2018年12月31日月曜日

世界中で動き出したCRS

◆3つの情報交換
 租税条約による情報交換には、1.要請に基づく情報交換、2.自発的情報交換、及び3.自動的情報交換の3つの形態があります。

 「要請に基づく情報交換」は特別な場合です。「自発的情報交換」はついでに得た情報の提供なので偶然的なものです。

 「自動的情報交換」は法定調書情報の税務当局間の相互送付で、これが期待される基本形です。

◆OECDのCRS

 自動的情報交換については、2017年から、わが国を含む100以上の 国・地域が賛同して、まさに動き出し始めている、OECDのCRS(Common Reporting Standard の略:共通報告基準)があります。

 CRSとは、非居住者の金融口座に関する情報を各国の税務当局間で自動的に交換するための共通化された国際基準のことです。

 共通化された国際基準を各国で適用することにより、事務負担の軽減や効率的な情報交換を実現しつつ、外国の金融機関の口座を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処することを目的としています。

◆日本の国外財産調書の提出状況

 国外財産調書の提出件数は次のように、年々増えていますが、この程度の数字であるわけがない、というのが多くの見方のようです。

 平成25年分…………5.539件
 平成26年分…………8,184件
 平成27年分…………8,893件
 平成28年分…………9,102件

◆CRS初回交換情報

 国税庁は、CRS情報の交換を本年9月までに行うことにしていた、その初回交換の件数等がとりまとめられ公表されました。

 日本国内の非居住者の金融口座情報については、58か国・地域に89,672件提供し、他方、日本の居住者に係る金融口座情報については、64か国・地域から550,705件受領しました。

 予想外に多かったとのニュアンスが滲み出ています。

 また、公表文は、受領した金融口座情報は、国外送金等調書、国外財産調書、財産債務調書、その他既に保有している様々な情報と併せて分析する、としています。

 なお、CRSには、アメリカは非加盟です。

 FATCAがあるためです。

 日本がアメリカから得ている自動的情報交換データは租税条約に依るものです。

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2018年12月30日日曜日

米国宇宙軍発足にみる新たな戦い その2

 米国は宇宙空間での軍事活動を担う「宇宙軍」を2020年までに発足させる方針を明らかにしました。

 宇宙空間の安全保障をめぐり、中国やロシアが優位に立とうとしており、こうした中ロの脅威に対抗するのが狙いです。

 米国以外では、ヨーロッパが宇宙空間の安全保障を課題と設定しています。

 フランスでは、マクロン大統領が2019年に考えをまとめる予定でいます。

 日本は全く関係ないかというと、そうでもありません。

 2018年末、防衛政策の指針となる「防衛計画の大綱」を5年ぶりに見直す予定でいます。

 その時に、中期防衛力整備計画を策定します。

 今回のキーワードは、「クロス・ドメイン(領域)」です。

 今までの陸・海・空のほか、新たなドメインにおける脅威に対応できる防衛体制づくりに取り組むことが掲げられます。

 そして、ドメインの一つが宇宙であり、宇宙空間での安全保障に取り組む姿勢が明らかになります。

 具体的な取り組みのひとつを挙げると、大気圏外から宇宙空間を監視する人工衛星の打ち上げがあります。

 これまで防衛省は衛星を自衛隊内の部隊間での遠距離通信や地上の警戒監視などに利用していました。

 大気圏外の監視は行っておらず、米国の情報に頼っていました。が、新たな衛星の打ち上げにより自国で行えるようになります。

 加え、従来のような、地上からの監視は天候不順の場合、能力が低下するという弱点がありましたが、衛星の打ち上げで解決に向かいます。

 大気圏外の人口衛星はまだ検討段階ですが、実現すれば、地上と大気圏外の双方から監視できるようになり、宇宙空間の安全保障に繋がります。

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2018年12月29日土曜日

米国宇宙軍発足にみる新たな戦い その1

 先日、米国は宇宙空間において軍事活動を担う「宇宙軍」を2020年までに発足させる方針を明らかにしました。

 すでに、宇宙空間は新たな戦場になりつつあります。

 現在、米国では陸軍、空軍、海軍、海兵隊、沿岸警備隊の5つの軍があります。

 宇宙軍ができればこれらに次ぐ、6つ目の軍が誕生することになります。

 宇宙軍というと、SF映画の世界では、地球外生命体の侵略に対して、人類が戦うというストーリーが一般的です。

 が、米国が脅威としている相手は中国とロシアで、両国を宇宙における戦略的な競争相手と位置付けています。

 なぜ宇宙軍が必要なのでしょうか。

 そんなに、中ロの脅威は大きなものなのでしょうか。

 一般的に、宇宙開発は気象衛星などの平和利用が主です。

 が、技術を転用することで、偵察衛星など、軍事利用ができます。

 中でも、米国が恐れるのは、中国やロシアが人工衛星を破壊する兵器の開発を進めている点にあります。

 ミサイルの開発が成功すれば、偵察衛星など、敵国の軍事衛星を破壊するといったことも可能になります。

 また、ロシアの人工衛星が不審な動きをするという警戒もあります。

 具体的には、フランスとイタリアが共同運用する軍事衛星に異常に近づき、通信を傍受しようとしたことがあります。

 ただ、宇宙軍の実現には、議会が法案を成立させる必要があります。

 そして、新たな組織を設立するには多額の費用が必要になり、予算の肥大化になります。

 こうした現状に対して、議会には反対意見が多いのも事実です。

 宇宙空間の安全保障をめぐり、各国が優位に立とうとしていますが、この先、どこの国が覇権を握るか目が離せない状態にあります。(つづく)

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2018年12月28日金曜日

中小企業におけるインバウンド需要の取り込み

 近年、訪日外国人旅行者数は、急速な拡大を遂げています。

 インバウンド市場は人口が減少している日本では数少ない成長市場であり、中小企業にとってもビジネスチャンスとなります。

 「平成30年版情報通信白書」によると、 訪日外国人旅行者の増加に伴い旅行者の国内における受入環境の整備が急務となっていることが指摘されています。

 観光庁「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」によると、訪日外国人旅行者が旅行中に困ったこととしては「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」が最も割合が高く、「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板・地図等)」、「無料公衆無線LAN環境」の順となっています。

 こうした中、総務省では観光庁と連携し、地方自治体、民間事業者で構成する「無料公衆無線LAN整備促進協議会」を2014年に立ち上げ、無料Wi-Fi整備の促進、周知・広報等に取り組んでいます。

 その一方で訪日外国人による日本滞在中のコミュニケーションやそのための多言語対応が引き続き課題となっています。

 また、支払等の決済面での受入環境の整備も重要です。

 例えば、訪日外国人旅行者の多くを占める中国人観光客は、支払い手段としてスマホでの決済を利用する傾向が強くなっています。

 このような背景から、2016年3月に策定された「明日の日本を支える観光ビジョン」では、主要な商業施設や宿泊施設、観光スポットにおける「100%のクレジットカード決済対応」及び「100%の決済端末のIC対応」などを目標として掲げています。

 このように、中小企業においても外国人旅行者の受入体制を整備することで継続的なインバウンド需要を取り込むことがカギとなるのです。

 では、インバウンド需要の取り込みに成功している中小企業にはどのような特徴がみられるのでしょうか。

 そこで日本政策金融公庫総合研究所が同公庫の融資先の中小企業を対象に2017年8月に実施(公表は2018年1月)した「インバウンドの受け入れに関するアンケート」に基づき、それらの企業の特徴についてみていきましょう。

 まず、顧客のなかに外国人観光客がいる企業の割合は、回答企業全体の47.0%を占めています。

 1カ月当たりの外国人観光客数をみると「19人以下」の企業が68.0%を占める一方で、「50~99人」が7.4%、「100人以上」が10.3%あることが示されています。

 このアンケート調査では1か月あたりの外国人観光客数が「50人以上」の企業の特徴を、「1~49人」や「0人」の企業と比較して考察しています。

 まず「50人以上」の企業では、最近3年間の売上高と採算状況がそれぞれ増加傾向、黒字とする企業が半数を占めており、外国人観光客を多く受け入れることで業績を伸ばしている企業が少なくないことがわかります。

 また、「50人以上」の企業は、独自にウェブサイトを運営したり外部のサイトを利用したりして情報発信を行ったりするなど、インターネットの活用に積極的な傾向がみられます。

 さらに「50人以上」の企業は、クレジットカードやICカード、スマートフォン・携帯電話を使った決済に対応している企業が多く、インバウンドを多く受け入れるにはキャッシュレス決済に対応することが望ましいことが指摘されています。

 このようにインバウンド需要の取り込みに成功している中小企業では、情報発信面や決済面で情報通信技術(ICT)を積極的に活用し、受入環境の整備を進めているという特徴がみられるのです。

2018年12月27日木曜日

法定調書の光ディスク等による提出義務基準を引下げ!

 2018年度税制改正において、法定調書の光ディスク等による提出義務基準の引下げが盛り込まれております。

 2011年度税制改正により、上記の提出義務が導入され、法定調書の種類別に、前々年に提出すべきだった法定調書の枚数が1,000枚以上であるものについては、2014年1月1日以降からは書面ではなく、光ディスク等又はe-Taxによる提出が義務化されましたが、2021年1月1日以降からは、この提出義務基準が100枚以上に引き下げられますので、該当されます方はご注意ください。
 
 給与所得の源泉徴収票など法定調書のうち57種類は、あらかじめ税務署長に申請して承認を受けている場合には、書面による提出に代えて、インターネットを利用したe-Taxやパソコン等で作成した法定調書を記録した光ディスク等(コンパクトディスク(CD)・デジタルバーサタイルディスク(DVD)・フロッピーディスク(FD)・光磁気ディスク(MO))により提出することができます。

 前々年が基準日となりますので、2019年における法定調書の種類ごとの提出枚数が100枚以上であれば、2021年は光ディスク等で提出する必要があります。

 しかし、提出すべき給与所得の源泉徴収票が90枚の場合でも、光ディスク等による提出義務はありませんが、あえて光ディスク等による法定調書等の提出をすることで、大量の調書を1枚の光ディスク等で提出することができ、事務の省略化につながるほか、支店や工場等の提出分も含め、本店等の所轄税務署長に一括提出できるなどのメリットがあります。

 なお、光ディスク等により提出する場合には、「支払調書等の光ディスク等による提出承認申請書(兼)支払調書等の本店等一括提出に係る承認申請書」を、法定調書を提出しようとする日の2ヵ月前までに提出義務者の所轄の税務署へ提出する必要があります。

 提出された申請書については、その申請書の提出の日から2ヵ月を経過しても承認又は承認しない旨の通知がない場合、その経過する日においてその申請は承認されたものとみなされますので、あわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年12月3日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月26日水曜日

コンビニ決済可能なQRコード納付手続き

◆税のコンビニ決済は前からあった
 
 平成20年にバーコード付納付書が登場しました。

 このバーコード付納付書は、1枚につき30万円以下の納税額であれば、コンビニで支払いができるものです。

 ただし、確定した税額を期限前に通知する場合(所得税の予定納税等)や、督促・催告を行う場合等の、特殊条件以外の納付の場合は「確定した税額について、納税者から納付書の発行依頼があった場合」とされており、税務署等で申告書を提出する際にその旨を伝えると発行してくれるものでした。

 また国税庁のWebサイトには「混雑状況等により、発行までに相当のお時間がかかる場合があります」という前置きがしてあり、「即時発行では無い」と言いたいようです。

◆平成31年1月4日からQRコードに!

 来年年始から、確定申告書作成コーナー及び国税庁ホームページに、QRコード(PDFファイル)を印字した書面が作成できるコーナーが新たに追加されます。

 このQRコードをコンビニのキオスク端末(LoppiやFamiポート)で読み取らせる事によって、バーコード(納付書)が発行され、税の納付ができる仕組みです。

 QRコードさえ読み込ませればよいので、スマートフォンやタブレット端末にファイルを保存して、端末画面に表示する事によってキオスク端末に読み取らせる事も可能です。

◆あれ? セブン-イレブンは?

 現状利用可能なコンビニとして名前が挙がっているのは「ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ、ファミリーマート」のみです。

 全国に2万店舗ほどある、セブン-イレブンの文字はありません。

 対応しないのでしょうか?

 また、従来のバーコード付納付書同様に、1枚あたりの納付金額は30万円以下でなければならないようです。

 ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、振替納税、そしてコンビニ納付と昨今では納付方法も多彩に選べます。

 ご自身の生活に合った納付方法を選択してみてはいかがでしょうか。

※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

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2018年12月25日火曜日

ゴーン容疑者逮捕に日本版司法取引

 日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が自身の報酬を過少申告したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕されましたが、これには国内で2例目となる司法取引制度が適用されました。
 
司法取引とは、刑事事件の容疑者や被告が、自分や他人の犯した犯罪行為についての情報を当局に提供する見返りに自身の処分を軽くしてもらう制度です。

 アメリカ映画でなじみのある人も多いでしょう。日本では今年6月に施行されたばかりの新しい制度です。

 対象となる犯罪の範囲は、贈収賄や詐欺、覚せい剤取締法、組織犯罪処罰法など刑事訴訟法に明記されたもののほか、政令で規定した経済犯罪として、独禁法や特許法、会社法の違反、脱税、そして今回ゴーン容疑者の逮捕理由となった金商法の違反などが対象です。

 アメリカで多く適用されている司法取引ですが、その内容は日本とは異なります。

 アメリカ型は自分の犯罪を認めることで罪の軽減を図るものですが、日本型は他人や共犯者の犯罪が対象になっています。

 そのため日本型では、自身の立場を有利にするために「仲間」を陥れるような虚偽の供述を行い、えん罪を生む危険性も指摘されています。

 また、司法取引が有効に活用されていくことは、組織の内部の膿を出すためには期待されるものの、組織のなかで「誰か」が人身御供となってしまうことで、本質が糺されないようでは本末転倒です。

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2018年12月24日月曜日

配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し

はじめに
 年末近くになると配偶者が就業時間を調整することによって、居住者本人に配偶者控除が適用される103万円以内にパート収入を抑える傾向があり、人手不足のため営業時間の短縮を行う企業も出るなど社会問題となっていました。
 
 そこで、平成29年度税制改正では、配偶者控除・配偶者特別控除が見直されました。

 改正された控除額は、最低賃金の全国平均時給1,000円、1日6時間、週5日勤務した場合の年収(144万円)を上回る金額となるように、所得控除額38万円の対象となる配偶者の合計所得金額の上限が85万円(給与所得のみの場合、給与収入150万円)を基準とされています。

 本稿では、改正された配偶者控除・配偶者特別控除の概要及びその実務上の留意点について解説することとします。

Ⅰ 配偶者控除(所法83①)

 居住者が控除対象配偶者又は老人控除対象配偶者を有する場合には、その居住者の所得金額の合計額から38万円(配偶者が老人控除対象配偶者の場合には48万円)を限度として、居住者の合計所得金額に応じた金額が控除できます。

Ⅱ 配偶者特別控除(所法83の2①②)

 居住者が生計を一にする配偶者(「青色事業専従者(所法57①)」として給与の支払を受けるもの及び「白色事業専従者(所法57③)」を除くものとし、合計所得金額が123万円以下であるものに限ります。)で控除対象配偶者に該当しないもの(合計所得金額が1,000万円以下であるその居住者の配偶者に限ります。)を有する場合には、その居住者の所得金額の合計額から38万円を限度として、居住者の合計所得金額と配偶者の合計所得金額に応じた金額が控除できます。

 ただし、配偶者特別控除は、居住者の合計所得金額が1,000万円以下である場合及び生計を一にする配偶者がこの控除の適用を受けていない場合に限り適用できます。

Ⅲ 用語の意義

1 控除対象配偶者(所法2①三十三の二)
 同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1,000万円以下である居住者の配偶者とされます。

2 同一生計配偶者(所法2①三十三)
 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(「青色事業専従者(所法57①)」として給与の支払を受けるもの及び「白色事業専従者(所法57③)」を除きます。)のうち、合計所得金額が38万円以下である者とされます。

3 合計所得金額(所法2①三十ロ等)
 次の①から⑦までに掲げる金額の合計額とされます。

① 純損失又は雑損失の繰越控除、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除及び特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除を適用しないで計算した総所得金額

