2017年3月31日金曜日

個人所得課税 公社債投資信託の税務

 公社債投資信託とは、証券投資信託の1つで、その信託財産を国債、地方債、社債など公社債(債券)に対する投資として運用し、株式、投資口、出資、優先出資等に対する投資として運用しない投資信託です。

 そして、その大部分は、上場又は公募型の公社債投資信託です。

●上場・公募公社債投資信託の譲渡

 平成27年12月31日以前は、当該投資信託を譲渡した場合に生じた譲渡損益は、所得税及び住民税は非課税でした。

 しかし、平成28年1月1日以後においては、当該譲渡損益は、上場株式等に係る譲渡所得等として課税の対象になりました。

●上場・公募公社債投信の償還・解約

 当該投資信託の終了や解約に際して、償還金、解約金が支払われます。

 平成27年12月31日以前は、償還金又は解約金が当該投資信託の元本を超える場合、その超える部分の金額、すなわち償還差益又は解約差益は収益分配金となり、利子所得になっていました。

 また、償還、解約の場合に生じた元本と取得価額の差額(差損・差益)については、株式投資信託の場合と異なり、差益は非課税、差損は生じなかったものとみなされていました。

 しかし、平成28年1月1日以後においては、上場及び公募公社債投資信託の償還・解約があった場合には、当該金額の全部が上場株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされることになりました。

 これにより、昨年までのように、個別元本と取得価額の違いをことさら意識する必要はなくなりました。

●損益通算及び繰越控除

 もちろん、当該投資信託の譲渡による譲渡損、当該投資信託の終了に伴う償還損、解約に伴う解約損が生じた場合には、上場株式等の配当所得及び特定公社債等の利子等(配当等)との損益通算、さらには、一定の要件のもと繰越控除の適用もあります。

 ちなみに、平成28年1月1日以後、上場・公募公社債投資信託は、証券会社等の特定口座内で管理されるようになり、その口座内での通算が可能となりました。

 なお、平成28年1月1日以後は、上場・公募公社債投資信託の収益分配金は、上場株式等に係る配当所得等として申告分離課税の対象となりました。


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2017年3月30日木曜日

私道の相続評価で最高裁が審理差し戻し

 相続した土地のうち、私道として使われている部分の財産評価をめぐって納税者と自治体が争っていた裁判で、最高裁は自治体側の主張を全面的に認めていた高裁判決を破棄し、さらなる検討を命じる審理差し戻しの判決を下しました。

 私道と認定されれば税負担は7~10割減となるため、裁判の結果は不動産相続に大きく影響しそうです。

 相続財産の評価方法を規定した財産評価基本通達では、私道として利用されている宅地を「私道供用宅地」として、

①行き止まりの生活道路など、特定の人間が通行するものについては評価を7割減、

②通り抜け道路のように不特定多数の人間が通行するものについては0円

――で評価すると定めています。

 原告は相続税の申告に当たって、まず②のゼロ評価私道として申告書を提出しましたが、その後①の7割減私道だと修正して申告をし直しました。

 しかし税務署は「アパートの敷地の一部であり、そもそも私道ではない『貸家建付地』である」として減額特例の適用を認めず、更正処分を決定。

 不服とした原告が訴えを起こしたものです。

 地裁、高裁の判決ではともに自治体側の訴えが認められ、納税者が敗れました。

 しかし最高裁では、これらの判断を覆しました。

 私道に当たるかどうかは「建築基準法などの法令の制約の有無だけではない」として、「宅地の位置関係や形状、道路としての利用状況などを踏まえて、総合的に、ほかの用途に転換することが難しいかを考えるべき」との判断を示しました。


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2017年3月29日水曜日

日弁連がステマについて意見書

 日本弁護士連合会(中本和洋会長)は2月中旬、消費者に宣伝と気づかれないように行う宣伝、いわゆる〝ステルスマーケティング(ステマ)〟を、景品表示法が禁止している「一般消費者に誤認されるおそれがある表示」に追加することを求め、消費者庁に意見書を提出しました。

 日弁連はステマを「欺まん的な情報提供」と強く非難しています。

 景品表示法では、消費者が誤認するような表示で自主的かつ合理的な選択を阻害することを禁止しています。

 意見書ではステマについて

①事業者が自ら表示しているにもかかわらず第三者が表示しているかのように誤認させるもの、

②事業者が第三者に表示させるに当たり金銭などの経済的利益を提供しているにもかかわらずその表示をしないもの

――の二つに分け、ともに不当表示に加えるべきだとしました。

 ステマが問題になった例としては、飲食店から依頼を受けた業者が顧客に成りすまし、インターネット上の〝口コミサイト〟に店の推奨記事を書いていたことがありました。

 また、インターネットオークションの運営者から報酬を受けた芸能人が、実際に落札していないのに「落札できた」とブログで報告し、オークションサイトをPRしたケースも発覚しています。


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2017年3月28日火曜日

個人契約の死亡保険金の課税関係

 日本は世界的に見ても生命保険大国であり、生命保契約の加入率を見てみると男女とも約80%以上の人が加入しています。

 その中でも、大きなウエートを占めているのが、個人が契約している死亡保険金の契約で、その多くが結婚当初に夫を被保険者及び保険契約者(保険料負担者)、妻を保険金受取人とするケースとされます。

