2014年11月27日木曜日

《コラム》資産の損失と似て非なる取壊し費用

相続税の増税に備えた対策の一環として、金融緩和の継続と相まって、借入金による中古賃貸不動産の建替えも盛んのようです。
これら賃貸に供されている建物の建替えに伴う「取壊し等」により生じた損失、いわゆる資産損失については、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入されます。取壊し等には、除却、滅失等も含まれます。

◆資産損失の金額の計算
必要経費に算入される資産損失の金額は、その資産の原価ベースによる価額、いわゆる簿価を基礎として計算することとされており、建物については、損失の生じた日にその資産の譲渡があったものとみなして、その固定資産の取得に要した金額及び設備費並びに改良費の額の合計額からその資産の償却費の額の累計額を控除した金額です。

◆貸付規模と資産損失の必要経費
不動産所得の起因となる建物の取壊し等による資産損失が全額必要経費に算入されるかどうかは、取壊し時の不動産の貸付が事業的規模か、それ以外(業務的規模)か、どうかによって異なってきます。
事業的規模の場合には、その資産損失の全額を必要経費に算入することができ、不動産所得が赤字の場合は他の所得との損益通算、さらに、青色申告であれば純損失の繰越控除の適用があります。


一方、業務的規模の場合には、その年分の不動産所得(その資産損失を控除する前)の金額が限度になり、不動産所得が赤字であれば、その部分の金額は切り捨てられることになります。
なお、事業的規模かどうかは、①アパート等については、独立した室数10以上、②独立家屋の貸付については、おおむね5棟以上であれば、反証がない限り事業的規模とされ、また、事業税が課税されていれば事業的規模として取り扱われています。

◆取壊し費用と必要経費
建物の取壊しには、当然、取壊しのための諸費用がかかります。この取壊し費用も取壊しによって生じる損失、除却損と同様、不動産の貸付規模によって必要経費に算入される金額の範囲が異なるかどうかです。
資産損失は、あくまで資産の取壊し、除却、滅失による資産そのものの損失、原則、未償却残高相当額であることから、取壊し費用はその範疇には入りません。したがって、不動産の貸付の規模にかかわらず、業務供用部分については、全額必要経費に算入されます



2014年11月25日火曜日

【時事解説】ぶつからない車、技術の最先端とこれから

最近、「ぶつからない車」が話題です。こうした車には、自動ブレーキ機能といって、車両や障害物を認識して衝突を回避する機能が搭載されています。種類も豊富で、「メルセデス・ベンツSクラス」のような超高級車から、「ムーヴ」(ダイハツ工業)や「ワゴンR」(スズキ)といった軽自動車に至るまで、さまざまな新型車が自動ブレーキを搭載するようになりました。国土交通省によると、自動ブレーキ装着車の国内向け生産台数は、2011年は約4万6,000台でしたが、2013年には19万7,000台と約5倍近くまで増加したといいます。

ただし、ぶつからない車といっても、自動車メーカーにより機能、性能が多少異なります。どの車種も障害物を検知して自動でブレーキをかける点は共通していますが、人物を検知できるか、雨天でも性能が劣らないか、時速30㎞よりも早いスピードでも検知できるかなど、グレードにより性能や機能にバラツキがみられます。

加え、課題もいくつか残されています。第一は安全性です。自動ブレーキといっても、まだ完璧なものではありません。2013年11月、自動車メーカーの試乗会では、自動ブレーキを装着している車が障害物を倒して金網に激突した事故が生じました。原因は、事故を起こした車の自動ブレーキは、時速30km以下で作動するようになっているのですが、運転者は係員の説明をよく聞かずに時速30kmを超えるスピードで走らせたため、自動ブレーキが作動しなかったといいます。まだまだ、課題の多いぶつからない車ですが、ビジネスの面で市場規模の拡大には大きな期待が寄せられています。

今後も「ぶつからない車」は販売台数の伸びが予想され、ビジネスチャンスへの期待が高まっています。なかでも、自動車の販売そのものの伸びはもとより、センサーやカメラの分野での成長が期待されています。

