2018年4月30日月曜日

国民年金保険料 学生納付特例と追納

◆学生納付特例制度

 所得の少ない学生が、国民年金被保険者の場合、保険料の納付を先送り(猶予)できる制度です。

 学生納付特例制度を利用していると病気やけがで障害が残った時に障害年金が受給できます。

 保険料の納付が先送りにできる制度と言っても将来において猶予期間に対する保険料を必ず納付しなければならないわけではないのですが、納付しなければ年金額には反映されません。

 将来の年金額には反映されないと知った上で後からこの期間の分の保険料を納めない人もいます。

 一方で将来受け取る年金を増やしたいと考えれば追納制度で保険料を納めます。

 また、猶予期間は将来の年金の受給資格期間には算入されます。

◆追納制度とは

 追納は保険料を免除されていた期間や保険料納付猶予制度を利用していた期間において後から保険料を納付する事ができる制度です。

 追納を希望する場合は、年金事務所で追納の申し込みをします。

 厚生労働大臣の承認を受け納付書が渡されますのでその納付書で支払います。

 追納については現在口座振替やクレジット支払いはありません。

 追納のできる期間は追納が承認された月の前10年以内の免除・猶予期間に限られています。

 例えば平成30年4月分の追納は平成40年4月までで、承認された期間の内、古い期間から納付しなければならない事になっています。

 追納は保険料の納付猶予を受けた翌年度から起算して3年度以降に保険料を納付する場合はその当時の保険料に加えて利子相当分も含めて納付します。

 追納する場合はその年度から猶予制度を利用した2年度以内に納付する方が良いでしょう。

 保険料を追納すると将来受け取る年金額が増え、追納した年の社会保険料の控除の対象にもなります。

定時退社と「持ち帰り残業」

◆持ち帰り仕事と労働時間

 最近の働き方改革の流れの中で、残業時間削減の為、定時退社を促される場合もあるでしょう。

 その様な時に仕事が終わらず自宅に持ち帰った場合の労働時間の扱いはどうなるのでしょうか?

 そもそも労働時間とは使用者の指揮命令下にある時間だとされています。

 労働者の行為が使用者の指揮命令下におかれたものと評価する事ができるか否かにより客観的に定まるものとされています。

◆上司の命令はどうか

 残業は上司の直接的な命令だけでなく、具体的に指示されていた仕事が時間内にはできない程度の量である場合や、その日の業務の性質上残業させざるを得ないような状況である場合、使用者の「暗黙の指示」により行った残業とされます。

 就業規則等の規定の社内ルールで上司の承認が無ければ残業を認めないと決めていたとしても、個別かつ具体的に残業を中止させるような明確な指示、命令が必要であり、終業時刻を過ぎたら強制的に退社させる等も必要でしょう。

◆持ち帰り仕事は残業になるか

 会社側が一定の時刻に強制退社させるとなると、労働者はその日に処理するべき仕事ができなくなった場合、やむを得ず帰宅後に持ち帰り残業をするかもしれません。

 これについて労働時間となるのかどうかという問題があります。

 使用者の指揮命令下にあるかと言うと難しい判断です。

 上司から自宅に持ち帰ってでも仕事を終わらせるよう指示された時や、暗黙でもノルマをこなすよう指示されていた場合は自宅でも労働時間とみなされる可能性はあります。

 しかし重要な書類や秘密データ等を社外に持ち出す事にもなります。

 上司が容認、黙認する事は情報漏えいリスクも伴うので認める事がどの位あるのでしょうか。

 労働者が自分で自主的に持ち帰りした時は労働時間ではないとみなされます。

 長時間労働を抑えると言って強制退社させるなら、このような事態を招かないように、持ち帰り仕事を禁止する場合は仕事量も考えた上でのルール化が必要でしょう。

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2018年4月29日日曜日

【時事解説】粉飾はブレーキを持たない その2

 第2期になり、損益は次のように好転しました。

(3)第2期の正しい損益
売上:1,000 売上原価:900(期首在庫300、当期仕入900、期末在庫300) 損益:100

 第2期の実態は(3)の通りなのですが、帳簿上はこうはなっていません。

 それは、(2)で期末在庫の粉飾を行っていて、(3)の期首在庫は500で計算するからです。

 第2期で粉飾を行わないと、第2期の売上原価は1,100(500+900-300)ですから、第2期の損益は100の赤字になってしまいます。

 第2期の正しい損益100を維持するためには、(4)のように、やはり期末在庫を500として、在庫の過大計上を続けざるを得ません。

(4)第2期の粉飾した損益
売上:1,000 売上原価:900(期首在庫500、当期仕入900、期末在庫500) 損益:100

 上記の設例では、第2期は損益が好転しているので、在庫の粉飾額は前期と同額で済みましたが、粉飾をするような会社はそう簡単に収益は好転せず、赤字額が拡大していくのが普通です。

 粉飾決算は損失の先送りに過ぎませんから、黒字を仮装するためには粉飾の金額は雪だるま式に膨らんでいきます。

 粉飾決算を途中で是正することは容易ではないのです。

 粉飾決算はブレーキを持たない車のようなものです。

 車なら買わなければいいのですが、残念なことに粉飾という車は常に背後霊のように会社に存在しています。

 経営者は粉飾という車が走り出さないように、自らを厳しく律すると同時に監視を怠ってはいけません。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

【時事解説】粉飾はブレーキを持たない その1

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 東芝の例に見られるように粉飾決算は後を絶ちません。

 ただ、誰でも粉飾決算をやりたくて、しているわけではありません。

 粉飾決算は犯罪ですから、やむを得ず始めたとしても、できるだけ早く切り上げたいと思っているはずです。

 しかし、粉飾は一度始めると、なかなか止めることはできません。

 粉飾決算には色々なパターンがありますが、最もよくあるのは在庫操作です。

 その典型である在庫操作を例にとり、粉飾を止めるのがいかに難しいのか考えてみましょう。

 ある会社の第1期が次のような決算状況だったとします。

(1)第1期の正しい損益
売上:1,000 売上原価:1,100(期首在庫500、当期仕入900、期末在庫300) 損益:△100

売上は1,000で、売上原価は1,100ですから、損益は100の赤字です。

赤字は困るので、(2)のように粉飾することにしました。

(2)第1期の粉飾した損益
売上:1,000 売上原価:900(期首在庫500、当期仕入900、期末在庫500) 損益:100

 本当の期末在庫は300ですが、500に水増しして、売上原価を900にすると、利益は100になります。

 ただ、この操作は一時的に利益を出すための粉飾ですから、利益状況が好転すれば、適正な期末在庫に戻したいと考えています。

 そこで、第2期に損益が思惑通り好転すれば、粉飾から脱却できるでしょうか。
(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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2018年4月28日土曜日

司法取引制度が6月スタート

 政府は3月中旬、日本版「司法取引」制度の開始時期を今年6月1日とする政令を閣議決定しました。

 また司法取引の対象となる犯罪に、脱税に関する罪が新たに加えられました。

 日本版司法取引は、第三者の犯罪への関与を供述する見返りに、自分の罪が軽くなるというもの。

 犯罪捜査の強力な一手となることが期待されますが、一方でえん罪のリスクをはらむことにもなります。

 司法取引とは、自身や他者の犯した罪について認めたり詳細を供述したりすることを条件として、罪を軽くする仕組み。

 米国では、自身の罪を認める代わりに罪を軽くするタイプの取り引きも導入されていますが、こちらは日本版では取り入れず、あくまで他者の犯罪についての情報提供を材料とする取り引きのみにとどめます。

 容疑者や被告が共犯者らの犯罪について供述すれば、検察官が起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりするというものです。

 閣議決定された政令では、これまで取り引きの対象に想定していた刑法の贈収賄、組織犯罪処罰法で定める組織的犯罪に加えて、新たに経済関係の罪が加えられました。

 そのなかには「租税に関する法律の罪」として、脱税が含まれています。

 今後は会社ぐるみの脱税事件などで逮捕された経理担当者が「脱税は社長の指示だった」と供述し、社長が起訴される一方で本人は起訴を免れるといったケースも起こり得そうです。