 そこで、個人契約の死亡保険金の課税関係の留意点について検討することとします。

Ⅰ 死亡保険金の課税関係

 死亡保険金における課税関係は、被保険者、保険料負担者及び保険金受取人が誰かによって、次のとおりとされます。

(1) 相続税が課税される場合

 被保険者と保険料負担者が同一人物で、保険金受取人が相続人であるときは、その保険金は相続により、相続人以外の者であるときは、遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税対象とされます(相法3①一)。

 なお、相続人が相続によって取得したものとみなされる保険金に限り、法定相続人1人当たり500万円を限度として相続税が非課税財産とされます(相法12①五)。

 ただし、相続を放棄した者及び相続人以外の者が遺贈により受取った生命保険金等には、この非課税枠がありません。

 そこで、相続に該当するかどうかの意味において保険金受取人が誰であるかが重要な問題となります。


(2)贈与税が課税される場合

 被保険者、保険料負担者及び保険金受取人がそれぞれ異なる場合には、その保険金は保険金受取人が保険料負担者から贈与により取得したものとみなされて贈与税の課税対象とされます(相法5①,相基通3-16)。

(3)所得税が課税される場合

 保険料負担者と保険金受取人が同一人物である場合には、保険金受取人自身が負担した保険料の額に対応する部分の金額は、所得税(一時所得)の課税対象とされます(所令183②, 所基通34-4)。


Ⅱ 保険金受取人

(1)原則

 保険金受取人とは、保険契約者によって指定された者があれば、その指定受取人とされます。

 また、指定受取人がいないときは、保険約款等の定めるところにより、次に定める者が保険金受取人とされます(相基通3-11,簡易保険法55①二,団体定期普通保険約款)。

 ① 被相続人の遺族
 ② 被相続人の配偶者、子、父母、祖父母、兄弟姉妹の順序(団体定期普通保険約款)

(2)例外

 保険契約上の保険金受取人以外の者が現実に保険金を取得した場合には、保険証券に記載されている保険金受取人の名義変更の手続きがされなかったことにつき、やむを得ない事情があると認められる場合など現実に保険金を取得した者が、その保険金を取得することにつき相当の理由があると認められるときは、その現実に保険金を取得した者を保険金受取人とすることとされます(相基通3-12)。

 したがって、相当の理由がなく、遺産分割協議により保険契約上の保険金受取人以外の者が保険金を受け取った場合には、保険金受取人がまず保険金の支払いを受け、それを実際の受取人に贈与したものと取り扱われますので留意して下さい。


Ⅲ 保険料負担者

 保険契約では、保険契約者と保険料負担者が同一人物であるケースが一般的だと思われます。

 ただし、支払能力がない専業主婦又は子供を保険契約者としながら、実際はその保険料を父親が負担しているケースも見受けられます。

 この場合には、受取保険金のうち過去の実際の保険料の負担に対応する課税関係(前述したⅠ(2)(3)参照)が生じます。

 税務上では、保険料負担者が保険事故発生時の保険金課税における重要な事実認定の問題とされますので、保険契約締結時からの保険料負担者の実際の負担事実を証する預金通帳(自動引き落とし明細)などの書類の保管が必要とされます。


Ⅳ 相続人が受ける生命保険金の請求権は、被相続人による生前贈与又は遺贈と異なり、保険契約に基づいて被相続人の死亡により発生する権利であり、保険金受取人に発生とともに帰属するものとされます。

 そこで、日本に多数存在する妻のみを保険金受取人として契約されている死亡保険金の契約については、その生活環境の変化及び相続税の納税資金などを考慮し、子供を保険金受取人に加えるなどの見直しを行う必要があるでしょう。

 この場合の保険金受取人の変更手続は、原則として保険契約者の保険会社に対する通知及び保険証券への承認の裏書により行うことができます。

 なお、保険事故発生前に保険金受取人の変更を行っても課税関係は生じません。


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2017年3月27日月曜日

厚生労働省:スイッチOTC薬控除の対象商品名を公表!

 厚生労働省は、同省のホームページにおいて、2016年度税制改正で創設されたスイッチOTC薬控除(セルフメディケーション税制)の対象となる医薬品の具体的な販売商品名リストを公表しております。

 今後も、同特例の対象となる製品に関する新商品の販売や販売中止等による増減があることを踏まえ、必要に応じて2ヵ月に1回のペースで更新する予定としております。


 この特例は、自分や自分と生計を一にする配偶者その他の親族のために「スイッチOTC薬」を購入した場合、年間1万2,000円を超える部分の金額を、8万8,000円を限度としてその年分の総所得金額等から控除できる制度です。

 適用期間は、2017年1月1日から2021年12月31日までの5年間で、現行の医療費控除との選択適用となります。

 今回公表されたリストには、あいうえお順で「販売商品名」のほか、「製造販売業者名」、「成分名」がそれぞれ記載されており、対象製品を個別に確認できますので、該当されます方は、ご確認ください。


 ちなみにスイッチOTC薬控除の対象となった医薬品の成分で最も多かったのが消炎鎮痛剤としてシップ薬などに使われるインドメタシンで、「バンテリンコーワパップS」や「サロンパスEX」などがあがっております。

 これに次ぐ成分が、プレドニゾロン吉草酸エステルで、「オイラックスPZ軟膏」や「メンソレータムメディクイックH」などがあがっており、以下、フェルビナクが「ハリックスホグリラ温感」など、イブプロフェンが「ベンザブロックL」などあがっております。


