2018年5月31日木曜日

平成30年6月の税務

6/11
●5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収額(前年12月~当年5月分)の納付

6/15
●所得税の予定納税額の通知

7/2
●4月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●10月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(2月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第1期分)

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ルールブック活用で 職場環境改善

◆規律の乱れに気づいたら

 昨年発表された厚生労働省調査によると労働相談は9年連続100万件を超え増加傾向が続いています。

 しかし労使トラブルは表面化している事ばかりではありません。

 就労上の小さなルール違反や職場の秩序の乱れ等、就業に影響を与える言動等いわゆる規律の乱れも見逃せません。

 目に余るような言動であれば注意指導、懲戒を行うこともあるでしょう。

 しかし遅刻、言葉使い等些細な規律の乱れをいちいち注意しなくてもと見過ごしているうちに、前と違ったルールになっていたり、守って欲しい事が勝手な解釈や行動で職場の雰囲気の乱れとなっているのに気づく事はないでしょうか。

◆就業規則の内容をより明確に伝える

 労使トラブルや規律の乱れを防ぐためにも就業規則の整備は必要ではありますが、就業規則では拾いきれないこまごまとした日常の規範は別に「職場のルールブック」を作成すると良いでしょう。

 行動規範があると上司からの注意指導がしやすくなり、従業員側も守るべきルールがはっきりする事で行動がし易くなります。

 また、新しい人を採用しても統一した基準や仕組みがあれば分かり易く職場のまとまりも良くなり労使双方にメリットがあると言えるでしょう。

◆職場ルールブックのメニューとは

 ルールブックの内容は次の様なものになりますが企業によって他にあるかもしれません。

 内容は経営者や管理職、また従業員代表を交えて意見を聞くのも良いでしょう。

①就業上の基本的ルール:勤務時間、遅刻、早退、欠勤、休日等に関する事、各種届け出や服務に関する心得等
②職務上守って欲しい事や禁止したい事:パソコンや情報の取り扱い、社有車、事故報告、ハラスメント防止等
③従業員に期待する事:ビジネスマナー、報連相、ヒヤリハット報告、クレーム対応等
④安全衛生・健康管理
⑤福利厚生:慶弔関連、社員旅行、クラブ活動、持株制度等
⑥病気、ケガ、結婚、子の誕生、産休育休の報告や手続き
⑦社内規則抜粋:退職、定年、懲戒、休職
⑧会社について:社長からのメッセージ、経営理念、経営計画、目標等

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2018年5月30日水曜日

国税庁がインボイスのパンフ公表

 消費税の複数税率の開始に伴い2023年から導入される「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」に関するパンフレットを、国税庁がホームページで公表しました。

 パンフレットでは適格請求書を「売り手が、買い手に対し正確な適用税率や消費税額を伝えるための手段」と表現していますが、事業者にとっては何より「仕入税額控除の適用に不可欠な書類」という位置づけになります。

 現行の請求書に記載が求められている項目は、請求書の作成者名、取引年月日、取引した資産や役務の内容、取引した対価の額、請求書を渡す相手の名称となっています。

 インボイス方式ではこれらに加え、「事業者の登録番号(21年10月より申請開始)」、「税率ごとに合計した対価の額、適用税率」、「税率ごとの消費税額」の記載が求められるようになります。

 取り引きした資産が軽減税率の対象であればその旨も付記しなければなりません。

 インボイス制度開始後の仕入税額控除は、原則的に適格請求書に基づいた取り引きだけが対象となります。

 免税事業者はインボイスを交付できないため、今後は税額控除の額を少しでも増やしたい事業者が免税事業者とは取引しなくなる可能性があるので注意が必要です。

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2018年5月29日火曜日

【時事解説】利益に対応した経営責任 その2

 しかし、株主の見方は違います。

 経営者は株主から財産を預かって株主財産を増加させることを委託されています。

 外部環境はどうであれ、その中で最高のパフォーマンスを示すのが経営のプロのはずです。

 株価の下落が予想されるなら、事業と関係ない株式はあらかじめ売っておくべきですし、それでもなお所有し続けるなら、株価下落による評価損を補って余りある事業上の利益がもたらされなければなりません。

 経営手腕には単に事業遂行能力だけではなく、外部環境変化への対応能力も含まれているはずだと考えるのです。

 包括利益とは経営を巡るすべての外部環境変化も包含した上で、経営者の経営能力を評価する利益だといえます。

 資産の評価損益も含めて経営者の経営責任を問われるとなると、資産の収益性の検証が重要になります。

 いつか役に立つだろうとか、将来値上がりするだろうから何となく継続保有する、といった漠然とした理由での所有が許されなくなります。

 所有している資産が現在の収益獲得にどのように貢献しているのかということを常にチェックし、資産所有の妥当性を検証しなければなりません。

 日本人は古くから失敗の検証が苦手で、失敗を招いた人間に対する責任追及が甘くなりがちな民族なのではないかと思います。

 自分の責任を追及されたくないのは言うまでもないことですが、自分を引き上げてくれた先輩の責任を問うこともはばかる風潮も根深く存在します。

 しかし、所有資産に内在する赤字も含めた損益が重要視されるようになれば、従来のような微温的態度に終始できなくなり、赤字の原因を生じさせた経営者責任を厳しく追及される局面が増えてくるのかもしれません。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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2018年5月28日月曜日

【時事解説】利益に対応した経営責任 その1

 IFRS(国際会計基準)や米国会計基準の影響を受け、平成23年から日本でも上場企業に対して「包括利益」が導入されました。

 包括利益は経営者の経営責任概念について、従来の利益とは大きく異なっていることに注意しなければなりません。

 最終的には「経営者が負うべき経営責任とは何か」という経営哲学の問題に帰着します。

 包括利益は損益計算書の当期純利益を受けて計算され、事業成績の最終結果である当期純利益に投資有価証券の時価や為替換算調整勘定の変動金額等を加えて計算されます。

 現在の会計基準では、投資有価証券の評価損益や為替換算調整勘定の変動金額は損益計算書には表示されず、貸借対照表上で直接処理されています。

 この会計処理のポイントは評価損益が損益計算書を通りませんから(減損の場合を除く)、当期純利益が変動しないところにあります。

 ところが、包括利益はこれらの資産価格の変動による損益を含めたものを「利益」として提示します。

 経営者の成績は期間中にどれだけ利益を上げたかで評価されます。

 その意味で、損益計算書の最終利益が重要です。

 投資有価証券の評価損益や為替換算調整勘定の変動金額を損益計算書に含めない会計基準の背景には、経営者は本業での実績で評価してほしいという考え方があります。

 経営者からすれば、「株価や為替相場は経営者が関与できない外部変数で、経営者の能力とは関係ない。

 経営者の評価は本業への貢献度に絞って評価されるべきだ。

 株価下落や為替相場変動による赤字計上を理由に経営者に責任を取れと言うのは理不尽だろう。」と主張するのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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2018年5月25日金曜日

(後編)国税庁:2016事務年度の富裕層に対する調査事績を公表!

