2017年12月31日日曜日

女性の就業率過去最高

 政府は平成29年版「男女共同参画白書」を閣議決定しました。

 これは男女共同参画基本法に基づき作成している年次報告書で、今年は女性活躍推進法施行後の現状と課題を挙げています。

 同白書によると平成28年の15歳から64歳の女性の就業率は66.0%で過去最高となりました。

 これは男女雇用機会均等法が施行された昭和61年(1986年)の53.1%から13ポイント上昇したことになります。

◆地域別の就業率は?

 都道府県別で見ると、平成27年時点の女性の就業率は福井県74.8%が最も高く、次いで富山県72.2%、島根県71.8%となっています。

 北陸地方が高い理由としては2世代、3世代が一緒に住んでいる家庭が多いため子育ての負担が軽減でき、出産後も仕事に復帰しやすい環境が整っていること等が挙げられています。

 また、就業率が低いのは奈良県58.5%、兵庫県60.6%、大阪府61.4%となっています。

 福井県と奈良県の差は16.3ポイントもあることから、地域によってばらつきがあることがわかります。

◆海外では北欧が高い

 また、海外諸国とでは日本の女性就業率はOECD(経済協力開発機構)35カ国中16番目(OECD平均58.6%)です。

 最も高い国はアイスランド81.8%。

 以下スイス、スェーデン、ノルウエーが続き、北欧は女性が働きやすい環境が整っている様子が伺えます。

◆2020年までに女性管理職を30%に

 日本の女性管理職の割合は全国平均13.4%です。

 高知県21.8%、青森県20.3%で20%を超えますが、滋賀県、石川県ともに8%と10%未満も6県あります。

 女性活躍推進法が施行されて1年以上たちましたが、政府は2020年までに女性管理職の割合を30%にするという目標を掲げています。

 数字だけ見るとなかなか難しい状況に見えますが、政府は女性活躍の目標設定や情報の見える化をさらに進めていくとしています。

 各企業がどう取り組むのかが問われるでしょう。

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2017年12月30日土曜日

やむを得ない役員給与の改定・変更 臨時改定事由・業績悪化改定

◆やむを得ない役員給与の改定・変更

 法人税法上、損金算入ができる「定期同額給与」「事前確定届出給与」は、職務執行前(定時株主総会)に「あらかじめ支給時期・支給額が定められているもの」に基づき支払われることを前提としています。

 ただ、給与を「先決め」した後に経営環境が変化することは、よくあること。

 そこで、次の「臨時改定事由」「業績悪化改定事由」による改定・変更が認められています。

◆「臨時改定事由」とは

 「臨時改定事由」とは、次の①や②に類する役員給与を変更せざるを得ないやむを得ない事情をいいます。

①役員の職制上の地位の変更
②役員の職務の重大な変更

 ①は役員の分掌変更があったケースです(例えば、社長が任期途中で退任したことにより副社長に就任した場合)。

 この「役員の職制上の地位」とは定款や総会決議等により付与されたものをいい、「自称専務」などは該当しません。

 ②は組織再編成があったケースなどが該当します(例えば、合併法人の取締役で、その職務内容に大幅な変更がある場合)。

 会社の不祥事に当たり役員給与を一定期間減額するケースも、社会通念上相当であれば、定期同額給与の減額改定・増額改定とも臨時改定事由に当たるとされています。

◆「業績悪化改定事由」とは

 「業績悪化改定事由」とは、その事業年度において会社の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する事由をいいます(減額改定のみ)。

 財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕したことのほか、次のような場合が該当します。

(業績悪化改定事由の例)

①株主との関係上、業績悪化等について経営上の責任を問われ減額した場合
②取引銀行との借入金返済のリスケジュール協議で要請され減額した場合
③経営悪化の状況下で取引先等からの信用確保のため、経営改善計画が策定され、役員給与減額が盛り込まれた場合

 これらは、会社の経営上、役員給与を減額せざるを得ない「客観的な事情」(例 主要取引先の倒産やリコール発生により業績悪化が不可避)があるかどうかにより判定します。裁

 決では経常利益6%減の会社が行った減額改定が否認された例があります。


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2017年12月29日金曜日

マイナンバーの連携が本格開始

 国内に居住する人全員に割り振られたマイナンバーの情報を行政機関同士で連携する取り組みが11月中旬から本格的に始まりました。

 児童手当の申請や障害福祉サービスの手続きの際に、役所の窓口で自分のマイナンバーと本人確認書類を提示すると、住民票や課税証明書の提出を省略できるようになっています。

 まず853の手続きで提出書類の簡素化ができ、将来的には年金受給手続きなどにも拡大していく方針とのことです。

 役所の窓口で書類が省略できる申請手続きは、認定幼稚園などの利用申請、児童手当、奨学金、介護休業給付金の支給、児童扶養手当、生活保護、障害福祉サービス、障害者に対する医療費の助成、介護保険の被保険者証交付、介護保険料の減免、公営住宅の入居など多岐にわたります。

 それぞれ従来は住民票や課税証明書、児童扶養手当証書などの添付書類が必要でしたが、マイナンバーと本人を証明する顔写真付きの身分証があれば事足りるようになりました。

 マイナンバー制度を使った行政手続の情報連携は、当初は今年7月にスタートする予定でしたが、システム開発の遅れなどから3カ月延期して「10月予定」になり、再び遅れて11月13日までずれこみました。

 ただし一昨年に100万人を超す個人情報の流出があった日本年金機構は、いまだ情報連携の時期は決まっていないなど、マイナンバー制度のうたう「納税者の利便性向上」の実現はまだまだ道半ばという状況です。

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2017年12月28日木曜日

森林環境税、個人住民税に上乗せ案

 市町村の森林整備を支援する財源となる新たな国税「森林環境税(仮称)」の制度設計について検討を進めてきた総務省の有識者検討会が、報告書を取りまとめました。

 地方税である個人住民税に定額を上乗せする形で国が課税徴収し、森林保全が必要な市町村や都道府県に「森林環境譲与税(仮称)」の形で再配分する仕組みで、市町村が山林所有者に代わって間伐を行ったり、林業の担い手を育成したりする事業に活用します。

 森林は土砂崩れを抑え、温室効果ガスの吸収などの役割を果たしていますが、近年は地方山間部を中心に、高齢化や人手不足で手入れが行き届かず荒廃も問題となっていました。

 政府内でも数年前から安定財源が要望されてきており、今年4月に設置された検討会が具体的な制度設計の検討を進めていたところです。

 ただ、森林や水源保全を目的とした同様の税制は、高知県など37府県と横浜市が実施済みで、国が新税を導入すれば「二重課税」になるとの指摘もあります。

 報告書はこの点について、「(政府が構築を進める)新たな森林管理システムの下で市町村が整備に携わるための財源に充てられるため、府県の超過課税に取って代わるものではない」とすみ分ける方針を示しました。

 他方、報告書では具体的な税額や導入時期は示されず、与党の議論で詳細を詰めることになります。

 ただ、政府内では個人住民税の納税者(約6200万人)から1人あたり年500円~1千円を徴収する案が検討されており、仮に1千円徴収ならば、年620億円の税収となります。

 導入時期も2019年度から実施する案と、住民税に上乗せ措置がされている東日本大震災の復興などの財源確保措置が終わった後の24年度からとする案が出ている状況です。

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2017年12月27日水曜日

IBM訴訟に見る共謀罪既遂への回路

◆IBM訴訟判決に見るIBMの周到さ

 IBM税務訴訟事件は、米国の世界的大企業による周到かつ超大規模な租税回避スキーム(架空的欠損金の適法的創出)を巡ってのものでした。

 日本国内に新たに用意した中間親会社は、平成21年4月28日に最初の連結納税申告書を提出するものの、その中では、平成14年から平成17年までの欠損金を損金としない内容の申告としており、納税を済ませたのちに、「更正の請求」を行い、欠損金の損金算入が認められるかどうか様子見をする周到さを発揮しているのに、国税当局は、更正の請求に対して、平成21年5月15日に、欠損金の損金算入を認める更正処分をあっさりと出した上で、その後税務調査を行い、平成22年2月19日にその損金算入を否認しています。

 ここから係争開始です。

◆同族会社の行為計算否認の発動

 当局は、法人税の負担を不当に減少させる行為計算だとして、更正処分をしたのですが、判決を見ると、日本橋税務署長が平成22年2月19日付けで原告に対してした更正処分の最も古いものは、平成14年10月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税についてでした。

 明らかに、5年超の期間について対象としています。

 適法的租税回避行為だとすると、行為計算の不当性の追求を受けても、更正処分の期間制限の壁に阻まれて、5年しか遡及できません。

 5年を超える更正処分をするときは、偽り不正条項の適用となるときです。

◆不当から不正への架け橋

 IBMに対してなされた更正処分が、偽り不正の場合の5年超の期間に対応するものだったとすると、行為計算不当追及が偽り不正追求に転移していることになります。

 すべて適法で、行為計算の不当しか問えなかったとしても、偽り不正の場合の過去7年間の遡及更正をする、という行政の実務がここにあるのだとすると、不当から不正への懸け橋は、確かにあるのです。

◆不当から不正への回路

 不当から不正への回路があるのだとすると、そして、各税法における偽り不正の行為の概念が同一だとしたら、テレビや新聞で、節税行為が共謀罪に該当する、と言っていたことが、正しかったことになります。

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2017年12月26日火曜日

消費税調査、ターゲットは不正還付

 国税庁が2016年7月~17年6月に実施した法人税関係の実地調査の件数は、法人税で9万7千件、消費税で9万3千件と、ともに前年から微増しました。

 受け取った消費税より支払った消費税が多いとして還付申告した法人のうち、不正に還付申告したと調査で認定された法人への追徴税額は128億円に上り、前年から一気に4倍に増加しています。

 国税庁では消費税還付の不正への対応を主要な取り組みとして挙げていて、今後の消費税の還付申告は税務調査のターゲットとなりそうです。

 国税庁の資料によれば、法人税、消費税、源泉所得税のそれぞれで、前年より実地調査件数、非違件数がわずかに増えています。

 そのなかでも特に目立つのが消費税で、実地調査件数は3.4%増にとどまる一方で、不正による追徴税額は前年から138億円増えて一気に90%の増加率を示しました。

 この背景にあるのが、消費税の不正還付です。

 最新の16事務年度(16年7月~17年6月)のデータを見ると、消費税還付を申告した法人に対する実地調査の件数は、前年に比べて9.1%マイナスとむしろ減っています。

 にもかかわらず、不正計算による還付への追徴税額をみると、前年の30億円から一気に4倍増となり、128億円となりました。

 非違件数は前年から減っていることから、不正還付1件当たりが〝大型化〟していることになります。


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2017年12月25日月曜日

「半日調査」が2割増

 国税庁によると、2016年7月~17年6月に実施した所得税の税務調査は64万7144件で、前年からわずかに減少しました。

 そのうち、短期間の実地調査で非違を指摘する「着眼調査」は2万1226件で、前年から2割増えています。

 また文書や電話によって来署依頼をする「簡易な接触」は前年よりわずかに減少したものの、約58万件と調査件数全体の9割を占めました。

 脱税の手口なども複雑化するなかで、短期に集中的な調査を行って実績を上げている状況がうかがえます。

 税務調査の種類は大きく4つに分けられます。

 まず高額、悪質な脱税などに時間を掛けて取り組む「特別調査」があり、これには着手から終了まで数カ月かかることも珍しくありません。

 次に、下調べの上で数日かけて現場で調査を行う「一般調査」があり、税務調査と聞いて思い浮かべるような最もスタンダードな手法がこれです。

 さらに短く、半日ほどの現場調査で終える「着眼調査」があり、この3手法を合わせて、現場に赴く「実地調査」と呼ばれます。

 唯一、実地調査に当てはまらないのが、文書や電話によって来署依頼をするなどの方法によって申告を修正させる「簡易な接触」で、これは税務調査の法的手続きが厳格化された2013年以降、激増しています。

 国税庁によれば、今年6月までの1年間に行われた約65万件の所得税調査のうち、「特別調査」と「一般調査」の合計は4万9012件で、前年より1千件ほど増加しています。

 注目したいのは3つ目の「着眼調査」で、前年1万7973件だったところが、今年は2万1226件と、一気に2割増加しました。

 国税庁は近年になり、重点的に取り組むテーマとして税務調査の〝選択〟と〝集中〟を挙げていて、高額な不正が見込まれる案件には人や時間などのリソースを大量投入する一方で、それ以外の軽微な不正については省力化を図っていくというメリハリ化に取り組んでいます。

 半日程度で終わる着眼調査の増加は、国税のそうした姿勢の表れと言えそうです。


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2017年12月24日日曜日

風俗業が申告漏れワーストの2千万円

 事業所得の申告漏れ金額が最も高いのは「風俗業」で、2年連続ワーストだった「キャバレー」を抜き3年ぶりに首位になったことが国税庁の調査実績報告で明らかになりました。

 ここ数年はこの2業種がワーストを争っている状況です。

 2016事務年度の所得税の税務調査で発覚した「風俗業」の申告漏れ所得は平均2083万円(追徴税額519万円)、「キャバレー」は1667万円(同318万円)。

 3位の「プログラマー」は1178万円(同175万円)なので、上位2業種の申告漏れ金額はほかを大きく引き離していることがわかります。

 そのほか、「畜産農業(肉用牛)」、「防水工事」、「ダンプ運送」、「型枠工事」、「特定貨物自動車輸送」などが続きました。

 現金商売であるキャバレーと風俗業は、受け取った現金を売上帳簿に載せずに課税を免れる不正が多く、申告漏れ所得が高額な業種の常連となっています。

 実際、過去10年間ではともに4回ずつワーストという状況でした。

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2017年12月23日土曜日

国税庁:ICTやAI活用した「税務行政の将来像」を公表!

 国税庁は、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)を活用した約10年後の「税務行政の将来像」を公表しました。

 これは、情報システムの高度化、外部機関の協力を前提として、現時点で考えられる税務行政の将来のイメージを示したものです。

 実現に向けて、e-Taxの使い勝手の改善等を通じた申告・納付のデジタル化の推進により、納税者の利便性の向上とともにデータ基盤の充実を図り、AI技術等を取り入れながら、段階的に取り組んでいくとしております。

 この背景には、ICTやAIの進展、マイナンバー制度の導入、マイナポータルの本格運用、個人投資家の海外投資や企業の海外取引増加など経済社会のグローバル化、厳しい財政需要による国税職員が減少傾向の一方で、所得税申告件数や法人数等の増加、国際的な租税回避への対応や富裕層に対する適正課税の確保、大口・悪質事案への対応のため、マンパワーの重点的投入の必要があるとみられており、ICTやAIの活用による納税者の利便性の向上と税務行政のスマート化を図ることが将来像にあります。

 納税者の利便性の向上では、マイナポータルを通じて、納税者個々のニーズに合った「カスタマイズ型の税情報の配信」、メールやチャットなどによる相談・回答、AIを活用した相談内容の分析と最適な回答を自動表示する「税務相談の自動化」、確定申告や年末調整に係る情報のマイナポータルへの表示による手続きの電子化、国と地方への電子的提出のワンストップ化、電子納税等の推進など「申告・納付のデジタル化」を目指すとしております。

 また、課税・徴収の効率化・高度化では、「申告内容と財産所有情報との自動チェック」による申告漏れ等の迅速な把握、)是正が必要な誤り事項等を納税者に自動連絡するなど、納税者等に電子メール等により接触を図る「軽微な誤りのオフサイト処理」、AIを活用したシステムによる、精緻な調査必要度判定や納税者への最適な接触方法と要調査項目、優先着手滞納事案の選定等の提示など「調査・徴収でのAI活用」を進めるとしております。

 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2017年12月22日金曜日

小規模宅地特例に照準

 貸付用不動産にかかる相続税を最大5割減らせる「小規模宅地の特例」の適用条件が厳しくなりそうです。

 会計検査院は特例が本来の趣旨に沿わないかたちで利用されていることを指摘し、国に制度の見直しを求めました。

 会計検査院が公表した資料には、小規模宅地の特例を利用して税負担を大幅に減らした相続人の事例が紹介されています。

 Aさんは不動産貸付業に使われていた約200平方メートルの土地の半分を相続。特例を利用して課税価格を半額の2579万9800円に減らし、その土地にかかる相続税額を大幅に圧縮。

 そしてAさんは、申告期限の1カ月半後に土地を6450万円で売却しました。

 Aさんの一連の行為は現行制度の枠内で行われているものですが、会計検査院は「問題あり」という判断を下しています。

 Aさんの利用法は制度の本来の趣旨にそぐわないと見ているためです。

 小規模宅地の特例の趣旨は、居住用または事業用の建物がある土地に重い税金をかけられてしまうと、納税資金を確保するためにその不動産の売却を迫られ、生活や事業のための場所から離れることを余儀なくされるおそれがあるため、税負担を軽減するというものです。

 検査院が特に問題視したのは、不動産貸付業に使われていた土地を相続して特例を利用した人が、その事業を短期で辞めてしまっている点です。

 宅地を手放さずに済むようにする目的の特例が、相続後すぐに売却した人に適用されていることを検査院は問題と見ているわけです。

 検査院の指摘は国の施策に多大な影響を与えます。

 これまでどおりの制度内容だと趣旨にそぐわないケースでも使われていると国に判断され、来年以降の税制改正で新たな適用条件が付け加えられる可能性は十分あります。


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民事調停手続の利用

◆民事調停は最も身近な裁判手続

 取引先や顧客との間でトラブルが生じたとき、まずは話し合いで穏便かつ早期に解決することが最良の方法です。

 もっとも、当事者のみの話し合いでは、話が前進しないこともあるでしょう。

 当事者間では、つい感情的になったり、客観的な視点を持てずに適切な解決内容を見失ってしまったりすることがあるためです。

 そのようなとき、信頼に足る第三者が入って話し合いを進める制度の一つとして、身近に利用できる「民事調停」という裁判所の手続があります。

 裁判所の手続といっても、訴訟のように当事者が主張や証拠を出し合って裁判所が最終的な判決を下す、というものではありません。

 裁判官1名と調停委員2名が当事者の間に入り、事案に応じた円滑な解決を目指して話し合いを進める柔軟な手続です。

◆実際の申立方法や審理の内容

 民事調停の申立てを行うには、申立書を作成して簡易裁判所に提出します。

 申立書の内容も複雑なものではありません。

 現在、裁判所のホームページに申立書の書式が掲載されていますので、これに記入する形で簡単に申立書が作れます。

 申立費用も訴訟に比べて安価ですし、法廷で公開されるものではありませんので、第三者に知られたくない情報も安心して話すことができます。

 また、裁判と言えば弁護士を思い浮かべるかもしれませんが、話し合いによる解決制度ですので、弁護士に依頼せず本人のみでの対応が十分可能です。

 調停委員会の許可を得れば、従業員でも代理人になることができるため、代表取締役本人が出席しなくても良いというのも民事調停のメリットです。

◆調停成立の効果

 話し合いがまとまり、合意に達した場合には、合意内容を記載した調停調書という書面が作成されます。

 調停調書は確定判決と同様の効果が得られますので、相手方が調停調書に記載された債務を履行しなかった場合には、強制執行が可能となります。

 他方で、民事調停が不成立となった場合にも、大きなデメリットはありません。

 その場合には、話し合いによる解決は諦め、訴訟をするか否かを検討すればよいのです。

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2017年12月21日木曜日

今ならぎりぎり間に合う師走節税

 自分の年間所得額が分かるこの時期は、所得から控除できる支出を増やして納税額を抑えることを検討するタイミングでもあります。

 自分が所有者として住んでいた家屋もしくは過去に住んでいた家屋を売ると、譲渡所得から最高3千万円まで控除可能な特別控除制度を利用できます。

 過去に住んでいたマイホームでこの特別控除を適用するには、住まなくなってから3年が経過する年の12月31日までに売ることが条件。

 すなわち、平成26年以降住んでいない家の売却は、今年売るのと来年売るのとでは税金が大きく変わることになります。

 また、貸し出し事業用の建物の修繕費用は所得から控除できるので、アパートが老朽化していて水漏れや外壁の剥離などの問題があるなら、年をまたがずに年内に修繕することで節税につながります。

