2019年1月31日木曜日

成人年齢引き下げを相続税にも適用

 民法改正で成人年齢が20歳から18歳へ引き下げられることに伴い、税法でも現在20歳以上や20歳未満となっている様々な年齢要件が18歳に改められます。

 新しい年齢要件は2022年4月1日以後に得た財産にかかる相続税、贈与税に適用されることとなります。

 これまで「20歳以上」となっていた要件が「18歳以上」に改められるのは、相続時精算課税制度や直系尊属から贈与を受けた時の贈与税の特別税率、事業承継税制とその特例制度など。

 またこれまでの「20歳未満」から「18歳未満」へと変更されるのは、相続税の未成年者控除が該当します。

 なお税理士法4条では、税理士となる資格を持たない者に未成年者を挙げており、現行では20歳未満だと税理士になれませんが、成人年齢の引き下げに伴い、18~19歳の人も資格を得られるようになります。

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2019年1月30日水曜日

国税庁:仮想通貨関係FAQを公表!

 国税庁は、仮想通貨関係FAQ(よくある質問)を公表しております。

 それによりますと、国税庁では、仮想通貨取引に関する所得について、納税者自身による適正な納税義務の履行を後押しする環境整備を図っており、簡便に所得計算できる様式や方法、相続時の仮想通貨の評価方法などを仮想通貨関係FAQにおいてまとめております。

 仮想通貨取引により生じた利益は、原則、雑所得に該当し、確定申告が必要ですが、納税者は申告しようにも仮想通貨の年間の売却金額等を記録しておらず、所得計算が困難なケースが多いと言われておりました。

 そこで、FAQにおいて、正確な所得計算が簡便にできるよう、仮想通貨の年間の売却金額や購入金額等が記載された「年間取引報告書」などが仮想通貨交換業者から顧客(納税者)へ提供されるとしております。

 2019年1月以降、「年間取引報告書」が各仮想通貨交換業者から提供される予定で、納税者が年間取引報告書の内容等に基づき入力することで、申告に必要な所得金額等が自動計算される「仮想通貨の計算書」が国税庁ホームページで公開予定としております。
 
 また、FAQでは、説例を用いて「年間取引報告書」と「仮想通貨の計算書」による仮想通貨の計算例を紹介しております。

 相続税・贈与税関係では、仮想通貨を相続・贈与等で取得した場合には課税対象となりますが、その評価方法は、評価通達に定めがないことから、評価通達5の「評価方法の定めのない財産の評価」に基づき評価するとしております。

 この場合、活発な市場が存在する仮想通貨については、一定の相場が成立し、客観的な交換価値が明らかであるため、外国通貨に準じて、仮想通貨交換業者が公表する課税時期における取引価格によって評価するとしておりますので、該当されます方は、ご確認ください。

 国税庁では、上記の施策について、各仮想通貨関連団体を通じて各交換業者や利用者へ周知するなどしており、様々な機会を捉えて課税上有効な資料収集に努め、申告のなかった納税者や課税上問題があると認められる場合には、様々な方法で是正を促すなど、仮想通貨取引の適正な申告に向けて積極的に取り組んでおります。

2019年1月29日火曜日

平成31年度税制改正大綱 資産課税編

◆個人事業者版の事業承継税制創設

 平成30年度税制改正では、非上場会社の事業承継税制の大胆な見直しが行われましたが、これに続き31年度改正では、個人事業者の事業承継税制が創設されました。

 総務省の調査では、平成37年には個人事業者の73%(150万人)が70歳以上となると報告され、世代交代を後押しする施策が求められています。

 そのため、10年間の時限措置として、承継資産(土地・建物・機械等)に係る贈与税・相続税の100%が納税猶予される制度が整備されます。

 なお、この制度は小規模宅地等(特定事業用宅地等)との選択適用になります。

○個人事業者の事業用資産の納税猶予(相続税)

対象者:認定相続人(承継計画の認可)
適用期間:H31.1.1~H40.12.31
要件:①相続又は遺贈により特定事業用資産を取得し、事業を継続していくこと②申告期限までに担保提供・申請書提出

対象資産:特定事業用資産(不動産貸付事業除く)
①土地(地積400㎡まで)、②建物(床面積800㎡まで)、③一定の償却資産
※青色申告書に添付する貸借対照表に計上されているもの
承継後:継続届出書を税務署に提出