(前編からのつづき)

 また、消費税の無申告者に対しては、2016事務年度において実地調査(特別・一般)8,816件(前事務年度8,119件)が行われた結果、追徴税額135億円で、1件あたり153万円となりました。

 2016事務年度の消費税に係る実地調査全体は2万8,211件行われておりますので、全体の約31%が無申告者に対する調査に充てられ、消費税の実地調査全体の追徴税額221億円の約61%が無申告者に係るものになります。

 調査事例では、数年おきに他人名義で所得税の申告を行うことで、自身が実質所得者であることを隠し、消費税の課税を不正に免れていた高級バーを営む事例があります。

 事業者Aは、消費税が無申告だけでなく、自身が負担する友人名義の所得税申告に係る所得税を減らすため、現金売上の除外や各経費の計上などを行っていた事実も判明され、Aに対して所得税7年分の申告漏れ所得金額約5,300万円について重加算税込みの約1,000万円の追徴税額及び消費税5年分の重加算税込みの約1,400万円が追徴されております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年5月24日木曜日

(前編)国税庁:2016事務年度の富裕層に対する調査事績を公表!

 国税庁は、2016事務年度(2017年6月までの1年間)の富裕層(有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な者など)に対する調査事績を公表しました。

 それによりますと、2016事務年度に実施した高額・悪質と見込まれた無申告者に対する実地調査は7,612件(前事務年度7,445件)行われ、実地調査の結果、申告漏れ所得金額の総額は1,406億円(前事務年度1,465億円)となりました。

 追徴税額は、総額146億円(同150億円)で、1件あたり192万円(同202万円)となりました。

 2016事務年度は実地調査全体(特別・一般)が4万9,012件行われておりますので、全体の約16%が無申告者に対する調査に充てられ、実地調査全体の申告漏れ所得金額4,499億円の約31%が無申告者に係るものとなりました。

 1件あたりの申告漏れ所得金額は1,847万円で、前事務年度の1,968万円から6.1%減少したものの、実地調査全体の1件あたり申告漏れ所得金額918万円の約2倍増となり、調査件数も前事務年度に比べて2.2%増加しました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年5月23日水曜日

(後編)2020年4月から大法人の法人税等の電子申告が義務化へ!

(前編からのつづき)

 また、法人税の確定申告書等に添付することとされている第三者作成書類については、一定の制度は添付に代えて保存により適用を認めるとしております。

 具体的にその制度として、

①収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
②換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例
③収用換地等の場合の所得の5,000万円特別控除
④特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の2,000万円特別控除

など6制度があげられております。

 さらに、電子申告を義務化する一方で、電子申告の際の要件を緩和し、これまでは書面の申告書に必要でした代表者及び経理責任者等の自署押印制度を廃止し、委任を受けた社員や役員の電子署名でも申告を認めるとしております。

 なお、地方税においても大法人の電子申告(eLTAX)が2020年4月1日以後開始事業年度から義務化されますが、添付書類の柔軟化や電子申告が困難な場合の宥恕措置については、国税の措置などを踏まえて今後検討される予定としております。

 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。エリアは問いません。ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年5月22日火曜日

(前編)2020年4月から大法人の法人税等の電子申告が義務化へ!

 2020年4月1日から、大法人の法人税・消費税の確定申告書、中間申告書、修正申告書等の提出の電子申告(e-Tax)が義務化されます。

 この背景には、経済社会のICT化が進展するなか、税務手続きにおいてもICT化を推進し、納税者の利便性及び行政コストの削減や効率性の向上等を図るものとみられております。

 なお、大法人とは内国法人のうち事業年度開始時において資本金等が1億円超の法人並びに相互会社、投資法人、特定目的会社等をいいます。

 電子申告の義務化に伴い、申告書に係る添付書類も電子申告による提出が求められますが、法人税の確定申告書、中間申告書、修正申告書の添付書類については、光ディスク等による提出も認められます。

 電気通信回線の故障や災害などで電子申告を行うことが困難と認められる場合には、書面により申告書が提出できると認められるときは、所轄税務署長の承認を受けて、法人税・消費税の申告書及びその添付書類を書面により提出できるとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年5月21日月曜日

目標と管理者の見識

 組織目標を設定する際、そこには管理者の意思が端的に表明されます。

 営業部門の場合で言えば、「適正な予算設定」が目標管理の「適正な組織目標設定」と同義で、管理者が市場環境と自社の販売ポテンシャルを的確に評価、判断する高い見識に基づいて設定されます、そのような予算・目標の実績との差異は、極めて小さく、経営貢献度が高いものとなります。

◆控え目な目標設定の問題と原因

 組織目標の設定は、管理者にとって「トップから与えられたノルマ」と映りがちで、また、達成度によって組織業績が評価されます。

 そこには管理者に「達成度が高く評価されるには、組織目標(予算)を控えめに設定する方が、得である」と言う意識が生まれる素地があります。

 このような管理者の意識は、一般社員の目標設定に伝搬し、組織業績低迷の原因となります。

◆組織目標のあるべき姿

 組織目標は過去の実績に比べて高く、ストレッチ(努力してようやく手が届く)な水準に設定し、その裏付けとして、市場環境の的確な分析と販売ポテンシャルに関する評価と自信がなければなりません。

 そのような目標は、実績との一致度が高くなり、同時に経営貢献度も高いものとなります。

◆経営者・管理者の留意点

 トップは「組織目標(予算)の達成度が高い」ことを、「未達」の時以上に警戒しなければなりません。

 そこに、「恣意的に設定された控え目な目標・表面的な高い業績評価を追い求める管理者の意識」が存在する可能性があるからです。

 トップと管理者は、そのような意識を排除し、組織目標(予算)を建設的行動の指標と考える高い見識を持たなければなりません。

 見識を高める裏付けとなるのは、次のような自らの実践的努力を通じた経営貢献度を高める組織風土の醸成にほかなりません。

 ・目標管理制度の運用(目標設定・目標達成努力・目標達成度と経営貢献度評価)を通じた組織別・組織間の目標達成努力。

 ・それらに関する真摯な反省と問題認識、トップ・管理者による改革・改善。

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2018年5月18日金曜日

最新裁決事例に役員退職金での争い

 国税不服審判所は3月下旬、最新の裁決事例をホームページ内に追加しました。

 税目別にみると、国税通則法4件、所得税法2件、法人税法3件、消費税法2件、国税徴収法1件。

 法人税法では、会社と国税当局の間で見解が分かれることが多い役員退職金をめぐる事例が追加されています。

 役員退職金をめぐる争いは、役職の分掌変更後に支払った金銭を会社の損金にできるか否かで見解が分かれました。

 代表取締役だったAさんは入院とその後の通院を契機に平成23年に代表取締役社長を辞任し、代表権のない取締役会長に分掌変更。Aさんは「退職慰労金」を受け取り、会社はその支払い分を損金としています。

 税務上、会社の役員が実際に退職していなくても、分掌変更で「役員としての地位または職務の内容が激変したと認められる場合」は、役員退職金として損金にすることが可能となっています。

