2018年8月31日金曜日

(後編)2018年12月末に満了するNISAに注意!

 実質的に非課税期間を延長させるロールオーバーに関心が寄せられている背景には、2017年度税制改正において、2018年からロールオーバーできる金額上限が撤廃されたことにあるとみられております。

 改正前は5年後に保有している金融商品の時価が非課税枠の120万円を超えた場合、超過分はロールオーバーできず、課税口座(特定口座や一般口座)に移すか、売却する必要がありましたが、上限撤廃によって非課税投資枠を超過した部分も含めてすべての資産をロールオーバーできることになりました。

 ただし、非課税投資枠を超えてロールオーバーする場合は、翌年に新しい非課税投資枠で投資することはできませんので、非課税期間が終了し、翌年の非課税投資枠にロールオーバーをした場合、ロールオーバーした額分だけ非課税投資枠を使い、新規に投資できる額が少なくなります。

 例えば、ロールオーバーした金額が120万円以上の場合は、非課税投資枠をすべて使い切ることになり、新しく投資はできませんので、該当されます方はあわせてご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年8月30日木曜日

(前編)2018年12月末に満了するNISAに注意!

 NISA(少額貯蓄非課税制度)とは、2014年1月に少額投資を行う個人投資家のためにスタートした非課税制度で、毎年120万円の非課税投資枠が設定され、上場株式・投資信託等の配当や分配金、譲渡益が最長5年間にわたり非課税になります。

 したがいまして、2014年にNISA口座で購入した上場株式等の非課税期間は、2018年12月末で満了となりますので、該当されます方はご注意ください。

 非課税期間満了後の資産の取扱いの選択肢は3つあり、一つ目は売却する、二つ目は特定口座や一般口座の課税口座へ払い出すこと、三つ目は翌年のNISAの非課税投資枠へ移管(ロールオーバー)する方法があります。

 特定口座又は一般口座へ払い出しますと、それ以降は課税扱いとなりますが、引き続き非課税枠を使って投資を行うことができるロールオーバーに関心が寄せられているそうです。

 ただし、ロールオーバーは同一の証券会社に開設するNISA口座内での非課税期間延長であることや、NISA口座を開設している証券会社において期限までに所定の手続きをすることなど条件がありますので、ご注意ください。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年8月29日水曜日

ネットワーク構築による事業承継支援 その2

 2018年3月に中小企業庁より公表された「平成29年度事業承継ネットワークの取組と今後の支援について」において取り上げられている静岡県の事例についてみていきましょう。

 「静岡県事業承継ネットワーク」では、静岡商工会議所が事務局を務め、56の団体が参画しています。

 各構成員は、ネットワーク内で情報共有・連携強化を図り普及・広報を実施するとともに、事業承継診断を通じ経営者に事業承継に対する気付きの機会を提供しつつ課題を発掘し、それらの課題に対し構成員内で連携してサポートを行う役割を担います。

 事業承継診断の実施にあたっては構成員ごとに自主目標を設定し、目標達成に向け取り組んだ結果、2017年度で5,322件、達成率318%を実現することができました。

 また、事業承継診断の実施方法や診断後の対応力向上のため、診断の現場ですぐに活用できるスキルについて研修会を開催、構成機関のスキルアップを図っています。

 事業承継診断実施後の対応では、円滑に専門家と個別相談が実施できる連携体制を構築すべく、他薦による事業承継の専門家リストを作成しました。

 このリストでは、専門家の名前・連絡先に加え、得意分野などが明記されています。

 今後は同ネットワークを通じて診断実施案件のフォローや構成機関のスキルアップを図りつつ、地域を挙げた支援活動の拡充につなげていく方針です。

 このように事業承継ネットワークの構築を通じて、地域を挙げた組織的な事業承継支援を実施が期待されているのです。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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2018年8月28日火曜日

ネットワーク構築による事業承継支援 その1

 中小企業に対して事業承継に向けた気付きの機会を提供し、その準備を促すことを目的に、2017年度から、都道府県単位で「事業承継ネットワーク」を構築する事業が開始されています。

 事業承継ネットワークにおいては、都道府県に拠点を置く商工会、商工会議所、金融機関等の支援機関が地方自治体等と連携し、地域における事業承継支援として、早期・計画的な事業承継準備に対する経営者の「気付き」を促すため事業承継診断を行うことが期待されています。