 ただし、資産価値の向上や建物の利用期間延長のための工事費用とみなされれば、資産の種類ごとに決められた年数に応じて少しずつ償却する「資本的支出」となり、駆け込み節税としての効果は弱まります。

 生命保険や地震保険の1年分の保険料をこの時期に支払うと、来年分も含めて所得控除の対象になります。

 個人事業主であれば退職金積み立て制度「小規模企業共済」も選択肢に加えられることになります。

 このほか、ふるさと納税を利用すると、寄付額から2千円引いた残額を所得税や個人住民税から差し引けます。

 税金の還付や控除を受けられる枠は年が明けるとリセットされるので、今年分を来年に持ち越すことはできません。


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金地金の密輸が前年比1.6倍

 全国の税関当局が2016年7月~17年6月の1年間に摘発した金地金の密輸事件は前年度比1.6倍の467件で、過去最悪を記録したことが財務省の発表で明らかになりました。

 密輸事件は消費増税後に急増していて、日本の税制を悪用した闇ビジネスの実態が浮かび上がります。

 金の密輸事件は2014年の消費税率引き上げを境に急増。

 13年度は8件でしたが、増税後の14年度に177件、15年度に294件と急激な右肩上がりとなっています。

 16年度の467件は3年前の58倍という異常な伸び率で、脱税額でみても3100万円から8億7千万円にまで増えている状況です。

 金は世界共通の価格で売買されていますが、日本での売買には消費税がかかるため、例えば1億円の金塊を外国で購入し、日本で売ると1億800万円を受け取れます。

 そのため海外から金を持ち込む者には、税関であらかじめ消費税分8%を納めることを義務付けていますが、入国時に申告せずに税関をすり抜け、日本国内の買い取りショップに持ち込んで利ザヤを抜く〝ビジネス〟が横行。消費増税によって利ザヤが大きくなっていることから密輸が急増しているというわけです。

 税関を抜けるための手口は様々で、粘着テープで足の裏に金を張り付ける者や、ブレスレットやベルトのバックルに加工して持ち込む者、キャリーバッグのハンドル部分に隠す者が摘発されています。

 そのため今後は、空港などに設置する金属探知機やエックス線検査装置の台数を増やすことが検討されているそうです。


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2017年12月20日水曜日

時事解説】北朝鮮の電磁波攻撃への備え

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 朝鮮半島の緊張が高まる中、北朝鮮の軍事関連のニュースが頻繁に報じられています。

 弾道ミサイルや水素爆弾などの兵器が使われると多大な損害が生じると予想されます。

 なかでも、最近よく耳にするのが電磁波攻撃です。

 ミサイルや水素爆弾などと比べると、どのようなものなのかあまり知られていません。

 電磁波攻撃は人体に対して、影響はないとされてはいますが、他方で電力や交通、通信等、社会インフラに重大な影響を及ぼすため、他の攻撃とは性質が異なります。

 具体的にどのような影響が出てくるのか、知識が皆無であると、実際に攻撃があった場合、著しい混乱をきたすことにもつながります。

 電磁波攻撃というのは、上空で爆発を起こして電磁波を発生させるものです。

 電磁波は機器の誤作動や破壊をもたらすので、強力な電磁波が上空から地上に到達すると、広範囲に悪影響が及びます。

 具体的には、コンピュータなどの電子機器が誤作動し利用できなくなります。

 また、大量の電流が電子回路に一気に流れ、機器が破壊されることもあります。

 場合によっては、発電設備が破壊され停電に至ることも考えられます。

 ほか、鉄道や電話、インターネットなど、さまざまな社会インフラが破壊され、利用できなくなります。

 私たちの日常は、電気が当たり前のように利用でき、携帯電話、インターネット、時刻通りに到着する鉄道など、便利なものに囲まれて生活しています。

 ただ、これら精密機器は戦争で敵国から強力な電磁波を受けることを想定して作られているわけではありません。

 電磁波攻撃は便利になった現代社会の脆弱性を狙った攻撃だといえます。

 北朝鮮の軍事関連ニュースでは、弾道ミサイルや核実験などの報道をよく耳にします。

 加えて、最近、警戒されているのが電磁波攻撃です。

 上空で発生させた強力な電磁波を地上に降らせ、社会インフラなどを機能不全にするものです。

 専門家によると、交通機関の混乱や停電が数カ月続く可能性もあるといいます。

 最悪のケースでは食糧や水不足に陥ることが予想されます。

 電磁波攻撃が注目されるきっかけは北朝鮮が声明で触れたことが挙げられます。

 識者の中には、北朝鮮が電磁波攻撃を実施できるだけの兵力を有するかどうか、懐疑的な見方もあります。

 とはいえ、米国では電磁波攻撃への対策はしっかりと講じられているといいます。

 日本はどうでしょうか。

 これまで、電磁波攻撃についてはあまり報じられてなかったため、対策が後手に回った部分があります。

 ただ、自衛隊の防衛装備品や通信機器は既に電磁波による破壊を避けるため、金属シェルターなどで、機器や部品を覆い保護しています。

 また、政府は内閣官房や防衛省などの関係省庁を集めて対策づくりに乗り出しています。

 一般の企業ではまだ十分な対策がとられているとはいえません。

 病院や運送会社などは、医療機器やトラックの破壊が人命にかかわることもあるので、しっかりとした対策が必要です。

 ほか、一般の企業でも、実際に攻撃されると、何が起こったのか調べたくても、パソコンやスマホ、テレビが使えなくなり情報を得ることができなくなります。

 そこで、事前に、電磁波攻撃について頭の隅に知識として入れておくことがパニックを防ぐうえで大切になります。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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2017年12月19日火曜日

【時事解説】中小企業の人材確保における3つのミスマッチ

 「中小企業白書2017年版」では、中小企業の人材確保において、①採用手段のミスマッチ、②情報のミスマッチ、③情報伝達・獲得手段のミスマッチが存在することを指摘しています。

 同白書では人材を事業活動の中枢を担う「中核人材」と労働力を提供する「労働人材」とに区分して考察を行っていますが、ここでは「中核人材」に着目してみていきましょう。

 まず、採用手段のミスマッチとは、中小企業が有効と考える採用手段と、求職者が有効と考える手段との間に存在するミスマッチを指します。

 中核人材の採用にあたって中小企業は「ハローワーク」や「親族・知人・友人の紹介」を有効と考えていますが、求職者側については年齢層が低いほど「就職ポータルサイト」や「企業のホームページ」を重視しています。

 情報のミスマッチとは、中小企業が求職者に対し重点的に伝えた自社の情報と、求職者が重視した企業情報との間に存在するミスマッチを指します。

 例えば「沿革・経営理念・社風」「技術力・サービス力・社会的意義」については中小企業側が重視するほどには求職者側は重視しない傾向にあります。

 情報伝達・獲得手段のミスマッチとは、中小企業が求職者に対し情報を伝えた手段と、求職者が知りたい情報を得るために有効だと考える手段との間に存在するミスマッチです。

 中小企業側が経営者や採用担当者による面談によって情報を伝える一方で、若年層ほど「各種の求人広告」「企業のホームページ」「説明会・セミナー」といった直接的な選考の前段階を重視する傾向にあります。

 このように中小企業が人材確保を円滑に行うには上記の3つのミスマッチを克服することが求められるのです。

 では中小企業が人材確保を円滑に行うためにはどのような取組みが求められるのでしょうか。

 ここでは「中小企業白書2017年版」でも先進事例として取り上げられているクリーニング業者の取組みについてみていきましょう。

 同社の主戦力であるパートタイム従業員の平均勤続年数は10年と長く、高い定着率を誇っています。

 その背景として、業務の平準化を図る生産体制の工夫、育児や介護といった個々の事情を抱えるパートタイム従業員の働きやすさを実現する企業風土、従業員の能力向上と継続勤務のモチベーションとなる職能等級制度の存在があげられます。

 生産体制の工夫としては、一人の従業員が複数の業務や機械の操作を担当できるよう「多工程・多台持ち」の仕組みを導入しており、従業員同士で互いの業務を補い合い円滑に業務を進めることが可能となっています。

 また、パートタイム従業員を対象とした職能等級制度の構築によって能力に応じた等級に基づき賃金を支給するほか、店長への登用や正社員転換等の制度も設けており、これらの制度を通じてパートタイム従業員の能力向上と継続勤務へのモチベーションアップを図っています。

 上記のような従業員が安心して長く働き続けやすい職場環境の情報は、インターネットや各種メディアに取り上げられるとともに、同社も積極的に求人情報等で情報発信しています。

 その結果、最近では募集人数を大きく上回る応募があるなど、採用の状況も良好です。

 このように働きやすい職場環境づくりを推進しつつ、情報発信を的確に行うことなどによって人材確保が可能となるのです。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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2017年12月18日月曜日

2017年度税制改正:土地の譲渡益に対する重課措置は3年延長へ!

 2017年度税制改正において、重課措置である「土地の譲渡益に対する追加課税制度」の適用停止措置を2020年3月31日まで、また、軽減措置である「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」を2019年12月31日まで、それぞれ3年間延長することが盛り込まれました。

 土地の譲渡益に対する重課措置は、1973年(昭和48年)に、地価の高騰を背景に法人等による土地投機の抑制を図る目的で創設されたもので、同制度は、個人が棚卸資産である土地等又は雑所得の基因となる土地等を譲渡した場合には、所有期間が5年以下の土地等の譲渡による事業所得又は雑所得については、他の所得と分離して、譲渡益の52%(所得税40%+地方税12%)を、譲渡所得は39%(同30%+9%)をそれぞれ重課するものです。

 一方、法人に対する土地の譲渡益については、通常の法人税に加え、所有期間が5年以内の短期所有のものは10%、5年超の長期所有のものは5%が追加課税されます。

 しかし、これらの重課措置は、バブル崩壊以降、地価については長期的な下落傾向にあったため、土地の流動化を通じた土地取引の活性化や有効利用を促進する観点から1998年から停止され、現在も土地取引の停滞が懸念されることから、重課の課税停止措置が延長されたと思われます。

 また、「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」は、一般的に住宅・宅地開発は事業期間が長く、コストやリスク等が高くなっていることから設けられたもので、公的機関等への土地の譲渡を容易にするほか、一定の優良な事業を行う民間事業者等の用地取得を円滑化し、事業に要する期間の短縮化、事業に係るコストやリスクの軽減を図っております。

 同特例は、所有期間が5年を超える土地等の譲渡のうちに、国や地方公共団体、一定規模の土地の造成を行う業者に優良宅地の造成等の譲渡がある場合に限り、税率が軽減されます。

 該当されます方は、ご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。

 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


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2017年12月17日日曜日

副業・兼業をめぐる企業の実態とこれから

 今年の3月に政府の働き方改革実現会議で「働き方改革実行計画」が示されました。

 主な項目は
1、同一労働同一賃金等非正規雇用の処遇改善
2、賃金引き上げと労働生産性向上
3、罰則付き時間外労働の上限規制の導入等長時間労働の是正
4、柔軟な働き方がしやすい環境整備等
が挙げられています。

 上記項目のうち4の柔軟な働き方がしやすい環境整備等の一つとして「副業・兼業の推進」がありますが、この事に関して企業の対応はどうなっているのでしょうか。

◆禁止している企業の割合

 今春に働き方改革実行計画案が発表された時には、経済産業省の研究会報告書の発表では「副業・兼業を禁止している」企業の割合は77.2%でした。

 また、就業規則において禁止している企業が48.0%、「副業・兼業に関する規定自身が無い」企業が39.6%(2017年2月リクルート社調べ)でした。

 しかし最近、ある大手情報通信業が1万8千人いる社員の副業を認める就業規則に変更したことで話題になりました。

 働き方の多様化で新しい仕事を通じて腕を磨き本業に良い影響をもたらしてほしいと言う事です。

◆メリットとリスクの両面から考える

 上記のように副業や兼業に関して否定的な企業や、容認しない事が前提で規定自体が無い企業が多いのが現状です。

 副業については「社内で作ることのできない人脈を作ることができる」と言ったメリットもありますが、社内情報流出や個々人の労働時間の増加と言ったリスクもあります。

◆今後の方向性

 厚生労働省のモデル就業規則も改定予定で副業・兼業について「原則容認」とする方向で改定され、推進のガイドラインが示されるようです。

 企業が規則を作る時には原則容認としても届け出や通知の義務は必要とするかもしれません。

 企業としてはメリットとリスクの両方を勘案し、社員の副業・兼業に対して容認か禁止かどのような考えで臨むのか十分検討する必要があるでしょう。

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2017年12月16日土曜日

個人が固定資産等の取得に伴い支出する租税公課の取扱い

はじめに

 法人税では、固定資産等を購入した際に支出する登録免許税、不動産取得税及び自動車取得税等の租税公課は、損金算入の選択が企業経理に委ねられています(法基通7-3-3の2)。

 しかし、所得税では、これら租税公課の取扱いが業務用資産と非業務用資産で異なります。

 そこで、個人が固定資産等の取得に伴い支出する租税公課の取扱いについて見ていきます。

Ⅰ 業務用資産の場合

 個人事業者が支出した業務の用に供される資産に係る固定資産税、登録免許税(登録に要する費用を含み、その資産の取得価額に算入されるものを除きます。)、不動産取得税、地価税、特別土地保有税、事業所税、自動車取得税等の租税公課は、その業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されます(所基通37-5)。

 なお、「業務の用に供される資産」には、贈与、相続又は遺贈(以下「贈与等」といいます。)により取得した資産を含むものとされます。

Ⅱ 非業務用資産の場合
 
 個人が支出した業務の用に供される資産以外の資産に係る登録免許税(登録に要する費用を含みます。)、不動産取得税等固定資産の取得に伴い納付することとなる租税公課は、その固定資産の取得費に算入されます(所基通38-9)。

Ⅲ 減価償却資産の場合

 個人が支出した減価償却資産に係る登録免許税(登録に要する費用を含みます。)をその資産の取得価額に算入するか否かについては、次のとおりとされます(所基通49-3)。

 なお、減価償却資産には、贈与等により取得した減価償却資産を含むものとされます。

① 特許権、鉱業権のように登録により権利が発生する資産に係るものは、取得価額に算入されます。

② 船舶、航空機、自動車のように業務の用に供するについて登録を要する資産に係るものは、取得価額に算入しないことができます。

③ 上記①及び②以外の資産に係るものは、取得価額に算入されません。

Ⅳ 贈与等の際に支出した費用

 「贈与等により取得した資産の取得費等(所法60①一)」に規定する贈与等により譲渡所得の基因となる資産を取得した場合において、その贈与等に係る受贈者等がその資産を取得するために通常必要と認められる費用を支出しているときは、その費用のうちその資産に対応する金額については、前述したⅠ及びⅢの規定により各種所得の金額の計算上必要経費に算入された登録免許税、不動産取得税等を除き、その資産の取得費に算入することができます(所基通60-2)。

おわりに

 個人が贈与、相続(限定承認に係るものを除きます。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除きます。)によって取得した減価償却資産の取得価額については、その減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみなして計算することとされますので、減価償却費の計算の基礎となる取得価額及び取得時期は、贈与者又は被相続人の取得価額及び取得時期を引き継ぐこととされます(所法60①一,所令126②)。

 この場合における減価償却の方法の選定に関しては、取得価額を計算する場合の「減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみなす」旨の規定は働きませんので留意して下さい(所令120の2①一,所基通49-1)。

 例えば、250%定率法を適用していた減価償却資産を平成24年4月1日以後に贈与を受けた場合には、贈与者が250%定率法による減価償却の方法を適用していても、受贈者において償却の方法を選定していなかった場合には、定額法(個人の法定償却方法)によることとされます。

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住宅ローン控除と租税回避

◆資金に余裕がある人は住宅ローン不可?

 ネットサーフィンしていたら、「租税回避行為に関する一考察」という論文に遭遇しました。

 その論文は、冒頭の部分で、「住宅借入金等特別控除の制度があるが、この制度を利用するために、納税者が、居住用家屋を取得するに当たって、銀行に十分な預金があるにもかかわらず、銀行からの借入によって住宅建設資金を調達し、税額控除を受けた場合、租税回避として否認されるのであろうか」と問いかけをし、その論文の、末尾の部分で、「他に正当な理由がないとすれば、租税回避目的が主たる目的の場合に該当する可能性が大であろう。・・・・住宅借入金等特別控除の制度は税法上の固有概念であり、かつ、課税減免規定であることからすると目的論的解釈からしても否認されることになろう」と書かれていました。

 税務調査にでもなって、先に、資金の余裕は十分という言質をとられてから、偽り不正と指摘されたら、逃げ道を失うことにならないでしょうか。

◆もっと過激に贈与税回避も

 親の預金を担保にした預金連動型住宅ローンだと、預金額より低い住宅ローン残高の金利は0%になり、金利負担がないことになり、毎年の110万円贈与と組み合わせたら、親からの、住宅資金贈与にかかる贈与税課税回避策にもなり、同時に所得税節減策にもなります。

 そうすると、こんなのも勿論、否認される、と言われますね。

◆目的論的解釈って何だ

 全て適法だが、その課税回避行為は制度を濫用している、というのが不当行為計算否認なのに対し、全て適法に見えそうだが、法の趣旨目的に合致することという要件を付加して解釈をすると不適法との結論になる、というのが目的論的解釈です。

 外国税額控除余裕額流用訴訟や旺文社HD訴訟での判決で採用されたと言われています。

 租税法律主義は憲法規範であり、課税要件の法定、課税要件の明確、により課税の予測可能性を確保することを内容としているという原理を踏まえると、条規の文理からは予測できないような解釈になるのは、容易に採用されるべき解釈方法ではない、のではないでしょうか。

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2017年12月15日金曜日

3社に1社が黒字申告

 2016年度に税務申告した全国の法人のうち、黒字と申告した法人の割合は33.2%で前年度(32.1%)より1.1ポイント増となり、6年連続で上昇しました。

 国税庁が10月に発表した法人税の申告事績で分かったものです。

 黒字法人の割合は、08~10年度に3年連続で過去最低を更新しました。

 しかしその後は増加の一途をたどり「3社に1社が黒字」という状況まで盛り返しました。

 また申告所得金額もリーマンショックのあった08年を境に一気に落ち込みましたが、14年度にリーマンショック前の水準を超え、その後も増加を維持している状況です。

 源泉所得税について見てみると、16年度の税額は17兆379億円で、前年度から5.0%減り、7年ぶりに減少に転じました。

 給与所得は2.0%伸びたのですが、配当所得が15.3%減少したことが響いています。

 なお、申告法人286万1千社の所得金額は前年度比3.2%増の63兆4749億円となり、過去最高を記録しました。

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2017年12月14日木曜日

2017年度税制改正:中小企業向け租税特別措置の適用停止に注意!