 ただ、Aさんは分掌変更後も仕入れ単価の決定や得意先の接待など経営に深く関わっていました。

 また、Aさんの役員給与の額は社長辞任後に半額以下になったものの、後任の代表取締役よりも高額な状態でした。

 そのため税務署は、地位や職務が激変したとは認められず、税務上は「退職した事実はない」と判断。

 そして、Aさんへの会社の支払いは損金にできる役員退職金ではなく、損金算入が不可の役員給与として課税処分を行いました。

 審判所も税務署の処分を適法と判断し、Aさんの主張を退けています。

 役員退職金は「適正額」をめぐって国税当局と争いになることも多いのが実情です。

 金額が過大と判断されると損金算入が否認されます。

 顧問税理士に相談しながら適正額を決めるようにしたいところです。

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2018年5月17日木曜日

同名他社の口座差し押さえ

 茨城県那珂市は4月2日、市民税などを滞納した会社の預金口座を差し押さえる際、誤って同名の別会社の預貯金を差し押さえていたことを公表しました。

 会見した海野徹市長は「関係する方々に深くおわびする」と陳謝しています。

 滞納をしていたのは水戸市の会社で、那珂市に住民票のある従業員1人について、給与から源泉徴収する個人市民税・県民税を6万4千円分納めていませんでした。

 市は滞納分の徴収のために金融機関に会社の口座を照会し、その際に金融機関は誤って同名の別会社の口座について回答してしまったそうです。

 しかし市は住所の確認を怠り、そのまま預金を差し押さえたとのことです。

 誤徴収された会社が預金の不足に気付いて発覚し、市は全額を返金しました。

 誤った差し押さえによる損害が今後生じれば、賠償に応じるとしています。

 自治体の人違いによる同名別人の差し押さえは全国で起きています。

 昨年7月には熊本市が、固定資産税の滞納を巡って同姓同名の別人の預金を差し押さえるというケースがありました。

 また9月にも神奈川県茅ヶ崎市で、同姓同名で生年月日も同じ別人の生命保険解約返戻金を差し押さえるミスが発生しています。

 差し押さえのミスによって損害が生じれば、その賠償もまた税金で賄われることになるだけに、徴収事務に携わる自治体の意識の低さが露呈していると言われてもやむを得ないところです。

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2018年5月16日水曜日

(後編)国税庁:2016年分の国外財産調書の提出状況を公表!

(前編からのつづき)

 国外財産に係る所得税や相続税の課税の適正化が喫緊の課題となっていることから、納税者本人から国外財産の保有について申告を求める仕組みとして、2014年1月から施行された国外財産調書提出制度は、その年の12月31日においてその価額の合計額が5千万円を超える国外財産を有する居住者は、翌年3月15日までにその財産の種類や数量及び価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を税務署長に提出しなければなりません。

 国外財産調書は、自主的に自己の情報を記載し提出するものであることから、インセンティブ措置等が設けられております。

 具体的には、調書を期限内に提出した場合には、記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても加算税を5%軽減すること、調書の提出がない場合又は提出された調書に国外財産の記載がない場合、その国外財産に関して所得税の申告漏れが生じたときには加算税を5%加重すること、そして2015年からは故意の不提出や虚偽記載に対しては、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年5月15日火曜日

(前編)国税庁:2016年分の国外財産調書の提出状況を公表!

 国税庁は、2016年分の国外財産調書の提出状況を公表しました。

 それによりますと、国外財産調書制度の創立から4年目にあたる2016年分(2016年12月31日における国外財産の保有状況)の国外財産調書の提出件数は、2017年6月末までに提出されたもので、前年比2.4%増の9,102件、その総財産額は同4.3%増の3兆3,015億円となりました。

 また、局別の提出件数をみてみますと、「東京局」5,922件(構成比65.1%)、「大阪局」1,260件(同13.8%)、「名古屋局」660件(同7.3%)となりました。
 財産の種類別総額では、「有価証券」が51.8%を占めて1兆7,093億円で最多、「預貯金」6,015億円(構成比18.2%)、「建物」3,474億円(同10.5%)、「貸付金」1,708億円(同5.2%)、「土地」1,238億円(同3.7%)、「それ以外の財産」3,487億円(同10.6%)となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年5月14日月曜日

事業年度報告あれこれ

◆税務署への決算申告だけではない?

 あっという間に3月が過ぎ、決算月を終えた会社も多いことと思います。

 決算月から申告までの期間は何かと慌ただしいものですが、事業年度の終了後に行うべきものは、税務署への決算申告だけに限りません。

◆許認可を管轄する官公庁にも忘れずに

 事業を行うにあたり許認可を取得している場合、その種類によっては事業年度終了後に許認可を管轄する官公庁へ報告を行う義務があるものも存在します。

 たとえば建設業許可を取得している事業者であれば、事業年度終了後4か月以内に許可を申請した行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)に対し、決算に関する変更届を提出しなくてはなりません。

 これは税務署への決算報告とは全く別のものであり、この行政庁への決算報告が行われていないと、建設業許可の更新時に支障をきたす場合もあります。

 このほかにも、労働者派遣事業であれば事業年度終了後3か月以内に収支報告等を、運送事業であれば事業年度終了後100日以内に事業報告を行うなど、許認可によって様々です。

◆法人形態によっても様々

 また、法人形態によって報告義務が課せられる場合もあります。

 NPO法人(特定非営利活動法人)がその一例です。

 NPO法人は、事業年度終了後3か月以内に前事業年度の事業報告を所轄庁に対して行うことと定められています。この報告を3年以上未提出にした法人に対しては、特定非営利活動促進法に基づき設立認証の取消ができることになっており、これによって認証取り消しとなる事例が少なからずあります。

 法人存続にかかわる重大な問題です。

◆決算後には報告義務の再確認を

 税務署への決算申告は忘れずに行っていても、このように許認可や法人形態により別途課された報告義務については、つい忘れてしまいがちです。

 しかしながら、先述のように報告義務を怠ることで事業の継続が困難になる場合もあり、決して軽んじることはできません。

 事業年度終了後は、税務署への決算申告以外にも報告義務がないかどうか、一度おさらいしてみてはいかがでしょうか。

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2018年5月13日日曜日

公示地価に地方間で格差

 国土交通省が3月27日に発表した今年1月1日時点の公示地価によると、全国の地価は前年から0.7%上昇し、3年連続の上昇となりました。

 住宅地ではリーマン・ショック以来、9年ぶりの下げ止まりとなった前年から上昇に転じ、地方圏ではバブル期以来26年ぶりのプラスに転じるなど、全国的に上昇傾向が鮮明となっています。

 ただし都市部以外の地方では下落幅の縮小は見られるものの全用途でマイナスが続き、交通に便利で都市部に近いエリアでの地価が上がる一方、下落が続く地点も依然多く、明暗がより分かれた格好です。

 3年連続の上昇を主導したのは、都市部の商業地の地価上昇。

 商業地は前年の1.4%上昇からさらに伸びて全国平均で1.9%上昇。

 三大都市圏では東京圏で前年比3.7%、大阪圏で4.7%、名古屋圏3.3%と軒並み伸びましたが、さらに札幌、仙台、広島、福岡など地方中枢都市では、前年の6.9%をさらに上回る7.9%の著しい上昇を示しました。

 海外からの観光客が増加していることを背景に店舗やホテルなどの需要が高まり、それに伴いオフィスの空室率も低下傾向が続いています。

 住宅地では9年ぶりの下げ止まりを見せた昨年から、ついに上昇に転じました。

 全国的にも上昇や下落幅の縮小がみられましたが、地域間には大きな差が出ています。

 三大都市圏が0.7%上昇、地方中枢都市が3.3%と前年以上に上昇する一方で、それ以外の地方圏は0.1%の下落となりました。

 高齢化と人口減少が進むなかで、より生活に便利でインフラの整備されている都市部に人が集まる状況がうかがえます。

 なお地価が全国で最も高かったのは、今年も東京中央区銀座4丁目にある「山野楽器銀座本店」で、1平方メートルあたり5550万円となり、3年連続で過去最高を更新しました。