 事業承継ネットワークでは、主に以下の3つの観点から事業が実施されます。

 一つ目が、都道府県における事業承継支援体制の整備です。

 体制整備を通じて事業承継支援のあり方の検討、関係者間での認識共有や、事業承継支援に関する情報発信が行われます。

 二つ目が、事業承継診断の実施です。

 事業承継診断とは事業者に対して診断票に基づく対話を通じて経営者に対して事業承継に向けた準備のきっかけを提供する取組を指します。

 事業承継診断の実施にあたっては、PDCAサイクルに基づくプロセスの管理が期待されています。

 三つ目が、事業承継支援に関する連携体制の構築です。

 支援体制構築に向けた情報共有、研修の実施や、地域における事業承継支援専門家の発掘・リスト化などが行われます。

 2017年度は、全国19の県で事業承継ネットワーク地域事務局を担う事業者が採択されました。

 今後は、事業承継ネットワークを全国に展開するとともに、掘り起こされたニーズに対して地域の専門家が連携してより踏み込んだ事業承継支援を実施することが期待されています。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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2018年8月27日月曜日

(後編)国立大学法人等への財産寄附の非課税要件の緩和を通知!

(前編からのつづき)

 国立大学法人等の承認特例で規定された一定の要件は、国立大学法人等が所轄庁の確認を受けた基金の中で寄附財産を管理することなどにより、その寄附資産が公益目的事業の用に直接供されると判断されることになります。

 また、非課税承認を受けた寄附財産を譲渡し、買換資産を取得する場合、これまでは公益目的事業の用に2年以上直接に供し、買換資産も公益目的事業に利用するとの要件を満たさなければ非課税承認の継続はできませんでしたが、2年以上の利用がなくても基金の中で寄附財産を管理し公益目的事業に利用している場合には、国税庁長官に必要書類を提出することで「特定買換資産の特例」として非課税承認の継続ができるようになりました。

 同省では、「今回の拡充によって、寄附者にとっては非課税措置が受けられるかどうかの判定が早くなり、寄附を行いやすくなる。また、国立大学法人等にとっても寄附された資産の構成を組み替えることが可能となり、資産の有効活用ができるようになる」としております。

 なお、上記の承認特例及び特定買換資産の特例は、2018年4月1日以後の財産の贈与等、財産の譲渡から適用されます。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年8月26日日曜日

(後編)2018年度税制改正:企業主導型保育施設用資産の割増償却度の創設!

 上記の事業所内保育施設の新設又は増設をする場合とは、その新設又は増設をする事業所内保育施設とともにその事業所内保育施設における保育事業の用に供する遊戯用の構築物、遊戯具その他の一定の減価償却資産の取得等をする場合で、なおかつ、その事業所内保育施設につき子ども・子育て支援法による助成を行う事業に係る助成金の交付を受ける場合に限られます。

 なお、2017年度税制改正において、2019年3月31日までの2年間に子ども・子育て支援法に基づく政府の補助を受けた事業主等が、一定の保育に係る施設を設置する場合には、その施設の用に供する固定資産に係る固定資産税・都市計画税の課税標準を最初の5年間、土地及び家屋は、価格の2分の1を参酌して3分の1以上3分の2以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額に軽減するなどの措置が新設されておりますので、該当されます方はあわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。 

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2018年8月25日土曜日

(前編)2018年度税制改正:企業主導型保育施設用資産の割増償却度の創設!

 2018年度税制改正において、青色申告書を提出する事業者が、2018年4月1日から2020年3月31日までの間に、子ども・子育て支援法の施設のうち保育事業を目的とするもの(以下:事業所内保育施設)の新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る事業所内保育施設を構成する建物等及びその幼児遊戯用構築物等(以下:企業主導型保育施設用資産)の取得等をして、その事業者の保育事業の用に供したときに税制上優遇されます。

 具体的には、その企業主導型保育施設用資産につき、3年間(その企業主導型保育施設用資産に係る事業所内保育施設につきその助成を行う事業に係る助成金で一定のものの交付を受ける期間に限る)、普通償却限度額の100分の12(建物等及び構築物は、100分の15)相当額の割増償却ができます。

 2017年度税制改正において、保育に係る施設用の固定資産に係る固定資産税等が軽減されましたが、引き続き保育施設用資産も軽減されます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2018年8月24日金曜日

(前編)国立大学法人等への財産寄附の非課税要件の緩和を通知!

