2017年7月31日月曜日

テレワークの実施状況

◆在宅勤務等テレワーク制度導入は約1割
 連合総研(公益財団法人 連合総合生活開発研究所)が実施した「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」の結果が公表されています。

 民間企業に勤める男女2千人を対象にインターネットで行ったこの調査には、自宅等オフィス以外で働く「テレワークの制度」の導入状況についての質問事項があります。

 それによるとテレワーク制度が勤務先に「ある」と回答した従業員が9.7%だったそうです。

 従業員千人以上の企業では導入率は19.1%が「ある」と答えたのに対し、99人以下の企業では5.0%に留まっています。

 企業規模で制度導入に差が出ています。

◆テレワークで働きたいか
 「今後自分が在宅勤務型のテレワークで働きたいですか?」の問いには「わからない」と回答した割合が最も多く42.4%、「働きたい(働き続けたい)と思う」が27.4%、「働きたい(働き続けたい)とは思わない」が30.3%となっています。

 この調査でも現在テレワークで働いていると回答した人の割合は約1%なので、テレワークそのものがまだ広く普及されておらず回答する側にも認識が低いと言えるでしょう。

 実際どんな働き方になるのかイメージし難いのかもしれません。

◆徐々に進む制度導入
 このような状況の中で最近は政府が提唱する「働き方改革」の流れでテレワーク普及を推進しようとしています。

 厚生労働省では東京都や経済団体と連携し2020年の東京オリンピック・パラリンピックを契機としてテレワーク普及を展開する方針で、その一環として東京大会の開会日に当たる7月24日を今年から「テレワーク・デイ」と決め、多くの企業や団体にテレワークの一斉実施を呼びかけようとしています。

 これまではセキュリティやコミュニケーションの疎通、労務管理、コスト面等の問題から導入をためらっていた企業も多かったと言う事ですが、最近はこれらの懸念材料を解消するツールが様々に用意されているようです。

 ICTを活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方は今後、中小企業でも導入が期待されるところです。


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2017年7月28日金曜日

財形制度目的外払出しの非課税特例範囲を拡充!

2017年度税制改正

 2017年度税制改正において、勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄(以下:財形非課税貯蓄)について、その払出し(目的外払出し)が災害等の事由に基因するものである場合には、一定の要件の下、その払出しに係る利子等に対する課税が行われないこととされました。

 財形非課税貯蓄(財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄)を本来の目的(住宅購入等、年金)以外で払い出す場合、本来は利子などに課税されますが、非課税で払い出すことができる特例の範囲が拡充されました。

 勤労者につき、下記に掲げる「災害等の事由」が生じた日から同日以後1年を経過する日までの間に、その事由が生じたことにより勤労者が財形非課税貯蓄の払出しを行う場合には、その払出しに係る利子等に対する課税が行われないこととされ、2017年4月1日以降の払出しから、この非課税特例の範囲がすでに拡充されております。

 ここでいう災害等の事由とは、

①勤労者が居住の用に供している家屋であってその者又はその者と生計を一にする親族が所有しているものについて、災害により全壊、流失、半壊、床上浸水その他これらに準ずる損害を受けたこと

②勤労者が支払った医療費で、その者又はその支払の時においてその者と生計を一にする親族のためにその年中に支払ったものの金額が200万円を超えたこと

③勤労者が配偶者と死別等をし、所得税法に規定する一定の寡婦又は寡夫に該当することとなったこと

④勤労者が特別障害者に該当することとなったこと

⑤勤労者が雇用保険法に規定する特定受給者資格者又は特定理由離職者に該当すること

となったことをいいます。

 上記の事由が生じたことにより勤労者が財形非課税貯蓄の払出しを行う場合には、その払出しに係る利子等に対する課税は非課税となります。

 なお、2016年4月1日から2017年3月31日までの間に財形非課税貯蓄の払出しを行った際に、その財形非課税貯蓄に係る利子等について徴収された所得税及び復興特別所得税の額がある場合に、その払出しが上記に掲げる「災害等の事由」によるものであるときは、その払出しを行った勤労者は、2018年3月31日までに、勤労者の住所地の所轄税務署長に対し、その徴収された所得税等の還付を請求することができるとされておりますので、該当されます方は、ご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年6月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2017年7月27日木曜日

2017年度税制改正:役員給与の損金不算入制度を見直し!

 2017年度税制改正において、役員給与の損金不算入制度の3類型のいずれも見直しがされました。

 それによりますと、3号給与の利益連動給与が業績連動給与に改められ、株価などその算定指標が拡充されたほか、2号給与の事前確定届出給与も、所定の時期に確定した株式や新株予約権が加わりました。

 上記はおもに大企業向けのものですが、中小企業のほとんどが利用している1号給与の定期同額給与も、損金不算入制度になって、初めて見直されました。

 具体的には、所得税や住民税及び社会保険料の源泉徴収等をされた後の手取り額の金額が同額である定期給与がその範囲に追加されております。

 定期同額給与とは、法人税法では「その支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与」とされており、今回、2017年度税制改正法の政令でその詳細が示されました。

 政令改正では、定期給与の各支給時期における支給額から源泉税等の額(所得税や住民税、社会保険料)を控除した金額が同額である場合、当該定期給与の当該支給時期における支給額は、同額であるものとみなすとする規定が設けられました。