◆特定事業用宅地等(小規模宅地)の見直し

 小規模宅地等の減額制度の濫用を防止する観点から、特定事業用宅地等から相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等が除かれることとなります。

 ただし、その宅地の上で事業供用される償却資産の価額が土地の価額の15%以上であれば、適用対象とされます(H31.4以後の相続より適用)。

◆民法の成人年齢引下げに伴う改正

 平成34年4月以後の相続・贈与より、次の年齢が20歳から18歳に引き下げられます。

・相続税:未成年者控除の対象者の年齢
・贈与税:下記の受贈者の年齢要件
①相続時精算課税制度、②直系尊属から贈与を受けた場合の特例税率、③非上場株式等に係る贈与税の納税猶予

◆一括贈与非課税に受贈者の所得要件が追加
 「教育資金」、「結婚・子育て資金」の一括贈与非課税については、受贈者の所得要件が設けられることとなりました。

 平成31年4月以後の贈与からは、受贈者の贈与前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用できません。

 また、23歳以上の趣味の習い事代は「教育資金」の範囲外とされました(H31.7以後の贈与より)。

2019年1月28日月曜日

平成31年度税制改正大綱 消費税編

◆与党大綱、消費増税「確実に実施」と明記

 「消費税対策」が中心に据えられた平成31年度の税制改正。

 与党税制改正大綱では、「消費税率10%への引上げを平成31年10月に確実に実施する。」と明記され、現政権の堅い決意を表明しています。

 既に30年11月に自民党税制調査会が「消費税率引上げに伴う対策について」の中で対策の大枠を掲げていました。

 ○駆け込み・反動減中小・小規模対策:耐久消費財対策(平成31年改正)
 ○逆進性対策:軽減税率導入
 ○負の所得効果対策:賃金引上げ、幼児教育無償化

◆「複雑となりすぎた制度」環境整備急務

 これが、与党税制改正大綱の「消費税率の引上げに伴う対応」の3項目に落とし込まれました。

 特に軽減税率導入時の混乱が予想されるため、環境整備が急がれます。

 ①需要変動の平準化に向けた取組み(価格表示・転嫁対策、住宅・自動車の措置)
 ②軽減税率制度の実施(Q&A追加、個別相談、レジ導入支援など)
 ③医療費に係る措置(診療報酬の補てん状況を調査・対策)

◆「屋台でも免税」臨時販売場の出店容易に

 東京オリンピック開催に備え、外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売所制度)が見直され、事業者が地域の祭りやイベントに免税店を出店する際の手続きが簡素化されます(「臨時販売場に係る届出制度」の創設)。

 現行制度では、屋台など短期間で免税店を出店する場合でも、常設店同様の提出書類(店の見取図、マニュアル、免税対象品目など)が必要で、審査に時間がかかるため、申請を見送るケースも多くありました。

 この制度の開始は、平成31年7月からとなります。

◆急増する金密輸に対策:買取側控除に制限

 ニュース等で話題の「金密輸」についても対策が講じられます。

 国外から日本に金を持ち込む場合には、申告を行い、消費税を納める義務がありますが、密輸業者は金を隠して持ち込み、国内買取業者に消費税を上乗せして販売。差益を得ていました。

 これに対し、①密輸品と知りながら行った課税仕入れは仕入税額控除を認めない、②金・白金の地金の課税仕入れについて、本人確認書類の保存を仕入税額控除の要件に加える措置がされました(H31.4~)。

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2019年1月25日金曜日

仮想通貨に関する税務上の取扱い

 近年、ビッグデータ、ソーシャルメディアなどのICTのサービス及びビジネスの進展等を背景にインターネットを通じて電子的に取引される仮想通貨(例:ビットコイン、イーサリアム等)の取引が急増しているようです。

 こうした中、平成30年11月21日に「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)、以下単に「FAQ」といいます。」が国税庁から公表されました。

 そこで、公表されたFAQの概要と実務上の留意点について解説します。

Ⅰ 所得税・法人税共通関係
1.仮想通貨を売却した場合
 保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合の所得金額は、その仮想通貨の売却価額から売却した仮想通貨の取得価額及び売買手数料等の経費の額の合計額を控除した金額とされます。