 文部科学省は、2018年度税制改正において、国立大学法人等へ財産を寄附した場合の譲渡所得税の非課税承認を受けるための要件緩和を国立大学法人等へ通知しました。

 個人が土地などの現物資産を国立大学法人等に寄附し、この寄附に対するみなし譲渡所得税の非課税措置を受けるには、その資産が2年以内に公益目的事業の用に直接供される等について国税庁長官の承認を必要とする要件があります。

 これまで、この要件を満たすための国立大学法人、大学共同利用機関法人、公立大学法人及び(独法)国立高等専門学校機構内での手続きに時間がかかることから、その間に寄附者から寄附の提案を取り下げられるケースがあり、現物寄附が増えていかないとの指摘がありました。

 このため、2018年度税制改正において要件の緩和を導入し、一定の要件を満たす場合で、国税庁長官の非課税承認の決定が寄附者の申請から1月以内に行われなかったときは、自動的に承認があったものとみなす「承認特例」を国立大学法人等にも適用しました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年8月23日木曜日

(後編)弔慰金でも一定範囲を超えるものは退職手当等として課税対象!

(前編からのつづき)

 したがいまして、従業員の死亡退職に伴い会社から支払われる弔慰金は原則として、社会通念上という国民感情の観点から課税の対象とはならないことになりますが、なかには課税されないことを利用して、過度な節税として使われることもあり得るので、弔慰金として妥当と判断できる一定の金額は課税しないものの、一定範囲を超える部分は過度な弔慰金と判断して課税対象になり、退職手当金等として相続税の課税対象となりますので、ご注意ください。

 なお、上記の「業務上の死亡」とは、被相続人が亡くなった原因が業務中に起こったことであり、業務と関係性が深い原因がある場合には業務上の死亡と判断されます。

 上記の具体例として、業務遂行中に発生した事故などにより亡くなった場合、出張中に発生した事故などで亡くなった場合、仕事が原因とされる職業病などによって亡くなった場合、通勤途中の災害などによって亡くなった場合も業務上の死亡と判断されますので、あわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年8月22日水曜日

(前編)弔慰金でも一定範囲を超えるものは退職手当等として課税対象!

 弔慰金は、香典や花輪代、葬祭料といった名目で支払われることもありますが、税務上、社会通念上相当と認められるものは所得税や贈与税が課税されません。

 また、被相続人が生前に勤めていた会社から相続人が受け取る金銭のうち、死亡退職金は相続税の課税対象になりますが、原則、弔慰金は課税されません。

 なお、上記の「社会通念上相当と認められる金額」の範囲ですが、相続税基本通達では、亡くなった従業員に支給されるべきだった退職手当金や功労金など、その名義のいかんにかかわらず実質上退職手当金等に該当するものを除き、弔慰金として取り扱うこととしております。

 具体的には、業務上死亡の場合には賞与以外の普通給与額の3年分相当額、業務上の死亡でない場合には、普通給与額の半年分相当額を非課税となる弔慰金として取り扱うとしております。

 国税当局は、この範囲を超える部分は相続税の課税対象となる退職手当金等として取り扱い、その通達により弔慰金として取り扱われたものに社会通念上相当と認められる額を超える部分があれば、その部分は退職手当金等として取り扱うべきであるとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2018年8月21日火曜日

(後編)印紙税の課税文書の可否は実質的に判断!

(前編からのつづき)

 また、売掛金の請求書に「済」や「了」と表示してあり、その「済」や「了」の表示が売掛金を領収したことの当事者間の了解事項であれば、その文書は売上金の受領書(第17号の1文書)に該当します。
 例えば、ホームページの保守契約を結んだ際に、契約書に「月額3万円」と1ヵ月あたりの保守・メンテナンス料のみを記載した場合には、期間の記載がありませんので、合計金額を計算することができません。
 したがいまして、上記の場合は「継続的取引の基本となる契約書」(第7号文書)に該当し、4,000円の印紙税が必要となります。

 しかし、上記契約書の「月額3万円」に「契約期間1年」と書き加えますと、この文書は実質的に合計の契約金額が確定しますので、「請負に関する契約書」(第2号文書)に該当します。
 そして、記載された金額は36万円(3万円×12ヵ月)となりますので、この場合の印紙税は、同区分の「1万円以上100万円以下」の200円となり、3,800円節税できます。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月15日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年8月20日月曜日

(前編)印紙税の課税文書の可否は実質的に判断!

