2019年3月31日日曜日

Vチューバーという新たな職業の可能性

 ここ何年か、小学生がなりたい人気職業にユーチューバー(YouTuber)がランクインするようになりました。

 自身で動画を撮影し、ユーチューブをはじめとする動画サイトにアップし、広告などの収入を得るものです。

 最近では、ユーチューバーのさらに先をいく、「Vチューバー(Vtuber、バーチャル・ユー・チューバー)」が注目を集めています。

 Vチューバーとは、文字通りバーチャル(仮想的)なユーチューバー。

 ユーチューバーは自身が登場する動画を制作しますが、Vチューバーは自分ではなく、仮想のキャラクターを登場させるところに特徴があります。

 自分で仮想のタレントを創造し、そのタレントがダンスや歌、イベントに参加する、といった動画を制作し投稿します。

 人気ユーチューバーであるヒカキンやはじめしゃちょーなどと同様、キズナアイなど、人気のVチューバーも現れはじめています。

 キズナアイは日経BP社主催の「日経クロストレンド賞(2018年)」に選出され、今後の活躍が期待されています。

 自身を被写体にするよりも、Vチューバーのほうが容姿やキャラクターを自由に創造できるので、より自由度の高い動画制作が可能になります。

 自身が登場するユーチューバーで人気が出なかった人でも、Vチューバーで成功する可能性は大いにあります。

 こうしたことから、Vチューバーは今後、ますます人気が上がりそうな、期待の職業といえます。

 ただし、ユーチューバーで成功できるのはほんの一握りの人です。Vチューバーも同じように、動画投稿だけで生活を支えられるようになるには、魅力的なキャラクターを創造する能力、たくさんの人に試聴してもらえる動画の制作能力などが必要です。

 最近、動画の世界では、ユーチューバーのさらに先をいく、バーチャル・ユーチューバー「Vチューバー」が注目を集めています。

 Vチューバーに関するビジネスチャンスにはどのようなものがあるのでしょうか。

 Vチューバーの収入源はどのようなものでしょうか。

 人気が高まり動画の再生回数が増えれば、広告収入(ユーザーが広告をクリックすることで得られる収入)のほか、企業とのタイアップ、オリジナルグッズ等の販売収入と多岐に渡ります。

 ほか、有名になればTV出演といった、タレント活動のギャランティの収益が期待できます。

 最近、ユーチューバーの知名度が上がったため、ヒカキンなどがTVにタレントとして出演することも増えています。

 今後は、人気のVチューバーがタレントとして活躍する日が来るかもしれません。

 しかも、Vチューバーは仮想のキャラクターなので、どんなに働いても疲れないのも魅力です。

 こうした中、Vチューバーに関連するビジネスの萌芽が生まれています。

 一つは、Vチューバーの支援を主事業とする企業の誕生です。

 Vチューバーと企業とのコラボレーションのマッチング、キャラクター商品の企画や販売、プロモーションなど、Vチューバーの収益を最大化するための事業を営む企業が現れています。

 このほかには、動画制作者がVチューバーを簡単に作成できるように、作成アプリを提供するサービスや、人気Vチューバーが登場するアニメの制作を行うサービスもあります。

 Vチューバーになりたい人は今後、増えることが予想されます。

 Vチューバーについては、関連するサービスの提供にビジネスの商機が多くありそうです。

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2019年3月30日土曜日

国税庁:2017年分相続税の申告状況を公表!

国税庁は、2017年分相続税の申告状況を公表しました。

 それによりますと、2017年中に亡くなった人(被相続人)は、過去最高でした2016年分(130万7,748人)を2.5%上回る134万397人となりました。

 このうち、相続税の課税対象被相続人数は、同5.5%増の11万1,728人にのぼり、課税割合は8.3%となって、過去10年間において最高の課税割合となりました。

 ちなみに、前々年の2015年分の課税割合は、8.0%(2014年分は4.4%)でした。

 2013年度税制改正において、相続税の課税ベースの拡大と税率構造の見直しが行われました。

 具体的には、2015年1月以後の相続等から、相続税の基礎控除額について、改正前の「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」から、改正後は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に引き下げるとともに、最高税率も55%に引き上げました。

 この課税強化の影響等もあって、課税割合の大幅な上昇につながっていると思われます。

 また、相続財産価額から被相続人の債務や葬儀費用などを差し引き、相続開始前3年以内の生前贈与等を加算した相続税の課税価格は、15兆5,884億円で前年比5.5%増加し、税額も2兆185億円となり、同8.1%増とともに増加しました。

 被相続人1人あたりでみてみますと、課税価格が前年比0.1%減の1億3,952万円、税額は同2.4%増の807万円となりました。

 また、相続財産額の構成比は、「土地」が36.5%と最多となり、以下、「現金・預貯金等」が31.7%、「有価証券」が15.2%、退職金や生命保険などが含まれている「その他」が11.2%、「家屋」が5.4%となりました。

 前年と比べて「土地」は1.5ポイント減少しましたが、「現金・預貯金等」は0.5ポイント増加しました。

 相続税の課税強化がされても、相続財産の課税価格が基礎控除額(「3,000万円+600万円×法定相続人の数」)以内におさまる割合はなお多い模様です。

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2019年3月29日金曜日

~ものづくり・商業・サービス生産性 向上促進補助金~公募開始 平成30年度補正~ものづくり・商業・サービス生産性 向上促進補助金~

◆補助金の趣旨と仕組み

 この補助金は中小企業・小規模事業者が取り組む生産性向上に資する革新的なサービス開発・試作品開発・生産性プロセスの改善を行うために必要な設備投資等を支援するものです。

 認定支援機関の全面バックアップを得た事業を行う中小企業・小規模企業が対象となっています。

 機械装置費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウド利用費などが補助の対象になりますが、事務所の家賃や電話代など、一般的な諸経費は補助の対象になりません。

 ものづくり補助金の特徴ですが、経費については先に支払い、決定後に補助金が下りる仕組みになっています。

 そのため前もってキャッシュの準備が必要です。

●補助上限額・補助率

・一般型:補助上限額100万~1,000万円、補助率1/2以内 ※
・小規模型:補助上限額100万~500万円、補助率1/2以内(小規模事業者は2/3以内)

※一般型は原則1/2以内の補助率ですが、右欄の加点項目①の条件を満たした場合は補助率が2/3以内になります。

●対象要件

 「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」で示された方法で革新的なサービスを創出する、もしくは「中小ものづくり高度化法」に基づき革新的な試作品の開発・生産プロセスの改善の実施に取り組むこと

●審査における加点項目

(1)固定資産税ゼロの特例を措置した市区町村で平成30年12月21日以降に先端設備等導入計画を申請し、認定を取得した企業(申請中を含む)
(2)総賃金の1%賃上げ等に取り組む企業
(3)小規模型に応募する小規模企業者
(4)過去に購入型クラウドファンディングで支援金額を集めた企業
(5)平成30年北海道肝振東部地震により被害を受けた企業

 今回は、第二次締切は5月8日(水)となっています。
 素早く申請が完了する電子申請の利用をお勧めします(第一次の締切は2月23日でした)。

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2019年3月28日木曜日

毎月勤労統計の不適切調査

◆毎月勤労統計調査の問題発覚

 昨年12月に発覚した、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の調査方法が誤っていた事が分かり、失業給付等の過少給付に繋がったとしてニュースになっていました。

 毎月勤労統計調査は従業員の賃金の変化等を把握するために実施されています。

 調査対象は全国の従業員5人以上の事業所で、5~499人の事業所は無作為に抽出し、500人以上の事業所すべてと合わせて約3万3,000事業所となります。

 調査は都道府県を通じて実施していますが、15年前の2004年から東京都内の従業員500人以上の事業所については3分の1程度しか調査をしていませんでした。

 その理由は明らかにされていません。

 問題が発覚したきっかけは、昨年12月、厚生労働省の担当職員が総務省の統計委員会のうちあわせで、「東京以外の地域でも500人以上の事業所について抽出調査を実施したい」と述べた事だとされています。