自動ブレーキ機能は、障害物などを検知するのに、センサーやカメラを用いています。主なものを挙げると、遠方の障害物でも検知できる「ミリ波レーダー」、人間も検知できる「ステレオカメラ」、価格が安い「赤外線レーダー」などになります。

それぞれ、一長一短があり、ミリ波レーダーは遠方の障害物を検知でき、悪天候にも強いといった点が特徴ですが、コストがかかるのが欠点です。

ステレオカメラは人間を検知できるといった点で優れていますが、一方で、悪天候に弱い、逆光のとき性能が落ちるなどの欠点を有しています。そして、赤外線レーダーは冒頭で触れた事故のように、時速30km以下でないと機能しないといった欠点があります。

市場としては、こうしたセンサーやカメラを製造しているメーカーだけでなく、検知したデータをもとに、どのように車を制御するかといった制御技術を有している企業にも成長が期待できます。

そして、さらに、この先自動ブレーキの性能が高まると、次は自動運転が技術革新の中心になると言われています。高速道路での手放し運転や自動車庫入れ機能は、自動車メーカーの多くは既に開発に成功しています。2020年、東京オリンピックのとき、選手村から競技会場までの限られた区域のなかで、自動運転が実現するようです。そうなると、自動車産業には、ますます多くのビジネスチャンスが生まれる可能性が高まります。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)




2014年11月22日土曜日

【時事解説】親族外承継の後継者に求める能力

『2014年版中小企業白書』では、中小企業の事業承継について第三者承継に着目した分析を行っています。ここでいう第三者承継とは、経営者の親族以外の社内の役員や従業員に事業承継を行う内部昇格と、社外から後継者を招いて経営者とする外部招へいを合わせた親族外の第三者への事業承継をいいます。

同白書によると、我が国の事業承継の形態としては、依然として親族内への承継(親族内承継)が一番多いものの、長期的には親族内承継の全体に占める割合は低下しており、その反面、第三者承継や買収(事業売却)が占める割合が上昇しており、とくに2007年以降、第三者承継に買収を加えた事業承継形態の割合が、親族内承継を上回っています。

企業規模ごとの内訳の推移をみると、内部昇格については構成比に大きな変化はないものの、外部招へいについては、従業員10人未満の規模の小さな企業が占める割合が、近年上昇してきています。この背景には、少子化が進む中で、従業員数が少ない規模の小さな企業が、自社の中で後継者を確保することができずに、社外にまで後継者を求めている動きがあることが推察されます。

社外の第三者への事業承継を検討している者が、後継者候補にどのような素養や能力を期待しているかについてみると、「経営に対する意欲が高いこと」を挙げる者の割合が高くなっています。

さらに、親族内承継のケースと比べて事業を承継することの正統性に乏しい親族外承継の後継者においては、事業承継にあたり従業員や取引先・金融機関などの支持・理解を確保することも求められるのです。

では、実際に親族外による事業承継を行ったA社の取組みについてみていきましょう。


A社は、業務用洗剤・石鹸の製造とクリーニング用諸材料の卸売業という2つの事業を主力とする企業です。

A社の現社長は、取引先金融機関の勤務を経て当初は出向の形でA社に入社。入社後は「従業員が意見を出しやすい開かれた組織」をつくることを目指した取組みを始めました。そのためには外部から来た自分を理解してもらう必要があると考え、従業員や取引先等とのコミュニケーションにおいて「逃げない、隠さない、嘘をつかない」ことを心掛けました。

こうした取組みはこれまでのオーナー一族のトップダウン型の組織運営とは異なったものでしたが、次第に従業員にその考え方が浸透し、人心を掌握していきました。その後先代経営者が体調を崩したことを契機に、先代経営者から現社長に対し社長就任の要請があり、入社から3年経過後にA社の社長に就任しました。

社長就任後はカリスマ創業者ではなく創業者一族でもない自分が経営するには、プロパーの責任者クラスの人材を役員に昇格させて、一体となって経営する必要があると考え、役員の数を増やしました。また、経営会議においては将来のビジョンを伝えるとともに、開かれた組織づくりを意識しつつ幅広く権限委譲を行うことで、会社経営を担う中核的な人材の育成を図っていきました。