 印紙税は、各種の契約書や領収書、通帳などのような経済取引に際して作成される文書にかかる税金で、税額は印紙税のかかる文書の種類や記載金額に応じて定められている税率によって算定します。

 文書の内容判断にあたっては、その名称・呼称や記載されている文言により形式的に行うのではなく、その文書に記載されている文言、符号などの実質的な意味を解釈する必要があります。

 印紙税は、「文書が課税文書に該当するかどうかは、文書の全体を一つとして判断するのみでなく、その文書に記載されている個々の内容についても判断するものとし、(中略)その記載文言の実質的な意義に基づいて判断する。

 記載文言の実質的な意義の判断は、その文書に記載又は表示されている文言、符号を基として、その文言、当事者間における了解等を加味し、総合的に行うものとする」と定めております。

 例えば、文書に取引金額そのものの記載はないが、文書に記載されている単価、数量、記号などにより、当事者間において取引金額が計算できる場合は、それを記載金額とします。

(後編へつづく)

2018年8月19日日曜日

(後編)個人事業税の納期と計算方法

 個人事業税の計算は、「(収入 - 必要経費 - 専従者給与等 - 各種控除)× 税率」で、専従者(家族従業員)がいる場合には、青色申告は専従者への給与支払額が、白色申告は配偶者の場合は86万円、その他の場合は1人50万円を限度として、それぞれ必要経費として控除できます。

 そして、個人事業税を納付した場合には、その年の租税公課として経費処理できます。

 現在、法定業種は70業種あり、ほとんどの事業が該当し、税率は業種によって異なり、3%~5%とありますが、ほとんどの業種は税率5%です。

 個人事業税の計算式の「各種控除」にあてはまるのは、一律290万円(営業期間が1年未満は月割額)で適用される「事業主控除」と、状況に応じて適用される「繰越控除」があります。

 繰越控除には、損失の繰越控除(青色申告者で、赤字となった場合)、被災事業用資産の損失の繰越控除(白色申告者で、震災などによって損失がある場合)などがあります。

 なお、個人事業税には、基礎控除などの所得控除や青色申告特別控除は適用されませんので、あわせてご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年8月18日土曜日

(前編)個人事業税の納期と計算方法

 個人事業税とは、個人が営む事業のうち、地方税法等で決められた事業(法定業種)に対してかかる税金です。

 個人事業主は、毎年3月15日までに前年中の事業の所得などを、都道府県税事務所に申告することになりますが、所得税の確定申告や住民税の申告をした場合には、個人事業税の申告をする必要はありません。

 確定申告をしますと、その年の8月に都道府県税事務所から納税通知書が送られてきます。

 納付時期は、原則、8月末と11月末の年2回(休日の場合はその翌日)です。

 納付には、都道府県税事務所や金融機関の窓口、口座振替、コンビニエンスストア(1回分の納税額が30万円以下に限ります)、クレジットカード納付、金融機関等のペイジー対応のATMも利用できますので、ご利用ください。

 なお、年の中途で事業を廃止した場合は、所得税の確定申告や住民税の申告とは別に、廃止の日から1ヵ月以内(死亡による廃止の場合は4ヵ月以内)に、個人事業税の申告をする必要がありますので、該当されます方はご注意ください。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2018年8月17日金曜日

「広告税」で税率が異なる広告は?

 税務大学校はホームページ上の「税の歴史クイズ」のコーナーに、神奈川県で昭和初期に課税されていた「広告税」についての問いを追加しました。クイズの内容は、課税対象だった広告のうち、他と異なる税率が適用されていたのはアドバルーンによる広告に加え、①港に設置された広告、②東海道本線の車窓から見ることを目的とした広告、③電飾を使って夜間でも見ることができる広告――のいずれであるか、というものです。

 クイズの答えは②。税務大学校によると、東海道本線は新幹線や高速道路がなかった当時の最重要幹線であり、川崎、横浜、小田原などの主要な都市部を網羅していたことから、沿線の広告は多くの人の目に触れたそうです。広告税の年間収入2106円のうち、東海道本線の車窓から見ることを目的にした高校からの収入が1463円と大半を占めていました。

 広告税は大正時代から戦後にかけて課税されていた地方税で、昭和11年の時点では神奈
川の他、宮城、栃木、静岡でも採用されていました。また、昭和17年4月1日~21年9月1日は国税でも課税。国税としての広告税は、看板のほか、新聞広告や広告入りカレンダーも課税対象としていました。

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2018年8月16日木曜日

育児休業を支援する助成金

◆両立支援等助成金(育児休業等支援)
 