 これが重大なる違反と指摘され問題が表面化しました。

◆過少給付延べ1,973万人、567億円

 規模の大きな企業は賃金水準が高い傾向にあり、このため多くの事業所を調査していなかった事により統計の平均給与額が本来よりも低く算出されました。

 これが雇用保険や労災保険の給付する際の算定根拠になっているので給付水準が下げられました。

 職員は不適切と知りながら組織全体での情報共有はなされていなかったと言います。

 過少給付の対象者は延べ1,973万人、総額は537.5億円に上ります。

 政府は過少給付のあった方には不足分を追給します。

◆雇用保険や労災保険の給付に影響

 過少給付で多かったのは雇用保険で延べ約1,900万人に計約280億円、休業補償等労災給付は延べ約72万人に計約241.5億円ありました。

 船員保険でも約1万人に約16億円の不足がありました。追加給付1人当たり平均額は雇用保険が1,400円、労災年金給付で9万円に上りました。

 統計調査が実態とかけ離れていたのでは本来の給付に大きく影響してしまいます。

 1人1人の不足金額は大きくないものの、統計に対する信頼を失わせた事が大きいと言えるでしょう。

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2019年3月27日水曜日

不倫相手への離婚慰謝料認めず

 離婚に伴う精神的苦痛の慰謝料を元配偶者の不倫相手に請求できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は2月中旬、「特段の事情がない限り、請求できない」とする初判断を示しました。

 判決によると、損害賠償を訴えた男性の元妻は2009年から職場の同僚と不倫。

 約1年後に発覚し、元妻は不倫関係を解消して結婚生活を続けましたが、不倫行為で受けた精神的苦痛の慰謝料(不貞慰謝料)の請求権の時効(3年)が消滅した後の15年に離婚しました。

 その後、男性が離婚慰謝料に関する損害賠償請求権が失われていなかったため、元妻の不倫相手に約500万円の賠償を求め提訴しました。

 不貞慰謝料はその不倫相手に請求できますが、離婚慰謝料まで請求できるかどうかに関する最高裁の判断は、これまでありませんでした。

 裁判では、
①請求権の時効(3年)が経過しても損害賠償を請求できるか、
②不貞慰謝料ではなく、離婚慰謝料を請求できるか
の二点が主な争点となりました。

 1、2審判決は「不倫が原因で結婚生活が破綻した」と、不倫と離婚の因果関係を認めた上で、離婚慰謝料として約200万円の支払いを命じていました。

 同小法廷は「離婚は本来、夫婦間で決めるべき事柄」とし、「不倫が原因でも不倫相手がただちに責任を負うことはない」と指摘。

 不倫相手が責任を負う場合について「不倫相手が夫婦関係に不当に干渉し、特段の事情によって離婚させた場合に限る」などと結論付け、1、2審判決を破棄し、原告の男性の請求を棄却し、男性の逆転敗訴が確定しました。

 離婚までに不貞行為が終わって数年が経過し、不貞慰謝料の消滅時効も成立しているのに離婚慰謝料として賠償を求めるのは、例えば10年を超えた不貞行為についても拡大解釈をされかねない余地を残すことになります。

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2019年3月26日火曜日

消費増税にらむ大手ビール各社

 10月に迫った消費増税後の節約志向をにらみ、ビール大手各社の間で安価な第3のビールを巡る競争が激しさを増しています。

 ただ長期的には、酒税一本化で増税となる第3のビールの競争力は落ちます。

 真の勝者を決めるのは、減税となるビールで市場をつかむことですが、大手各社に長期的な視野に立って経営戦略を練る余裕があるのかは不透明です。

 第3のビールでは、キリンビールが昨春に新発売した「本麒麟」が本来のビールに近い風味の再現に成功したとしてヒット商品となりました。

 サントリービールも主力「金麦」をリニューアル。

 アサヒビールは「極上」やサッポロビールも「本格辛口」という新商品を投入して対抗しました。

 ただ、現在「ビール」「発泡酒」「第3」の三種類があるビール系飲料の税率は今後2026年までに段階的に統一されます。

 第3のビールにとっては増税で、一方ビールにとっては減税になります。

 そもそも3種類も税率があるのは日本独特の制度。

 これまで大手各社はその特殊なルールの下で高いビール税率が適用されない発泡酒、次は第3のビールの開発や販売競争に注力してきました。

 一方でビールへの投資が十分だったとは言い難い状況です。

 その間に、海外では個性的なクラフトビールや味わい豊かな高級ビールが若い世代を中心に受け入れられるようになっています。

 キリンがクラフトビール事業に注力したり、アサヒが欧州の高級ビールメーカーを買収したりするなど、各社とも種まきはしていますが、まだ効果的な手は打てていないのが実情です。

 目先の業績や株主への対応を優先し、利幅が少なく成長余力が限られる第3のビールでの販売合戦で体力を消耗してしまえば、今後の展望は厳しいと言えます。

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2019年3月25日月曜日

不動産賃貸に関する31年経過措置の特例の活用

 「消費税法の一部改正に伴う(平成28年改正法3)」の規定による複数税率による改正後の消費税は、平成31年10月1日(以下「31年施行日」といいます。)から施行されます。

 しかし、取引の形態及び契約の内容等によっては、8%(軽減税率)又は10%(標準税率)の新税率での消費税等の転嫁が困難な場合も想定されますので、31年施行日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れ等であっても、改正前の8%の旧税率(以下単に「旧税率」といいます。)が適用できる「31年経過措置の特例」の規定が設けられています(新平成28年改正法附則16)。

 このうち店舗・事務所等の課税対象となる不動産賃貸(以下単に「不動産賃貸」といいます。)に関する31年経過措置の特例の概要と実務上の留意点について見ていきます。

Ⅰ 適用要件

 26年指定日(平成25年10月1日)から31年指定日の前日(平成31年3月31日)までの間に締結した不動産賃貸に係る契約に基づき、31年施行日前から引き続きその契約に係る不動産賃貸を行っている場合において、その契約の内容が次に掲げる①及び②に掲げる要件に該当するときは、31年施行日以後に行うその不動産賃貸については、旧税率が適用されます(新平成28年度改正法附則5④,同附則16①,新平成28年度改正令附則4⑥)。

① 貸付期間及び貸付期間中の対価の額が契約で定められていること
② 事情の変更その他の理由により対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと

Ⅱ 対価の額が契約で定められていること

 前述したⅠ①における「対価の額が契約で定められている」とは、31年指定日の前日までの間に締結された契約においてその契約期間中の対価の総額が具体的な金額により定められている場合又は総額が計算できる具体的な方法が定められている場合とされます。

 具体的には、次に掲げるような契約とされます(31年経過基本Q&A問30)。

① 契約期間中の賃貸料の総額を定めているもの
② 賃貸料の年額、月額等を、例えば、「年(月)額○○円」と定めており、これに契約期間の年数、月数等を乗じることにより、契約期間中の賃貸料の総額を計算できるもの
③ 貸付けに係る資産の数量及び賃貸料の月額単価を、例えば、「○台貸付け、1台当たり月額○○円とする。」と定めており、これに資産の数量及び契約期間の月数を乗じることにより、契約期間中の賃貸料の総額を計算できるもの

Ⅲ 事情変更等による建物の貸付けに係る対価の変更等

 建物の賃貸借については、借地借家法が適用され、「借賃増減請求権(借地借家法32)」の規定により、事情変更があった場合には賃料の増減請求ができることとされています。

 ただし、建物の賃貸借に係る契約において、賃貸する者がその貸付けに係る対価につき増減しない旨の特約を記載すれば、その契約は前述したⅠ②に掲げる「対価の額を変更することができる旨の定めがないこと」に該当し、31年経過措置の特例の適用要件を満たすこととされます(31年経過通達18)。

 また、前述したⅠ②における「対価の額を変更することができる旨の定め」とは、本体価額の変更ができるか否かで判定されます。

 関東近郊では、東京オリンピックを目前としてホテルやオフィスビル等の建築ラッシュとなっています。

 これに対して、バブル期前後に建築され老築化してきた賃貸ビルでは空室が目立つようになってきています。

 そこで、これら不動産賃貸の物件のうち、賃借人が長期間転居する予定のないものについては、31年指定日の前日までの間に契約内容を見直すことによって、例えば貸付期間10年で最初2年間は〇〇円、次の2年間〇〇円というように、10年間の家賃を定め、前述したⅢに掲げる賃貸人の「借賃増減請求権」がない旨を契約書に記載すれば、賃借人が負担する消費税を旧税率で固定することも可能となります。

 実務上では、31年経過措置の特例の上手な活用方法を検討すべきでしょう。 

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2019年3月24日日曜日

内閣府:マイナンバー制度に関する世論調査結果を公表!