 なお、日本OTC医薬品協会や日本医薬品直販メーカー協議会など5協会で構成する「日本一般用医薬品連合会」も、スイッチOTC薬控除の対象製品のパッケージに表示する共通識別マークを発表しました。

 製品の正面や背面にシール貼付等を含めて表示することにより、対象製品を一目で分かるようにしております。

 ただし、同マークに法定の表示義務はないため、各医薬品メーカーが任意で対象製品に表示するとのことです。

 今後の動向に注目です。


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2017年3月24日金曜日

残業時間の上限規制

◆労働時間の原則

 労働時間は1週40時間、1日8時間の原則(労基法32条)がありますが、労使で時間外労働協定(36協定)を結びこれに定めた通りに時間外労働をする場合には労働時間の延長を認める事としています。

 しかし別途残業時間の上限時間の規制として「労基法36条1項の協定で定める労働時間の限度等に関する基準」が定められています。

 これにおいて通常の労働者は例えば1ヶ月45時間の時間外労働の限度基準が定められています。

 これは基準でありこれを超える時間外協定も許容はされています。

 さらに協定に特別条項を付けると残業時間の制限はなくなり、それが問題視されていました。

 人手不足の昨今、採用も思うようにならず在籍者で業務処理を進めて行かなければならず、結果として36協定の時間設定を長くせざるを得ない企業もあるようです。

◆政府の残業上限規制原案

 政府は「働き方改革」として企業の残業時間を月60時間に制限する上限規制案をまとめました。

 規制の強化で長時間労働の慣行を変えるとし、協定も特別条項にも上限を設け月60時間までとする案になっています。

 企業活動を制限しないよう短期間であれば月60時間超も認め、繁忙の月と普通の月を年間でならし、月平均60時間を超えないように義務づける方向で検討しています。

 規制の対象業種もトラック運送業や建設業も猶予期間を持って対象にしてゆく、研究開発職等は医師との面談、代休等を義務付け上限は設けない方向で検討しています。

◆残業一律上限規制に懸念を示す業界も

 情報処理企業等が加盟する経済団体、新経済連盟では先の案に対して「一律的な規制強化だけでは国際競争力が低下する恐れがある」との意見書を提出しました。

 意見書の中で「人工知能、ロボットの代替等で産業が変わる中、働き方の多様性を確保し雇用の流動性を高める議論は必要」とし、「従業員の健康確保を前提としたうえで柔軟に時間管理できる環境を実現すべき」と主張しています。

 いずれにせよ企業は働く人の健康の上に成り立つのですから労働時間に配慮する事は必要でしょう。



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2017年3月23日木曜日

相互フィードバック

 「相互フィードバック」は、目標管理制度の組織目標への貢献度評価を実施する方法として用いられ、評価の公正性・納得性が確保できるとともに、組織に所属する仲間の信頼関係を強化するメリットがあります。

◆相互フィードバックの必要性

 評価の公正性・納得性を確保するために役立ち、その要件は次の通りです。

①被評価者が公正であると感じ、評価の結果を納得できなければならない。

②そのためには、評価が真摯に、客観的な事実に基づいて実施されなければならない(管理者の好き、嫌いなどの感情に基づく恣意的な評価は、納得性を持たない)

③公正性・納得性の高い評価を実施するには、目標管理制度の運用で評価すべき事柄の事実を知っている、一緒に努力した仲間の真摯な相互フィードバックを評価の根拠とするのが適切である(管理者による評価も、この相互フィードバック情報を根拠とする必要がある)

④相互フィードバックの結果を利用して、組織のメンバーの総意として評価が決定される。

 このような「相互フィードバック」は、評価の公正性・納得性を確保するのに役立つのみならず、仲間が相互に高め合うことを通じて、信頼関係を強化します。

◆相互フィードバックの方法

 組織目標の完了都度、その組織目標からカスケードダウン(段階的順次細分化)した個人目標の担当者が集まり、次の評価の視点で、「評価に値する具体的事実」を端的に捉えた相互フィードバックを実施します。

1.目標達成状況

2.プロセスの創意工夫・能力発揮などの具体的な行動

3.組織目標達成に対する貢献度

4.仲間に対する影響度

◆経営者・管理者の留意点

 「相互フィードバック」は、面倒だと思われがちですが、信頼し合う組織づくりの価値は大きく、目標達成力の向上に貢献します。社員に対して前記要件・方法の繰り返し徹底を図り、浸透させましょう。


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2017年3月22日水曜日

融資時の個人保証は着実に減少

 中小企業経営者が金融機関から融資を受けようとすると、これまでは経営者個人の連帯保証を求められることが当たり前でした。

 しかし個人保証を外すための枠組みを定めた「経営者保証に関するガイドライン」が3年前にスタートし、徐々にそうした状況に変化が起きているようです。

 中小企業庁と金融庁は実際にどれだけの融資契約で個人保証が外せたかという実績を公表しました。

 それによれば、商工組合中央金庫や日本政策金融公庫といった政府系金融機関で昨年4月~9月の半年間に行った新規融資のうち、33%に当たる3万6815件が個人保証なしの融資でした。

 一方、メガバンクや地銀、信用金庫などの民間系金融機関では、同時期に行った新規融資のうち、個人保証を外せたのは14%に当たる24万1882件でした。

 またそれぞれ、既存の契約について期限延長の際などにそれまで付いていた個人保証を外せた契約が、政府系で1354件、民間で1万8185件ありました。

 割合では民間系金融機関ではいまだに1割強、政府系でも3割強にとどまるとはいえ、個人保証なしの融資はガイドラインの適用開始以来、着実に増えつつあります。

 政府系では適用を開始した3年前の2~3月頃に比べると、新規融資に占める個人保証なしの割合は2倍以上に増えているし、民間系でも1カ月当たりの個人保証なしの融資件数は4倍以上に増加しています。

 経営者を悩ませる個人保証から解放される可能性は、格段に高くなっていると言えそうです。


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2017年3月21日火曜日

「砂糖消費税」の課税根拠は?