 職場にこれから出産予定の方がいる場合に申請すると受給できる助成金です。

 出産後3ヶ月以上育児休業を取得すると「育児休業取得時」と元の職場に復帰して6カ月経過後「職場復帰時」の助成金を申請できます。

 また、育児休業取得者の代わりとして社員を雇用すると「代替要員確保時」の助成金を受給できます。

 出産後も退職せずに育児休業を取得する方が一般的になってきています。

 特に20代から30代の女性社員を雇用している事業主は申請できる可能性が高いものです。

◆必要となる社内環境整備

 産前休業に入る前に「育児復帰支援プラン」を作成し、平成29年10月の法改正に準拠した育児休業規定の制定、社内での周知等育児休業を取得しやすい職場環境を整備する必要があります。

 手続上の注意点は「育児復帰支援プラン」の作成は事前に計画書提出は無いのですが、産前休業に入る前に育児休業取得者と事業所とで育児復帰支援プランについて話し合わなくてはなりません。

 プランの日付けが時系列的に合っていなくてはなりません。また、「一般事業主行動計画」を労働局へ提出します。

 さらに「両立支援のひろば」のサイトに開示しなければなりません。

 助成金の申請は「育休取得時」は、出産後3カ月経過した日の翌日から2カ月以内に申請します。

 「職場復帰時」の申請は復帰後6カ月経過後の翌日から2カ月以内です。

 申請し忘れをしやすいので注意が必要です。

 特に職場復帰が予定より早まった時は申請時期を失念せぬよう気をつけましょう。

◆助成金額

・「育児休業取得時」……28.5万円(生産性要件付与で36万円)
・「職場復帰時」……28.5万円(生産性要件を付与で36万円)
・「代替要員確保時」……育児休業1人につき47.5万円(生産性要件付与で60万円)。

 育児休業取得者が有期契約労働者の場合、9.5万円(生産性要件付与で12万円)の加算有。

 1企業で正社員1名、有期契約社員1名の2名が取得できます。1企業1年当たり10名まで対象になります。

2018年8月15日水曜日

人材を採用し試用雇用した時に受けられる助成金

◆トライアル雇用助成金(一般トライアル)

 採用に関する助成金の中でも申請件数の多いのがトライアル雇用助成金(一般トライアルコース)です。

 概要は実務経験や能力の不足等の理由で就職が難しい求職者を、常用雇用へ移行する事を前提として最初に有期雇用契約社員として3カ月間試行(トライアル)採用します。

 その間面接や筆記試験でははっきりしない本人の適性や能力をじっくり確認した上で常用雇用するか否かを判断します。

 常用雇用に適さないと判断した場合は最長3カ月で契約期間満了として雇用を更新しない事もできます。

 厚生労働省によると試行採用した求職者の約8割が常用雇用に移行しています。

◆対象となる事業所・求職者は

 事前にハローワーク等にトライアル求人を申し込み、ハローワーク等の紹介により対象者を雇い入れた雇用保険に加入している事業所です。

 求職者は次のいずれかの要件を満たし、トライアル雇用を希望した方です。

①紹介日時点で就労経験のない職業に就く事を希望する
②紹介日時点で、学校卒業後3年以内で卒業後安定した職に就いていない
③紹介日の前日から過去2年以内に2回以上、離職や転職を繰り返している
④紹介日の前日時点で離職している期間が1年を超えている
⑤妊娠、出産、育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
⑥母子家庭の母、父子家庭の父等、就職支援で特別な配慮を要する

◆助成金額と申請時期

 対象者1人当たり月額最大4万円、最長3カ月で最大12万円が支給されます。
 トライアル求人をした時は雇用開始日から2週間以内に「実施計画書」を提出しておき、有期雇用終了後、2カ月以内に助成金の支給申請をします。

 また、正規雇用に至らずとも受給はできます。

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2018年8月14日火曜日

中小企業の電子申告義務化?

◆いよいよオンライン化法からの脱皮

 現行租税法体系には電子申告の規定がなく、税の申告手続きに於ける電子申告の根拠法令は、行政手続法の特別法としての行政手続オンライン化法であり、実態としては、それからの委任による、国税オンライン化省令、さらには国税庁長官告示になっています。

 租税法体系の条文が事実上修正・変更されています。

 本年改正法人税法に突然出てきた大企業の電子申告義務化は、電子申告規定を租税法体系の中に組み込み直す第一手と思われます。

 大企業限定と、扱いが措置法的でありながら、法人税法本法の規定となっていることからして、いずれ大企業限定を外すこと、そして、法人のみならず個人課税の分野にも拡大することが予定されているからとしか思われません。