 司法取引の導入で懸念されるのが、虚偽供述などによるえん罪の増加です。

 この点について、日本版制度では取り引きの合意に至るまでの協議では必ず弁護士が立ち会い、弁護士の合意も必要となります。

 取り引きが成立すれば書面が作成され、情報を提供された当事者の裁判では、当事者と裁判官に書面が開示されるそうです。

 もっともこれでえん罪の懸念を完璧に払しょくできるわけではなく、実際の運用には慎重さが求められることになりそうです。

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ハズレ馬券を経費にする3条件

 国税庁は3月上旬、競馬のハズレ馬券の税務上の取り扱いに関する通達の改正案を公表しました。

 昨年12月に最高裁が下した馬券の所得区分に関する判決を受けたもので、原則的に「一時所得」に当たる馬券の払戻金が、どれだけ恒常的かつ網羅的な購入であれば「雑所得」に当たるのかの境界線が読み取れるものとなっています。

 馬券の払戻金が「一時所得」に当たるか「雑所得」に当たるかが問題となっているのは、それぞれで経費として認められる範囲が大きく変わってくるからです。

 一時所得であれば、収入に直接要した金額のみが経費と認められるため、収入に直接結び付いていないハズレ馬券の購入費用は経費に当たりません。

 一方、雑所得では経費の範囲が大きく広がり、「その他業務上の費用の額」にハズレ馬券の購入費用が含まれます。

 国税庁の示した改正案では、自動購入ソフトを利用するか、「予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組み合わせにより定めた購入パターン」に従って、「年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入」し、「回収率が(中略)100%を超えるように馬券を購入し続けてきた」という条件に限って、馬券の払戻金を「雑所得」と認めるとしています。

 具体的なポイントは3つで、
①個々のレースを予想するのではなく一定のパターンに従っていること、
②ほぼ全てのレースで馬券を購入すること、
③年間を通じて確実に利益を上げていること
――となっています。

 最高裁の判決でも、継続性や、個々のレースに着目しない網羅性などが雑所得として認められるための重要項目として挙げられていたことから、それらを踏まえた改正案と言えます。

2018年4月27日金曜日

(後編)国税庁:2016事務年度の無申告法人に対する調査事績を公表!

(前編からのつづき)

 取引先法人に対する調査において、本店登記が遠隔地(乙署管内)であるA社に対する支払いを把握したため、実態を確認したところ、無申告のため調査が行われました。

 その結果、A社は、事業活動を隠ぺいするため、事業の実態のない遠隔地に本店登記を置いたままであること及び外注費の支払等を全て現金で行い、原始記録を破棄して帳簿書類も作成せず、税務申告を不正に逃れていました。

 A社に対しては、7年間の法人税の申告漏れ所得金額1億5,400万円について追徴税額4,800万円(重加算税含む:以下同じ)及び5年間の消費税について追徴税額2,000万円がそれぞれ課税されました。

 一方、申告はしているものの赤字としていた無所得申告法人3万3,400件を実地調査した結果、そのうち2万4,000件から2,534億円の申告漏れ所得金額を把握され222億円を追徴課税しました。

 また、8,000件が不正を働いており、不正所得金額は1,102億円となるとともに、そのうち5,000件は実は黒字法人で、実地調査件数全体の13.4%が黒字法人であったことが明らかになりました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年3月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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30代の事業承継で業況好転

 東京商工会議所が中小企業を対象にした事業承継アンケートによると、事業を30代で引き継いだ経営者の過半数が、事業承継後に業況を好転させているそうです。

 バブル景気崩壊後の1993年以降に事業を引き継ぎ、その後に「業況が拡大した」と回答したのは、20代、40代、50代、60代では44~47%とほぼ一定であったのに対し、30代のみ57%と突出しました。

 一方、「業績が悪くなった」と答えた割合では、20代が最も高く23%に上っています。

 事業承継後の動きをみると、新商品・サービスの開発に取り組んだのは、30代が34%と最も高く、20代の27%を引き離しました。

 40代以降は年齢が上がるにつれて減少しています。

 東商は「事業承継のタイミングとして、現経営者の年齢で判断するだけでなく、後継者候補が30代の時期に、経営の承継を検討すべき」と提言しています。

 また、「すでに後継者を決めている」という企業と「後継者候補はいる」という企業では、事業承継の準備や対策に大きな差が出ていることも分かりました。

 「すでに後継者を決めている」企業は、「後継者候補はいる」企業に比べて「後継者への株式の譲渡」や「借入金・債務保証の引き継ぎ」、「自社株の評価額」などで準備・対策を行なっている割合が高くなっています。

 「後継者候補はいる」企業は、後継者を誰にも周知していない割合が高く、いざ事業承継を実施する時になって後継者が難色を示すなど円滑に進まないことも考えられます。

 自社の役員・従業員を後継者(候補)としている企業のうち、後継者を誰にも周知していない企業が、60代では3割、70歳以上では2割に上っています。

 さらに深刻なのは、後継者が決まっていない企業です。

 「後継者を決めていないが、事業を継続したい」企業は後継者の確保を課題と感じていますが、準備・対策を行なっている企業は19%にとどまっています。

 社長の年齢が上がるにつれて、後継者の探索・確保を課題と感じている割合が高くなっています。

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2018年4月26日木曜日

(前編)国税庁:2016事務年度の無申告法人に対する調査事績を公表!

 国税庁は、2016事務年度の無申告法人に対する調査事績を公表しました。

 それによりますと、2016事務年度(2017年6月までの1年間)において、事業を行っていると見込まれる無申告法人2,623件(前年対比2.7%増)に対して実地調査をし、法人税63億6,700万円(同38.7%増)を追徴課税しました。

 また、消費税については1,988件(前年対比0.4%増)を実地調査した結果、消費税50億2,100万円(同24.4%増)を追徴課税し、法人税と合わせて113億8,800万円(同32.0%増)を追徴課税しました。

 このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人税363件(同16.3%増)及び消費税244件(同14.0%増)の法人に対し、法人税27億5,100万円(同23.5%増)、消費税14億9,400万円(同94.0%増)を追徴課税しました。

 事案では、事業活動を隠ぺいする目的で移転登記をせずに無申告であった甲署管内で建物の解体工事などを営むA社のケースがあがっております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年3月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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金の密輸、4年で100倍

 全国の税関による2017年の金密輸の取り締まり実績を財務省が発表しました。

 摘発件数は前年比66%増の1347件と過去最悪を4年連続で更新しています。

 また押収量は6236キロで前年比2.2倍となりました。

 金の密輸は消費増税前の13年は12件で、4年で100倍以上に増えました。

 急増している背景には消費税の増税が深く関係しています。

 金は世界共通の価格で売買されていますが、日本での売買には消費税を納めなくてはなりません。

 これを密輸によって免れ、国内で売買すると税額分が利ザヤとして手に入ることになります。

 例えば1億円の金塊を外国で購入し、日本で売ると1億800万円を受け取れます。

 そのため海外から金を持ち込む者には、税関であらかじめ消費税分8%を納めることを義務付けています。

 しかし入国時に申告せずに税関をすり抜け、日本国内の買い取りショップに持ち込んで利ザヤを抜く〝ビジネス〟が横行しているのです。

 密輸方法は航空旅客・乗組員によるものが1270件と全体の9割以上でした。

 密輸元は韓国、香港、台湾の順に摘発件数が多く、この上位3カ国・地域で全体の9割を占めました。

 税関を抜ける手口は様々で、過去の例では粘着テープで足の裏に金を張り付ける者や、ブレスレットやベルトのバックルに加工して持ち込む者、キャリーバッグのハンドル部分に隠す者が摘発されています。

 なかには皮膚に模したシリコンを腹部に装着し、その内側に金を隠すケースもありました。

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2018年4月25日水曜日

(後編)国税庁:2016事務年度のネット取引に対する調査事績を公表!