 2017年度税制改正において、多額の所得があり、財務状況が脆弱とは認められない企業が、中小法人課税の適用対象となっているとの批判をふまえ、一定所得金額を超える事業年度の租税特別措置の適用を停止する措置が盛り込まれました。

 具体的には、「法人税関係の中小企業向けの各租税特別措置について、平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均)が年15億円を超える事業年度の適用を停止する」とされました。

 なお、この停止措置の適用前に適用期限を迎える租税特別措置についても、2018年度以降の税制改正で適用期限が延長された場合には、この租税特別措置の停止措置の適用対象に含まれます。

 また、この適用停止措置について、設立後3年を経過していない等の事由がある場合には、その計算した金額に一定の調整を加えた金額により判定するなどの判定方法が政令により明らかにされております。

 それによりますと、適用停止となるのは、各種租税特別措置適用前の3年以内に終了した各事業年度(基準年度)の所得金額の合計額をその各事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じた金額が「15億円を超える法人」が該当します。

 具体的に、政令から調整事由とそれに対する調整金額をみてみますと、「3年以内に終了した各事業年度」がない、設立後3年を経過していない法人は、基準年度の所得金額の年平均額をゼロとすることができます。

 また、判定する際の所得金額が欠損金繰越控除後の金額とされていることのバランスから、欠損金の繰戻し還付の適用があった場合には、その還付の計算の基礎となった欠損金額相当額を還付対象の基準年度の所得金額から減らす必要があります。

 そして、判定する法人が合併等により設立された場合や、支配関係がある法人を被合併法人等とする合併、休眠法人を合併法人等とする合併が行われた場合には、原則、その合併等に係る被合併法人等の所得の金額を合併法人等の基準年度の所得金額に加算することを明らかにしており、法人の成り代わりによる租税特別措置の適用停止措置逃れを防止するため、基準年度がない場合に年平均額をゼロとする措置は適用されません。

 上記の改正は2019年4月1日以後に開始する事業年度から適用されますので、該当されます方は、ご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年11月13日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


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海外通じた税逃れが続々

 国税当局の調査官が海外資産を持つ人や海外投資をしている人への監視を強めています。

 国税庁の発表によると、昨年度の海外関連の所得税実地調査は3145件。

 そのなかには「どうせバレないだろう」と安易な考えで無申告だった事例もあります。

 会社員Aは海外不動産の譲渡で利益を得たにもかかわらず、税務署にその所得を届け出ませんでした。

 海外での取り引きを把握されることはないだろうとAは高を括っていたわけですが、税務署は国内口座に海外から多額の現金が振り込まれている事実を把握し、何らかの所得が発生していた可能性があると判断しました。

 金融機関を経由した国外への送金や国外からの現金受領が100万円を超えると、金融機関は現金の動きを記した「国外送金等調書」を税務署に提出することになっているのですが、それによってAの海外での所得が発覚したのです。

 また、他国の預金にかかる利子所得を申告していなかったBは、その国の税務当局が日本との租税条約に基づいて利子収入に関する情報を日本の国税当局に提供したことをきっかけに、申告漏れの疑いをもたれて調査を受けました。

 その過程で、海外不動産を売却して譲渡益を得ていたにもかかわらず申告していなかったことが発覚。

 Bは国外に一定の財産を持っている人に提出が義務付けられている「国外財産調書」を提出していなかったため、加算税を5%分加重され、2900万円の追徴税額を課税されました。

 国税当局がいわゆる富裕層の海外資産への課税や監視を強化しているなか、明らかな違法行為である脱税はもちろんのこと、グレーゾーンのスキームにもリスクが伴うことを理解しておきたいところです。

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2017年12月13日水曜日

使用人賞与の損金算入時期

はじめに

 使用人賞与は、原則として実際にその支払が行われた日の属する事業年度において損金の額に算入することとされています。

 ただし、未払賞与については、例外として実際に支払いが行われたものと同様な状態にあるものに限定し、損金算入が認められています。

 そこで、本稿は、使用人に対して支給した賞与の損金算入時期の概要とその実務上の留意点について解説します。

Ⅰ 制度の概要
1 原則(法令72の3①三)
 法人が各事業年度において、使用人に対して支給する賞与のうち、下記2に掲げる賞与以外のものについては、その支払をした日の属する事業年度において損金の額に算入することができます。

2 例外
(1)支給予定日が到来している賞与(法令72の3①一)
 法人が各事業年度において、使用人に対して支給する賞与(使用人兼務役員に対する使用人部分を含みます。以下同じ)のうち、労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来しているもの(使用人にその支給額が通知されているもので、かつ、その支給予定日又はその通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理したものに限ります。)については、その支給予定日又はその通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度において損金の額に算入することができます。

(2)決算賞与(法令72の3①二)
 法人が各事業年度において、使用人に対して支給する賞与のうち、次に掲げる全ての要件を満たすものについては、その支給額の通知をした日の属する事業年度において損金の額に算入することができます。
① その支給額を各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること。
② ①の通知をした金額を通知した全ての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に支払っていること。
③ その支給額につき①の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。

Ⅱ 支給額の通知(法基通9-2-43)
 法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、上記Ⅰ2(2)に掲げる「通知」には該当しないこととされます。

Ⅲ 同時期に支給を受けるすべての使用人(法基通9-2-44)
 法人が、その使用人に対する賞与の支給について、いわゆるパートタイマー又は臨時雇い等の身分で雇用している者(雇用関係が継続的なものであって、他の使用人と同様に賞与の支給の対象としている者を除きます。)とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに上記Ⅰ2(2)に掲げる支給額の通知を行ったかどうかを判定することができます。

おわりに
 上記Ⅰ2(2)に掲げる決算賞与を未払計上する場合には、実際に通知書を作成して使用人に交付し、その写しに使用人の確認印を受けるなど使用人に対する通知の事実を後日立証できる様にすべきでしょう。

 また、①使用人に対して支給額の通知を行ったとしても支給日までに退職した者に対しては賞与を支給しなかったケース、②結果的に退職した者がいなかったため通知した金額を全額支給したケースについても、就業規則などでその通知した支給額について退職者には賞与を支給しないこととされている場合には、その未払賞与は、損金の額に算入することはできません。

 特に、社会保険労務士が作成している就業規則の基本書式を採用している会社においては、税務調査で問題となっているようですので留意して下さい。

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2017年12月12日火曜日

法務省:2018年度税制改正要望を公表!

 法務省は、2018年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、所有者不明の土地が問題視されており、相続登記が未了となっている要因の一つとして、相続登記に係る費用の負担が指摘されることから、相続登記促進のため、登録免許税を免除する特例措置の創設を要望しております。

 法務省では、2017年6月までの不動産登記簿における相続登記未了土地調査を実施しました。

 約10万筆の土地について所有権の登記が受け付けられた年月日を確認し、現在に至るまでの経過年数を調査したところ、最後に所有権の登記がされてから50年以上経過しているものが、大都市においては6.6%、中小都市・中山間地域においては26.6%明らかにされました。

 同様に、民間有識者による所有者不明土地問題研究会の所有者不明土地割合の全国推計結果によりますと、所有者不明土地が全国の20.3%を占め、面積にして九州よりも広い、約410万ヘクタールにのぼるといいます。

 相続登記は義務ではなく、登録免許税等もかかるため、相続時後回しにされ、そのまま長期間放置されて所有者不明土地問題の要因の一つとなっております。

 所有者不明土地への対応は、公共事業用地の取得、農地の集約化、森林の適正な管理など、多くの自治体が直面する課題となっており、所有者不明土地があることで、市町村において事業の中止・中断や対象用地の変更を迫られるなど、土地の利活用の妨げになっております。

 そのため、相続登記が未了のまま放置されている土地又は放置されるおそれのある土地については、登録免許税を免除することにより、所有者不明の土地問題に対応するとしております。

 具体的な特例措置の内容は、下記の適用要件に係る所有権に関する登記の申請について、登録免許税を免除するとしております。

 ①相続発生から30年以上経過している土地に関して当該相続を起因とした登記を申請した場合、当該所有権についての相続登記にかかる登録免許税を免除

 ②課税標準額が一筆当たり20万円以下の土地に関して相続を起因とした登記を申請した場合、その登録免許税を免除

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年10月9日現在の情報に基づいて記載しております。

 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


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2017年12月11日月曜日

給料の9割差し押さえで訴訟

 さいたま市による違法な税金の取り立てで身体的・精神的な損害を受けたとして、市内の男性(68)と長女(38)が市を相手取り、税金滞納差し押さえ処分の無効と慰謝料を求めて計1420万円の国家賠償請求訴訟をさいたま地裁に起こしたことが分かりました。

 男性は1カ月の収入35万円のうち32万円を市に取り立てられたそうです。

 原告側の弁護士によると、税金の違法な取り立てを理由とする訴えは県内初。

 男性は事業の失敗などから負債を抱えて地方税などを滞納。

 納期限を超えても分割して納められる「分納」を申請し、2015年5月ごろから月18万円ずつを納めていました。

 しかし男性側によると、昨年1月ごろに妻が市に虚偽の説明を受けて承諾書を書かされ、以後は32万円を徴収されるようになったとのこと。

 男性は今年6月分までで計448万円を差し押さえられ、長女も15年12月に給料日に口座の残高全てを差し押さえられました。

 男性は生活のために深夜まで働き、そして体調を崩して緊急搬送されました。

 男性側の「市の取り立ては国税徴収法の上限を超えている」との訴えに対し、さいたま市は「訴状を見ていないのでコメントできない」としています。

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2017年12月10日日曜日

国税庁:「契約書や領収書と印紙税」の情報を公表!

 国税庁は、同庁ホームページに「契約書や領収書と印紙税」についての情報を公表しました。

 印紙税は、契約書や手形、領収書などの文書に課税される税金で、文書の作成者が定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、消印することで納付します。

 税額は文書の内容や文書に記載された金額に応じて定められており、例えば「不動産売買契約書(第1号文書)」や「工事請負契約書(第2号文書)、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載された金額に応じて納税額が異なります。

 2017年度税制改正において、租税特別措置法の一部改正により、「指定災害の被災者等に対する災害特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税措置」及び「自然災害の被災者が作成する不動産の譲渡に関する契約書等の印紙税の非課税措置」が設けられました。

 具体的には、金融機関が激甚災害の被災者等に対して行う金銭の特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書のうち、災害発生日から5年を経過する日までに作成されるものについては、印紙税を課さないとしました。

 また、被災者生活再建支援法が適用される自然災害の被災者等が、自然災害により滅失した建物の敷地や損壊した建物を譲渡する場合等に作成する「不動産の譲渡に関する契約書」又は「建設工事の請負に関する契約書」のうち、その災害発生日から5年を経過する日までに作成されるものについては、印紙税を課さないとしました。

 上記の改正は、2016年4月1日以後に作成された各契約書について適用します。

 さらに国税庁ホームページに掲載された情報には、「金銭又は有価証券の受取書」の非課税範囲の拡大が挙がっております。

 これは、「金銭又は有価証券の受取書」について、以前は受取金額「3万円未満」のものが非課税対象とされておりましたが、2014年4月1日以降に作成されたものについては「5万円未満」と非課税範囲が拡大されました。

 そして、「不動産の譲渡に関する契約書」及び「建設工事の請負に関する契約書」のうち、一定要件に該当するものに係る印紙税を軽減する措置が、2018年3月31日まで延長された点も説明しておりますので、該当されます方は、ご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年9月8日現在の情報に基づいて記載しております。

 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


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2017年12月9日土曜日

平成29年度地域別最低賃金

◆最低賃金引き上げ額平均25円で過去最大

 平成29年地域別最低賃金改定額は中央最低賃金審議会で賃上げ額の目安が公表され、各都道府県労働局長の決定により10月1日より順次発令されます。

 改定額を見ていくとAランクの6都道府県は目安通り26円引き上げられ、東京、神奈川に続き大阪も900円を超えました。

 Bランクの11府県も目安通り25円引き上げられ、三重、広島、滋賀、栃木の4県が新たに800円以上。

 一方Cランクは新潟が目安より1円高い25円の引き上げ。

 他の13道県は目安通り24円の引き上げで、北海道と岐阜が新たに800円台に乗せました。

 Dランクでは鳥取、宮崎、沖縄が目安より1円高い23円の引き上げで、高知、沖縄と福岡を除く九州6県が737円で並びました。

◆平成35年度には1000円まで引き上げ?

 最低賃金は近年引き上げの流れが続いていて、時給額のみで表示されるようになった平成14年度には全国加重平均額は663円でしたが、昨年度に初めて800円を超えました。

 政府は全国加重平均で最低賃金3%程度引き上げ1000円を目指しており、このままですと平成35年度には1000円に達する事になり、中小企業には重い負担となってきます。

 平成29年の改定額は以下の通りです。

A.26円改定
東京 958円 大阪 909円 愛知 871円 千葉 868円 神奈川956円 埼玉 871円

B.25円改定
茨城 796円 京都 856円 静岡 832円 三重 820円 滋賀 813円 栃木 800円 長野 795円 富山 795円 広島 818円 兵庫 844円 山梨 784円

C.24円改定
北海道810円 宮城 772円 群馬 783円 新潟 778円 石川 781円 福井 778円 岐阜 800円 奈良 786円 和歌山777円 岡山 781円 山口 777円 徳島 740円 香川 766円 福岡 789円

D.22円、23円改定
青森 738円 秋田 738円 岩手 738円 山形 739円 福島 748円 愛媛 739円 高知 737円 島根 740円 鳥取 738円 長崎 737円 佐賀 737円 熊本 737円 大分 737円 宮崎 737円 鹿児島737円 沖縄 737円


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2017年12月8日金曜日

日本証券業協会等:2018年度税制改正要望を公表!

 日本証券業協会、投資信託協会及び全国証券取引所協議会は、2018年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、家計の自助努力による資産形成を支援するための税制措置や世代間の資産承継を円滑化するための税制措置等を求めております。

 家計の自助努力による資産形成の支援では、一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAが、国民の中長期的な資産形成手段として幅広く普及・定着するよう要望しております。

 現行、非課税期間5年の終了時には一般口座への移管が原則とされ、特定口座に移管を行う際には、証券会社等に移管依頼書(書面)の提出が必要となっておりますが、これを特段の手続きなしに特定口座への移管を原則とするなどの口座開設や勘定変更及び非課税期間終了時の移管等に係る手続きの簡素化や、ジュニアNISAの払出し制限の緩和及び贈与税の基礎控除額の特例等の措置を講じることなどを挙げております。

 また、NISA制度が国民の安定的な資産形成に資する恒久的な制度となるよう、確定拠出年金や財形貯蓄同様に根拠法(NISA法)を制定することを挙げております。

 さらに口座開設期間の恒久化、非課税期間の恒久化、スイッチング(取得した上場株式等の売却代金の範囲内での他の上場株式等の再取得)を認めること、NISAに係る制度の一本化を検討する場合には、現行のNISA制度の更なる活用を前提とすることなどを挙げております。

 世代間の資産承継を円滑にするための税制措置としては、上場株式(ETF及びREIT等を含む)及び公募株式投資信託の相続税評価額の見直しや、急激な経済環境の変化に伴う株価変動リスク等を考慮し、上場株式並びに公募株式投資信託について、相続発生から相続税の申告までの間に著しく価格が下落した場合には、下落後の価格を相続税評価額とする救済措置を講じることなどを求めております。

 その他、市場への継続的な成長資金の供給を促進するための税制措置として、金融所得課税一体化の促進等や上場株式等の譲渡損失の繰越控除期間(現行3年間)の延長、配当の二重課税排除の徹底や投資信託・投資法人制度等の拡充などを図ることが盛り込まれております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年10月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


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2017年12月7日木曜日

日本商工会議所:2018年度税制改正に関する意見を公表!

 日本商工会議所は、「2018年度税制改正に関する意見」を公表しました。

 それによりますと、中小企業の活力を最大限引き出す税制の整備が必要として、団塊世代の経営者が大量引退期を迎える「大事業承継時代」を乗り切るための税制措置の抜本的拡充、所得拡大促進税制や少額減価償却資産の特例の拡充のほか、商業地等に係る固定資産税の負担調整措置の見直しへの反対などを主張しております。

 中小企業の価値ある事業を次世代に承継し、新たな挑戦を促す税制の実現のため、主に
① 諸外国並みの事業承継税制の確立
② 事業承継のために後継者へ自社株を生前贈与した場合は、大幅な評価減・軽減税率を適用
③ M&Aを後押しするインセンティブ税制の創設
④ 所得拡大促進税制の複雑な適用要件の緩和・拡充
⑤ 中小企業の生産性向上に資する、少額減価償却資産の取得価額の損金算入制度の拡充・本則化を掲げました。

 上記①では、成長に必要な経営人材の登用を制限する代表者要件・筆頭株主要件等の見直しや、事業環境の変化への対応を制限する事業継続要件の見直しなどを、③では譲渡所得税の特別控除特例などを、④では教育訓練費等の対象化を要望しております。

 さらに地域活性化や企業の生産性向上・活力強化に資する税制措置として、商業地等に係る固定資産税の負担調整措置の見直しに反対しております。

 また、域内消費を喚起する中小企業の交際費課税の特例の延長・拡充、e-TaxとeLTAXの統合・連携強化による申告・納税手続きのワンストップ化の推進、申告受付時間の拡大(土日祝日・年末)、外形標準課税の中小企業への適用拡大など中小企業の経営基盤を毀損する税制措置への反対などを主張しております。

 そして、消費税率引上げに伴う課題として、持続可能な社会保障制度の確立や少子化対策の充実・強化のため、2019年10月の消費税率10%引上げを確実に実施することや、中小企業に過度な事務負担を強いることになる軽減税率・インボイス制度は導入すべきではないこと、軽減税率の導入はゼロベースで見直すとともに、インボイス制度は、廃止を含め、慎重に検討すべきことなどを求めております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年10月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



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2017年12月6日水曜日

契約書の作成意義とは

◆契約書がなくても契約は成立する

 契約について『合意書や契約書がない場合でも合意や契約は有効か』という疑問が浮かびます。

 民法では、契約は当事者間の意思の合致により成立するとされています。

 例外として、金銭消費貸借契約の場合に意思の合致だけではなく実際の金銭の交付がなければならない、保証契約は書面等によらなければならないなどの特例はありますが、原則としては、書面がなくても契約の「申込」(発注)と「承諾」(受注)の意思表示が行われた時点で契約は成立するようです。

◆なぜ契約書を作成するのか

 それでは、なぜ契約書を作成する必要があるのでしょうか。

 それは、主として、後々、紛争や裁判になった際に、契約締結の有無、また、契約内容や合意事項を証明することができるようにするためです。

 この点、契約書でなくとも合意内容を示すものであればよいため、メールやFAXのやりとりなども契約書に代わる証拠として有効となることがあります。

 取引の相手に契約書の作成をお願いしにくい、という場合には、単なる口頭合意だけではなく積極的にメールなどで合意内容を残しておくと役立ちます。

 とはいえ、契約書は社長などの最終決裁者がその内容を確認したうえで押印していることが前提となりますので、やはりメールよりはるかに高い証明力を有します。

◆契約書に何を書くか

 契約書の作成は面倒、と思われる方も多いかもしれません。

 しかし、実は互いの債務の内容を特定して記載するだけの契約書でも多くの紛争を予防できます。

 このとき、「誰が」「誰に」「いつ」「何を」「どうするか」を具体的に記載します。

 例えば、売買契約書であれば「甲は乙に対し、平成29年10月1日までに、商品〇〇を引き渡す。」「乙は甲に対し、平成29年10月末日までに、売買代金として〇〇円を支払う。」のように債務の内容を具体的かつ明確に特定して記載します。

 これだけでも、トラブルが起こった際にどちらが契約違反をしているかが明確になり、紛争の拡大を防止することができるのです。


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平成29年分年末調整の留意点

 年末調整の時期となりました。

 この年末調整は、毎月の給料や賞与から源泉徴収をした税額と、その年の給与の総額について納めなければならない税額とを比べ、その過不足額を精算する手続です。

 この手続により、大部分の給与所得者は、改めて確定申告をする必要はなくなります。

◆給与所得控除額の改正

 今年の改正は、給与所得控除額の改正のみで、その内容は、給与収入1,000万円超の場合の給与所得控除額は220万円が上限とされたことです。

 この改正に伴い、年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表も改正されています。

◆平成30年分の扶養控除等(異動)申告書(以下、同申告書)

 ところで、同申告書の提出は、年の最初の給与等の支払いを受ける日の前日までに給与等の支払者に提出することになっていますが、実務においては、前年の年末調整の際に同申告書を受理することも多々あります。

 この同申告書ですが、平成30年分から配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額の改正に伴って、同申告書の記載欄に、源泉控除対象配偶者、同一生計配偶者の欄が加わり、平成30年1月以降の給料等の支払いの際には、配偶者が源泉控除対象配偶者、また、同一生計配偶者が障害者に該当する場合には、それぞれ扶養親族の数に一人を加えて源泉徴収することになりました。

 そこで、源泉控除対象配偶者、同一生計配偶者の該当者の要件について留意が必要となります。

 前者は居住者の合計所得金額が900万円以下で生計を一にする配偶者の合計所得金額が85万円以下の人、後者は居住者の合計所得金額には制限がありませんが、生計を一にする配偶者の合計所得金額が38万円以下の人です。

 いずれも青色事業専従者等は除かれます。

 なお、これら合計所得金額ですが、同申告書を提出する日の現況により判断することとなります。

 年末調整の際に提出を受ける同申告書の記載欄を今一度確認しておきましょう。

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2017年12月5日火曜日

今年2度目の育児・介護休業法改正

◆2017年1月からの改正

 この10月より育児・介護休業法の改正されました。

 改正は今年2度目となりますが、まず1月に改正された内容を振り返ってみましょう。

 1月からの改正点は妊娠、出産、育児期や家族の介護が必要な時期に男女ともに離職する事なく働き続けられるように仕事と育児の両立を目指して次の8点が見直されました。

①介護休業の分割取得
②介護休暇・子の看護休暇の取得単位緩和
③介護の為の短時間勤務等取得条件の緩和
④所定外労働免除請求は介護終了時迄可能
⑤有期契約労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
⑥介護休業等の対象家族の範囲の拡大
⑦育児休業の対象となる子の範囲の拡大
⑧マタハラ、パタハラ防止措置の義務付け

◆10月からの改正点

 上記に引き続き10月の改正では子が保育園に入所できず退職を余儀なくされる事態を防ぐため、以下の3点が改正されます。

①最長2歳まで育児休業の再延長が可能に
②出産予定の労働者や配偶者がいる人に育児休業等の制度の周知の努力義務
③育児目的休暇制度導入の促進の努力義務

 1年に2度の改正が行われるのは大変異例なことですが、政府が推し進める「働き方改革」の中でも育児・介護による離職の防止は重要なキーワードとなっており、対策が急がれています。

◆政府の対策と社内整備

 待機児童問題に関しては2013年からは様々な措置が行われてきました。

 これにより保育利用率は年々上昇しているものの待機児童はなお2万人を上回る水準で推移しています。

 1億総活躍社会の実現として多様な働き方を認める制度や法改正は今後も続くでしょうが法改正の趣旨は法律遵守だけが目的ではなく、働く人の意識を高め能力を最大限に生かし限られた時間で成果を作りだす生産性の高い組織となる事でしょう。

 法改正規定の整備だけでなく柔軟な労働時間や休暇制度等も組み合わせて従業員全体の満足度にも資する制度でありたいものです。



2017年12月4日月曜日

人気職業YouTuberの実態とは?