◆もともと問題あり、疑問ありだった

 もともと、わずか全12条の行政手続オンライン化法による、制限不明な省令への委任での現行電子申告制度が租税法律主義の法体系と矛盾していないか、法治国家の法体系のあり方として不適切ではないか、ということについて、当初から、そして国税内部からも疑問が呈されていました。

 電子申告開始後、概ね10年が経過するところで、この問題の解決に本格的に取り組み始めたのだと、推測されます。

◆サプライズは大企業止まり

 しかし、書面で申告書を提出しても無申告扱いとなる、というサプライズな電子申告義務化規定が、中小企業を含む全法人に、さらには個人の申告に、適用されるとなると、これが租税法律主義の手続的保障原則および行政手続上の国民主権原理に反していないか、との厳格な吟味を求められることになるのは避けられません。

 今のままでは、訴訟が開始されることになり、法律の規定が憲法違反と判決されるのは不可避だからです。

◆あるべき誘導措置の在り方

 電子申告は、行政内部の省力化の為の絶大な切り札であることは確かなので、国民にその方向での協力を求め、その協力には、税制特例の適用の恩恵を与える、という誘導優遇措置は認められるところです。

 青色申告者に与えられていた従来制度上の特典のあり方が参考になります。

 ペナルティを課すというのは行き過ぎです。

2018年8月13日月曜日

【時事解説】ガバナンスを支えるのは倫理観 その2

 社外取締役の導入などの外形的な統治制度もガバナンスの構築に相応の効果があることは事実です。

 ただ、そうしたことを整備すればそれですべてオーケーではないということは認識しておかなければなりません。

 外形的な不祥事防止策や統治体制を整備したところで、不心得者がいれば、どんな防御壁も必ず乗り越えてしまいます。

 岩井氏が言う通り、会社のガバナンスは究極的には社内で実質的に業務を行う役職員の倫理観によることを忘れてはいけません。

 東芝のように、会社幹部である取締役が不祥事に関与していると、その打撃は致命的で、信頼の回復は容易ではありません。

 取締役の倫理観は絶対要件です。取締役は人数が限られていますから、取締役の倫理観を保つことはさほど困難ではありませんが、難しいのは人数が多い一般社員の倫理観の醸成です。

 「ならば、社員向けに倫理研修を増やせばいいじゃないか」と考えるのは、それこそ外形的な体制整備に過ぎません。

 何か問題が起きたとき、外形さえ整えれば、それで十分と考えるのは短絡的です。無論、会社外部の人から見れば、外形が整っていることは重要です。

 しかし、会社内部の人間に問われているのは整えた外形を実質的にどう機能させるかということです。

 月並みな表現になりますが、「形に心を入れる」ことが経営者の役割だといえます。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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2018年8月10日金曜日

【時事解説】ガバナンスを支えるのは倫理観 その1

 東芝の不適切会計、神戸製鋼のデータ改竄、スルガ銀行の不正融資問題など、企業不祥事が続いています。

 そうしたこともあり、上場企業のガバナンス(統治)体制の改革が大きなテーマとなっています。

 取締役の大多数が社内出身者であることが、不祥事発生の一因になっているのではないかということから、一般株主、あるいは社会からの視点を会社の意思決定に入れるべきだということで、社外取締役の存在がクローズアップされています。

 こうした考え方に対し、著名な経済学者である岩井克人氏は以前、日本経済新聞のインタビューで次のように述べていました。

 「社外取締役の義務化といった外形的な統制制度を整備しても限界がある。会社のガバナンスは究極的に、経営者、さらには従業員の倫理性によって支えられているからである。」

 会社ガバナンスの最終的な砦は外形的な統制制度ではなく、社内の役員、従業員の倫理観だというのです。

 東芝は社外取締役の整備などでガバナンスの優等生といわれていただけに、この言葉は説得力を持って我々の胸に響きます。

 社外取締役等の外形的な統治制度が不要というわけではありません。

 もし不祥事が起きた時に、標準とされる外形的な統治制度が不十分であれば、不祥事発生の原因は統治体制の欠如に帰せられてしまうからです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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2018年8月9日木曜日

(前編)2018年度税制改正:相続税申告書の添付書類の見直し!