(前編からのつづき)

 調査事例では、知人のインターネット上の認証IDや母親名義の銀行口座を利用して行っていたネットオークション(骨董品)に係る所得が無申告のケースがあがっております。

 インターネット取引名義人Aは、部内資料等から、インターネット取引により、多額の収入を得ているにもかかわらず、申告していないことが想定されたため、調査に着手され、その結果、Aは調査対象者Bに名義を貸している事実が判明したため、Bに対しても調査に着手しました。

 調査の結果、Bはインターネット取引名義人Aから、認証IDを借り、骨董品をインターネットオークションに出品し、決済口座は母親名義の銀行口座を利用して、多額の所得を得ていましたが、申告せずに無申告の事実が把握されました。

 そして、Bに対しては所得税6年分の申告漏れ所得金額約6,100万円について追徴税額(重加算税を含む:以下同じ)が約1,600万円及び消費税3年分の追徴税額が約300万円が課税されました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年3月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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ポイントサイトでの小遣い稼ぎにかかる税金の課税と申告

◆ポイントサイトで小遣い稼ぎ

 ネット通販の買物の際に、あるサイトを経由するだけで、販売主(例えば家電量販店)のポイントの他に、ポイントがもらえるしくみがあります。

 ポイントサイトと呼ばれるものです。

 獲得したポイントは、交換することで、現金やギフト券、電子マネーや航空マイレージ等に交換することができます。

 ちょっとしたお小遣い稼ぎです。

 稼ぎ方は、次のように分類されます。

(1)買物してポイントをもらう
(2)クレジットカード申し込み、FX口座の開設などでポイントをもらう
(3)アンケート回答でポイントをもらう
(4)文書作成等の仕事でポイントをもらう

◆ポイントサイトは広告宣伝費の還元

 ポイントサイトの役割は、ポイント付与で、広告主サイトに誘導すること(集客)です。

 集客した顧客データを広告主に提供します。

 ここでいう情報とは、属性(男女、年齢、職業、都道府県等)、広告主サイトへの訪問数、どれくらいの割合が最終販売までこぎつけたのか等です。

 広告主は広告宣伝費としてポイントサイトに対価を払います。

 その一部がポイントサイト利用者に還元されているのです。

◆ポイント取得にかかる課税問題

 ポイント取得原因を、稼ぎ方の観点から、①買物の値引き、②広告主企業からのプレゼント、③役務・労働の対価、に分類できます。

 ①(1)の買物でもらったポイントを同じサイトの買物代金に充当できる場合は、値引きとして課税の対象とはなりませんが、ポイントサイトでこうした例は少なく、ポイントサイトからのプレゼント扱いです。

 ②(2)のような場合は、広告主からのプレゼントとなり一時所得とされます。

 ③(3)や(4)は、役務提供による対価として、雑所得として課税されます。

◆ポイントで稼いだ分の申告は必要か?

 サラリーマンで給与を1か所からだけもらっている場合(=大半の方がこれに該当するはずです)は、雑所得が20万円以下であれば、確定申告をしなくとも構いません。

 一時所得は、50万円の特別控除があります。この範囲内に収まれば、確定申告しなくともOKです。

 上記金額を超えて稼ぎすぎたら確定申告が必要です。



2018年4月24日火曜日

(前編)国税庁:2016事務年度のネット取引に対する調査事績を公表!

 国税庁は、2016事務年度のネット取引に対する調査事績を公表しました。

 それによりますと、2016事務年度(2017年6月までの1年間)において、ネット取引を行っている個人事業者などを対象に1,956件(前事務年度2,013件)を実地調査した結果、1件あたり平均1,197万円(同1,164万円)の申告漏れ所得金額を把握しました。

 この申告漏れ額は、同時期の実地調査における特別調査・一般調査全体での1件平均918万円の約1.3倍となっており、申告漏れ所得金額の総額は234億円(同234億円)にのぼりました。

 調査件数を取引区分別にみてみますと、ホームページを開設し、消費者から直接受注するオンラインショッピングを行っている「ネット通販」が628件(1件当たり申告漏れ901万円)、「ネットオークション」が414件(同1,093万円)、「ネットトレード」が347件(同1,582万円)、「ネット広告」が246件(同1,012万円)、「コンテンツ配信」が34件(同1,426万円)、出会い系サイトなどの「その他のネット取引」287件(同1,660万円)となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年3月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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量子コンピューターがもたらす期待とは その2

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 最近、世界の企業が開発に力を注いでいるものの一つに「量子コンピューター」があります。

 物流における効率的なルート選定のほか、複雑な計算を要する新薬の開発、DNA分析など、様々な分野での応用が期待されています。

 医療の分野では、がんの放射線治療で、患者に適した安全な放射線の照射量の算出も瞬時にできるようになります。

 量子コンピューターは、開発を手掛けるメーカーはもとより、部品を供給する企業、コンピューターの性能を活かして新たなサービスを提供する企業など、幅広い分野にビジネスチャンスをもたらします。

 こうした商機を得ようと、世界で多くの企業が開発に着手しています。

 具体的には、カナダの企業が2011年に商品化したのをはじめ、米国ではグーグルやIBM、マイクロソフトなどが開発を進めています。

 ほか、EU、英国、中国なども参入し、開発競争にしのぎを削っています。

 日本はやや出遅れていますが、政府が量子コンピューターの開発を政策の一つに掲げ、2018年度から10年間、約300億円の投資を決めました。

 現在の開発状況は、2017年、NTTが試作機の開発に成功しています。

 ほか、民間企業ではNECや日立製作所などが参入し、数年後の実用化を目指して、人員増加などで体制の強化をはかっています。

 ただ、まったく弊害がないわけではありません。

 懸念の一つには暗号読解があります。

 従来のコンピューターの処理能力では、解読が不可能とされていた暗号でも、量子コンピューターは性能が良いので解読できてしまう、といった負の側面もあります。

 こうした影の部分を解決しながら、社会が受けるメリットの最大化をどう進めるかにも注目が集まります。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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2018年4月23日月曜日

予定納税と振替納税

◆こないだ払ったのにまたすぐ請求が!

 給与を複数個所からもらうようになったとか、サラリーマンから独立をしたとか、賃貸不動産が軌道に乗り始めて儲けが多くなったとか、そういった方から「こないだ確定申告で税金を払ったのに、また国税から請求が来ている!」と相談が来る事があります。

 長年事業をやっておられる方はご存じかと思いますが、これは予定納税制度というものです。

 その年の5月15日現在において、確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、その年の所得税等を前払いする制度です。

 事業版の源泉徴収制度、という感じでしょうか。

◆予定納税は減額可能だが……

 予定納税は「去年の実績にあわせて、次の確定申告時の税金の一部を前払い」するものです。

 ただし、今年が去年よりも実際に払う所得税額が低いと見込まれる場合は、「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」という手続きを行うことによって、予定納税額を減らすことができます。

 理由に関しては多岐にわたるものが例示されています。

 例えば廃業や休業、失業をした場合はもちろんのこと、業況不振で所得が下がりそうだとか、災害や盗難、医療費の支出、扶養親族や社保控除や寄附金控除の増加等、何はともあれ「税金を払う予定の額が少なくなった場合」は減額申請ができるようです。

 ただし、予定納税した後の確定申告で、実際に納税した額よりも税金が少なかった場合は、還付加算金という利息が付いて戻ってくるので、資金に余裕がある場合は減額申請をしない方がちょっとだけお得です。

◆振替納税は読んで字のごとく

 振替納税は、その名の通り口座引落しで所得税等を払う方法です。

 前述の予定納税がある場合で振替納税の手続きをしていると、予定納税額が7月と11月に引き落とされるようになります。

 便利ではありますが、日々の入出金と同じ口座を利用していると「不意な引落しでお金が足りない!」という事態もありえますので、資金管理はしっかりとしましょう。


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量子コンピューターがもたらす期待とは その1

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 最近、世界の企業が開発に力を注いでいるものの一つに「量子コンピューター」があります。

 これは、物理の量子力学を応用して計算するコンピューターです。

 従来、計算速度では、スーパーコンピューターがもっとも優れているとされていましたが、量子コンピューターはより高速で答えをはじき出すのが特徴です。

 今後、実用化が進めば、高速計算が必要な分野は量子コンピューターが取って代わるといわれています。

 様々な計算の中でも、量子コンピューターが得意とするのは、膨大な選択肢から最適な答えを導き出すことです。

 一例を挙げると、製品の運送ルートの選定があります。

 工場から製品を複数の納品先に配送する場合、いくつものルートが考えられます。

 納品先が多数になるほど組み合わせも多くなる上、渋滞や天候、事故、工事など、交通の妨げとなる事象により、最短、最速で回るルートは変わります。

 中でも、渋滞の状況は刻々と変化するため、計算が極めて複雑です。

 従来のコンピューターでは、最適なルートを導き出すには時間がかかりすぎて、答えが出るころには状況も変わってしまうこともありました。

 ところが量子コンピューターならば、即時に答えが出せるので、従来よりも目的地に、短い時間と距離で到着できる可能性が高まります。

 結果、運送コストの削減、さらには効率よく配送できるので、人手不足の解消といった社会が抱える課題の解決にも貢献します。

 応用分野は、物流のほかにも営業の巡回ルート、さらには複雑な計算が必要な新薬の開発など、多くの分野で期待されています。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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2018年4月22日日曜日