② 上場株式等に係る配当所得等について、申告分離課税の適用を受けることとした場合のその配当所得等の金額(上場株式に係る譲渡損失の損益通算の適用がある場合には、その適用後の金額及び上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の適用がある場合には、その適用前の金額)

③ 土地・建物等の譲渡所得の金額(長期譲渡所得の金額(特別控除前)と短期譲渡所得の金額(特別控除前))

④ 一般株式等に係る譲渡所得等の金額又は上場株式等に係る譲渡所得等の金額(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除又は特定中小会社が発行した株式等に係る譲渡損失の繰越控除の適用がある場合には、その適用前の金額)

⑤ 先物取引に係る雑所得等の金額(先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の適用がある場合には、その適用前の金額)

⑥ 退職所得金額

⑦ 山林所得金額

Ⅳ 適用関係(平成29年度改正法附則6)
 上記Ⅰ及びⅡの改正は、平成30年分以後の所得税から適用されます。

おわりに

 平成30年分以後の年末調整から配偶者控除又は配偶者特別控除は、居住者から提出された「給与所得者の配偶者控除等申告書」に基づいて行うこととされます。

 年末調整後、その年の12月31日までの間に配偶者の合計所得金額に異動が生じた場合には、翌年1月の「給与所得者の源泉徴収票」を交付する時までに年末調整の再調整を行うことができます。

 また、年末調整の再調整によらず従業員が確定申告によって対応することも可能となります。

 特に有価証券を保有している配偶者においては、①上場株式等の配当等で申告不要を選択したもの、②非上場株式等の配当等で年10万円未満のものは配偶者の合計所得金額の算定上カウントしませんので留意して下さい。

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2018年12月23日日曜日

消費増税分のポイント還元、コンビニFCも

 政府は来年10月の消費増税に備え検討を進めるキャッシュレス決済時のポイント還元制度で、コンビニエンスストアでの買い物も対象に含める方針です。

 セブンイレブンやローソン、ファミリーマートなど大手とフランチャイズ(FC)契約を結ぶ個人経営の店舗を、政府支援が必要な「中小企業」とみなして補助金を出します。

 消費者の使い勝手を良くすることで、クレジットカードなどキャッシュレス決済の普及を促したい考えです。

 キャッシュレス決済のポイント還元は、増税後の消費落ち込みに備え、政府が中小小売りなどを対象に検討している制度。

 消費税還元セールの解禁で大手スーパーは自力で一律値上げを回避できますが、経営体力のない地域の小規模な小売店や飲食店などは、増税後の価格維持のために当面の間は公的支援が必要と判断。

 キャッシュレス決済の端末費用を補助して導入を進め、決済金額の2%分のポイントを国の負担で消費者に還元する考えです。

 ただ、地域の小規模店だけでは、消費者にとって使い勝手が悪くカードなどキャッシュレス決済の手段が普及しない可能性があります。

 そこで、政府は多くの消費者が日常的に使用するコンビニも対象に含める方向で調整。

 コンビニでは既にキャッシュレス決済の端末が普及しており、「新制度を円滑に始められる」(経産省幹部)との判断も働きました。

 課題は「大企業」とみなされる直営店の扱い。

 政府は法律上中小企業とみなせるFCに限り、直営店については本社の負担で同様のポイント還元制度をするよう要請。

 ただ、大手3社はともかく地方展開する中規模なコンビニでは経営負担が重く、調整が難航する可能性もあります。

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2018年12月22日土曜日

住宅エコポイント復活へ

 省エネ性能の高い住宅を新築・リフォームした際にポイントが付与される「住宅エコポイント制度」が、消費増税を機に4年ぶりに復活する見通しです。

 増税に伴う駆け込み需要の反動減を抑えるため、国土交通省が制度の導入に向けて検討に入りました。

 住宅エコポイント制度とは、環境に配慮した住宅の新築やリフォームを行った人に対し、商品やサービスと交換できるポイントを付与する制度。

 これまで2010年、12年、15年に期間限定で実施されたことがあり、今回で3度目の復活となります。

 制度の対象となる工事や付与ポイントは実施時期ごとに異なります。

 15年には一定の省エネ基準を満たした住宅の新築に1戸あたり30万ポイント、窓や外壁の断熱化といったリフォームに1戸あたり最大30万ポイント、耐震改修でさらに15万ポイント上積みして最大45万ポイント付与する制度でした(1ポイント=1円相当)。

 発行されたポイントは、省エネ商品や地域振興券に交換できたほか、ポイントの対象となった工事の施工者が追加的に実施する工事の費用に充てることもできました。

 新制度の対象工事やポイント数については国交省と財務省が協議して決めます。

 個人がエコポイントを商品交換や追加工事費用に充てた場合、その金額は基本的に生命保険の一時金や競馬の払戻金と同じ「一時所得」として所得税の課税対象となります。

 一時所得には50万円までの特別控除枠があり、他の一時所得と合わせて50万円を超えると課税されます。

 なお、そのポイントが業務のために使う住宅の新築・リフォームに伴って付与されたのであれば、事業所得または不動産所得として計上することになります。

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2018年12月21日金曜日

QRコードを利用したコンビニ納付②

≪利用方法≫

① 自宅等で作成・出力した「QRコード」(PDFファイル)をコンビニ店舗に持参

② いわゆるキオスク端末(「Loppi」や「Famiポート」)に読み取らせることによりバーコード(納付書)が出力

③ バーコード(納付書)によりレジで納付

≪利用可能コンビニ≫

 ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ(いずれも「Loppi」端末設置店舗のみ)ファミリーマート(「Famiポート」端末設置店舗のみ)等

Ⅱ 適用関係(平成30年度改正国通規附則③)
 上記Ⅰの改正は、平成31年1月4日以後に納付の委託を行う国税について適用され、同日前に委託を行う国税については、なお従前のとおりとされます。

 QRコードを利用したコンビニ納付による納税可能な税金は、あくまでも30万円以下の国税とされます。

 「開いてて良かった」のキャッチフレーズで全国各地で店舗展開をしているコンビニ納付の利用手段の拡充は、納税者にとっては便利でしょう。

 しかし、早朝・深夜の時間帯などのセキュリティ面から考えるとコンビニの経営者にとっては頭の痛い問題でしょうね。

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2018年12月20日木曜日

QRコードを利用したコンビニ納付①

 国税を納付しようとする者は、納付金額が30万円以下で税務署が作成(郵送)したバーコード付納付書に基づき納付しようとする場合には、国税庁長官が指定する納付受託者(コンビニエンスストア)に納付を委託(以下単に「コンビニ納付」といいます。)することができることとされています(国通法34の3①)。

 ただし、現行の国税のコンビニ納付については、自宅及び税務署以外の会場等で電子申告を行う場合には、改めて税務署からバーコード付納付書を取り寄せてコンビニ納付を行う必要がありました。

 そこで、平成30年度税制改正では、納税者の利便性の向上を図る観点から、コンビニ納付の利用手段が拡充され、二次元コード(いわゆるQRコード)を利用したコンビニ納付が可能となりました。

Ⅰ 改正の内容(国通規2②二)

 コンビニ納付を利用できる納付書の範囲に、コンビニにより作成された納付書が追加されます。具体的には、コンビニ納付を行おうとする納税者が、自宅等において国税庁ホームページを利用して納付に必要な情報をQRコード化し、コンビニの端末機で読み取り納付書を出力することによって、コンビニ納付ができることとされます。

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2018年12月19日水曜日

(後編)2018年度税制改正:国際観光旅客税を創設!

 国外運送事業者の特別徴収や国際観光旅客等の納付の場合は、原則として出国する空港や港において乗船等するときまでに国に納付する必要があります。

 国際観光旅客税の税収は、初年度60億円、平年度430億円の税収を見込み、その使途について観光立国推進閣僚会議は、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、わが国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度の向上の3分野に充当することを基本方針として示しております。

 具体的な施策・事業について、初年度総額60億円を見込む歳入では、最新技術を活用した顔認証ゲートや税関検査場電子化ゲートの整備等によるCIQ(訪日外国人旅客の出入国手続きの総称)体制の整備に20億円、ICT等を活用した多言語対応等に11億円、JNTO(日本政府観光局)サイト等を活用したデジタルマーケティングに13億円などをそれぞれ充てることを明らかにしております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月18日火曜日

(前編)2018年度税制改正:国際観光旅客税を創設!

 2018年度税制改正において、観光立国実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図る観点から、観光促進のための税として2019年1月7日以後の出国から国際観光旅客税を徴収します。

 政府は、2020年訪日外国人旅行客者数4,000万人、2030年6,000万人の目標を掲げ、観光をわが国の基幹産業へと成長させて、観光先進国の実現を図ります。

 国際観光旅客税は、訪日外国人旅行客が出国する際や日本人が旅行や出張で出国する際などに、1人あたり出国1回につき1,000円を徴収します。

 ただし、課税の対象外として、航空機や船舶の乗員のほか、航空機により入国後24時間以内に出国する乗継旅客、2歳未満、悪天候などの理由で寄港した国際船舶等に乗船等していた者やわが国への派遣外交官等の一定の出国などが挙げられております。

 航空機を利用する場合は、チケット料金に上乗せして徴収することから、国内の旅行代理店等の国際運送事業者が国際観光旅客等から特別徴収し、翌々月末日までに国に納付します。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月17日月曜日

(後編)消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について

 どのような価格設定を行うかは事業者の任意ですが、例えば、テイクアウト等(軽減税率)及び店内飲食(標準税率)で異なる税込価格を設定する場合における価格表示方法としては、テイクアウト等及び店内飲食の両方の税込価格を表示する方法やテイクアウト等又は店内飲食のどちらか片方のみの税込価格を表示する方法などが考えられます。

 テイクアウト等のみの税込価格を表示する場合には、店内飲食のほうがテイクアウト等よりも税込価格が高いのに、テイクアウト等であることを明瞭に表示せず、税込価格のみを表示している場合には、一般消費者に店内飲食の価格が実際の価格よりも安いとの誤認を与えてしまい、不当景品類及び不当表示防止法の規定により禁止される表示に該当するおそれがあります。

 また、テイクアウト等と店内飲食との間で税込価格が異なる場合は、事業者は、顧客の意思表示により異なる税率が適用され、税込価格が別途計算されることがあり得る旨、店舗内の目立つ場所に掲示するなどの手段により、一般消費者に対して注意喚起を行うことが望ましいとしております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


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2018年12月16日日曜日

(前編)消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について

 2019年10月1日から実施予定の消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について、消費者庁・財務省・経済産業省・中小企業庁の4省庁は連名で、一般消費者の適正な商品又は役務の選択を確保することを目的として、同一の飲食料品の販売について適用される消費税率が異なる場面における小売店等の価格表示の具体例等の取りまとめを行い、公表しました。

 それによりますと、消費税の軽減税率制度では軽減税率の適用対象品目を「酒類及び外食を除く飲食料品」としているので、テイクアウト(飲食料品を持帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う飲食料品の譲渡)や出前(単に相手方が指定した場所まで飲食料品を届ける行為)には軽減税率が適用されることとなる一方、店内飲食(飲食設備のある場所において、飲食料品を飲食させる役務の提供)には標準税率が適用されます。

 このため、テイクアウト等及び店内飲食のいずれの方法でも飲食料品を提供する飲食店等の事業を営む外食事業者やイートインスペースのある小売店等の事業者では、同一の飲食料品の販売で適用される消費税率が異なる場面が想定されます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月15日土曜日

法令適用事前確認手続の活用

◆サービスの多様化と許認可

 許可や認可、免許など、日本には数多くの「許認可」が存在し、その数なんと2万種類とも言われます。

 建設業を営む場合には、都道府県知事又は国土交通大臣からの「建設業許可」を、お酒の販売を行う場合には、税務署長からの「酒類販売免許」など、新たな事業を始めるにあたり、こうした許認可を必要とすることも少なくありません。

 一方で、サービスの多様化や差別化が進むにつれ、そもそも許認可を必要とするのか否か、企業だけでは判断が難しいケースも増えているのではないでしょうか。

 そんなときに活用できるのが、「法令適用事前確認手続」です。

◆法令適用事前確認手続とは

 「法令適用事前確認手続」とは、民間企業等が、これから行おうとしている行為について、法令に抵触しないか、規定の適用対象となるかどうか、あらかじめその法令を所管する行政機関に対して照会し、行政機関が見解を述べるとともに、その回答内容を公表するというもので、「日本版ノーアクションレター」とも呼ばれます。

 たとえば、新しいサービスを考えたものの、そのサービスは建設業許可がないと提供できないのか、法令の文言からだけでは判断できなかったとします。

 この際、建設業法を所管する国土交通省に対し、この法令適用事前確認手続を取ると、照会から原則30日以内に書面等による回答が得られるという仕組みです。

◆ホームページ上で回答の公表も

 この制度では、行政機関がその照会者に対して回答するとともに、各行政機関のホームページ上にも公表されています。

 回答は個別具体的な事例に対するものですので、たとえ自社で考えているサービス内容と類似した他社の照会内容があったとしても同一視することはできませんが、各行政機関の基本的な見解を知るのに役立つかもしれません。

 今回は国土交通省を例に挙げましたが、法令適用事前確認手続は多くの行政機関で導入されていますので、様々な業種で利用が考えられます。

 新しいサービスを始めるにあたり、法令に抵触しないかどうか懸念されるときは、この手続きを活用してみてはいかがでしょうか。

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2018年12月14日金曜日

不足している40代社員とは

◆採用数の少なかった時代の影響が

 昨年、ある大手企業の幹部が「40代前半の社員が少ない」とコメントした事が話題になっていたそうですが、40代前半層とは就職氷河期世代に該当します。

 採用が極端に少ない時期で2018年の大卒求人倍率が1.78倍なのに対し、氷河期の底であった2000年は0.99倍(リクルートワークス調べ)だったそうです。

 その影響が今も引き続いているという事です。

◆企業が求める40代とは

 氷河期世代は採用人数が少ないため、出世もし易いと思うかもしれませんが企業の求める40代は例えば20代で経験を積み、リーダー職や係長職を経て30代後半では課長、40代で部長等上級ポストを担える人材で、氷河期世代の40代は採用の対象となりにくいと言われています。

◆賃金面から見る40代

 政府が主要産業に雇用される労働者について賃金を調査する「賃金構造基本統計調査」は、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数別に実態を明らかにする事を目的としていて、毎年6月の状況を調査しています。

 それによれば、2018年6月に公表された賃金動向は2010年から12年、2015年から17年の比較では全年齢平均は31.0万円から31.9万円と増加していますが、40歳から44歳及び45歳から49歳の年長者では5年前の水準に比べて減少しています。

 また、常用労働者数100人以上の部長、課長級の役職比率をみると5年前より昇進が遅くなっているのですが、部長級、課長級の人数は比率が低下している中でもむしろ増加しています。

 役職者数の増加は45歳以上の課長級が中心であることから、上級ポストが空かないための待ちの期間が多く発生しており、生涯平社員で終わる社員の増加の可能性もあります。

◆労働人口を支える40代社員への対応

 バブル期の入社世代に当たる40代後半から団塊ジュニアに当たる40代半ばにかけては人数も多い層です。

 企業が求める40代にはなっていない層やポスト待ちの層等がモチベーションを持ち続けて活躍してもらうにはフォローやメンテナンスが課題となるでしょう。

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2018年12月13日木曜日

黒字企業割合が7年連続で増加

 2017年度に税務申告した全国の法人のうち、黒字と申告した法人の割合は34.2%で、前年度(33.2%)より1.0ポイント増となり、7年連続で上昇しました。

 国税庁が10月中旬に発表した法人税の申告事績で分かったものです。

 また申告法人289万6千社の所得金額は前年度比11.5%増えて70兆7677億円となり、過去最高を記録しました。

 黒字法人の割合は、08~10年度に3年連続で過去最低を更新し、黒字申告は「4社に1社」でしたが、その後盛り返し、増加の一途をたどっています。現在では「3社に1社」が黒字の状況です。

 また申告所得金額もリーマンショックのあった08年を境に一気に落ち込んだのですが、14年度にリーマンショック前の水準を超え、その後も増加を維持しています。

 源泉所得税について見てみると、29年度の源泉所得税の税額は18兆1517億円で、前年度から6.0%減り、7年ぶりに減少した昨年から再びプラスに転じました。

 給与所得は3.4%伸びたほか、昨年15.3%落ち込んだ配当所得が8%伸びたことなどが響きました。

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2018年12月12日水曜日

低税率の地域はスポーツが強くなる?

