2018年11月30日金曜日

(前編)経団連:2019年度税制改正要望を公表!

 経団連は、2019年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、2019年10月から消費税率10%への確実な引上げと同時に、税率引上げ後の自動車や住宅に対する消費の落込みを抑える措置も要望しました。

 具体的には、自動車税を軽自動車税(現在1万800円)並みにする案やエコカー減税の延長、自動車重量税を当分の間廃止することのほか、住宅については、住宅ローン減税の延長、住宅リフォーム減税の創設、不動産取得税の特例の延長などを求めました。

 また、需要平準化の取組みを求め、販売価格の設定という企業の最も基本的な経済活動を制約しないことを前提としつつ、中小企業等による適正転嫁や小売の既存実務に配慮した制度設計を行うべきであると主張しております。

 さらに、消費税制度の改善として、
①消費税の申告期限の延長
②消費税の仕入税額控除に係る95%ルールの復活
③福祉車両や損害保険など仕入税額控除ができない非課税取引への配慮
を挙げました。

 上記①では、事業者の事務負担を軽減する観点から、消費税の申告期限について、法人税の申告期限とあわせる形で延長を検討すべきであるとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月29日木曜日

(後編)環境省:2019年度税制改正要望を公表!

 税制全体のグリーン化は、税制を環境負荷に応じたものとすることで、環境負荷の抑制に向けた経済的インセンティブを働かせるなど、持続可能な社会を実現する上で有効な政策と主張しております。

 車体課税のグリーン化では、環境性能のより優れた自動車の普及促進、地球温暖化・公害対策の一層の推進、汚染者負担による公害健康被害補償のための安定的財源確保の観点から要望しております。

 エコカー減税では、基本構造の恒久化を図ることや環境負荷に応じて適切にインセンティブが付与されるよう、現状のエコカー減税対象車の割合等を踏まえ、減税対象車の重点化等を検討するなど一層のグリーン化を図ることを要望しております。

 汚染者負担の原則に基づく補償給付費用等の財源の安定的な確保を図るため、引き続き、自動車重量税から引き当てることを要望しております。

 大気汚染に起因する疾病に苦しんでいる認定患者の健康被害の回復、生活の安定において、補償給付は重要な役割を担っているので、財源の安定的な確保を図るため自動車重量税から引き当てることも必要だと示しております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月28日水曜日

(前編)環境省:2019年度税制改正要望を公表!

 環境省は、2019年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、税制全体のグリーン化の推進や車体課税のグリーン化などを要望しております。

 環境省は、企業や国民一人ひとりを含む多様な主体の行動に環境配慮を織り込み、環境保全のための行動を一層促進するため、幅広い環境分野において税制全体のグリーン化を推進するとしております。

 具体的には、地球温暖化対策及び自動車環境対策を掲げ、地球温暖化対策として2012年10月から施行されている「地球温暖化対策のための税」を着実に実施し、省エネルギー対策、再生可能エネルギー普及、化石燃料のクリーン化・効率化などのエネルギー起源二酸化炭素排出抑制の諸施策に充当し、揮発油税等については、グリーン化の観点から「当分の間税率」を維持し、その税収を地球温暖化対策等に優先的に充当することを求めております。

 自動車環境対策では、地球温暖化対策・公害対策の一層の推進、汚染者負担の性格を踏まえた公害健康被害補償のための安定財源確保の観点から、エコカー減税対象車の重点化等を検討するなど、車体課税の一層のグリーン化の推進を要望しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月27日火曜日

(後編)文部科学省:2019年度税制改正要望を公表!

 こうした授業料及び入学金の減免措置や給付型奨学金の拡充に伴い、文部科学省では、同省に設置した専門家会議の議論も踏まえて、詳細な制度設計の検討を行っているところです。

 この検討結果も踏まえ、授業料等の減免措置及び給付型奨学金について非課税及び差押禁止とするなど、所要の措置を講じる必要があるとして、無償化に向けて、来年の通常国会に関連法案を提出する予定だといいます。

 文部科学省の要望では、現在、(独)日本学生支援機構法に基づき支給される学資支給金(給付型奨学金)については、所得税法9条第1項第15号により「学資に充てるため給付される金品」として非課税とされているとともに差押禁止措置が適用されていることから、高等教育無償化に伴う拡充後の授業料等の減免措置及び給付型奨学金についても、同様に非課税措置が適用されないとなると、支給対象者が実質的に支援の満額を得られないこととなり、施策の目的を十分に達成することができないとして必要性を主張しております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月26日月曜日

(前編)文部科学省:2019年度税制改正要望を公表!

 文部科学省は、2019年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、高等教育の無償化の実施に伴う授業料・入学金の減免措置及び給付型奨学金に係る非課税措置を盛り込んでおります。

 これは、「新しい経済政策パッケージ」(平成29年12月8日閣議決定)において、真に支援が必要な低所得世帯の子供たちの高等教育無償化を実現し、2020年4月から実施することとされ、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定)においても同様の内容が記載されております。

 高等教育の無償化は、大学・短期大学・高等専門学校・専門学校の、授業料・入学金の減免及び給付型奨学金の拡充をするものです。

 真に支援が必要な低所得世帯の子供たちに限って、大学などの高等教育無償化を実現するため、住民税非課税世帯(年収270万円未満)の子どもたちの授業料等の減免措置を拡充するとともに、学生生活を送るのに必要な生活費を賄えるよう給付型奨学金の拡充を2020年4月から実施します。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月25日日曜日

大きく変わる今年の年末調整

◆平成30年分の所得税から控除が変わる 

 平成29年度の税制改正において、配偶者控除・配偶者特別控除の見直しが行われ、平成30年分の所得税から適用されることになりました。

 これに伴い、給与所得者の扶養控除等申告書、配偶者控除等申告書の記載事項等の見直しが行われていますので、今年の年末調整事務は注意が必要です。

◆変更点1 配偶者控除の見直し

 従来は所得者本人の所得金額に制限はなく、控除対象配偶者がいる場合は誰でも38万円(老人控除対象配偶者の場合48万円)の控除が受けられました。

 しかし、改正後は、所得者本人の収入に応じて控除額が逓減する仕組みが加わり、本人給与収入が1,120万円(合計所得金額900万円)を超えた場合の控除額は次のようになります。