 子どもが将来なりたい職業に変化が起きています。

 従来、人気職業ランキングの上位には、スポーツ選手やお医者さん、女子ですとケーキ屋さんなどが常連でした。

 ところが、近年ではYouTuber(ユーチューバー)がランクインするようになり話題となりました。

 YouTuberとは、動画投稿サイト、YouTubeに自分で制作した動画を公開する人をいいます。

 投稿する動画はさまざまです。

 「○○をやってみた」など、自身が興味を抱いたことを実行し、顛末を撮影するものが定番としてあります。

 最も有名なYouTuberの一人、ヒカキン氏は商品の紹介をよく投稿しますが、投稿により商品の売上が伸びるといわれています。

 また、同氏が動画内で座っていたソファーが話題となり、同じ型のものを買う人が現れるくらい、影響力を有しています。

 また、マックスむらい氏は、ゲームを実際にプレイし実況する動画が人気で有名になりました。

 ほかにも、はじめしゃちょー氏など、有名なYouTuberがたくさん生まれています。

 YouTuberの主な収入源は広告収入です。

 動画を観た人が、動画の横にあるインターネット広告をクリックすると、動画を投稿した人にお金が振り込まれる仕組みになっています。

 また、人気YouTuberになれば、企業とのタイアップも収入源となります。

 もちろん、動画投稿だけで生活できるのは、ごく一部ですし、収入の額は動画の再生回数や広告の単価に左右されるので不安定なのが現状です。

 それでも、なかには年収が1億円を超える人も現れ、「YouTuberは好きなことをして稼げる」として子どもたちの間で夢の職業となりました。

 最近、子どもの将来なりたい職業に、上位ランクインして話題となったYouTuber。

 具体的にどのようにして収入を得ているのでしょうか。

 数年前、動画投稿サイトが広がりを見せたころは、投稿で収益を得るシステムは確立されていませんでした。

 2011年、YouTubeでは、一定の条件を満たす人を対象に、動画を閲覧した人がインターネット広告をクリックすれば、投稿者は広告収入を得られるシステムを設けました。

 ただ、これは、動画を観てもらうだけでは収入になりませんが、隣にある広告をクリックしてもらえれば収入になります。

 動画再生の回数が多いほど、広告のクリック回数も増えるので、結果、広告収入も増えるようになります。

 このほか、有料閲覧のシステムや、企業とのタイアップで企業からタイアップ料をもらうといった収入を得る仕組みもあります。

 また近年は、UUUM(ウーム)株式会社といった、YouTuberを対象とした事業(YouTuberのマネジメント、動画制作サポート)を営む会社も現れました。

 この会社は、人気YouTuberのヒカキン氏などが所属し、彼らの制作サポート、スケジュール管理などをしています。

 ほか、マックスむらい氏は、人気ゲームを自身でプレイし、実況する動画が人気です。

 友人とともにゲーム関連会社を興し、同氏が役員を務める会社は2015年に東証マザーズ市場に上場しています。

 YouTubeはもはや趣味だけでなく、ビジネスの場にもなっています。

 しかし、UUUMのように、事業を展開する会社はまだ数多くありません。

 ということは、YouTuberをめぐるビジネスの分野はチャンスがまだ多く残っているという見方もできます。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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2017年12月3日日曜日

個別労働紛争件数から見る紛争と解決

◆平成28年度個別労働紛争件数は高止まり

 今年も厚生労働省から「平成28年度個別労働紛争解決制度の施行状況」が6月に発表されましたが、総合労働相談件数は113万741件で前年に比べると9.3%増となりました。

 件数が100万件を超えるのは9年連続であり、高止まりしています。

 労働相談制度を知る人が増え、相談者も黙っていないで職場に改善を求める動きも広がってきている事が背景にあるようです。

◆「いじめ・嫌がらせ」が問題のトップ

 中でも大きな問題となっているのが「いじめ・嫌がらせ」です。

 民事上の個別労働紛争の相談件数(7万917件)、助言指導の申出(2206件)、あっせんの申請件数(1643件)のすべてでトップになりました。

 「いじめ・嫌がらせ」は近年、毎年労働紛争のトップ理由であり問題視されています。

 これは「ハラスメント」と同じものと考えられます。

 例えば厚生労働省の「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」(今年4月公表)においても3人に1人が「パワーハラスメントを受けた経験がある」との結果が示されていて、企業での対策は必至となっています。

◆労使紛争防止の為に

 最近は「個別の労働者対企業」のトラブルがマスコミに取り上げられ、企業イメージが損なわれると言った事も起きています。

 ハラスメントをめぐる紛争を防ぐためにはトラブルを未然に防ぐ適切な対策を講じる事が大切でしょう。

 パワハラの予防・解決に向けた取り組みを行っている企業で働く従業員は、パワハラを受けたと感じる比率や心身への影響があったとする比率が相対的に低くなる傾向にあります。

 この取り組みにより職場環境が変わる、対話が活性化する、休職や離職者が減る等の付随効果も見られるようです。

 パワハラの予防・解決の為の効果が高い取り組みとして「相談窓口の設置」「管理職・従業員向け研修の実施」を挙げている企業が多く、相談窓口を設置している企業は73.4%と言われています。

 このように複数の取り組みを実施する事が職場環境改善に繋がっています。

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2017年12月2日土曜日

所有者不明の土地を公共利用

 全国で400万ヘクタール以上あるといわれる所有者不明の土地をめぐり、国土交通省は、新たに「利用権」を設定して、所有者の同意を得なくても公益性のある事業に利用できるようにする新制度を創設する方針を明らかにしました。

 来年の通常国会に特別措置法案を提出することを目指します。

 国交省の案は、所有者不明の土地を使いたい自治体や民間業者が都道府県知事に申請し、地元の市町村などの意見を聞いた上で明確な反対が出なければ、知事の裁定に基づき土地の利用を認めるというもの。

 5年程度の期限を定め、期限到来時にも所有者が現れなければ、利用権を更新します。

 利用目的は公園や広場、文化施設など公益性のある事業を想定しているとのことです。

 問題は、土地を利用してしまってから、本来の所有者が現れるケースです。

 国交省の案では、利用期間の賃料に相当する額を供託しておくことに加えて、所有者の同意を得られた時には利用を継続し、得られなければ原状回復して土地を明け渡すそうです。

 しかしすでに文化施設などが建ってしまっているものを原状回復するというのは現実味に乏しく、地元の理解を得られないケースも考えられます。

 複数人の土地にまたがっている時には調整が難航することも考えられ、個人の土地を都道府県が利用権の名のもとに〝徴用〟することにもなりかねないだけに、慎重な議論が必要となりそうです。

 不動産の権利登記は、相続などで所有者が変わっても名義変更の義務はないため、資産価値が低い山林などの不動産を相続した人は相続登記をせず、被相続人名義のまま放置することがあります。

 数十年が経って代が変わると、不動産登記を調べても本来の所有者が分からないケースも多く、公共事業の際の用地買収の障害となっています。


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2017年12月1日金曜日

【時事解説】商工会・商工会議所による中小企業支援

 中小企業の経営環境が厳しさを増す中、中小企業支援機関への期待が高まっています。

 中小企業支援機関の中でも商工会・商工会議所は、古くから全国の市町村において、地元に根差した中小企業支援を行っており、中小企業にとっては、幅広い相談に応じてくれる存在として認識されています。

 『中小企業白書2014年版』においては、商工会・商工会議所について聴取したアンケート調査の結果が示されており、まず、その強みについては、「地域に密着した『顔の見える』支援」、「幅広い相談に対応可能」、「小規模企業支援のノウハウを持っていること」などといった回答が多くなっています。

 一方で、商工会・商工会議所の課題については、「財源の不足」、「指導人員の不足」、「経営指導員の能力の差異」、「専門的知識の不足」などといった回答が多くなっています。

 こうした中、経営指導員の能力向上に向けて人材育成に取り組む事例もみられています。

 例えば、滋賀県商工会連合会では2009年度から県内22の商工会の職員に関する「人事制度改革」を本格的に実施し、経営指導員の能力向上に向けた取組みを推進しています。

 具体的には6段階の階級を整備してそれらに基づいた人事評価を行い、処遇や次年度に取り組む業務に反映させています。

 また、経営支援に必要な専門分野を8つ設定し、それらを年間に2分野ずつ、研修等による知識習得と現場での実践を組み合わせながらマスターしていく仕組みを構築しています。

 このように商工会・商工会議所では、経営指導員の能力向上のための研修制度の充実や、財源や人員不足を補完するための他の専門的な支援機関との連携が求められているのです。

 では商工会・商工会議所では具体的にどのような支援が行われているのでしょうか。

 ここでは千葉県の木更津商工会議所の経営指導員による薬局の事業展開支援の取組みについてみていきましょう。

 木更津市で「エンゼル薬局」を経営する薬剤師が仕事を通じて地域住民の健康増進に取り組む中、無農薬、無添加で育てる市観光ブルーベリー園のブルーベリーを活用することに着目し、特産品のブルーベリーを活用したゼリーである「きさポン・ブルーベリーゼリー」を開発しました。

 このゼリーは一般的な市販のゼリーに比べ、ビタミン、カルシウム、ナイアシンなどといった多くの栄養素を含んでいます。

 こうした栄養素の高さなどが評価され、このゼリーは市立小中学校11校の給食で月1回ずつ提供されるなどの販路開拓にこぎつけました。

 今後は学校給食用への販路を木更津市周辺に向けて拡大したり、高齢者用、一般用の商品を新たに開発して販路を広げたりする方針です。

 こうしたゼリーの開発及び販路開拓には、木更津商工会議所の中小企業診断士資格を保有した経営指導員の支援が深く関わっています。

 商品化にあたっては、経営指導員のサポートによってちば農商工連携事業基金を活用することができました。

 また、千葉県の経営革新計画の承認を受けることで、公的支援の幅を広げることも可能となりました。

 このように商工会・商工会議所では、事業者の事業計画策定を支援しつつ、地方自治体や他の支援機関の支援制度の活用につなげるなどして、中小企業の製品開発・販路開拓の支援を行うことで、地域の中小企業の支援において中核的な役割を果たすことが求められているのです。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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2017年11月30日木曜日

農林水産省:2018年度税制改正要望を公表!

 農林水産省は、2018年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、2017年度与党税制改正大綱を踏まえ、市町村が主体となって実施する条件不利地域の森林の整備等に必要な財源に充てるため、都市・地方を通じて国民に等しく負担を求めることを基本とする森林環境税(仮称)の創設を恒久措置として求めております。

 2017年度与党税制改正大綱において、「市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、個人住民税均等割の枠組みの活用を含め都市・地方を通じて国民に等しく負担を求めることを基本とする森林環境税(仮称)の創設に向けて、地方公共団体の意見も踏まえながら、具体的な仕組み等について総合的に検討し、2018年度税制改正において結論を得る」とされておりました。

 森林環境税には、地球温暖化対策としての観点があり、我が国の地球温暖化対策に関する総合計画である「地球温暖化対策計画」では、我が国の地球温暖化対策の目標として、2030年度に26.0%減(2013年度比)の水準、2020年度は3.8%減(2005年度比)以上の水準にするとされております。

 森林吸収源については、2030年度に2.0%、2020年度に2.7%以上の確保を目標とするとしております。

 そのため、森林整備等(間伐、主伐後の確実な再造林、木材利用の拡大など)の森林吸収源対策を今後とも着実に推進し、森林吸収量目標を達成するために、森林整備等の森林吸収源対策を着実に実施していく必要がありますが、必要な事業費の全てが確保できておらず、安定的な財源の確保が課題となっており、森林吸収源対策等に関する安定財源確保の新たな仕組みとして、森林環境税(仮称)を創設する理由があるとしております。

 毎日フォーラムでは、「地球温暖化の影響か、豪雨による土砂災害が毎年のように繰り返されている。

 その原因の一つが森林機能の低下という。適切な整備を怠れば、森林は荒れ、山の保水力は失われ、土砂崩れや河川の増水などが起きやすくなるというのだ。

 そこで、今、検討が進むのが森林整備の財源を確保するための『森林環境税』である。年末の税制改正で導入が決まるか注目される」としております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年10月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2017年11月29日水曜日

金融庁:2018年度税制改正要望を公表!

 金融庁は、2018年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、所得税法上の生命・介護医療・個人年金の各保険料控除の最高限度額を5万円(現行4万円)に、保険料控除の合計適用限度額を15万円(同12万円)に拡充することを要望しております。

 少子高齢化の急速な進展等により、社会保障制度の見直しが進められていくなかで、国民が安心できる生活保障の水準を確保するために、公的保障とともに私的保障の重要性が高まっており、国民の自助努力を税制面から支援・促進する生命保険料控除制度を拡充する必要があるとしております。

 より一層の自助努力が求められている一方で、生命保険の世帯加入率は長期的に低下傾向にあり、1997年の93.0%から2015年は83.1%へと低下し、世帯主が30 歳未満の若年層においては、加入率が同88.6%から66.3%へと急速かつ大幅に低下している模様です。

 また、生命保険については、「遺族保障」として年間約3兆円の死亡保険金が支払われ、公的保障を補完しておりますが、国民が加入している死亡保険金額は、望ましいと考える死亡保険金額に比べておよそ6割程度となっております。

 そのため、金融庁は今後、若年層を中心に国民全体の私的保障の準備不足が懸念されるところ、国民の自助努力を税制面から支援・促進する生命保険料控除制度を拡充していく措置が必要との考えを示しております。

 2015年の生命保険料控除適用者数は、民間給与所得者数4,348万人のうち3,123万人(71.8%)が、制度拡充後は3,290万人(75.7%)に、申告所得者数633万人のうち502万人(79.8%)が、制度拡充後は529万人(83.6%)をそれぞれ見込んでおり、両者を合計しますと、2017年の3,625万人から3,819万人に増えるとみております。

 金融庁では、民間調査会社によるアンケート調査結果も示し、回答者の約7割が、生命保険料控除制度が拡充された場合、生命保険への加入もしくは加入を検討したいと回答し、制度の拡充によって生命保険への加入インセンティブは高まると予想しております。

 また、回答者の約7割が生命保険料控除制度の拡充が自助努力の促進につながると考えており、制度拡充は自助努力の喚起を推し進めるものと期待しております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年10月2日現在の情報に基づいて記載しております。

 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2017年11月28日火曜日

移転価格税制は、特殊な世界・秘密情報の宝庫

◆移転価格税制の価格の決め方

 移転価格税制は、資本関係等がある関連者間の取引価格の操作により、特定の関連者の得るべき所得が他国の関連者に移転することを防止するためのものです。

 一般的には、売買価格の操作で、より高い税率国の所得をより低い税率国の関連者に移転させることを防ぐものです。

 価格操作されないように、取引価格は、第三者との間であればこの金額になるであろうという金額の「独立企業間価格」でなければならないとされています。

 この独立企業間価格の捉え方は、各国の税制で規定されます。

 わが国の税法では、①「独立価格比準法」、②「再販売価格基準法」、③「原価基準法」の基本三法と、④取引単位営業利益法、⑤利益分割法の中から最も適切な方法を選定することにより算定するとされています。

◆移転価格専門チームの特殊性

 移転価格の仕事は、相手先国の税制にも精通していなければならないことから、通常、国際会計事務所の独擅場となっています。

 また、移転価格税制を担当する部署のメンバーは、税務の専門家というよりも、むしろ経済の専門家集団(経済学修士も少なくない)であり、高額利用料のデータベースを駆使して、膨大な英語文書を読みこなす能力(=英語を母国語とするメンバーも多い)が求められます。

 そのため、税理士法人でありながら、他の部署とは違った特殊な雰囲気があるといいます。

◆移転価格資料は秘密情報の宝庫

 かつて国際会計事務所に務めていた税理士によると、情報の保秘も半端じゃないそうです。

 業務の進捗管理や請求時間の把握には、会社ごとに顧客コードを設定し、業務ごと(=法人税申告、税務コンサルティングなどの内訳別)に関与したメンバーが業務日報に入力して管理するシステムが通常のやり方です。

 しかしながら、移転価格業務の場合、「プロジェクトイエロー」や「インディゴ」「ターコイズ」などの色の名前でプロジェクト管理し関与者以外はどこの会社のどんな業務が行われているのか社内でもわからないしくみであるようです。

 また、入退室がセキュリティカードで管理されている執務スペースの中でも鍵のかかった保管庫で機密保持を徹底しているとのことです。

 他社には真似のできない飲料の製造方法や薬の製造方法が移転価格算定の重要要素ですので、最上の保秘が求められるということですね。

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2017年11月27日月曜日

健康診断の受診は労働時間か

◆健康診断の種類

 労働安全衛生法(第66条)では使用者は労働者に対し健康診断を実施する事が義務付けられています。

 このうち1年以内ごとに1回実施しなければならないのが定期健康診断(労働安全衛生規則第44条)です。

 定期健康診断と雇い入れ時の健康診断(同第43条)等を合わせて「一般健康診断」と言います。

 またこれとは別に有害物質を取り扱う業務の従事者に対して実施が義務付けられている「特殊健康診断」があります。

◆受診時間と労働時間

 健康診断の受診時間が労働時間に当たっているかどうかは、その労働者がその時間使用者の指揮命令下にあるかどうかが判断碁準となります。

 一般的に特殊健康診断は業務の遂行に基づいて実施されるべきもので所定労働時間内に行われるのが原則とされています。

 一方で一般健康診断は使用者が労働者の一般的な健康の確保を図ることを目的として実施を義務付けたもので業務遂行との関連において行われるものでないと考えられています。

 この事から特殊健康診断の受診時間については業務関連性から見て使用者の指揮命令下におかれた労働時間であり、一般健康診断は必ずしも使用者の指揮命令下にある労働時間であるとは言えない事となります。