 2018年度税制改正において、相続税申告の添付書類の改正も行われ、相続税法施行規則の改正により、2018年4月1日以後に提出する申告書から法務省が行っている法定相続情報証明制度で取得が可能な法定相続情報一覧図についても、一定の条件をもとに添付書類として認められております。

 これまでは相続税の申告書には、戸籍の謄本で被相続人の全ての相続人を明らかにするものを添付しなければならないこととされていました。

 しかし、2018年4月1日以後は、戸籍の謄本に代えて、図形式の法定相続情報一覧図の写し(子の続柄が、実子又は養子のいずれであるかが分かるように記載されたものに限る)あるいは戸籍の謄本又は法定相続情報一覧図の写しをコピー機で複写したもののいずれかの書類を添付することができるようになりました。

 ただし、被相続人に養子がいる場合には、その養子の戸籍の謄本又は抄本(コピー機で複写したものも含む)の添付も必要となりますので、該当されます方はご注意ください。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年8月8日水曜日

(後編)中小企業庁:税制改正された事業承継税制をPR!

(前編からのつづき)

 しかし、改正後はこの雇用要件を実質的に撤廃したことで、雇用維持要件を満たせなかった場合でも納税猶予が継続可能(雇用維持ができなかった理由が経営悪化又は正当なものと認められない場合、認定支援機関の指導・助言を受ける必要あり)になります。

 そして、改正前は一人の先代経営者から一人の後継者へ贈与・相続される場合のみが対象でしたが、改正後は親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者への承継も対象になり、中小企業経営の実状に合わせた多様な事業承継を支援します。

 最大3人までの後継者が対象となりますが、複数人で承継する場合は、議決権割合の10%以上を有し、かつ、議決権保有割合上位3位までの同族関係者に限られます。

 さらに、改正前は後継者が自主廃業や売却を行う際、経営環境の変化により株価が下落した場合でも、承継時の株価を基に贈与・相続税を納税するため、過大な税負担が生じる可能性がありましたが、改正後は売却額や廃業時の評価額を基に納税額を再計算し、事業承継時の株価を基に計算された納税額との差額を減免することから、経営環境の変化による将来の不安が軽減されております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2018年8月7日火曜日

(前編)中小企業庁:税制改正された事業承継税制をPR!

 中小企業庁は、2018年度税制改正において改正された中小企業経営者の次世代経営者への引継ぎを支援する税制措置の創設・拡充をPRしております。

 事業承継の際の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制は、今後5年以内に特例承継計画を提出し、10年以内に実際に承継を行う者を対象として抜本的に拡充されました。

 主な内容として、対象株式数・猶予割合の拡大、対象者の拡大、雇用要件の弾力化、新たな減免制度の創設などがあります。

 改正前は、先代経営者から贈与・相続により取得した非上場株式等のうち、議決権株式総数の2/3に達する部分までの株式等が対象(贈与・相続前から後継者が既に保有していた部分は対象外)でしたが、対象株式数の上限を撤廃し、猶予割合を100%に拡大したことで、事業承継時の贈与税・相続税の負担が軽減されます。

 また、改正前は事業承継後5年間平均で雇用の8割維持が求められ、雇用8割を維持できなかった場合には、猶予された贈与税・相続税の全額を納付する必要がありました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年8月6日月曜日

(後編)国税庁:消費税のインボイス制度導入のパンフレットを公表!

(前編からのつづき)

 ただし、適格請求書交付が困難な公共交通機関である船舶やバス、鉄道による旅客の運送(3万円未満のものに限る)や、出荷者が卸売市場で行う生鮮食料品等の譲渡、自動販売機により行われる課税資産の譲渡等などの取引は、適格請求書の交付義務が免除されます。

 インボイス制度の下では、適格請求書などの請求書等の交付を受けることが困難な一定の場合を除き、一定の事項を記載した帳簿及び請求書等(適格請求書又は適格簡易請求書など)の保存が仕入税額控除の要件となります。

 また、2023年10月1日以降の売上税額及び仕入税額の計算は、適格請求書に記載のある消費税額等を積み上げて計算する「積上げ計算」か、適用税率ごとの取引総額を割り戻して計算する「割戻し計算」を選択することができます。

 ただし、売上税額を「積上げ計算」により計算する場合には、仕入税額も「積上げ計算」で計算する必要があり、売上税額について積上げ計算を選択できるのは、適格請求書発行事業者のみとなります。

 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年8月3日金曜日

(前編)国税庁:消費税のインボイス制度導入のパンフレットを公表!