 税務大学校はホームページ上のコンテンツ「税の歴史クイズ」に、消費税の施行前まで課税されていた「砂糖消費税」に関する問題を追加しました。

 その内容は、砂糖消費税が始まった明治34年当時、①色の違い、②製造方法の違い、③糖度の違い――のいずれの基準で税率が変わったかというものです。

 砂糖消費税は昭和15年以降、糖蜜を分離しない製造法の「含蜜糖」と、分離する製造法の「分蜜糖」で税率を区分。

 また、含蜜糖でも糖度が86度を超えると高い税率が掛けられていました。

 この課税法は消費税法の施行前の平成元年まで続いています。

 しかし、制度が始まった明治34年は、砂糖の色の違いで区分していました。

 つまり、クイズの答えは①です。

 当時は、庶民層では黒糖の需要が高く、精製を繰り返して白くなるほどぜいたく品とされていました。

 そのため、アムステルダムの砂糖商が考案した「オランダ標本」を参考に、色が白に近づくほど税率が高く設定。

 その課税法は約40年続きましたが、砂糖に故意に着色して税率軽減を図る例があったこと、またオランダが中国で優位に販売するためオランダ標本を意図的に改訂したことから、製造方法や糖度の違いで判断するように改められたそうです。

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2017年3月17日金曜日

節税目的の養子縁組はただちに無効にならず

 相続税の節税を目的とした養子縁組の有効性が争われていた裁判で、最高裁判所第三小法廷は「節税目的の養子縁組であっても、ただちに無効になるとは言えない」とする初めての判断を示しました。

 相続税法では、法定相続人一人につき基礎控除額が600万円ずつ増えます。

 そのため相続税の節税効果を狙う富裕層の間では孫と養子縁組するケースはかなりメジャーな方法であり、裁判所の判断は、こうした現状を追認したものとなりました。

 平成25年に死亡した福島県の男性(当時82歳)は、その前年に当時1歳だった孫(長男の息子)を養子にしました。

 男性の死後、遺産をめぐり男性の長女と次女がこの養子縁組の無効を求めて長男側を提訴したのです。

 主な争点は、男性に養子縁組の意思があったかどうかです。

 民法802条には、「当事者間に縁組をする意思がないとき」は縁組を無効にできると定められています。

 したがって節税目的で養子縁組をするとしても、本当に親子になる意思があったかどうかが問われました。

 一審の東京家庭裁判所は、男性が養子縁組の書類に自ら署名していることなどから、養子縁組は有効と判断しました。

 しかし二審の東京高裁は長男が税理士を連れて節税メリットを説いた事実に言及し、「男性に孫と親子関係を創設する意思がなかった」として養子縁組を無効としました。

 そして最高裁は「相続税の節税という動機と養子縁組をする意思は併存し得る」とし、節税目的であっても「ただちに民法802条のいう『当事者間に縁組をする意思がないとき』にあたることができない」と高裁決定をひっくり返して、長女らの訴えを退けました。

 なお、二審判決では「縁組には真の親子関係をつくる意思が必要」としていましたが、この点についての言及はありませんでした。


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2017年3月16日木曜日

ふるさと納税、ついに規制か

 実質2千円の負担でさまざまな地域の特産品をもらえる「ふるさと納税」制度が、ついに規制されるかもしれません。

 制度を所管する高市早苗総務大臣は2月の記者会見で「現状の制度には問題がある」と述べ、「あらゆる課題を一度洗い出し、どのように改善できるのかを検討する」と制度見直しへの意気込みを口にしました。

 高市大臣の発言への直接の引き金となったのは、千葉県勝浦市が寄付者へ送っている返礼品です。

 勝浦市は1万円の寄付に対して、市内の店舗で使える額面7千円の商品券「かつうら七福感謝券」を用意しています。

 高市氏が問題視したのは、その換金率の高さゆえです。

 ルールとして明文化はされていないものの、寄付金額に対する返礼品の価値はおおむね3~4割にとどめるという基準が、ほとんどの自治体では自主運用されています。

 逸脱しているものも多いのですが、それでも5割程度にとどまり、七福感謝券の「1万円寄付して7千円の返礼」は突出して高く設定されています。

 それだけ勝浦市には人気が集まり、昨年4月に商品券をスタートさせてから、同市には約18億円の寄付が集まり、10億円分の商品券が発行されました。

 ふるさと納税制度は、返礼品人気が普及の起爆剤となりましたが、「思い入れのある地域を応援したい」という制度の趣旨から外れるとして総務省はたびたび自治体に〝返礼品競争〟が過熱しすぎないよう呼び掛けていました。