このように親族外承継の後継者においては、トップダウンではなく、個々の従業員の力を引き出し、組織的に企業を運営していく能力がより一層求められるのです。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)



2014年11月18日火曜日

微妙に異なる会計と税務  開業費の「特別に支出する」

◆微妙に異なる会計と税務の「開業費」
個人でも会社でも開業に際しては少なからず準備費用がかかります。このような費用を「開業費」といいます。
「開業費」は、会計でも、税務でも、開業年度において一時の費用・損金とすることに問題はありませんが、その支出の効果が開業後にも及ぶことから「繰延資産」として資産に計上することも構わないこととされています。
ただ、この「繰延資産」として計上する場合には、「開業費」の会計と費用の定義に微妙な違いがあることに留意しなければなりません。

◆会計上は経常費も「開業費」扱い
財務諸表等規則ガイドラインでは「開業費」は、「土地、建物等の賃借料、広告宣伝費、通信交通費、事務用消耗品費、支払利子、使用人の給料、保険料、電気・ガス・水道料等で、会社成立後営業開始までに支出した開業準備のための費用」と定義されています。
中小企業会計指針でも「開業準備のために支出した金額」とされ、会社成立から開業までに生じた、開業準備のため直接に支出する費用と理解されています。

◆法人税では経常費は「開業費」とされない
一方、法人税では「開業費」は「法人の設立後事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」とされ、「特別に支出する」ものに限定されています。
「特別に支出」については、昔の通達では「法人が開業準備のために特別に支出した広告宣伝費、接待費、旅費、調査費」を指し、「法人の成立後営業開始までの間に支出した費用であっても、支払利子、使用人給料、借家料、電気ガス、水道料金等のような経常費的な性格を有する費用はこれに含まれない」と示されていました。
これは、法人税の場合、「開業費」は任意償却ですので、期をまたいだ利益調整の道具に使われることを避けるため、「特別な支出」に限ることとしたと理解されています。
現在でも、この内容は解釈として引き継がれ、法人税務では経常費は「開業費」から除かれるものとして取り扱われています。

◆所得税では「特別」ならば、経常費OK
これに対して所得税では、経常的な費用であっても、その支出が開業準備のために特別に支出したものならば、開業費に計上できるものとして取り扱われます。




2014年11月11日火曜日

おさえておきたい贈与税改正 今年と来年の精算課税の違い

◆H27年以後の贈与の相続時精算課税の改正
平成26年も終盤にさし掛かり、来年(平成27年)から贈与税の税率改正があとをお聞き及びの方の中には、親族間の資産移転を今年にするか、来年にするかお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。


今回のコラムでは、来年(平成27年)以降の贈与から適用される相続時精算課税制度の改正点について確認していきます。

◆いままでの相続時精算課税制度
相続時精算課税の適用対象者は、超過累進税率が適用される暦年課税方式の贈与税にかえて、一律20%の税率と特別控除2,500万円がある相続時精算課税制度の適用を受けることができます。


この制度の適用を受けることができる受贈者・贈与者の要件は次のとおりです。
(1)受贈者の要件
贈与者の推定相続人(直系卑属に限る)のうち、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上である者であること


(2)贈与者の要件
贈与をした年の1月1日において65歳以上である者であること
また、相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は、贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期限内に「相続時精算課税選択届出書」を納税地の所轄税務署長まで提出しなければなりません。

◆H27年以後の贈与の精算課税制度
この受贈者・贈与者の要件が平成27年1月1日以後の贈与から、次のとおり適用範囲が拡充されることになりました。
(1)受贈者の要件
贈与者の孫は、改正前は子の代襲相続人として贈与者の推定相続人になったケースでのみが精算課税の適用対象でしたが、改正後は、その年の1月1日において20歳以上である「孫」であれば、精算課税の適用を受けることができるようになりました。


(2)贈与者の要件
改正前の「65歳」の年齢要件が「60歳」に引き下げられました。
この改正により、平成27年からは60歳を迎えたばかりの祖父母が、20歳以上の子・孫の両者に相続時精算課税を適用することができることとなります。具体的には、平成27年以後であれば、昭和30年1月2日以前に生また祖父母が、平成7年1月2日以前に生まれ孫に贈与するケースでも、この制度の適用を受けることができます。