 これまで額面の支給額が同額でなければ定期同額給与の対象とはならなかったのが、これからは額面だけでなく、源泉徴収等の後の額が同額であれば定期同額給与とみなされます。

 厚生年金保険料率は2005年度以降、2017年度まで毎年0.354%(労使折半)ずつ引き上げられ、同保険料率は毎年9月分から変更されておりますが、この前後で給与の支給額が同額ですと、手取り額が減少してしまいます。
 しかし、改正後の規定を適用しますと、社会保険料を含めた源泉徴収等が行われた後の額を同額としても定期同額給与とみなされます。

 上記の改正は、4月1日以後に支給又は交付に係る決議(決議がない場合はその支給又は交付)をする給与について適用されますので、ご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2017年7月26日水曜日

共謀罪から相続税が除外

 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が、与野党による徹夜の攻防の末、可決成立しました。

 当初の与党案では税法も含む676の罪を対象としていましたが、強い反発もあり、今国会に提出された法案では対象の罪は277まで削られました。

 税法に絞ってみると、所得税、法人税、消費税などは残された一方で、相続税が当初案から削除されるという謎が残っています。

 同法は、テロ集団や暴力団といった組織的な犯罪集団を対象として、2人以上で犯罪を計画し、下見や資金調達といった準備を行った段階で全員を処罰するもの。

 その対象は殺人や放火から薬物の密輸、脱税まで多岐にわたります。

 違法行為となる計画や下見の定義があいまいなこともあり、警察による権力の濫用を危ぐする声は根強くあります。

 政府はもともと676の罪を対象とした素案を作成していましたが、今年1月に法務省が示した法案では対象が277にまで絞り込まれました。

 もともとの素案にあり、成立した法案にないものとしては、爆発物使用、強盗強姦、酒酔い運転、そして相続税法違反などがあります。

 法務省は法案の提示に当たって、削除した399の罪について、8つの理由に分類して決めたと説明しました。それによれば、

①そもそも共謀が不可能な単なる不注意による「過失犯」、
②未遂に終わった犯罪について、未遂そのものを罪状とする「独立未遂犯」、
③犯罪の結果、予測していなかった重大な結果を引き起こした「結果的加重犯」、
④すでに陰謀罪や共謀罪が規定されている「条約上の義務無し」、⑤もともとの罪に共謀などによって罪が加重される規定がある「加重類型」、
⑥犯罪に至る準備を罰する「予備罪」、
⑦同様に犯罪に至る準備を罰する「準備罪」、
⑧「組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定し難い犯罪」

――が削除されたそうです。

 上記8類型のうち、相続税が除外された理由がどれに当たるのかは明らかにされていませんが、所得税や法人税とこれらの条件下で明確に違う点は見出しづらく、説明がつかないと言わざるを得ません。


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過去に在日大使館等に 勤務していた外国人の居住期間の判定

◆在日大使館等勤務の外国人は所得税が免除

 外国政府の外交官として来日し、大使館や領事館に勤務する者の課税関係については、所得税法と外交関係に関するウィーン条約、領事関係に関する同条約が重層的に適用され、有利な方の課税方法によることとされています。

 そのため、給与をはじめとして個人的所得については、わが国では課税されないこととなっています。

 この非課税は、大使や書記官など外交官のみならず、事務及び技術職員や役務職員(受付、玄関番、料理人や掃除人等)にも適用され、外国人であって大使館等から受ける報酬であれば、租税が免除されます。

◆来日外国人の所得税課税

 日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内に国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人は非永住者として、国内源泉所得に対して課税されます。

 この非永住者の判定に当たって、過去10年以内に国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年を超える場合は、5年以内の日までの間は非永住者、その翌日以後は非永住者以外の居住者として取り扱われます。

 非永住者以外の居住者は、日本人と同様、全世界所得が所得税の課税対象とされます。

◆過去に外交官として国内に居住していた人の非永住者の判定

 過去に大使館に勤務した人が退職し、日本の民間企業に再就職した場合には、居住者として日本の所得税の下での課税が適用されます。

 大使館等勤務で「外交」または「公用」の対象外公用パスポート保持者は「在留管理制度」の適用外なので、住居地の登録がなされません。

 住居地の登録がなされない→住所なし→国内に住所又は居所を有していた期間はゼロと考えることができるのでしょうか?

 上述の外交官のいわゆる人的非課税の取扱いは、国内に居住していることを前提としており、我が国に住所又は居所を有しない者と解しているものではありません。

 したがって、非永住者の判定に当たっては、外交官として国内に居住していた期間も含めて判定することとなります。

 このことを誤解して期間算定を誤ると、確定申告はもちろん、「国外財産調査制度」の対象漏れともなりかねませんので、十分注意が必要です。


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2017年7月25日火曜日

2017年度税制改正:地方拠点強化税制が拡充へ!