(1)給与収入1,120万円超1,170万円以下(所得金額900万円超950万円以下)の控除額26万円〈32万円〉

(2)給与収入1,170万円超1,220万円以下(所得金額950万円超1,000万円以下)の控除額13万円〈16万円〉

(3)給与収入1,220万円超(所得金額1,000万円超)の控除額0円
 ※〈 〉内は老人控除対象配偶者の控除額

◆変更点2 配偶者特別控除の見直し

 対象となる配偶者の所得金額が給与収入150万円以下(合計所得金額85万円以下)の場合、配偶者控除と同額の控除が受けられるよう見直されました。

 また、適用範囲が拡大し、配偶者の合計所得金額が改正前の「38 万円超 76 万円未満」から「38 万円超 123 万円以下(給与収入103万円超201万円以下)」となりました。

 一方、配偶者控除と同様に、所得者本人の合計所得金額に応じて控除額が逓減する仕組みが加わっています。

◆留意すべき事項

 改正後の配偶者特別控除は適用区分が細分化され、複雑化しています。

 所得者本人と配偶者の所得金額を正確に把握しないと控除額の計算が行えませんので、配偶者特別控除申告書の記載に当たっては十分な確認が必要でしょう。

 また、配偶者特別控除を受けられる配偶者の所得金額要件が拡大しましたが、社会保険の被扶養者要件は変更されていませんので、被扶養者となるためには所得調整が必要です。

2018年11月24日土曜日

平成30年度地域別最低賃金

◆最低賃金引き上げ額平均26円で過去最大

 平成30年度地域別最低賃金は、中央最低賃金審議会で賃上げ額の目安が公表され、それを基に各都道府県労働局長が改定額を決定し10月1日から順次発令されます。

 改定額を見ていくとAランクの6都道府県は目安通り27円引き上げられ、東京は985円と最高、神奈川は983円と1000円に迫りました。

 Bランクの16府県も目安通り26円引き上げられ、7県が新たに800円以上、一方Cランクは25円の引き上げ、5県が新たに800円台に乗せました。Dランクでは24円の引き上げでCとDで11県が762円で並び、最低は鹿児島県の761円でした。

◆5年後には1000円まで引き上げ?

 近年、最低賃金は引き上げの流れが続き、時給額のみで表示されるようになった平成14年度には663円でしたが一昨年度に初めて平均800円を超えました。

 今回は全国加重平均で最低賃金を3.1%程度引き上げています。

 このままですと5年後には1000円に達する事になります。

 政府は800円以下の最低賃金をなくすことを掲げているので、人手不足に対処するため中小企業では実力以上の賃上げを求められるかもしれません。

 平成30年の改定額は以下の通りです。
A.27円改定
東京 985円 大阪 936円 愛知 898円 千葉 895円
神奈川983円 埼玉 898円 兵庫 871円

B.26円改定
茨城 822円 栃木 826円 群馬 809円 宮城 798円
富山 821円 長野 821円 京都 882円 静岡 858円
三重 846円 滋賀 839円 和歌山803円 岡山 807円
広島 844円 山梨 810円 徳島 766円 香川 792円

C.25円改定
北海道835円 新潟 803円 石川 806円 福井 803円
岐阜 825円 奈良 811円 山口 802円 福岡 814円
愛媛 764円 高知 762円 佐賀 762円 長崎 762円
熊本 762円 大分 762円 宮崎 762円 沖縄 762円

D.24円改定
青森 762円 秋田 762円 岩手 762円 山形 763円
福島 772円 島根 764円 鳥取 762円 鹿児島761円

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2018年11月23日金曜日

【時事解説】人工肉が食の革命を起こす可能性 その2

 今、世界全体で注目を集めている技術の一つが、人工肉などの食料に関するものです。

 なぜ、人工肉が期待されるのでしょうか。

 それは、次に掲げる3つの課題を解決する要素となるからです。

 具体的に説明しましょう。

(1)食料不足、食糧難:世界全体で、人口は増え続けており、2050年には現在の3割増の98億人に達するとみられています。

 結果、途上国を中心に、食料(たんぱく質)が不足する可能性があります。

 人工肉を生産する技術があれば、たんぱく質の不足分を補うことができます。

(2)環境問題:実は、食用肉生産には大量の水を必要とします。

 また、家畜の飼育は温暖化ガスを排出する原因にもなっています。

 人工肉へシフトすることで環境負荷の低減が図れると考えられています。

(3)健康維持:従来の食用肉よりも植物を原材料とした人工肉のほうが健康的と考えられています。

 これらの理由から、人工肉への関心が高まっています。

 ただ、量産化にはいくつかの壁があります。

 最も大きな障壁は「コスト」です。2013年、試食会で披露されたハンバーガーは1個3,500万円(開発費込み)という高額なものでした。

 もっともコストがかかるのが、細胞を増やすための培養液で、200グラムの肉を作るのに数百万円もかかるといいます。

 日本のベンチャーは人工肉の技術開発で後れを取っていますが、実は、日本の中にも、人工肉を低コストで量産する技術に取り組んでいる会社はあります。

 将来は、スーパーなどで売られる肉と同等の価格で提供したいと開発を進め、現在は少量ですが、フォアグラの試作に成功しています。

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人工肉が食の革命を起こす可能性 その1

 技術の進歩は家電製品、自動車、通信機器など、数多くの分野で新商品を生み出し、莫大な利益をもたらしました。

 今、次の時代に大きな技術革新が起こるであろうと期待されているものの一つが「食」です。

 なかでも、人工肉は今後、大きなビジネスに発展するのではないかと注目されています。

 通常、私たちが食する肉は畜産農場で育てられたものですが、人工肉は文字通り、テクノロジーを駆使して人の手により生み出された肉です。

 牛の筋肉から採取した細胞を人工培養するものや、大豆から抽出したたんぱく質に遺伝子操作を加え生成するもの、さらには3Dプリンターを用いて形成するものなど、すでに何種類かの製造法が開発されています。