M字カーブの解消

◆女性の労働力率過去最高

 総務省が1月にまとめた労働力調査によれば2017年は働く人、15歳から64歳の生産年齢の男性は3289万人、女性は2609万人いるそうです。

 労働力率(生産年齢人口の内、生産活動に参加している人の割合)から見ると男性は85.6%、女性は69.4%と開きがありますが、女性の比率は過去最高です。

 景気回復が始まった2012年から上昇が加速し5年間で6ポイント上昇しました。

 海外も含め、歴史的にも珍しい上昇率です。

 米国やフランス(ともに67%)をも上回っています。

◆M字カーブはほぼ解消

 この労働力率を年齢層別にグラフを描くと現れるのがM字カーブと呼ばれるカーブで、女性の30代を中心に出産や育児で職を離れる人が多いとM字の谷が深くなり、働く人が増えると浅くなります。

 女性は30代の出産育児で離職し、40代で子育てが一服すると再び働く傾向にあります。

 欧米では台形型に近いのですが日本は30代がへこむM字型になっています。

 女性が働き続ける環境が整っていないのではと言われていました。

 しかし、最近はだんだん台形型に近づいてきています。

 30歳から34歳の女性の労働力率は30年前には5割程度でしたがここ数年で急上昇し2017年には75.2%となり、40歳から44歳の77%に近くなっています。

 また、育児休業も昨年10月より最長2歳まで取得できるようになっている事等もあり、パートタイムではなく正規雇用で復職するケースも増えています。

◆人手不足を背景に

 総務省の調べでは出産育児を理由に求職を断念している人は89万人いると言う事です。

 しかし政府や企業が働き続けられる労働環境を後押ししていることも事実です。

 日本は景気回復してきている上に高齢化が進行しており、人手を確保しなければ企業活動も支障をきたします。

 ニッセイ基礎研究所によれば働く女性の生涯賃金について非正規で働いた場合の生涯所得は6千万円程度、また、2人の子を出産、育休・時短勤務をしながら正社員で働き続けると生涯所得は2億円程度と言う試算があります。

 企業側に非正規雇用を望む面もありますが、世帯収入が増えれば消費が増え経済の好循環ができるなら良いですね。


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中小企業における女性活躍 その2

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 では、中小企業において女性活躍を推進するにはどのような取組みが求められるのでしょうか。

 埼玉県内の製菓会社は、高級米菓及び洋菓子の製造・販売を行う企業で、女性比率は正社員で4 割弱、準社員と呼ばれるパートタイム従業員で9 割以上となっています。

 同社の育児休業を始めとする制度は、正社員だけでなく準社員も利用しています。

 その背景として同社では一人が 3種類以上の業務を担当できる「一人三役」を推進し、お互いにフォローしあえる体制が整備されている点があげられます。

 また、人事制度の運用に際しては、以下のような工夫がなされています。

 1点目は「業務の割り振り」です。

 具体的には、定期的に各自が自身の業務の棚卸しを行い、所属長がチェックすることで業務の見直しが行われています。

 2点目は「業務習熟度ランクの公開」です。

 同社では各従業員のスキルが業務ごとに整理され、その一覧表が社内に掲示されています。

 このため部署を超えて誰にどの業務を任せることができるかなどが一目瞭然となっています。

 3点目は「人事評価への反映」です。

 同社では「一人三役」の考えに沿った人事評価制度を導入し、メインの職務の遂行能力に加えサブの職務の遂行能力も盛り込んだ評価基準を公表することで、従業員が助け合いの重要性を十分に理解することが可能となっています。

 このように女性活躍の推進にあたっては、従業員全員がお互いの業務を理解し分担しあうために社内プロセスの見える化を図ることが求められるのです。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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2018年4月21日土曜日

年金機構、公的年金130万人に過少支給

 今年2月に支給された公的年金で、所得税の控除がされずに支給額が本来よりも少なかった人が約130万人いることが明らかになりました。

 配偶者控除の見直しなどで、日本年金機構が2017年度から控除を受けるための申告書の様式や記入方法を大幅に変更したことで、受給者が控除に必要な申告書を提出しなかったり、記入をミスしたりするケースが続出したことが原因とのことです。

 機構は正規の手続きを済ませた人には、次の4月の支給分に不足分を上乗せして支給するとしています。

 申告書を出さないままだと、今後も本来より少ない状態が続きます。

 過少受給の可能性のあるのは、年金から所得税が源泉徴収される人で、年金額が65歳未満で年108万円以上、65歳以上で年158万円以上となります。

 対象者が所得税の控除を受けるには毎年、「扶養親族等申告書」を提出する必要があります。

 これまでは、変更がなければ機構から届く往復はがきの「変更なし」にチェックを入れて投函すればよかったのですが、マイナンバー制度の導入や税制改正によって、A3用紙に自らの手で内容を記すことになりました。

 機構は昨夏、封書で約795万人に申告書を送付。

 しかし記入変更を理解できていない人が多く、未提出や提出の遅れ、記入ミスが相次ぎました。

 これとは別に、受給者が正しく申告したにもかかわらず、機構が委託する業者が入力ミスをしたケースも見つかっています。

 機構は申告書を提出した約500万人分のデータを確認するそうです。


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中小企業における女性活躍 その1

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 人口減少に伴い中小企業における人材確保が喫緊の課題となる中、中小企業における女性活躍が求められています。

 総務省「就業構造基本調査」に基づいて従業者規模別に雇用者の男女別の構成比をみると、規模の小さい事業者ほど女性の占める割合が高くなっており、女性が中小企業において重要な労働の担い手であることがわかります。

 また、総務省「労働力調査」に基づいてここ20年の女性の就業率をみると上昇傾向にあります。

 「中小企業白書2017年版」では、中小企業における中核人材としての女性の活用状況について取りまとめています。

 これによると、職業の選択において女性では「勤務地」、「職場環境・人間関係」、「仕事と生活の両立」、「所定勤務時間・日数」、「残業時間」について妥協できないとする割合が高くなっています。

 その背景としては、女性においては家庭等の事情から時間や場所について相対的に制約があることがあげられます。

 こうした女性側のニーズに対し、女性を中核人材として活用している中小企業においては、「職場環境・人間関係への配慮」、「時間外労働の削減・休暇制度の利用促進」、「勤務時間の弾力化」といった女性が重視する働きやすさにつながる職場環境の整備がなされています。

 女性も含めた多様な人材の活用に向けては、柔軟な働き方ができる職場環境を整備すること、従業員の理解を進め適切なマネジメントを行うこと、従業員全員がお互いの業務を理解し、分担しあうために社内プロセスの見える化に取り組み標準化を進めることが求められるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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2018年4月20日金曜日

相続登記の義務化を検討

 上川陽子法務大臣は3月2日の参院予算委員会で、全国に所有者不明の土地が大量にある問題について、民法や不動産登記法の改正を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する方針を表明しました。

 現在、相続登記は任意で、登記を行うことは相続人の判断に委ねられています。

 相続登記が行われなければ、登記簿上の名義は死亡者のままとなり、そのまま放置され続けて世代交代が進めば、法定相続人はねずみ算式に増えることが問題視されてきました。

 所有者不明土地が増加する要因として、相続人が固定資産税などの税負担を避けたり、土地管理の煩わしさから放置したりするケースが指摘されています。

 このため法制審議会では相続登記を義務化して、違反した場合の罰則を設けることを検討することになりそうです。

 また現行制度には土地所有権の放棄に関する明確な規定がないことから、放棄の可否についても検討します。

 所有権放棄を認めることになれば、国や自治体が管理するケースが増え、財政負担が増大することも懸念されており、条件や費用負担などの明確なルール作りが必要になるとみられます。

 所有者不明土地を巡っては、増田寛也元総務相ら民間有識者でつくる研究会が、所有者台帳からは現在の持ち主をすぐに特定できない土地が2016年に全国で約410万ヘクタールに上るとの試算を公表。

 対策を講じなければ、40年には北海道本島(約780万ヘクタール)の面積の所有者不明土地が発生し、経済損失額は累計で約6兆円に上ると推計しています。

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(後編)国税庁:2016事務年度の相続税調査事績を公表!

(前編からのつづき)

 申告漏れの内訳をみてみますと、「現金・預貯金等」が1,070億円(前事務年度1,036億円)で全体の33.1%と最多、以下、「有価証券」が535億円(同364億円、構成比16.5%)、「土地」が383億円(同410億円、同11.8%)、「家屋」が56億円(同64億円、同1.7%)のほか、「その他(不動産、有価証券、現金・預貯金等以外)」が1,189億円(同1,071億円、同36.8%)となりました。

 一方、無申告事案については、前事務年度より12.5%多い971件の実地調査を行い、そのうち77.3%に当たる751件(前事務年度比14.7%増)から866億円(同5.1%増)の申告漏れ課税価格を把握し、69億円(同28.6%増)を追徴課税しました。

 また、海外資産関連事案についても積極的に調査しており、2016事務年度は917件(前事務年度比6.8%増)の実地調査を行い、そのうち117件(同0.0%)から海外資産に係る申告漏れ課税価格52億円(同12.1%増)を把握、そのうち7億円が重加算税賦課対象となり、非違1件当たりの申告漏れ課税価格は4,483万円にのぼりました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年4月19日木曜日

(後編)国税庁:2016事務年度の海外取引法人等に対する調査事績を公表!