 なお、購入した仮想通貨の取得価額は、その支払対価に購入手数料等の付随費用を加算した金額とされます。

2.仮想通貨で商品を購入した場合
 保有する仮想通貨で商品を購入した場合には、保有する仮想通貨を譲渡したこととされ、その所得金額の計算は、前述した1と同様とされます。

Ⅱ 所得税関係
1.仮想通貨の所得区分
 仮想通貨取引により生じた損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得又は雑所得に区分されます。

2.仮想通貨の取得価額の計算方法
 仮想通貨の取得価額は、原則として「移動平均法」で計算することとされます。
 しかし、継続適用を要件に「総平均法」で計算することもできます。

3.仮想通貨の必要経費
 仮想通貨の経費の額は、その取引の記録に基づいて業務の遂行上直接必要であることが明らかに区分できるものとされます。

 例えば、インターネット及びスマートフォン等の回線利用料、パソコン等の減価償却費が想定されます。

4.年間取引報告書の送付
 平成31年1月末までに国内の仮想通貨交換業者を通じた仮想通貨取引について、
 ①年始数量、
 ②年中購入数量及び金額、
 ③年中売却数量及び金額、
 ④移入数量、
 ⑤移出数量、
 ⑥年末数量、
 ⑦損益合計、
 ⑧支払手数料
が記載された「年間取引報告書」が納税者(顧客)に対して送付予定とされています。

 なお、仮想通貨の売却・購入が外貨で行われていた場合の年間取引報告書の各項目の記載は、取引時の電信売買相場の仲値(TTM)で円に換算した金額とされます。

Ⅲ 相続税・贈与税関係
1.相続又は贈与により取得した場合
 仮想通貨については、「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる財産的価値(決済法2⑤)」と規定されていることから、被相続人又は贈与者から相続若しくは遺贈又は贈与により取得した場合には、相続税又は贈与税が課税されることとされます(問15)。

2.仮想通貨の評価方法
 仮想通貨の評価方法は、「評価方法の定めのない財産の評価(財基通5)」の規定に基づき、次のとおりとされます。

① 活発な市場が存在する仮想通貨は、相続人等の納税義務者が取引を行っている仮想通貨交換業者が公表する課税時期における取引価格によって評価することとされます。
② 活発な市場が存在しない仮想通貨は、その仮想通貨の内容、性質及び取引実態等を勘案し、個別に評価(例:売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する方法)することとされます。

 平成30年11月21日に「仮想通貨の計算書(総平均法用)」が国税庁ホームページで公表されています。

 この計算書は、前述したⅡ4.の「年間取引報告書」に記載された各項目を入力(Excel)すれば簡単に所得金額を計算することができます。

 なお、平成29年分以前の確定申告において売却した仮想通貨の取得価額を移動平均法で計算されていたとしても、平成30年分以後は継続して適用をすればこの計算書によって「総平均法」で計算することもできます。

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2019年1月24日木曜日

住宅ローン減税で過大控除

 マイホームなどを購入した時にローン残高の一部を所得から差し引ける「住宅ローン減税」について、計算を誤った申告に基づいた控除が行われていたと国税庁が発表しました。

 会計検査院の指摘に基づき調査したところ、1万4千人超に追加納税の可能性があることが分かりました。

 申告に誤りが認められたのは、2013年分から16年分で所得税の確定申告書を提出するなどした納税者約1万4500人。

 贈与税の住宅取得式の非課税特例を使っている人や、居住用財産を売却した時の譲渡所得の特例を使っている人の申告に計算ミスがありました。

 それぞれ誤った認識を基に住宅ローン減税の控除額を計算した人が多く、税務署もそれを見過ごしていたとのことです。

 過大控除によって発生する可能性のある追加税額は、多い人で数十万円になる予定。

 すでに税額に不足のある人に対しては、11月から申告内容の見直しを求める文書などを送付し始めています。

 国税庁は「今後、納税者がご自身で誤りのない申告をしていただけるよう、制度や手続きについてより丁寧な周知・広報を図るとともに、申告誤りを適時・適切に把握し、是正を行うことができるよう、申告書の審査の充実に努めてまいります」とのコメントを発表しました。