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2017年3月15日水曜日

消費税「授業料は非課税と言っても」

◆学校の授業料は消費税が非課税

 消費税法では、学校教育につき、授業料・入学検定料・入学金・教科用図書の譲渡等を非課税としています。

 課税売上となるものは、事業収入や教室賃貸等の資産運用収入などに限られています。

 また、寄付金収入や補助金収入は不課税売上です。

 そのため、課税売上に対応する課税仕入れは、課税仕入れのうちの一部であり、大半の課税仕入れは非課税売上や不課税売上に対応するものと見なされるため、課税仕入れに係る支払消費税の大半が学校法人の負担となっています。

◆消費税率引き上げの影響

 消費税の税率が上がっても、主たる財源である授業料や補助金・寄付金などは消費税がかからない非課税売上や不課税売上であるため、税率引き上げにより収入額が増加するものではありません。

 一方、人件費や借入金利息等以外のほとんどの経費は課税仕入れであり、税率引き上げで支出額は増加します。

 このことが学校法人の経常的な収支を悪くします。

◆授業料への価格転嫁も現実的には難しい

 理屈からすれば、価格転嫁(=授業料等の値上げ)できないことはありませんが、仕入税額控除できない消費税負担分を授業料の値上げに直結させることは大学教育の市場原理から難しいと思われます。

 結局、消費税負担の増加に対抗する収入増のやり方も個々の学校の個別事情により変わってくるのであり、単純に、価格転嫁すれば解決するということにはつながりません。

 医学部を抱える大学の場合、医療機関の非課税問題も併せ持つため、収入(=授業料・社会保険給付等)の大半が非課税であることにより消費税を仕入税額控除できず、控除対象外消費税(いわゆる損税)が発生する問題が、より深刻と言えます。

◆税制改正要望

 日本私立大学団体連合会は平成29年度税制改正要望で、消費税に係る負担軽減のための特例措置の創設を挙げていました。文部科学省からも、過去同様の要望がありました。

 家庭の教育費負担の一層の軽減を図ることを目的とすれば、現状の非課税扱いよりも、仕入税額控除可能なゼロ税率の導入の方がより趣旨に沿うこととなると言えます。


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2017年3月14日火曜日

平成28年分確定申告 公社債等の利子と源泉徴収

●利子所得も申告可能に

 公社債等の利子については、昨年までは特定の国外債を除き、支払時に「所得税及び復興税15.315%・住民税5%」による源泉徴収が行われ、この源泉徴収によって納税が完了でした(源泉分離課税)。

 しかし、平成28年1月1日以後、特定公社債等の利子所得については、申告分離課税による確定申告を選択することができるようになりました。

 また、同族会社が発行した社債で、その同族株主等が受領するものの利子については、支払時に「所得税及び復興税15.315%・住民税なし」による源泉徴収が行われたのち、当該利子所得は総合課税の対象となり確定申告を要することになりました。

●特定公社債等の利子とは

 ちなみに、特定公社債等の利子は、①特定公社債(国債、地方債、外国の国債及び地方債、上場公社債、公募公社債その他の特定の公社債)の利子、②上場公社債投資信託の収益の分配金及び公募公社債投資信託の収益の分配金等からなっています。

 個人投資家の運用対象の大部分がこれに該当します。

 一方、一般公社債等の利子とは、特定公社債等の利子以外の利子です。

●利子割と配当割

 住民税においては、昨年まで、利子については「利子割」、そして、配当(特定配当等)については「配当割」、という名称で特別徴収(源泉徴収)をしていました。

 しかし、平成28年1月1日以後における特定公社債等の利子に対する住民税5%は、利子割ではなく、配当所得に対する住民税5%と同様に、「配当割」と定義されました。

 理由は、特定公社債等の利子が上場株式等の配当等に包含され、結果、申告分離課税が選択できるようになったことによるものと思われます。

●申告分離による源泉税の取扱い

 平成28年1月1日以後は、特定公社債等の利子所得と特定の譲渡により生じた上場株式等(特定公社債等も含む)の譲渡損失との損益通算が可能となったことから、申告分離課税を選択し確定申告をすることで、場合によっては源泉徴収された税金(配当割含む)を還付することもできます。

 なお、特定公社債等の利子等についても、特定口座の源泉徴収選択口座に受入れができ、その口座内での通算が可能です。


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2017年3月13日月曜日

国税のクレジットカード納付が開始!

 2017年1月4日から、国税においてもクレジットカード納付が開始されております。

 クレジットカード納付とは、インターネット上でのクレジットカード支払の機能を利用して、国税庁長官が指定した納付受託者へ国税の納付の立替払いを委託することにより国税を納付する手続きで、地方税ではすでに実施されています。

 対象となる国税は、申告所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税、贈与税、酒税など、納付書で納付できる国税を対象としており、基本的に税目に制限はありません。

 ほぼ全ての税目で利用可能ですが、印紙を貼り付けて納付するなど、納付書を添えて納付されない税目は除かれます。

 また、源泉所得税及び復興特別所得税(告知分以外)、源泉所得税(告知分以外)は、2017年6月からの開始を予定しております。

 クレジットカード納付の注意点としては、納付税額に応じた決済手数料がかかります。

 決済手数料は、納付税額が最初の1万円までは76円(消費税別)、以後1万円を超えるごとに76円(同)を加算した金額となります。

 クレジットカード納付ができる金額は1,000万円未満で、かつ、利用になるクレジットカードの決済可能額以下の金額(決済手数料含む)です。

 なお、利用可能なクレジットカードは、Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、TS CUBIC CARDです。