 2017年度税制改正において、地方にある本社機能の拡充(拡充型)をした場合、東京23区に本社のある企業が地方に本社を移転(移転型)をした場合、ともに税制優遇措置の適用を受けられる地方拠点強化税制が拡充されます。

 主な内容として、移転型の要件緩和、オフィス減税の特例措置の現行水準の延長、雇用促進税制の支援の強化があります。

 このうち、移転型の要件緩和は、移転型の適用を受けるための、「特定業務施設の増加従業員の過半数が特定集中地域(東京23区)にある移転元の本社機能からの転勤者であること」との要件を、「特定集中地域のおける従業員の減少分を上限として、特定業務施設における新規雇用者の一部を東京23区にある移転元の本社機能からの転勤者とみなす」ことに見直されました。

 上記の特定業務施設とは、本社機能のある地方事業所のことですが、この見直しによって、地方事業所の新規雇用者のうち、東京23区から地方事業所への転勤者が実際にいなくても、仮に定年退職や自己都合で退職した従業員数減少分までは転勤者とみなされることになります。

 したがいまして、特定業務施設の当期増加雇用者に対して税額控除する雇用促進税制において有利になります。

 地方拠点強化税制の適用には、拡充・移転先の都道府県知事から「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」の認定を受けることが必要となり、新設や増設した建物等の地方事業所業務施設の特別償却又は税額控除の適用が受けられる「オフィス減税」と、地方事業所の増加従業員数に応じて税額控除の適用が受けられる「雇用促進税制」の2つの税制優遇措置があり、両制度とも拡充型より移転型を優遇しております。

 オフィス減税のうち、税額控除(拡充型:4%、移転型:7%)は、計画認定の年度が2017年度の場合は拡充型が2%、移転型が4%と下がることから、同改正により、現行水準まで引き上げられます。

 また、雇用促進税制の税額控除制度は、新規雇用が無期・フルタイム社員の場合は拡充型、移転型ともに現行に10万円を上乗せされる一方で、新規の非正規社員の比率が全国平均の40%を超える場合には、超過した非正規社員の税額控除額は10万円減額されますので、該当されます方は、ご注意ください。


(注意)
 上記の記載内容は、平成29年6月6日現在の情報に基づいて記載しております。
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2017年7月24日月曜日

法定相続情報証明制度が運用開始へ!

 各種相続手続きに利用することができる「法定相続情報証明制度」が、全国の登記所(法務局)において、2017年5月29日より運用開始されております。

 これまで、相続人は、遺産(不動産や預貯金等)に係る相続手続きに際し、被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍関係の書類等一式をすべて揃えたうえで、管轄の異なる登記所や各金融機関など、相続手続きを取り扱う各種窓口ごとに、同じ書類を何度も提出する必要がありました。

 法定相続情報証明制度では、登記所(法務局)に戸籍関係の書類等一式を提出し、あわせて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出すれば、登記官がその一覧図に認証文を付した写しが無料で交付されます。

 そして、その後の相続手続きは、法定相続情報一覧図の写しを利用することで、戸籍関係の書類等一式を何度も提出する必要がなくなります。

 不動産の登記名義人(所有者)が死亡した場合には、所有権の移転の登記(相続登記)が必要となります。

 しかし最近では、相続登記が未了のまま放置される不動産が増加しており、これが所有者不明土地問題や空き家問題など様々な社会問題の要因となっているとの指摘がありました。

 そこで、相続手続きに係る相続人等の負担軽減や、相続登記を促進するために、法定相続情報証明制度が新設されたとみられております。

 同制度においてはまず、相続人又はその代理人が、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類等を集め、その記載に基づく被相続人の氏名、最後の住所、生年月日及び死亡年月日並びに相続人の氏名、住所、生年月日及び続柄の情報などを記載した法定相続情報一覧図を作成します。

 これらの書類を添付した申出を受けた登記官は、内容を確認し、法定相続情報一覧図を保管し、認証文付きの法定相続情報一覧図の写しを交付します。

 その後、法定相続情報一覧図の写しは、相続登記の申請手続きをはじめ、被相続人名義の預金の払戻しなど、様々な相続手続きに利用されることで、相続手続きに係る相続人・手続きの担当部署双方の負担の軽減が期待されております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


2017年7月21日金曜日

高齢者ドライバーの交通安全対策強化 道路交通法の改正

◆高齢の運転者を雇用している場合の注意

 この3月に改正道路交通法が施行されました。

 高齢運転者の交通安全対策が強化され、会社の業務で車を運転する高齢従業員や通勤で車を利用する高齢従業員がいる場合は、会社として知っておきたい内容と思われます。

 高齢運転者(70歳以上)の運転免許更新期間が満了する日における年齢が75歳未満の方は高齢者講習の合理化が図られ、3時間講習は2時間となりました。

 しかし、75歳以上の方に行われる認知機能検査の結果に基づいて「認知機能が低下している恐れがある方」や「認知症の恐れがある方」は、より高度化又は合理化が図られた講習になりました。

 適性検査と講義、実車指導で2時間であったものは個別指導60分が加わり3時間とされました。

◆各種制度の新設

 75歳以上で運転免許証を持っている方が「認知機能が低下した場合に行われやすい一定の違反行為」をした場合、臨時に認知機能検査を受ける事になりました。

 信号無視や横断歩道等における歩行者妨害、徐行場所違反等18の違反行為が対象です。

 臨時認知機能検査は原則、配達証明による通知を受けた日の翌日から1ヶ月以内に受検します。

 検査の結果「認知機能が低下している恐れがある」と判断された時は臨時高齢者講習(実車指導60分、個別指導60分)を受ける事となります。

 臨時認知機能検査や臨時高齢者講習は認知機能が低下している場合に行われやすい一定の行為(18の違反行為)を行った時に受けないと免許が停止となります。

◆臨時適性検査制度の見直し

 免許証の更新時及び臨時の認知機能検査等で「認知症の恐れがある」と判断された方は臨時の適性検査を受けるか認知症に関して専門的な知識を有する医師等の診断書の提出が必要になります。