 ホームタウンの税率が低いほどチームは強くなる――。

 そんな興味深い内容の論文を、NFL(米アメフトリーグ)の日本公式サイトが紹介しています。

 同サイトに記事を執筆したジャーナリストの渡辺史敏氏によれば、論文を発表したのはウィーン経済産業大学。

 1994年から2016年までの23年間のNFL所属チームの成績と所在地の個人所得税の税率を調べたところ、最も税率の高いカリフォルニア州のチームは同税のないフロリダ、テキサス、テネシー、ワシントンのチームより年平均2.75勝少なかったそうです。

 また16年にプレーオフに進出したチームとできなかったチームの税率を比べたところ、前者より後者のほうが3割税率が高かったとのことです。

 本来であれば全米のなかでも平均所得の高いカリフォルニアはそれだけ高額な年俸を支払って有力選手を集められるはずですが、NFLでは戦力均衡化のために厳しいサラリーキャップ(年俸上限)が定められていて、有名選手らの年俸は横並びとなる傾向にあります。

 一方で米国では州ごとに個人所得税などの税率が大きく異なるため、同じ年俸を受け取っても実際の手取りには差が出てしまいます。

 多くの手取りを得たい有名選手は、自然と税率の低い地域のチームを選ぶ可能性が高くなるわけです。

 論文ではその実例として、税率7.4%のオハイオ州から5.3%のメリーランド州にホームタウンを移転したレイブンズ(旧ブラウンズ)を挙げ、本拠地の移転によって年平均1勝を上積みし、01年にスーパーボウルを制したことを紹介しています。

 こうしたデータによって、税率とチームの成績に因果関係があると証明されたわけではありませんが、給料の多寡が仕事へのモチベーションに直結するのは自然な話でもあります。

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2018年12月11日火曜日

二重ローンを避けるノンリコースローン その2

 リコースローンとノンリコースローンの違いは突き詰めると、融資対象である住宅の値下がりや毀損リスクを誰が負うのかということに帰着します。

 リコースローンは住宅がどんなに値下がりしても、あるいは無くなってしまっても、(資金を)融資した側は借入者に返済を請求できるのですから、物件の値下がりリスクは借入人が負うことになります。

 一方、ノンリコースローンは物件の値下がり、毀損リスクは(資金を)融資した金融機関が負うことになります。

 日本では住宅ローンと言えば、リコースローンだと思われていますが、ノンリコースローンによる住宅ローンの商品設計も可能なはずです。

 貸出側が物件の毀損リスクを負うのですから、金融機関が保険を掛けることになるでしょう。

 その分ローン金利は旧来のリコースローンの場合に比べて高くなると考えられます。

 ただ、地震保険を個人で掛けるのに比べれば、金融機関側でまとめて掛けた方が、安くなるというメリットは生じるかもしれません。

 金利が高くても物件の毀損リスクを負わないノンリコースローンにするか、金利は低いが毀損リスクを引き受けるリコースローンにするかを借入人が選択できれば、借入人の満足度は向上するはずです。

 災害多発国である日本ではノンリコースの住宅ローンには相応のニーズがあると思いますから、少なくとも商品メニューはあっても不思議ではありません。

 金融機関は今、マイナス金利による利ザヤの縮小に加え、貸し出し需要の減少に苦しんでいます。

 しかし、自らの環境を巡る不平を言う前に、顧客のニーズを本当に捉えられているか自省してみるべきではないでしょうか。

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2018年12月10日月曜日

二重ローンを避けるノンリコースローン その1

 地震などの大災害で住宅が毀損すると二重ローンの問題が浮上します。

 二重ローンとは住宅ローンで建てた家が地震で壊れてしまい、そのローンが残っているにもかかわらず新住宅建設のために新たにローンを借りなければならない状態を言います。

 地震にかかる二重ローンを回避するためには、借入者は地震保険を掛ければいいのですが、地震保険は保険料が高く、それほど普及していないのが現状だと思います。

 二重ローンはもっぱら借入者の自己責任か公的補助の問題で片付けられることが多いのですが、(資金を)融資する金融機関の側にも改善すべき点があるように思います。

 当然のことですが、住宅ローンは住宅に住む人に融資します。

 ローンで建てた住宅は担保には入れますが、返済はあくまで資金を借りた人が行います。

 したがって、担保に入れた住宅を売却してローンを返済したとき、その住宅が値下がりして、ローンが残ってしまえば、住宅がなくなってしまっても、借入人はローンを返済し続けなければなりません。

 こうした融資の対象となった物件がなくなっても、借入人がローン返済の義務を負い続けるローンをリコースローン(リコースとは「遡及する」という意味です)と言います。

 日本ではこうした形のローンが一般的であり、ローンとはこういうものだと思われているかもしれませんが、借入者に遡及しないノンリコースローンという融資形態もあります。

 ノンリコースローンは事業融資なら、あるプロジェクト融資を行ったとき、プロジェクトが失敗すれば、融資したことによる損失は借入人ではなく貸出人が引き受けるローンです。

 住宅ローンであれば、住宅がなくなれば、借入人はそれ以上のローンの返済義務を負わないというものです。(つづく)

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2018年12月9日日曜日

(後編)再調査の請求、審査請求、訴訟の概要を公表!

国税庁・国税不服審判所

 また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、申告所得税等(63.1%増の910件)などほとんどの税目が増加したことから、全体では前年度から18.7%増の2,953件となりました。

 処理件数は、「取下げ」247件、「却下」186件、「棄却」1840件、「一部取消」148件、「全部取消」54件の合計2,475件(前年度比26.3%増)で、納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同4.1ポイント減の8.2%と大きく減少しました。

 一方、訴訟となった発生件数は、所得税(32.5%減の54件)や法人税(21.1%減の30件)などが減少したことから、全体では前年度を13.5%下回る199件となりました。

 訴訟の終結件数は、「取下げ等」18件、「却下」17件、「棄却」154件、「国の一部敗訴」10件、「国の全部敗訴」11件の合計210件(前年度比14.3%減)で、国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同5.5ポイント増の10.0%と大きく上昇しました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月8日土曜日

(前編)再調査の請求、審査請求、訴訟の概要を公表!

国税庁・国税不服審判所

 国税庁・国税不服審判所は、再調査の請求、審査請求、訴訟の概要を公表しました。

 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する再調査の請求や国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度があります。

 概要によりますと、2017年度(2018年3月までの1年間)の再調査の請求・審査請求・税務訴訟を通しての納税者救済・勝訴割合は9.9%となりました。

 再調査の請求の発生件数は、消費税(30.8%増の633件)などの税目が増加したことから、全体では前年度から8.4%増の1,814件となりました。

 処理件数は、「取下げ等」208件、「却下」200件、「棄却」1,105件、「一部取消」173件、「全部取消」40件の合計1,726件(前年度比4.4%減)で、納税者の主張が一部でも認められたのは計213件、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度を5.5ポイント上回る12.3%となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月7日金曜日

(後編)経済同友会:財政健全化計画に関する提言を発表!

 そのために2019年10月の消費税率10%への引上げを確実に実施するとともに、ポスト10%の引上げに係る議論を早期に開始することを求めております。

 この提言では、より現実的な成長見通しに基づいて、内閣府試算(2027年度まで)を超える超長期の財政の姿を描くため、2045年度までの長期財政試算を行いました。

 その結果、ベースシナリオ(全要素生産性上昇率が2018年度以降、将来にわたって平均1.1%で推移)では、税率10%引上げ後、年1%ずつ税率を上げると、2024年度にPBが黒字化し、2045年度までPB黒字化を維持するために必要な消費税率は17%となるとしております。

 経済同友会では、「国民の納得感と安心感を得られる改革を実現するためには、超党派で国民的議論を喚起し、検討、政策合意し、たとえ政権交代しようとも確実に財政健全化を達成すべき。そのためには、税と社会保障の一体改革のビジョンと具体策を再構築することが必要。将来世代に大きな負担を残すことなく、痛みを伴う改革に取り組むためには、国民的な合意が不可欠」との考えを示しております。

 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月6日木曜日

(前編)経済同友会:財政健全化計画に関する提言を発表!

 経済同友会は、財政健全化計画に関する提言を発表しました。

 それによりますと、財政の健全化のため、国と地方の基礎的財政収支(PB)黒字化を団塊の世代全員が75歳以上の後期高齢者になる2025年度より前に実現すべきことを強く主張しております。

 また、社会保障関係費の伸びを抑える歳出削減が重要と指摘し、具体的には2019~2021年度の3年間で、社会保障関係費の伸びを1.5兆円以下とし、団塊世代が後期高齢者になり始める2022年度より前に、これまで以上に厳しい歳出抑制に取り組むべきだとしました。

 その際、企業の負担増によって安易に財源を捻出するのではなく、まずは給付費の増加の抑制や適正化を目指すべきことも提案しております。

 そして、今後も増加が予想される社会保障関係費の財源としては、税収が安定的で、国民が広く薄く負担する消費税が望ましいと指摘しております。

 税率の引上げに際しては、毎年1%ずつ自動的に引き上げること等によって、増税前の駆込み需要やそれに伴う反動減を抑制すべきとの考えも示しました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年12月5日水曜日

自筆証書遺言保管制度の新設と遺言書の方式緩和

◆自筆証書遺言保管制度の新設

 平成30年7月6日、法務局における遺言書の保管等に関する法律が成立し、法務局において自筆証書遺言を保管する制度が新たに設けられることとなりました。

 新たな制度では、予め保管申請しておくと、遺言者が死亡した後に相続人が法務局において、遺言書保管事実証明書及び遺言書情報証明書の交付請求、遺言書原本の閲覧請求をすることができるようになります。

 また、相続人の1人に遺言書情報証明書を交付した場合または遺言書の閲覧をさせた場合には、法務局から他の相続人等に遺言書が保管されている旨が通知されることになります。

◆紛失・改ざんなどのリスク

 自宅で自筆証書遺言を保管した場合、紛失・亡失の可能性がありますし、遺言書の内容によっては相続人による廃棄、隠匿、改ざんの恐れがあります。

 実際、その内容に不満を持った相続人が意図的に廃棄する、内容を書き換えるといったことにより相続手続きや相続税申告に支障が出るケースも見受けられます。

◆相続手続きと相続税申告をスムーズに

 相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。

 ところが、相続財産の把握や財産分割には思いのほか時間がかかるものです。

 自筆証書遺言があった場合でも家庭裁判所で検認という手続きが必要になり、最低でも1か月はかかるのが現状です。

 保管制度を利用すると検認は不要ですし、自筆証書遺言で財産目録と遺言者の意思表示が分かりますので、相続手続きと相続税申告書作成がスムーズにできると期待されます。

 なお、保管制度の施行日は今後政令で定められることになりますが、施行前には法務局に遺言書の保管を申請することはできませんのでご注意ください。

◆遺言書の方式緩和

 現民法では自筆証書遺言は全文を自筆する必要がありますが、民法改正によりパソコンで作成した財産目録、通帳のコピー、登記事項証明書等の自書によらない財産目録を別途添付することが可能となります。

 財産目録には遺言者の署名押印を行うことで偽造を防止します。

 この改正は平成31年1月13日から施行されます。

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2018年12月4日火曜日

パート主婦 今年の年収は?

◆今年の配偶者控除改正の影響は?

 2018年の1月から配偶者控除の仕組みが変わり、年収に対する税額控除ラインが上がりました。

 これまで通り配偶者(普通は妻)の年収が103万円を超えると配偶者特別控除が適用にはなりますが、控除額が減額され始めるのが150万円(所得85万円)超からになりました。

 配偶者の年収が150万円を超えると段階的に控除額が下がり、201万6千円(所得123万円)で0になります。

 また、高額所得者の配偶者(普通は夫)の年収が1120万円(所得900万円)以下ならば控除額は38万円ですが、この額を超えると控除額が下がり年収1220万円(所得1千万円)超で控除はなくなります。

 高額所得者世帯で影響が出るところがありそうです。

◆税制以外の年収制限要因

 税制面では控除額減額開始が年収150万円に引き上げられましたが、妻が単純に収入を増やしたいというわけではありません。

 夫の勤務する企業で扶養手当が支給される場合にその手当を支給する基準を年収103万円以下と定めている企業が多くあり、その金額を超えると手当が支給されなくなってしまいます。

 一般的に月数万円位が支給されているので収入を増やしても手当が無くなってしまう方が影響は大きいのです。

 また、社会保険の被扶養者は年収130万円未満とされていてそれ以上の収入になると自分で勤務先の社会保険に加入するか国保加入する事になります。

 さらに501人以上の企業では年収106万円を超えると企業の社会保険に加入しなければなりません。

 毎年秋になるとその年の年収を調整しなければならない妻の事情は今年も変わっていないようです。

◆社会保険加入に積極的な面も

 一方で2016年秋に年金制度が改正され501人以上の企業で週20時間以上勤務するパート等が厚生年金の加入対象者となった時に、保険料負担を嫌って短時間勤務を選ぶ人が多いとみていた政府は加入者の増加数に驚いたそうです。

 新規加入者25万人の予想を上回り、昨年末時点で1.5倍の37万人が新たに加入したからです。

 保険料負担をしても収入を増やして手取りを増やせる位働こうと考える人もいるという事です。

 人生100年時代に備えて将来の年金額を増やしたい人も増えている側面もあるのでしょう。

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2018年12月3日月曜日

年間平均給与 前年比10万円増

 国税庁が公表した2017年の民間給与実態統計調査によると、給与所得者数は4945万1千人で前年より76万人増加し、5年連続で過去最高を更新しました。

 また平均給与(賞与含む)は432万2千円で前年より10万6千円増えています。

 民間給与実態調査は、1949年から毎年実施されているもので、国は租税収入の見積もりや租税負担の検討、税務行政運営などに活用しています。

 1年間の従業員と役員の給与事情を「給与階級」「事業所規模」「企業規模」などの区別ごとに知ることができます。

 集計の対象となるのは、民間の事業所に勤務する給与所得者で、正規・非正規を問わず、パートやアルバイトも含まれます。

 ただし、全従業員について源泉所得税の納税がない事業所の従業員、労働した日にその都度給与の支給を受ける者は含まれていません。

 国家公務員や地方公務員、公庫職員ら官公庁で働く者も集計の対象外です。

 正規職員にみる男女差では、男性547万5千円(同1.4%増)、女性376万6千円(同0.9%増)で男女の格差はさらに広がりました。

 また非正規では男性229万4千円(同0.7%増)、女性150万8千円(同1.8%増)と、正規との給与格差が大きいことが分かっています。

 平均給与は調査が開始されてから年々上がり、1997年には467万3千円になりましたがそれを頂点として翌年からは減少傾向が続き、2013年より再び上昇に転じています。

 今回の平均給与額は前年より10万6千円増加しており、これは08年の数字(430万円)に近いものです。

 ところが1989年の平均年間給与額と比較すると、給与の中身は大きく異なっています。

 89年の給与に占める賞与の割合は26.4%でしたが、2017年は18.7%まで縮小しています。

 賞与を含まない平均年間給与・手当は318万4千円から364万2千円にアップしているものの、平均賞与は84万円から68万円まで下がりました。

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2018年12月2日日曜日

消費増税対策でクレカ払いにポイント

 来年10月に予定される消費税率10%への引き上げに備えた経済対策で、政府は中小店舗でクレジットカードなどキャッシュレス決済をした消費者に対し、購入額の2%分をポイント還元する制度の検討に入りました。

 増税後の景気下支えを狙うと同時に、中小店舗のキャッシュレス決済の導入拡大にもつなげたい考えです。

 クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済が対象。

 増税前後の税率差である2%分について、ポイントを発行するクレジット会社などを通じて消費者に還元し、クレジット会社の負担分に対し政府が補助金を出します。

 地域の商店街を支える中小店舗は財務基盤が弱く、消費増税による景気落ち込みの影響を受けやすいのが現状です。

 政府はこうした店舗に特化して経営を支援する考え。

 また、中小店舗では、カード会社に支払う手数料や端末設置の負担が重く、キャッシュレス決済が広がっていません。

 日本では中国や韓国に比べキャッシュレス決済の割合が小さく、経産省はこのポイント還元制度を中小店舗への導入促進の呼び水にしたい考えです。

 必要な端末も配布する方針。

 年末に向けて策定する2019年度当初予算案に盛り込む見通しで、関連費用は数千億円規模に膨らむ可能性があります。

 ただ、どのようなポイントで還元するのかやカード会社への補助の仕組みなど実務面での課題は多くあります。

 そもそも、増税分の2%分を国がそのまま消費者に還元してしまえば社会保障の充実などの財源がなくなってしまいます。

 経産省が主導する案ですが、財務省内からは「上げた分を下げるとなれば、何をやっているんだか分からない」(幹部)と冷ややかな声も漏れています。

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2018年12月1日土曜日

(後編)経団連:2019年度税制改正要望を公表!