 ただ、歴史は浅く、世界で初めて人口培養肉がお目見えしたのが2013年、ロンドンでハンバーガーの試食会が催されました。

 その後、17年に、米国のマクドナルドがスウェーデンとフィンランドの2国で植物由来のたんぱく質で作られたハンバーガーを発売。

 現在は、米国内のいくつかのレストランで人工肉のハンバーガーがメニューに加えられるようになりました。

 いずれも本物そっくり、説明されなければ従来の肉と区別がつかない、と評判になっています。

 日本人は遺伝子操作に対して違和感を覚える人が多く、人工肉への関心は高くありません。

 が、人工肉の技術開発を行う食料ベンチャーへは、マイクロソフト創業者、ビル・ゲイツ氏をはじめ、シリコンバレーの成功者が投資をはじめています。

 かつて、ガレージで産声を上げたグーグルやアップルが大企業へと成長したように、次は食料ベンチャーが大きく羽ばたくのではないかといった声もあります。(つづく)

2018年11月22日木曜日

中小企業における仕事と介護の両立 その2

 では、中小企業における仕事と介護の両立にあたっては具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。

 そこで2017年版中小企業白書において、介護中の従業員も含め柔軟な働き方を実現し、人材の定着を図る企業として紹介された、株式会社長岡塗装店(本社:島根県松江市、従業員27名)の取組みについてみていきましょう。

 株式会社長岡塗装店は、1938年創業の塗装業者です。

 人材の流動性が高い建設業界において、かつては同社でも従業員の離職への対応という課題を抱えていました。

 そこで同社では、従業員に長く活躍してもらうための働きやすい職場づくりに取り組みました。

 まず、30分単位で取得可能な看護休暇制度を整備しました。

 その際、従業員が制度をお互いに気持ちよく利用できることこそが重要であるとの立場から、制度を作る過程において制度を利用しない者から優先して意見を聞いたり、全員に丁寧な説明を心掛けたり、従業員の意見を受けて育児支援制度と介護支援制度を同時に作ったりと、従業員間の公平性の確保・摩擦の軽減を意識しました。

 事情の異なる従業員一人ひとりと真摯に向き合った結果、現在では育児・介護のための始業・終業時間の繰上げ・繰下げ、保育料や介護サービス利用費用の補助等、多種多様な制度を導入しています。

 また、制度の運用面でも柔軟な対応を図っています。

 例えば家族の通院がある日だけ就業時間を短縮するなど弾力的な運用を行うことで、従業員の仕事と生活の両立を支援しています。

 このように中小企業における仕事と介護の両立に向けては、両立支援のための人事制度等の設計だけでなく、運用面での事前の準備や、運用面での柔軟な対応が求められるのです。

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2018年11月21日水曜日

中小企業における仕事と介護の両立 その1

 総務省「平成29年就業構造基本調査」によると介護をしながら働く者は約346万人おり、うち自営業者を除く雇用者は約300万人を占め、高齢化の進展から今後ますます増加することが見込まれます。

 中小企業において人材確保が困難となる中、従業員の仕事と介護の両立支援を図り人材の定着を図ることが重要となります。

 「中小企業白書2017年版」では、中小企業における仕事と介護の両立の現状と課題について、就業者側の立場と中小企業側の立場の両方から整理しています。

 まず、就業者側が仕事と介護の両立支援のためにどのような取組みを企業に期待しているのかについてみると、家族に要介護者がいる者では、「半日や1時間単位の年次有給休暇」や「突発的な事由による遅刻・早退・欠勤の許可等の労働時間・労働日数の弾力的運用」について相対的に重視する傾向があることが示されています。

 このことから介護・看護に当たっては、予期せぬ突発的な事象が発生することも想定されるため、フレキシブルな対応を企業に求めていると考えられます。
 
 次に、中小企業側が認識している従業員の仕事と介護の両立支援に係る課題についてみると、「従業員間の公平性の確保・摩擦の軽減」、「休業者の補填が難しい」、「急な遅刻・早退・欠勤等のリスク」、「仕事の配分・管理が複雑化」の順に回答した割合が高くなっており、介護を事由とした休暇・休業に伴う業務の補填や調整について課題として認識する傾向が強いことが示されています。

 このように中小企業における仕事と介護の両立に向けては、突発的な事由による労働時間の変動や、他の従業員との公平性の担保等の課題に対応することが求められるのです。(つづく)

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2018年11月20日火曜日

(後編)東京商工会議所:2019年度税制改正に関する意見を公表!

 さらに、軽減税率制度の導入はゼロベースで見直すこと、インボイス制度は廃止を含め慎重に検討すること、混乱なく軽減税率制度を導入するため、国による徹底的な広報により事業者の準備を促すなど早急な対応を求めております。

 事業承継の円滑化では、個人事業主の事業承継に対する支援措置として、青色申告を選択し、個人資産と事業用資産を区分している個人事業者を対象に、民法上の特例措置や事業用の建物等の贈与税・相続税の軽減措置を検討することや分散した株式の集約促進のため、同族判定の範囲の縮小などを要望しております。

 また、事業承継税制の改善として、都道府県・税務署への提出書類の簡素化、書類提出の不備等に対する宥恕規定の明確化、一般事業承継税制を利用して自社株式を生前贈与した場合、相続発生時に追加で税負担が生じることから、特例事業承継税制への切替えを認めること、特例事業承継税制の適用対象拡大を踏まえた承継円滑化法に基づく民法特例措置の対象の見直しなどをあげております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月19日月曜日

(前編)東京商工会議所:2019年度税制改正に関する意見を公表!