 認知症の判断が下された時は免許取り消し又は停止となります。

 高齢運転者従業員の免許更新時には確認をしてみると良いかもしれません。



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2017年7月20日木曜日

残業時間上限規制と休日出勤

◆予定される上限時間

 先に政府から発表された働き方改革の一環として「時間外労働の上限規制」が注目を集めています。

 現在は時間外労働協定届の「特別条項付き三六協定」を労使間で締結する事で、繁忙期に上限の無い残業をさせる事も可能です。

 上限規制の改革案では「たとえ労使協定を締結していても残業時間は年間720時間を上回る事ができない」とされ、但し繁忙期には月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以下の上限時間が設けられる事となりそうです。

◆残業の時間規制から外れる?休日出勤

 上記の時間外労働の上限720時間には抜け道があると指摘されています。

 それは休日に働いた時間はこの上限時間には含まれないという事です。

 未定の部分もありますが休日出勤の労働時間規制は企業努力とされる事もありそうです。

 その場合平日の就業時間内に業務を終えなかった従業員が自主的に休日出勤をするかもしれません。

◆休日出勤させないような取り組み

 会社が命じていない休日に勝手に出勤した人が1週に1日又は4週に4日以上の休日を取らないと過労のリスクも高まります。

 トラブルが発生してから「従業員が勝手に休日出勤していた」と言ったところで会社が黙認していたとみなされる事もあります。

 このような事が起きないように事前申請を出させる許可制にしたり、振替え休日を決めておく等、労務管理には気をつけたいものです。

 上司の命令を無視して休日出勤を繰り返すならば、人事考課などでも厳しく対処する位の事が必要なのかもしれません。

◆長時間労働の指摘は避けたい

 労働基準監督署の労働時間調査は最近は小規模な事業所であっても入る事があります。

 是正が必要と指摘されれば働き方や賃金の支払い方の見直しをせざるを得ません。

 是正をしない場合は公共事業の入札でも不利になりますし、万一インターネット上で悪い評判がたったりしたら企業イメージが損なわれてしまう事があるかもしれません。

 採用活動にも影響が出てきます。

 むしろインターネットでは積極的な労働時間管理の取り組みを行っている企業であることをアピールする場として取り組む事が採用にもプラスになるでしょう。


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2017年7月19日水曜日

個人の申告所得40兆円超え

 国税庁が公表した2016年分の所得税や贈与税の申告状況によると、所得税を納めた個人が申告した所得の合計額は40兆円を超え、08年のリーマンショック発生以降で最高を記録しました。

 また土地などの譲渡所得も前年より1割増え、全国の地価が上昇傾向にある状況を反映した結果となりました。

 16年分の所得税の確定申告書を出した人は2169万人で、前年から約18万人増えました。

 そのうち、所得税の納税額のある人は637万人。

 特筆すべきは所得金額で、申告納税額のあった637万人の所得を合わせると40兆572億円となり、リーマンショックのあった08年(39兆5940億円)以降で最高を記録しました。

 円安株高基調のなかで富裕層を中心とする個人所得が増加してきたことが、その背景にあると見られます。

 納税額は前年比3.1%増の3兆621億円でした。

 特に著しい伸びを見せたのが、土地や建物の譲渡所得。49万5千人に譲渡所得があり、所得の合計額は4兆4652億円でした。

 前年から1割伸び、7年連続で増え続けていることになります。

 一方で申告人員は前年比1.2%と微増にとどまっていることから、不動産価格の高騰がそのまま譲渡所得の増加に結びついている状況ということでしょう。

 土地の譲渡所得が伸びる一方で、株式の譲渡所得は所得のあった人が前年比36.3%減と大きく落ち込みました。

 昨年初頭の中国市場の混乱から、英国のユーロ離脱、米のトランプ大統領誕生など、株価を混乱させる出来事が多かったことが反映したと見られます。

 翌年以降へ譲渡損失を繰り越した人も前年から3割以上増えました。

 一方、所得のあった1人当たりの金額は前年比49.7%増と大幅に増えていることから、株式市場では少数の「勝ち組」がさらに富を増やした1年だったと言えそうです。


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2017年7月18日火曜日

改正個人情報保護法がいよいよ全面施行

 個人情報保護法の改正法が5月30日に全面施行されました。

 これまで5千件超の個人情報を扱う事業者のみとしていた要件が撤廃され、1件でも顧客情報を預かる事業者はすべて対象となります。

 取得や管理に厳格なルールが適用され、悪質な違反には罰則も用意されているため、内容を必ず把握しておかなければなりません。

 改正法では、個人情報の定義が改めて明確化されました。

 改正前は単体では個人情報に該当していなかった、指紋や顔写真、パスポート番号、年金番号、免許証番号、保険証などが、今後は単独でも個人情報とみなされます。

 それだけではなく、「氏名のみ」であっても、特定の個人を識別できる個人情報に当たるそうです。

 取得に当たっては、個人情報を何の目的で利用するのかを伝えなければなりません。

 そして取得した情報の利用は、取得時に伝えた目的の範囲内に限られます。

 別目的で利用したい時や、データを第三者に提供する際には、その都度、必ず別途同意を得ることが義務となりました。

 同意を得たとしても、当初の利用目的のため以外に第三者に名簿を提供する時や、自分が名簿業者からダイレクトメール用の名簿データを買う時には、提供先、提供元、提供経緯などを記録保存することが必須です。