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2019年1月23日水曜日

国税にバレバレ、調査で不正発覚

 国税庁が公表した所得税調査の実績報告によると、2017年7月からの1年間の実地調査7万2953件のうち、申告漏れなどの非違が見つかったのは6万338件で、調査を受けた人の8割以上が何らかの問題点を指摘されました。

 近年は仮想通貨や民泊に絡んだ税逃れなど、新しい形の事例も報告されています。

 厳しい調査の末にどのような申告漏れがばれてしまったのか、仮想通貨と民泊が絡むふたつの不正事例を紹介します。

 会社員Aは多数の仮想通貨取引所に自分名義と妻名義の口座を開設し、自分で開発した自動売買プログラムを利用して多額の利益を得ていました。

 その儲けを確定申告期には申告せず、期限後になって修正申告。

 しかしその所得は儲けの一部に過ぎず、自分名義の取引の一部と妻名義の口座での取引の全ての利益は隠していたところ、追徴課税を受けました。

 申告漏れ所得金額は1年で5千万円。加算税込みの追徴税額2400万円。

 また、会社員Bは所有物件や賃貸物件を民泊専門の国外ウェブサイトにアップし、主に外国人に貸し出し、国外の民泊仲介業者経由で宿泊料を受け取っていました。

 毎年、給与所得のほかに少額または赤字の不動産所得を申告していたものの、その不動産所得は民泊収入の一部に過ぎませんでした。

 顧問税理士には民泊による年間収入金額より過少になる賃貸契約書を渡し、民泊収入の存在を把握させないようにしていたそうです。

 申告漏れ所得金額は5年で2600万円。

 加算税込みの追徴税額700万円(重加算税あり)。

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2019年1月22日火曜日

社会保険診療報酬課税の特例とは?

 社会保険診療報酬課税の特例とは、社会保険診療報酬に係る費用を、実際に発生した実額ではなく、一定の経費率を乗じて算出した概算経費を必要経費として算入することを認めるものです。

 具体的には、医業又は歯科医業を営む個人が、社会保険診療報酬が5,000万円以下であり、かつ、その個人が営む医業又は歯科医業から生ずる事業所得に係る総収入金額に算入すべき金額の合計額が7,000万円以下であるときに適用できます。

 必要経費率は、その社会保険診療報酬に係る収入の階層に応じて、2,500万円以下の場合の72%から4,000万円超5,000万円以下の場合の57%までの4段階に区分されております。

 例えば、年間の社会保険診療報酬が4,000万円で、その社会保険診療報酬に係る実額経費が2,000万円の場合、社会保険診療報酬に係る概算経費は2,770万円(4,000万円×62%+290万円)となり、実額経費と比べて所得税計算上は有利になります。

 しかし、事業所得の計算上の資産損失などが生じた場合は、必ずしも概算経費の方が有利だとは言えません。

 例えば、心電図の機械や内視鏡などの医療器具が壊れて除却した場合など、通常は資産損失として計上できるものなども、この特例を選択した場合は、これらの資産損失・減価償却費、専従者給与、材料・消耗品等仕入、貸倒損失などの一切が社会保険診療報酬課税の特例経費に含まれることになりますので、追加での費用計上は認められていません。

 そこで、上記のケースでは、実額計算をして有利か不利かの判定を行い、実額計算のほうが有利であれば、この特例課税は適用しないで計算することができます。

 したがいまして、いつでもこの判定ができるように、概算経費率の計算だけでなく、実額計算も常にしておくことが大切ですので、帳簿、領収書、請求書なども常に保存・管理・記録しておくことが必要です。

 ただし、概算経費を適用する場合であっても、社会保険診療報酬以外の収入に対応する必要経費は実額によりますので、ご注意ください。

 なお同様に、医療法人も社会保険診療報酬課税の特例を適用できます。

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2019年1月21日月曜日

国税庁:2017年度租税滞納状況を公表!