 東京商工会議所は、2019年度税制改正に関する意見を公表しました。

 それによりますと、中小企業の成長を後押しする観点からの設備投資減税の延長・拡充、研究開発税制の延長・拡充、中小法人の軽減税率の延長、消費税率引上げに向けた経済環境の整備及び円滑な価格転嫁の実現のほか、事業承継の円滑化に向けた税制措置などを主張しております。

 消費税率引上げ、軽減税率導入に向けた課題として、需要変動の平準化対策を講じるに際しては、中小企業の円滑な価格転嫁との両立が大前提であること、「消費税は価格に転嫁されるもの」であることを消費者や事業者へ強力な広報の展開とあわせて、消費税転嫁対策特別措置法に基づく実効性の高い転嫁対策を推進すること、「消費税還元セールの解禁」など、転嫁対策を後退させる消費税転嫁対策特別措置法の改正は不要なことを掲げました。

 総額表示は消費者に対して値上げした印象を与え、消費税の転嫁が困難になるので、外税表示を恒久化し、事業者が自社にあった価格表示を選択できるよう要望しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月18日日曜日

(後編)財務省:KSKシステムの行政事業レビューを公表!

 しかし、問題点として、当局では他社がつくったプログラムを改修しろと言われても非常に怖いという各ベンダーの意見がありました。

 運用コストの削減については、2021年1月に予定している機器更改に対して、センター設置サーバ台数の削減、拠点用サーバのセンターへの集約等の方針を策定し、さらなる削減を図るとしております。

 KSKの開発関係経費は、2018年度の場合、全体が約345億円計上され、そのうち50億円ほどがプログラム開発関係の費用、290億円強がランニングコスト、そのうちさらに240億円ほどが電子計算機等の借料という構成になっております。

 外部有識者による点検結果によりますと、「一者応札の契約が多く、財務省もベンダーロックイン(特定ベンダーの独自仕様のシステムが採用されるとベンダーが固定されやすくなること)やシステム規模などが業者の参加を妨げる要因となっていると認識しているが、それに対する有効な対策が検討されているか疑問」、「運用コストの削減については、開発費との合計額の観点からも削減ができるように、検討を進めるべき」などのコメントがあがっております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月17日土曜日

(前編)財務省:KSKシステムの行政事業レビューを公表!

 財務省は、国税総合管理(以下:KSK)システムの行政事業レビュー結果を公表しました。

 KSKシステムとは、全国の国税局と税務署をネットワークで結び、申告・納税の事績や各種の情報を入力して国税債権などを一元的に管理し、これらを分析して税務調査や滞納整理等に活用するなど税務行政の根幹となる各種事務処理の高度化、効率化を図るシステムです。

 また、行政事業レビューの目的は、各府省が自ら所管事業の執行状況を公表するとともに、外部有識者による客観的な事業の点検を受け、その結果を概算要求や執行の改善に反映させることにあります。

 KSKシステム事業の点検での論点には、「次期システム更改に向け、専門的な第三者の意見を聞くなど、一者応札の改善も含めた適切な検討が行われているのか」、「2021年度を目途とする運用コストの3割圧縮に向けて運用コストの削減に努めているか」の2つがあります。

 執行状況をみてみますと、一者応札の改善については、2015年度のホスト機器の調達で調達区分の細分化、入札公告期間の延長等をした結果、ネットワーク機器の調達で複数応札が実現したとあります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2018年11月16日金曜日

消費税軽減税率導入まであと1年!

◆消費税軽減税率制度の概要

 2019年(平成31年)10月1日から、消費税及び地方消費税の税率が8%から10%に引き上げられると同時に、消費税の軽減税 率制度が実施されます。

 軽減税率(8%)の対象となるのは、次の2品目です。

・飲食料品…飲食料品(酒類を除く)※外食やケータリング等を除く。
・新聞…週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)

◆区分記載請求書等保存方式が始まる

 軽減税率制度の実施に伴い、消費税等の税率が8%と10%の複数税率になりますので、2019 年10 月1日から2023年9月30日までの間は税率ごとの区分経理が必要です。

 また、区分経理に対応した帳簿及び請求書等の保存も要件となります。

◆適格請求書等保存方式(インボイス方式)

 2023 年10 月 1 日以降、複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、「適格請求書等保存方式」いわゆる「インボイス方式」が導入されます。

 適格請求書(インボイス)は、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者でなければ交付できませんので、適格請求書発行事業者となるためには、2021年10 月1日以降、登録申請書を税務署に提出しておかなければなりません。

 免税事業者は、課税事業者となることを選択し、登録申請書を提出すれば適格請求書発行事業者となることができます。

◆レジの導入はお早めに

 複数税率対応レジを導入することで、区分記載請求書等の発行が簡単にできるようになりますし、今なら軽減税率対策補助金が1台当たり最高で20万円受けられます(※資本金額など一定の条件があります)。

 軽減税率対策補助金は今年8月現在で約7万以上の事業者に交付されたとのことです。

 メーカーによっては人気商品が欠品となっていて、納品までに時間がかかるケースも見受けられるようになってきました。

 軽減税率対策補助金の補助事業の完了期限は2019年9月30日まで延長されていますが、補助金に限りもありますので、早目の対応をおすすめします。

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2018年11月15日木曜日

新卒留学生の入社準備はお早めに

◆留学生のビザ切り替えは12月から

 日本に滞在している外国人留学生は、留学ビザという勉強のためのビザを持って滞在しています。

 ビザは滞在目的により種類が異なりますので、日本で就職活動をして内定が出た場合、卒業後には就労できる種類のビザ、一般的に「就労ビザ」と呼ばれる就労可能な資格に切り替えなければ、継続して滞在することができません。

 留学ビザのままでは勤務することができませんので、入社時までに就労ビザへの切り替えが完了していなければなりません。

 そのため、外国人の在留を管理する入国管理局では例年、4月入社予定の外国人留学生について、前年の12月1日から就労ビザへの変更申請を受け付けています。

◆入社直前の申請でも大丈夫?