 これらの義務に違反し、国からの命令にも従わなかった時は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることになります。

 個々の社内での情報管理体制については、扱う情報が5千件以下で従業員100人以下の中小企業は、事業規模や扱う情報量によって柔軟な体制を整えることが認められています。

 改正法では個人情報の不正利用目的での盗用に対して「個人情報データベース等提供罪」が新設され、データを盗み出した従業員本人だけでなく所属する企業に対しても罰金を科すという両罰規定が設けられました。

 不心得者の社員にデータを盗まれると、被害者であるにもかかわらず、流出に対する責任も負わされるということになります。


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2017年7月17日月曜日

所得税申告でマイナンバーの記載83%

 今年申告分の所得税の確定申告書にマイナンバーを記載した割合は全国平均で83%にとどまったことが国税庁の発表で明らかになりました。

 平成28年分の確定申告からマイナンバーの記載が必要になることにつき同庁は周知活動を続けていましたが、そのアピールは思いのほか納税者に届かなかったようです。

 所得税の申告件数2153万1751件のうち、マイナンバーの記載があったのは1785万1243件。

 最も高い割合だったのは金沢国税局の87%で、最も低い沖縄国税事務所の66%と20ポイント以上の差がつきました。

 沖縄以外に記載率が80%を切ったのは、仙台国税局(78%)と熊本国税局(78%)の2カ所です。

 マイナンバーをめぐっては、事業者に送られる住民税の特別徴収通知書にマイナンバーを記載しない決定をする自治体が全国で相次いでいることから、高市早苗総務相が記載を呼び掛けるなど、地方と中央の間にも認識に大きなズレがあることが顕著になっています。

 法律で義務化して、莫大な宣伝費を注ぎ込んだにもかかわらず、確定申告書への記入の〝義務〟を守った人が8割にとどまりました。


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2017年7月14日金曜日

2017年度税制改正:地域未来投資促進税制が創設!

 2017年度税制改正において、「地域中核企業向け設備投資促進税制(地域未来投資促進税制)」の創設が盛り込まれました。

 同税制は、企業立地促進法の改正を前提に、新たに制定される地域未来投資促進法で規定する同意地域中核事業促進地域内において、対象となる機械装置や器具備品、建物等を取得等し、一定の事業の用に供した場合、特別償却又は税額控除が選択適用できます。

 同法は、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の事業者に対する経済的波及効果を及ぼすことにより、地域経済を牽引する事業(以下:地域経済牽引事業)を促進し、地域の成長発展の基盤強化を図るため、事業者等が作成する当該事業に係る計画を承認し、計画に係る事業を支援します。

 国が定めた基本方針に基づいて市町村及び都道府県が共同で、地域経済牽引事業の促進に関する基本計画を作成して国が同意し、地域経済牽引事業を行おうとする事業者等がこの基本計画に基づき、地域経済牽引事業計画を作成して都道府県等の承認を受けた場合、承認された事業計画に対する設備投資に対する税制措置や財政・金融面の支援措置、規制の特例措置等が受けられます。

 設備投資に対する税制支援措置は、青色申告法人が同事業計画に基づき、特定地域中核事業等を新設し、同施設等を構成する機械装置、器具備品、その他附属設備並びに構築物を取得し、事業の用に供した場合は、取得価額100億円を限度に機械装置・器具備品について40%(建物等・構築物は20%)の特別償却又は4%(同2%)の税額控除が選択適用できます。

 また、固定資産税等を減免した地方公共団体には減収が補てんされ、地域経済牽引事業に対する補助など財政面の支援があります。

 そして、地方創生推進交付金を活用して地域未来投資促進法の承認を受けた計画には、内閣府と連携して重点的に支援されます。

 その他、リスクマネーの供給促進など金融面の支援措置、幅広い規制改革ニーズへの迅速な対応や、農地転用許可、市街化調整区域の開発許可等に係る配慮といった規制の特例措置など幅広く支援されることになりましたので、該当されます方は、ご確認ください。

 (注意)
 上記の記載内容は、平成29年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。

 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


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2017年7月13日木曜日

不動産の附合

◆不動産の附合
 民法の第242条に不動産の附合と言う規定があります。

 「不動産の所有者は其不動産の従として之に附合したる物の所有権を取得す。」と言うものです。

 何やらわかりにくいので、事例で示すと、建物を増築した場合、だれが増築しようとその増築部分は、当初の建物の所有者のものですよ、と言うことです。

◆親子では良くある話
 他人名義の建物に金を払って増築する人がいるのかと思われるでしょうが、それが時々いるのです。

 父親所有の家屋の増改築資金を子供が負担することはよくある話です。

 例としては、高齢などの理由で父親が増改築資金のローンを組めない場合(子供がローンを組むのも子供が資金を出したことになります。)や、一人前になった子供が二世帯向けにするためなどに自分で資金を用意して、増改築をするような場合です。