 上記②では、事業者の事務負担を軽減する観点から、95%ルールを復活させるべきとしております。

 提言では、IoTやAIなどの技術を取り入れた新たな経済社会「Society5.0)」の実現に向けて、研究開発税制の拡充や税務分野におけるデジタル・ガバメントのさらなる推進等が重要と指摘しております。

 研究開発税制については、法人税額の控除上限を25%から30%へ引き上げるほか、期限切れを迎える控除率10%から14%の部分について延長・拡充することが必要であるとしました。

 国際課税については、米国における税制改正により外国子会社合算税制において合算課税や事務負担が増大するおそれがあるとして、その見直しやBEPS(税源浸食と利益移転)勧告の国内法制化、租税条約ネットワークの充実について慎重に検討すべきとしました。

 経団連では、「経済界としても民主導のイノベーションを通じて経済の好循環に引き続き貢献していく」とし、提言は与党税制調査会などに要望していくとしております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月30日金曜日

(前編)経団連:2019年度税制改正要望を公表!

 経団連は、2019年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、2019年10月から消費税率10%への確実な引上げと同時に、税率引上げ後の自動車や住宅に対する消費の落込みを抑える措置も要望しました。

 具体的には、自動車税を軽自動車税(現在1万800円)並みにする案やエコカー減税の延長、自動車重量税を当分の間廃止することのほか、住宅については、住宅ローン減税の延長、住宅リフォーム減税の創設、不動産取得税の特例の延長などを求めました。

 また、需要平準化の取組みを求め、販売価格の設定という企業の最も基本的な経済活動を制約しないことを前提としつつ、中小企業等による適正転嫁や小売の既存実務に配慮した制度設計を行うべきであると主張しております。

 さらに、消費税制度の改善として、
①消費税の申告期限の延長
②消費税の仕入税額控除に係る95%ルールの復活
③福祉車両や損害保険など仕入税額控除ができない非課税取引への配慮
を挙げました。

 上記①では、事業者の事務負担を軽減する観点から、消費税の申告期限について、法人税の申告期限とあわせる形で延長を検討すべきであるとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月29日木曜日

(後編)環境省:2019年度税制改正要望を公表!

 税制全体のグリーン化は、税制を環境負荷に応じたものとすることで、環境負荷の抑制に向けた経済的インセンティブを働かせるなど、持続可能な社会を実現する上で有効な政策と主張しております。

 車体課税のグリーン化では、環境性能のより優れた自動車の普及促進、地球温暖化・公害対策の一層の推進、汚染者負担による公害健康被害補償のための安定的財源確保の観点から要望しております。

 エコカー減税では、基本構造の恒久化を図ることや環境負荷に応じて適切にインセンティブが付与されるよう、現状のエコカー減税対象車の割合等を踏まえ、減税対象車の重点化等を検討するなど一層のグリーン化を図ることを要望しております。

 汚染者負担の原則に基づく補償給付費用等の財源の安定的な確保を図るため、引き続き、自動車重量税から引き当てることを要望しております。

 大気汚染に起因する疾病に苦しんでいる認定患者の健康被害の回復、生活の安定において、補償給付は重要な役割を担っているので、財源の安定的な確保を図るため自動車重量税から引き当てることも必要だと示しております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月28日水曜日

(前編)環境省:2019年度税制改正要望を公表!

 環境省は、2019年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、税制全体のグリーン化の推進や車体課税のグリーン化などを要望しております。

 環境省は、企業や国民一人ひとりを含む多様な主体の行動に環境配慮を織り込み、環境保全のための行動を一層促進するため、幅広い環境分野において税制全体のグリーン化を推進するとしております。

 具体的には、地球温暖化対策及び自動車環境対策を掲げ、地球温暖化対策として2012年10月から施行されている「地球温暖化対策のための税」を着実に実施し、省エネルギー対策、再生可能エネルギー普及、化石燃料のクリーン化・効率化などのエネルギー起源二酸化炭素排出抑制の諸施策に充当し、揮発油税等については、グリーン化の観点から「当分の間税率」を維持し、その税収を地球温暖化対策等に優先的に充当することを求めております。

 自動車環境対策では、地球温暖化対策・公害対策の一層の推進、汚染者負担の性格を踏まえた公害健康被害補償のための安定財源確保の観点から、エコカー減税対象車の重点化等を検討するなど、車体課税の一層のグリーン化の推進を要望しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月27日火曜日

(後編)文部科学省:2019年度税制改正要望を公表!

 こうした授業料及び入学金の減免措置や給付型奨学金の拡充に伴い、文部科学省では、同省に設置した専門家会議の議論も踏まえて、詳細な制度設計の検討を行っているところです。

 この検討結果も踏まえ、授業料等の減免措置及び給付型奨学金について非課税及び差押禁止とするなど、所要の措置を講じる必要があるとして、無償化に向けて、来年の通常国会に関連法案を提出する予定だといいます。

 文部科学省の要望では、現在、(独)日本学生支援機構法に基づき支給される学資支給金(給付型奨学金)については、所得税法9条第1項第15号により「学資に充てるため給付される金品」として非課税とされているとともに差押禁止措置が適用されていることから、高等教育無償化に伴う拡充後の授業料等の減免措置及び給付型奨学金についても、同様に非課税措置が適用されないとなると、支給対象者が実質的に支援の満額を得られないこととなり、施策の目的を十分に達成することができないとして必要性を主張しております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月26日月曜日

(前編)文部科学省:2019年度税制改正要望を公表!

 文部科学省は、2019年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、高等教育の無償化の実施に伴う授業料・入学金の減免措置及び給付型奨学金に係る非課税措置を盛り込んでおります。

 これは、「新しい経済政策パッケージ」(平成29年12月8日閣議決定)において、真に支援が必要な低所得世帯の子供たちの高等教育無償化を実現し、2020年4月から実施することとされ、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定)においても同様の内容が記載されております。

 高等教育の無償化は、大学・短期大学・高等専門学校・専門学校の、授業料・入学金の減免及び給付型奨学金の拡充をするものです。

 真に支援が必要な低所得世帯の子供たちに限って、大学などの高等教育無償化を実現するため、住民税非課税世帯(年収270万円未満)の子どもたちの授業料等の減免措置を拡充するとともに、学生生活を送るのに必要な生活費を賄えるよう給付型奨学金の拡充を2020年4月から実施します。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月25日日曜日

大きく変わる今年の年末調整

◆平成30年分の所得税から控除が変わる 

 平成29年度の税制改正において、配偶者控除・配偶者特別控除の見直しが行われ、平成30年分の所得税から適用されることになりました。

 これに伴い、給与所得者の扶養控除等申告書、配偶者控除等申告書の記載事項等の見直しが行われていますので、今年の年末調整事務は注意が必要です。

◆変更点1 配偶者控除の見直し

 従来は所得者本人の所得金額に制限はなく、控除対象配偶者がいる場合は誰でも38万円(老人控除対象配偶者の場合48万円)の控除が受けられました。

 しかし、改正後は、所得者本人の収入に応じて控除額が逓減する仕組みが加わり、本人給与収入が1,120万円(合計所得金額900万円)を超えた場合の控除額は次のようになります。

(1)給与収入1,120万円超1,170万円以下(所得金額900万円超950万円以下)の控除額26万円〈32万円〉

(2)給与収入1,170万円超1,220万円以下(所得金額950万円超1,000万円以下)の控除額13万円〈16万円〉

(3)給与収入1,220万円超(所得金額1,000万円超)の控除額0円
 ※〈 〉内は老人控除対象配偶者の控除額

◆変更点2 配偶者特別控除の見直し

 対象となる配偶者の所得金額が給与収入150万円以下(合計所得金額85万円以下)の場合、配偶者控除と同額の控除が受けられるよう見直されました。

 また、適用範囲が拡大し、配偶者の合計所得金額が改正前の「38 万円超 76 万円未満」から「38 万円超 123 万円以下(給与収入103万円超201万円以下)」となりました。

 一方、配偶者控除と同様に、所得者本人の合計所得金額に応じて控除額が逓減する仕組みが加わっています。

◆留意すべき事項

 改正後の配偶者特別控除は適用区分が細分化され、複雑化しています。

 所得者本人と配偶者の所得金額を正確に把握しないと控除額の計算が行えませんので、配偶者特別控除申告書の記載に当たっては十分な確認が必要でしょう。

 また、配偶者特別控除を受けられる配偶者の所得金額要件が拡大しましたが、社会保険の被扶養者要件は変更されていませんので、被扶養者となるためには所得調整が必要です。

2018年11月24日土曜日

平成30年度地域別最低賃金

◆最低賃金引き上げ額平均26円で過去最大

 平成30年度地域別最低賃金は、中央最低賃金審議会で賃上げ額の目安が公表され、それを基に各都道府県労働局長が改定額を決定し10月1日から順次発令されます。

 改定額を見ていくとAランクの6都道府県は目安通り27円引き上げられ、東京は985円と最高、神奈川は983円と1000円に迫りました。

 Bランクの16府県も目安通り26円引き上げられ、7県が新たに800円以上、一方Cランクは25円の引き上げ、5県が新たに800円台に乗せました。Dランクでは24円の引き上げでCとDで11県が762円で並び、最低は鹿児島県の761円でした。

◆5年後には1000円まで引き上げ?

 近年、最低賃金は引き上げの流れが続き、時給額のみで表示されるようになった平成14年度には663円でしたが一昨年度に初めて平均800円を超えました。

 今回は全国加重平均で最低賃金を3.1%程度引き上げています。

 このままですと5年後には1000円に達する事になります。

 政府は800円以下の最低賃金をなくすことを掲げているので、人手不足に対処するため中小企業では実力以上の賃上げを求められるかもしれません。

 平成30年の改定額は以下の通りです。
A.27円改定
東京 985円 大阪 936円 愛知 898円 千葉 895円
神奈川983円 埼玉 898円 兵庫 871円

B.26円改定
茨城 822円 栃木 826円 群馬 809円 宮城 798円
富山 821円 長野 821円 京都 882円 静岡 858円
三重 846円 滋賀 839円 和歌山803円 岡山 807円
広島 844円 山梨 810円 徳島 766円 香川 792円

C.25円改定
北海道835円 新潟 803円 石川 806円 福井 803円
岐阜 825円 奈良 811円 山口 802円 福岡 814円
愛媛 764円 高知 762円 佐賀 762円 長崎 762円
熊本 762円 大分 762円 宮崎 762円 沖縄 762円

D.24円改定
青森 762円 秋田 762円 岩手 762円 山形 763円
福島 772円 島根 764円 鳥取 762円 鹿児島761円

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2018年11月23日金曜日

【時事解説】人工肉が食の革命を起こす可能性 その2

 今、世界全体で注目を集めている技術の一つが、人工肉などの食料に関するものです。

 なぜ、人工肉が期待されるのでしょうか。

 それは、次に掲げる3つの課題を解決する要素となるからです。

 具体的に説明しましょう。

(1)食料不足、食糧難:世界全体で、人口は増え続けており、2050年には現在の3割増の98億人に達するとみられています。

 結果、途上国を中心に、食料(たんぱく質)が不足する可能性があります。

 人工肉を生産する技術があれば、たんぱく質の不足分を補うことができます。

(2)環境問題:実は、食用肉生産には大量の水を必要とします。

 また、家畜の飼育は温暖化ガスを排出する原因にもなっています。

 人工肉へシフトすることで環境負荷の低減が図れると考えられています。

(3)健康維持:従来の食用肉よりも植物を原材料とした人工肉のほうが健康的と考えられています。

 これらの理由から、人工肉への関心が高まっています。

 ただ、量産化にはいくつかの壁があります。

 最も大きな障壁は「コスト」です。2013年、試食会で披露されたハンバーガーは1個3,500万円(開発費込み)という高額なものでした。

 もっともコストがかかるのが、細胞を増やすための培養液で、200グラムの肉を作るのに数百万円もかかるといいます。

 日本のベンチャーは人工肉の技術開発で後れを取っていますが、実は、日本の中にも、人工肉を低コストで量産する技術に取り組んでいる会社はあります。

 将来は、スーパーなどで売られる肉と同等の価格で提供したいと開発を進め、現在は少量ですが、フォアグラの試作に成功しています。

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人工肉が食の革命を起こす可能性 その1

 技術の進歩は家電製品、自動車、通信機器など、数多くの分野で新商品を生み出し、莫大な利益をもたらしました。

 今、次の時代に大きな技術革新が起こるであろうと期待されているものの一つが「食」です。

 なかでも、人工肉は今後、大きなビジネスに発展するのではないかと注目されています。

 通常、私たちが食する肉は畜産農場で育てられたものですが、人工肉は文字通り、テクノロジーを駆使して人の手により生み出された肉です。

 牛の筋肉から採取した細胞を人工培養するものや、大豆から抽出したたんぱく質に遺伝子操作を加え生成するもの、さらには3Dプリンターを用いて形成するものなど、すでに何種類かの製造法が開発されています。

 ただ、歴史は浅く、世界で初めて人口培養肉がお目見えしたのが2013年、ロンドンでハンバーガーの試食会が催されました。

 その後、17年に、米国のマクドナルドがスウェーデンとフィンランドの2国で植物由来のたんぱく質で作られたハンバーガーを発売。

 現在は、米国内のいくつかのレストランで人工肉のハンバーガーがメニューに加えられるようになりました。

 いずれも本物そっくり、説明されなければ従来の肉と区別がつかない、と評判になっています。

 日本人は遺伝子操作に対して違和感を覚える人が多く、人工肉への関心は高くありません。

 が、人工肉の技術開発を行う食料ベンチャーへは、マイクロソフト創業者、ビル・ゲイツ氏をはじめ、シリコンバレーの成功者が投資をはじめています。

 かつて、ガレージで産声を上げたグーグルやアップルが大企業へと成長したように、次は食料ベンチャーが大きく羽ばたくのではないかといった声もあります。(つづく)

2018年11月22日木曜日

中小企業における仕事と介護の両立 その2

 では、中小企業における仕事と介護の両立にあたっては具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。

 そこで2017年版中小企業白書において、介護中の従業員も含め柔軟な働き方を実現し、人材の定着を図る企業として紹介された、株式会社長岡塗装店(本社:島根県松江市、従業員27名)の取組みについてみていきましょう。

 株式会社長岡塗装店は、1938年創業の塗装業者です。

 人材の流動性が高い建設業界において、かつては同社でも従業員の離職への対応という課題を抱えていました。

 そこで同社では、従業員に長く活躍してもらうための働きやすい職場づくりに取り組みました。

 まず、30分単位で取得可能な看護休暇制度を整備しました。

 その際、従業員が制度をお互いに気持ちよく利用できることこそが重要であるとの立場から、制度を作る過程において制度を利用しない者から優先して意見を聞いたり、全員に丁寧な説明を心掛けたり、従業員の意見を受けて育児支援制度と介護支援制度を同時に作ったりと、従業員間の公平性の確保・摩擦の軽減を意識しました。

 事情の異なる従業員一人ひとりと真摯に向き合った結果、現在では育児・介護のための始業・終業時間の繰上げ・繰下げ、保育料や介護サービス利用費用の補助等、多種多様な制度を導入しています。

 また、制度の運用面でも柔軟な対応を図っています。

 例えば家族の通院がある日だけ就業時間を短縮するなど弾力的な運用を行うことで、従業員の仕事と生活の両立を支援しています。

 このように中小企業における仕事と介護の両立に向けては、両立支援のための人事制度等の設計だけでなく、運用面での事前の準備や、運用面での柔軟な対応が求められるのです。

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2018年11月21日水曜日

中小企業における仕事と介護の両立 その1

 総務省「平成29年就業構造基本調査」によると介護をしながら働く者は約346万人おり、うち自営業者を除く雇用者は約300万人を占め、高齢化の進展から今後ますます増加することが見込まれます。

 中小企業において人材確保が困難となる中、従業員の仕事と介護の両立支援を図り人材の定着を図ることが重要となります。

 「中小企業白書2017年版」では、中小企業における仕事と介護の両立の現状と課題について、就業者側の立場と中小企業側の立場の両方から整理しています。

 まず、就業者側が仕事と介護の両立支援のためにどのような取組みを企業に期待しているのかについてみると、家族に要介護者がいる者では、「半日や1時間単位の年次有給休暇」や「突発的な事由による遅刻・早退・欠勤の許可等の労働時間・労働日数の弾力的運用」について相対的に重視する傾向があることが示されています。

 このことから介護・看護に当たっては、予期せぬ突発的な事象が発生することも想定されるため、フレキシブルな対応を企業に求めていると考えられます。
 
 次に、中小企業側が認識している従業員の仕事と介護の両立支援に係る課題についてみると、「従業員間の公平性の確保・摩擦の軽減」、「休業者の補填が難しい」、「急な遅刻・早退・欠勤等のリスク」、「仕事の配分・管理が複雑化」の順に回答した割合が高くなっており、介護を事由とした休暇・休業に伴う業務の補填や調整について課題として認識する傾向が強いことが示されています。

 このように中小企業における仕事と介護の両立に向けては、突発的な事由による労働時間の変動や、他の従業員との公平性の担保等の課題に対応することが求められるのです。(つづく)

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2018年11月20日火曜日

(後編)東京商工会議所:2019年度税制改正に関する意見を公表!

