧告・命令などを受ける可能性があります。

 また、これらの監督に従わなかった場合には、罰則が設けられています。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年3月9日金曜日

健康保険の被扶養者が収入増で外れるとき

◆健康保険の被扶養者とは

 健康保険の扶養家族となる被扶養者とは被保険者の収入により生計を維持している人を言い、被扶養者の直系尊属、配偶者(事実婚を含む)、子、孫、弟妹、兄姉、および被保険者と同居している三親等以内の親族や事実婚の配偶者の父母、子も対象です。

 生計を維持しているとは被保険者の収入により生活していることで、その基準としては年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)である事です。

◆配偶者控除の改正でどうなる?

 所得税法の改正で平成30年分の所得から配偶者控除が引き上げられることになりました。

 これにより給与所得だけの配偶者の場合、従来は収入が「103万円」まで配偶者控除が適用されていましたが「150万円」まで拡大されます。

 健康保険の被扶養者でパートで働く配偶者は税制メリットを受けるので働く時間を増やして収入を増やそうと考える場合もあるでしょう。

 しかし健康保険上の被扶養者の収入要件の変更はないので、年収が130万円未満でないと被扶養者でなくなってしまいます。

 勤務する会社の健康保険・厚生年金保険に加入するか、自ら国民健保や国民年金に加入することになります。

◆健保の被扶養者を外れる時

 収入が増えて被扶養者でなくなる時期はいつの時点なのでしょうか。

 税法上の配偶者控除対象者は1月から12月の1年間の所得を見ますが、健康保険の被扶養者の認定は今後1年間の収入額の見込み額で判断します。

 したがってパートやアルバイトの給与収入だけであれば過去1年分の給与の合計が130万円以上となった時点で被扶養者から外れるのではなく、これから1年間で130万円以上が見込まれるようになった時点で被扶養者でなくなります。

 この場合の給与収入には通勤手当も含まれます。

 具体的には目安ではありますが1か月の収入が108,333円(130万円÷12か月)を常に超していれば、超えることがはっきりした時点で外す手続きをとることになります。

 雇用契約の変更による勤務日数や時間の増加で130万円を超えると見込まれたときは、その契約開始日が被扶養者でなくなる日となります。

確定申告、決算対策などのご相談はこちらから。。。

お気軽にご連絡ください。


2018年3月8日木曜日

犬銀ってどんな税金?

 江戸時代の租税制度「犬銀」の内容を問うクイズを、税務大学校が国税庁のホームページに掲載しています。

 問題は三択で、選択肢は
①飼い犬の頭数に応じて飼い主が納めるぜいたく税、
②藩主の飼い犬の餌代として領民が納める租税、
③犬を売買した頭数に応じて納める取引税
の3つ。

 犬銀は信州松代藩が課税していた税金。

 藩は領民から徴収する租税で鷹狩の猟犬の餌代をまかなっていたそうです。

 つまりクイズの答えは②。

 当時の諸大名は自領内に狩場を設けたほか、参勤交代で江戸に滞在しているときは幕府に狩場を借りて鷹狩を楽しんだそうです。

 税務大学校は戌年にちなんで今回のクイズで犬銀を紹介していますが、2年前には「犬税」を取り上げています。

 クイズは京都府と群馬県で高い税率を掛けられていた特定の犬種を当てる問題で、答えは狆(ちん)。

 上流階級や花柳界で近世から盛んに飼育されていた日本原産の小型犬で、愛玩犬の代表格だったことから、ぜいたく税として狙い撃ちされたとのことです。





2018年3月7日水曜日

平成30年度税制改正 資産課税編2

 今回は、特定一般社団法人等を中心にその他の主な改正項目を概観してみます。

●特定一般社団法人等への相続税の課税

 当該法人等の役員(理事に限る。以下同じ)である者(相続開始5年以内のいずれかの時において当該法人等の役員であった者を含む)が死亡した場合には、当該法人等が当該法人等の財産を同族役員(被相続人も含む)の数で等分した額を当該被相続人から遺贈により取得したものとみなして、当該法人等に相続税(既に課された贈与税額を控除)を課税する。

 なお、(1)特定一般社団法人等とは、公益・非利型法人その他の一定の法人以外の一般社団・財団法人で、次のいずれかの要件を満たす一般社団法人等です。

 ①相続開始の直前における同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1を超えること。
 ②相続開始前5年以内において、同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であること。

(2)同族役員とは、当該法人等の理事のうち、被相続人、その配偶者又は3親等内の親族その他当該被相続人と特殊の関係にある者(被相続人が会社役員となっている会社の従業員等)を言います。

 この改正は、平成30年4月1日以後の当該法人等の役員の死亡に係る相続税について適用されます。

 但し、同日前に設立された当該法人等については、平成33年4月1日以後の当該法人等の役員の死亡に係る相続税について適用され、平成30年3月31日以前の期間については上記(2)②の2分の1を超える期間に該当しない、となっています。