 国税庁は、2017年度(2018年3月までの1年間)租税滞納状況を公表しました。

 それによりますと、2018年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が1999年度以降19年連続で減少しました。

 近年、景気回復により税収は増えているものの、新規滞納の未然防止、大口・悪質事案や処理困難事案を中心に厳正・的確な滞納整理を実施したことで、新規発生滞納額は前年度に比べて1.1%減の6,155億円と2年連続で減少し、整理済額が6,595億円(前年度比6.1%減)と新規発生滞納額を大きく上回ったため、2018年3月末時点での滞納残高も4.9%減の8,531億円と19年連続で減少しました。

 2017年度に発生した新規滞納額は、新規滞納発生額の最も多い1992年度(1兆8,903億円)の約33%まで減少し、2017年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額(60兆8,203億円))は1.0%で、2004年度以降、14年連続で2%を下回って、国税庁発足以来、最も低い割合となり、滞納残高はピークの1998年度(2兆8,149億円)の約30%まで減少しました。

 税目別にみてみますと、消費税は、新規発生滞納額が前年度比3.3%減の3,633億円と2年連続で減少しましたが、税目別では13年連続で最多となり、全体の約60%を占めました。

 一方で、整理済額が3,706億円と上回ったため、滞納残高は2.3%減の3,028億円となり、18年連続で減少しました。

 法人税は、新規発生滞納額が同7.0%増の653億円と4年ぶりに増加しましたが、整理済額が721億円と上回ったため、滞納残高も6.9%減の913億円と10年連続で減少しました。

 国税庁では、新規滞納に関しては、全国の国税局(所)に設置している「集中電話催告センター室」で整理をし、処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となって訴訟を提起して整理をし、財産を隠ぺいして滞納処分を免れる案件については、国税徴収法の「滞納処分免脱罪」による告発で整理することで、効果的・効率的に処理しております。

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2019年1月18日金曜日

平成31年税制改正大綱 個人所得課税(一般)編

◆31年税制改正「消費税対策」が重点に

 平成31年の税制改正大綱では、10月に実施予定の消費税率10%引上げに伴う、駆込み需要・反動減対策(車両・住宅)に重点が置かれ、単年度ベースで1,670憶円規模の減税措置がされると公表されました。

 個人所得課税(金融・証券税制以外のもの)については、次の項目が改正されます。


◆住宅ローン控除の拡充(国税・減税)

 過去の消費増税時に住宅の駆込み需要とその後の販売減を経験していることから、住宅ローン控除が拡充されました。

 31年10月から32年末に入居する住宅(消費税10%適用)については、控除期間が現行の10年から13年に延長されます。

 11年目からは計算方法が変わることに注意しましょう。
 1~10年目:住宅ローン年末残高×1%(最大40万円)
 11~13年目:次のいずれか少ない金額
 ①住宅ローン年末残高×1%
 ②取得価額(最大4000万円)×2%÷3

◆空き家の譲渡の特別控除(国税・減税)

 適用期限が4年延長され、老人ホーム等に入所したことにより空き家になって場合においても、一定の要件を満たすものについては、適用の対象となりました。

 また、所有者不明土地を収用した場合の5,000万円特別控除制度が創設されました。

◆ひとり親(未婚)の非課税(住民税・減税)

 自公で議論となっていたのが、婚姻歴のないシングルマザー等の「寡婦(夫)控除」の取扱い。

 結論は翌年に持ち越しとなりましたが、次の要件を満たす「ひとり親」の住民税が非課税とされました(未婚男性の「ひとり親」にも適用されます)。

・児童扶養手当の支給を受けていること
・前年の合計所得金額が135万円以下

 なお、所得税の負担が残るため、給付金17,500円(非課税)が年収365万円までの10万人弱を対象に支給される見通しです。

◆その他の改正(ふるさと納税の適正化など)

 その他には、①ふるさと納税の高額返戻品禁止(返戻割合3割以下の地場産品に限定)、②仮装通貨の取得価額の計算方法の明確化(移動平均法又は総平均法)、③申告書の源泉徴収票、特定口座年間取引報告書等の添付不要化・記載事項の見直し、④森林環境税(仮)の創設、⑤公的年金等の源泉徴収見直し等が措置されています。

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2019年1月17日木曜日

平成31年度税制改正大綱 個人所得課税(金融・証券)編

◆金融庁要望の「NISA恒久化」は持越し

 平成31年度の税制改正大綱では、消費増税への対応に比重がかけられたため、金融・証券税制の分野については、脇に置かれた感があります。

 金融庁が要望していた「NISA制度の恒久化」「金融所得課税の一体化」などは実現に至りませんでした。

 それでも、①NISAの利便性向上(海外赴任時の継続利用・利用開始年齢の引下げ他)、②投資信託等の内外の二重課税の調整措置、③レポ取引に係る利子の非課税措置の延長、④マイナンバーに関する所要の措置などが改正される予定です。