 年末年始は会社側も何かと忙しいものですが、この就労ビザへの変更は遅くとも2月上旬頃までには済ませておきたいものです。

 というのも、就労ビザへの変更は即日完了するものではなく、業務内容と学歴との関連性や本人の素行等、様々な要件を複合的に審査するため、通常は審査期間に1か月~1か月半を要します。

 また、申請の内容から追加資料や説明を求められるケースもあり、そういった場合は更に審査期間が長引く可能性もあります。

 12月以降は就労ビザへの変更申請が集中し、入国管理局も大変混雑します。

 残念ながら個別の事情を考慮してくれることは珍しく、申請が遅くなると、入社までに切り替えが間に合わないということも十分あり得るのです。

◆もしも入社までに完了しなかったら…

 先述のとおり、留学ビザは勉強を目的とした資格ですので、就労ビザへ切り替わるまでは勤務を開始することができません。

 留学生の場合、希望すれば資格外活動許可という週28時間までのアルバイトが許可されるため、せめてこの時間以内でも働いてもらいたいと思うかもしれませんが、この資格外活動許可もあくまで在学中に限って許可されているため、卒業後はアルバイトに従事することもできないのです。

 申請は原則、留学生本人が行うものですが、企業側としても余裕を持って準備を進めたいですね。

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2018年11月14日水曜日

寡夫控除 見直しまで道遠く

 今年末に向け話し合いが本格化する2019年度税政改正で議論になりそうなのが、ひとり親世帯の税負担を軽くする「寡婦控除」です。

 現状、離婚や死別によるひとり親が対象ですが、未婚のひとり親にも適用を広げるかが議論されます。

 同じひとり親でも、婚姻歴の有無だけで負担に差が出るのは不公平との声があるためです。

 寡婦控除の始まりは1951年。

 戦争で夫を失った妻を支えるのが当初の目的でした。

 現状、ひとり親世帯を対象に所得税は年収から最大35万円、住民税は最大30万円を差し引いてから課税しています。

 ただ、離婚や死別でひとり親になっていることが条件で、未婚のままのひとり親は適用外です。

 しかし、厚生労働省の2016年度調査では、母子家庭で「未婚」が占める割合は8.7%で推計約10万7千世帯に上ります。

 最多の離婚(8割)に次いで多く、「死別」(8%)をわずかとはいえ上回っています。

 一方で「未婚」世帯の母親の平均年収は177万円と母子家庭全体の200万円を下回っており、全体でみれば経済的に厳しい状況に置かれています。

 政府・与党は18年度税制改正大綱で、寡婦控除について「19年度改正で(見直しを)検討し、結論を得る」と明記し、議論になるのは確実です。

 ただし自民党内では「婚姻に基づく結婚の形が壊れないか」、「内縁の夫がいるなど経済的に困窮していない場合も優遇されないか」などとの慎重論も根強くあります。

 財務省内でも、「昔から税制としては歪んでいると指摘されてきた」としつつ、対象世帯の所得がそもそも少ないことから「税よりも補助金などで対応する方が効果的では」との指摘する声もあります。

 「子どもの貧困」が社会問題として意識される中、政府・与党が出す答えに注目が集まっています。

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2018年11月13日火曜日

基準地価、バブル以来27年ぶり上昇

 国土交通省が公表した2018年の基準地価によれば、今年の全国の地価の平均(全用途)は前年度比0.1%上昇し、バブル期の1991年以来27年ぶりに上昇となりました。

 前年まで8年連続でマイナス幅を縮小し、17年は0.3%の下落にとどめていましたが、とうとうプラスに転じたことになります。

 東京、大阪、名古屋の三大都市圏は住宅地で前年比0.7%、商業地で4.2%、工業地で2.1%と、それぞれ前年に引き続いての上昇となりました。

 全国の地価上昇を押し上げた最大の要因は、三大都市圏よりもむしろ地方中枢都市です。

 札幌、仙台、広島、福岡の地方中枢4都市は、住宅地で3.9%、商業地に至っては前年比9.2%という三大都市圏をはるかにしのぐ伸びを示しました。

 また中枢都市以外に、人気の観光地を抱える自治体の地価上昇も著しいものでした。

 全国の地価上昇率ランキングを見ると、スキーリゾートとして外国人に人気の高いニセコを抱える北海道倶知安町が上位3位を独占し、20%台後半から45%とすさまじい上昇率を誇っています。

 また国内観光客にも人気の高い京都も4地点がランクインし、東京や大阪をしのぐ伸びを見せました。

 一方、中枢都市や観光地以外の地方都市に目を向けると、マイナス幅は縮小しているものの下落が続いています。

 住宅地では0.9%、商業地でも0.6%の落ち込みを示し、上昇が続く都市圏とは対照的に、地価の二極化傾向をくっきり表す結果となりました。

 基準地価は毎年7月1日時点での全国の地価を表したもの。

 1月時点での地価を調査する公示地価と補完し合う関係となっています。

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2018年11月12日月曜日

特例経営承継受贈者の適用要件(その2)

Ⅱ 相続時精算課税制度の適用範囲の拡大

 平成30年度税制改正前では、60歳以上の父母又は祖父母から20歳以上の子又は孫(直系卑属)への贈与が相続時精算課税制度の対象とされていました。

 平成30年度税制改正では、改正前の制度に加えて、特例対象受贈非上場株式等を贈与により取得した特例受贈者が特例贈与者の推定相続人以外の者(その年1月1日において20歳以上である者に限ります。)であり、かつ、その特例贈与者が同日において60歳以上の者である場合には、相続時精算課税の適用を受けることができることとされます(措法70の2の7①)。

 この場合における「推定相続人」とは、その贈与をした者の直系卑属である者のうちその年1月1日において20歳以上である者とされます(措通70の2の7-2)。

 なお、この改正は、平成30年1月1日以後に贈与により取得する株式等に係る贈与税について適用されます(平成30年度改正法附則118⑤)