 一般健康診断は所定労働時間内に実施すれば賃金を支払うのが通常でしょう。

 業務の都合で所定労働時間外や所定休日に受診した場合、賃金の支払い義務はありませんが考慮は必要でしょう。

◆健康診断の費用負担

 健康診断費用について労働安全衛生法では触れていません。

 通常は健康診断実施義務の課されている事業者が負担するべきであるとされています。

 健診機関に出向く場合は交通費等は健診に要する費用とされると解釈されています。

 しかし使用者が指定した医師や機関でなく労働者自ら選択した他の医師や機関の場合はその受診時間は使用者の指揮命令下にある時間ではないので、使用者はその時間の賃金だけでなく受診費用も当然負担すべきものとはならないでしょう。


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2017年11月26日日曜日

たばこ税増税に向け議論再開

 政府・与党がたばこ税の増税を来年度税制改正に盛り込む予定であることが分かりました。

 消費税の軽減税率の導入により一部品目で見込めない増収分を補てんする狙い。

 ただ、葉タバコ農家やたばこ小売店に多くの支持層がいる自民党議員からの反発は根強く、消費税の軽減税率の導入が決まった2年前もたばこ税の増税論がありましたがこれまで棚上げにされていました。

 日本で販売されているたばこの価格は、国税の「たばこ税」と「たばこ特別税」、地方税の「道府県たばこ税」と「市町村たばこ税」、それに消費税を合わせて計5種類の税金が含まれた額で構成されています。

 実売価格の実に6割以上が税金という、極めて高税率な商品です。

 消費税を除くたばこ関連の税金の税収は国税の2%、地方税の3%を占め、あわせて毎年2兆円を超えます。

 これまでも「困ったときの財源確保策」として狙われ、最近20年間では1998年にたばこ特別税が創設されたほか、2003年、06年、10年にはたばこ本税の税率が引き上げられています。

 10年の増税では1本あたり3.5円引き上げ、旧税率の年から税収が約3500億円増えています。

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2017年11月25日土曜日

社外取締役はROE、社内取締役は自己資本比率

 上場企業で社外取締役の導入が進んでいます。

 社外取締役導入の効果については、色々なことが言われていますが、大きくまとめると以下の二つに集約されるかと思います。

 一つはガバナンス体制の強化です。

 社外取締役は経営トップ(社長等)の暴走に歯止めをかける役割が期待されます。

 トップの暴走に対する歯止めは社外取締役だけではなく、他の一般の取締役にも求められます。

 ただ、従業員出身の生え抜きの社内取締役だと、「おかしい」と思っても、自分を引き上げてくれた上司であるトップに直言しにくく、取締役としての監督機能を十分に果たせないことが危惧されるのです。

 その点、社外取締役は元々外部の人間ですから、トップに意見を言いやすいと考えられます。

 また、トップと社内取締役は長年、同じ会社で同じ目標に向かって働いてきたのですから、価値観も同一になりやすく、一般社会とは異なる会社の常識を共有してしまう危険性があります。

 その点、社外取締役は取締役会に会社とは違う社会の常識を持ち込むことが期待できます。

 社外取締役には上記のような経営ガバナンス体制の強化の効果が期待されますが、ただ社外取締役を導入しさえすれば、それで強化されるというものではありません。

 社外取締役を実質的に選任する経営者が、価値観が同じで自分の言うことに逆らわないようなお友達を選べば、社内取締役とほとんど変わらなくなってしまうからです。

 その意味で、当然のことですが、どのような人を選ぶかが極めて重要になります。

 社外取締役に期待されるもう一つの効果は、カネの使い方を変えることにあります。

 社内取締役と社外取締役で違いが出てくるのは、投資決定後の剰余金の使い方です。

 社外取締役は株主の代表ということをより強く意識しますから、配当や自社株買いなどの株主還元を重視するのに対し、従業員出身の社内取締役は会社の存続を第一に考え、社内留保を優先しがちになります。

 社外取締役が何より重視すべき指標は、株主から預かった財産の効率性を示すROE(自己資本利益率)になります。

 会社で投資に使い切れないカネが残ることは会社の本質に反するのだから、内部留保は株主に還元すべきだと考えます。

 一方、従業員出身の社内取締役は、会社は株主のものであるだけではなく、従業員の生活共同体であるという意識を強く持ちます。

 雇用の流動性の低い日本では、従業員のために会社の存続を第一に考えます。

 そうすると、彼らの重視する指標は会社の安全性指標である自己資本比率になります。

 投資に使い切れないカネを不用意に社外に流出するのではなく、まさかのために内部留保すべきだという意見が強くなるのです。

 社外取締役の導入で剰余金の使い方に関する意見対立は厳しくなることが予想されます。

 それは最終的に株主重視か、従業員重視かの会社観の違いに帰着します。

 どちらがいいかは即断できませんが、グローバル化により日本の会社も否応なく株主重視の経営に向けて動き出しているということなのでしょう。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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2017年11月24日金曜日

証券業界「NISA法の制定で制度恒久化を」

 日本証券業協会、投資信託協会、全国証券取引所協議会の3会が、現状は租税特別措置で規定されているNISAを恒久的な制度にするための「NISA法」を制定するよう、国に要望しました。

 口座の開設・移管の手続き迅速化を図る見直しや、ジュニアNISAを利用する子どもへの贈与の税負担を優遇する改正も要望し、制度の普及・定着を目指します。

 要望書では、NISA以外の資産形成法である企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金は「確定拠出年金法」、住宅財形と年金財形は「勤労者財産形成促進法」といった根拠法があることに言及。

 NISAは租特による規定に留まっている状態を見直し、NISA法を制定することで「国民の安定的な資産形成に資する恒久的な制度にするべき」と訴えました。

 また、手続きの簡素化や迅速化のための見直しも求めています。

 非課税期間終了により特定口座に移管する際に必要な書面を省略することや、開設の際に重複口座の確認に時間が掛かる制度を見直すように要望しています。

 さらに、20歳未満の人の投資益を年間80万円まで非課税にするジュニアNISAの利用促進を図るための見直し要望も盛り込みました。

 現行では子や孫にジュニアNISAのための資金を贈与した際の税優遇は設けられていませんが、贈与税の基礎控除額110万円とは別枠の税優遇措置を設けるべきとしています。

 また、現行では本人が18歳になるまで口座から現金を引き出せないという制限につき、12歳以降は制限を解除するように求めました。


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2017年11月23日木曜日

全国法人会総連合:2018年度税制改正要望を公表!

 全国法人会総連合は、2018年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、役員給与の損金算入の拡充や事業承継税制の抜本的な見直しなどを盛り込んでおります。

 現行制度では、役員給与の損金算入の取扱いが限定されており、報酬等の改定には厳しい制約が課せられていると指摘しており、役員給与は、本来、職務執行の対価であり、原則損金算入できるように見直すべきと主張しております。

 また、同族会社における役員の利益連動給与についても、経営者の経営意欲を高め、企業に活力を与える観点から、一定の要件のもと、損金処理を認めるべきと主張しております。

 さらに法人税関係では、2018年3月末までとなっている交際費課税の適用期限を延長すること、無形減価償却資産について電算機のソフトウェアは、現行5年償却のところを、技術革新の加速化を考慮し、期間を3年に短縮することなどを求めております。

 事業承継税制の拡充については、中小企業が相続税の負担等により事業が継承できなくなれば、わが国経済社会の根幹が揺らぐことになると指摘しております。

 これまで納税猶予制度の改正で要件緩和や手続きの簡素化などされましたが、さらに下記の抜本的な見直しを求めております。

①事業用資産を一般資産と切り離した本格的な事業承継税制の創設
②相続税、贈与税の納税猶予制度について要件緩和と充実
を掲げております。

 上記①では、わが国の納税猶予制度は、欧州主要国と比較すると限定的な措置にとどまっており、欧州並みの本格的な事業承継税制が必要とし、事業に資する相続については、事業従事を条件に他の一般財産と切り離し、非上場株式を含めて事業用資産への課税を軽減あるいは免除する制度の創設を要望しております。

 上記②では、本格的な事業承継税制が創設されるまでの間は、相続税、贈与税の納税猶予制度について要件緩和と充実を図ることを要望しております。

 相続税、贈与税の納税猶予制度については、株式総数上限(3分の2)の撤廃と相続税の納税猶予割合80%を100%に引き上げること、死亡時まで株式を所有しないと猶予税額が免除されない制度を5年経過時点で免除する制度に改めること、対象会社規模を拡大することなどを要望しております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年10月9日現在の情報に基づいて記載しております。

 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2017年11月22日水曜日

加熱式たばこに増税論

 普及が進む「加熱式たばこ」の増税論が話題を呼びそうです。

 加熱式たばこは一般的な紙巻きたばこと税額算出方法が異なって税額が低くなるほか、税負担もバラバラな傾向があります。

 加熱式人気の高まりは減収につながる可能性も高く、先に手を打ちたい税当局の狙いも伺えます。

 発端は自民党の宮沢洋一税制調査会長へのインタビュー報道でした。

 宮沢氏は加熱式への切り替えが増えている認識を示した上で、「紙巻きより加熱式は税率が低い。(商品を出している)3社で実効税率が違っている問題があり、それなりの答えを年末までに出していかなければならないだろう」と述べました。

 加熱式は、カプセルなどの中で葉たばこを加熱し、発生する蒸気やたばこ本来の味や香りを楽しむもの。

 煙も臭いも少ないとして近年、利用者が急増しています。

 税制面では、通常の紙巻きは1箱440円(20本入り、税込み)の場合、たばこ税(244.88円)と消費税(32.59円)合わせて277.47円(負担率63.1%)ですが、加熱式は現行では「パイプたばこ」に該当するため、紙巻き1本のたばこ税率(12.244円)をそのまま課税せず、葉たばこが詰められたスティックなども含めた重量1グラムを紙巻き1本と換算しています。

 ただ、各社とも製品形状や課税重量が異なり、値段はほぼ同じでも、税負担は49.2%~14.9%(製品の種類で異なる)と大幅に異なっています。

 日本の紙巻き販売数量は1680億本と20年前から半減していますが、たばこ増税もあって税収は2兆円超で推移し続けています。

 税当局には、現行の税制のまま紙巻きよりも税率が低い加熱式への切り替えが進行することによる税収減の懸念もありそうです。

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2017年11月21日火曜日

印西市が固定資産税を過徴収

 千葉県印西市が、市内の会社が所有する事務所の固定資産税を21年にわたり約2億3千万円も過徴収していたことが分かりました。

 固定資産税の算定ミスは宮城県南三陸町でも同時期に発覚するなど全国各地で相次いでいます。

 印西市の過徴収は職員の確認ミスが原因で、本来「鉄骨造」とすべき建物であるにもかかわらず、課税額が高くなる「鉄骨鉄筋コンクリート造」で計算していたそうです。

 新築の際に竣工図の確認を怠ったとのこと。

 過大な固定資産税の納税を強いられていた会社には、過払い分と利子相当分の合計3億1千万円が還付されます。

 固定資産税は法人税や所得税などの国税と異なり、自治体が税額を決めて納税者に一方的に通知する「賦課課税制度」を採用しています。

 本来であれば自治体が間違いなく計算して課税しなければなりませんが、現状はミスが多く、総務省は全国の自治体に注意と再確認を呼び掛ける通知を出すに至っています。

 同省は通知ともにまとめた文書のなかで、典型的なミスとして「鉄骨造」とすべき建物の構造管理のコードを「鉄筋コンクリート造」とする事例を挙げていましたが、印西市のミスはこれと同じものでした。

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2017年11月20日月曜日

文部科学省:2018年度税制改正要望を公表!

 文部科学省は、2018年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、美術館等(博物館法に基づく「登録博物館」又は「博物館相当施設」のうち、美術品の公開及び保管を行うもの)が各館の収蔵品収集方針に照らし、活用が妥当と判断する美術品について、その対象美術品の所有者が安定的な寄託を約し、また、その状態を維持する以下の場合に、相続人の相続税・贈与税の納税猶予を要望しております。

 その状態を維持する場合とは、美術品の所有者である個人が、寄託期間中は解約の申し入れができない旨の定めがあることを受け入れた上で寄託を約し、当該美術品を相続(遺贈を含む)・贈与により取得した者もその状態を維持する場合や、相続・贈与により美術品を取得した個人が寄託期間中は解約の申し入れができない旨の定めがあることを受け入れた上で寄託を約し、かつ、その状態を維持する場合をいいます。

 また、保存活用計画が策定された文化財について相続税・贈与税の納税猶予や、文化財保護法の改正により、保存活用計画の法律上の位置づけなど、新たな仕組みの構築の検討も要望しております。

 文部科学省は、「高齢化社会が進行するなか、相続を機に美術品等の適切な保存と公開活用が途絶え、次世代へ確実に継承されないことが懸念されている。また、新たな有望成長市場の創出・拡大のためには、我が国で所有されている美術品等の良質な文化ストックを戦略的に活用し、美術館等での公開を促進することを通じて、文化と観光、産業とが一体となった新たな市場創出や地域経済活性化等を図っていくことが極めて効果的」としております。

 さらに、「美術館等に寄託された美術品等に対する相続税・贈与税の納税猶予の特例創設により、美術品等の美術館等への寄託の促進による次世代への確実な継承と美術品等の海外流出や散逸を防ぎ、美術品等の計画的・一体的な公開活用を促進するとともに、美術館等のコンテンツの充実と国民の文化アクセスの拡大、訪日外国人の増加に資する観光拠点化を推進し、地方創生の実現にも貢献する」と創設の理由を示しております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)

 上記の記載内容は、平成29年9月19日現在の情報に基づいて記載しております。

 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2017年11月19日日曜日

「骨太の方針2017」に盛り込まれた税制関連項目!

 すでに政府は、「経済財政運営と改革の基本方針2017」(いわゆる「骨太の方針2017」)を閣議決定しております。

 骨太の方針とは、政策の優先度を明確にするもので、記載された項目はその後の予算編成や税制改正に反映されます。

 税制関連項目も取り上げられており、年末に公表予定の2018年度与党税制改正大綱において、具体策が示される予定です。

 「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」に盛り込まれた「空き店舗に対する固定資産税の住宅用地特例の解除措置等に関する仕組みを検討し、年内に結論を得る」との文言を、骨太の方針でもそのまま明記しました。

 地域の遊休資産の有効活用を図る一環として、空き店舗となる店舗併用住宅にこの特例を認めないとする仕組みをいかに構築するのかが注目されております。

 一方、2017年度与党税制改正大綱では、市街化区域外の農地で認められている相続税納税猶予制度適用農地の貸借が、市街化区域内農地では認められていないことから、生産緑地が貸借された場合の相続税の納税猶予制度の適用の検討をし、早期に結論を得ることが検討事項として明記されていました。

 骨太の方針でも、「生産緑地の貸借に係る制度を創設し、相続税の納税猶予制度の適用について検討する」とされ、2017年度与党税制改正大綱での検討事項も明記しております。

 また、同大綱の基本的考え方では、地球温暖化対策として市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、個人住民税均等割の枠組みの活用を含め都市・地方を通じて国民に等しく負担を求める森林環境税(仮称)の創設に向けて、地方公共団体の意見も踏まえながら、具体的な仕組み等を総合的に検討し、2019年度税制改正で結論を得るとしておりました。

 その他、歳入増加に向けた取組みとして、課税等インフラの整備を促進するため、マイナンバー制度を活用し、金融及び固定資産情報(登記及び税情報を含む)と所得情報をマッチングするなど、マイナンバーをキーとした仕組みを早急に整備することも盛り込まれ、今後のマイナンバー制度のさらなる活用が注目されております。

 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年9月8日現在の情報に基づいて記載しております。

 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



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2017年11月18日土曜日

会社分割の要件緩和 創業者の会社貸付金の相続対策

◆会社分割を利用して貸付金の整理

 平成29年の税制改正で分割型分割の適格要件が一部緩和されました。

 その内容はこうです。

 単独新設分割型分割にあっては、分割後の株式の保有関係は、分割後にその同一の者と分割承継法人との間にその同一の者による完全支配関係(支配関係含む)が継続することで足り、分割後のその同一の者と分割法人との間の完全支配関係の継続が不要とされました。

 そこで、改正後の単独新設分割型分割を利用して創業者の会社貸付金の整理を試みてみます。

◆同族会社と同一の者

 この「同一の者」は、親族が単位となりますので、同族会社の場合、親族で株式を保有している例が殆どだと思われますので、いわゆる、会社と同一の者による完全支配関係が成立します。

 適格要件は満たします。

 例えば、甲社は、創業者60%、配偶者10%、子30%の割合で株式を保有されていたとします。

 この場合、甲社は、「同一の者」による完全支配の関係にあります。

◆創業者の貸付金の整理

 具体的な手続きはここからです。

 甲社は、創業者からの借入金6千万円があり、債務超過でその返済も不能の状態にありますが、現在、事業は縮小しながらも継続して営んでいます。

 ここで、甲社は分割法人となり、継続している事業を新設分割により乙社分割承継法人に承継させ、その後、甲社を解散・清算することにしますが、改正後は、同一の者と甲社分割法人との完全支配関係の継続が要件とされませんので、適格要件は満たしており、それは可能と考えます。

 甲社は清算の段階で、創業者から6千万円相当額の債務免除を受け、その免除益が計上されることになりますが、既に甲社には残余財産がありませんので、原則として、期限切れ欠損金の利用により、甲社に債務免除益による課税は生じません。

 結果として、創業者の会社への貸付金6千万円相当は相続財産から消えます。

 但し、創業者の債務免除により当該者から他の株主への「みなし贈与課税」が生ずる余地はあるかもしれません。

 なお、この改正は、平成29年10月1日以後に行われる分割から適用されます。


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2017年11月17日金曜日

東京商工会議所:2018年度税制改正に関する意見を公表!

 東京商工会議所は、2018年度税制改正に関する意見を公表しました。

 それによりますと、中小企業の活力を最大限に引き出す税制の整備が必要とし、中小企業の価値ある事業を次世代に承継し、新たな挑戦を促す税制を実現するため、

①諸外国並みの事業承継税制の確立
②事業承継のために後継者へ自社株を生前贈与した場合は、大幅な評価減・軽減税率を適用
③M&Aを後押しするインセンティブ税制の創設
④所得拡大促進税制の複雑な適用要件の緩和・拡充
⑤中小企業の生産性向上に資する少額減価償却資産の取得価額の損金算入制度の拡充・本則化など

を掲げております。

 上記①では、先代経営者及び後継者における代表者要件・筆頭株主要件を撤廃し、経営に関与する取締役等が事業承継税制の適用対象になることの検討や、諸外国の事業承継税制を参考に承継(納税猶予開始)後5年経過時点で納税を免除、納税猶予の対象となる発行済議決権株式総数に係る上限(現行2/3)の撤廃、深刻な人手不足を踏まえた雇用要件のあり方の見直しなどを求めております。

 上記②では、早期に後継者を育成し、計画的に経営資源を承継している企業では、円滑に事業承継が実現しているケースが多くみられるとした上で、団塊世代経営者の大量引退による「大事業承継時代」を乗り切るため、生前贈与に対するインセンティブの抜本的強化を図り、早期かつ計画的な事業承継を強力に促すことが重要との観点から、後継者に自社株を生前贈与する際、思い切った贈与税率の軽減又は株式評価減を講じるべきと主張しております。

 上記③では、近年、中小企業のM&Aが活発化しておりますが、依然として、M&Aは、経営者において、会社の売却という手段自体が初めから選択肢にない場合が多い一方、買い手側にとっても、買収に伴うリスクの見極めが難しく、M&Aに踏み切れないことも少なくないと指摘しております。

 このため、売り手、買い手双方にM&Aのインセンティブとして、株式譲渡益に係る特別控除の特例の創設等、中小企業の価値ある事業の継続を後押しすべきと主張しております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)

 上記の記載内容は、平成29年9月19日現在の情報に基づいて記載しております。

 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2017年11月16日木曜日

育児・介護休業法と給付金の改正

◆平成29年10月 育児・介護休業法改正

 今年の1月に育児・介護休業法が改正されたのに引き続きこの10月からも見直しがあり、保育園に入所できず退職を余儀なくされる事態を防ぐため改正が行われました。

 改正内容は次の3点です。

①最長2歳まで育児休業の再取得が可能に

 今まで保育園に入れない等の場合、最長1年6ヶ月は育児休業を申し出る事が出来ましたが、子が1歳6カ月以後もまだ保育園に入れない場合、さらに2歳まで再延長できるようになりました。

 1歳6カ月以後も入所がかなわない場合もある事から最大2歳まで、比較的入所しやすい4月まで育休を取得できるケースを増やしたと言う事になります。

②子が生まれる予定の方等に育児休業の制度をお知らせする努力義務

 事業主は従業員やその配偶者が妊娠、出産した事を知った場合はその方に育児休業
に関する制度(育児休業中・休業後の待遇や労働条件等)を知らせることが努力義務とされました。

③育児目的休暇の導入を促進

 未就学児を育てながら働く方が子育てしやすいよう、育児に関する目的で利用出来る休暇制度(例・配偶者出産休暇、ファミリーフレンドリー休暇、子の行事参加休暇等)を設ける事が努力義務とされました。

◆雇用保険育児休業給付金の支給延長

 育児休業給付金は原則1歳に達する日前までの子を養育する為の育児休業を取得した場合に支給されます。

 子が1歳に達する日後の期間に保育所の入所ができない等の理由により育児休業を取得する場合は1歳6カ月に達する日前まで、延長支給されました。

 今回の改正で1歳6カ月に達する日後も同様の理由で育児休業を取得する場合、子が2歳に達する日前まで育児休業給付金の支給対象期間が延長となります。

 育児休業給付金の2歳に達する日前までの延長の対象者は、子が1歳6カ月に達する日の翌日が平成29年10月1日以降の方となります。

 また、あらかじめ、1歳6カ月に達する日の翌日についての延長の申し込みをした方が該当者で、再延長の申し込みをする際は保育の申し込みをしたが保育が行われない等、市区町村の発行した入所の保留通知書等の証明書等が必要です。


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2017年11月15日水曜日

ふるさと納税 中間仮計算のススメ

◆過熱するふるさと納税-規制もあれば抜け道も!?