(前編からのつづき)

 A社に対しては、6年分の法人税申告漏れ所得4億5,300万円について1億5,700万円を追徴課税しました。

 一方、経済取引の国際化に伴い、企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化するなか、国税庁では非居住者や外国法人に対する支払(非居住者等所得)について、源泉所得税の観点から、重点的かつ深度ある調査を実施しております。

 外国法人に対する工業所有権等の使用料や人的役務提供事業の対価などの支払について、源泉徴収を行っていなかった事例も多く見受けられました。

 2016事務年度では、給与等や使用料、人的役務提供事業などについて国際源泉所得税の課税漏れを1,556件(前年度比1.9%増)見つけ、42億5,300万円(同75.0%減)を追徴課税しました。

 国際源泉所得税の非違の内訳(追徴本税額2,000万円以上)は、「使用料」に係るものが30%を占めて最多、以下、「人的役務提供事業」が26%、「給与等」が18%、「不動産賃貸等」が10%、「利子・配当」が8%、「不動産譲渡」が4%となりました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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(前編)国税庁:2016事務年度の相続税調査事績を公表!

 国税庁は、2016事務年度の相続税調査事績を公表しました。

 それによりますと、2016事務年度(2017年6月までの1年間)において、相続税調査は、おもに2014年中に発生した相続を中心に、申告額が過少・申告義務がありながら無申告と思われるものなど1万2,116件(前事務年度比1.5%増)を実地調査し、うち82.0%にあたる9,930件(同1.7%増)から3,295億円(同9.7%増)の申告漏れ課税価格を把握し、加算税101億円を含む716億円(同22.8%増)を追徴課税しました。

 実地調査1件あたりでは、申告漏れ課税価格2,720万円(前事務年度比8.0%増)、追徴税額591万円(同21.0%増)となりました。

 また、申告漏れ額が多額だったことや、故意に相続財産を隠ぺいしたことなどにより重加算税を賦課した件数は1,300件(同4.0%増)で、その重加算税賦課対象額は540億円(同17.7%増)となり、重加算税賦課割合(重加算税賦課件数1,300件/申告漏れ等の非違件数9,930件)は13.1%(同0.3ポイント増)となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年4月18日水曜日

(前編)国税庁:2016事務年度の海外取引法人等に対する調査事績を公表!

 国税庁は、2016事務年度の海外取引法人等に対する調査事績を公表しました。

 それによりますと、2016事務年度(2017年6月までの1年間)において、海外取引法人等に対する調査は1万3,585件(前事務年度比4.1%増)行われ、そのうち24.5%に当たる3,335件(同0.8%減)から海外取引等に係る非違を見つけ、2,366億円(同2.5%増)の申告漏れ所得金額を把握しました。

 そのうち500件(同14.2%増)は、租税回避行為など故意に不正計算を行っており、その不正所得金額は206億円(同23.4%増)にのぼりました。

 調査事例として、架空経費を計上して不正資金を海外に送金していた工場用機械装置を設・製造・販売するA社があり、国外送金等調書を端緒に調査した結果、A社は知人のY国のBと共謀し、架空の業務委託費を計上して捻出した簿外資金をX国にあるB名義の個人口座に送金していたことが判明しました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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(後編)総務省:2016年度のふるさと納税に関する現況調査を公表!

(前編からのつづき)

 ふるさと納税が増加した理由について、寄附を受け入れた各自治体にたずねてみますと、「返礼品の充実」が57.1%で最多、次いで「ふるさと納税の普及、定着」が57.0%と続き、以下、「収納環境整備(クレジット納付、電子申請の受付等)」(41.8%)、「HP等の広報の充実」(32.4%)、「2015年度における制度拡充(ふるさと納税枠の倍増、ふるさと納税ワンストップ特例制度の創設)」(30.1%)などの理由が挙げられております。

 各地方公共団体の返礼品は、94.2%(1,684団体)が「返礼品を送付している」と回答し、返礼品を送付する仕組みを設けていない104団体(5.8%)のうち、43団体(2.4%)が「今後の返礼品送付を検討中」としております。

 なお、2016年度のふるさと納税受入等に伴う「返礼品の調達に係る費用」は、全団体合計で109億810万円となっており、ふるさと納税寄附額(2,844億900万円)に占める割合は38.4%となりました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年1月5日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
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2018年4月17日火曜日

(後編)国税庁:2016事務年度の所得税調査事績を公表!

(前編からのつづき)

 件数は全体の7.6%ですが、申告漏れ所得金額は全体の50.6%を占め、調査1件あたりの申告漏れは918万円となりました。

 また、実地調査に含まれる着眼調査(資料情報や事業実態の解明を通じて行う短期間の調査)は、前年度比16.7%増の2万1千件行われ、うち1万6千件から同19.1%増の860億円の申告漏れを見つけ、66億円を追徴し、1件あたり平均申告漏れは405万円となりました。

 一方、簡易な接触は、同1.2%減の57万7千件行われ、うち34万2千件から同0.5%減の3,525億円の申告漏れを見つけ、293億円を追徴し、1件あたりの平均申告漏れは61万円となりました。

 実地調査トータルでは、前年度比6.1%増の7万件の調査を行い、うち5万8千件から同2.2%増の5,359億円の申告漏れを見つけ、819億円を追徴しました。

 近年の所得税調査の特徴は、高額・悪質と見込まれるものを優先して深度ある調査(特別調査・一般調査)を重点的・集中的に行う一方で、実地調査までには至らないものは電話や来署依頼による簡易な接触で済ます調査方針にあります。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。エリアは問いません。ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。


(前編)総務省:2016年度のふるさと納税に関する現況調査を公表!

 総務省は、すべての地方公共団体(1,788団体)を対象に実施した「ふるさと納税に関する現況調査」結果(有効回答数:都道府県47団体、市区町村1,741団体)を公表しました。

 それによりますと、2017年3月までの1年間(2016年度)のふるさと納税の寄附額は2,844億888万円にのぼり、前年度(1,652億9,102万円)の約1.7倍、寄附件数も1,271万780件で前年度(726万93件)の約1.8倍となったことが明らかになり、寄附額は4年連続で過去最高を更新しました。

 ふるさと納税とは、自分の生まれた故郷や応援したい自治体に対する寄附金のうち2,000円を超える部分について、一定の上限まで、原則所得税・個人住民税から全額が控除されます。

 寄附件数や寄附額が増加した背景としては、寄附者に送る返礼品の充実に加え、2015年度税制改正での個人住民税等が減税される寄附上限額の約2倍に引上げ、5つの自治体まで確定申告不要とする「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の導入などがあるとみられております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年1月5日現在の情報に基づいて記載しております。
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2018年4月16日月曜日

(前編)国税庁:2016事務年度の所得税調査事績を公表!

 国税庁は、2016事務年度の所得税調査事績を公表しました。

 それによりますと、2016事務年度(2017年6月までの1年間)において、所得税調査は、前年度(65万件)に比べて0.5%減の64万7千件行われました。

 そのうち、約62%にあたる40万件(前事務年度39万6千件)から同1.1%増の8,884億円(同8,785億円)の申告漏れ所得が見つかりました。

 その追徴税額は同3.5%増の1,112億円(同1,074億円)で、1件平均137万円(同135万円)の申告漏れに対して17万円(同17万円)を追徴しました。

 実地調査における特別調査・一般調査(高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に行う深度ある調査)は、前年度に比べて2.1%増の4万9千件を実施し、そのうち約88%にあたる4万3千件から同0.5%減の総額4,499億円の申告漏れ所得を見つけました。

 その追徴税額は、同0.9%増の753億円となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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労務関係文書の保存期間