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交際費の支出総額5年連続増

 全国の会社が支出した交際費の総額が平成24年度から5年連続で増加していることが、国税庁の会社標本調査で明らかになりました。

 交際費は税務調査で必ずと言っていいほど支出の実態について調べられる項目であり、支出額が年々増えるなかで税務署はより一層厳しい目で見るようになっています。

 国税庁が3月30日に公表した「会社標本調査」によると、平成28年度に全国の法人267万2033社が支出した交際費の総額は3兆6270億円で、前年度の3兆4838億円から4.1%の増加となりました。

 伸び率は26年度の5.4%、27年度の7.2%と比べると鈍化していますが、平成19年度から23年度まで5年連続で前年度比マイナスだった分を、24年度からの5年で穴埋めし、28年度に10年前(3兆6816億円)とほぼ同額に戻したことになります。

 会社が交際費の税務でまず押さえておかなければならないのは、交際費の損金算入額には制限が設けられている点です。

 損金にできる交際費の額は、①交際費のうち800万円以内の額、②交際費のうち「接待飲食費」の半額――のうちの高い金額となっています。

 どちらを選択すべきかは、接待飲食費だけで1600万円を超えるか否かで判断します。

 超えているならその半額の800万円以上を損金にできるので②が有利となります。

 なお、資本金1億円超の大企業は①は適用できないので、交際費の支出内容にかかわらず接待飲食費の半額を損金にすることになります。

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2018年5月12日土曜日

(後編)民間税制調査会:2018年度税制改正に対する見解を公表!

(前編からのつづき)

 また、森林環境税については、既に類似の税金が多くの自治体の法定外税として導入されており、例えば、長野県の森林税などは積み残し税額がすでに5億円にも達し、森林税の廃止までが提唱されており、こうしたなかで、このような税を「国税として徴収する意味が本当にあるのか疑わしい」との疑義を呈しており、導入を再検討すべきとし、仮に実施したら3年後にその成果を検証し、国民に選挙で問うべきだと主張しております。

 そして、「選挙で税制改正の争点を出して、きちんと争うべき」ことと「増税の必要性を、政治家(特に与党)は責任を持って主張すべき」ことも強く主張しております。

 民間税制調査会とは、大学教授や弁護士等で構成され、税制を主権者である納税者の目線から分析し、提言する研究政策提言集団で、政府による税制改正の説明は分かりにくく問題も多いとして、2018年度税制改正についても、重要なテーマに絞って、国民のための税制改革を提言するとしております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。エリアは問いません。ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

(前編)民間税制調査会:2018年度税制改正に対する見解を公表!

 民間税制調査会は、2018年度税制改正に対する見解を公表しました。

 それによりますと、2018年度税制改正において給与所得控除を見直し、年収850万円超の会社員等を増税する一方、自営業者等が減税となる所得税改革については、給与所得控除の上限やその適用される収入金額などが明確な根拠もなく決定したと指摘しております。

 今般の個人所得課税の見直しは、働き方改革などもっともらしい政策目的を掲げているものの、所得課税やその控除をどのように見直すかという基本的な戦略を欠いたものであると指摘しております。

 基礎控除については、合計所得金額2,400万円超で控除額が逓減を開始し、2,500万円超で消失する仕組みに見直されますが、所得控除方式から税額控除方式に切り替えることで控除の恩恵の平準化は図られることから、本来、人的控除の適用に(納税者本人の)所得制限は設けるべきでないと指摘しており、所得控除のメリットである簡便さを放棄して消失型の所得控除にするならば、税額控除を全面的に採用する方向もあると提言しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年5月11日金曜日

(後編)国税庁:消費税の軽減税率制度に関するQ&Aを更新!

(前編からのつづき)

 さらに「外食の範囲」に『配達先での飲食料品の取り分け』を、「一体資産の適用税率の判定」に『一万円以下の判定』を、「区分記載請求書等の記載方法等」に『軽減税率の適用対象となる商品がない場合』と『相手方の確認を受けた仕入明細書等』の合計7問が追加されました。

 例えば、慶弔のお返しのカタログギフト販売についてQ&Aでは、同事業が贈与者による商品の贈答を代行することを内容としており役務の提供に該当するので、たとえ食品のみを掲載するカタログギフトの販売でも「飲食料品の譲渡」にはあたらず、軽減税率の適用対象外としております。

 また、『コーヒーの生豆の販売』では、「食品」とは人の飲用又は食用に供されるものをいうので、人の飲用又は食用に供されるコーヒーの生豆は「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となるとしております。

 一方、『食品の加工』では、取引先から支給を受けて行うコーヒーの生豆の焙煎等の加工は役務の提供に該当するので、軽減税率の適用対象とはならないと説明しております。

 今後の軽減税率制度の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。エリアは問いません。ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

(前編)国税庁:消費税の軽減税率制度に関するQ&Aを更新!

 国税庁は、国税庁ホームページ上に掲載している「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編、個別事例編)」の掲載内容の改訂及び追加をしております。

 消費税の軽減税率制度に関するQ&Aは、消費税率10%への引上げと同時に実施される消費税の軽減税率制度を広く国民に理解してもらう必要があることから、国税庁において2016年4月に作成したものです。

 今回の更新では、制度概要編で2問の改訂を、個別事例編で新たに7問を追加しております。

 制度概要編の改訂項目は、「飲食料品を譲渡する際の包装材料等の取扱い」と「『飲食に用いられる設備』(飲食設備)の意義」です。

 前者では、例えば、飲食料品の販売に際して使用される包装材料等が、その販売に付帯して通常必要として使用されるものは、その包装材料等も含め軽減税率の適用対象となる「飲食料品の譲渡」に該当するとしております。

 一方、個別事項編では、「飲食料品の譲渡の範囲等」に『コーヒーの生豆の販売』、『カタログギフトの販売』、『食品の加工』を追加しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年5月10日木曜日