 内閣府は、マイナンバー制度に関する世論調査結果(有効回答数1,671人)を公表しました。

 それによりますと、社会保障と税の共通番号(マイナンバー)について、マイナンバーカードを「取得していないし、今後も取得する予定はない」との回答は、53.0%を占めました。

 また、「取得している、もしくは取得申請中」が27.2%、「取得していないが、今後取得する予定」が16.8%となりました。

 マイナンバーカードを取得した(する)理由(複数回答)は、「身分証明書として使えるから」との回答が46.7%で最多、以下、「将来利用できる場面が増えると思ったから」が25.9%、「住民票などがコンビニで取得できるから」が19.6%、「職場などで必要になったから」が19.2%、「確定申告などの行政手続きをインターネットで行えるから」が19.0%と続きました。

 一方で、マイナンバーカードを「取得していないし、今後も取得する予定はない」と回答した人の理由(複数回答)は、「取得する必要性が感じられないから」が57.6%で最多を占めました。

 他の理由として、「身分証明書になるものはほかにあるから」が42.2%、「個人情報の漏洩が心配だから」が26.9%、「紛失や盗難が心配だから」が24.9%、「申請手続きが面倒だから」が21.3%と続きました。

 今後マイナンバー制度に期待すること(複数回答)は、「年金やパスポートの申請時に、戸籍謄本などの添付書類が不要になり、手続きが簡単になること」が40.8%で最多、以下、「年金の給付漏れがなくなるなど、必要とする人たちにきめ細やかな支援を行うことができること」が25.1%、「社会保障、税、災害対策の各種行政事務の効率性が高まること」が21.8%と続きました。

 また、様々な手続きでマイナンバーを届け出したり、記載したことがある人は62.9%を占め、場面別(複数回答)では、「職場やアルバイト先で給料や社会保険の手続きをしたとき」との回答が29.1%で最多、以下、「年末調整や確定申告をしたとき」が25.3%、「国民健康保険の手続きをしたとき」が9.1%と続きました。

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2019年3月23日土曜日

東京税理士会:2018年度税務調査アンケートを公表!

 東京税理士会は、2018年度「税務調査アンケート」(有効回答数1,748会員)を公表しました。

 それによりますと、会員が受けた税務調査について、事前通知の実施状況、無予告調査、調査件数、調査内容及び調査日数、調査結果、重加算税処分などの実態把握を目的として、2017年7月から2018年6月までの間に2,542件の税務調査があり、このうち「納税者のみに通知があった」件数は166件(6.5%)となりました。

 通知がなかった無予告調査件数は134件(5.3%)で、このうち「事前通知はなかったが、税務調査が速やかに開始されたもの」は114件(85.1%)となりました。

 東京税理士会では、無予告調査は納税者の負担が特に大きいことから、「正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれがあるとき」又は「調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき」以外は避け、事前通知は要しないとの判断は慎重にするよう求めております。

 回答のあった調査件数2,462件の内訳は、「法人税(消費税含む)」が1,890件、「所得税(同)」が272件、「相続税(含む贈与税)」が155件、「消費税(単独調査)」が74件、「その他国税」が71件となりました。

 調査内容は、「帳簿・証憑」が2,085件(84.7%)で、以下、「現金・預金」(30.5%)、「机・書庫・金庫」(12.2%)、 「パソコン等」(10.1%)の順となりました。

 調査日数については、2,462件のうち、「1日」で終了が560件で23.2%(前年比2.7ポイント増)、「2日」が1,223件で50.8%(同6.9ポイント%増)、「3~4日」は406件で16.9%(同0.3ポイント増)、「5日以上」が218件で9.1%(同9.9ポイント減)となりました。

 調査結果については、回答のあった2,256件のうち、「申告是認」が522件(23.1%)、「修正申告」が1,699件(75.3%)、「更正」が35件(1.6%)となり、修正申告・更正1,734件のうち、「重加算税処分」となったものは323件(20.6%)となりました。

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2019年3月22日金曜日

“従業員満足度”とは

 “従業員満足度”(ES:Employee Satis-faction)とは、仕事内容・職場環境・福利厚生・人間関係の満足度・モチベーションなどを定量的に表したもので、企業の業績・企業価値向上に大いに貢献するとされています。

 また、“従業員満足度(ES)”の高さは、“顧客満足度(CS)”とイコールであると言う経営者が、サービス業に多いことに注目すべきです。

◆何故「CS」=「ES」なのか

 特にサービス業では従業員が直接接客するので、顧客の感じる「嬉しさや不満」が従業員にダイレクトに伝わります。

 「自分の言動」に対する「顧客のプラス反応」は、「お役に立って喜ばれた!」という「仕事の喜び・働きがい」として実感されるのです。

 報酬や福利厚生制度などが整っていることは、ESの重要な要因でありますが、それのみで“従業員満足度”を高めることはできず、日常のマネジメントでは、「働きがい」を引き出すことに、最重点を置くべきです。

◆「働きがい」の向上を図るには

 「働きがい」の向上は自分達が工夫した「あいさつの仕方、商材のすすめ方、使う言葉など」を実際に使い、お客様に喜んでいただけたことが重要です。

 すなわち、職場の仲間が「仕事研究集団」となって、お客様の立場になって嬉しいサービスについて、様々なアイデアを出し合い、実際に試して効果を確かめ、自分達のノウハウにする日々の努力が欠かせません。

◆経営者・管理者の留意点

 少子高齢化が進む日本の社会にあっては、サービス業の生産性向上が不可欠です。

 ここで採り上げた“従業員満足度”の向上は、「お客様の期待を超える商品やサービスの提供」がリピーターを増やし、業績向上につながる、という意味で、生産性の分母(従業員数)を一定に抑え、“従業員満足度(働きがい)”で働き方の質を高める一方、分子の業績をリピーターの増加で増やす生産性向上策となるのです。

 このような、従業員の働きがい向上には、マネージャーが、従業員のやる気を引き出すマネジメント能力、言い換えれば、ファシリテーション能力が必要不可欠となります。

 これは、従来の「指揮・命令型」のマネジメントからの転換とも言えます。

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2019年3月21日木曜日

学生アルバイトの社会保険適用

◆アルバイト学生の社会保険加入は

 アルバイトで働く方であっても、労働時間や出勤日をその会社の正社員と比較してそのアルバイトの1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上であれば健康保険・厚生年金に加入させなければなりません。

 しかし、学生アルバイトの場合はどうでしょうか? 「学生の本分は勉強でありアルバイトは空いた時間に従事しているだけだから社会保険に加入させなくともよい」と考えがちです。

 しかも学生自身、親の扶養家族になっているのが一般的ですので本人が社保加入を考える事はないでしょう。

 親の健保の被扶養者である所得要件は年収130万円未満であり、勤務状況が上記の加入義務要件を満たした場合は健康保険・厚生年金保険の加入対象者になります。

 社保加入を避けるためには労働時間や出勤日数の軽減を検討する事になります。

◆アルバイト学生の雇用保険加入は

 労災保険や雇用保険はどうでしょうか?