おわりに

 前述したⅠ④イ又はロのいずれの場合に該当するかは、同一の特例贈与者から同一の特例会社の株式等を「贈与税の納税猶予及び免除の特例(措法70の7の5①)」の規定の適用に係る贈与により取得した個人の数によることとされます(措通70の7の5-10(注)1)。

 また、前述したⅠ④ロに掲げる要件の判定は、その贈与のうち最後に行われた贈与直後のいずれの特例受贈者の有する株式等が特例贈与者の有する特例会社の株式等の数等を上回ること(同率の場合は不可)とされていますので留意して下さい。

2018年11月11日日曜日

特例経営承継受贈者の適用要件

はじめに

 中小企業経営者の高齢化に伴い、今後10年の間に平均引退年齢である70歳を超える経営者が245万人になると推定されています。

 このうち、半数以上が事業承継の準備を終えていない現況にあります。

 そこで、平成30年度税制改正では、円滑な世代交代に向けた集中取組み期間(10年間)の時限措置として、事業承継税制の各種要件の緩和を含む事業承継税制の特例制度(以下「本特例」といいます。)が創設されました。

 本稿では、本特例の適用対象者である特例経営承継受贈者(以下単に「特例受贈者」といいます。)の適用要件及びその実務上の留意点について解説することとします。

Ⅰ 特例受贈者の定義

 「特例受贈者」とは、特例贈与者から本特例の規定の適用に係る贈与により特例認定贈与承継会社(以下単に「特例会社」といいます。)の非上場株式等の取得をした後継者で、次に掲げる要件の全てを満たす者(その者が2人又は3人以上ある場合には、その特例会社が定めた2人又は3人までに限ります。)とされます(措法70の7の5②六)。

① 贈与の日において20歳以上であること。
② 贈与の時において、特例会社の代表権(制限が加えられた代表権を除きます。)を有していること。
③ 贈与の時において、後継者及び後継者の親族などで総株主等議決権数の50%超の議決権数を保有すること。
④ 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める要件を満たしていること。
 イ後継者が1人の場合…同族関係者の中で筆頭株主であること。
 ロ後継者が2人又は3人の場合…各後継者が10%以上の議決権を有し、かつ、同族関係者の中で上位2位以内(後継者2人の場合)又は3位以内(後継者3人の場合)であること。
⑤ 贈与の時からその贈与の日の属する年分の贈与税の申告書の提出期限(その提出期限前に後継者が死亡した場合には、その死亡の日)まで取得した株式等を継続して保有していること。
⑥ 贈与直前において3年以上役員(会社法上の役員及び業務を執行する社員を含みます。)であること(措規23の12の2⑧,会社法329①)。
⑦ 特例会社の株式等について、一般措置(措法70の7①,同法70の7の2①)の適用を受けていないこと。
⑧ 特例承継計画に記載された後継者であること(措規23の12の2⑨)。

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2018年11月10日土曜日

(後編)国土交通省:2019年度税制改正要望を公表!

 被相続人は相続開始直前において老人ホーム等に入居していることも多く、また、取引実態上、売主(相続人)が譲渡前にリフォームや除去するよりも買主が行うことが多いという実態に配慮した要望です。

 また、地域福利増進事業(一定の所有者不明土地について都道府県知事による事業の公益性等の確認を経て、公園や広場等として利用する事業)の用に係る特例措置の創設も要望しており、同事業の用に供する土地・建物に係る固定資産税等を3分の2に軽減する特例措置及び事業者に土地等を譲渡した場合の所有者の譲渡所得から1,500万円を特別控除します。

 そして、外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充も求めており、すでに消費税免税店の許可を受けている事業者が、地域のお祭りや商店街のイベント等に出店する場合に、簡素な手続きにより免税販売を認めることによって、地域の特産品等の販売機会を増やし、外国人旅行者への販売機会の増加につなげ、外国人旅行消費額のより一層の拡大と地方を含めた免税店数のさらなる増加を図ります。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月9日金曜日

(前編)国土交通省:2019年度税制改正要望を公表!

 国土交通省は、2019年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、空き家の発生を抑制するための特例措置の拡充・延長などを要望しており、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除について、2019年12月末までの適用期間を4年間延長した上で、被相続人の直前居住要件及び建物リフォーム・除去の時点に関する要件を緩和して、特例適用対象を拡充し、空き家の発生の抑制を図ります。

 同特例は、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋(1981年5月31日以前に建築され、相続の開始直前において被相続人の居住の用に供されていたもの)を相続した相続人が、その家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む)又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、その家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除するものです。

 この特例措置を4年間(2020年1月1日~2023年12月31日)延長した上で、被相続人が老人ホーム等に入居した場合や譲渡後に家屋の除却又は耐震リフォームを行った場合を対象に加えることを要望しました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月8日木曜日

(後編)日本税理士会連合会:2019年度税制改正に関する建議書を公表!

 その際、給与所得控除・公的年金等控除の水準が過大なことや、控除が適用されない事業所得者等とのバランスも踏まえ、所得計算上の控除を縮減した上で、基礎的な人的控除を中心に課税最低限を確保することが適切としました。

 上記③では、償却資産に係る固定資産税制度が事業者の設備投資の阻害要因になっていること、現状では課税客体の捕捉が不十分、固定資産台帳の整理が賦課期日と決算日の年2回必要になるなど事業者に過度な事務負担を強いていること等の問題があるとしております。

 市町村の財政の現状からみると、代替財源がない限り同制度を廃止することは困難なため、当面は制度を維持しつつ上記問題の解決も検討する必要があるとしております。

 賦課期日と申告期限については、賦課期日は現行法のままとしつつも、申告期限につき、現行方式と電子申告に限り法人税の申告期限と一致させる新方式との選択制を早期に実現した上で、償却資産に係る固定資産税を固定資産税とは異なる新たな税目とする、所得税の申告期限と一致させるなどの抜本的改革の検討を求めております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月7日水曜日

(前編)日本税理士会連合会:2019年度税制改正に関する建議書を公表!