◆NISA口座保有者が出国した場合の特例

 NISA(一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISA)は、国内居住者の少額投資を非課税とする制度としてスタートしたため、居住者が海外転勤等により一時的に出国する場合には、NISA口座で保有している金融商品は一般口座(課税口座)に払い出されていました。

 また、帰国後においても、一般口座に一旦払い出された金融商品をNISA口座に戻すことはできませんでした。

 そこで、次の手続きを行った出国者については、国内居住者とみなしてNISA口座を最長5年間にわたり、継続利用できることとしました。

(一時的な出国による場合の特例)
◎継続適用届出書の提出:出国日の前日までに取扱金融機関に転任の命令その他やむを得ない事由により出国する旨等を記載した継続届出書を提出

◎帰国届出書の提出:取扱金融機関に帰国した年月日、非課税口座に再び上場株式等を受け入れる旨を記載した帰国届出書を提出

 なお、出国から帰国までNISA口座の保有はできますが、この間(最大5年間)、新規買い付けはできません。

 また、その出国につき「所得税の国外転出時課税」を受ける場合には、適用を受けることはできません。

◆NISA利用開始年齢の引下げ・利便向上施策

 民法の成年年齢が引き下げられることに伴い、NISAの口座開設が可能な年齢も20歳から18歳に引き下げられることになりました。

 平成35年1月1日以後の口座開設より適用されます(経過措置あり)。

 大綱には、その他にもロールオーバー移管依頼書の手続きの簡素化、一般NISAとつみたてNISAの切り替え手続きの簡素化など利便向上の施策が盛り込まれています。

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2019年1月16日水曜日

社外取締役の役割

 上場企業で社外取締役が増加しています。

 これまで日本企業の取締役は社内の生え抜きがほとんどで、意思決定が内向きになり過ぎると、かねて批判されていました。

 社外取締役の数を増やし、取締役会に社外の多様な意見を反映させようというものです。

 そこで、社外取締役の果たすべき役割を投資の意思決定とトップの選任について考えてみます。

 投資の意思決定では、採算性があると判断されれば投資を行い、採算性がなければ投資を行いません。

 情報量の違いによる若干の相違はあるかもしれませんが、合理的判断をする限り、そこに、社内取締役と社外取締役に本質的な差異は生じないはずです。

 違いが生じるとしたら、投資できずに余ったキャッシュの使い方にあります。

 社内取締役は入社以来ずっと同じ会社に勤務し、会社に愛着を持ち、多くの仲間が社内にいますから、会社の存続を第一に考えます。

 会社の外部環境はどのように変化をするか分かりません。

 ですから、社内取締役はまさかのときに備えて、余剰キャッシュをできるだけ蓄え、社内留保を多く持とうという発想をしがちです。

 一方、社外取締役は会社内で人生を送ってきたわけではありませんから、株主あるいは一般投資家の利益を社内取締役より強く意識します。

 そこで、投資に使い切れない余剰キャッシュが生じれば、社内留保よりも配当等の株主還元を優先することになります。

 今まで、日本の企業は社内留保に偏りすぎる傾向があったので、社外取締役の増加が社内留保と株主還元のバランスの改善につながることが期待されます。

 企業の消長は何といっても経営トップの能力に左右されます。

 したがって、取締役会の最も大きな役割は経営トップの選任にあると言われます。

 経営トップの選任においても、社外取締役の役割が増大しています。

 我が国において、社外取締役がトップの選任についてアメリカほど重要な役割を果たしていいかどうかには議論のあるところです。

 というのは、アメリカと日本では経営者を選抜する環境が大きく違うからです。

 アメリカでは経営者は社内外から広く候補者を募り、選ばれることが通例です。

 そうした場合、社外取締役が社内外を問わず経営成績を上げる能力を評価して、トップ選任に際して重要な役割を果たすことにそれほど違和感を覚えません。

 しかし、日本では多くの会社で社内からの生え抜きの人材をトップに据えます。

 そこでは経営能力は当然必要ですが、その他に人柄とか社内の人望といった人格的要素も無視できない要因として存在します。

 そうした数字に還元できないその会社特有の人間関係まで社外取締役が把握できるのかという点について、やや疑念が残るのです。

 労働市場や経営者市場の流動化が不十分な日本で、社外取締役が経営トップの選任にどのように関与するかは難しい問題です。

 アメリカのような経営者選抜方法が一般化すれば、社外取締役の役割は重くなるでしょう。

 しかし、社内出身者がトップに選ばれるという状況が続くなら、社外取締役がトップ選任に果たす役割が定着するまでにはもう少し時間がかかるような気がします。

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2019年1月15日火曜日

少額減価償却資産の会計処理と固定資産税の関係に注意!