◆企業活動を行う際に作成される文書

 企業で作成される文書は企業にとって重要な情報が多く含まれています。

 その作成、保存、廃棄に至るまでは適切に管理する事が重要です。

 特に顧客情報や人事・労務関係の個人情報に関連した文書の管理、保存、廃棄については個人情報保護法の趣旨をもふまえた細心の注意を払う事が必要です。

 労働基準法第109条では労務に関連して作成される書類の保存期限が取り上げられています。

 労働者名簿、賃金台帳及び雇い入れに関する書類、解雇に関する書類、災害補償や賃金その他の労働関係に関する重要な書類は3年間保存する事が義務づけられています。

 出勤簿やタイムカード等は労働に関する主要な書類に該当するので3年間保存となります。

 この3年間とは起算日も定められていて労働者名簿であれば労働者の死亡、退職、又は解雇の日、出勤簿やタイムカードは完結した日から起算する事になっています。

◆電子データの取り扱い

 企業活動において社内文書を保管スペースや用紙のコスト削減等で、可能な限り書面でなく電子データで保存する事が多くなってきています。

 労働者名簿や賃金台帳も書面でなく電子データで保存する事も多くなっていると思います。

 これらの書類も電子データで保存する事は認められていますし、保存期間も書面と同じとされています。

 但し、取り扱いは一定の条件があり、労働基準法にかかる行政通達により示されています。

 それによると故意や過失による消去、書き換え、及び混同ができないようにする事や保存義務のある内容の画像情報を記録した日付、時刻等の情報も同一の電子媒体に記録されこれらを参照できるようにしておく必要があります。

◆電子データ保存上の留意

 電子画像情報は正確に記録し、かつ法定保存期間にわたって保存できるようにしておきます。

 そして書面の提出が必要な際には必要な事項が明らかになり、取り出せるようになっている事が必要です。

 電子データで保存する場合にはデータの不正な消去、改ざんが行われないようなセキュリティー対策を講じておく事は大事でしょう。


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2018年4月15日日曜日

ものづくり・商業・サービス 経営力向上支援補助金 中小企業が対象の補助金です

 この補助金は、中小企業・小規模事業者が取り組む、経営力向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。

 認定支援機関の全面バックアップを得た事業を行う中小企業・小規模事業者が対象となっています。

 機械装置費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウド利用費などが補助の対象になりますが、事務所の家賃や電話代など、一般的な諸経費は補助の対象になりません。

 ものづくり補助金の特徴ですが、経費については先に支払い、決定後に補助金が下りる仕組みになっています。

 そのため、前もってキャッシュの準備を検討する必要があります。

●補助上限額・補助率

・企業間データ活用型:補助上限額1,000万円、補助率2/3以内
・一般型:補助上限額1,000万円、補助率1/2以内※
・小規模型:補助上限額500万円、補助率1/2以内

●審査における加点項目

①固定資産税ゼロの特例を措置した自治体で、160万円以上の機械装置等固定資産の先端設備等導入計画が認定された企業
②「経営革新計画」の認定または、「地域経済牽引事業計画」の承認のいずれかを取得した企業
③総賃金の1%賃上げ等に取り組む企業
④小規模型に応募する小規模企業者
⑤九州北部豪雨の局地激甚災害指定を受けた市町村に所在し、被害を受けた企業

※一般型は原則1/2の補助率ですが、①又は②の条件を満たした場合は補助率が2/3になります。加点項目が多いほど補助される可能性が高くなります。

 前年は11月に公募が始まったのですが、今年は2月に始まりました。

 締め切りは平成30年4月27日(金)締切日当日消印有効。

 平成30年6月中を目処に採択公表を行う予定です。現状において2次公募は予定ですが、開始時期・実施内容は未定です。

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保険の契約者変更時の調書義務化

 今年から、生命保険の契約者変更があった時に、変更内容やその時点での解約返戻金相当額を記載した調書の提出が保険会社に義務付けられるようになっています。

 今般の見直しによって課税当局による契約情報の把握がより徹底されることなる点を把握しておきたいところです。

 従来は調書の提出は「保険金の支払いが生じた時」のみの義務でしたが、今年1月からは名義変更をするだけでも調書の提出が必要となりました。

 また変更時点での解約返戻金相当額の記載も義務化されています。

 さらに契約者の死亡によらない契約変更についても、これまでは「払い込んだ保険料の総額」だけを記載すればよかったところを、「変更後の契約者が払い込んだ保険料の総額」も記載するよう義務付けられました。

 税務上、契約者の死亡によって保険が相続人などに引き継がれると、その時点での解約返戻金相当額が相続財産となり申告義務が発生します。

 また通常の契約者変更では、前の契約者が負担した払込保険料に相当する受取保険金部分が贈与税の対象となります。

 しかし従来の制度では、契約者変更だけでは法定調書が提出されないため、課税当局が名義変更の事実を十分に把握できていませんでした。

 そのため、契約引き継ぎによって得た相続財産を申告していなかったり、保険金を受け取る際に前の契約者が支払った保険料まで「自分の払込保険料」として経費に含めたりするケースが起きていました。

 見直しにより、名義変更時と保険金支払時の2段階での情報把握を徹底することで、納税者への監視を一層強めることになります。


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2018年4月14日土曜日

「民泊」8割超が禁止

 マンション管理業協会は2月27日、会員企業が業務を委託しているマンションの約8割で、一般の住宅に旅行者を有料で宿泊させる「民泊」を禁止したとの調査結果を発表しました。

 同協会には、全国の分譲マンションの約9割超の管理を担っている管理会社365社が加盟しています。

 調査では、2月4日時点で管理業務を請け負っているマンション管理組合の9割超にあたる8万7352組合から回答を得たところ、管理規約の改正や総会・理事会での決議で民泊を禁止した管理組合が80.5%に達したことが分かりました。

 この中で禁止するとした管理組合のうち、管理規約の改正で対応する組合が全体の44.6%で、総会や理事会による決議で禁止とした組合が35.9%でした。

 一方で、容認したマンションは0.3%にとどまり、対応を決めていないマンションは19.1%でした。

 住宅宿泊事業法(民泊法)が昨年6月15日に施行され、民泊を営みたい人の都道府県などへの届け出が3月15日から始まっています。

 管理規約や総会・理事会で民泊を禁止すれば届け出はできなくなります。なお、分譲マンションは全国に633万5千戸あると言われています。

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2018年4月13日金曜日

中小企業者等における投資の促進に係る税制の創設

(前編から)

Ⅲ 用語の意義(新措法42の12の5③)

1 雇用者給与等支給額

 法人の各事業年度(以下「適用年度」といいます。)の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額(その給与等に充てるため他の者から支給を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額)とされます。

2 比較雇用者給与等支給額

 適用年度開始の日の前日を含む事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額とされます。

3 雇用者給与等支給増加額

 雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額とされます。

4 継続雇用者

 当期及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある雇用者で一定のものとされます。

5 賃上げ率

 継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額の継続雇用者比較給与等支給額に対する割合とされます。

6 教育訓練費の額

 国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ又は向上させるための費用で、その法人が教育訓練等(教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものとされます。)を自ら行う場合の外部講師謝金・外部施設等使用料等の費用、他の者に委託する場合の委託費及び他の者が行う教育訓練等に参加する場合の参加費等とされます。

7 中小企業比較教育訓練費の額

 前期の教育訓練費の額とされます。

Ⅳ 適用関係(平成30年改正法附則86)

 前述したⅠ及びⅡの改正は、法人の平成30年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用され、同日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については、なお従前の例によります。

おわりに

 平成30年度税制改正では、基準年度(平成24年度)との比較が撤廃され、雇用者給与等支給増加額の計算が前事業年度との比較とされます。

 また、賃上げ率の計算も一人当たりの「平均給与」から継続雇用者の「給与の総額」をベースとしたものとされますので、従来よりその計算が少し楽になるでしょうね。

2018年4月12日木曜日

中小企業者等における投資の促進に係る税制の創設

はじめに

 わが国の企業収益は過去最高を更新し続け、バブル期を超えて過去最高水準となっております。

 また、企業の現預金等の保有残高も2011年以降増加し続け、228.5兆円となっております。

 平成30年度税制改正では、企業収益及び預貯金等の保有残高を生産性向上のための設備投資や人材投資に振り向け、持続的な賃上げを促す観点から所得拡大促進税制が大幅に改組されることとなりました。

 このうち、本稿では、改組・創設された中小企業者等における投資の促進に係る税制の概要について解説します。

Ⅰ 適用要件(新措法42の12の5②)

 青色申告書を提出する中小企業者等(中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものを除きます。)が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度(「大企業における賃上げ及び投資の促進に係る税制(新措法42の15の5①)」の規定の適用を受ける事業年度、設立事業年度、解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は対象外とされます。)において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、賃上げ率が1.5%以上であるとき(中小企業者等の雇用者給与等支給額がその比較雇用者給与等支給額以下である場合を除きます。)は、雇用者給与等支給増加額の15%相当額の特別税額控除ができることとされます。

 ただし、特別控除税額は、当期の法人税額の20%相当額が上限とされます。

Ⅱ 特別税額控除率の上乗せ措置(新措法42の12の5②カッコ書き)

 上記Ⅰの規程の適用を受ける場合において、次に掲げる①及び②のすべての要件を満たすときは、上乗せ措置として雇用者給与等支給増加額の25%相当額の特別税額控除ができることとされます。

① 賃上げ率が2.5%以上であること。

② 次のいずれかの要件を満たすこと。

イ)教育訓練費の額から中小企業比較教育訓練費の額を控除した金額のその中小企業比較教育訓練費の額に対する増加割合が10%以上であること。

ロ)その中小企業者等が、その事業年度終了の日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものであり、その認定に係る経営力向上計画に記載された経営力向上が確実に行われたことにつき証明がされたものであること。

(つづく)

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2018年4月11日水曜日

(後編)国税庁:2016事務年度の法人税等の申告事績を公表!