教育訓練給付金の拡充

◆教育訓練給付金はスキルアップの為の制度

 教育訓練給付金は雇用保険に加入している働く人が職業能力を高める費用の一部を補填される制度です。

 資格講座や専門学校の費用として受給できるものですが、いくらくらい支給されるのでしょうか。

 教育訓練給付金は語学やパソコンなど幅広い講座が対象の「一般教育訓練給付金」と看護師、社会福祉士等専門的な資格を目指す「専門実践教育訓練給付金」とがあります。

 専門実践教育訓練給付金は2018年1月から給付が10%上がり、費用の50%、年間40万円まで受給できるようになりました。

 支給期間は最長3年で、一旦自分で立替え、半年ごとに受け取ります。

 専門資格を取得すると費用の20%が上乗せされます。

 年間56万円が上限です。

 退職し、昼間の専門学校に通う45歳未満の方は雇用保険の基本手当が終了した後に受け取れる「教育訓練支援給付金」も50%から80%にアップされました。

 また、一般教育訓練給付金の給付率は費用の20%、10万円が上限で、受講終了日の翌日から1カ月以内にハローワークに申請します。

◆主婦や高齢者にも幅広く対象に

 65歳以上の高年齢者は2017年1月より現役世代と同じ教育訓練給付金の対象者となっています。

 所定労働時間が週20時間以上で31日以上雇用される見込みがあれば雇用保険に入る事ができるようになったからです。

 同じ会社で継続雇用され65歳になった人も65歳以上で再就職をした人も対象になります。

 また、2018年1月からは出産、育児、病気療養で雇用保険の受給延長をしていた人の延長期間は最長4年であったものが20年に延長されました。

 教育訓練給付金を受けられる人が会社を辞めて1年の間に妊娠、出産、育児で教育訓練が受けられず、その子供が現在18歳未満である時には受けられるようになりました。

 ですから極端に言うと1998年に退職した人も条件が合えば対象となるかもしれません。

◆給付金受給の手続き

 始めて給付金を受ける時には雇用保険の加入期間が専門実践教育訓練給付金は2年以上、一般教育訓練給付金は1年以上必要です。

 今働いているか、退職後1年以内の人が受給できます。

 2回目以降は加入期間が3年以上必要で申請にはハローワークに被保険者証を持参しましょう。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。エリアは問いません。ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

平成30年度のキャリアアップ助成金

◆キャリアアップ助成金の拡充・新規内容

 キャリアアップ助成金は、非正規労働者の方の企業内でのキャリアアップを促進する為、正社員化等の取り組みを実施した事業主に対して助成金が支給される制度です。

●正社員化コース(拡充)

 ……有期契約労働者等を正規雇用労働者に転換又は直接雇用した場合に助成されます。

 1年度1事業所当たりの支給申請人数の上限が15人から20人までになりました。

 追加要件として正規雇用等へ転換した際、転換前の6カ月と転換後の6カ月の賃金(賞与、通勤手当、時間外勤務手当、歩合給等は除く)を比較して5%以上増額している事が条件となります。

 また、有期契約労働者から転換の場合、対象労働者が転換前に同じ事業主に雇用されていた期間は3年以下に限ります。

 1人当たり57万円(生産性要件を満たした時72万円) の支給額変更はありません。

●人材育成コース(整理統合)

 ……有期契約労働者等に一般職業訓練又は有期実習型訓練を実施した時に支給されます。

 このコースは人材開発支援助成金に統合されます。

 但し、平成30年3月31日までに訓練計画書の提出がなされている場合は従来の人材育成コースで支給申請できます。

●賃金規定等共通化コース(新規)

 ……有期契約労働者等に正規雇用労働者と共通の賃金規定等を新たに規定、適用した場合に助成されます。

 この制度は助成額加算措置が新たに加えられました。1人2万円が上乗せされ生産性要件を満たした時は2万4,000円が上乗せされます。

 上限は20人までです。

●諸手当制度共通化コース(新規)

 ……有期契約労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設け、適用した場合に助成されます。

 人数に応じた加算措置が加えられ2人目以降に適用、中小企業では1人当たり1万5,000円、生産性要件を満たした時1万8,000円、上限人数は20人までです。

 また、共通化した諸手当の数に応じて2つ目以降手当1つ当たり16万円、生産性要件を満たした時は19万2,000円です。

 既にキャリアアップ計画を提出していて当初の計画と異なるコースを利用するには事前に計画変更届を提出してください。

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2018年5月9日水曜日

太陽光発電2019年問題をビジネスチャンスに その2

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 太陽光住宅の2019年問題が控えています。

 2019年には余剰電力の買い取り保証期間が終了する家庭が多くあります。

 結果、余剰電力を売らずに、自家消費する動きが生じます。

 ただ、自家消費するにも別の課題が生じます。

 具体的には、電気は時間の経過とともに減衰する性質があります。

 晴れた日の昼間に発電し、後に雨天の夜間に使おうと思っても、創電した電気は消えてしまい、使えない可能性があります。

 そこで必要になるのが、創った電気をためておく蓄電池です。

 今、蓄電池メーカーは2019年に買い取り期間が終わる家庭を対象に蓄電池の販売に力を入れています。

 さらに、パワコンといって、太陽光発電した電気を家庭用コンセントでも利用できるように、直流電流を交流に変換する装置の開発を進める企業もあります。

 2019年問題は住宅関連だけでなく、自動車産業にとってもビジネスチャンスになります。

 電気自動車には蓄電池が搭載されており、電気をためる機能が備わっています。

 この特性に着目し、電気自動車と住宅との間で電気を融通できるシステムが発売されました。

 昼間消費しきれなかった電気は電気自動車の充電に当て蓄電し、住宅で電気が必要になった時は、電気自動車にためた電気を住宅に供給します。

 電気自動車に搭載されている蓄電池を利用することで、わざわざ新たに蓄電池を買わなくても、余剰電力を自家消費できるようになります。

 このほか、太陽光発電の新規参入者に対して、パネルの設置代金や総発電量の3割を無料で自家消費できるサービスを提供する企業もあります。

 このように、2019年問題に関しては、様々な企業がビジネスチャンスに変えています。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。エリアは問いません。ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

太陽光発電2019年問題をビジネスチャンスに その1

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 地球温暖化対策の一つとして太陽光発電が注目を集めたことで、太陽光による創電を始める家庭が増えました。

 ところが、最近、太陽光住宅では2019年問題が心配されています。

 期限を間近に控える2019年問題とは何でしょうか。

 ことの発端は、2009年に始まった「太陽光発電の買取制度」にあります。

 これは、太陽光発電の普及を促すための施策で、個人が住宅で創電したうちの、余った電力(余剰電力)を電力会社が買い取るという制度です。

 ただ、買い取りの価格保証には期限があり、価格は1キロワット時48円で10年間買い取ると決まりました。

 2019年には、2009年の開始から10年が過ぎ、買い取り義務保証期間が終了する設備が多く出始めます。

 しかも、2019年以降の買い取り価格は、従来の48円から10円台と4分の1に下がるとみられています。

 結果、太陽光で発電した電力は売らずに全て自家消費したほうが良いと考える家庭が生じることが予想されます。

 また、太陽光発電の魅力が薄れ、新たに始めようとする人が少なくなることも予想されます。

 鳴り物入りで参入者が増えた太陽光発電事業ですが、2019年問題をきっかけに衰退してしまう可能性がささやかれています。

 ただ、2019年問題に対しては、皆が不安を漏らすだけではありません。

 企業の中には、問題を乗り切るために新たな製品やサービスを展開している会社が数多くあります。

 具体的には、電力の自家消費に関連した商品の開発や、太陽光発電を新規に始めやすくするサービスなど、2019年問題はむしろ太陽光発電事業にとってビジネスチャンスととらえ、取り組む姿が見受けられます。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

2018年5月8日火曜日

【時事解説】中小企業のBCP策定に向けた課題と支援策 その2

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 中小企業庁では、BCPの策定・運用に必要な考え方を、事例なども交えわかりやすく解説した支援ツールとして「中小企業BCP策定運用指針」を提供しています。