◆贈与税がかかってきます
 この場合父親所有の家屋に子供が費用を負担して増築したとしても、増築部分の所有権登記を子供の名前ですることはできません。

 つまり増築部分も以前の所有者である父親の所有とされてしまうのです。

 これが「不動産の附合」です。

 よって家屋の所有者は父親で増築資金を出したのが子供であれば、父親は増築部分を子供から贈与を受けたことになります。

 増築家屋という利益を手にした父親から贈与税を頂きます、というのが税務の考え方です。(この場合「贈与の意思の有無」は一切関係ありません。)

◆対策は次のどちらかで
 贈与税がかからない為の方法は次の二つのどちらかです。(勿論ケースバイケースで、どちらの方法が良いとは言えません。)

方法①:増築前の家屋を父から子供が贈与を受けて、その後に増築する方法

方法②:増築前の家屋の評価額と増築費用の合計額に占めるそれぞれの割合に基づいて、父と子供の共有持分登記をする方法。

 贈与税を払わないと言うだけなら②ですが、この際子供の名義にした方が良いと言うような場合などは①とすることも良いと思います。


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2017年7月12日水曜日

請負と委任

◆請負契約とは
 請負は、大工が家を建てる場合や、クリーニング店が洗濯をする場合などの契約をいい、請負人が注文者の指揮・命令を受けることなく自らの判断で仕事をする契約をいいます。

 結果を出さなければ報酬をもらうことができず、仕事を完成させて初めて報酬を請求することができます。

◆委任契約とは
 委任は、弁護士に依頼する場合や、医者の診療の場合などの契約をいいます。

 委任では、依頼された事務を処理することが目的であり、必ずしも結果を出すことは求められていません。

 したがって、結果を出さなくても報酬を受けることができます。

◆責任が違います
 請負契約の最大の特徴は、「仕事の完成」という「結果」に対する責任を負う点です。

 ですから、受注者は結果責任を問われます。

 また、完成した仕事については、当然ながらミスがあってはなりません。

 仕事にミスがあった場合、受注者は、そのミスを補修したり、損害の賠償をしたりしなければなりません。

 このような責任を、「瑕疵担保責任」といいます。

 一方、委任契約では、「法律行為」や「法律行為でない事務」のような、一定の行為について責任を負う点です。

 ですから、受託者側の地位、職業などに応じて、客観的に期待・要求されるレベルの責任を果たすべき義務を負うということです。

 このような責任を「善良な管理者の注意義務」(一般的には「善管注意義務」)といいます。

◆印紙税の取り扱いも違います
 印紙税法上 請負契約は課税文書となり、印紙の貼付が必要となりますが、委任契約は非課税文書となり印紙の貼付は不要です。

 「業務委託契約書」という名称の契約書はよく見かけますが、内容が請負か委任かによって印紙の貼付の要・不要が分かれます。

 見極める大きなポイントは、成果物の引渡しがあるかないかです。

 迷った時はご相談ください。

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2017年7月11日火曜日

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置に関するQ&Aを更新!

 文部科学省(以下:文科省)は、教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置に関するQ&Aを更新しました。

 そもそも教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置とは、2013年4月1日から2019年3月31日までの間に、両親や祖父母から30歳未満の子や孫(受贈者)に教育資金を一括贈与する場合、子や孫ごとに1,500万円までを非課税とする制度です。

 贈与された資金は、金融機関において子や孫名義の口座で管理し、この資金が教育費に使われることを金融機関が領収書等により確認・記録し、保存します。

 2017年度税制改正では、同制度を適用する際に金融機関に提出する領収書等について、2017年6月1日以降提出分から、書面に代えて電磁的記録での提供が可能となり、これを受けて文科省は同Q&Aを更新し、Q&A(Q5-16)では、これまで書面(原則として原本)にて金融機関等に提出していた領収書等について、インターネットを利用した領収書等の提出方法を示しております。

 例えば、携帯電話のカメラ等で撮影された領収書データ (JPEG等の画像データ)を送信する方法、インターネット上で発行された領収書データ (PDFファイル等)を送信する方法、紙で発行された領収書等をスキャンしてPDFファイル化したものを送信する方法などでも提出できるとしております。

 ただし、インターネット等を利用した方法により領収書等を提出した場合は、発行された紙媒体の領収書等に代えて提出するものであることから、例えば、領収書データを提出した後、紙媒体での領収書でも提出するなど、同一の領収書をデータ、紙媒体両方で提出することはできず、二重に提出をして払戻しを受けた場合には、その支払分は非課税の対象外となるとしております。

 また、提出された電磁的記録が不鮮明で内容が読み取れない場合や、内容の補足を求める場合などは、紙媒体の領収書等が必要になる場合があると注意喚起しておりますので、該当されます方は、ご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年5月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



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2017年7月10日月曜日

消費税 住宅の家賃収入でも課税?

◆ウィークリーマンションは?

 住宅の家賃収入には消費税はかからないと言うことはよく知られております。

 敷金・権利金を取って住宅を貸し収入を得るのが一般的な貸家経営ですが、昨今ではマンスリーマンションや、ウィークリーマンション等敷金も権利金も取らずに、更にホテル並みの設備を揃えて住宅を貸している場合もあります。

 そうなると、不動産賃貸業とホテル旅館業の線引きを何処にするのかと言った問題が出てきます。

 現在の税法では、当初の契約貸付期間が1ヶ月以上のものをマンスリーとし、不動産貸付業に含め、1ヶ月未満のものをウィークリーとしホテル旅館業と同様の扱いと考える、期間的割り切りをしています。

 ですから住宅の家賃収入でも、マンスリィーは消費税非課税、ウィークリィーは消費税課税と言うことになります。

◆一括借上げのマンションは?