 日本税理士会連合会(以下:日税連)は、2019年度税制改正に関する建議書を公表しました。

 それによりますと、重要建議項目として、

①消費税における単一税率及び請求書等保存方式を維持すること
②所得計算上の控除から基礎的な人的控除へのシフトを進めるとともに、基礎的な人的控除のあり方を見直すこと
③償却資産に係る固定資産税制度を抜本的に見直すこと

をあげております。

 上記①では、軽減税率(複数税率)制度は、区分経理等により事業者の事務負担が増加することや、逆進性対策として非効率、財政が毀損し社会保障給付の抑制が必要となるなどの理由から、日税連では、単一税率制度の維持を強く主張しております。

 また、2023年10月に導入予定の適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)への移行は、行政手続コスト削減の方向性に逆行することのないような配慮・見直しを求めております。

 上記②では、基礎控除、配偶者控除等の基礎的な人的控除の課税最低限は、健康で文化的な最低限度の生活を維持するために侵害してはならない性質を有するもので、生活保護の水準に合わせていくことが望ましいとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月6日火曜日

輸出免税で消費税不要のはずが なぜ付加されるかという疑問

◆輸出免税で消費税がかからないハズ・・・?

 日本からの海外への物品の輸出については、消費税が課税されない輸出免税となっています。

 輸出免税とは、物品の販売(=消費税法でいうところの資産の譲渡等)は本来課税されるところ、特別な配慮(=消費地課税主義と国際的慣行)により課税されないこととされているものです。

◆輸出免税なのに消費税が付加される背景①

 輸出元の日本の事業者(個人・法人)が、小規模で消費税免税事業者の場合です。

 自分が仕入れた物品にかかる消費税額がコストとなってしまうことを回避するために、売上にも消費税を付加してきます。

 購入する側の外国の事業者(個人・法人)は、日本の消費税が輸出免税との認識がないので請求書の金額のまま支払ってしまう場合です。

◆輸出免税なのに消費税が付加される背景②

 日本の事業者が、消費税申告をして申告書では輸出免税として仕入に係る仕入れ税額控除を取りながら、請求書では消費税額を加算した金額を請求することもあります。

 外国の事業者が輸出免税との認識がないのでそのまま支払いをしてしまう場合です。

 日本の事業者が、消費税の申告で輸出免税とせずに納税している場合には、[輸出元の日本の自事業者において]更正の請求による還付→[外国事業者へ]返金ということも考えられます。

 しかしながら、日本の事業者が申告書では輸出免税としながら、相手先からは消費税分を収受している場合には厄介です。

◆これは弁護士マターです

 請求書上で物品の税抜本体価格と消費税額が明確に別記してあれば、交渉して消費税額を返金してもらう可能性もあります。

 請求する側としては、「本件取引は輸出免税取引であり、消費税を別記している支払代金のうち、消費税部分は法律上の原因のない給付となり、民法上、不当利得として返還請求できることになる」と主張します。

 しかしながら、すんなりとはいかないケースもあります。

 たとえば、売買契約書において、「本体価格」と「消費税等」を合計した総額が「売買代金」とされていて、売買代金としては、総額で合意しているとも解釈される余地がありそうな場合です。

 この点は契約解釈の問題であり、相手方が争ってきた場合は返金請求が難しくなることもあるようです。

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2018年11月5日月曜日

この10年間減っている労働時間

◆月240時間以上労働の過労死ライン

 最近の調査で東京大学社会科学研究所の調べによると、この10年間に月に240時間以上の長時間労働をしている人が減少したことが分かりました。

 月に240時間以上の長時間労働をしている男性の「典型雇用」(正社員等)では2007年の35.4%から2017年は23.7%まで減少しています。

 同じく女性の典型雇用でも12.1%から8.2%に減少しています。

 「非典型雇用」(契約社員等)でも減少傾向が見られます。

 月に240時間以上の長時間労働を見ると1カ月20日勤務したとした場合1日12時間以上の労働になりますが、月間80時間以上の時間外労働は過労死ラインと言われています。

 脳卒中や心臓病の発症率が高く、労災とされた時は業務との因果関係が認められやすくなり、労働者、企業の双方にリスクがあります。

 減少してきたとは言えまだ23.7%あるのは高いと言えるのかもしれません。

◆帰宅時間は変わったか

 同じ調査で働く人の「平均帰宅時間」も早まった事が分かりました。

 この10年間で男性は午後8時2分から同7時48分へ、女性は午後6時48分から同6時1分へそれぞれ減少していて平均的な労働時間も減少しています。

◆働く人の意識の変化

 別の調査でシチズン時計株式会社が行った「ビジネスマンの生活時間35年の推移」によると、帰宅時間で遅いと感じる時間は1980年から2000年迄は「23時」がトップでしたが2010年には「22時」がトップ、2015年には「21時」がトップと、この35年間年々早まる結果となりました。

 同調査はリーマンショック(2008年)や東日本大震災(2011年)の影響から生活様式が見直され、働き方にも変化が見られるとしています。

 その後の過労死の社会問題、働き方改革の推進もあり、働く人々の意識の変化がさらに高まってきています。

 企業もこの世相や意識の変化を認識しておく必要があるでしょう。

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2018年11月4日日曜日

NISA初年度の非課税期間終了へ

 NISAの専用口座で保有する株式のうち、制度がスタートした2014年に購入した株式の非課税期間が年内に終了します。

 来年以降も株を持ち続けるのであれば、売却益に課税される通常の口座に移管するか、来年分の非課税枠を使ってNISAの適用を継続するか、いずれかの選択が必要です。

 NISAで年間120万円までの投資の利益が非課税になる期間は5年に限られます。

 そのため、制度が始まった14年に投資した分は今年で非課税期間が終了することになります。

 通常の口座(一般口座・特定口座)への移管では、今年12月の最終営業日の時価を基準にして、その後の利益には20%の所得税が課税されることになります。

 一方、新たなNISA口座への移管後は、5年間の非課税期間が改めてスタートすることになります。

 非課税の対象となる投資金額は、新たな口座に引き継いだ残高全て。

 例えば初年度に100万円で購入した株式が500万円まで増えているとすると、非課税となる金額は通常のNISAの年間上限である120万円ではなく、500万円全額です。