(前編からのつづき)

 なお、申告欠損金額のピークは1999年度の33兆2,791億円でしたので、2016年度は約36%まで減少したことになります。

 さらに2017年6月末現在の連結法人数は、親法人が1,775法人(前年対比4.5%増)、子法人が1万2,681法人(同5.9%増)の計1万4,456法人(同5.7%増)となりました。

 このうち、2017年7月末までに申告した親法人は1,681件(同4.6%増)で、その黒字申告割合は、前年度に比べ2.5ポイント上昇の63.2%となり、申告所得金額は同6.1%増の10兆9,602億円と増加し、申告欠損金額は同35.6%減の1兆3,234億円と大幅に減少しました。

 また、連結納税での申告書に添付された個々の親法人・子法人の決算内容の届出書をみてみますと、届出件数1万3,840件のうち、黒字分は66.8%に当たる9,239件、赤字分が4,601件となり、企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算して所得が計算できる連結納税の効果は大きいものとみられます。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


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2018年4月10日火曜日

(前編)国税庁:2016事務年度の法人税等の申告事績を公表!

 国税庁は、2016事務年度(2017年6月までの1年間)の法人税等の申告事績を公表しました。

 それによりますと、2017年6月末現在の法人数は、前年度から1.0%増の307万9千法人で、そのうち2016年度内に決算期をむかえ、2017年7月末までに申告した法人は、同1.3%増の286万1千法人となりました。

 その申告所得金額は同3.2%増の63兆4749億円と7年連続で増加し、過去最高額となりましたが、申告税額の総額は同1.3%減の11兆2,372億円で、7年ぶりに減少しました。

 法人の黒字申告件数は95万件(前年対比4.8%増)で、黒字申告割合は前年度に比べ1.1ポイント増の33.2%となり、6年連続で上昇しました。

 また、黒字申告件数も6年連続で増加しましたが、黒字法人の申告1件あたりでは前年度に比べて1.6%減の6,679万円となりました。

 一方、申告欠損金額は同13.1%減の11兆9,162億円、赤字申告1件あたりの欠損金額も同12.8%減の624万円と、ともに減少し、企業業績が改善されつつあるものとみられます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


2018年4月9日月曜日

(後編)国税庁:同庁ホームページの質疑応答事例を更新!

(前編からのつづき)

 また、「家屋が災害により居住できなくなった場合」の照会要旨は、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた家屋が災害により居住できなくなった場合には、この控除を受ける年の12月31日まで住んでいなかったことから、その年分以降は住宅借入金等特別控除の適用は受けられないかというもので、住宅借入金等特別控除の適用を受ける要件には、この控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住していることが必要とされております。

 これについては、2016年1月1日以後に、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた従前家屋が災害により居住の用に供することができなくなった場合において、その従前家屋を居住の用に供した日以後10年間の各年について、その従前家屋に係る住宅借入金等の金額を有するときは、2017年分以後に住宅借入金等特別控除の適用を受けることができると回答しております。

 該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年4月8日日曜日

(前編)国税庁:同庁ホームページの質疑応答事例を更新!

 国税庁では、納税者からの照会に対して回答した事例等のうち、他の納税者の参考となるものを同庁ホームページに「質疑応答事例」として掲載しております。

 新たな事例として所得税、財産評価、法人税、消費税、印紙税が掲載されました。

 そのうち、所得税では、「相続により取得した減価償却資産の耐用年数」や「家屋が災害により居住できなくなった場合」を掲載しております。

 上記の照会要旨では、相続により取得した賃貸用の建物を引き続き賃貸の用に供した場合に、この建物の減価償却費の計算における耐用年数は、耐用年数省令3条1項の中古資産に係る見積もりによる使用可能期間に基づく年数とすることができるかというもので、相続により取得したこの建物の耐用年数は、中古資産に係る見積もりによる使用可能期間に基づく年数とすることはできないと回答しております。

 その理由として、所得税法施行令126条2項の規定によるとしており、照会の建物については、被相続人から取得価額、耐用年数、経過年数及び未償却残高を引き継いで減価償却費を計算することになると説明しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年2月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。

2018年4月7日土曜日

70歳以上まで働ける企業割合は2割超

◆「高年齢者の雇用状況」の集計結果

 厚労省は高年齢者を65歳まで雇用する為の高年齢雇用確保措置の実施状況をまとめた平成29年「高年齢者の雇用状況」の集計結果を公表しています。

 それによると、昨年の6月1日現在、従業員31人以上の企業156,113社のうち雇用確保措置を実施済みの企業は99.7%(155,638社)で、70歳以上まで働ける企業は22.6%(35,276社)でした。

 雇用確保措置とは高年齢者雇用安定法で60歳以上の高年齢者の雇用確保義務が定められたものです。

・65歳まで定年の引き上げ
・希望者全員を対象の継続雇用制度導入
・定年制の廃止

 上記のいずれかの措置を行わなければなりません。

◆雇用確保措置の内訳と実施状況

 前述しましたが雇用確保措置の実施企業は99.7%です。

 そのうち「継続雇用制度の導入」により雇用確保措置を講じている企業は80.3%、「定年の引き上げ」は17.1%、定年制の廃止は2.6%となっています。

 継続雇用制度を講じている企業のうち希望者全員を対象としている65歳以上の継続雇用制度導入企業は70.0%、対象者を限定する基準がある継続雇用制度導入企業は30.0%です。

 継続雇用先が自社のみである企業は94.1%となっています。

◆希望者全員65歳以上まで働ける企業状況

 希望者全員が65歳以上まで働ける企業は75.6%で、大企業では55.4%ですが中小企業では78.0%です。

 また、66歳以上となると大企業では2.2%、中小企業では6.1%です。

 一方で70歳以上まで働ける企業割合は22.6%で、前年比1.4ポイント上昇です。

 大企業では15.4%、中小企業では23.4%となっています。

 特に中小企業では前年比1.3ポイントも上昇しています。

 年金受給年齢が上がる中、雇用確保措置とは言え元気で働く気のある高年齢者が増えれば、企業側も経験、意欲、能力、体力等に応じた配置や処遇を推進していくことが大事でしょう。

後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。
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2018年4月6日金曜日

出張族のクレジットカードからのポイント取得

◆クレジットカード経費精算でポイント蓄積

 業務上の出張では、立替払いで新幹線切符を購入しホテルの宿泊費も払い、ひと月に一度、前月分の経費精算をするというパターンの会社が多いのではないでしょうか。

 個人の経費立替時にクレジットカードで支払えば、カードの引落時期が通常1~2か月後であることから、会社の経費精算でお金が返還されるタイミングと合うため、個人の資金繰りに影響しないので便利です。

 また、クレジットカードの利用で、平均0.5~1%程度のクレジットカードポイント(以下、クレジットポイントと略します)がカード会社から付与されます。

 ポイントは商品やギフト券、電子マネーや航空マイレージ等に交換することができ、ちょっとした出張の余禄といえます。

◆ポイント付与はカード会社の囲い込み戦略

 最近は、「公共料金の支払いを新規で当社のカードに切り替えると〇〇ポイント贈呈!」といったクレジットカード会社の広告を多く目にします。

 クレジット会社の収益の源は、クレジットカードを代金回収に使っている会社から受け取る手数料です。

 どこのカード会社のカードで決済するかは、支払う人の選択に委ねられますので、カード会社は魅力的なポイントを提示して利用者の囲い込みを図ります。

 クレジットポイントは、自社のカードで決済(=収益増進に貢献)してくれたことに対する会社から個人へのお礼です。

◆クレジットポイントにかかる課税問題

 ポイント取得は、カード会社からのプレゼントですので、会社から個人への贈与となります。

 課税時期はポイントを商品や現金等に交換した時で、一時所得とされます。

 一時所得は、50万円の特別控除があります。

 さらに総所得金額に合算時には1/2にされます。

 サラリーマンで給与を1か所からだけもらっている場合(=大半の方がこれに該当するはずです)で、給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下である人等、一定の場合には確定申告をしなくてもよいことになっています。