 さらに、軽減税率制度の導入はゼロベースで見直すこと、インボイス制度は廃止を含め慎重に検討すること、混乱なく軽減税率制度を導入するため、国による徹底的な広報により事業者の準備を促すなど早急な対応を求めております。

 事業承継の円滑化では、個人事業主の事業承継に対する支援措置として、青色申告を選択し、個人資産と事業用資産を区分している個人事業者を対象に、民法上の特例措置や事業用の建物等の贈与税・相続税の軽減措置を検討することや分散した株式の集約促進のため、同族判定の範囲の縮小などを要望しております。

 また、事業承継税制の改善として、都道府県・税務署への提出書類の簡素化、書類提出の不備等に対する宥恕規定の明確化、一般事業承継税制を利用して自社株式を生前贈与した場合、相続発生時に追加で税負担が生じることから、特例事業承継税制への切替えを認めること、特例事業承継税制の適用対象拡大を踏まえた承継円滑化法に基づく民法特例措置の対象の見直しなどをあげております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月19日月曜日

(前編)東京商工会議所:2019年度税制改正に関する意見を公表!

 東京商工会議所は、2019年度税制改正に関する意見を公表しました。

 それによりますと、中小企業の成長を後押しする観点からの設備投資減税の延長・拡充、研究開発税制の延長・拡充、中小法人の軽減税率の延長、消費税率引上げに向けた経済環境の整備及び円滑な価格転嫁の実現のほか、事業承継の円滑化に向けた税制措置などを主張しております。

 消費税率引上げ、軽減税率導入に向けた課題として、需要変動の平準化対策を講じるに際しては、中小企業の円滑な価格転嫁との両立が大前提であること、「消費税は価格に転嫁されるもの」であることを消費者や事業者へ強力な広報の展開とあわせて、消費税転嫁対策特別措置法に基づく実効性の高い転嫁対策を推進すること、「消費税還元セールの解禁」など、転嫁対策を後退させる消費税転嫁対策特別措置法の改正は不要なことを掲げました。

 総額表示は消費者に対して値上げした印象を与え、消費税の転嫁が困難になるので、外税表示を恒久化し、事業者が自社にあった価格表示を選択できるよう要望しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月18日日曜日

(後編)財務省:KSKシステムの行政事業レビューを公表!

 しかし、問題点として、当局では他社がつくったプログラムを改修しろと言われても非常に怖いという各ベンダーの意見がありました。

 運用コストの削減については、2021年1月に予定している機器更改に対して、センター設置サーバ台数の削減、拠点用サーバのセンターへの集約等の方針を策定し、さらなる削減を図るとしております。

 KSKの開発関係経費は、2018年度の場合、全体が約345億円計上され、そのうち50億円ほどがプログラム開発関係の費用、290億円強がランニングコスト、そのうちさらに240億円ほどが電子計算機等の借料という構成になっております。

 外部有識者による点検結果によりますと、「一者応札の契約が多く、財務省もベンダーロックイン(特定ベンダーの独自仕様のシステムが採用されるとベンダーが固定されやすくなること)やシステム規模などが業者の参加を妨げる要因となっていると認識しているが、それに対する有効な対策が検討されているか疑問」、「運用コストの削減については、開発費との合計額の観点からも削減ができるように、検討を進めるべき」などのコメントがあがっております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月17日土曜日

(前編)財務省:KSKシステムの行政事業レビューを公表!

 財務省は、国税総合管理(以下:KSK)システムの行政事業レビュー結果を公表しました。

 KSKシステムとは、全国の国税局と税務署をネットワークで結び、申告・納税の事績や各種の情報を入力して国税債権などを一元的に管理し、これらを分析して税務調査や滞納整理等に活用するなど税務行政の根幹となる各種事務処理の高度化、効率化を図るシステムです。

 また、行政事業レビューの目的は、各府省が自ら所管事業の執行状況を公表するとともに、外部有識者による客観的な事業の点検を受け、その結果を概算要求や執行の改善に反映させることにあります。

 KSKシステム事業の点検での論点には、「次期システム更改に向け、専門的な第三者の意見を聞くなど、一者応札の改善も含めた適切な検討が行われているのか」、「2021年度を目途とする運用コストの3割圧縮に向けて運用コストの削減に努めているか」の2つがあります。

 執行状況をみてみますと、一者応札の改善については、2015年度のホスト機器の調達で調達区分の細分化、入札公告期間の延長等をした結果、ネットワーク機器の調達で複数応札が実現したとあります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2018年11月16日金曜日

消費税軽減税率導入まであと1年!

◆消費税軽減税率制度の概要

 2019年(平成31年)10月1日から、消費税及び地方消費税の税率が8%から10%に引き上げられると同時に、消費税の軽減税 率制度が実施されます。

 軽減税率(8%)の対象となるのは、次の2品目です。

・飲食料品…飲食料品(酒類を除く)※外食やケータリング等を除く。
・新聞…週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)

◆区分記載請求書等保存方式が始まる

 軽減税率制度の実施に伴い、消費税等の税率が8%と10%の複数税率になりますので、2019 年10 月1日から2023年9月30日までの間は税率ごとの区分経理が必要です。

 また、区分経理に対応した帳簿及び請求書等の保存も要件となります。

◆適格請求書等保存方式(インボイス方式)

 2023 年10 月 1 日以降、複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、「適格請求書等保存方式」いわゆる「インボイス方式」が導入されます。

 適格請求書(インボイス)は、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者でなければ交付できませんので、適格請求書発行事業者となるためには、2021年10 月1日以降、登録申請書を税務署に提出しておかなければなりません。

 免税事業者は、課税事業者となることを選択し、登録申請書を提出すれば適格請求書発行事業者となることができます。

◆レジの導入はお早めに

 複数税率対応レジを導入することで、区分記載請求書等の発行が簡単にできるようになりますし、今なら軽減税率対策補助金が1台当たり最高で20万円受けられます(※資本金額など一定の条件があります)。

 軽減税率対策補助金は今年8月現在で約7万以上の事業者に交付されたとのことです。

 メーカーによっては人気商品が欠品となっていて、納品までに時間がかかるケースも見受けられるようになってきました。

 軽減税率対策補助金の補助事業の完了期限は2019年9月30日まで延長されていますが、補助金に限りもありますので、早目の対応をおすすめします。

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2018年11月15日木曜日

新卒留学生の入社準備はお早めに

◆留学生のビザ切り替えは12月から

 日本に滞在している外国人留学生は、留学ビザという勉強のためのビザを持って滞在しています。

 ビザは滞在目的により種類が異なりますので、日本で就職活動をして内定が出た場合、卒業後には就労できる種類のビザ、一般的に「就労ビザ」と呼ばれる就労可能な資格に切り替えなければ、継続して滞在することができません。

 留学ビザのままでは勤務することができませんので、入社時までに就労ビザへの切り替えが完了していなければなりません。

 そのため、外国人の在留を管理する入国管理局では例年、4月入社予定の外国人留学生について、前年の12月1日から就労ビザへの変更申請を受け付けています。

◆入社直前の申請でも大丈夫?

 年末年始は会社側も何かと忙しいものですが、この就労ビザへの変更は遅くとも2月上旬頃までには済ませておきたいものです。

 というのも、就労ビザへの変更は即日完了するものではなく、業務内容と学歴との関連性や本人の素行等、様々な要件を複合的に審査するため、通常は審査期間に1か月~1か月半を要します。

 また、申請の内容から追加資料や説明を求められるケースもあり、そういった場合は更に審査期間が長引く可能性もあります。

 12月以降は就労ビザへの変更申請が集中し、入国管理局も大変混雑します。

 残念ながら個別の事情を考慮してくれることは珍しく、申請が遅くなると、入社までに切り替えが間に合わないということも十分あり得るのです。

◆もしも入社までに完了しなかったら…

 先述のとおり、留学ビザは勉強を目的とした資格ですので、就労ビザへ切り替わるまでは勤務を開始することができません。

 留学生の場合、希望すれば資格外活動許可という週28時間までのアルバイトが許可されるため、せめてこの時間以内でも働いてもらいたいと思うかもしれませんが、この資格外活動許可もあくまで在学中に限って許可されているため、卒業後はアルバイトに従事することもできないのです。

 申請は原則、留学生本人が行うものですが、企業側としても余裕を持って準備を進めたいですね。

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2018年11月14日水曜日

寡夫控除 見直しまで道遠く

 今年末に向け話し合いが本格化する2019年度税政改正で議論になりそうなのが、ひとり親世帯の税負担を軽くする「寡婦控除」です。

 現状、離婚や死別によるひとり親が対象ですが、未婚のひとり親にも適用を広げるかが議論されます。

 同じひとり親でも、婚姻歴の有無だけで負担に差が出るのは不公平との声があるためです。

 寡婦控除の始まりは1951年。

 戦争で夫を失った妻を支えるのが当初の目的でした。

 現状、ひとり親世帯を対象に所得税は年収から最大35万円、住民税は最大30万円を差し引いてから課税しています。

 ただ、離婚や死別でひとり親になっていることが条件で、未婚のままのひとり親は適用外です。

 しかし、厚生労働省の2016年度調査では、母子家庭で「未婚」が占める割合は8.7%で推計約10万7千世帯に上ります。

 最多の離婚(8割)に次いで多く、「死別」(8%)をわずかとはいえ上回っています。

 一方で「未婚」世帯の母親の平均年収は177万円と母子家庭全体の200万円を下回っており、全体でみれば経済的に厳しい状況に置かれています。

 政府・与党は18年度税制改正大綱で、寡婦控除について「19年度改正で(見直しを)検討し、結論を得る」と明記し、議論になるのは確実です。

 ただし自民党内では「婚姻に基づく結婚の形が壊れないか」、「内縁の夫がいるなど経済的に困窮していない場合も優遇されないか」などとの慎重論も根強くあります。

 財務省内でも、「昔から税制としては歪んでいると指摘されてきた」としつつ、対象世帯の所得がそもそも少ないことから「税よりも補助金などで対応する方が効果的では」との指摘する声もあります。

 「子どもの貧困」が社会問題として意識される中、政府・与党が出す答えに注目が集まっています。

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2018年11月13日火曜日

基準地価、バブル以来27年ぶり上昇

 国土交通省が公表した2018年の基準地価によれば、今年の全国の地価の平均(全用途)は前年度比0.1%上昇し、バブル期の1991年以来27年ぶりに上昇となりました。

 前年まで8年連続でマイナス幅を縮小し、17年は0.3%の下落にとどめていましたが、とうとうプラスに転じたことになります。

 東京、大阪、名古屋の三大都市圏は住宅地で前年比0.7%、商業地で4.2%、工業地で2.1%と、それぞれ前年に引き続いての上昇となりました。

 全国の地価上昇を押し上げた最大の要因は、三大都市圏よりもむしろ地方中枢都市です。

 札幌、仙台、広島、福岡の地方中枢4都市は、住宅地で3.9%、商業地に至っては前年比9.2%という三大都市圏をはるかにしのぐ伸びを示しました。

 また中枢都市以外に、人気の観光地を抱える自治体の地価上昇も著しいものでした。

 全国の地価上昇率ランキングを見ると、スキーリゾートとして外国人に人気の高いニセコを抱える北海道倶知安町が上位3位を独占し、20%台後半から45%とすさまじい上昇率を誇っています。

 また国内観光客にも人気の高い京都も4地点がランクインし、東京や大阪をしのぐ伸びを見せました。

 一方、中枢都市や観光地以外の地方都市に目を向けると、マイナス幅は縮小しているものの下落が続いています。

 住宅地では0.9%、商業地でも0.6%の落ち込みを示し、上昇が続く都市圏とは対照的に、地価の二極化傾向をくっきり表す結果となりました。

 基準地価は毎年7月1日時点での全国の地価を表したもの。

 1月時点での地価を調査する公示地価と補完し合う関係となっています。

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2018年11月12日月曜日

特例経営承継受贈者の適用要件(その2)

Ⅱ 相続時精算課税制度の適用範囲の拡大

 平成30年度税制改正前では、60歳以上の父母又は祖父母から20歳以上の子又は孫(直系卑属)への贈与が相続時精算課税制度の対象とされていました。

 平成30年度税制改正では、改正前の制度に加えて、特例対象受贈非上場株式等を贈与により取得した特例受贈者が特例贈与者の推定相続人以外の者(その年1月1日において20歳以上である者に限ります。)であり、かつ、その特例贈与者が同日において60歳以上の者である場合には、相続時精算課税の適用を受けることができることとされます(措法70の2の7①)。

 この場合における「推定相続人」とは、その贈与をした者の直系卑属である者のうちその年1月1日において20歳以上である者とされます(措通70の2の7-2)。

 なお、この改正は、平成30年1月1日以後に贈与により取得する株式等に係る贈与税について適用されます(平成30年度改正法附則118⑤)

おわりに

 前述したⅠ④イ又はロのいずれの場合に該当するかは、同一の特例贈与者から同一の特例会社の株式等を「贈与税の納税猶予及び免除の特例(措法70の7の5①)」の規定の適用に係る贈与により取得した個人の数によることとされます(措通70の7の5-10(注)1)。

 また、前述したⅠ④ロに掲げる要件の判定は、その贈与のうち最後に行われた贈与直後のいずれの特例受贈者の有する株式等が特例贈与者の有する特例会社の株式等の数等を上回ること(同率の場合は不可)とされていますので留意して下さい。

2018年11月11日日曜日

特例経営承継受贈者の適用要件

はじめに

 中小企業経営者の高齢化に伴い、今後10年の間に平均引退年齢である70歳を超える経営者が245万人になると推定されています。

 このうち、半数以上が事業承継の準備を終えていない現況にあります。

 そこで、平成30年度税制改正では、円滑な世代交代に向けた集中取組み期間(10年間)の時限措置として、事業承継税制の各種要件の緩和を含む事業承継税制の特例制度(以下「本特例」といいます。)が創設されました。

 本稿では、本特例の適用対象者である特例経営承継受贈者(以下単に「特例受贈者」といいます。)の適用要件及びその実務上の留意点について解説することとします。

Ⅰ 特例受贈者の定義

 「特例受贈者」とは、特例贈与者から本特例の規定の適用に係る贈与により特例認定贈与承継会社(以下単に「特例会社」といいます。)の非上場株式等の取得をした後継者で、次に掲げる要件の全てを満たす者(その者が2人又は3人以上ある場合には、その特例会社が定めた2人又は3人までに限ります。)とされます(措法70の7の5②六)。

① 贈与の日において20歳以上であること。
② 贈与の時において、特例会社の代表権(制限が加えられた代表権を除きます。)を有していること。
③ 贈与の時において、後継者及び後継者の親族などで総株主等議決権数の50%超の議決権数を保有すること。
④ 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める要件を満たしていること。
 イ後継者が1人の場合…同族関係者の中で筆頭株主であること。
 ロ後継者が2人又は3人の場合…各後継者が10%以上の議決権を有し、かつ、同族関係者の中で上位2位以内(後継者2人の場合)又は3位以内(後継者3人の場合)であること。
⑤ 贈与の時からその贈与の日の属する年分の贈与税の申告書の提出期限(その提出期限前に後継者が死亡した場合には、その死亡の日)まで取得した株式等を継続して保有していること。
⑥ 贈与直前において3年以上役員(会社法上の役員及び業務を執行する社員を含みます。)であること(措規23の12の2⑧,会社法329①)。
⑦ 特例会社の株式等について、一般措置(措法70の7①,同法70の7の2①)の適用を受けていないこと。
⑧ 特例承継計画に記載された後継者であること(措規23の12の2⑨)。

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2018年11月10日土曜日

(後編)国土交通省:2019年度税制改正要望を公表!