 同指針では中小企業のBCPの策定及び継続的な運用の具体的方法がわかりやすく説明されています。

 同指針は「入門・基本・中級・上級」という4つのコースに分かれており、策定者が自分のレベルに合わせてBCP策定に取り組むことが可能となっています。

 特に「入門コース」は、BCPを初めて検討する方のために、策定に最低限必要な項目に絞り、解説に従って様式に記入していくことでBCPが作成できるように工夫されています。

 また、中小企業庁からは、被災中小企業者のヒアリング結果と事業継続の検討に参考となるポイントを抽出した災害対応に関する事例集も公表されています。

 日本政策金融公庫では、「中小企業BCP策定運用指針」に則り、自ら策定したBCPに基づき防災に資する施設等を整備する際に対象となる特別貸付「社会環境対応施設整備資金」を提供しています。

 さらに、平成29年度予算では、BCP策定等の検討を行う中小企業の実態を把握しつつ、ワンストップで対応する経営支援体制の整備を図ることを目的とした「BCP関連の専門家等派遣事業」が行われています。

 具体的にはBCP策定に係る知識の不足により最初の一歩が踏み出せない中小企業に対してBCP関連の専門家等を派遣し専門的見地からの支援が行われています。

 このように中小企業のBCP策定に向けた意識の向上、スキル・ノウハウや人材の不足を補うために様々な取組みが行われているのです。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。エリアは問いません。ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

【時事解説】中小企業のBCP策定に向けた課題と支援策 その1

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 近年わが国では大地震、集中豪雨など従来の予想を超える規模の自然災害が多発しており、リスク管理の重要性が増しています。

 こうした中、中小企業において、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の策定が求められています。

 BCPとは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃等の緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、緊急時における事業継続のための方法、手段等を取り決めておく計画のことです。

 BCPを策定し運用することにより、危機対応能力の向上に加え、取引先との関係強化や、自社の経営実態の把握や経営管理の再確認によって企業価値の向上につながるというメリットがあります。

 しかしながら、「中小企業白書(2016年版)」によると、BCP策定を「策定済み」と回答した企業の割合は中小企業全体で15.5%である一方で、64.4%が「策定していない」と回答しており、中小企業においてはBCPの策定状況が低いのが実態です。

 また、従業員規模が小さな企業ほど「策定済み」と回答した企業の割合が低くなっています。

 BCPを策定していない企業にその理由を確認すると、「スキル・ノウハウ不足」、「自社では特に重要ではない」、「人手不足」が高い割合となっています。

 このように、経営資源に乏しい中小企業のBCP策定を促進するには、BCPを策定することのメリットや重要性を中小企業が認識するとともに、スキル・ノウハウや人材の不足を補うことができるような支援体制を強化することが求められるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

2018年5月7日月曜日

(後編)国税庁:2016事務年度の海外取引法人等に対する調査事績を公表!

(前編からのつづき)

 A社に対しては、6年分の法人税申告漏れ所得4億5,300万円について1億5,700万円を追徴課税しました。

 一方、経済取引の国際化に伴い、企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化するなか、国税庁では非居住者や外国法人に対する支払(非居住者等所得)について、源泉所得税の観点から、重点的かつ深度ある調査を実施しております。

 外国法人に対する工業所有権等の使用料や人的役務提供事業の対価などの支払について、源泉徴収を行っていなかった事例も多く見受けられました。

 2016事務年度では、給与等や使用料、人的役務提供事業などについて国際源泉所得税の課税漏れを1,556件(前年度比1.9%増)見つけ、42億5,300万円(同75.0%減)を追徴課税しました。

 国際源泉所得税の非違の内訳(追徴本税額2,000万円以上)は、「使用料」に係るものが30%を占めて最多、以下、「人的役務提供事業」が26%、「給与等」が18%、「不動産賃貸等」が10%、「利子・配当」が8%、「不動産譲渡」が4%となりました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年3月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:2016事務年度の海外取引法人等に対する調査事績を公表!

 国税庁は、2016事務年度の海外取引法人等に対する調査事績を公表しました。

 それによりますと、2016事務年度(2017年6月までの1年間)において、海外取引法人等に対する調査は1万3,585件(前事務年度比4.1%増)行われ、そのうち24.5%に当たる3,335件(同0.8%減)から海外取引等に係る非違を見つけ、2,366億円(同2.5%増)の申告漏れ所得金額を把握しました。

 そのうち500件(同14.2%増)は、租税回避行為など故意に不正計算を行っており、その不正所得金額は206億円(同23.4%増)にのぼりました。

 調査事例として、架空経費を計上して不正資金を海外に送金していた工場用機械装置を設・製造・販売するA社があり、国外送金等調書を端緒に調査した結果、A社は知人のY国のBと共謀し、架空の業務委託費を計上して捻出した簿外資金をX国にあるB名義の個人口座に送金していたことが判明しました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年3月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年5月6日日曜日

(後編)2016事務年度の消費税不正還付申告法人に対する調査事績を公表! 国税庁

(前編からのつづき)

 大阪国税局管内で特殊器具の加工・製造を営むA社は、消費税の還付申告内容に不審点があったため、調査を実施した結果、A社は国内取引を輸出取引に仮装する手口で、不正に消費税の還付を得ようとしていることが判明しました。

 その結果、A社に対しては3年間分の消費税について1,900万円(加算税込み、重加算税含む)が追徴税額されました。

 なお、2016事務年度における法人消費税の調査は、法人税との同時調査で9万3千件(前年対比3.4%増)の実地調査を実施し、そのうち5万5千件(同4.8%増)に非違があり、追徴税額は785億円(同39.0%増)、1件あたり84万円(同34.5%増)となりました。

 また、実地調査のうち約16%にあたる1万5千件(同6.5%増)は不正計算があったことから、292億円(同90.0%増)を追徴課税し、不正1件あたりの追徴税額は192万円(同78.5%増)にのぼりました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年3月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。エリアは問いません。ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

(前編)2016事務年度の消費税不正還付申告法人に対する調査事績を公表! 国税庁

 国税庁は、2016事務年度の消費税不正還付申告法人に対する調査事績を公表しました。

 それによりますと、2016事務年度(2017年6月までの1年間)において、消費税還付申告法人6,867件(前年対比8.1%減)に対して実地調査を実施し、消費税296億1,500万円(同94.6%増)を追徴課税しました。

 調査件数6,867件のうち約12%にあたる802件(前年対比5.0%増)は不正に還付金額の水増しなどを行っていたとして、127億9,900万円を追徴課税しました。

 消費税還付申告法人に対する追徴課税の推移をみてみますと、2014事務年度は約77億円(不正に係る追徴税額11億円)、2015事務年度は約152億円(同約30億円)、そして2016事務年度は約296億円(同約128億円)となっております。

 調査事例をみてみますと、多額の還付申告に着目し、不正還付を解明したケースがあがっております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年3月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年5月5日土曜日

法定相続情報証明制度とは

◆所有者不明の不動産が増加中

 近年、相続が発生しても新しい所有者へ所有権を移転させる相続登記が行われず、所有者不明の不動産が増加していることが社会問題になっています。

 この問題を解消するため、様々な取り組みが検討されていますが、昨年から始まった「法定相続情報証明制度」もそのひとつです。

◆法定相続情報証明制度とは

 被相続人が死亡し相続が発生した場合の手続きは、相続登記だけに限りません。

 金融機関における預貯金・有価証券の名義変更や払戻手続き、保険請求手続きなど、相続にまつわる手続きは様々です。

 これらの各種手続きを行うためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など、相続関係を証明する資料一式を、手続きの都度原本で提出しなければならず、相続人にとって大きな負担になっていました。