 しかし、平成30年4月1日から同族理事を2分の1未満に見直しておく必要があるかと思われます。

●その他の改正項目

(1)農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度については、

 ①貸付けられた生産緑地その他一定の農地の貸付にも納税を猶予する。また、
 ②三大都市圏の特定市以外の生産緑地について、営農継続要件を終身(現行:20年)とする等幾つかあります。また、

 (2)相続税の申告書の添付書類については、戸籍謄本のコピー、法定相続情報一覧図の写しでもよくなります。

 前者の適用は、都市農地の貸借円滑化に関する法の施行の日以後、後者の適用は、平成30年4月1日以後に提出する申告書からとなっています。

 後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。

ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。


2018年3月6日火曜日

【時事解説】粉飾を防ぐ倫理観 その2

 こうした不確実性を排除することは不可能ではありません。

 工事進行基準ではなく工事完成基準を、固定資産の費用化も減価償却ではなく現金主義を採用すればいいわけです。

 ただ、そうなると確実性は増しますが、会計の大きな目的である適正な期間損益の算定が達せられなくなってしまいます。

 それは会計の先祖返りですから、あり得ません。

 会計は見積もりの拡大と共に進化してきました。

 近年導入された減損会計や税効果会計でも将来利益の見積もりが重要になります。

 また、資産価格の算定も取得原価から将来キャッシュフローの現在価値へと変わる傾向にありますが、将来キャッシュフローの現在価値を計算するには、将来キャッシュフローの予測や現在価値に引き直す割引率を決めなければなりません。

 そこでも見積もりが必要になります。

 IFRS(国際会計基準)導入企業も増加傾向にあり、会計が見積もりの拡大に向かうことは不可避です。

 その結果、人為的な操作の余地も広がってきます。

 東芝の事件は、決算書の数値はこうした脆弱性の上に成り立っていることを再認識させてくれました。

 決算書を作成する経営者と共に我々会計人も、進化する会計には倫理観が益々重要になることを自戒しなければなりません。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年3月5日月曜日

【時事解説】粉飾を防ぐ倫理観 その1

 東芝に見られるように、粉飾決算は後を絶ちません。

 粉飾を防ぐにはどうすればよいでしょうか。

 粉飾決算は大きく2つに分けることができます。

 一つは金額の架空計上、つまり、完全なでっち上げです。

 たとえば、ありもしない売上を仮装するものです。

 こうした場合は、売掛金がいつまでたっても、現金化しないことによって、粉飾が露呈します。

 これは弁解の余地のない粉飾です。

 もう一つは見積もりの操作です。

 東芝の不適切会計の発端は、工事進行基準の収益計上に関わるものだと報じられています。

 進捗率を操作して、収益を早めに計上していたのかもしれません。

 これも利益の改竄ですから粉飾には違いがありませんが、ただ完全なでっち上げとは違い、当事者の罪の意識は薄くなります。

 工事の全体金額そのものに変わりがなければ、収益計上時期を繰り上げても、その分、後で収益が少なくなるだけですから、全体としての帳尻は合うはずです。

 架空の数字を作り上げたのとは違い、見積もりの操作ですから、判断する人による主観の相違です、と言われればそれまでです。

 こうした見積もりの操作は何も工事進行基準だけではありません。減価償却費も引当金にも同様にその危険性は存在します。

 機械の減価償却期間を5年にするか10年にするかで、減価償却費は大きく異なります。

 償却期間は5年が正しいのか、10年が正しいのかは機械を使い終わってみなければ分かりませんから、現段階では確定的ではありません。

 会計にはこうした不確実性がぬぐいがたく存在します。

(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年3月4日日曜日

(後編)国税庁:仮想通貨の計算方法などFAQを公表!

(前編からのつづき)

 また、3月9日に200万円(手数料を含む)で4ビットコインを購入し、9月28日に15万5,000円の商品購入に0.3ビットコイン(同)を支払ったケースでは、保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合、その使用時点での商品価額と仮想通貨の取得価額の差額が所得金額となります。

 計算式は、「15万5,000円(商品価額)-(200万円÷4BTC)×0.3BTC=5,000円」で、5,000円が所得金額となります。

 そのほか、仮想通貨の取引により、雑所得の金額に損失が生じたが、この損失は、給与所得等の他の所得と通算できるのかとの問いに対しては、雑所得の金額の計算上生じた所得については、雑所得以外の他の所得と通算できないと説明しております。

 所得税法上、他の所得と通算できる所得は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得とされていますが、あらためて、雑所得はこれらの所得に該当しないので、他の所得と損益通算できないことを示しております。

 該当されます方はご注意ください。


(注意)
 上記の記載内容は、平成30年1月19日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


確定申告、決算対策などのご相談はこちらから。。。
お気軽にご連絡ください。

2018年3月3日土曜日

(前編)国税庁:仮想通貨の計算方法などFAQを公表!