 住宅の貸付と言うと、個人に対してと思われますが、マンションなどの住宅を会社の寮として貸す場合や、不動産管理会社などに一括で借り上げてもらっている場合の家賃収入は、同じ住宅の家賃収入ですが注意が必要です。

 消費税法では非課税の要件として、「契約において、人の居住の用に供することが明らかにされているものに限る」とありますから、会社の寮に貸す場合などは、寮としての使用を契約時に明確に謳っておく必要があります。

 また不動産管理会社への一括貸付けの場合には、貸付け時に転貸は居住用に限るとしておかないと、借り上げた不動産管理会社が、どのような用途に貸しても良いような契約では、条文の要件を満たさないこととなり消費税が課税されてしまいます。

◆どちらが得か?

 消費税が課税されると損かというと、家賃に消費税を上乗せできるのであれば、消費税が課税された方が得です。

 なぜならば、修繕費や管理費等には消費税が課税されており、その支払った消費税は、非課税事業者では控除できないからです。




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2017年7月7日金曜日

NPO法の改正と公告

◆NPO法人と資産総額の変更登記

 特定非営利活動法人(以下、NPO法人)では、法人の設立時から「資産の総額」というものが登記されています。

 「資産の総額」というとあまり馴染みがないかもしれませんが、資産合計から負債合計を差し引いた正味財産のことを指します。

 つまり正味財産は基本的に事業年度ごとに変更されるため、NPO法人では毎年この「資産の総額」の変更登記を行うことになっていました。

◆NPO法の改正で貸借対照表の公告が義務に

 しかし、平成28年6月7日に特定非営利活動促進法(以下、NPO法)が一部改正され、法人の事務負担軽減を目的とし、現在、この変更登記制度について削除する方向で整備が進められています。

 その一方で、定款で定める公告方法に基づき、貸借対照表の公告を行うことが義務付けられることになりました。

 公告の方法についてはいくつか手段がありますが、現状では多くの法人で「この法人の公告は、この法人の掲示場に掲示するとともに、官報に掲載して行う」とする方法が採用されています。

 この場合、そのままにしておくと決算の都度、法人の掲示場に加え、「官報」という政府機関紙に貸借対照表を掲載しなければならず、掲載料として毎年7~8万円程コストがかかることになります。

◆NPO法人は定款で公告方法の確認を

 NPO法人に携わっている皆様は、一度法人の定款で公告方法を確認してみましょう。

 貸借対照表の公告方法は「①官報」の他、「②日刊新聞紙」、内閣府のポータルサイトや法人のホームページなどインターネットを利用した「③電子公告」、「④法人の主たる事務所の公衆の見やすい場所への掲示」から選択できます。

 尚、貸借対照表の公告に関する規定の施行日については、改正NPO法公布の日から起算して2年6月以内において、政令で定める日とし、平成30年10月1日が施行の目処とされています。

 現行の定款から公告方法を変更する場合は、管轄する都道府県への届出が必要になりますので、今のうちに法人が対応しやすい公告方法を検討することをお勧めします。


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2017年7月6日木曜日

改正民法成立で債権ルール見直し

 民法の改正法が参院本会議で賛成多数で可決され、成立しました。

 インターネット取引の普及など時代の変化に応じて、債権ルールや消費者保護など多くの面で、抜本的な見直しが図られています。

 改正法は公布から3年以内に施行されることになります。

 今回の改正の柱は、未払金の返還請求期間である「消滅時効」の120年ぶりの見直しです。

 消滅時効とは、一定期間の経過により、債権などの財産権が消滅する制度のことで、現行制度では、「権利行使できる時から10年間」という原則に加えて、職種別に1~3年の短期消滅時効が設けられています。

 改正民法では、職種別の短期消滅時効が廃止され、支払いを請求できる期間は、①請求権があると知ったときから5年、②知らなかったときは請求できるようになってから10年――と二種類に簡略化されました。

 インターネット通販や保険などで、たとえ消費者が約款に同意していても、その内容が利用者に一方的に不利益になるようであれば契約は無効とするよう改められます。

 また契約後に事業者の判断で約款を変更できるのは、消費者の利益になる場合に限るとの内容も盛り込まれました。

 その他、商品に瑕疵があれば契約解除や賠償請求が認められ、認知症患者との契約を無効とすることとなりました。

 当事者同士で利息について取り決めをしていない貸し借りに使われる「法定利率」が5%から3%に引き下げられ、市場の金利に合わせて3年ごとに見直す変動制になります。

 史上まれにみる低金利が続いている状況に合わせたものです。

 賃貸住宅の敷金返還のルールも変わり、借り手の故意や過失でできた傷や汚れなどの分を除いて、敷金は原則として返されることになりました。

 敷金をめぐるルールは地域や業者によって大きく異なりますが、今後は新ルールに基づき、「一カ月分は償還」などと無条件で定めた契約は無効になる可能性があることを認識しておかねばならないでしょう。



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2017年7月5日水曜日

欠損金の繰越控除制度の確認!