 2017年4月1日付で総務省は各自治体に対し、「ふるさと納税の返礼品の価格について、寄付額の3割までに抑えるよう要請」し、「商品券や家電製品といった返礼品は換金しやすさや地元産かどうかを問わず、全面的に控えるよう求め」ました。

 これで一部自治体の目玉だった商品券や各種ポイントも返礼品から消えることとなりました。

 「税法の縛りがあるところに合法的な節税の抜け道あり」ではありませんが、頭を使って考える人はいるものです。

 自社が提供するふるさと納税の申込サイトから寄附すれば、自社のポイントを付与し、他の申込サイトよりもポイント分得するという売りを打ち出したところが出てきました。

 ポイントは、自治体から納税者に付与されるのではなく、ふるさと納税の申込サイトを運営する会社から付与されるので、総務省要請も対象外ということなのでしょう。

◆ふるさと納税限度額の計算

 持ち出し(=寄附金が控除限度額を超えてしまうこと)なくふるさと納税をするためには、控除限度額の把握が必要です。

 ふるさと納税導入当初は、総務省や千葉県などのウェブサイトで提供されていた表形式のものしか限度額を予測するものはありませんでした。

 しかしながら、いまは各種ふるさと納税の申込サイトでシミュレーションコーナーが設置され、より精度が高く計算できるようになってきています。

◆ふるさと納税中間仮計算のススメ

 限度額ギリギリまで得するよう12月の年末調整後に駆け込み的なふるさと納税を推奨する話も聞きますが、今回は、いまの時期に、中間仮決算的準備をお勧めします。

 行うべきことは、医療費の領収書の金額集計です。

 扶養家族や住宅ローン控除などはほぼ例年通りのことが多く12月末時点の予測は簡単です。

 一方、医療費控除は集計してみるまで金額がわかりません。

 ある税理士は毎年12月にその年の納税限度額を計算し、限度額目一杯使い切ることを年中行事としていました。

 しかしながら、12月に突発的な仕事で、医療費控除の予測ができぬまま医療費控除を最大限の200万円としたうえでふるさと納税限度額としました。

 そして、翌年2月に自身の個人所得税の確定申告をしてみて数万円分のふるさと納税限度額を逃してしまったことに気づいたそうです。

 その反省から「今年は中間仮計算をする」と宣言していました。


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2017年11月14日火曜日

法定相続情報証明制度の創設

 平成29年5月29日から全国の登記所(法務局)において、法定相続情報証明制度(以下単に「本制度」といいます。)がスタートしました。

 本制度を活用することによって、被相続人名義の預貯金・有価証券の名義書換え及び不動産の相続登記等の際、除籍・戸籍謄本等の相続関係書類一式を金融機関、証券会社及び登記所等に何度も提出する必要がなくなり、各種相続手続きの円滑化が図られます。

Ⅰ 制度の概要
1 申出
 被相続人の法定相続人又は代理人は、①必要書類の収集、②法定相続情報一覧図の作成、③法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書の記載を行い、これらの必要書類を登記所に申出します。

 また、上記②及び③の記入様式は法務局ホームページに掲載されています。

 なお、申出は、郵送(返信用封筒及び郵便切手を同封)によることも可能とされます。

2 確認及び交付
 登記所における登記官は、上記1①から③の必要書類等を確認し、②法定相続情報一覧図を保管(5年間)します。

 そして、申出をした相続人又は代理人に対して認証文付きの法定相続情報一覧図の写し(以下単に「一覧図の写し」といいます。)が無料で交付(相続手続に必要な範囲で複数通発行可)されます。

 また、同時に上記1①の必要書類が返却されます。

3 利用
 交付された一覧図の写しを利用することにより、相続人及び手続の担当部署双方の各種相続手続きの負担が軽減されることとなります。

 なお、本制度の導入後であっても、除籍・戸籍謄本等の相続関係書類一式をそれぞれの手続の担当部署に提出する従来の方法での相続手続も行うことができます。

Ⅱ 代理人
 上記Ⅰ1の代理人となることができるのは、法定代理人のほか、①民法上の親族、②資格者代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士及び行政書士に限ります。)とされます。

Ⅲ 必要書類
 上記Ⅰ1①の必要書類は、次のとおりとされます。

 ① 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本
 ② 被相続人の住民票の除票又は被相続人の戸籍の附票
 ③ 相続人全員の戸籍謄本又は抄本
 ④ 申出人(相続人代表)の氏名・住所を確認することができる公的書類(例:運転免許証のコピー、マイナンバーカードの表面のコピー等)
 ⑤ 相続人全員の住民票記載事項証明書(住民票の写し)
 ⑥ 代理人が申出をする場合
  (イ)委任状
  (ロ)民法上の親族が代理をする場合には、申出人と代理人が親族関係であることが分かる戸籍謄本
  (ハ)資格者代理人が代理をする場合には、資格者代理人団体の身分証明書の写し等

Ⅳ 申出可能な登記所
 上記Ⅰ1の申出をすることができる登記所は、①被相続人の本籍地、②被相続人の最後の住所地、③申出人の住所地、④被相続人の名義の不動産の所在地を管轄するいずれかの登記所とされます。

 「法定相続情報一覧図」は、登記所において5年間保管されています。

 また、各種相続手続きにおいて、「一覧図の写し」が追加で必要となった場合には、5年間であればいつでも無料で再交付を受けることが可能とされています。

 ただし、再交付の申出をすることができるのは、上記Ⅰ1③の「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」を記載し、登記所に申出をした当初の申出人に限られますので、他の相続人等が再交付を希望する時には、当初の申出人の委任状が必要になりますので留意して下さい。


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2017年11月13日月曜日

宗教法人の固定資産税を47年徴収漏れ

 九州のある市が市内の神社の有料駐車場への固定資産税を47年も課税していなかったことが明らかになりました。

 神社などの宗教法人が所有する土地の固定資産税は本来の宗教活動のために使うものでなければ課税対象ですが、市の職員が法解釈を誤り非課税としたまま放置されていたそうです。

 課税漏れがあった土地は宗教法人が所有する駐車場。

 参拝客への無償貸し出しなど宗教活動の一環として使っていれば固定資産税は免除されますが、その駐車場は利用者を参拝客に限定せず一般に有料で貸し出していたことから、本来は課税対象でした。

 市の職員は課税漏れに気付かなかったものの、昨年就任した宮司が財務書類を確認したことによってミスが発覚したとのことです。

 固定資産税と同じく法人税についても、宗教法人への課税は「宗教活動に伴うものか否か」が線引きになります。

 宗教活動で得た所得には基本的に法人税が課税されず、一方で法人税法施行令が定める不動産貸付業や旅館業などの「収益事業」で得た利益には課税されます。

 収益事業である物品販売業でみてみると、一般の業者も販売するような、絵はがき、写真帳、暦、メダル、ペナント、キーホルダーなどの物品を通常の価格で販売したときの収益には法人税が課税されます。

 一方で、お守りやおみくじの販売益は宗教活動で受け取る「喜捨金」の一環とみなされ、課税対象になりません。


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2017年11月12日日曜日

イクメン育児休業・同給付金(男性版マタニティーリーブ関係)

◆パタニティーリーブ(男性版育児休業)取得

 制度(育児休業法・育児休業給付制度)や言葉(イクメン)があっても、なかなかそれを活用できない雰囲気にあるのが、日本の民間企業であり、そこに働く人たちです。

 一方、同じ日本にありながら、外資系企業では、企業側もそこで働く人も、日本の民間企業とは考えが違います。

 日本人男性従業員は、奥さんの出産を機に、パタニティーリーブ(男性版マタニティーリーブ)を取得することになりました。

◆男性版:育児休業制度と育児休業給付金

(1)どれくらい休めるのか?
 子の出生日から1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者申出の期間です。

(2)その間の給料は?
 育児休暇中の給料は、就業規則によりますが、定めがなければ、無給で構いません。

(3)何か給付金はもらえる?
 出産日以後に無給の場合、育児休業給付の申請により、雇用保険から、給料の育休開始から180日目までは「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(181日目以降は同50%)、育児休業給付金が支給されます。
 ただし、給付には上限があります。
 また、育児休業給付金は、課税の対象となりません。

(4)無給中も負担しなければならないもの
 毎月給与から天引きされている住民税の特別徴収額は引き続き負担しなければなりません。
 別途会社にその都度振り込むか、前もって天引きしてもらうかになります。

(5)無給期間中の社会保険
 「育児休業申出書」を提出することにより、育児休業を開始した月から、終了した日の翌日の属する月の前月まで社会保険料負担が、本人・会社ともになくなります。

(6)給付金申請の方法
 原則は、事業主が「育児休業給付金支給申請書」を事業所の所在地を管轄する公共職業安定所に提出します。
 その際、賃金台帳や出勤簿など、支給申請書の記載内容を確認できる書類の提出も求められます。

(注)その他詳しいことは、
・厚生労働省サイト「Q&A~育児休業給付~」
・ハローワークのサイト「ハローワークインターネットサービス 育児休業給付金」などをご参照ください。
・もしくは、お近くのハローワークか、会社顧問の社会保険労務士さんにご相談ください。


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2017年11月11日土曜日

経営力向上計画の申請が急務

 新たに取得した設備の固定資産税が3年間半額になる特例を適用するためには「経営力向上計画」の認定を年末までに受ける必要があるとして、中小企業庁が注意喚起をしています。

 経営力向上計画は、設備投資や人材育成などを盛り込んだ経営計画で、作成して国の認定を受けると、固定資産税の特例のほか、法人税の減税措置や低利融資などの優遇が受けられます。

 固定資産税の減税措置を3年間受けるためには、年内に計画の認定を受けなくてはなりません。

 申請から認定までには通常1カ月程度かかりますが、12月は認定に時間がかかることも予想され、中企庁は「12月に入ってからの申請は、年内に認定を得られない可能性がある」として、早い時期での申請を呼び掛けています。

 保険の活用や法人税の減税特例など、企業が行う節税手法は自社の決算月までに行うものが多くあります。

 しかし、なかには決算月には関係なく、12月末までに準備を済ませておかないと減税効果をフルに発揮できないものもあります。

 固定資産税の減税特例がそれにあたり、同税の賦課期日が毎年1月1日であるため、決算月にかかわらず年内に申請受理までを済ませておかなければ来年からの適用に間に合いません。

 今年に設備投資を行ったり年内にする予定があったりするなら、必ず内容を確認しておきたいところです。


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2017年11月10日金曜日

京都市の宿泊税、国内最高の1千円

 京都市が来年秋の導入を目指す「宿泊税」について、最大で1泊1千円とする方針であることが分かりました。

 すでに国内で宿泊税を導入している東京都や大阪府に比べて3~5倍の税額で、「世界一の観光都市」(2014~15)ならではの強気の方針となりました。

 京都市が打ち出した宿泊税の内容は、市内に宿泊する人に対して、1人1泊の料金が2万円以下なら200円、2万円以上5万円未満なら500円、5万円以上の高級宿なら1千円の3段階で課税するというもの。

 ホテルや旅館に加えて民泊も課税対象とする一方で、学生の修学旅行については生徒だけでなく引率の教師などについても非課税とするそうです。

 市は宿泊税の導入で、年間5億6千万円程度の税収を見込んでいるといい、観光面などでのサービス向上に充てる方針です。

 宿泊税は、東京都が2002年に初めて導入し、当初はホテル業界などから「客離れにつながる」と反発する声が挙がりましたが、訪日観光客の増加とともに税収も伸び、今では年間約20億円まで伸びています。


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2017年11月9日木曜日

厚生労働省:2018年度税制改正要望を公表!

 厚生労働省は、2018年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、働く人のための保育の提供に取り組む企業に対する税制上の優遇措置や、子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設などを盛り込んでおります。

 2017年6月に公表された「子育て安心プラン」に基づいて、事業所内保育施設の整備等を通じた保育の受け皿の拡大及び保育と連携した「働き方改革」を進める必要があり、これに伴い、税制上の所要の措置を講ずる必要があるとしております。

 具体的には、中小企業等も含む企業の事業所内保育施設の整備等を通じた保育の受け皿の拡大や仕事と育児の両立支援が促進されるよう、事業所内保育施設を設置する企業に対して、事業所内保育施設とこれと同時に取得した遊戯具、家具、防犯設備の割増償却措置を講ずることや、くるみん認定・プラチナくるみん認定を取得して仕事と育児の両立支援により積極的に取り組んでいる企業については、上記措置を拡充することを要望しております。

 また、公的サービス以外の認可外保育施設・ベビーシッターを利用する子育て家庭が存在しますが、認可外保育施設などを利用した際の費用については、子育て家庭が就労するには必要な経費と指摘しており、仕事と家庭の両立支援のため、やむを得ず認可外保育施設などを利用する場合に要する費用の一部を税額控除の対象とする税制措置の創設を要望しております。

 その他、医療に係る消費税等の税制のあり方について、消費税率が10%に引き上げられるまでに、抜本的な解決に向けて適切な措置を講ずることができるよう、税制上の措置について、医療保険制度における手当のあり方の検討などとあわせて、医療関係者、保険者等の意見、とくに高額な設備投資等による仕入消費税額の負担が大きいとの指摘なども踏まえ、総合的に検討し、結論を得るよう要望しております。

 さらには、受動喫煙防止対策として、飲食店等における喫煙専用室の早期設置を促すことで、望まない受動喫煙防止のため、喫煙専用室を設置した場合の税制上の優遇措置も要望しております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)

 上記の記載内容は、平成29年9月12日現在の情報に基づいて記載しております。

 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2017年11月8日水曜日

金融庁:2018年度税制改正要望を公表!

金融庁は、2018年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、主な要望項目として、NISA(一般NISA、ジュニアNISA、つみたてNISA)の利便性向上のため、NISAの口座開設申込時に、即日で買付けを可能とすることや、NISAの非課税期間終了時に、とくに意思表示をしない限り特定口座に移管されるものとすること、成人年齢引下げに伴う対応や、現行、時限措置であるNISAについて、恒久措置とすることなどが盛り込まれております。

 現在、一般NISAは着実に普及しておりますが、一方では、口座開設後に一度も取引を行っていない口座が相当数にのぼるなど、NISAの稼動率の向上が課題となっております。

 NISAの口座開設申込時における即日買付けは、NISAの稼働率が向上しない理由の一つとして、現在、投資家がNISA口座の開設を申し込んでも、二重口座でないことの確認が必要なために、買付が可能となるまで2週間程度の時間がかかってしまい、その間に買付け意欲が薄れてしまうことを防ぐ狙いがある模様です。

 また、NISAの非課税期間終了時における対応では、現行、保有から5年が経ち、非課税期間が終了した後には、投資家がとくに意思表示をしない限り、自分で確定申告する必要がある「一般口座」へ移管されてしまい、大変手間を要してしまいます。

 そこで、金融機関が「年間取引報告書」を作成して、源泉徴収を行う(あえて源泉徴収とせず、顧客自身が確定申告することを選択することも可能)「特定口座」に移管することを原則とするよう、NISAの利便性向上を要望しております。

 さらに、NISAの利便性向上の観点からは、特定口座についても見直しを要望しております。

 役員報酬として支給される一定期間譲渡ができない株式(いわゆる「リストリクテッドストック」)については、一般的には3~5年後、譲渡が可能となった際には、現行では一般口座で保有することしかできないため、特定口座でも保有できるようにすることも要望しております。

 今後の税制改正の動向に注目です。


(注意)
 上記の記載内容は、平成29年9月12日現在の情報に基づいて記載しております。

 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



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2017年11月7日火曜日

就活生の入社理由

◆求人倍率は人手不足を反映

 厚生労働省の発表では今春4月の有効求人倍率は1.48倍でありバブル期のピークだった1990年7月の1.46倍を上回ったとされています。

 有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人当たり何件の求人があるかを示します。

 1974年2月の1.53倍以来の43年ぶりの高水準と言う事です。

 そしてこれは7月現在でも1.52倍と5ヵ月連続で高水準が続いています。

 企業の求人は増加する半面、求職者数は減少しており企業の「人手不足」がますます増加していると言う事です。

 このような状況でも良い人材を確保する為に企業はどのような事に取り組むのがよいでしょうか。

◆就活生が見ているもの

 東京商工会議所の「中堅・中小企業の新入社員意識調査」によると「入社した会社を選んだ理由」との問いには「仕事の内容が面白そう」(44.2%)、「職場の雰囲気が良かった」(39.3%)、「自分の能力、個性が活かせる」(37.0%)が上位となっています。

 注目したいのは4割近くが「職場の雰囲気が良かった」を理由に入社している事です。

 仕事の内容は容易に変えられませんが職場の雰囲気を明るく働きやすいものに変える事は可能かもしれません。

 公益財団法人 日本生産性本部の「職業のあり方研究会」の「新入社員の調査結果でも「パワハラが無い事を就職先の条件」とする傾向がみられると言います。

◆就活生と接する社員の対応が大事

 このように職場の雰囲気が人材確保に重要であり、就活生に対する企業側のアプローチを見直してみる事が良いでしょう。

 社員の対応(面接者、他の社員、受付等)の対応や内部の雰囲気が好感の持てるものは何かを検討してみるのも良いでしょう。

 実際、先の商工会議所の調査では29.6%が「採用担当者や社員に好感が持てた」事を入社の理由に挙げています。

 就活生に限りませんが、中途採用に応募してくる方に対してもにこやかで親切な対応をすることが大事でしょう。


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2017年11月6日月曜日

H30年1月1日以後の手続き 保険契約者の名義変更と課税関係

 現行法では、生命保険契約の契約者の名義を変更しただけでは、新たに契約者になった者に対する贈与の課税はありません。

 具体的には、「甲」契約者でかつ保険料負担者、「乙」被保険者、「丙」保険金受取人の場合で、その後、甲から丙に契約者の名義を変更し、丙が保険料を負担することになったとしても、名義変更時までに、甲が負担していた保険料相当額については、丙への贈与にはならないということです。