 複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式として、適格請求書等保存方式(以下:インボイス制度)が2023年10月1日から導入される予定ですが、国税庁はその周知を図るため、パンフレットを作成し、ホームページに公表しました。

 インボイス制度の下では、税務署長に申請して登録を受けた課税事業者である適格請求書発行事業者が交付する適格請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります。

 適格請求書とは、売手が、買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類する書類をいいます。

 適格請求書発行事業者となるには、税務署長に登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。

 登録申請書は、2021年10月から提出可能ですが、インボイス制度が導入される2023年10月1日から登録を受けるためには、2023年3月31日までに申請書を提出する必要がありますので、ご注意ください。

 適格請求書発行事業者には、取引の相手方(課税事業者に限る)の求めに応じて、適格請求書を交付する義務及び適格請求書の写しを保存する義務があります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年8月2日木曜日

部門間対立の原因と対策

 社内の部門間対立は、営業部門が月間販売実績目標未達成に終わったとき、その原因を「開発部門が売れる製品を開発しないからだ、生産部門が不良品を生産するからだ」などと他部門の責任を追及することから始まるケースが多いようです。

 また、開発部門が新製品や改良品の試作を生産部門に依頼しても、生産部門は計画生産による生産性を優先させているため、予定通りに発売できるタイミングで受け入れてもらえず、対立する場合もあります。

◆部門間対立の原因

 このような問題が発生する原因は、次のように考えられます。

①部門長が、自部門の業績不振の原因を他部門に責任転嫁するため、部下がそれにならってしまう。
②他部門への協力が評価されない業績評価基準になっている。
③部分最適が優先され、全体最適のために部門間で協力して問題を解決する仕事の進め方が徹底していない。

 このような部門間対立は、経営不振の原因になりかねません。

◆部門間対立の解消策

 部門間対立の解消策としては、次の取り組みが有効です。

①トップ・部門長の要請により、各部門の目標に部門間の問題解決を採り上げ、ベクトル合わせを行う。
②目標管理で部門間プロジェクトチームを編成し、問題解決の共同目標を設定、対立現象について事実に基づいて原因と対策を話し合い、解決する。
③部門業績の評価基準に、自部門の業績のみならず、関係部門への協力度を加えるなど、全体最適志向の意識を醸成する評価制度を設定する。

◆経営者・管理者の留意点

 部門間対立の土壌は、全体最適を無視する部分最適志向に慣れている企業文化にあります。

 それを打破するには、目標管理を活用し、プロジェクトチーム活動を通じ、問題解決を図る実践を積み重ねるとともに、全体最適志向のリーダーを育成することが肝要です。

 トップが主導して、このような対策を“全体最適の企業文化”と言えるまで浸透させましょう。

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2018年8月1日水曜日

出産・育児に伴う社会保険料免除

 事業所に勤務していて産前産後休業及び育児休業を取る時は、申出をすれば社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が労使共に免除されます。

◆産前産後休業中の社会保険料免除

 産前産後休業期間とは出産日以前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、出産日後8週間の休業期間の事でこの制度は労働基準法に定められています。

 産前休業は請求主義で、産後休業は強制休業です。

 但し出産後6週間を経過した後に本人の請求があり医師が認めれば就業する事も可能です。

 出産日が予定より遅れても産前休業になります。

 保険料免除期間は産前産後休業期間を開始した日の属する月分から産前産後休業の終了した日の翌日に属する月の前月分までです。

 免除の適用を受けるには産前産後休業期間中に「産前産後休業取得者申出書」を提出しなければなりません。

 提出は出産予定日を目途に産前に提出できますが、予定日と実際に出産した日が異なる場合は変更(終了)届を提出します。

◆育児休業中の社会保険料免除

 育児休業期間中は申出があれば子が3歳に達するまで保険料免除になります。

 育児・介護休業法での育児休業は子が1歳に達するまでとなっていますが、中には育児休業期間を1年以上と規定している企業もあるでしょう。

 また、育児・介護休業法では夫婦ともに育児休業をした場合は1歳2カ月に達するまで、保育所に入所できない等やむを得ない事情がある場合は1歳6カ月又は2歳に達するまで延長制度があります。

 育児休業中の社会保険料免除は育児休業を開始した日の属する月から育児休業が終了した日の翌日の属する月の前月までとなります。

 免除の適用を受けるには育児休業期間中に「育児休業等取得者申出書」を提出しなければなりません。

 最初に育児休業に入ったら「新規」で1歳までの間の予定期間を申出します。

 延長があれば1歳までを提出後、さらに1歳6カ月まで延長する場合と2歳に達するまで延長の場合は各々再度延長の申出をします。

 育児休業が終了し職場復帰した際に時短勤務等で給与が下がり、休業終了日の翌日の属する月から3カ月間の平均が現在の標準報酬より1等級でも下がっていれば標準報酬月額変更届の提出ができます。

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