2014年11月10日月曜日

赤字申告法人6年連続7割超

平成25事務年度の赤字申告企業の割合は6年連続の「7割超」でした。赤字申告割合が5割だった四半世紀前と比べて、利益を上げられずに苦しんでいる経営者が多いことがうかがえます。

昭和40年代に4割以下だった赤字申告法人割合は、50年に4割を超えました。55年以降は5割超、平成5年以降は6割超、そして20年以降は7割超の状態が続いています。先ごろ国税庁が公表した「法人税等の申告(課税)事績の概要」によると、平成25事務年度の赤字申告企業は全体の70.9%でした。わずか40年で、「黒字6割、赤字4割」から「黒字3割、赤字7割」にまでなっているのです。

25事務年度の法人税の申告件数は277万1千件。その申告所得金額総額は53兆2780億円、申告税額総額は10兆9403億円でした。前年度からそれぞれ8兆906億円、9298億円増加。21事務年度(申告所得金額33兆8310億円、申告税額8兆7296億円)からは4年連続でその額を増やしています。赤字申告法人の割合が6年連続で7割を超えているとはいえ、割合が過去最低だった22事務年度(74.8%)からは3年連続で〝改善〟していることも所得金額・申告税額の上昇につながりました。

政府は法人税率の引き下げに向けて議論を進めていますが、この減税策で喜べるのは3割の黒字申告法人だけという状態が続いています。7割の会社にとって〝無関係〟ともいえる法人税率引き下げで他の増税策が設けられてしまうようでは、経済に大打撃を与えかねません。





2014年11月8日土曜日

【時事解説】競争から提携へ

先般、東京電力と中部電力が火力発電分野の提携に基本合意したとの新聞報道がありました。同じ電力業界におけるライバルですから、その両社が共同で事業を行おうとすることに意外な感じを持った方もいたのではないかと想像します。

しかし、考えてみれば、原発問題や電力の自由化等で業界環境が厳しいことは誰の目にも明らかなのですから、これまでとは違う発想でコスト削減に取り組むのは当然のことです。東京電力と中部電力はそれぞれの地元で圧倒的シェアを握るガリバー企業です。こうした大企業ですら、こうした大胆な改革に取り組もうとしているのですから、体力の劣る中小企業も考えなければなりません。

人口はあらゆる消費の基礎になります。人口が増えていれば消費は増加しますから、マーケットは拡大します。マーケットが拡大しているときには、多少経費はかかろうとも、拡大するマーケットから自社の売上をできるだけ多く獲得することに最大限の力を注ぐべきです。競争することにより、お互いが強くなれる時代といえます。

しかし、そうした古き良き時代は過ぎ去り、我が国は人口減少時代に突入しました。人口が減れば、マーケットは確実に縮小します。全体のマーケット縮小に歯止めをかけることは一企業の努力でできるものではありません。企業としては経費削減にさらなる努力が求められます。経費削減も単体企業でできることはもう既に十分にやっているはずですから、今度は企業の枠を超えた複数の企業による共同での経費削減という段階に入っているのではないかと思います。

同じ地域で、同種の事業を行っている企業が複数ある場合、それらの企業が共同することにより経費節減できる余地があるかもしれないのです。究極的な経費節減手法は合併や持株会社化などの経営統合です。経営統合すれば、人事、経理などの間接部門の効率化や営業力の強化も可能です。

しかし、経営統合は容易ではありません。特に、非上場企業では会社の支配権の問題がからみます。一方の企業のオーナーが経営権を完全に譲ることを決めていれば、話は簡単です。しかし、参加する企業それぞれが経営権を維持しようとすると、株式シェアや役職ポストの問題もあり、経営統合は簡単ではありません。

経営統合を行おうとすると、その合意は大変難しいのですが、各社の経営面には手を触れず、東京電力と中部電力のようにある特定の事業に絞り共同化するというのは非上場企業にとっても有力な選択肢です。


これからの経営環境は楽観できません。というより、益々厳しくなると考えた方がいいでしょう。自社の現状を踏まえ、将来を展望したとき、単独での事業継続が難しいと判断されれば、企業の枠を超えた経営の効率化も本格的に検討すべき時に来たといえると思います。

「昨日の敵が今日の友」です。難しい時代ですが、大胆な発想の転換が求められます。

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター


2014年11月6日木曜日

経済産業省:2015年度税制改正要望を公表!