 こうした負担を軽減し、相続登記を促進しようと始まったのが「法定相続情報証明制度」です。

 相続人が法務局に相続関係を証明する戸籍謄本や必要書類とともに、相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出すると、以降は、法務局がこの図の写しを戸籍上の法定相続人の証明書として発行してくれるというものです。

 この証明書を各種相続手続きに利用することにより、相続人や金融機関等の負担軽減につながることが期待されます。

◆今後さらなる改善の見込み

 しかしながらこの証明書、現状は被相続人の子について、実子・養子の別や続柄については基本的に記載せず「子」としてのみ表示されている点など、情報量の不足も指摘されており、現在、記載内容等の見直しが進められています。

 既に法務省による意見募集が終了しており、今後さらなる改善が見込まれています。

 戸籍謄本など相続関係を証明する資料一式が必要な相続手続きを、複数の機関で行う場合に、できるだけ費用をかけず、かつできるだけ短期間で行えるのがこの制度のメリットです。

 制度を有効活用し、相続手続きの負担をできるだけ最小限にとどめたいですね。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。エリアは問いません。ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

ビザ更新中の注意点

◆ビザは原則更新が必要

 外国人の方が日本に滞在するために必要な資格、いわゆる「ビザ」には、一部の種類を除いて有効期間(在留期間)が設けられています。

 1年から5年程度の期間が多く、滞在の継続を希望する場合は、在留期間満了前に、ビザの更新を行わなくてはなりません。

 更新の申請はおおむね在留期間満了の3か月前から受け付けられますが、お仕事などがあると、平日にしか開庁していない入国管理局へ行く時間がなかなか取れないこともあります。

 ついつい期間満了の直前に更新、というのもあり得る話です。

◆審査中に在留期間を過ぎてしまったら

 ビザの更新には平均で数週間から1か月程度の審査期間を要します。

 更新の申請は受け付けられたものの、もしも審査を待っている間に在留期間を過ぎてしまった場合、どのように取り扱われるのでしょうか。

 この場合、特例として、審査が終了し結果が言い渡される日か、在留期間の満了日から2か月を経過する日のどちらか早い日まで、元のビザのまま日本に適法に滞在することができるとされています。

 たとえば、会社の外国人従業員がビザの更新を行ったものの、審査が期間満了日までに終了しないというケースであれば、満了日から最大2か月までは、元の就労ビザのまま勤務を継続することができるということです。

◆ビザ更新申請中の出国

 更新申請中であっても、再入国制度を利用して日本を出国、再入国することが可能です。

 これは審査中の特例を受けている期間であっても同様です。

 ただし、この2か月の特例期間は延長することができません。

 また、更新結果の受取は、外国人本人が日本にいるときでなければなりません。

 万が一、出国した状態で期間満了日から2か月を過ぎてしまうと、元のビザでは日本に戻ることができず、改めて新規の入国手続きを行うことになってしまいます。

 こうなると、新規の入国手続きが完了するまで再び就労することができず、会社にとって大きな損失となりかねません。

 ビザ更新の時期と海外出張や一時帰国などの予定が重なる場合は、出国期間と再来日の予定に十分注意する必要があります。


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2018年5月4日金曜日

成人年齢引き下げで変わる税制

 成人年齢を20歳から18歳に引き下げることを柱とする民法改正案が閣議決定されました。

 2018年度の与党税制改正大綱の「検討事項」には税制についても「民法に合わせて要件を18歳に引き下げることを基本」とすると記載されており、20歳を境界線にしている税制が見直される可能性は高いとみられます。

 20歳を境界線にしている税制には相続税の「未成年者の税額控除」があります。

 財産の取得時に20歳未満の人は相続税額から一定額を控除できるというもので、控除額は満20歳になるまでの年数1年につき10万円。

 17歳5カ月の人なら20歳になるまでの期間を「3年」(1年未満の期間は切り上げ)で計算し、控除額は30万円となります。

 仮に民法改正に合わせて税制が「満18歳になるまでの年数1年につき10万円」と変更されたとすると、控除額は10万円にまで下がることになります。

 ただし、未成年者控除制度を「20歳未満の者の税額控除」などと変更し、控除額をこれまでと同様とする可能性もあります。

 実際、例えば飲酒年齢を規定する「未成年者飲酒禁止法」は、法律名を「ニ十歳未満の者の飲酒禁止に関する法律」に改め、民法改正後も20歳未満の飲酒を禁止とする予定とのことです。

 贈与時の税負担を減らす「相続時精算課税制度」も見直しの対象です。親や祖父母から贈与を受けても2500万円まで贈与税は無税となる同税制は、現行では20歳以上の子どもが利用できるものですが、今後は2年早く利用することが可能となるかもしれません。

 証券投資にかかる税金を非課税にする「NISA」にも影響が出ます。

 これまでは20歳以上の人が利用できるのはNISA、20歳未満はジュニアNISAとされてきましたが、今後は18歳が境界線になると見られています。

 なお、成人年齢の引き下げを盛り込んだ改正民法は2022年4月1日に施行されます。


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「酒、茶、塩」、地租改正時の物品税の候補は?

 税務大学校は「税の歴史クイズ」として、明治6年の地租改正の際に物品税の課税候補に挙げられた物品につき、煙草と材木のほかに、①酒、②茶、③塩のいずれが候補だったかを問う三択クイズを出題しています。

 明治政府は地租改正の際、当初の地租の税率を地価の3%としたうえで、今後「物品税」が整備されて歳入が増えれば税率を1%に減税する方針を示しました。

 物品税の課税候補には、煙草と材木とともに茶が挙げられたそうです。

 つまり冒頭のクイズの答えは②です。

 税務大学校によると、緑茶はアメリカでコーヒーの代用品として飲用されていたため、「当初は将来有望な課税物品とみなされていた」ということです。

 ただし、物品税が課税されたのは煙草だけで、茶と材木には課税対象外とされました。

 なお地租の税率は明治10年に2.5%まで引き下げられました。その後、明治政府は明治17年に地租条例を公布し、地価の2.5%に固定されました。

 税の歴史クイズは社会と税の関わりをクイズ形式で紹介するコンテンツ。

 2カ月に1回のペースで税務大学校のホームページに問いが追加されています。

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2018年5月3日木曜日

認定先端設備等に係る償却資産税の特例措置の創設(その2)

2 労働生産性

労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)/労働投入量(注)
 (注)労働者数又は労働者数に一人当たり年間就業時間を乗じたものとされます。

3 中小企業者等(措法42の4⑧六)

 「中小企業者等」とは、中小企業者又は農業協同組合等で青色申告書を提出しているものとされます。

 このうち、「中小企業者」とは、資本金の額等が1億円以下の法人のうち、次に掲げる法人以外の法人又は資本等を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人とされます。

①その発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上が同一の大規模法人(注)の所有に属している法人

②上記①のほか、その発行済株式等又は出資の総数又は総額の3分の2以上が大規模法人(注)の所有に属している法人
(注)大規模法人とは、資本金の額等が1億円を超える法人又は資本等を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。