 労災保険は正社員、アルバイト・パート、日雇労働者等名称に関係なく労働者であれば全員が適用になります。

 会社は学生アルバイトが業務上や通勤途上でけがをした場合は労災保険を適用します。

 雇用保険の加入要件は、
1)週の所定労働時間が20時間以上である事、
2)31日以上の雇用見込がある事
の2つでアルバイトでも加入対象者です。

 原則として昼間学生は雇用保険の加入義務はありませんが、
1)適用事業所に雇用され卒業後も引き続き当該事業所に雇用される事となっている人、
2)休学中の人、
3)定時制課程の学生
4)前1~3に準ずる者として職業安定局長が定める場合
は加入義務があります。

◆所得による国民年金学生納付特例の有無

 20歳以上で学生の期間中は国民年金保険料の納付特例を使って納付猶予をしている方も多いと思います。

 これを使う場合の学生本人の所得要件ですが、118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等以下であれば国民年金保険料納付特例制度が利用できます。

 ちなみにアルバイト収入が年103万円を超えると所得税がかかります。

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2019年3月20日水曜日

アベレージヒッターかホームランバッターか

 銀行は預金者から預金を預かり、資金を必要とする人(主として企業)に貸し付けることが仕事です。

 そこから、銀行には二つの役割があることが分かります。

 一つは預金者から預かった預金を、利息を付けて確実に預金者に返還する預金者保護であり、もう一つは資金を貸し付けた企業を成長させる産業の育成です。

 そのどちらに重点を置くかで、銀行の融資姿勢は異なってきます。

 今までは、どちらかというと、預金者保護に重点が置かれていましたが、銀行に対する期待は変わりつつあります。

 貸し付けた資金が貸し倒れになると、預金者に確実に預金を返還できなくなってしまいますから、銀行は何より貸し倒れを回避することを優先して融資を行ってきました。

 その結果、融資の返済財源は確実性を重視して、以下のように考えます。

 銀行が融資に際して、最も重視する指標は貸借対照表から算定される自己資本比率(自己資本/総資産)です。

 自己資本比率は企業が今後どう動いていくかということには興味はなく、現在所有している(直近の決算書で表示される)財産から返済できる返済力を計算しようとするものです。

 将来予想は不透明ですが、現在所有している財産は確実です。

 自己資本比率をベースに返済の確実性を評価して、将来の不確定性に対しては物的担保を取り、保全するというのがこれまでの銀行の基本的な融資姿勢でした。

 しかし、このような銀行の旧来型融資姿勢に対し、次のような批判が起こっています。

 過去の実績中心の評価だと、老舗の企業には有利だが、これから成長する新興企業には不利になるとか、今までの実績は不振だったが、企業改革等により良くなる企業を判別することができない等、こうした硬直的な融資姿勢だから貸し出しは伸びず、地域も活性化しない、といった批判です。

 そこで、過去の実績としての財務指標よりも、企業の将来性を判断する事業性評価に重点をおくべきだ、といった議論が沸き起こっています。

 財務指標でいえば、過去の実績ではなく、将来のキャッシュフローを重視すべきだという主張です。

 将来キャッシュフローは将来損益計算書が描けなければ構築できませんから、銀行員に求められる能力は過去の貸借対照表の分析ではなく、将来の損益計算書の予想であるということができます。

 しかし、こうした融資姿勢の転換は口で言うほど簡単ではありません。

 なぜなら、融資の根幹に関わる哲学が違うからです。

 自己資本比率を重視する融資姿勢は確実性を重視し、危険が少ないローリスク・ローリターンを目指すものです。

 一方、将来キャッシュフローを重視する融資姿勢のポイントは将来の事業性ですから、100発100中というわけにはいきません。

 多少の失敗には目をつぶり、大化けする企業を見出すハイリスク・ハイリターンの世界に入ることになります。

 野球で言えば、ヒットで出たランナーを送りバントとスクイズで確実に1点を取るスタイルを狙うのか、あるいは、最初から大振りして、場合によっては三振もするかもしれないがあくまでホームランを狙うのかです。

 つまり、アベレージヒッターかホームランバッターかの違いです。

 銀行は長い間アベレージヒッターであることをよしとし、そういう人間を育ててこようとしてきました。

 また、銀行に入ろうとする人間もどちらかといえば、アベレージヒッターを目指そうという人間が多いはずです。

 そんなことを考えるとホームランバッターへの転換は容易ではないと思います。

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2019年3月19日火曜日

国税庁:2017事務年度の無申告法人調査を公表!

 国税庁は、2017事務年度(2018年6月までの1年間)の無申告法人調査を公表しました。

 それによりますと、2017事務年度において、事業を行っていると見込まれる無申告法人2,593件(前年対比1.1%減)の実地調査を実施し、法人税50億1,700万円(同21.9%減)を追徴課税しました。

 また、消費税については1,989件(前年対比0.1%増)を実地調査した結果、消費税58億8,900万円(同17.3%増)を追徴課税し、法人税とあわせて109億600万円(同4.7%減)を追徴課税しました。

 このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人税435件(同19.8%増)及び消費税302件(同23.8%増)の法人に対し、法人税27億700万円(同2.6%減)、消費税15億7,900万円(同5.7%増)を追徴課税しました。

 事案では、多額の利益が生じておりながら、意図的に無申告であった法人A社のケースがあがっております。

 A社は、競売物件や立退き交渉が必要な不動産の売買を行う法人ですが、取引先である法人Bに対する調査にて、A社に対する支払いを把握したため、実態を確認したところ、無申告でした。

 A社は、土地の売買により多額の利益が生じており申告が必要なことを十分に認識しながら、作成していた売上に係る書類を破棄し、申告せずにその取引によって得た利益を関連法人の運転資金として流用していました。

 A社に対しては、法人税1年分の申告漏れ所得金額2億7,100万円について追徴税額9,600万円(加算税込み、重加算税あり)及び消費税1年分について追徴税額800万円(同)がそれぞれ課税されました。

 また、申告はしているものの赤字としていた無所得申告法人3万1千件を実地調査した結果、2万2千件から2,458億円の申告漏れ所得金額を把握し、272億円を追徴課税しました。

 さらに調査した26.6%にあたる8千件が不正を働いており、その不正所得金額は1,229億円で、追徴税額57億円となるとともに、実地調査件数全体の13.8%(有所得転換割合)は黒字法人となりました。

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2019年3月18日月曜日

会計検査院:中小企業等の貸倒引当金の特例措置の適用状況を公表!

 会計検査院は、中小企業等の貸倒引当金の特例措置の適用状況を公表しました。

 それによりますと、法定繰入率と貸倒損失発生率との間にかい離があることから、貸倒引当金が過大に計上されて法人税の減収につながっていると指摘しております。

 同特例は、中小企業等の貸倒引当金の繰入限度額について、法定繰入率を用いることができ、中小企業等のうち公益法人等及び協同組合等については、繰入限度額を割増しできる措置です。

 また、内国普通法人における事業区分ごとの貸倒損失発生率を算出したところ、全事業区分において、引当金の繰入限度額の計算方法として認められる「法定繰入率」が実際の貸倒損失発生率を上回っていました。

 2011年度から2015年度に特例を適用した法人は、延べ約178万法人あり、損金算入額は1兆2,902億円にのぼり、全業種で法定繰入率が貸倒損失発生率を上回りました。

 なお、農林水産省の資料を基に繰入率特例による法人税の減収額を推計したところ、537法人で計133億余円となりました。

 消費税等の課税事業者で所得がある1,494法人について、消費税等の課税事業者において損失とはならない仮受消費税相当額に係る貸倒引当金繰入額のうち損金の額に算入された額を試算し、これを基に推計した法人税の減収額は計2億余円となりました。

 会計検査院は、法定繰入率と貸倒損失発生率との間にかい離があること、期末一括評価債権額に損失とならない仮受消費税相当額が含まれていることなどから、繰入率特例における繰入限度額は合理的に測定されるなどしたものとなっているとはいえないおそれがあると指摘し、関係省庁に対し、貸倒引当金の特例の検証を行い、国民に対する説明責任を的確に果たしていくことを求めました。

 法定繰入率により繰入限度額を算出する措置は、1950年度税制改正により事務の簡素化等を目的として創設されて以降、法人税法等で規定され、法定繰入率は、概算で繰入率を定めているという趣旨に鑑み、常に貸倒実績率を斟酌しつつ、合理的に測定された適正なものとすることが必要として、随時、貸倒れの実績率とのかい離がある場合には引下げ等が行われてきました。

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2019年3月17日日曜日

年次有給休暇の時季指定の扱い

◆働き方改革と時季指定権

 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律で改正後の労基法では、使用者による年5日の年次有給休暇の時季指定権が定められました。

 2019年4月より労働基準法の改正により年次有給休暇の日数が10労働日以上である労働者にかかる年次有給休暇日数の内、使用者が5日の年休の時季指定権を行使しなければならなくなります。

 その場合、企業で計画年休制度を入れて年休を付与したり、従業員が自分で年休請求をして休んだ場合等、その日数は時季指定権から外して考えられるのでしょうか。

◆計画年休が付与されている場合

 計画年休とは付与された年次有給休暇の内、5日を超える分について労使で協定して計画的に休暇取得日を割り振る事ができる制度ですが、この計画年休の日数は時季指定権の5日から除く事ができます。

 また労働者本人が時季指定した年休も同様に除く事ができます。

◆半日休暇を取得又は付与した場合

 労働者本人の希望で半日の年休を取得した場合は、これに使用者が同意し本来の取得方法により休暇取得の阻害にならない範囲で適切に運用される限りにおいて問題が無いものとして取り扱うとされており、半日年休については使用者又は労働者が時季指定しても良い事とされています。