 また、領収証書は発行されませんので、領収証書が必要な場合は、最寄りの金融機関や税務署の窓口で納付する必要があります。

 クレジットカード納付は「国税クレジットカードお支払サイト」で納付手続きをしますが、完了するとその納付手続きの取消しはできませんので、誤って手続きをした場合は、後日税務署で手続きを行うことになります。

 その他、納付手続きの完了後、その納付手続きにより納付済となった国税については、納税の猶予等を受けることはできないことや国税のクレジットカード納付はインターネット上のみの手続きであり、金融機関やコンビニエンスストア、税務署の窓口ではクレジットカードによる納付はできないこと、クレジットカード納付をしてから、納付済の納税証明書の発行が可能となるまで3週間程度かかる場合があること等ございますので、ご利用されます方は、ご注意ください。


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2017年3月10日金曜日

国税のネット公売に「極真館」

 滞納された税金を徴収するために差し押さえた財産を国税が売る「インターネット公売」で、昨年のロックバンド「黒夢」に続き、今度は全国に空手の道場を運営する「極真館」の商標権が出品されました。

 インターネット公売に出品されるのは土地や家屋といった不動産が最も多く、次いで車や貴金属類などが多数を占めますが、連続して世間によく知られた「名前」の出品は話題を呼びそうです。

 「極真館」関連の商標権を出品したのは関東信越国税局。「空手道極真館」「極真武道館」「極真空手道連盟極真館」など5つの商標権が、それぞれ見積価額53万円で出品されました。

 商標権を競り落とした人は、その名前をさまざまなサービスや商品に利用することができます。

 極真館は公売情報の公示を受け、ホームページ上で「お詫び」を発表したうえで、「各分野の専門家を通じて最善の策を講じてまいります」と権利の買い戻しに意欲を示しました。

 極真空手は空手家の大山倍達氏が創始した流派で、大山氏の死後、複数の団体に分裂。

 今回商標権を手放した極真館以外に、格闘技イベントK-1に参戦した有名選手らを擁する「極真会館」や、世界各地で大会を開催している「新極真会」などがあります。

<情報提供:エヌピー通信社>


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2017年3月9日木曜日

つくば市が固定資産税を過徴収

 茨城県つくば市は、過去40年以上にわたって複数の納税者から固定資産税などを過大徴収していたことを1月に明らかにしました。

 全国的に続く過大徴収を受けて固定資産課税台帳の調査を行った結果、判明したものです。

 過大徴収していたのは固定資産税と都市計画税に加えて、固定資産税の税額を基に算定していた国民保険健康税の3税。

 市内の201の個人や法人から、過去20年で計1億2331万円を多く徴収していました。

 住宅の建つ土地の固定資産税を最大6分の1に軽減する特例を適用していなかったことなどが理由だそうです。

 同市では平成26~27年度にも5件の過大徴収が発覚しており、改めて土地と家屋の固定資産課税台帳を突き合わせるなどの調査を行ったところ、新たに発覚しました。

 同市は国家賠償法に基づき、過去20年に過大徴収した分に加算金の利子を加えて計1億6672万円を返還する方針です。

 20年としているのは国家賠償法に規定された返還の期限がそれ以上の返還を求めていないため。

 つくば市の調査では、土地の税額軽減が導入された昭和48年から、最大で40年以上にわたって過大徴収が行われてきたとみられます。

 近年、全国で次々に発覚している固定資産税の過大徴収では、その多くが長期間に及びます。

 地方税法では固定資産税について土地の現況などを定期的に確認することを求めているにもかかわらず、実際には一度算定された税額は増築や取り壊しなどの変化がないかぎりノーチェックで据え置きにされるというのが大きな理由です。


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2017年3月8日水曜日

国税庁:2015事務年度の譲渡所得調査を公表!

 国税庁は、2015事務年度(2015年7月から2016年6月までの1年間)の譲渡所得調査を公表しました。

 それによりますと、2万6,811件の譲渡所得調査を行い、このうち74.4%にあたる1万9,941件から1,548億円の申告漏れを把握しております。

 これは、前事務年度に比べて、調査件数は10.6%減、申告漏れ等の非違件数は5.7%減となったものの、申告漏れ所得金額は3.2%増加しました。

 申告漏れ割合については、前事務年度に比べて3.9ポイント増加の74.4%でした。

 また、調査1件あたりの申告漏れ所得金額は、578万円(前事務年度は500万円)となりました。

 調査の内訳をみてみますと、株式等譲渡所得については、前事務年度に比べて8.2%減の5,839件の調査を実施し、このうち79.7%にあたる4,654件(前事務年度比5.0%減)から総額416億円(前事務年度比26.1%増)の申告漏れ所得金額を把握しております。

 また、土地建物等については、同1.3%減の2万972件の調査を実施し、このうち72.9%にあたる1万5,287件(同5.9%減)から総額1,133億円(同3.2%減)の申告漏れ所得金額を把握しております。

 事例では、実態の取引金額とは異なる契約書を作成して、譲渡所得の一部を申告していなかったHの例が挙がっております。

 Hは、少しでも税金を安くするため、買主と共謀し、実際の取引金額よりも安い金額を記載した契約書を作成するとともに、支払事実のない譲渡費用について、買主の主宰法人に架空の領収書を発行させていたことが判明しました。