 ただし、新たなNISA口座に移管すると、その年のNISAの非課税枠をつぶしてしまうことになります。

 すなわち年末の時点で120万円以上の株を新口座に引き継ぐと、その年は他にNISAの非課税枠を使えなくなります。

 いずれの選択肢が資産形成に有利であるかは、来年以降の株式の動きによって変わります。

 保有している株式が他の株式と比べて値上がり率が高いと判断するなら、新しいNISA口座への移管が一般的な選択肢となります。

 日本証券業協会は初年度の非課税期間の終了が間近に迫っていることを受け、利用者に対し、証券会社から順次届く案内に従い、各社の定める期限までに手続きをするように注意を呼び掛けています。

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2018年11月3日土曜日

自動車工業会が車減税に自信

 日本自動車工業会は9月下旬に発表した税制改正要望で、自動車の保有者が毎年負担する自動車税を大幅に引き下げるよう政府に求めました。

 2019年10月に10%となる消費税、米国による輸入自動車への追加関税と、今後の生産・販売は「嵐のような逆風」(自動車メーカー幹部)に見舞われる恐れがあります。

 19年度の税制改正に向け、自動車業界は例年以上に激しく、財務省や総務省との交渉に臨む姿勢です。

 まず挙げたのは、新たに購入する車を対象にした自動車税の引き下げ。

 人気の軽自動車税(年1万800円)並みを想定しました。

 排気量1千cc以下の小型車なら、年2万9500円から1万6400円になる見込みです。

 自動車税は年間1兆5千億円規模の税収をもたらし、地方の貴重な財源となっています。

 軽レベルまで引き下げれば税収は4千億円ほど減る可能性がありますが、経済産業省が地方税を所管する総務省と内々に減税交渉を進めており、自工会関係者は「実現に向けた地ならしは相当に進んでいる」と自信を見せます。

 政府は6月にまとめた経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で、消費増税への対応を盛り込みました。

 自動車の販売冷え込み対策として、増税と同時に導入される燃費課税を初年度に限り免除する案が検討されており、自工会は車を購入した初年度の自動車税も併せて対象に加えるよう求めます。

 消費税率のアップで、国内の新車販売は30万台程度を縮小が見込まれます。

 財務省と総務省は「減税は必要な財源の確保とバーターで」という立場を崩していませんが、自工会は「一時的な減税でも構わないので何とか押し込みたい」と鼻息を荒くしています。

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2018年11月2日金曜日

軽減税率対応補助金で不正受給

 消費税率10%への引き上げにあたっては食料品などの税率が8%で据え置かれますが、そうした複数税率に対応するレジを導入した企業に支給される補助金を不正に受け取っている事業者がいるとして、中企庁が調査に乗り出しました。

 補助金が支給されるためには、8%税率が適用される飲食料品や新聞を継続的に販売していかなければなりません。

 しかし中企庁によると、理美容院、エステ、クリーニング店、楽器店などで、実際には軽減税率の対象商品を販売していないにもかかわらず、飲食料品を一時的に仕入れた証拠書類を提出して補助金を申請した事例があったそうです。

 また、飲食店が軽減税率の適用対象外となる店内での飲食に加え、対象となるテイクアウトを行っていると虚偽の申請をしたケースもありました。

 いずれも現地調査によって不正が発覚しています。

 同庁は今後も現地調査を行い、不正が発覚した場合には事業者に補助金の返還を求めるとしています。

 補助金で補われる金額は導入に掛かったコストの最大3分の2で、レジ1台当たり20万円が上限となっています。

 ただし1台だけの導入でかつ3万円未満の機器は4分の3となります。

 また、新たに商品マスタの設定や機器の設置や運搬に費用がかかる時には、1台あたり20万円を上乗せします。

 複数の機器を導入した場合は1事業者当たり200万円が上限です。

 平成28年4月に募集開始となって以来、今年8月時点で7万以上の事業者が補助金を受け取っています。


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2018年11月1日木曜日

養育費、賠償金の逃げ得を防止

 法制審議会(法相の諮問機関)の民事執行法部会が、裁判で養育費や賠償金の支払いを命じられても応じない債務者の勤務先や預貯金口座について、裁判所が金融機関に情報提供を命じる新制度を柱とする改正要綱案をまとめました。

 法務省は、10月の法制審議会の総会で法相に答申し、改正法案を今秋の臨時国会への提出を目指す方針です。

 支払いに応じない人の預貯金などを差し押さえるためには、現行制度では元配偶者らが自ら金融機関を特定し、情報を開示してもらわなければなりません。

 しかし、金融機関に情報を求めても個人情報の壁があり、泣き寝入りせざるを得ないケースがほとんどです。

 子どものいる夫婦の離婚は年間10万件を超えていますが、厚生労働省の調べでは養育費を受け取っている母子家庭は24%にとどまっています。

 犯罪被害者に対する賠償金についても支払いに応じない加害者が多いのが現状です。

 日弁連の2015年の調べでは、賠償支払い義務が裁判で確定した164件のうち全額賠償されたのは70件にとどまっています。

 要綱案では、裁判で支払いを命じられた判決や公正証書などに基づいて債権者が申し立てれば、裁判所が金融機関に債務者の預貯金や株式情報を取得できるようにします。

 また市町村などの公的機関に対しても土地・建物や勤務先の情報を得られるようにするとのことです。

 これらの情報を基に、債務者の財産差し押さえを申し立てができるようになります。

 一方でこの新たな差し押さえ制度は、消費者金融などの借金を負った債務者が強引な取り立てを受ける事態になる恐れも懸念されています。

 要綱案では、財産の差し押さえから債権回収までの期間を現行の1週間から4週間に延長し、債務者が債権回収の禁止を申し立てる期間を確保できるようにしましたが、どれほどの効力を発揮するのかは未知数と言えます。