 被相続人は相続開始直前において老人ホーム等に入居していることも多く、また、取引実態上、売主(相続人)が譲渡前にリフォームや除去するよりも買主が行うことが多いという実態に配慮した要望です。

 また、地域福利増進事業(一定の所有者不明土地について都道府県知事による事業の公益性等の確認を経て、公園や広場等として利用する事業)の用に係る特例措置の創設も要望しており、同事業の用に供する土地・建物に係る固定資産税等を3分の2に軽減する特例措置及び事業者に土地等を譲渡した場合の所有者の譲渡所得から1,500万円を特別控除します。

 そして、外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充も求めており、すでに消費税免税店の許可を受けている事業者が、地域のお祭りや商店街のイベント等に出店する場合に、簡素な手続きにより免税販売を認めることによって、地域の特産品等の販売機会を増やし、外国人旅行者への販売機会の増加につなげ、外国人旅行消費額のより一層の拡大と地方を含めた免税店数のさらなる増加を図ります。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月9日金曜日

(前編)国土交通省:2019年度税制改正要望を公表!

 国土交通省は、2019年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、空き家の発生を抑制するための特例措置の拡充・延長などを要望しており、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除について、2019年12月末までの適用期間を4年間延長した上で、被相続人の直前居住要件及び建物リフォーム・除去の時点に関する要件を緩和して、特例適用対象を拡充し、空き家の発生の抑制を図ります。

 同特例は、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋(1981年5月31日以前に建築され、相続の開始直前において被相続人の居住の用に供されていたもの)を相続した相続人が、その家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む)又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、その家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除するものです。

 この特例措置を4年間(2020年1月1日~2023年12月31日)延長した上で、被相続人が老人ホーム等に入居した場合や譲渡後に家屋の除却又は耐震リフォームを行った場合を対象に加えることを要望しました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月8日木曜日

(後編)日本税理士会連合会:2019年度税制改正に関する建議書を公表!

 その際、給与所得控除・公的年金等控除の水準が過大なことや、控除が適用されない事業所得者等とのバランスも踏まえ、所得計算上の控除を縮減した上で、基礎的な人的控除を中心に課税最低限を確保することが適切としました。

 上記③では、償却資産に係る固定資産税制度が事業者の設備投資の阻害要因になっていること、現状では課税客体の捕捉が不十分、固定資産台帳の整理が賦課期日と決算日の年2回必要になるなど事業者に過度な事務負担を強いていること等の問題があるとしております。

 市町村の財政の現状からみると、代替財源がない限り同制度を廃止することは困難なため、当面は制度を維持しつつ上記問題の解決も検討する必要があるとしております。

 賦課期日と申告期限については、賦課期日は現行法のままとしつつも、申告期限につき、現行方式と電子申告に限り法人税の申告期限と一致させる新方式との選択制を早期に実現した上で、償却資産に係る固定資産税を固定資産税とは異なる新たな税目とする、所得税の申告期限と一致させるなどの抜本的改革の検討を求めております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月7日水曜日

(前編)日本税理士会連合会:2019年度税制改正に関する建議書を公表!

 日本税理士会連合会(以下:日税連)は、2019年度税制改正に関する建議書を公表しました。

 それによりますと、重要建議項目として、

①消費税における単一税率及び請求書等保存方式を維持すること
②所得計算上の控除から基礎的な人的控除へのシフトを進めるとともに、基礎的な人的控除のあり方を見直すこと
③償却資産に係る固定資産税制度を抜本的に見直すこと

をあげております。

 上記①では、軽減税率(複数税率)制度は、区分経理等により事業者の事務負担が増加することや、逆進性対策として非効率、財政が毀損し社会保障給付の抑制が必要となるなどの理由から、日税連では、単一税率制度の維持を強く主張しております。

 また、2023年10月に導入予定の適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)への移行は、行政手続コスト削減の方向性に逆行することのないような配慮・見直しを求めております。

 上記②では、基礎控除、配偶者控除等の基礎的な人的控除の課税最低限は、健康で文化的な最低限度の生活を維持するために侵害してはならない性質を有するもので、生活保護の水準に合わせていくことが望ましいとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年11月6日火曜日

輸出免税で消費税不要のはずが なぜ付加されるかという疑問

◆輸出免税で消費税がかからないハズ・・・?

 日本からの海外への物品の輸出については、消費税が課税されない輸出免税となっています。

 輸出免税とは、物品の販売(=消費税法でいうところの資産の譲渡等)は本来課税されるところ、特別な配慮(=消費地課税主義と国際的慣行)により課税されないこととされているものです。

◆輸出免税なのに消費税が付加される背景①

 輸出元の日本の事業者(個人・法人)が、小規模で消費税免税事業者の場合です。

 自分が仕入れた物品にかかる消費税額がコストとなってしまうことを回避するために、売上にも消費税を付加してきます。

 購入する側の外国の事業者(個人・法人)は、日本の消費税が輸出免税との認識がないので請求書の金額のまま支払ってしまう場合です。

◆輸出免税なのに消費税が付加される背景②

 日本の事業者が、消費税申告をして申告書では輸出免税として仕入に係る仕入れ税額控除を取りながら、請求書では消費税額を加算した金額を請求することもあります。

 外国の事業者が輸出免税との認識がないのでそのまま支払いをしてしまう場合です。

 日本の事業者が、消費税の申告で輸出免税とせずに納税している場合には、[輸出元の日本の自事業者において]更正の請求による還付→[外国事業者へ]返金ということも考えられます。

 しかしながら、日本の事業者が申告書では輸出免税としながら、相手先からは消費税分を収受している場合には厄介です。

◆これは弁護士マターです

 請求書上で物品の税抜本体価格と消費税額が明確に別記してあれば、交渉して消費税額を返金してもらう可能性もあります。

 請求する側としては、「本件取引は輸出免税取引であり、消費税を別記している支払代金のうち、消費税部分は法律上の原因のない給付となり、民法上、不当利得として返還請求できることになる」と主張します。

 しかしながら、すんなりとはいかないケースもあります。

 たとえば、売買契約書において、「本体価格」と「消費税等」を合計した総額が「売買代金」とされていて、売買代金としては、総額で合意しているとも解釈される余地がありそうな場合です。

 この点は契約解釈の問題であり、相手方が争ってきた場合は返金請求が難しくなることもあるようです。

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2018年11月5日月曜日

この10年間減っている労働時間

◆月240時間以上労働の過労死ライン

 最近の調査で東京大学社会科学研究所の調べによると、この10年間に月に240時間以上の長時間労働をしている人が減少したことが分かりました。

 月に240時間以上の長時間労働をしている男性の「典型雇用」(正社員等)では2007年の35.4%から2017年は23.7%まで減少しています。

 同じく女性の典型雇用でも12.1%から8.2%に減少しています。

 「非典型雇用」(契約社員等)でも減少傾向が見られます。

 月に240時間以上の長時間労働を見ると1カ月20日勤務したとした場合1日12時間以上の労働になりますが、月間80時間以上の時間外労働は過労死ラインと言われています。

 脳卒中や心臓病の発症率が高く、労災とされた時は業務との因果関係が認められやすくなり、労働者、企業の双方にリスクがあります。

 減少してきたとは言えまだ23.7%あるのは高いと言えるのかもしれません。

◆帰宅時間は変わったか

 同じ調査で働く人の「平均帰宅時間」も早まった事が分かりました。

 この10年間で男性は午後8時2分から同7時48分へ、女性は午後6時48分から同6時1分へそれぞれ減少していて平均的な労働時間も減少しています。

◆働く人の意識の変化

 別の調査でシチズン時計株式会社が行った「ビジネスマンの生活時間35年の推移」によると、帰宅時間で遅いと感じる時間は1980年から2000年迄は「23時」がトップでしたが2010年には「22時」がトップ、2015年には「21時」がトップと、この35年間年々早まる結果となりました。

 同調査はリーマンショック(2008年)や東日本大震災(2011年)の影響から生活様式が見直され、働き方にも変化が見られるとしています。

 その後の過労死の社会問題、働き方改革の推進もあり、働く人々の意識の変化がさらに高まってきています。

 企業もこの世相や意識の変化を認識しておく必要があるでしょう。

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2018年11月4日日曜日

NISA初年度の非課税期間終了へ

 NISAの専用口座で保有する株式のうち、制度がスタートした2014年に購入した株式の非課税期間が年内に終了します。

 来年以降も株を持ち続けるのであれば、売却益に課税される通常の口座に移管するか、来年分の非課税枠を使ってNISAの適用を継続するか、いずれかの選択が必要です。

 NISAで年間120万円までの投資の利益が非課税になる期間は5年に限られます。

 そのため、制度が始まった14年に投資した分は今年で非課税期間が終了することになります。

 通常の口座(一般口座・特定口座)への移管では、今年12月の最終営業日の時価を基準にして、その後の利益には20%の所得税が課税されることになります。

 一方、新たなNISA口座への移管後は、5年間の非課税期間が改めてスタートすることになります。

 非課税の対象となる投資金額は、新たな口座に引き継いだ残高全て。

 例えば初年度に100万円で購入した株式が500万円まで増えているとすると、非課税となる金額は通常のNISAの年間上限である120万円ではなく、500万円全額です。

 ただし、新たなNISA口座に移管すると、その年のNISAの非課税枠をつぶしてしまうことになります。

 すなわち年末の時点で120万円以上の株を新口座に引き継ぐと、その年は他にNISAの非課税枠を使えなくなります。

 いずれの選択肢が資産形成に有利であるかは、来年以降の株式の動きによって変わります。

 保有している株式が他の株式と比べて値上がり率が高いと判断するなら、新しいNISA口座への移管が一般的な選択肢となります。

 日本証券業協会は初年度の非課税期間の終了が間近に迫っていることを受け、利用者に対し、証券会社から順次届く案内に従い、各社の定める期限までに手続きをするように注意を呼び掛けています。

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2018年11月3日土曜日

自動車工業会が車減税に自信

 日本自動車工業会は9月下旬に発表した税制改正要望で、自動車の保有者が毎年負担する自動車税を大幅に引き下げるよう政府に求めました。

 2019年10月に10%となる消費税、米国による輸入自動車への追加関税と、今後の生産・販売は「嵐のような逆風」(自動車メーカー幹部)に見舞われる恐れがあります。

 19年度の税制改正に向け、自動車業界は例年以上に激しく、財務省や総務省との交渉に臨む姿勢です。

 まず挙げたのは、新たに購入する車を対象にした自動車税の引き下げ。

 人気の軽自動車税(年1万800円)並みを想定しました。

 排気量1千cc以下の小型車なら、年2万9500円から1万6400円になる見込みです。

 自動車税は年間1兆5千億円規模の税収をもたらし、地方の貴重な財源となっています。

 軽レベルまで引き下げれば税収は4千億円ほど減る可能性がありますが、経済産業省が地方税を所管する総務省と内々に減税交渉を進めており、自工会関係者は「実現に向けた地ならしは相当に進んでいる」と自信を見せます。

 政府は6月にまとめた経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で、消費増税への対応を盛り込みました。

 自動車の販売冷え込み対策として、増税と同時に導入される燃費課税を初年度に限り免除する案が検討されており、自工会は車を購入した初年度の自動車税も併せて対象に加えるよう求めます。

 消費税率のアップで、国内の新車販売は30万台程度を縮小が見込まれます。

 財務省と総務省は「減税は必要な財源の確保とバーターで」という立場を崩していませんが、自工会は「一時的な減税でも構わないので何とか押し込みたい」と鼻息を荒くしています。

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2018年11月2日金曜日

軽減税率対応補助金で不正受給

 消費税率10%への引き上げにあたっては食料品などの税率が8%で据え置かれますが、そうした複数税率に対応するレジを導入した企業に支給される補助金を不正に受け取っている事業者がいるとして、中企庁が調査に乗り出しました。

 補助金が支給されるためには、8%税率が適用される飲食料品や新聞を継続的に販売していかなければなりません。

 しかし中企庁によると、理美容院、エステ、クリーニング店、楽器店などで、実際には軽減税率の対象商品を販売していないにもかかわらず、飲食料品を一時的に仕入れた証拠書類を提出して補助金を申請した事例があったそうです。

 また、飲食店が軽減税率の適用対象外となる店内での飲食に加え、対象となるテイクアウトを行っていると虚偽の申請をしたケースもありました。

 いずれも現地調査によって不正が発覚しています。

 同庁は今後も現地調査を行い、不正が発覚した場合には事業者に補助金の返還を求めるとしています。

 補助金で補われる金額は導入に掛かったコストの最大3分の2で、レジ1台当たり20万円が上限となっています。

 ただし1台だけの導入でかつ3万円未満の機器は4分の3となります。

 また、新たに商品マスタの設定や機器の設置や運搬に費用がかかる時には、1台あたり20万円を上乗せします。

 複数の機器を導入した場合は1事業者当たり200万円が上限です。

 平成28年4月に募集開始となって以来、今年8月時点で7万以上の事業者が補助金を受け取っています。


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2018年11月1日木曜日

養育費、賠償金の逃げ得を防止

 法制審議会(法相の諮問機関)の民事執行法部会が、裁判で養育費や賠償金の支払いを命じられても応じない債務者の勤務先や預貯金口座について、裁判所が金融機関に情報提供を命じる新制度を柱とする改正要綱案をまとめました。

 法務省は、10月の法制審議会の総会で法相に答申し、改正法案を今秋の臨時国会への提出を目指す方針です。

 支払いに応じない人の預貯金などを差し押さえるためには、現行制度では元配偶者らが自ら金融機関を特定し、情報を開示してもらわなければなりません。

 しかし、金融機関に情報を求めても個人情報の壁があり、泣き寝入りせざるを得ないケースがほとんどです。

 子どものいる夫婦の離婚は年間10万件を超えていますが、厚生労働省の調べでは養育費を受け取っている母子家庭は24%にとどまっています。

 犯罪被害者に対する賠償金についても支払いに応じない加害者が多いのが現状です。

 日弁連の2015年の調べでは、賠償支払い義務が裁判で確定した164件のうち全額賠償されたのは70件にとどまっています。

 要綱案では、裁判で支払いを命じられた判決や公正証書などに基づいて債権者が申し立てれば、裁判所が金融機関に債務者の預貯金や株式情報を取得できるようにします。

 また市町村などの公的機関に対しても土地・建物や勤務先の情報を得られるようにするとのことです。

 これらの情報を基に、債務者の財産差し押さえを申し立てができるようになります。

 一方でこの新たな差し押さえ制度は、消費者金融などの借金を負った債務者が強引な取り立てを受ける事態になる恐れも懸念されています。

 要綱案では、財産の差し押さえから債権回収までの期間を現行の1週間から4週間に延長し、債務者が債権回収の禁止を申し立てる期間を確保できるようにしましたが、どれほどの効力を発揮するのかは未知数と言えます。

2018年10月31日水曜日

(後編)文部科学省:2019年度税制改正要望を公表!