 その結果、Hには、申告漏れ所得金額約3,000万円に対し、重加算税を含む約600万円の税額が追徴されました。

 税務調査は年々、高額・悪質なものを選定して重点的に行われており、譲渡所得調査も、不動産等の売買情報など、あらゆる機会を利用して収集した各種資料情報を活用して、高額・悪質と見込まれるものを優先して行われております。


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2017年3月7日火曜日

在留資格「介護」がついに新設 介護現場と外国人の就労

◆介護現場からのニーズと外国人介護人材

 人材不足が叫ばれて久しい介護現場。

 高齢化が進む中、介護人材の確保・育成のニーズは年々高まっており、外国籍人材の受入についても長年議論が交わされていました。

 日本では外国人の就労について、日本人の配偶者や日系人など一定の身分である場合を除き、職務内容ごとに類型された在留資格、いわゆる「就労ビザ」を取得しなければなりません。

 これまで外国人の介護人材については、経済連携協定(EPA)に基づきインドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国から経済活動の連携強化を目的とした受入を行ってきたものの、これはあくまで日本における労働力不足への対応として行うものではなく、非常に限られた枠組みでのみ行われていました。

 そのため、現状は外国人が介護分野の職に就くため就労ビザを取得することは許容されていません。


◆就労ビザにいよいよ介護分野が新設

 根強いニーズがあるものの、言葉の壁や安価な労働力として扱われるのではないかという懸念事項も多く、外国人介護人材の受入についてはなかなか前進していませんでした。

 しかし、昨年11月28日に「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」が公布され、新たな類型として在留資格「介護」が創設されることになり、ついに介護分野での受入が実現する見込みとなったのです。


◆対象は介護福祉士の資格を取得した人材

 新設する在留資格「介護」では、活動内容を「日本の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護または介護の指導を行う業務に従事する活動」とし、介護福祉士の資格を取得した外国人が日本で長期就労することができるようになる予定です。

 これにより、今後は留学ビザで来日した外国人留学生が、介護福祉士養成機関で介護福祉士の資格を取得し、卒業後、日本国内で就労するといった流れも想定されますので、留学生、介護福祉士養成機関、また介護・医療施設にとってこれまでにない就職への取り組みが検討できます。

 この在留資格「介護」に関する規定については公布の日から1年以内に施行される予定とされており、今後の動向に注目が集まります。




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2017年3月6日月曜日

個人型確定拠出年金の適用拡大

◆新たに個人型に加入できる人

 平成29年1月より個人型確定拠出年金(個人型DC)に加入できる人の範囲が広がりました。

 今まで個人型DCは企業年金の無い会社員と自営業者等が対象でしたが、新たに確定給付年金の制度がある企業の会社員、公務員、専業主婦も加入できるようになりました。

 個人型DCとは「老後資金を積み立てながら現在の税金を軽減する」制度です。

 愛称もiDeCo(イデコ)と名付けられています。


◆掛け金と所得控除

 掛け金は月額5千円からで全額所得控除、所得税や住民税の計算から除外されます。

 掛け金の上限額が各々の立場で異なります。

 例えば企業年金の無い会社員の上限額は月23,000円、年間276,000円です。

 この場合、所得税、住民税が20%(復興税除く)として、この掛け金額にかかる分の20%、55,200円が節税となり年末調整等で戻ります。

 企業年金のある会社員と公務員の上限額は年144,000円、専業主婦は276,000円。専業主婦は夫が保険料負担をしていれば夫側で所得控除ができます。

 自営業者は年816,000円(小規模共済等他の所得控除の制度の掛け金と合わせた額)です。


◆運用方法

 確定拠出年金は金融商品を運用するので対象は預貯金、投資信託、保険等の金融商品を選びます。

 運用益は非課税ですが、場合によっては損失が生じる事がないとは言えません。

 運用コストもあるので「個人型確定拠出年金ナビ」で調べてみましょう。

 預貯金ならリスクは少ないものの利回りは低く、期待利回りの高い商品もいろいろで選択はなかなか難しいものです。

 長い目で考えることが必要でしょう。

 口座を開くと金融機関によって違いますが、加入時の手数料3千円程度と管理費が年間1千円から7千円位かかります。


◆受給の時

 受給は原則満60歳からで原則中途引き出しはできません。

 受給時は一時金、年金、両方の併用が選択できます。

 一時金であれば退職所得控除の対象です。

 企業の退職金支給時と重なると控除枠を超えてしまうことがあるので注意が必要です。

 年金受給の場合も公的年金控除の範囲を超えると課税されます。

 一般的には一時金の方が節税効果は大きいと言われています。



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2017年3月3日金曜日

今年は「マイナンバー元年」

 国民一人ひとりに番号が付与されるマイナンバー制度は昨年1月にスタートしていますが、番号記載が今年から必要になる税務関係書類は多く、実質的には今回が〝マイナンバー元年〟の申告です。

 所得税の申告書はもちろんのこと、医療費控除などさまざまな税制上の優遇を受けるための申請書類にも12桁の個人番号の記載欄が設けられています。

 マイナンバー制度では、他人の番号の不正利用やなりすましの防止のため、番号を利用する際には本人確認書類の提示が必要となっています。

 確定申告も例外ではなく、国税庁は今年の申告に関する「重要なお知らせ」として、「平成28年分の確定申告書等の提出の際には、マイナンバーの記載+本人確認書類の提示または写しの添付が必要です」と強く呼び掛けています。