 その場合は0.5日と扱われます。

◆時季指定日に労働者が出勤した場合

 使用者が新労基法で定められる年5日の年次有給休暇の時季指定に違反すると対象労働者1人につき30万円以下の罰金が予定されており、今までには無かった罰則です。

 しかし使用者が時季指定しても、業務繁忙等を理由に労働者が出勤してしまう事もありうる事です。

 当日の労務提供義務は無いので帰宅をさせるのが前提ですが、労務の提供をさせた場合でも、その後年5日の時季指定権年休が付与できれば違反とは言えないでしょう。

 通達によれば年度当初に労働者の意見を聞いた上で年次有給休暇計画表を作成し、これに基づき年次有給休暇を付与する事等が考えられるとされていますが、年休取得状況を把握する為には年休取得管理簿は必須となるでしょう。

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2019年3月16日土曜日

仮想通貨に関する税務上の取扱い

 仮想通貨を売却又は使用することにより生じる利益は、原則として総合課税の雑所得に区分され所得税の課税対象となります。

◆取引区分ごとの所得の計算方法

(1)仮想通貨の売却

 保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、その売却価額と取得価額との差額が所得金額となります。

(2)仮想通貨での商品の購入

 保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合、その使用時点での商品価額(消費税込みの金額)と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

(3)仮想通貨と仮想通貨の交換

 保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合、その使用時点での他の仮想通貨の時価(購入価額)と保有する仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

(4)仮想通貨の分裂

 仮想通貨の分裂に伴い取得した新たな仮想通貨は、分裂時点において取引相場が存在しておらず、その時点では価値を有していないと考えられます。

 したがって、新たな仮想通貨を取得した時には課税関係は生じず、実際に売却又は使用した時点で所得が生じることとなります。

 なお、その取得価額は0円となります。

(5)仮想通貨のマイニング

 マイニング(採掘)等により仮想通貨を取得した場合は、収入金額(マイニング等により取得した仮想通貨の取得時点での時価)から必要経費(マイニング等に要した費用)を差し引いた所得金額が、事業所得又は雑所得の対象となります。

◆法人が仮想通貨を保有する場合

 法人が期末において保有する仮想通貨は、会計上、活発な市場が存在する場合は、市場価格に基づく価額をその仮想通貨の貸借対照表価額とし、帳簿価額との差額は当期の損益として処理します。

 活発な市場が存在しない場合は、取得価額をもって貸借対照表価額とし、期末における処分見込価額が当該取得価額を下回る場合には、処分見込価額を貸借対照表価額とし、取得価額との差額を当期の損失として計上しますが、税務上は当該損益の額について申告調整で自己否認することになります。

 2017年から急拡大した仮想通貨市場は、今後も法整備等の動向に留意が必要です。

2019年3月15日金曜日

国税庁:2017事務年度の海外取引調査を公表!

 国税庁は、2017事務年度(2018年6月までの1年間)の海外取引調査を公表しました。

 それによりますと、2017事務年度に海外投資者等を対象に前年度比46.8%増の4,616件の実地調査を実施し、同80.6%増の総額約977億円の申告漏れ所得を把握しました。

 4,616件を取引区分別にみてみますと、「海外投資」(預貯金等の海外での蓄財を含む海外の不動産や証券などに対する投資)が全体の34.4%を占める1,587件となり、「輸出入」(事業での売上や原価に係る取引で、海外の輸出(入)業者との契約による取引)が同12.0%の553件、「役務提供」(工事請負やプログラム設計など海外において行う、労力・技術等の第三者に対するサービスの提供)が同9.1%の420件となりました。

 そのほか、海外で支払いを受ける給与や贈与(親族に対する海外送金等)など海外取引に係るもので、上記の取引に該当しない「その他」が全体の44.5%を占める2,056件となりました。

 1件あたりの申告漏れ所得を取引区分別にみてみますと、「海外投資」が3,320万円、「輸出入」が1,053万円、「役務提供」が1,477万円、「その他」が1,603万円となりました。

 そして、事例では、民泊事業者を調査したケースが挙がっております。

 会社員Cは、例年、給与所得と少額(又は赤字)の不動産所得を申告していましたが、部内資料等から、民泊による収入を得ていることが想定され、調査の結果、Cは複数の自己所有物件や賃貸物件を国外の民泊仲介業者のインターネットサイトにアップして宿泊者を募集し、宿泊料は同仲介業者を通じて得ていましたが、申告していませんでした。

 顧問税理士には、民泊による年間収入金額よりも過少になるような賃貸契約書を偽造し提示することで、民泊に係る申告を免れ、少額(又は赤字)の不動産所得を申告していたことも判明し、その結果、Cには所得税5年分に係る申告漏れ所得金額約2,600万円について、追徴税額(重加算税含む)約700万円が課税されました。

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2019年3月14日木曜日

国税庁:2017事務年度の相続税の調査事績を公表!

 国税庁は、2017事務年度(2018年6月までの1年間)の相続税の調査事績を公表しました。

 それによりますと、2015年中に発生した相続を中心として、申告額が過少なものや申告義務がありながら無申告と思われるものなど1万2,576件(前事務年度比3.8%増)を実地調査し、そのうち83.7%にあたる1万521件(同6.0%増)から3,523億円(同6.9%増)の申告漏れ課税価格を把握して、加算税107億円を含む783億円(同9.3%増)を追徴課税しました。

 実地調査1件あたりでは、申告漏れ課税価格2,801万円(前事務年度比3.0%増)、追徴税額623万円(同5.3%増)となりました。

 また、申告漏れ額が多額だったことや故意に相続財産を隠ぺいしたことなどにより重加算税を賦課した件数は1,504件(同15.7%増)となり、その重加算税賦課対象額は576億円(同6.7%増)、重加算税賦課割合は14.3%(同1.2ポイント増)となりました。

 申告漏れ相続財産の内訳をみてみますと、「現金・預貯金等」が1,183億円(前事務年度1,070億円)と最多、以下、「有価証券」が527億円(同535億円、構成比15.2%)、「土地」が410億円(同383億円、同11.8%)、「家屋」が62億円(同56億円、同1.8%)、「その他(不動産、有価証券、現金・預貯金等以外)」が1,289億円(同1,189億円、同37.1%)となりました。

 無申告事案は、前事務年度より25.2%多い1,216件の実地調査を行い、そのうち84.3%にあたる1,025件(前事務年度比36.5%増)から987億円(同14.0%増)の申告漏れ課税価格を把握し、88億円(同27.7%増)を追徴課税しました。

 国税庁は、海外資産関連事案についても資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案などを積極的に調査しており、2017事務年度に1,129件(前事務年度比23.1%増)の実地調査を行い、そのうち134件(同14.5%増)から海外資産に係る申告漏れ課税価格70億円(同32.5%増)を把握しました。

2019年3月13日水曜日

勤怠時間の把握と勤怠システム

◆勤怠管理をしていますか?

 近年、労働時間の勤務時間を記録していないで未払い残業などを請求されるケースが増えており、一旦未払い残業代を請求されると会社側が不利な事が多く、ほぼ無力で請求された通りの結果になる可能性が高い状況になっています。

 働き方改革の一環で労働安全衛生法の改正もあり、2019年4月からは管理職の労働時間の把握を企業に義務付ける方針です。

 また、労働基準法の改正で残業時間の上限規制(中小企業2020年4月施行)が強化され、従業員側と労使協定を交わしても年間720時間、1カ月で100時間未満まで、2カ月から6カ月平均で月80時間以内となり、上限規制が守られない時は「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」と厳しい罰則も予定されています。

 まだ、労働時間を把握していない企業では、勤怠管理をして従業員の労働時間を把握することは急務と言えるでしょう。

◆勤怠管理の方法とハードル

 皆さんの企業では勤怠管理方法は紙、Excel、タイムカード等何を使用しているでしょうか。

 勤怠管理はタイムカードや紙による管理からITを活用した勤怠管理システム導入が進んできています。

 勤怠管理システムとは、自動的に勤怠が集計され意図していた集計結果が表示されるものです。

1.出勤簿(勤務表)への客観的な時刻の記録が可能
2.労働時間の集計を自動化する
3.労働時間の管理強化と業務の効率化を両立する

、というものです。

 導入のメリット、デメリットとしては、
(1)労働時間の客観的把握
(2)労働時間、休暇取得等の管理強化
(3)時間集計、休暇等の業務効率化
上記の(1)と(2)は簡単に実現できますが(3)の業務効率化の実現ができるかどうかがポイントになります。

 業務効率化がなぜ重要なポイントかと言えば、勤怠システムをそのまま使っただけではできない勤怠ルールを定義してシステムに落とし込む必要があるからです。

 就業や勤務形態等の状況に対応させる設定が必要です。いちいち手修正をしていては効率化が図りにくくなってしまう事があるからです。

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2019年3月12日火曜日

パートから正社員になった場合の有給休暇

◆パートから正社員に引き上げた時

 社内にいい人材がいて、パートタイマーで働いていた方を正社員にして是非長く働いてもらいたいと考えた時、パート本人からフルタイムで働けるようになって正社員を希望した時等、パートタイム労働者から正社員に引き上げる理由は様々です。

 その場合は今まで働いていた期間とこれからの身分との関係で年次有給休暇の扱いは変わるのでしょうか?