 税法上、使用可能期間が1年未満又は取得価額10万円未満の減価償却資産については、少額減価償却資産として取得・事業供用時に一時に損金算入することが認められております。

 また、取得価額が20万円未満の減価償却資産については、通常の減価償却のほかに、3年で均等償却(1/3の年償却)する一括償却資産の損金算入を選択することができます。

 10万円未満の資産の損金算入と3年均等償却は、すべての事業者が対象となりますが、青色申告書を提出する中小企業者等は、さらに、取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、その取得価額の全額(その事業年度の取得価額の合計額が300万円に達するまでを限度)を損金算入(即時償却)できる少額減価償却資産の特例があります。

 その事業年度の課税所得の程度により、どれを選択するのかが判断材料になりそうですが、それ以外に注意したいのは地方税の固定資産税との関係です。

 なぜなら少額減価償却資産が固定資産税の課税客体(償却資産)となるかどうかは、選択した会計処理によって異なるからです。

 固定資産税は、通常の減価償却ではもちろん課税客体になりますが、一時に損金算入された10万円未満の資産や3年均等償却を選択した10万円以上20万円未満の資産には、固定資産税は課税されません。

 しかし、中小企業者等のみに適用される30万円未満の資産の即時償却を選択した場合は、10万円未満の資産を除いて固定資産税が課税されます。

 したがいまして、少額減価償却資産の会計処理には、固定資産税も考慮に入れた判断が必要になりますので、該当されます方はご注意ください。

 ちなみに固定資産税における償却資産とは、耐用年数1年以上かつ取得価額が10万円以上のものをいい、例えば、エアコン、事務机、看板、冷蔵庫、パソコンなど減価償却している資産をいいます。

 さらに、固定資産税は、減価償却資産について、未償却残高が合計で150万円以上の場合にのみ課税され、合計150万円未満の場合には課税されませんので、あわせてご確認ください。

2019年1月11日金曜日

不動産管理会社に支払う不動産管理料の適正額

 賃貸物件を所有する個人が不動産管理会社を設立して、不動産の管理をその管理会社に委託し、管理料を支払うことで所得を分散させるという一般的な節税手法があります。

 支払った管理料の分を必要経費とし個人の所得税を抑えることができるというものですが、不動産管理料が不当に高額である場合、適正額を超えた部分についてはその経費性を否認されることとなるため、留意が必要です。

◆管理料の相場と決定方法

 同族経営の不動産管理会社に支払う管理料は、事業運営方式にもよりますが5%~15%が相場です。

 過去の裁判例を参考にして手数料率を決定するという方法もありますが、表面的な数字ではなく、不動産管理会社が実際に行う管理業務の内容、その業務の周辺相場、同様の業務を他業者に委託した場合にいくらまでなら支払うかが管理料決定の基準となります。

◆同族会社の行為計算否認規定

 不動産管理料がその管理業務の実態と照らし合わせて「不当に高額である」として否認される場合にその根拠となるのが、所得税法第157条「同族会社等の行為又は計算の否認等」の規定です。

 当該規定は、課税の公平を図る趣旨から、所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合に適用されます。

 同族会社であるがゆえに第三者取引には通常見受けられないような料金設定がなされた場合、その不相当に高額な部分が必要経費として認められないこととなります。

◆適正額と業務上の留意点

 管理料については、個々の物件の規模、地域性、管理業務の具体的な内容を総合的に勘案し、業務内容に則して決定することが必要です。

 また、修繕費や共益部分の費用をどちらで負担するのかを事前に決定したり、さらには業務日誌を作成する、メールやFAXといった日々の業務のやり取りを保管するなど業務実態を明確にしておくことも重要です。