 関係者の間では、スポーツの中でゴルフだけが消費税と施設利用税との二重課税で公平性を欠いているなどとして廃止を主張しております。

 要望の背景には、ゴルフ人口の減少にあるとみられ、1993年に約1,480万人でしたゴルフ場利用者は、2016年には約550万人と減少しており、利用単価も大きく減少し、業界では少しでも負担を減らしてゴルフ場に客を呼び戻したい事情があります。

 しかし、課税側である都道府県と交付金を受ける市町村は、廃止には反対しており、ゴルフ場の開発許可や周辺の道路整備にかかる行政サービスを賄う費用として欠かせないとしております。

 ゴルフ場利用税の税収は年間約459億円(2016年度決算額)に及んでおり、そのうち7割がゴルフ場のある市町村に交付され、財政状況がひっ迫している地方財政にとっては貴重な財源であるとして、総務省も自治体を後押ししております。

 ゴルフの人気回復を狙い、ゴルフ場利用税の廃止要望をする業界側と財源を死守したい自治体の攻防が続いており、今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年10月30日火曜日

(前編)文部科学省:2019年度税制改正要望を公表!

 文部科学省は、2019年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、今回もゴルフ場利用税の廃止を要望しております。

 2016年のリオデジャネイロ五輪で、112年ぶりにゴルフは復活し、東京五輪でも実施が決まっていることから、幅広くゴルフの振興を図り、国民が身近に親しむ環境を整備する上で重要だとして、ゴルフ競技団体や関係業界等を含め、同税廃止に向けた動きを強めております。

 ゴルフ場利用税の前身は、1940年に国税として導入された入場税で、その後、1954年にパチンコ店やマージャン店などとともに、娯楽施設利用税という地方税となりました。

 1989年の消費税創設に際して、国税の入場税は廃止され、娯楽施設利用税もパチンコ・麻雀・射的場などの利用に係るものは廃止されましたが、ゴルフ場の利用行為に対してだけは、ゴルフ場利用税と名称変更して存続しております。

 現状、国体競技選手、年齢18歳未満の者や70歳以上の高齢者、障害者などは非課税ですが、その他の利用者には一人1日あたりの施設利用に対して800円(標準税率)~1,200円(制限税率)で課税されております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年10月29日月曜日

(後編)内閣府:2019年度税制改正要望を公表!

 そして、結婚・妊娠・出産・育児に係る払出しを行う信託スキームを使い、子・孫・甥・姪へ贈与を行った場合には、贈与税の課税対象としないこととします。

 さらに、2019年3月31日までとなっている適用期限の恒久化を要望しております。

 少子化対策については、現在でも様々な取組みを行っているものの、「合計特殊出生率」は1.26(2005年)から1.43(201年概数)まで上昇しましたが、先進国の中でも低い水準となっております。

 各種調査によりますと、結婚や出産に踏み切れない理由として経済的理由等が挙げられていることから、経済的要因等の阻害要因を取り除くための措置が必要だとしております。

 その他、子ども・子育て支援における制度の見直しに伴う税制上の所要の措置を求めております。

 これらの幼児教育の無償化を進める上での法改正を行う場合、あわせて非課税措置及び差押禁止措置などの税制上の所要の措置を講ずることも要望しております。

今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


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2018年10月28日日曜日

(前編)内閣府:2019年度税制改正要望を公表!

 内閣府は、2019年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、地方創生を推進し、企業から地方公共団体への寄附を安定的かつ継続的に確保するため、税制措置(企業版ふるさと納税)の拡充・延長等を要望しております。

 具体的には、2019年度までとなっている税額控除の特例措置を5年間(2024年度まで)延長することや特定の寄附に係る税額控除割合を引き上げることを要望しました。

 これまでに494の地方創生事業を認定し、総事業費は1,262億円にのぼるなど一定の効果があったといえる一方で、同税制を活用している地方公共団体数は344団体(19.8%)にとどまっており、制度の活用が十分とはいえない状況にあるとしております。

 また、子・孫・甥・姪の結婚・妊娠・出産・育児を支援し、少子化問題に対応するために、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の対象の拡充を要望しております。

 本措置の対象を、おじ・おばから甥・姪に対する贈与まで拡充し、信託の機能を活用します。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年10月27日土曜日

有休取得 企業に義務付け

 年次有給休暇は労働基準法で定められています。

 労働者の勤務期間に応じて年10日以上の有休が与えられます。(パートタイマーは週の労働日数での付与日数が決められている)

 来年4月より労働基準法の改正で中小企業も含めたすべての企業に年5日は必ず取るように企業に義務付けされます。

◆働き方改革の一環で決定されました

 年次有給休暇取得は原則働く側が自分で決められます(企業は繁忙期などの業務に支障の出る場合時季変更権はあります)が、会社に遠慮をする等気兼ねをして有休を取りません。

 厚生労働省調べでは日本の有給休暇取得率は5割を下回っており国は2020年までに7割取得の目標を掲げていますがその達成は難しい状況です。

 そこで企業側に年5日については本人の希望を聞いた上で取得させる日時を企業が指定し休ませる年休消化義務が課せられる事になりました。

◆日本の有休取得率

 先にも記載しましたが日本の有給休暇取得率はずっと50%前後です。

 世界30カ国の地域を対象とした旅行予約サイトの米エクスペディアの17年の調査ではドイツ、フランス、スペイン等の12カ国は有給休暇取得率が100%であると言う事です。

 祝日の日数や有給休暇を企業で計画取得させる等、制度の違いはありますが日本は連続休暇の取得日数は短いと言えるでしょう。

 日本ではこれまで企業側は労働者側から申し出をしない事を理由に「社員から申し出が無い」と言ってきましたが、これからは労働者に年5日は有給で休ませなければなりません。

 有給休暇取得日管理簿の作成も求められる見通しです。

◆有給休暇を取らない理由と今後の対策

 第一生命保険の調査で男女1400人に実施した調査では有給取得にためらいを「感じる」「やや感じる」と答えた人は6割超えでした。

 「職場の人に迷惑がかかる」「後で忙しくなる」男性では「昇給、査定への影響が心配」と言う人も多かったようです。

 有休取得を進めるには取得状況を各職場で上司や同僚と共有し、社員が有休を消化できるよう業務量等の調整が必要でしょう。

 ローテーションのある職場ではその組み方にも工夫が必要とされます。

 過重労働を防止し休む時はしっかり休んでリフレッシュし、生産性を上げる事が大事でしょう。


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2018年10月26日金曜日

固定資産税評価額 家屋の減価と時価評価

◆家屋の評価替えもあるんですよ

 家屋の固定資産税評価額は評価替えされることなく、据え置かれることになっている、と理解している人は多いかと思います。

 でも、家屋も3年毎の基準年度とされる年に全国一斉に評価替えされます。

 今年は新基準年度の年です。

 評価替えされるのは、時価課税するとの法律の規定があるからです。

◆税額に直結する家屋の評価額

 家屋の固定資産税の課税標準は固定資産税評価額そのものです。

 その評価額は、各年の1月1日の価格とされ、それは「適正な時価」とされています。

 家屋の「適正な時価」とは何か、これについてあまり議論がありません。

 土地と異なり公示価格のような公的指標がありません。

 そのため、家屋評価の「適正な時価」概念は曖昧です。

◆「適正な時価」の求め方

 固定資産税の一つである償却資産税も時価課税とされていますが、これについては、取得価額から減価償却額を控除した金額を以って時価としています。

 土地については、売買実例価格を集約することを原理とする公示価格に基礎を置いています。

 木造家屋については、売買実例価格を基礎にしたのでは、急速に無評価化となる実態があるので、これは採用されていません。

 家屋の時価評価は、1月1日の時点で、その家屋を、その場に新築し直した場合に必要とされる再建築価格を求め、この価格から経年損耗減価の額を差し引くという方式が採られています。

◆経年減価補正率の適正性は

 再建築価格に乗ずる経年減価補正率を見ると、木造の場合、最初の1年経過後の1月1日の時に2割減価し、その後の25年間で6割減価し、その後27年以降は減価させない、としています。

 もし、1円まで減価償却をするとした場合、最後の償却率を維持したとして、木造の耐用年数は47年、非木造の耐用年数は156年です。

 木造27年、非木造45年以降のところで減価処理は0.2で打ち止めとなります。

 時価課税という法律規定の原理を支える適正時価の評価方式は果たしてこれでよいのか、疑問です。

2018年10月25日木曜日

マイナス金利は設備投資を活性化させるか その2

 設備投資は実物資産に対する効果を期待して行うものであり、金融効果は二次的なものに過ぎません。

 また、増収や合理化は経営者のコントロールの範囲内にありますが、金融は経営者がコントロールできるものではありません。

 だから、増収や合理化ができるとするなら設備投資をすべきであり、資金調達関連コストは無視できないとしても、設備投資の決定因子とすべきではありません。

 あくまで設備投資は実物資産投資が採算に乗るかどうか、つまり営業利益を押し上げられるかどうかを基準に判断すべきものです。

 言うまでもなくマイナス金利は資金調達に関連するものですから、それをもって民間の設備投資が増大することは期待できないと思います。

 確かに資金がなければ設備投資ができませんから、資金がないことあるいは金利が高いことが設備投資の阻害要因として作用することはあります。

 しかし、資金があれば、あるいは金利が低ければ、それで投資が行われるというものではないのです。

 これを金融の「ひも理論」と言います。

 金融は引っ張るとき(金融引き締め)には効果を発揮するが、押したとき(金融緩和)はさほど力を発揮できないのです。

 別の言い方をすれば、金融面でのサポートは設備投資にとって必要条件ではありますが、十分条件ではありません。

 政府・日銀が民間の設備投資を促したいのであれば、金融面ではなく実物資産投資が効果を生むような環境を整備することが必要になります。

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2018年10月24日水曜日

マイナス金利は設備投資を活性化させるか その1

 日銀は金融政策を若干修正しましたが、いぜんとしてマイナス金利を継続しています。

 日銀は「マイナス金利にすれば貸出金利が低下し、設備投資が増加することによって、実体経済が活性化する」と言っています。

 果たしてそうなるでしょうか。

 金利低下が設備投資に与える影響を損益計算書の表示を通して考えてみましょう。

 設備投資は二つの側面から見ることができます。

 一つは実際に機械や工場などの実物資産に投資することに伴い生じるものであり、もう一つは設備投資を行うときに付随的に発生する金融面に関するものです。

 この両者は損益計算書で明確に分離して表示されます。

 実物資産に対する投資は大別して増収効果と合理化効果の二つの効果が期待できます。

 増収効果は生産量の増大や品質の改善により売上高増大を狙ったものであり、合理化効果は生産効率や販売効率の改善により製造原価や販売費および一般管理費の減少を図るものです。

 増収効果も合理化効果も営業利益の増加を目指します。

 一方、設備投資をするには資金調達が必要になり、資金調達に際してコストが発生します。

 多くの場合、銀行から借入金を起こすことになりますが、銀行に支払う金利は支払利息として営業外費用に計上されます。

 自己資金で設備投資をする場合は営業外収益の受取利息や受取配当金の減少として表示されます。

 どちらにしても資金調達関連コストの増加は営業利益には影響を与えず、経常利益から変動することになります。

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2018年10月23日火曜日

(後編)厚生労働省:2019年度税制改正要望を公表!

 寡婦(寡夫)控除は、税負担のみならず、公営住宅の家賃や保育料、国民健康保険料など住民サービスのさまざまな場面で所得の基礎計算に使われるため、適用の有無で生活上の格差を生じます。

 健康・医療関係では、医療に係る消費税等の税制のあり方について、高額な設備投資にかかる負担が大きいとの医療関係者などの指摘等も踏まえ、医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ検討を行い、この税制上の問題の抜本的な解決に向けて、個別の医療機関等の補てんの過不足について、新たな措置を講ずることを求めております。

 その他、訪日外国人の診療には医療通訳や多言語に対応した院内案内等を準備する必要があるなど、医療機関は通常の診療と比べて多くの費用を負担する必要があるため、訪日外国人の診療においては社会保険診療報酬と同一の基準により計算された額を請求するという社会医療法人等の認定要件を見直し、社会医療法人等が費用に見合った額を請求できるよう要望しております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2018年10月22日月曜日

(前編)厚生労働省:2019年度税制改正要望を公表!

 厚生労働省は、2019年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設や未婚のひとり親に対する税制上の支援措置など「子ども・子育て」対策、医療に係る消費税問題の抜本的な解決に向けた新たな措置、医療保健業を営む個人及び法人が取得価格500万円以上の高額な医療用機器を取得した場合の特別償却制度の適用期限の2年延長など、健康・医療関係における要望をしております。

 子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設は、仕事と家庭の両立支援の観点から、0~2歳の子供を持つ世帯のうち、認可保育所への入所の希望がかなわず、やむを得ず公費の支援のない認可外保育施設等を利用する場合の費用の一部を税額控除の対象とするものです。

 認可外保育施設のなかには、保育料が認可保育所よりも割高となるところもあり、その保育料の一部を控除することで、子育てに係る負担軽減を図ります。

 また、未婚のひとり親に対する税制上の支援措置は、税制上の寡婦(寡夫)控除及び住民税(所得割・均等割)非課税が適用されるよう、所得税法及び地方税法上の「寡婦(寡夫)」に未婚のひとり親を加えるものです。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年10月21日日曜日

(後編)経済産業省:2019年度税制改正要望を公表!

 そこで、同税制(適格SO)の要件の一部を緩和し、国内外の高度人材の確保や専門的な能力を有する多様な働き方を促すSOを利用した柔軟なインセンティブ付与を実現します。

 新設法人への繰越欠損金制度の拡充では、新設法人は資本金が1億円を超える場合でも、設立7年目までは所得の100%まで欠損金の繰越控除が認められていますが、8年目以降は所得の50%まで制限されます(繰越期間は最大10年)。

 そこで、新設法人が欠損金を100%控除できる期間を10年目まで延長し、赤字が先行しやすく脆弱な財務状態になりがちな新設法人の成長と事業拡張に向けたさらなる投資を支援します。

 個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設では、一般的に個人事業者は資金力が低く、事業承継時の税負担のため、事業継続に必要不可欠な事業用資産を売却しなければならない事態を防ぐ必要があるとの観点から要望しております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年10月20日土曜日

(前編)経済産業省:2019年度税制改正要望を公表!