 今まで保持していたパート時代の有給休暇日数は引き継がれるのでしょうか?

 パートタイマー労働者の有給休暇は比例付与で週の所定労働日数や年間の働く日数で変わります。

 パートタイマーで働いている途中で正社員に切り替わった時は有給休暇の付与日数はどう変わるでしょうか?

◆年次有給休暇付与日数の考え方

 年次有給休暇付与日数を計算するポイントは勤続年数と付与する日(基準日)の雇用契約内容です。

 まず勤続年数ですがパートとして雇用した日から通算して考えます。

 毎日勤務でなくとも勤務時間数が短くとも、継続して働いていれば雇用契約の最初の日からが勤続年数になります。

 パートとして雇用された日から6か月後、1年6か月後と付与する日(基準日)が到来し、基準日に締結している契約により付与する日数が決まります。

 注意が必要なのは、いったん白紙に戻して正社員になった時点から改めて6か月後に10日を付与する取り扱いは正しくないことです。

◆正社員に切り替えた場合の例

 週3日勤務パートタイムの方が週5日勤務の正社員に変更した場合、3年6か月目に正社員になった時は正社員用の有給休暇日数の14日が新たに付与されます。

 また、3年7か月目に正社員になった時は切り替え時に付与し直すのでなく、パート時で直近に付与されている日数のままで、次の基準日の4年6か月目に新たに16日が付与されます。

 パート時代の未使用日数分は翌年まで繰り越されます。

 雇用契約内容が変わると労働条件も変わりますので雇用契約書に年次有給休暇日数も明示しましょう。

2019年3月11日月曜日

キャッシュレスは日本に根付くか

 「キャッシュレス」の波が押し寄せ、お金は大きな変化を遂げようとしています。

 いまや世界においての支払いは、クレジットカードや電子マネー、スマホなどで済ませるスタイルが浸透しています。

 クレジットカードや電子マネーの魅力は、お釣りや小銭のわずらわしさから解放される点が一つです。

 中でも便利なのがスマホの決済です。

 お財布からお金やカードを取り出す必要がなく、スマホをかざすだけで支払いが完了。

 荷物があっても片手で決済できるので便利です。

 また、ランチや飲み会で割り勘をするとき、同席者がLINEのアプリを持っていれば、同席者同士、1円単位で送金できます。

 結果、小銭がなくて、だれかが多く払うといったこともなくせます。

 もう一つのメリットはお金の管理のしやすさです。

 カードや電子マネーの中には、利用履歴がパソコンやスマホで確認できるものがあります。

 レシートをとっておかなくても、何にお金を使ったか、合計額がわかり、自身で集計するよりも管理が簡単になります。

 メリットは利用者だけではありません。現金の比率が低くなれば、店側は現金を盗まれる心配が減り、警備にかかる経費を削減できます。

 また、銀行などはATMの数を減らすことになるので、ATMの維持・管理のコストが減少、それに伴いお金の輸送も減るので犯罪に巻き込まれる危険性も少なくなります。

 ほか、小売店ではレジのお金を数えて、残高を確認する必要もありません。

 お釣りを間違えるといったミスも減らせます。

 こうした数多くの利便性の高さに気づいた顧客や店が増えることで、さらにキャッシュレス化が進むと考えられます。

 世界の多くの国でキャッシュレス化が進んでいます。

 中でも、最先端をいくスウェーデンでは、「現金お断り」を掲げる店もあります。

 また、銀行の多くがATMの閉鎖に取り組んでいる状態です。

 隣国の韓国もキャッシュレス決済が浸透しており、比率は90%に及ぶといいます。

 日本では、財布からお金を出す光景が一般的で、キャッシュレス決済の比率は18%程度にとどまっています。

 とはいえ、日本でも、国を挙げてキャッシュレス化に取り組んでいます。

 検討会では、2025年までにキャッシュレス化を40%に拡大し、将来は80%を目指すといいます。

 最近では、消費税率引き上げに合わせ、キャッシュレスで決済した消費者にはポイントを還元するといった施策が検討され、話題になりました。

 企業にとって、キャッシュレス化のもう一つのメリットはマーケティングデータが得られることです。

 カードや電子マネーで支払いを済ませると、履歴から顧客の年齢、性別、住まいなどのデータが蓄積されます。

 さまざまな属性のデータから、属性ごとに、どのような商品を好むかがわかるようになります。

 結果、自身の店でどの商品をすすめるのが良いか、売上をあげるのに役立つ情報が得られます。

 スマホ決済の利用者が増える中、今、多くの企業がキャッシュレス関連の市場に参入しています。

 運営会社の収益源は手数料です。

 キャッシュレス化が進めば進むほど、多額の利益が見込めます。

 このほか、支払いのシステムを構築するIT企業や、データを活用し、新たな提案をするコンサルタントなど、キャッシュレス化を取り巻く市場には多くのビジネスチャンスがあります。

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2019年3月10日日曜日

極ZERO裁判で国税勝訴

 115億円の追徴課税を巡ってサッポロビール社と国税が争う裁判の判決が下され、東京地裁はサッポロの請求を棄却しました。

 判決の詳細は非公開ながら、税法の「立法趣旨」が司法判断の決め手となったことがうかがえます。

 サッポロは2013年に「世界初の製法」をうたい、ビール系飲料のなかで最も税率の低い第3のビールとして「極ZERO」を販売。

 翌14年、国税庁から「第3のビールではなく発泡酒に当たる可能性がある」と指摘されました。

 発泡酒なら酒税は第3のビールの約1.7倍となり、それまで売り上げた分にかかる酒税の差額115億円を納税する義務が生じます。

 未納分の税金は、納めるのが遅れるほど延滞税が多くかかります。

 同社はこれ以上負担が増えないよう納めるだけ納めておいて、第3のビールだと証明した後に返してもらうという手段をとりました。

 しかし国税が返還を拒否したため、両者の対決が始まったのです。

 国内大手のビールメーカーが数字上のスペックを見誤ることはなかなか考えにくいことです。

 となれば、極ZEROは第3のビールの要件を数字では満たしていながら、裁判では認められなかったということも考えられます。

 手掛かりとなるのが、同社の訴えを巡る国税不服審判所の非公開裁決です。

 この裁決に当たり審判所は、「その他の発泡性酒類」が規定された06年改正酒税法の立法趣旨に触れています。

 改正法で基本税率よりも低い特例的な税率を設けたのは、税率が急激に変われば生産や消費に多大な影響を与えるためであると説明。

 その上で「その他の発泡性酒類」の特例税率は、当時販売されていた第3のビールの商品群と「同種の製造方法によるもの」に限定する趣旨があったとしました。

 そしてこれらを踏まえると、あくまで推測ですが、『世界初の製法』をうたった極ZEROは法が想定する〝製法〟ではないため「その他の発泡性酒類」に該当しないと結論付けたとみられます。