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2019年1月10日木曜日

健康保険被扶養者認定事務の変更

◆平成30年10月1日より変更

 日本年金機構が受けつける「健康保険被扶養者異動届」の添付書類の取り扱いが変更となり、日本国内に住む扶養家族の認定の際、申立てのみによる認定は行わず証明書類に基づき身分関係と生計維持関係を確認の上認定する事になりました。

 一定の要件を満たしている場合には証明書類添付を省略できます。

◆届出に必要な添付書類と省略事項

 扶養認定を受ける方が被保険者と同居している時は下記の(1)と(2)、別居している時は(1)(2)(3)の書類が必要です。

(1)続柄の確認……戸籍謄本か抄本あるいは住民票(同居で被保険者世帯主である事、提出日より90日以内に発行されたもの)

省略できる時……被保険者と扶養認定を受ける方双方のマイナンバーが届出に記載されている事と、扶養認定を受ける方の続柄が届書の記載と相違ない事を事業主が確認し備考欄の「続柄確認済み」の□にレを付している、又はその旨記載している。

(2)収入の確認……年間収入が「130万円未満」であることを確認できる課税証明書等(60歳以上の方、障害厚生年金の受給要件に該当する程度の方は180万円未満)

障害・遺族年金、傷病手当金、失業給付等非課税対象の収入がある場合、受取金額の確認ができる通知書控え

省略できる時……扶養認定を受ける方が所得税法上の控除対象配偶者又は扶養親族である事を事業主が確認し、事業主確認欄の「確認」を○で囲む。

又は扶養認定を受ける方が16歳未満の場合は省略できます。

(3)別居の場合……認定には別居の確認が必要になります。
仕送りの事実と仕送り額が確認できる振り込みの通帳写しや、現金書留で送金するならばその控え

省略出来る場合……扶養認定を受ける方が16歳未満又は16歳以上の学生

 今まで被扶養者の認定について健康保険組合ほど証明は求められていませんでしたが、年金機構でも添付書類を求められるようになりました。

 届出様式も協会管掌事業所用被扶養者異動届が新しくなりました。

2019年1月9日水曜日

申告漏れワーストはキャバクラ

 事業所得の申告漏れ金額が最も高いのは「キャバクラ」で、2年ぶりにワーストとなったことが国税庁の調査実績報告で明らかになりました。

 2017年7月からの1年間の所得税調査で発覚したキャバクラの申告漏れ所得は平均2897万円で、前年ワーストの風俗業の1974万円を大きく引き離しました。

 不動産代理仲介業1774万円、システムエンジニア1365万円、機械器具・部品管理1357万円が続きます。

 キャバクラや風俗業などの現金商売は、受け取った現金を売上帳簿に記載せずに課税を免れる不正が多いそうです。

 ともに申告漏れ所得が高額な業種の常連で、過去10年間ではキャバクラが5回、風俗業が4回ワーストになっています。

 なお国税庁は、今回ワーストの「キャバクラ」を前年までは「キャバレー」として集計していました。

 大衆キャバレーの代名詞だった「ハリウッド」のオーナーだった福富太郎さん(通称キャバレー太郎)が18年5月に死去し、都内のハリウッドが年内で幕を下ろすなど、全国的にキャバレーが消えている現状を反映したと見られます。

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2019年1月8日火曜日

出国税が1月7日スタート

 日本を出国する人に一律1千円を負担する新税「国際観光旅客税」が、1月7日にスタートします。

 恒久的に徴収する国税の新設は、1992年に導入された「地価税」以来27年ぶりのことです。

 課税対象となるのは、日本人か外国人かにかかわらず、飛行機や船で外国に渡航する、2歳以上の全ての人。

 例外的に、日本への入国後24時間以内に出国する乗り継ぎ(トランジット)客は課税されず、また外交官や公用機で出国する政治家、飛行機や船の乗務員なども対象外となっています。

 当初は2019年4月のスタートを予定していましたが、2月の「春節」のシーズンに訪れる大量の中国人を当て込んで、同年1月に前倒しされました。

 税収は、旅行に関するインフラの整備、海外への情報発信強化、観光資源の充実などに利用されます。

 なお、同税が導入される1月7日の前日までに発券した航空券については、実際のフライトがそれ以降であっても税を課されません。

 ただし回数券などで7日以降に出国日が決まるケースや、いったん発券をして7日以降に出国日を変更するケースなどは課税対象となります。

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