◆名義変更後の課税の取扱いと問題点

 上記例において、①丙への名義変更後、甲死亡前に保険の満期を迎えると、当該満期保険金は丙が受け取ります。

 この場合の丙の課税は、丙自身が負担した保険料相当額に対応する保険金部分は一時所得としての課税を受け、甲が負担した保険料相当額に対応する保険金は甲から贈与により取得したものとして贈与税の課税を受けます。

 また、②名義変更後、甲の死亡前に被保険者乙が死亡すると、当該死亡保険金は丙が受取ります。

 この場合の丙の課税は、死亡保険金の内、丙が負担した保険料相当額に対応する保険金は一時所得としての課税を受け、甲が負担した保険料相当額に対応する保険金は甲から贈与により取得したものとして、贈与税の課税を受けます。

 なお、③名義変更(甲から丙)が甲の死亡によってなされた場合には、丙は生命保険契約に関する権利を相続等により取得したことになり、甲の本来の相続財産として相続税の課税対象になります。

 以上が保険契約の名義変更に関する課税の取扱いです。

 しかし、実際の申告では、名義変更に関する資料が十分に整備されていないこともあってか、受取保険金のすべてが一時所得として申告されていた等、法が予定していた申告が行われていない事例が散見されたようです。

◆平成30年1月1日以後の取扱い

 現行法では、保険会社から税務署に提出される情報(支払調書)には、名義変更に関する情報、元の契約者の払込保険料に関する情報はありません。

 そこで、平成27年度の税制改正で平成30年1月1日以後、保険金等の支払があった場合、または契約者が死亡し名義変更があった場合には、保険会社は上記情報を税務署に提出することを義務付けられました。

 今一度、保険関係の書類を確認し、今後の対応を考えてはどうかと思います。

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2017年11月2日木曜日

格差拡大に向かう財務諸表

 近年、格差拡大論が盛んです。

 これは個人間の格差拡大の話ですが、ここでは少し見方を変えて、財務諸表の格差拡大について考えてみましょう。

 ここで言いたいことは、「財務諸表が格差拡大を促している」ということではなく、「財務諸表は格差拡大を先鋭的に表示するように変わってきている」ということです。

 資産価額とは何なのでしょう。

 そんなことは自明のことだといわれるかもしれません。

 一般の消費者の感覚からすれば、資産価額とは売買する価格、つまり、その資産を実際購入した価格か売ることができる価格です。

 企業会計でも以前はこれで十分でした。

 この考え方によれば、資産価額は資産を所有する企業の外で決められるものであり、企業自体でどうこうすることのできないものでした。

 しかし、近年の考え方は違います。

 資産価額は所有する企業の収益力により変わるとする会計基準が多くなってきています。

 たとえば、減損会計では、固定資産の価額には将来その資産が生む収益力が反映されると考えます。

 収益力が落ちれば、固定資産価額を落とすのが減損会計です。

 こうなると、資産の評価は客観的なものさしでは測れません。

 まったく同じアパートを所有していたとしても、所有者の賃借人を集める能力に応じて資産の評価額は変わってきます。

 これは何もアパートに限るものではなく、工場でも店舗でも同様です。

 また、税効果会計でも、収益力の高い会社ほど、繰延税金資産という資産を計上できる可能性が高まります。

 新しい会計概念では損益計算書の収益力は単に損益計算書にとどまらず、貸借対照表をも動かします。

 本業の収益力が高ければ、税効果会計で繰延税金資産という資産を計上し、資産総額を増大させることができます。

 一方、収益力が低ければ、繰延税金資産を計上できませんし、場合によっては既に積んだ繰延税金資産を取り崩すこともあります。

 また、減損会計では既存の固定資産まで減額しなければならなくなります。

 こうした資産の計上や取崩しは貸借対照表の価額を変動させるだけではありません。

 複式簿記ですから資産の反対勘定として、損益計算書の損益を再び揺り動かします。

 つまり、元々の収益力の高い会社は貸借対照表の資産をより厚くし、それが損益計算書の最終利益を更に高めます。

 逆に収益力のない会社は貸借対照表の資産を減額しながら、損益計算書の損益を一層悪化させます。

 近年の会計基準は、従来の会計基準ではオブラートに包んでいた、強いものの本当の強靭さと弱いものの真の脆弱さを白日のもとにさらします。

 その意味では弱者に冷たい制度です。

 日本人のメンタリティーからすれば、旧来の会計基準の方が性に合っているような気がしますが、グローバル化に従う限りこれは不可避な流れです。

 会計制度も世の中の風潮と同様に格差を一層助長する方向に向かっているといえます。

 収益力を持つ会社は益々強く、収益力を持たない会社は益々弱くなります。

 今の会計制度の下で重要なのは収益力です。収益はすべてを癒します。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)


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2017年11月1日水曜日

国土交通省:2018年度税制改正要望を公表!

 国土交通省は、2018年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、次世代の観光立国実現のための財源の検討を盛り込んでおり、検討対象として「出国税」を掲げております。

 未来投資戦略2017において、財源の検討にあたっては、「他の観光先進国の取組みも参考にしつつ、観光立国の受益者の負担による方法により、観光施策に充てる財源を確保することを目指す」としておりました。

 施策の背景には、「明日の日本を支える観光ビジョン」での目標値の達成があり、訪日外国人旅行者数を2016年の2,404万人から2020年には4,000万人、2030年には6,000万人を目指すとしております。

 さらに、諸外国では出入国、航空旅行の際に外国人旅行者や出発・出国旅客から租税・手数料を徴収している例があるとして、オーストラリア、韓国、アメリカの取組み例をあげております。

 オーストラリアでは、航空・船舶による出国旅客に対して60豪ドル(5,100円ほど)の出国旅客税を課税しております。

 また、韓国では出国納付金として、航空・船舶による出国旅客に対して航空利用、船舶利用の区分により徴収し、航空利用の場合1万ウォン(1,000円ほど)を徴収しております。

 アメリカではビザ免除国からの渡航者に対し、電子渡航認証制度に基づく申請手数料として14ドル(1,540円ほど)の申請料を徴収しております。

 その他、外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充が盛り込まれ、免税販売の下限金額の判定に際し、「一般物品」と「消耗品」の合算が認められることで、外国人旅行者の利便性が向上し、地方も含めた免税店数の更なる増加と外国人旅行消費のより一層の活性化を図るとしております。

 現行の外国人旅行者向け消費税免税制度は、免税販売のためには、「一般消費」と「消耗品」それぞれ下限額の要件(5,000円以上)を満たす必要がありますが、外国人旅行者から商品購入時の「一般消費」と「消耗品」の判別が難しいなどの声もあり、免税対象要件について、「一般物品」についても特殊包装を行うなどを条件に、「一般消費」と「消耗品」の合算を認めるよう要望しております。

 今後の税制改正の動向に注目です。


(注意)
 上記の記載内容は、平成29年9月12日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


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2017年10月31日火曜日

経済産業省:2018年度税制改正要望を公表!

 経済産業省は、2018年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、中小企業の事業承継・再編の促進のため中小企業のM&A(親族外承継)への優遇措置の創設などを盛り込んでおり、大きく分けて、第4次産業革命に対応した「攻めの経営・投資」の強化、中小企業の生産性向上・地域経済の活性化、エネルギーの安定供給、車体課税の抜本見直し、申告納税手続きの環境整備―――の5項目となっております。

 中小企業の生産性向上・地域経済活性化では、中小企業の事業承継・再編の促進のため、中小企業経営者の次世代経営者への引継ぎを支援する税制措置の創設・拡充を盛り込んでおります。

 具体的には、親族や従業員等に株式等を贈与・相続する場合や他企業や親族外経営者等に経営を引き継ぐ場合、ファンドを経由して事業承継を行う場合など経営を引き継ぐ際の形態に応じて、税負担の軽減措置を講ずることを求めております。

 また、中小企業・小規模事業者の再編・統合等に係る税負担の軽減措置の創設も要望しております。

 同軽減措置の創設は、多くの中小企業・小規模事業者に影響を与えるものとして注目されており、近年、後継者不在のため事業承継が行えない、投資余力がないために事業継続をためらうといった課題を抱えるケースで、売却やM&Aにより経営資源や事業の再編・統合を図る手法が増えております。

 こうした多様な手法に対してインセンティブを与えることにより、次世代への経営引継ぎを加速させることが必要不可欠として、株式、事業の譲渡益に係る税負担の軽減、不動産の移転及び地上権等の設定に係る登録免許税の軽減の創設、不動産の所有権移転に係る不動産取得税の軽減の創設、一定の要件を満たすファンドから出資を受けた際も中小企業関連の優遇税制の適用が可能とする要件緩和などを要望しております。

 中小企業庁の委託調査によりますと、中規模法人の約3分の1が親族外承継を行っており、後継者不足の中小企業について外部人材等に対する事業承継を促進することも重要であるとの認識が強まっております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年9月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2017年10月30日月曜日

未払い残業代の解決金等その課税関係

 元従業員(被用者)からの未払い残業代請求の訴えが、突然、裁判所から送られて来ることがあります。

 多くの場合は、労働審判への申立て手続きによるもので、裁判官、労働者側、経営者側の3者が双方から提出された証拠資料等を吟味して、3回の審議で結論を出すことになっています。

◆一括支払いの和解金又は解決金

 労働審判は、個別的労使紛争が対象です。

 それ故、集団的未払い残業代の訴えのように、正確な各月の残業代を計算し、各年分の年末調整をやり直す等幾つもの諸手続きを想定していません。

 双方が合意できる金額での早期決着が眼目ですから、調停成立の文言も、「本件解決金(又は本件和解金)として〇〇〇万円の支払義務がある」といった例は散見されます。

 まさに、ザックリとした金額です。

◆名目としての解決金、和解金の実質は

 文言のニュアンスからは、当該解決金等は非課税であるかのような印象も受けますが、やはり審判所への訴えが「未払い残業代」、ということですので、在職中の給与等の追加払い、ということになり、原則、給与所得を構成するのではないかと考えます。

 この場合、未確定であった在職中の給与等の追加払いを一時に受けることから、その受けた年の「賞与」としての扱いになるのではないかと考えられます。

◆支払者(事業主)の手続き

 事業主は、当該解決金が未払い残業代に相当すれば、当然に、その支払いの際には源泉徴収義務を負い、源泉税徴収後の金額を被用者に支払います。

 なお、被用者が源泉徴収すべき税額を含めて強制執行等により未払い残業代全額の回収を求めてきた場合、事業主は解決金の全額を支払う義務を負うことになります。

 但し、その場合であっても、法的には、事業主の源泉徴収義務は免れることはできません。

 事業主は、源泉徴収義務者として解決金〇〇〇万円に相当する源泉税を計算し納付しなければなりません。

 そうすると、事業主は、二重に源泉税分を支払ったことになりますので、その分、被用者に請求することができますが、被用者が無資力の場合はその回収は困難です。

 審判所においても、未払い残業代に伴う源泉徴収税額を双方協議しておくのが望ましいように思います。



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2017年10月27日金曜日

改正労働基準法の内容と動向

◆今秋の臨時国会での審議の行方

 平成27年4月に閣議決定された改正労働基準法案は労働時間や休暇に関する企業にとって大きな影響が及びそうなものでしたが、実施の難しさからか今も継続審議中となっています。

 しかし今秋の臨時国会で働き方関連法案の同一労働同一賃金、時間外労働上限規制と併せて審議されそうな動きがあります。

 労働基準法改正で何が変わるのでしょうか。

◆改正予定の法案の内容

①中小企業における月60時間超の時間外労働割増率50%以上適用猶予の廃止・・・・中小企業では元々月60時間超えでも割増率は50%以上にすることは猶予されていましたが、割増率を上げる事は企業への影響が大きい為、平成31年4月からの実施予定は延長される可能性があります。

②著しい長時間労働に対する助言指導を強化する為の規定の新設・・・・これは時間外労働の上限規制の法案が出ていますので併せて考えられるでしょう。

③一定日数の年次有給休暇の確実な取得・・・・労働者に付与された年次有給休暇のうち「5日」については会社で時季を指定して強制的に有給取得させるというものです。
 
 欧州での有給取得率の高さは会社が有給を取る日を事前に決めているからだそうです。

 この5日については本人が年休取得したり、会社の計画的年休付与を5日以上行ったりしていれば強制的に取らせなくともよいとされています。

 また、年休管理簿の作成が義務付けされます。

④フレックスタイム制の見直し・・・・1日8時間週40時間の適用はありましたが、割増について1ヶ月単位の精算期間の上限を1ヶ月から3ヶ月に延長し1ヶ月を超える枠を決める時は1週50時間を超えたら割増賃金を払う事になります。

⑤企画業務型裁量労働制の見直し・・・・「企画立案調査分析」業務の他それを活用させて裁量的にPDCAを回す業務と課題解決型提案営業も裁量労働(みなし労働)を認めるとしています。

⑥特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェショナル制度)の創設・・・・業務範囲が明確で一定の年収で高度な知識を有する業務に従事する者の労働時間の時間外、休日、深夜の割増適用除外

⑦企業単位で労使の自主的取り組み促進


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2017年10月26日木曜日

消費増税に向け徴収体制強化へ

 国税庁は来年度に向けた予算額と機構・定員の要求で、税務行政のIT化やマイナンバー制度の開始への対応として東京国税局に情報システム専担の部署を設けるとともに、滞納業務に当たる「特別機動国税徴収官」の新設を要望しました。

 新ポストの要望は、滞納のスピーディーな処分にかける国税の意気込みの表れと言えそうです。

 国際的な租税回避行為への対応や税制改正への対応などの観点から、前年より2人少ない1105人の増員要求を行いました。

 ただし併せて来年度には1052人強の定員合理化も行う方針であることから、純増要求数は前年と同じ53人となっています。

 機構要求で目を引くのが、東京国税局に新たに設ける「特別機動国税徴収官(仮称)」です。

 具体的にどのような業務に当たるかは不明ですが、一般的な徴収官の基本的な業務が滞納への対応であることや、要望目的を「調査・徴収事務の複雑化等への対応」としていることから、何らかの形で滞納者へ接触する業務に当たる役職で間違いなさそうです。

 高額であったり悪質であったりする案件へ対応する役職としては、すでに特別徴収官、通称「トッカン」が存在します。

 今回さらに新ポストを求めた背景には、より国税が徴収業務を強化していく姿勢の表れであるとともに、19年10月に控える消費再増税への〝足場固め〟の意味合いも予想されるところです。

 過去の例を見るまでもなく、消費税が上がれば滞納者は急増します。

 高額滞納や、督促に応じない納税者も増えるでしょう。

 そうした状況への備えとして、より「機動的」に動ける現場スタッフを国税が育成しようとしているということは、十分に考えられます。


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2017年10月25日水曜日

ふるさと納税の〝3割超え返礼品〟を容認

 ふるさと納税の返礼品について総務省の野田聖子大臣は、同省の規定した基準を超える返礼品についても、一定の範囲内で認める見解を示しました。

 「3割上限ルール」を順守させるとしてきた強硬姿勢を軟化させた格好です。

 9月上旬の産経新聞のインタビューで野田氏は、「ふるさと納税の良い取り組みを紹介することで、(今年4月に出したような)通知は出さなくても済む」と述べ、再度の通知は出さない方針を示しました。

 さらに翌日の定例会見でも、「総務省からのリクエストはもう届いている。あとはそれぞれの地域の首長が見識を持って、地方分権、地方主権のかたちで道筋を出してください」と語り、4月以降続けてきた各自治体への個別の働きかけを取りやめることを表明しました。

 ふるさと納税をめぐっては、各自治体が寄付金額を伸ばそうとした結果として返礼品の高額化や商品券など換金性の高いものが増え、換金目的での寄付が増加していることが指摘されてきました。

 総務省は数度にわたって「高額返礼品」の自粛を求めてきましたが効果がなかったことから、今年4月に「返礼品は寄付金額3割以下で換金性の低いものに限る」とする通知を全国に発送。従わない自治体に対しては個別に職員を送り込んで説得するといった働きかけを強めた結果、大多数の自治体が返礼品のラインアップを見直すに至っています。

 しかし、ここにきて総務省側が折れた形となっています。

 総務省による締め付けが事実上終結を迎えたことで、再び自治体間による返礼品競争の過熱が予想されます。


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2017年10月24日火曜日

企業の事業売却に税優遇

 経産省はこのほど取りまとめた2018年度税制改正に向けた要望書に、企業のM&Aに税優遇を設ける内容を盛り込みました。

 M&Aを税制面から後押しすることで、戦略的な事業買収といった「攻めの経営」を支援するとともに、後継者難に苦しむ中小企業に早期の決断を促すことが目的とみられます。

 経産省が提示した減税案は、後継者不足に悩む中小企業が他の会社や親族外経営者などに株式や事業を売却した際に、売却益にかかる所得税などを軽減するというもの。

 また事業と併せて不動産などを譲渡することもあり得るため、不動産移転にかかる登録免許税や不動産取得税についてもそれぞれ軽減するそうです。

 さらに企業が収益力の乏しい部門を切り離して主力事業に集中しやすいよう、株式と引き換えに事業を売却した際に譲渡利益や譲渡所得などにかかる法人税や所得税を軽くします。

 大企業、中小企業それぞれにM&Aにかかる税負担を軽減して、企業の新陳代謝を促します。

 今年7月に中小企業庁が発表した「事業承継5ヶ年計画」では、中小企業が利用できるM&A市場の育成や、地域の事業統合支援などを事業の柱に据えました。

 具体的には、国が運営する事業引継ぎ支援センターの体制強化や、民間の創業支援機関との連携強化を図り、年間2千件のM&A成立を目指していくとしています。


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2017年10月23日月曜日

つみたてNISAの商品急増

 来年1月に始まる「つみたてNISA」の対象になる投資信託が120本程度になるとの見通しを金融庁が示しました。

 同庁への事前相談があった商品のうち、基準に対応している商品を選んだものです。

 つみたてNISAの口座開設は今年10月からで、その際には実際の商品が出そろう見通しです。

 金融庁はつみたてNISAの対象をめぐり、税の優遇を受けられる商品の条件として販売手数料をゼロにするなど厳しい水準を示していたため、今春時点では50本程度しかラインアップがそろいませんでした。

 5千本程度の投信全体に占める割合が低いことから、金融庁の森信親長官が講演で「対象になるのは1%しかない」と証券業界に対する批判ともとれる発言をしたほどでした。

 それが数カ月で倍増した背景には、各社が条件を満たす低コストの新商品を開発したほか、既存商品の手数料引き下げを進めたことがあります。

 商品の種類も株式型だけではなく、債権など複数を組み合わせた資産複合型が増えたり、国内外の株式を組み合わせた商品も提案されたりするなど、金融庁は「幅広い商品があり、選択肢が広がりそうだ」と歓迎ムードです。

 つみたてNISAは、国内資産で運用するインデックス投信の場合、保有時にかかる信託報酬を0.5%以下にするのが条件です。

 事前相談のあった投信の信託報酬は平均0.27%で、金融庁が設定した条件を大幅に下回ったことも明らかになっています。

 国内外の資産で運用するインデックス投信も、0.75%が上限ですが平均は0.36%にとどまりました。

 証券業界にとっては設け幅の薄い商品ですが、投資初心者にとってはハードルが低くなったと言えそうです。


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2017年10月20日金曜日

厚生労働省:企業の実情も踏まえて、配偶者手当の見直しを要請!