 本人確認書類として認められるのは、申請に基づいて発行される「個人番号カード」を持っていればカード一枚です。

 持っていなければ、一昨年10月~12月に国内全世帯に送付された「個人番号通知カード」か個人番号が記載された住民票の写しのどちらかに加えて、免許証やパスポートなどの身分証明書が必要です。

 申告書一枚提出するのにも非常に煩雑になったと言えますが、マイナンバーの提示は法律上で定められた義務ではあるものの罰則は設けられていません。

 つまり、記載ミスや不提出があったとしても、それを理由に申告書が不受理となることはありません。

 ただし今後マイナンバーが銀行の預金口座などと紐付けられていく過程で、将来的に不記載に罰則が設けられる可能性は限りなく高いことには留意してください。


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2017年3月2日木曜日

ふるさと納税をただの寄付にしない

 任意の自治体に寄付をして税優遇を受けられる「ふるさと納税」制度を昨年初めて利用してみたという人も多いでしょう。

 寄付に対する返礼としてさまざまな特産品を受け取った人も、基本的に確定申告までしっかり処理をして初めて同制度の税優遇を受けられることを忘れてはいけません。

 同制度による税優遇を受けるためには、寄付先の自治体から送られてきた「寄附金受領証明書」を確定申告書類に添付して提出する必要があります。

 これをしなければ制度のメリットである所得税や住民税の控除を受けられず、単なる寄付となってしまうので必ず忘れないようにしましょう。

 もし受領証明書を紛失してしまったなら、寄付先の自治体に連絡をすることで再交付を受けられます。

 ただし郵送のやり取りには時間がかかるため、余裕を持って準備しておきたいところです。

 また本来確定申告をする必要がなく、「ふるさと納税ワンストップ特例」を利用するつもりの人でも、寄付先が5団体を超えている人や、特例申請をしていない人は、改めて確定申告をしなければ税優遇は受けられないので注意が必要です。


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2017年3月1日水曜日

居住用超高層建築物に係る課税の見直し

【はじめに】

 新築の居住用超高層建築物(いわゆるタワーマンション)の売買価格は、上階層ほど高額で取引される傾向にあります。

 しかし、購入後の固定資産税額は、建物全体に係る固定資産税額を階層に関係なく各区分所有者の専有部分の床面積によってあん分して計算されます。

 そこで、取引価格が異なるのに固定資産税額は一緒であるとの不公平の声が納税者から上がっていました。

 そこで、平成29年度税制改正大綱(平成28年12月22日閣議決定)では、おおよそ20階を超える居住用超高層建築物全体に係る固定資産税の負担を上階層ほど増税し、低階層ほど減税するとの改正案が公表されました。

 本稿では、居住用超高層建築物に係る固定資産税の課税の見直し案の概要について解説します。

Ⅰ 改正案の概要

 高さが60mを超える建築物(建築基準法令上の「超高層建築物」)のうち、複数の階に住戸が所在しているもの(以下「居住用超高層建築物」といいます。)については、その居住用超高層建築物全体に係る固定資産税額を各区分所有者にあん分する際に用いるその各区分所有者の専有部分の床面積を、住戸の所在する階層の差違による床面積当たりの取引単価の変化の傾向を反映するための補正率(以下「階層別専有床面積補正率」といいます。)により補正することとされます。

 なお、都市計画税についても同様とされます。

Ⅱ 階層別専有床面積補正率の定義

 「階層別専有床面積補正率」とは、最近の取引価格の傾向を踏まえ、居住用超高層建築物の1階を100とし、階が一を増すごとに、これに10を39で除した数を加えた数値とされます。

 この補正率を使用することによって、1棟全体の専有床面積の合計値が増加することとなります。

 そこで、中央階を起点として1階ごとに固定資産税の負担が約0.25%変更することとされます。

  〔算式〕
   N階の階層別専有床面積補正率=100+10/39×(N-1)

Ⅲ 居住用以外の専有部分がある場合

 居住用以外の専有部分を含む居住用超高層建築物においては、まず居住用超高層建築物全体に係る固定資産税額を、床面積により居住用部分と非居住用部分にあん分の上、居住用部分の税額を各区分所有者にあん分する場合についてのみ階層別専有床面積補正率が適用されます。

Ⅳ 天井の高さ等に差異がある場合

 前述したⅠからⅢまでに加え、天井の高さ、附帯設備の程度等について著しい差違がある場合には、その差違に応じた補正を行うこととされます。

Ⅴ 申し出による割合の適用

 前述したⅠからⅣまでにかかわらず、居住用超高層建築物の区分所有者全員による申出があった場合には、その申し出た割合によりその居住用超高層建築物に係る固定資産税額をあん分することも可能とされます。

Ⅵ 適用関係

 前述したⅠからⅤまでの改正は、平成30年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものは除かれます。)に係る固定資産税から適用されます。

おわりに

 税制改正大綱では、居住用超高層建築物に係る固定資産税の課税の見直しが行われることとされました。

 また、同様の改正案が、固定資産税評価額を基準として課税される居住用超高層建築物の専有部分に対する不動産取得税についても公表されています。

 しかし、固定資産税評価額を基準として課税される相続税の家屋の評価方法(財基通89)は、改正されませんので留意して下さい。


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