 純粋に原材料の割合などスペック上の理由だけで第3のビールに該当しないのなら、立法趣旨に踏み込む必要はないはずです。

 地裁判決についてはまた異なる論拠から判決が出されたのかもしれませんが、審判所と同種の判断がされた可能性は否定できません。

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2019年3月9日土曜日

ふるさと納税の返礼品にギフト券

 2019年度税制改正大綱で、過度な返礼品への規制案が盛り込まれた「ふるさと納税」の周辺が再び騒がしくなっています。

 大阪府泉佐野市は返礼品に加えて寄付額の最大20%分をネット通販大手「アマゾン」のギフト券にして提供するキャンペーンを始めたと発表しました。

 ギフト券は10%分と20%分の2種類で、総額100億円分に達したら終了するとしています。

 市の特設サイトから3月末までの申し込みが対象です。

 寄付金集めの競争激化を抑えようと、政府は返礼品を「調達費が寄付額の3割以下の地場産品」に限るよう定め、6月以降は違反自治体への寄付は制度から除外する予定です。

 これに対し、泉佐野市は返礼品の調達額を寄付額の4割程度に設定し、17年度には全国首位の約135億円の寄付を集めていることから反発していました。

 中央政界からも規制緩和を求める動きが出始めました。

 公明党の山口那津男代表は記者会見で「市町村の狭い地域の産品を強要するのは少し固すぎる。

 ふるさと創生に資する、納税者の意思にも反しないあり方は柔軟であってもいい」と、「地場産品」の定義を市町村から県内などに広げるよう求めました。

 呼応する声は自民党内でもあるといいます。

 統一地方選や参院選をにらみ、市町村や利用者に配慮を示そうという動きとみられます。

 ただ、様々な思惑が交錯する中で、各々の「ふるさと」を応援するという制度本来の趣旨が顧みられることはほとんどありません。

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2019年3月8日金曜日

中小企業における多能工化・兼任化の推進

 中小企業において人手不足が深刻化する中、多能工化・兼任化の推進によって業務量の平準化や業務の効率化を図ることが求められています。

 「中小企業白書2018年版」において、中小企業における従業員の多能工化・兼任化の取組みについて実施されたアンケート調査の結果についてみていきましょう。

 中小企業における従業員の多能工化・兼任化の取組状況についてみると、回答企業の73.3%が多能工化・兼任化に取り組んでいることがわかります。

 また業種別には製造業での取組割合が88.1%と他の業種に比して高くなっています。

 従業員の多能工化・兼任化を進めるに当たって、併せて行った取組みの内訳をみると、「業務マニュアルの作成・整備」、「従業員のスキルの見える化」の回答割合が特に高くなっています。

 「業務マニュアルの作成・整備」については、従業員に新たな業務を担当させる上での学習環境の整備としての役割を担っているものと考えられます。

 また、「従業員のスキルの見える化」は、各従業員が有している能力の確認や、今後習得させるべき能力を定めるために必要なものと推察されます。

 従業員の多能工化・兼任化によって得られた効果についてみると、「従業員の能力向上」と回答した割合が52.7%と最も高くなっており、以下「全体の業務平準化による、従業員の負担の軽減」35.6%、「繁忙期・繁忙部署における業務処理能力向上」35.1%の順となっています。

 このように多能工化・兼任化により、業務量が平準化され従業員の負担軽減につながるとともに、他部署からの支援に回れる人材が増えることで処理能力の向上につながるなどの効果が期待されるのです。

 では、中小企業におけるIT利活用にあたっては具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。

 そこで「中小企業白書2018年版」において、非製造業(温泉旅館)でありながら業務を見直したことで多能工化を実現し、生産性を向上させた企業として紹介された、温泉旅館の取組みについてみていきましょう。

 繁忙期に従業員が休めない状況が続くという状況に対処するため、同社では2015年末に、業務効率化による従業員の負担軽減を図る取組みを開始しました。

 例えばこれまで夕食時間を2部制としテーブルセッティングしていたのを廃止し、顧客が好きな時間に来る方式に変えたことで、夕食の準備時間の短縮と顧客満足度の向上を両立させることができました。

 続いて、分業制だった従業員の多能工化に取組みました。

 従業員に丁寧に説明を行いつつ改革を実行していった結果、仲居がレストランを手伝ったり、仲居以外のスタッフが宴会の仕事を手伝ったりなど、従業員間で互いの業務の支援を行う体制が構築されていきました。

 長時間労働の是正に苦労する企業が多い旅館業の中で、同社は残業を一人当たり週2時間程度まで削減し、その上で残業手当の減少分は賞与を増やすことにより従業員に還元しています。

 2017年4月からは週休2日制をほぼ導入し、各従業員が取得する年間休日を30日増やすことにも成功しました。

 このように従業員に丁寧に説明を行いつつ多能工化を進めることで、従業員の能力向上や業務平準化による負担軽減を図ることが可能となるのです。

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2019年3月7日木曜日

ふるさと納税の法規制は6月から

 「ふるさと納税」の新たな規制ルールが、今年6月から実施されます。

 税優遇が適用される寄付先を総務省による認定制に改め、「返礼品の価値は寄付金額の3割以下」「返礼品は地場産品に限定する」という基準を満たさない自治体を税優遇の対象から外します。

 自治体間による〝寄付争奪戦〟に歯止めがかからないとして、法規制による強権発動に踏み切った形です。

 ふるさと納税制度は、任意の自治体に寄付をすると、一定額まで住んでいる土地に納める税金が控除されるというもの。

 実質手数料の2千円のみで高額な返礼品が獲得できるとして、納税者の人気を集めてきました。

 政府が閣議決定した税制改正大綱では、この制度の対象となる自治体を総務大臣による指定制に改めるとしました。

 その条件として、①返礼品の返礼割合を3割以下とすること、②返礼品を地場産品とすること――と掲げ、自治体がこれらの基準に適合しない返礼品を送ったときは、総務大臣は指定を取り消せると盛り込みました。

 指定が取り消されると、寄付した人は税優遇を受けられず、純然たる寄付となってしまうわけです。

 これらの改正は、今年6月1日以後に行われる寄付に適用されます。

 これから法規制が実施される6月に向けて駆け込み寄付が増えていきそうですが、すでに多くの自治体では高額返礼品の見直しを進めているため、〝お得〟な返礼品は日に日に少なくなりつつあります。

 今年に限ってはなるべく早めに寄付をしてしまったほうがよさそうです。

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2019年3月6日水曜日

自筆遺言の一部、手書き不要に

 自筆証書遺言に法的効果を持たせるための条件が今年1月に緩和されました。

 改正民法の一部施行によるもので、これまでは全文を自筆しなければ法的効果が認められなかったのですが、改正後は財産目録に限ってはパソコンで入力したものでも認められるようになっています。

 改正前の自筆証書遺言は、財産目録も含めて全文を手書きで記入することが求められていて、過去には不動産目録をタイプ印刷した遺言書が無効とされたことがあります(昭和59年の東京高判)。

 これが民法の改正により、財産目録に限ってはいちいち手書きしなくても済むように変更されました。

 パソコンでの作成の他、金融機関の通帳のコピーや不動産の登記事項証明書の添付も可能。

 ただし、それらの書類に自筆で署名して押印する必要があります。

 この見直しによって、記載内容に誤りが生じる可能性を多少なりとも減らすことが可能です。

 なお、自筆証書遺言の原本を法務局で保管する制度の開始時期は来年7月となっています。

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2019年3月5日火曜日

消費税仕入税額控除 請求書等の記載内容が変わります

 仕入税額控除の適用を受けるために、現行制度下では帳簿及び請求書等の保存を要件とする請求書等保存方式が採用されています。

 軽減税率制度の実施に伴い、2019年10月1日からは区分記載請求書等保存方式が、2023年10月1日からは適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が導入されます。

◆区分記載請求書等保存方式

 2019年10月1日以降の取引については、飲食料品等に軽減税率が適用され複数税率となることから、消費税の税額計算を適正に行うためには、税率ごとに区分経理を行う必要があります。

 従来の請求書等保存方式の内容を基本的に維持しつつ、区分記載請求書等保存方式においては、帳簿及び請求書等の現行の記載事項に加え、課税仕入れに係る資産又は役務の内容について軽減税率の対象である場合には「軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨」の記載が必要とされます。

 また、資産の譲渡等の対価の額の合計額についても、税率ごとに区分することが必要となります。

 これら新たに加えられる記載事項については、請求書等の交付を受けた事業者が追記することも認められています。

◆適格請求書等保存方式

 適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び適格請求書発行事業者が交付する「適格請求書」又は「適格簡易請求書」の保存が仕入税額控除の要件となります。