 そのため、クレジットポイントが90万円相当以内(私的利用分も含みます)であれば、他の所得がなければ、確定申告しなくとも構わないということになります。

 これを超えるくらい出張が多くてポイントが貯まってしまった方は、確定申告が必要です。

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2018年4月5日木曜日

設備投資減税で「税負担ゼロ」宣言

 岡山県岡山市や美作市、長野県岡谷市などが、中小企業の新規の設備投資を対象に、3年間固定資産税をゼロにする方針を打ち出しました。

 2018年度税制改正法案に盛り込まれた新たな設備投資減税制度を利用するもので、法成立に先駆けて中小企業支援を打ち出すことで、地域経済を活性化させたい狙いです。

 税制改正で新たに導入される制度は、市町村が定めた基本計画に適合し、旧モデル比で生産性が年平均1%以上向上するなどの要件を満たす機械装置、工具、器具備品、建物附属設備などを対象に、固定資産税を3年間減免するというもの。

 同様の制度として、これまでは経営力向上計画の認定などを受けると新規の設備投資の固定資産税が3年間半減される特例がありましたが、新制度の導入に伴い廃止される見通し。

 さらに従来の特例では軽減幅は2分の1でしたが、新制度では自治体の裁量で2分の1からゼロまで変動させることができるようになります。

 国としては企業の設備投資をできるだけ後押ししたい考えですが、固定資産税は地方自治体の主力の財源でもあるため、自治体の裁量を認めた形です。

 税制改正法案を先取りする形で固定資産税の減免計画を明らかにしている自治体は、まだ全国でも数えるほどしかありません。

 岡山市などは全国に先駆けて「税負担ゼロ」を打ち出すことで、外部から企業を誘致したい狙いもあると見られます。

 計画認定を受けた企業は、国のものづくり補助金の応募に際しても、優先的に採択されるなどのメリットもあります。

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2018年4月4日水曜日

ハズレ馬券の通達、再び改正へ

 国税庁は2月15日、「競馬の馬券の払戻金に係る課税について」とする文書を発表し、競馬や競輪の課税関係についての実務上の取り扱いを定めた所得税基本通達を改正する方針を明らかにしました。

 馬券の払戻金が一時所得にあたるか雑所得にあたるかが争われた裁判の結果を受けた改正で、これまでの取り扱いと異なり、独自の予想ソフトを使用していなくても馬券の払戻金が雑所得になるケースについて規定されます。

 この裁判で被告となった男性は、自動購入ソフトなどは使わず、レースごとに結果を予想して多額の利益を得ていました。

 競馬の馬券の払戻金による収入は、原則的には偶発的な収入として「一時所得」と見なされ、収入に直接要した金額のみが経費と認められるため、収入に直接結び付いていないハズレ馬券の購入費用は経費にあたりません。

 しかし継続的、網羅的に馬券が購入されていると認められれば「雑所得」として、ハズレ馬券も経費に当たるとされています。

 最高裁では男性が得た払戻金を雑所得と認めました。

 ハズレ馬券の経費を巡る税務に転機が訪れたのは、2015年の最高裁判決です。

 大阪府の男性が自作の競馬予想ソフトを利用して3年間で得た配当金について、「偶発性に左右される一般の馬券購入と異なりソフトを使用して継続的に馬券を購入することによって個別のレースの当たり外れの偶然性を抑えている」として、最高裁は払戻金を雑所得と認定しました。

 この判決を受けて、これまで一律に一時所得としていた払戻金の取り扱いに関する通達を改正。

 通常は従来どおり一時所得として扱う原則は維持した上で、「馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して(中略)個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして(中略)経済活動の実態を有することが客観的に明らか」である時に限って雑所得と認めると明示しました。

 しかし今回の裁判で、ソフトを使っていなくても払戻金が雑所得に当たる可能性が示されたことで、国税庁は再度の通達改正を余儀なくされたわけです。

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2018年4月3日火曜日

ROE一辺倒でいいのか その2

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

 ただ、レバレッジ経営を継続するには前提があります。

 それは資金調達がいつでも簡単にできるということです。

 安全性を犠牲にして余裕資金を削っているのですから、資金が必要なときには、金融機関から容易に借入できる環境でなければなりません。

 現在は、そういう環境にあるといえます。

 しかし、金融環境が変われば、話は変わります。

 かつてのリーマンショックの時には、資金調達が困難な状況が出現しました。

 あの天下のGMでさえ資金不足から経営不安に陥ったほどでしたから。

 いくら収益性が高くても、会社がつぶれては元も子もありません。

 会社あっての収益性です。

 そうしたときには自己資本比率がクローズアップされます。

 好況時にはROE向上の足枷として非難された豊富なキャッシュは、景気が悪くなると不時の洪水に備える有効な防波堤としてもてはやされるようになります。

 時代はいつも一定ではないのです。

 あるいは時代は変わらなくても、会社自体が経営危機に陥る時があります。

 そうなると、誰もROEなど見向きもせず、自己資本比率ばかりに焦点が当たるようになります。

 ROEを高めるために分子の利益を増加させることは、いつの時代でも変わらぬ真理です。

 ただ、自己資本比率が非常に高く、多少の環境変化にはビクともしない会社は別ですが、そこまではいかない会社は安易な分母削減策には慎重であるべきでしょう。

 企業経営において大切なのはバランスです。好況な時にも、苦難の時代が来ることも予想して備えておくことが必要だと思います。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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2018年4月2日月曜日

ROE一辺倒でいいのか その1

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

 最近、上場企業の財務指標としてROE(自己資本利益率)がとても注目されています。

 ROEは当期純利益を自己資本で割って算出し、株主から預かった資本の効率性を表現する指標ですから、株主が注目するのは当然です。

 しかし、ROEだけに執着するのは少し危険なように感じます。

 というのは、現状の雰囲気からするとROE重視は永遠に続くと思われるかもしれませんが、注目される財務指標は時代によって変わるからです。

 もう一つ注目される財務指標は会社の安定性を判断する自己資本比率です。

 自己資本比率は自己資本を総資産で割って算出します。

 ROEと自己資本比率では自己資本の位置づけが正反対になります。

 自己資本がROEでは分母に、自己資本比率では分子に出てくるからです。

 したがって、ROEでは自己資本が少ないことがよく、自己資本比率では多いことが望ましいことになります。

 ROEを高くするためには、分子である当期純利益を増やすことが王道ですが、利益を増やすことは簡単ではありません。

 そこで、ROE向上を第一義に追求すると、分母である自己資本削減策が浮上し、配当金の増額や自己株式の買い取りなどの株主還元が盛んになります。

 余裕資金が豊富にあれば、手持ちのキャッシュで自己株式を買い取り、自己資本を圧縮することができます。

 余裕資金がなければ、借入金を借り入れて、自己株式を買い取ることも選択肢になります。

 借入金を増やし、自己資本を減らしROEを引き上げるのです。

 これがレバレッジ経営です。レバレッジ経営は自己資本を小さくするのですから、自己資本比率は低下します。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)


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2018年4月1日日曜日

(後編)法務省:テロ等準備罪処罰法についてホームページで公表!

(前編からのつづき)

 「組織的な犯罪集団の関与」では、多数人の継続的な集団、犯罪実行部隊のような組織を有し、重大な犯罪等の実行を目的に集合の全て、「重大な犯罪を2人以上で計画」では、団体の活動として一定の犯罪を実行、具体的かつ現実的合意をすることの全て、また、「計画した犯罪の実行準備行為」では、計画とは別の行為、計画に基づく行為、計画を前進させる行為の全ての要件を満たさなければ、テロ等準備罪の捜査の対象とはならないとしております。

 テロ等準備罪処罰法は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定することを明文で規定しており、一般の会社や市民団体などの正当な活動を行っている団体は適用対象とはならないとしております。

 また、対象犯罪も限定的に列挙して範囲を明確にしており、上記の所得税法や法人税法、消費税法等における違法行為も、あくまで組織的犯罪集団が関与する犯罪計画や実行準備行為の「資金源」となる場合にのみ処罰対象となるとみられております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年1月12日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。