 国税庁は、仮想通貨の計算方法や具体例などを説明するFAQを同庁ホームページで公表しております。

 それによりますと、すでにビットコインなどの仮想通貨の取引で得た利益の所得区分について「原則として、雑所得に区分する」との取扱いを明らかにしておりますが、さらに仮想通貨の売却や、仮想通貨での商品の購入、仮想通貨と仮想通貨の交換、仮想通貨の取得価額など9項目を掲載し、架空の事例をもとに所得の計算方法などをFAQにて示しております。

 例えば、3月9日に200万円(手数料を含む)で4ビットコインを購入し、5月20日に0.2ビットコイン(同)を11万円で売却したケースでは、保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、その売却価額と仮想通貨の取得価額の差額が所得金額となります。

 計算式は、「11万円(売却価額)-(200万円÷4BTC)(1ビットコイン当たりの取得価額)×0.2BTC(支払ビットコイン)=1万円」で、1万円が所得金額となります。

(後編へつづく)

確定申告、決算対策などのご相談はこちらから。。。

お気軽にご連絡ください。


2018年3月2日金曜日

財産調査と納税通知書

◆相続と財産調査

 誰かが亡くなり相続が発生したときや遺言を作成するときなど、「相続」を考える際には財産の調査をしなければなりません。

 預貯金や不動産、株、保険など財産はさまざまですが、今回は不動産の調査方法について考えます。

◆不動産の財産調査方法

 どのような不動産を持っていたのかを調べる際は、たとえば次のような資料が参考になります。

①固定資産税の納税通知書(課税明細書)
②登記済証(権利証)・登記識別情報
③名寄帳

 このうち、①②は自宅にあるもの、③は市区町村役場で取れるものです。

 多くの場合、不動産には固定資産税がかかりますので、毎年市区町村役場から送付される①固定資産税の納税通知書は比較的目にすることが多く、不動産を特定する足掛かりになります。

◆納税通知書の注意点

 ここで注意したいのが、この納税通知書に載るのはあくまで「課税されている不動産」だけであるということです。

 認識している不動産が自宅の土地と建物しかない場合、納税通知書だけを確認すればよいと考えがちですが、そうすると課税対象ではない道路などを見落としてしまうことがあります。

 せっかく遺言で相続の準備をしたり、遺産分割を取りまとめて協議書を作成しても、一部の非課税不動産を見落として作成してしまうと、相続紛争の原因になったり、相続した不動産を売却するのが難しくなったりすることもあるため、注意が必要です。

◆財産調査は慎重に

 ②はいわゆる不動産の権利証のことですが、これも紛失している場合には不動産を特定することができません。

 そこで登場するのが③の名寄帳(なよせちょう)です。

 これは、市区町村役場にある所有者ごとの不動産を、非課税不動産も含めて一覧にしたもので、自治体により「資産明細」「課税台帳の写し」など呼び方はさまざまです。

 現在の住所地や過去住んでいた場所、本籍地など、可能性のある市区町村役場で名寄帳を取ることで、所有していた不動産を確認することができます。

 少し手間ではありますが、財産の調査は慎重に行うことが肝要です。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年3月1日木曜日

AI革命と雇用

 昨年ころから実用化され始めたAI(人工知能)技術は、ブームとなっていきそうな勢いです。

 日増しに報道や出版物も増えていますが、AIが発達すると雇用との関係は今後どうなっていくのでしょうか。

◆労働者の半数が機械に仕事を奪われる?

 2016年に発行されたリクルートワークス研究所の機関誌「Works」No.137に「同僚は、人工知能」というAIと雇用についての記事が掲載され話題を呼びました。

 それによると日本では今後、労働人口の49%がAIやロボットにより代替される可能性が高いと言っています。

 労働者の半数が仕事を失うとなるとは驚きです。

 そのような未来が来るとすると企業では何が起こるのでしょうか。

◆仕事が減ったら配置転換で乗り越えてきた

 日本の労働の歴史では1980年代のME革命や1990年代のIT革命の際も業務が一新され、従前の雇用は大量に失われました。

 しかしMEやITに従事する新たな雇用が創出されたので日本型終身雇用に守られた労働者の再配置(社内配転等)がなされ、大量の失業者が発生する結果にはならなかったという事です。

 但しAI、ロボット技術との違いは、
①技術の発達速度の速さ
②雇用創出にはそれほどつながらない
等が言われており、懸念されています。

◆今後の時代に備えた雇用を考える

 労働法が現在の内容である限り企業はたとえAIによって自社の職務が削減されても社員の雇用を守るための努力は必要になるでしょう。

 それなしには整理解雇が有効になることはないかもしれません。

 もちろんAIが導入されても絶対雇用維持しなければならないと言う事にはならないでしょう。

 ここはAIと共存する為の知恵や工夫が必要となってくるのでしょう。

 前述の「Works」No.137でも生産性向上等、新しい働き方の提案がなされています。

 来るべき時代を意識しておく必要があると言う事でしょう。