Ⅲ 先端設備等の取得価額要件(新地方令)

 前述したⅠの本特例の適用を受ける場合には、「一定の規模以上の先端設備等」を取得等して、国内にあるその法人の事業の用に供する必要があります。

 この場合における取得価額要件は、次に掲げるとおりとされます。

①機械装置:1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
②工具・器具及び備品:1台又は1基の取得価額が30万円以上のもの
③建物附属設備:一の取得価額が60万円以上のもの

おわりに

 本特例は、国の同意を受けた市区町村から先端技術等導入計画の認定を受ける必要がありますが、その認定に際しては認定経営革新等支援機関による事前確認が義務付けられていますので留意して下さい。

 また、経営力向上設備等に係る償却資産税の特例制度は、平成31年3月31日の適用期限の到来をもって廃止されます(平成30年度地方税附則15)。

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認定先端設備等に係る償却資産税の特例措置の創設(その1)

はじめに

 中小企業の業績は徐々に回復傾向にあるようですが、労働生産性は伸び悩んでおり、大企業との差も拡大しています。

 また、中小企業が所有している設備は老朽化が進んでおり、生産性向上に向けた足枷となっています。

 そこで、平成30年度税制改正では、地域の中小企業者等による設備投資の促進に向けて「生産性向上特別措置法」の規定により、市町村が主体的に作成した計画に基づき行われた設備投資に対して、償却資産税が軽減される特例措置(いわゆる認定先端設備等に係る償却資産税の特例措置、以下「本特例」といいます。)が創設されました。

 そこで、本稿では、本特例の概要と実務上の留意点について解説することとします。

Ⅰ 制度の概要(平成30年度地方税附則)

 中小企業者等が、生産性向上特別措置法の施行の日から平成33年3月31日までの期間(以下「適用期間」といいます。)内において、同法に規定する市町村の導入促進基本計画に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた認定先端設備等導入計画に従って取得された機械装置、工具(測定工具及び検査工具に限ります。)、器具備品及び建物附属設備(家屋と一体となって効用を果たすものを除きます)(以下「機械装置等」といいます。)に対して課される固定資産税の課税標準は、その機械装置等に対して新たに課されることとなった年度から3年度分の固定資産税に限り、その機械装置等に係る固定資産税の課税標準となるべき価格にゼロ以上2分の1以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額とされます。

Ⅱ 用語の定義

1 先端設備等(平成30年度地方税附則、生特法36①)
 「先端設備等」とは、商品の生産若しくは販売又は役務の提供の用に供する施設、設備、装置又はプログラムであって、次に掲げる要件を満たすもの(工業会等が証明書を発行)とされます。

①販売が開始された時期に係る要件
 それぞれの指定設備の属する型式区分ごとに販売が開始された時期に係る要件に該当するものであること。

イ.機械装置:10年以内
ロ.工具:5年以内
ハ.器具備品:6年以内
ニ.建物附属設備:14年以内

②生産性向上要件
 旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するものであること。



2018年5月2日水曜日

(後編)国税庁:2016事務年度の譲渡所得調査事績を公表!

(前編からのつづき)

 土地建物等については、同2.6%減の2万437件の調査を実施し、このうち73.0%にあたる1万4,910件(同2.5%減)から総額1,114億円(同1.7%減)の申告漏れ所得金額が把握されました。

 事例では、譲渡物件に居住していなかったにもかかわらず「居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例」を不正に適用していたAのケースがあがっております。

 同特例は、居住用財産の譲渡について、一定の要件を満たす場合、譲渡所得から最高3千万円までを控除できるもので、Aは不動産の譲渡所得について、同特例を適用して申告していましたが、実際の居住状況を確認するため調査が行われました。

 当初Aは、譲渡物件の所在地で住民登録をしていたことや自ら電気・水道等の契約をしていたことを根拠に譲渡物件に居住していたと主張しましたが、その後の調査で実際には譲渡物件に居住していない事実が判明しました。

 Aは少しでも税金を安くするため、住民票を異動させるなどして居住していたように装っており、Aに対しては申告漏れ所得金額約3,000万円に対し、重加算税を含む約700万円が追徴課税されました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年3月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:2016事務年度の譲渡所得調査事績を公表!

 国税庁は、2016事務年度の譲渡所得調査事績を公表しました。

 それによりますと、2016事務年度(2017年6月までの1年間)において、譲渡所得調査が2万6,872件に対して行われ、そのうち75.7%にあたる2万353件から1,494億円の申告漏れが把握されました。

 前事務年度に比べて、調査件数は0.2%増、申告漏れ等の非違件数は2.1%増とともに増加しましたが、申告漏れ所得金額は3.5%減となりました。

 申告漏れ割合については、前事務年度から1.4ポイント増加の75.7%となり、調査1件あたりの申告漏れ所得金額は556万円(前事務年度は578万円)となりました。

 調査の内訳をみてみますと、株式等譲渡所得については、前事務年度比10.2%増の6,435件の調査を実施し、このうち84.6%にあたる5,443件(前事務年度比17.0%増)から総額381億円(同8.5%減)の申告漏れ所得金額が把握されました。

(後編へつづく)

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2018年5月1日火曜日

(後編)国税庁:2016事務年度の富裕層に対する調査事績を公表!

(前編からのつづき)

 その結果、約90%に当たる478件(同3.7%増)から137億円(同18.5%減)の申告漏れ所得金額を把握し、41億円(同4.7%減)を追徴課税しました。

 調査事例をみてみますと、自動的情報交換資料等の活用から海外の預金に係る申告漏れを把握したケースがあがっております。

 調査対象者Aは、自動的情報交換資料により、海外の預金に係る多額の利子が生じていたことが判明しましたが、その利子が申告されていないと想定されたため、調査に着手した結果、AはX国の銀行に多額の預金を保有し、その預金から生じた利子や海外所有の不動産の売却益が申告漏れとなっていました。

 また、Aは3億円以上の国内財産、5千万円超の国外財産を保有しているにもかかわらず、財産債務調書及び国外財産調書を提出していなかったため、各調書の提出を求め、提出を受けるとともに、国外財産に係る加算税を5%加重し賦課しました。

 Aに対しては、3年間での申告漏れ所得金額約9,300万円について、追徴税額約2,900万円(加算税込み)を賦課しました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年3月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。エリアは問いません。ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

(前編)国税庁:2016事務年度の富裕層に対する調査事績を公表!

 国税庁は、2016事務年度の富裕層(有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な者など)に対する調査事績を公表しました。

 それによりますと、2016事務年度(2017年6月までの1年間)において、前年度比4.3%減の4,188件の富裕層に対する実地調査が行われ、同14.5%減の申告漏れ額441億円を把握しました。

 富裕層に対する所得税調査の結果、調査件数の約81%に当たる3,406件(前年度比2.1%減)から何らかの非違を見つけ、その申告漏れ所得金額は441億円(同14.5%減)で、加算税を含め127億円を追徴課税しました。

 1件あたりの申告漏れ所得金額は1,054万円(同10.6%減)、追徴税額304万円(同11.4%増)となりました。

 また、近年資産運用の国際化が進んでいることから国税当局では富裕層の海外投資等にも着目しており、同期間中にも海外投資を行っていた533件(前年対比5.7%減)に対して調査しました。

(後編へつづく)

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