 欠損金の繰越控除制度とは、確定申告書を提出する法人の各事業年度開始の日前9年以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、翌事業年度に繰り越し、その各事業年度の所得金額に一定の割合を乗じた金額を損金に算入できるという制度です。

 2015年度税制改正では、中小法人等以外の大法人(資本金1億円超の普通法人等)の控除限度額の段階的な引下げや、新設法人の特例などが設けられました。

 中小法人等以外の大法人については、2015年4月1日以後の事業年度開始の日に応じて、所得金額の50%から65%まで控除制限が設けられました。

 一方、中小法人等(資本金1億円以下の普通法人や公益法人・協同組合等)については、所得金額の全額を上限に損金算入でき、同改正において、新設法人についても、設立の日から7年を経過する日までの期間内に属する各事業年度については、中小法人と同様に、所得金額の全額が控除限度額とされております。

 つまり、新設法人に対する特例については、資本金基準が設けられていないため、大法人でも適用可能となります。

 なお、新設法人とは、中小法人等以外の法人のうち、資本金5億円以上の大法人の100%子会社等でない法人が該当します。

 ここで、例えば資本金10億円の大法人に完全支配されている新設法人は、上記の要件に該当してしまうため、新設法人の特例対象にはなりません。

 しかし、資本金3億円の法人に完全支配されている新設法人については、その新設法人の資本金が5億円超の大法人であっても、特例対象となります。

 ただし、特例対象となった大法人が上場した場合には、上場日以後に終了する事業年度では新設法人の特例は適用できず、控除制限が適用されることになりますので、該当されます方は、ご注意ください。

 なお、2016年度税制改正により、2018年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間は10年(現行9年)とされます。

 これに伴い、欠損金の繰越控除制度の適用に係る帳簿書類の保存期間や、法人税の欠損金額に係る更正の期間制限なども10年に延長されますので、あわせてご注意ください。


(注意)
 上記の記載内容は、平成29年5月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



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2017年7月4日火曜日

どっちがお得?医療費控除とOTC医療費控除

◆今年から適用されるOTC医薬品の控除

 今年度から適用される「スイッチOTC医薬品に関する医療費控除の特例」、いわゆるセルフメディケーション税制という言葉をもう目にした耳にした、という方が多いとは思います。

 市販されている中で「スイッチOTC医薬品」に該当する医薬品を年間1万2千円以上購入している場合、最大10万円までの範囲で所得控除が受けられる制度です。

 つまり、最大8万8千円所得控除が受けられる医療費控除のミニ版です。

◆医薬品は通常の医療費控除にも適用される

 今までも薬局やドラッグストアで市販されている薬の中で「治療や療養に必要なものであって、かつその病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」であれば、医療費控除の対象にはなっていました。

 つまり、市販薬でも通常の医療費控除に該当するケースは多く存在します。

 医療費控除とセルフメディケーション税制は併用ができません。

 新設に伴って、「医療費控除で申告した場合」と、「特例を利用した場合」、どちらがお得かを判断しなければいけないパターンがあるので、注意が必要です。

①年間の医療費(医者にかかったお金)が9万円で、OTC医薬品が4万円だった場合
 医療費控除:(9万+4万)-10万=3万円
 医療費控除特例:4万-1.2万=2万8千円
この場合は通常の医療費控除がお得です。

②医療費が6万円で、OTC医薬品が7万円だった場合
 医療費控除:(6万+7万)-10万=3万円
 医療費控除特例:7万-1.2万=5万8千円
この場合は医療費控除の特例がお得です。

◆確定申告には添付書類が必須です

 セルフメディケーション税制は「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人」が対象となっているので、確定申告時に年内に健康診断や予防接種等を受けて健康に留意している証明が必要です。

 会社主導の健診・個人で受診したもの、どちらでも問いませんので、今年受けた健診や予防接種の証明は取っておくように心がけておきましょう。


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2017年7月3日月曜日

修繕費計上で国税当局が誤り指摘

 農業用機械メーカーの大手会社が国税局の調査を受け、一昨年までの2期について10億3千万円の申告漏れを指摘されたことがわかりました。

 このうち2億4千万円は所得隠しと判断され、重加算税含む追徴税額4億2千万円が課されています。

 国税当局が指摘したのは、同社が一括損金になる「修繕費」と計上して所得から控除した支出は、税務上で一括損金にできない「資本的支出」に当たるという点です。

 また同時期に、高速道路会社が約5億1千万円の申告漏れを国税局に指摘されています。

 こちらも修繕費と計上したものが資本的支出であると当局に指摘されました。

 建物や機械装置の修理・改良にかかった費用が修繕費と資本的支出のいずれであるかの判定は、国税当局と争いになりやすい永遠のテーマなのです。

 修繕費とは固定資産の維持管理や破損部分の回復のための費用で、支出した年の損金に算入します。

 一方の資本的支出は、耐用性の向上や価値の増加など新たな機能を加える費用を指し、一括損金にできず資産として減価償却していかなければならず、会社の財務戦略に大きな影響を与えます。

 企業にとっては、修繕費として申告したものが否認されると、支出年度に一括して計上できるはずだった多額の損金がなくなるだけでなく、その分は「申告漏れ」として無申告加算税などの本来不要の税負担まで発生してしまいます。

 農業用機械メーカーの大手会社のように4億円とまではいかなくても、会社の屋台骨を揺るがすレベルの損失なることは十分に想定できます。

 財務体力に乏しい中小企業にとっては死活問題といっても過言ではありません。



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