 2017年度税制改正において、所得税・個人住民税における配偶者控除及び配偶者特別控除を見直し、配偶者控除を満額受けられる配偶者の年収上限を103万円から150万円に引き上げました。

 この見直しにより、いわゆる「103万円の壁」を解消し、就業調整を意識しなくても済む仕組みの構築が期待されますが、そのためには、税制だけでなく、社会保障制度や企業の配偶者手当などの面で総合的な取組みを進める必要があるとみられております。

 今回の改正で、「103万円」という水準が、企業の配偶者手当制度などの支給基準に援用されているとの指摘があります。

 与党の税制改正大綱では、企業に対し「今回の見直しを踏まえ、労使の真摯な話し合いの下、就業調整問題を解消する観点からの見直し」を要望しております。

 厚生労働省(以下:厚労省)においても、企業の実情も踏まえて、配偶者手当の見直しを強く要請しております。

 また、厚労省の2015年職種別民間給与実態調査によりますと、家族手当制度がある民間事業所は76.5%で、そのうち配偶者に家族手当を支給する事業所は90.3%にのぼりました。

 有配偶女性パートタイム労働者の21.0%は、税制、社会保障制度、配偶者の勤務先で支給される「配偶者手当」などを意識し、その年収を一定額以下に抑えるために就労時間を調整する「就業調整」を行っております。

 そのため、パートタイム労働で働く配偶者の就業調整につながる配偶者手当(配偶者の収入要件がある配偶者手当)については、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しが求められ、厚労省では、労使において、個々の企業の実情(共働き、単身者の増加や生涯未婚率の上昇等、企業内の従業員構成の変化や企業を取り巻く環境の変化など)も踏まえて、真摯な話し合いが進められることを期待しております。

 また、厚労省は、「配偶者手当」を含めた賃金制度の円滑な見直しにあたり、労働契約法、判例などに加え、企業事例などを踏まえ、その円滑な見直しに向けて留意する必要がある点として、

①ニーズの把握など従業員の納得性を高める取組み
②労使の丁寧な話合い・合意
③賃金原資総額の維持
④必要な経過措置
⑤定後の新制度についての丁寧な説明

の5点を挙げております。

 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年9月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



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2017年10月19日木曜日

2017年度税制改正:所得拡大促進税制の見直し!

 所得拡大促進税制とは、一定の要件をすべて満たした場合、給与総額の増加分の10%を法人税額から控除できる制度ですが、2017年度税制改正において、新たに「前事業年度比2%以上の賃上げ」という要件を設定し、この要件を満たした企業には税額控除の上乗せが行われることになりました。

 平均給与等支給額が前事業年度比で2%以上増加した場合、大企業は通常の10%に2%を上乗せした12%の税額控除が受けられ、2%未満の場合は同税額控除自体が適用できなくなります。

 一方、中小企業者の場合は、これまでどおり平均給与等支給額が前事業年度より上回っていれば、10%の税額控除を適用することができます。

 さらに、前事業年度比で2%以上増加した場合、12%を上乗せした22%の税額控除を受けることができ、企業規模で控除率に差を設けて、大企業は増加給与額の12%を、中小企業者は増加給与額の22%を、それぞれ法人税額から税額控除できるようになりました。

 所得拡大促進税制の要件は、給与等支給額の総額が2012年度から一定割合以上増加していること、かつ給与等支給額の総額が前事業年度以上であること、一人当たりの平均給与等支給額が前事業年度を上回ることの3要件を満たした場合、給与等支給総額の10%を法人税額から税額控除(上限は法人税額の10%(中小企業は20%))できます。

 大企業の場合は、これらの要件のうち、平均給与等支給額が「前年度比2%以上増加」に変更されました。

 また、新設法人であっても一定の調整措置を満たせば同税額控除を適用することができましたが、改正後は、大企業では平均給与等支給額が前事業年度比で2%以上増加していなければならないため、調整措置を適用しても当期からの税額控除はできなくなります。

 そして、新設法人である資本金1億円以下の中小事業者の場合、上乗せ措置の適用要件は満たさないものの、一定の調整措置により10%の税額控除のみを適用することになりますので、該当されます方は、ご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年9月1日現在の情報に基づいて記載しております。

 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


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2017年10月18日水曜日

雇われ社長(特に外資系企業)へのインセンティブボーナス

◆役員に対する給与の税法規定

 役員に対する給与の税法規定が大きく変わったのは平成18年3月でした。

 それまでは役員賞与が損金不算入(=法人税法で経費とならない)という規定でしたが、平成18年4月1日以降開始する事業年度からは「定期同額給与」、「事前確定届出給与」、「利益連動給与(H290401から業績連動給与)」だけが損金(=法人税法の経費)になるという規定に変わりました。

 「これは税務上の経費とならない」という決め方から、「これだけが経費となる」と180度変わりました。

 この改正の趣旨は、会社の利益の増減を役員報酬の改定で利益調整できないようにするということでした。

◆外資系日本子会社社長は一従業員!である

 外資系日本子会社の場合、一般的に、海外の親会社が100%株主であり、子会社役員は株式の保有がありません。

 そのため、取締役の報酬を決議する株主総会での議決権を持ちません。

 つまり、自分の役員報酬を自分で決めることはできません。

 また社員も含め年俸制が多く、日本の企業のような盆・暮れの賞与という慣習はほとんどありません。

 一方で、「個人の成績で決定される」インセンティブボーナスという制度を持つ会社は少なくありません。

 インセンティブボーナスは、一見「利益連動給与」に類似するものにも思われがちですが、親会社100%株主の同族会社には適用されません。

 また、「事前確定届出給与」も他の社員に対して定期的に賞与を支給している常態になければ適用が困難です。

 このように社長へは賞与(=インセンティブボーナス)を会社の損金として支払うことはできないのですが、海外の親会社(特に米国)は、「頑張った分をボーナスとして払えないのは納得できない!」として、日本の税法規定を理解してもらえません。

◆インセンティブボーナス支払のウルトラC

 これまでは、ボーナス分は翌年の役員報酬に反映させて、12か月で「定期同額給与」として支払うしか方法がありませんでした。

 ところが、平成27年3月16日民商第29号通知(法務省)【代表取締役が日本に住所を有しない場合の申請に関する通知】により、取締役を国外親会社の役員だけで構成させることで、日本子会社社員にインセンティブボーナスを払える環境となりました。

 これはウルトラCともいえる方法ですが、子会社に日本在住の役員がいないという事態はビジネス上大きなマイナス要因ともなりかねません。

 親会社の経営判断ですが、慎重な検討が必要です。

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2017年10月17日火曜日

時間外労働の限度に関する基準

◆法定労働時間を超えた時間外労働の基準

 法定の労働時間を超えて労働させる場合、又は法定の休日に労働させる場合には、事前に労使間で時間外労働、休日労働に関する協定(36協定)を結び労働基準監督署に届出をしておく必要があります。

 36協定を定める時には労働時間の延長の限度に関する基準があります。

 36協定は下記の基準に適合したものにするようにしなくてはなりません。

①業務区分の適合化・・・・業務の範囲の明確化、具体的業務区分が必要
②一定期間の区分・・・・1日を超えて3ヶ月以内の期間と1年間の両方を協定する
③延長時間の限度(法定の休日労働含まず)・・・・例)期間が1週間の場合、一般労働者は15時間、対象期間が3ヶ月を超える1年単位の変形労働時間制の適用労働者は14時間を超えないものとする

◆適用除外

 次の事業又は業務には延長限度時間は適用されません。

①工作物の建設
②自動車の運転業務
③新技術、新商品の研究開発
④厚生労働省指定事業又は業務

◆特別条項付き協定

 臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合に特別条項付き協定を結べば限度時間を超えて時間を延長する事ができます。

 要件は次の通りです。

①原則としての延長時間(限度時間以内の時間)を定める事
②限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情を具体的に記す
③特別の事情とは一時的、突発的であり、一年の半分を超えないことが見込まれる事
④限度時間を超える労働時間の割増賃金率を定め、法定割増率を超えるよう努める

 特別条項付き協定には限度時間の上限が無いので長時間労働になりがちとの見解もあります。

 過重労働にならぬよう安全配慮義務を考えた上で行いたいものです。


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2017年10月16日月曜日

次世代無線通信規格がもたらす変化

 次世代の超高速無線通信「第5世代(5G)」の開発が加速しています。

 5Gとはデータ通信などに用いる国際規格で、現在の規格、4Gの次に適用される予定になっています。

 5Gは4Gよりも10~100倍の高速通信が可能です。

 画質の美しさはもとより、従来実現できなかったサービスが可能になるため、新たなビジネスチャンスの宝庫として注目を集めています。

 日本のほかには、米国、欧州、中国、韓国が2020年の実用化を目途に開発を進めています。

 日本国内ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が商用化を目指し、実証実験をはじめました。

 新技術のなかでも、期待されているものの一つが立体映像の分野です。

 通信速度が速くなったことで、データ量の多い、3次元映像がインターネットで楽しめるようになります。

 具体的には、専用のヘッドセットを装着することで、スポーツ選手やアイドルを間近で見ているような体験が可能になります。

 オリンピックのサッカーならば、あたかも自分が試合会場のピッチ付近に立っているような体験ができ、選手がすぐ横を走り抜けるといった立体映像を楽しむことができます。

 また、アイドル歌手と一緒にダンスを踊る、間近で歌を聴くといった、テレビにはないネットでの映像コンテンツが実現可能になります。

 ほか、VR(バーチャルリアリティ)で月面旅行を楽しめる、スマホで冷蔵庫の中身をスーパーから確認できるなど、さまざまなことが可能になります。

 また、バスの自動運転や工事で用いる建機の遠隔操作、医療分野では遠隔治療など、新市場の創出、拡充に期待が高まっています。

 次世代の超高速無線通信「第5世代(5G)」の開発が進んでいます。

 実用化により、私たちの生活に変化をもたらすといわれています。

 映像分野はもとより、バスなどの交通分野にも変化が訪れる可能性があります。

 その中、自動運行に関する実験が既に始まっています。

 5Gは情報伝達の遅延が少ないという利点があり、自動ブレーキの精度が格段に上がるといわれています。

 将来、バスは神戸の「六甲ライナー」などと同様に、無人運転になる日が来るかもしれません。

 5Gの実用化により生まれる新市場は130兆円という試算もあり、巨大市場でのビジネスチャンスに期待が集まるのもうなずけます。

 ただ、世界では、日本以外にも米国、欧州、中国、韓国など、多数の国が5Gの開発に取り組んでいます。

 そのため、各国間で機器やサービスの覇権争いに関して激しさを増しているという現実があります。

 現在、5Gの商用化で先端を走るのは米国企業です。

 ほか、スマホのアプリケーション技術では、中国やスウェーデン、フィンランドなどの企業が進んでおり、日本は後塵を拝しています。

 競争が激化する中、日本の巻き返しを期待したいところでもあります。

 もう一つの懸念材料はテレビ離れに拍車がかかることです。

 5Gの実用化により、3次元映像の実現をはじめ、スマホなどのコンテンツが魅力を増すことが予想されます。

 その中で、テレビは従来とは異なる映像を制作するなど、舵切りにより視聴者を確保するのか。

 それとも、スマホとの協業を通して、新たな収益の形を模索するのか。

 今後、テレビの変化も注目のポイントの一つとなります。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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2017年10月13日金曜日

兼業・副業による人材活用

 生産年齢人口の減少に対し、働き盛りの世代により高い生産性を発揮してもらう観点から、兼業・副業の許容に向けた議論が進んでいます。

 経済産業省は、「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会」を設置し、兼業・副業の実態や優良事例の把握を行い、現状の課題及び官民がなすべき政策的方向性を検討してきました。

 2017年3月に公表された同研究会の提言などを取りまとめた報告書によると、兼業・副業のメリットとデメリットは企業側、従業員側ごとに以下の通りに整理されます。

 まず企業側のメリットとしては、「人材育成」「優秀な人材の獲得・流出防止」「新たな知識・顧客・経営資源の獲得」などがあげられます。

 また、従業員側のメリットとしては、「自身の能力・キャリア選択肢の拡大」「自己実現の追求・幸福感の向上」「創業に向けた準備期間の確保」などがあげられます。

 一方で企業側のデメリットとしては、「本業への支障」「人材流出等」「従業員の健康配慮」「情報漏洩等、様々なリスク管理」などがあげられます。

 また、従業員側のデメリットとしては、「就業時間の増加による本業への支障等」「本業・副業間でのタスク管理の困難さ」などがあげられます。

 兼業・副業にはこうしたメリット、デメリットが指摘されつつも、兼業・副業を推進することによって、
①オープンイノベーションの促進、
②自己実現・人材育成の促進を通じた一億総活躍社会の創出への貢献、
③成長産業である地方の中小企業や公益的な事業分野への人材供給の活性化
などといった政策的期待が高まっているのです。

 では兼業・副業による人材活用を推進している企業では具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。

 ここでは中小企業庁経営支援部が2017年5月に公表した「兼業・副業を通じた創業・新事業創出事例集」に掲載されている株式会社フューチャースピリッツ(事業内容:ITインフラ事業及びクラウドサービス事業)の取組みについてみていきましょう。

 同社は、2016年6月に業務時間内に自社の業務に関係のないことを行える制度である「会社公認“働かない制度”」を導入しました。

 これは事業や活動の内容、収入の有無などを記載した申請書を会社に提出し承認されると、副業を含め、月間で最大20時間を自由に使うことができるというものです。

 制度の導入に至った経緯としては、社会経済の変化のスピードが速まる中、時代の流れを掴むには 異業種人材を含む社外の人間との接触や業務外の主体的な活動によって社員の知識・能力を高めることが欠かせないとの判断に至ったことによるものです。

 制度の導入にあたっては、制度の背景や趣旨を社員に的確に理解してもらう必要性から、全社員を対象とした定例会議の場で、社長自らが直接社員に対して同制度を紹介しました。

 また、制度の運用にあたっては、社員と意思疎通を密にとることで、不公平感をできるだけ発生させないように配慮し、社長自身も制度を活用する当事者や周囲の社員の反応を把握しつつ個別にケアを行っています。

 このような兼業・副業に関する新たな制度を導入することで、社員が起業家の感覚を持ちつつ能動的に事業の創発に携わったり、社員のモチベーションが向上したりするなどの効果が期待されているのです。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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2017年10月12日木曜日

毎年1千億円超の休眠預金発生

 預金者本人と連絡が取れなくなって10年以上が経つ「休眠預金」が、毎年1千億円超のペースで生まれていることが分かりました。

 本人などからの払い戻し請求に応じた額を除いても年間700億円以上が生まれているそうです。

 東京商工リサーチはこのほど、銀行が休眠預金の払い戻し請求に対応するために計上する「睡眠預金払戻損失引当金」の額を調査し、発表しました。

 引当金は過去の払戻実績などに基づいて、金融機関の負債の一部として会計処理されるものです。

 調査によると、107金融機関の今年3月期決算時点での「睡眠預金払戻損失引当金」の総額は、前年同期から3.4%増えて951億4800万円でした。

 この結果には、決算書の科目に同引当金の項目がないメガバンクの実態が含まれていないため、実際に積み上がった国内金融機関の休眠預金の額が1千億円を軽く超えたものであることは確実と言えます。

 また金融庁によれば、休眠預金の発生額は2014年3月期で1187億円(うち払い戻し460億円)、15年3月期で1278億円(同518億円)、16年3月期で1308億円(同565億円)と、徐々に増加していることが分かります。

 払い戻しを受けていない人も多い状況です。

 なお、昨年12月に「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」が成立したことで、休眠預金は、福祉・健康増進・地方活性化などの社会的事業への活用が可能となっています。

 実際に休眠預金が助成されるのは19年秋頃となる見通しです。

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2017年10月11日水曜日

相続税申告の失敗事例集を国税庁が作成

 相続税の申告書を作成する時に誤りがちなポイントを国税庁が事例集としてまとめ、ホームページで発表しました。

 事例として挙げられているのは14のパターン。

 そのうち3例が、亡くなった人の一親等の血族か配偶者以外の人が財産を相続する時に、相続税額が20%アップする「2割加算ルール」に関するものでした。

 例えば孫養子は代襲相続でない限りは、相続税法上では2親等扱いとなり、2割加算ルールが適用されるとして、申告書に記入する際に注意するように呼び掛けています。

 他には、養子縁組をした際の基礎控除額や、生命保険契約に関する「みなし相続財産」の計算、被相続人が受け取っていなかった年金の支給を受けた時の処理などが例に挙げられています。

 国税庁は、この事例集と併せて、「相続税の申告のためのチェックシート」も活用することで、相続税の申告書を正しく作成してほしいとしています。

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2017年10月10日火曜日

内閣府:大法人の国税・地方税の電子申告を義務化へ!

 内閣府の規制改革推進会議・行政手続部会は、「規制改革推進に関する第1次答申」を公表し、行政手続コスト(事業者の作業時間)を20%削減(取組期間は3年、事項によっては5年まで許容)する目標を明らかにしました。

 また、国税、地方税について、大法人の電子申告利用率を100%とする数値目標も設定しました。

 そして、規制改革の一つに「税・社会保険関係事務のIT化・ワンストップ化」を挙げ、従業員の所得税(年末調整)、住民税(特別徴収税額通知)及び社会保険に関係する事務は、企業にとって大きな負担であり、より生産性を高めていく上での制約要因ともなっていると指摘しております。

 企業及び従業員双方にとって合理的な制度を構築すべく、プロセス全体を見直し、最適な制度設計に向けて検討を行い、規制改革項目を取りまとめました。

 具体的には、
①所得税に係る年末調整手続きの電子化の推進
②住民税の特別徴収税額通知の電子化等
③社会保険関連手続きの見直し
を掲げました。

 前項①では、源泉徴収義務者の事務負担も踏まえ、書面により提出する年末調整関係書類について、電磁的な方法による提出を可能とすべく、関係者の意見も踏まえて、結論を得るとしました。

 前項②では、特別徴収税額通知の正本の電子交付を行っていない市区町村に対し、電子交付の導入の意義・効果に関する助言など電子交付の推進に必要な支援を行い、特別徴収税額通知の従業員への交付について、事業者に電子的に送信して従業員が取得することや、マイナポータルを利用して事業者を経由せずに従業員が取得できるようにするなどの可能性を検討し、できるだけ早期に結論を得るとしました。

 なお、行政手続簡素化においては、電子化が必要である手続きについて、添付書類も含め、電子化の徹底を図ること、事業者が提出した情報について、同じ内容の情報を再び求めない、同じ情報は一度だけを原則とすること、同じ目的又は同じ内容の申請・届出等について、可能な限り同じ様式で提出できるようにするとしております。

 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年8月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


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2017年10月6日金曜日

えっ、納税までクレジットカード対応?

◆給与の源泉税もクレジットカード払い

 平成29年6月12日(月)から、e-Tax(国税電子申告・納税システム)から「国税クレジットカードお支払サイト」へのアクセスが可能となりました。

 源泉所得税の申告・納付は、銀行に出向いて窓口で納付するよりも、インターネットバンキングで納付する方が楽ですので、税理士自身e-Taxを使い、関与先にも利用を勧めている方も多いでしょう。

 6月下旬に源泉税の納付の際に、いつもと画面が違い、「あぁ、クレジットカード納付がいよいよ始まったのだな」と気づかれたかもしれません。

◆クレジットカード払いの利便点

 出張の際の新幹線や航空券の購入、ホテルの宿泊代の支払いはもちろん、毎月の電気、ガス、電話代にいたるまでクレジットカード払いができるようになっています。

 クレジットカードの請求書に添付される「ご利用明細書」等は、
①その書類の作成者の氏名又は名称、
②課税資産の譲渡等を行った年月日、
③課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容、
④課税資産の譲渡等の対価の額、
⑤その書類の交付を受ける者の氏名又は名称
が記載されていることが一般的ですので、消費税法第30条第9項に規定する請求書等に該当することになります。

 その意味で、会計帳簿の記帳の観点からも、クレジットカード払いには利便性があると言えます。

◆経理の本音(会社の電話代等一部のものの支払いにクレジットカードは使わないで!)

 このように利便性の高いクレジットカード利用ですが、経理担当の目から見ると(=経理をチェックする税理士もしかり)、支払に充ててほしくない使途先があります。

 具体的にいうと、電話代などの実際の利用に比べて支払いが2か月近く遅れる支払です。

 電話代の請求は、通常利用月の翌月に請求書が発行され、口座振替の場合は翌月末日等、大体はひと月遅れで精算されます。

 これがクレジットカード払いとなると、約ふた月遅れとなり、決算確定の最終金額の数字確認が遅れる場合もままあります。

 利用によるポイントが付いたり、資金の後払いとなったりと、お得感の大きいクレジットカード払いですが、実際の運用に際しては、経理担当者等の意見も聞いて、会社全体として賢く使ってほしいものです。

 そう言い忘れていました、国税のクレジットカード払いは、このシステムの受託業者への手数料が発生しますので、お得感はその分目減りします。


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