経済産業省は、2015年度税制改正要望を公表しました。


それによりますと、法人実効税率を、国際的に遜色ない水準に引き下げることを目指し、来年度から法人実効税率の引下げを開始し、数年で20%台まで引き下げることを求めております。

法人実効税率の引下げは、キャッシュフローの増加や資本コストの低下を通じて、賃金引上げ等の消費の増大・設備投資の増加等を促し、経済成長をもたらすとしております。


財源については、租税特別措置の見直しを挙げ、租税特別措置のうち政策減税(インセンティブ措置)は、期限が到来した措置については、経済社会環境の変化に応じて必要性と効果を検証し、メリハリのある見直しを行うことが重要とした上で、


①利用実績が極端に少ない措置等の廃止
②政策的重要性が高い措置の拡充・延長
③インセンティブ措置ではなく、租税特別措置になじまないものの本則化
を提案しております。


また、地域経済再生、中小企業・小規模事業者の活性化の観点から、中小企業者等に係る法人税の軽減税率については、法人実効税率の引下げの検討状況を踏まえつつ、その引下げを目指すことを要望しております。

その他、車体課税の抜本的見直しとして、


①消費税率10%への引上げ時に自動車取得税の廃止
②エコカー減税について対象車の基準を2020年度燃費基準へ切替え、軽減措置の拡充を図った上で恒久化し、当分の間税率(旧暫定税率)について廃止を前提に、税制の一層のグリーン化を図る
③自動車税の環境性能割の導入・グリーン化特例の拡充
④環境性能に優れた軽自動車に対する軽課措置の導入等を図る
ことなどを要望しております。

さらに、個人事業者が保有する事業用資産に係る事業承継時の負担を軽減するための措置の創設を図ることや、地方の創生に向けた取組みとして、地方の創生と人口減少の克服に向け、地方における企業拠点の機能強化等のための支援措置について、まち・ひと・しごと創生本部と連携しつつ検討すること、中心市街地活性化のための税制措置、商業・サービス業・農林水産業活性化税制の延長などを盛り込んでおります。


今後の税制改正の動向に注目です。




2014年11月1日土曜日

政党交付金の支出 17%増の356億7400万円

総務省が公表した平成25年分の政党交付金使途等報告書によると、支出総額は356億7400万円(前年比16.8%増)に膨らみ、使い残しの基金残高は147億円でした。平成25年7月の参院選で政治活動費が大幅に増えたことが支出増の要因のひとつのようです。

平成24年末に政権奪還を果たした自民党が4年ぶりに支出額トップに返り咲きました。自民党は政党交付金収入が150億5900万円で、支出が143億7900万円(前年比20.2%増)。民主党は収入が77億7500万円で、繰越金54億4700万円を取り崩し、支出が132億2200万円(同2.2%増)となりました。

交付金総額は318億7100万円。年内に使い切らなかった交付金は基金として翌年に繰り越すことができ、24年末の繰越金総額(185億9300万円)を加えて504億6400万円の支出が可能でした。25年末の繰越総額は147億8300万円(前年比38億1千万円減)で、政党別では民主党の100億7700万円が最多でした。

支出総額の内訳を見ると、政治活動費が前年比34.1%増の201億2千万円に上りました。このうちテレビコマーシャルなどの宣伝事業費は前年(28億5600万円)の約4倍となる115億9700万円。事務所費などの経常経費は前年とほぼ同水準の155億5400万円でした。


特に政権の座に返り咲いた自民党が宣伝事業費38億3千万円を支出しており、前年の39倍に膨らんでいます。

政治資金問題に詳しいジャーナリストは「政党交付金を多くもらっている政党ともらっていない政党では選挙で差が出てくる。交付金があるかぎり公正な選挙にならない。しかも使途の記載の必要がないので、国民は税金が何に使われたか分かりようもない。チェック機能が少なからず働いている地方議会の政務活動費に比べても規制は明らかに緩い」と批判します。