 適格請求書を交付できるのは適格請求書発行事業者に限られます。

 適格請求書発行事業者になるためには、税務署長に登録申請書を提出して登録を受ける必要があります。

 なお、課税事業者でなければ登録を受けることはできません。

 保存する帳簿及び請求書等の記載事項は、帳簿については区分記載請求書等保存方式と変わりませんが、「適格請求書」及び「適格簡易請求書」については区分記載請求書等の記載事項に加え、登録番号、税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分した合計額及び適用税率、消費税額等の記載が必要となります。

 軽減税率制度実施後の一定期間は、税率の区分計算が困難な中小事業者を対象とする税額計算の特例が設けられます。

 制度の概要、自社への影響を理解したうえで対応準備をしておきましょう。

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2019年3月4日月曜日

“やる気”の源泉

 社員の“やる気”の源泉は何にあるのでしょうか。

 リーダーにとってそれがわかれば、マネジメントは大変やり易くなります。

◆社員個々の“やる気”の源泉

 一人ひとりの社員は、知識・技術や考え方、性格など、周囲が認めているか否かを問わず、何らかの優れた点を持っています。

 そして、その優れた点が生かされ、認められるチャンスを待っています。

そして、
①自分の意見を述べる機会が得られ、その価値がリーダーや仲間に認められる。
②自分の意見・存在価値が求められたと感じたことが“やる気”の源泉となる。

 したがって、リーダーは、仕事の問題が生じた時、一人ひとりのメンバーに、「この場合、君ならどうするのが良いと思うかね?」など、適切な質問を投げかけて、意見を引き出すこと、その意見の価値を発見し、「あなたの意見はこういうことだね」と確認して理解したことを示すのが、“やる気”を引き出すマネジメントポイントです。

◆チームの“やる気”の源泉

 課・係・プロジェクトチームなどのメンバー全員の“やる気”の源泉も、一人ひとりのメンバーの“やる気”の源泉と同様の性質を持ちますが、そこに衆知を集める相乗作用、すなわち“共創”の効果が生じる点に違いがあります。

 組織としての問題や解決すべき課題が生じた時、
①メンバー一人ひとりの意見が求められ、発表する機会が得られる。
②メンバー相互に問題認識・課題設定・課題解決策などについて討論し、個々の意見が合意されたり、気づきによって修正され、合意形成される。
③チームとしての合意形成により、リーダー・メンバー間で、自分達の意見・存在価値を認め合うことが“やる気”の源泉となる。

 したがって、リーダーは、チームの“やる気”の源泉を沸き立たせるファシリテーションによるマネジメントを行うことが必要です。

◆経営者・管理者の留意点

 “やる気”の源泉は、経営の階層を問わず、トップ層・中間管理者層・一般社員層それぞれに共通に存在することに留意してファシリテーションによるマネジメントを実践しましょう。

2019年3月3日日曜日

過酷な差し押さえで提訴

 税金の滞納に対する過度な差し押さえは生存権の侵害に当たるとして、宮城県大崎市の女性が、県と市に220万円の損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こしました。

 女性は長男との二人暮らしで、世帯収入は女性のパートによる月収8万~11万円と隔月の年金約7700円のみでした。

 2008年ごろから国民健康保険税や市民税などを納められず、17年5月の時点で約140万円を滞納していたそうです。

 これに対し、同年から徴収業務を担当した宮城県地方税滞納整理機構は、分割納付の申し出に応じませんでした。

 女性は母から借金をして100万円を納めましたが、同機構は残額も納めるよう求め、同年9月に女性の口座に振り込まれた給与約8万8千円を差し押さえて納付に充てました。

 その結果、女性の口座残高は0円になりました。

 原告側は、生活保護が必要なほど困窮している世帯の財産を差し押さえることは生存権の侵害だと主張しています。

 さらに給料の支払い当日に給料を預金として差し押さえるのは「脱法行為」と訴えています。

 国税徴収法では滞納者と家族の最低限の生活を保障するため、給料などを「差押禁止債権」として差し押さえてよい金額の上限を厳格に定めています。

 しかし同法で差し押さえを禁止する財産はあくまで「給与債権」であり、それ以外の財産については触れていないことから、給与が口座に振り込まれた瞬間に給与債権ではなく「預金債権」に変わったとして、上限なく差し押さえる手法が全国で乱発されています。

2019年3月2日土曜日

2019年3月の税務

3月11日(月)
●2月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

3月15日(金)
●平成30年分贈与税の申告
●平成30年分所得税の確定申告
●所得税確定損失申告書の提出
●平成30年分所得税の総収入金額報告書の提出
●確定申告税額の延納の届出書の提出
●個人の青色申告の承認申請
●個人の道府県民税・市町村民税・事業税(事業所税)の申告
●国外財産調書の提出

4月1日(月)
●個人事業者の平成30年分の消費税・地方消費税の確定申告
●1月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人及び個人事業者(前年12月分)の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者(前年12月分及び当年1月分)の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●7月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の4月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の12月、1月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(11月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

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2019年3月1日金曜日

消費税率引上げに伴う31年経過措置の原則

 「消費税法の一部改正に伴う(平成28年改正法3)」の規定による複数税率による改正後の消費税(以下「31年新消費税法」といいます。)は、平成31年10月1日から施行されますので、平成31年10月1日以後に期限が到来する申告にあたっては、8%(以下「旧税率」といいます。)が適用されるものであるか、8%(軽減税率)又は10%(標準税率)(以下単に「新税率」といいます。)が適用されるものであるか、その税率の切り換え時点については慎重に区分計算する必要があります。

Ⅰ 31年経過措置の原則

 31年新消費税法は、平成31年10月1日(以下「31年施行日」といいます。)以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等並びに31年施行日以後に国内において事業者が行う課税仕入れ等に係る消費税について適用され、平成26年4月1日(以下「26年施行日」といいます。)から31年施行日の前日までの間に国内において事業者が行った資産の譲渡等及び課税仕入れ等に係る消費税については、なお従前の例によることとされています。

 なお、31年施行日以後に行われる軽減対象資産の譲渡等については、軽減税率が適用されます。

Ⅱ 31年施行日前の契約に基づく取引

 31年施行日の前日までに締結した契約に基づき行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等であっても、31年施行日以後に行われるものは、原則として、その資産の譲渡等及び課税仕入れ等について新税率が適用されます。

Ⅲ 31年施行日の前日までに購入した在庫品

 31年施行日の前日までに仕入れた商品を31年施行日以後に販売する場合には、原則として、その販売については新税率が適用されますが、商品の仕入れについては施行日の前日までに行われたものですから、課税仕入れに係る消費税額は旧税率が適用されます。

Ⅳ 31年施行日を含む1年間の役務提供を行う場合

 役務の提供に係る資産の譲渡等の時期は、物の引渡しを要するものにあってはその目的物の全部を完成して引き渡した日、物の引渡しを要しないものにあってはその約した役務の全部を完了した日とされています。

 例えば、平成31年3月1日に、同日から1年間のコピー機械等のメンテナンス契約を締結するとともに、1年分のメンテナンス料を受領した場合には、資産の譲渡等の時期は役務の全部を完了する日である平成32年2月28日となりますので、新税率が適用されます。

 ただし、契約又は慣行により、1年分の対価を収受することとしており、事業者が継続してその対価を収受したときに収益に計上しているときは、31年施行日の前日までに収益に計上したものについては旧税率を適用して差し支えありません。

Ⅴ 決算締切日の取扱い

 「法人税法における決算締切日(法基通2-6-1)」の取扱いを適用している場合であっても、施行日前に行われた資産の譲渡等及び課税仕入れ等については旧税率が適用され、31年施行日以後に行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等については、原則として、新税率が適用されます(新平成28年改正法附則15)。

 例えば、決算締切日を毎年9月20日としている場合、平成31年9月21日から平成31年9月30日までの間に行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等については旧税率が適用されることとなります。

 なお、継続的に、売上げ及び仕入れの締切日を一致させる処理をしている場合には、平成31年9月21日から平成31年9月30日までの間の売上げ及び仕入れについては、平成31年10月分の売上げ及び仕入れとして、消費税の申告をして差し支えありません。

 平成31年10月1日以後の取引については、原則として新税率で課税することとされています。

 しかし、取引の形態及び契約の内容等によっては新税率での消費税等の転嫁が困難な場合も想定されますので、例外として31年経過措置の特例も規定されています。

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