 経済産業省は、2019年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、研究開発投資の「量」の増加や「質」の向上を促すための研究開発税制の拡充、ベンチャー企業の成長に必要な国内外の高度人材を確保するためのストックオプション(以下:SO)税制の拡充、新設法人への繰越欠損金制度の拡充を求めたほか、中小企業関連では、個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設などを盛り込んでおります。

 研究開発税制の拡充では、総額型(試験研究費総額に係る控除制度)について、税額控除の上限(現行は25%)の引上げや、税額控除率の最大値(現行は10%、2018年度末までの時限措置で14%)のさらなる引上げ、オープンイノベーション型については、ベンチャー企業や中小企業と共同研究を行った場合の税額控除率(現行は、特別試験研究費の20%)の引上げを求めております。

 また、事業拡大に向けて手許資金が貴重なベンチャー企業は、社内外からの優秀な人材確保のため、SO税制を活用しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年10月19日金曜日

修繕費と資本的支出

◆修繕費と資本的支出

 国税局は「法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額」を資本的支出と言っています。

 ですからそうならなければ修繕費ということです。

 しかしその判断は非常にあいまいかつ微妙で、その判断に迷う場合は結構あります。

 国税当局もそのへんは認識しており、形式基準を公表しています。

 その内容を整理し、迷った時の判断基準にしましょう。

第1次判定……支出金額が20万円未満か又はおおむね3年以内の周期で発生するかどうかで判定、該当すれば修繕費で処理します。

第2次判定……次に明らかに資本的支出になるもの、明らかに修繕費になるものがあれば、それぞれ資本的支出、修繕費で処理します。

第3次判定……第2次判定で処理した残額が、次のイ、ロのいずれかに該当すればその残額を修繕費で処理できます。

イ.60万円未満
ロ.修理・改良等を行った資産の前期末現在の取得価額(未償却の帳簿残高でなく買った時の価額)のおおむね10%相当額以下

第4次判定……第1次から第3次判定の基準でも判定できない場合には、その部分については「7:3基準」を適用して形式的に区分することも可能です。

 この「7:3基準」とは、法人が継続して①その金額の30%相当額か、②その修理・改良等をした資産の前期末における取得価額の10%相当額の、いずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときはこれを認めるとされています。

◆請求は一括でなく詳細に

 上記はいずれにせよ修繕費か資本的支出か判断できない場合です。

 判断できない場合とは往々にして修理もしたけどついでに補強や機能のUPを図ったような場合で、請求が一括でどこまでが修理かわからないといった場合が多いのです。

 そのため、修理と補強や機能UP部分が明確になるように請求書を記載してもらうことが肝心です。

2018年10月18日木曜日

「領収書」と「領収証」

◆「領収書」か「領収証」か?

 民法では「受取証書」としています。

 要は金銭を支払った者が受け取った者に、受け取った旨の証拠となる書類の交付を請求でき、その請求に基づいて公布された書面を「受取証書」としています。

 これがいわゆる「領収書」又は「領収証」です。

 「金銭の受取」を「領収」と言うことから「受取証書」が「領収証書」となり「領収書」や「領収証」として一般に使われているものと推測されます。

 その意味ではどちらも同じで、どちらでも良いと言うことになります。

◆国税庁では領収書≧領収証

 「領収証」や「領収書」が関係する税法は印紙税法です。

 国税庁は以下のように言っています。

 〈金銭又は有価証券の受取書や領収書は、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」に該当し、印紙税が課税されます。受取書とはその受領事実を証明するために作成し、その支払者に交付する証拠証書をいいます。したがって、「受取書」、「領収証」、「レシート」、「預り書」はもちろんのこと、受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」とか「了」などと記入したものや、お買上票などでその作成の目的が金銭又は有価証券の受取事実を証明するものであるときは、金銭又は有価証券の受取書に該当します。〉

 総称として「領収書」と言いその中の一つとして「領収証」を上げています。

◆受領の事実は支払いの事実

 「領収書」であれ「領収証」であれ、受領事実を証明するために作成された証拠証券ですから、逆にその「領収書」や「領収証」を貰った側から言えば、払った事実を証明する証拠証券でもあります。

 ですから支払った経費等の証明資料として、非常に便利な資料となるわけです。

 しかし、銀行を経由して振り込んだ場合は、銀行取引の明細を見れば支払いの事実は証明できますので、領収書や領収証の発行をしない場合が多いのです。

 カード決済の場合も、カード決済の明細書を保管しておけば支払いの事実は証明できます。

 ただその支払いが経費か否かは内容によりますので、何に使ったかわかるようにしておく必要があります。

2018年10月17日水曜日

ふるさと納税の駆け込み寄付急増

 ふるさと納税について総務省は9月、豪華返礼品を税優遇の対象から外すよう制度を見直すことを決定しました。

 決定を受けて、すでに一部の自治体では返礼品の見直しに動いていることから、寄付を受け付けるポータルサイトには豪華返礼品を求める〝駆け込み〟アクセスが急増しています。

 9月1日時点での全国の返礼品の状況を取りまとめた調査結果が出たことを受け、野田聖子総務大臣は11日の会見で「大変残念ながら、要請を行うだけでは自発的な(豪華返礼品の)見直しが期待できない」と現状を説明しました。

 その上で「ふるさと納税はショッピングではない」と述べ、「過度な返礼品は制度の対象外にすることもできるよう、制度の見直しを検討することにした」と語っています。

 今後、省内で見直し案を取りまとめ、与党税制調査会を経て年末にまとめる2019年度税制改正大綱に盛り込むことを目指します。

 総務省は今年7月に、豪華返礼品が目に余るとして大阪府泉佐野市など12自治体の名前を公表しました。

 しかし今回まとめた調査結果によれば、9月1日時点で返礼割合3割を超える自治体は246団体ありました。16年度の1156団体からは減り続けているものの、いまだ全体の14%の自治体が総務省の要請を無視していることになります。

 総務省は、あるべき返礼品の形として、①寄付金額の3割以下の価値、②換金性の高い商品券や宝飾品ではない、③地場産品に限る――という条件を提示していて、これらを満たさない返礼品は今後、寄付金額から2千円を引いた全額が住民税などから控除される税優遇の対象とならない可能性があると見られます。

 制度見直しが公表されて以降、寄付を受け付けるポータルサイトのアクセスは急増中です。

 一部報道によれば、野田氏が会見を行った日の午後には前日比2倍のアクセスが殺到し、一時サイトがつながりにくくなるなどの不具合が生じました。

 特に3倍を超えるアクセスが集中したのは、総務省が〝けしからん〟として公表した12自治体のページだったそうです。

 なお、9月1日時点で返礼割合3割を超える246自治体の名前は、総務省のホームページに掲載された調査結果で一覧できます。

2018年10月16日火曜日

日税連、消費税の単一税率要望

 日本税理士会連合会(日税連、神津信一会長)はこのほど、2019年度税制改正に向けた建議書を関係省庁に提出しました。

 建議書では消費税の単一税率の維持のほか、公的年金等控除や給与所得控除の縮減など抜本的な所得控除の改革を求めています。

 19年度税制改正に向けて日税連は、特に強く主張する重要建議項目として、基礎控除や配偶者控除などの基礎的な人的控除の見直しを求めました。

 給与所得控除や基礎控除については18年度税制改正でも見直されましたが、「方向性は望ましいが、いずれも不十分」として、さらに踏み込んだ抜本的な改革を提案しています。

 特に公的年金等控除に対して、拠出時に社会保険料控除、給付時に公的年金等控除が適用されることで「実質的に非課税に近い」と言い切り、「可能な限り縮減すべきである」と強い口調で控除縮小を要望しています。また給与所得控除についても「水準が過大」であるとして、控除を縮減した上で基礎控除を一層引き上げるよう求めました。

 また消費税の軽減税率に対しては、複数税率の区分経理により事業者負担が増すことや逆進性対策として非効率であることなどを理由に、単一税率制度の維持を強く主張しました。

 逆進性への対応としては一定額を入金したプリペイドカードを配布する方法や簡素な給付措置などを提案しています。

 その他、機械設備など償却資産にかかる固定資産税制度の見直しや医療費控除の廃止を含めた縮減、中小法人への業績連動給与の導入、公益法人の営利事業への課税見直しなど、様々な税目で要望を行っています。

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2018年10月15日月曜日

許認可と社会保険

◆建設業者への加入促進対策とその結果

 建設業者に対する社会保険の加入促進対策は数年前から進められていましたが、今後はより一層強化されます。

 さかのぼること平成24年、国土交通省は、「平成29年までの5年計画で、建設業許可業者の社会保険加入率100%」を目標に掲げました。

 社会保険の加入義務化で労働環境の改善を促し、若年層の人材確保につなげることがねらいです。

 具体的には、公共工事に入札する際に受審しなければならない「経営事項審査」で、未加入事業者に対する減点を拡大したこと、新規許可申請や更新の際には、保険加入状況を確認・指導し、指導に従わない企業を保険担当部局に通報することで、加入の促進を図ってきました。

◆許可そのものが認められない可能性も

 保険担当部局からの指導が繰り返し行われることで、結果的には事業者の多くが加入する流れになっていたのですが、これまでの運用では新規許可や更新の申請そのものが認められないということはありませんでした。

 しかし、今年に入り国土交通省が固めた方針では、社会保険に加入していない建設業者に対しては建設業の許可・更新そのものを認めない仕組みを検討するとして、さらに社会保険加入を徹底、定着させるようです。

◆加入促進対策は他の許認可でも

 社会保険については、ここ数年にわたり厚生労働省による加入適用が進められてきました。

 貨物自動車運送業者や旅客自動者運送業者に対しても、処理方針で許可の審査項目として社会保険への加入が定められています。

 こうした各許可行政庁を媒体とする加入強化対策は他にも広がりつつあります。

 厚生労働省では、同様の取り組みを理・美容業、飲食業などにも適用する方針を示しており、既に各自治体に対して、新規営業許可申請時に社会保険の加入状況について確認するよう協力依頼を行っています。

 許認可と社会保険、どうやら今後は切っても切れない関係になりそうです。

2018年10月14日日曜日

酒税の税率構造の見直しと日本ワインの表示ルール開始

◆ビール系飲料とその他の発泡性酒類の税率

 ビールメーカーが税率格差を意識して新ジャンルの開発に力を注ぐ状況は、国際競争力の促進の足かせになるという指摘やクラフトビールへの関心の高まりなどの状況があり、平成29年の税制改正により税率格差の解消が図られています。

 具体的には、ビール系飲料は一律155,000円に、その他の発泡性酒類は対象範囲をアルコール度数11度未満(改正前・10度未満)に拡大した上で100,000円とされます。

◆清酒の減税とワインの増税

 醸造酒類について、平成29年の税制改正で基本税率が100,000円となります。

 しかし、この改正に伴い、清酒と果実酒(ワイン)の特例税率は廃止されて基本税率に一本化されますので、清酒は20,000円の減税、果実酒(ワイン)は20,000円の増税となります。

◆税率改正の実施時期

 上記の税率改正の施行時期は平成32年10月1日とされています。

 しかし、急激な変更は消費者への影響が大きいことから、平成32年10月1日から段階的に税率変更が実施されることとなっています。

◆「日本ワイン」の表示ルール開始

 ここ十数年で酒類の分類が大きく見直されましたし、税率変更だけでなく、消費者ニーズへの対応など、酒類業界は今、大きな転換期を迎えているように思います。

 その1つとして、平成30年10月30日から開始される、「日本ワイン」の表示ルールがあります。

 これまで国内にはワインに関する公的な表示ルールが存在しませんでした。

 そのため、輸入した濃縮ぶどう果汁などを原料としたワインも「国産ワイン」と呼ばれていましたが、表示ルールでは、国産ぶどうのみを原料として国内で製造したワインを「日本ワイン」として表示することができるようになります。

 また、「日本ワイン」に限っては表示ができるだけでなく、一定のルールに従って、①地名、②ぶどうの品種、③ぶどうの収穫年をラベルに表示することもできるようになります。

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2018年10月13日土曜日

(後編)金融庁:2019年度税制改正要望を公表!

 そこで、世代間の資産移転をさらに後押しするため、2019年3月末までの時限措置とされている同特例を恒久措置とすることや教育資金の交付請求時における領収書の提出要件の緩和(1万円以下を3万円以下まで引上げ)など、事務手続きの簡素化等を図ることを要望しております。

 生命保険料控除制度では、所得税法上及び地方税法上の生命・介護医療・個人年金の各保険料控除の最高限度額を5万円及び3.5万円(現行は2012年1月からの契約から4万円及び2.8万円)とすること、所得税法上の保険料控除の合計適用限度額を15万円(同12万円)とすることを要望しております。

 その他、金融グローバル化への対応として、外国子会社合算税制では、実質的に現地で事業(保険)を営んでおり、租税回避目的がないにもかかわらず、未だ措置の対象にならない場合があり、早期是正を望む声があるため、本邦金融機関等の外国子会社等の所得が租税回避目的がないにもかかわらず、合算課税を受けないよう、ビジネスの実態を踏まえた所要の措置を講じることなどを要望に盛り込んでおります。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年10月12日金曜日

(前編)金融庁:2019年度税制改正要望を公表!

 金融庁は、2019年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、NISA制度(一般・ジュニア・つみたて)の恒久化や相続した株式の譲渡における相続税(株式分)の取扱いに関する見直し、教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の恒久化及び拡充、生命保険料控除制度の拡充などを盛り込んでおります。

 NISA制度では、家計の安定的な資産形成を継続的に後押しする観点から、恒久措置とすることを求めております。

 相続した株式の譲渡における相続税の取扱いでは、相続人が、相続した上場株式等を売却する場合、その売却が3年以内ならば、その株式に係る相続税分を譲渡所得から差し引くことが可能ですが、3年以内に売却しなければ、その相続税分は全く考慮されないことから、相続後、3年以内の株式売却を助長しているとの指摘があるため、売却期間に関する制限を撤廃し、相続後の株式売却を助長しないよう要望しております。

 教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、2015年4月に同特例を導入してから、口座数・設定額ともに順調に推移しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2018年10月11日木曜日

電動バイクの普及による影響とは?

 二輪車業界では、電動バイクに注目が集まっています。

 期待が寄せられる理由には、二酸化炭素の排出削減や運転時の騒音が少ないといった、環境に優しいことが挙げられます。

 これらの特徴は、住宅地での宅配便や郵便物の集配にうってつけです。

 現在、ヤマト運輸と日本郵便は集配用バイクの電動化に取り組んでいます。

 具体例を挙げると、日本郵便はホンダと手を組み、2018年度内に配達用のバイクの一部に電動バイクを採用する予定です。

 ただ、電動バイクは課題もあります。

 第一は価格が高いことです。性能が同等のガソリン車と比べると割高で、たとえばヤマハ「E―Vino」ですと、同等のガソリン車よりも10万円程度高くなります。

 そこで、国や地方自治体では、補助金を設けるなどの施策を講じ、求めやすくしています。

 東京都では、運送業や小売業などの事業者を対象に、ガソリン二輪車との差額を補助金として支給しています。

 これにより、ガソリン二輪車と同じ負担額で電動バイクが買えるようになっています。

 もう一つの課題は走行距離です。

 現在の機種ですと、2時間の充電の場合、20キロメートル程度で電池切れになってしまいます。

 しかも、充電用施設(充電ステーション)の数はまだまだ十分とはいえません。

 とはいえ、最近では、1回の充電で60~90キロメートルほど走れる機種が開発され、徐々に改善しています。

 実は、電動バイクの普及は思わぬ波及効果があります。

 それは、充電ステーションの増加につながることです。

 結果、EV(電動自動車)の利便性向上にも貢献することになります。

 相乗効果という点からも、電動バイクの普及には大きな期待が寄せられています。


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2018年10月10日水曜日

事業承継の選択肢としてのM&A その2

 では、中小企業では事業承継を契機としたM&Aの取組みが具体的にどのように行われているのでしょうか。

 そこで2018年版中小企業白書で紹介され後継者不足に悩む小規模な調剤薬局の受け皿となっている株式会社大信薬局(本社:福岡県北九州市、従業員330名)の取組みについてみていきましょう。

 株式会社大信薬局は、北九州を中心に調剤薬局やドラッグストアを運営する企業です。

 現社長が経営を引き継いで以降、様々な経営改革を進める中で、成長に向けた施策として特に小規模な調剤薬局のM&Aに特化しつつ店舗数を拡大させてきました。

 売り手の多くは、医薬分業が進んだ約30年前に独立した薬剤師であり、現在は60歳前後になり事業承継を考える方が多いことから、現社長はそういった調剤薬局のオーナーやその関係者を訪問し、譲渡先の候補の一つとして先方に認識してもらえるように話をしてきました。

 その結果、地道に構築してきた人脈から紹介を受けるケースに次いで、オーナーから直接問い合わせを受けるケースが多くなっています。

 M&A後は、地域や市民に根付いた従来の店舗運営を基本としつつも、仕入れや間接部門の効率化を図り、生産性を向上させています。

 最近では、店舗で働く薬剤師の人手不足が深刻化しており薬剤師を自力で確保できず、M&Aを考えるオーナーもおり同社の人材供給力への期待が高まっていることから、同社では福岡県内の大学を中心に、薬剤師のインターンや新卒採用を強化しています。

 このように小規模事業者においてもM&Aが後継者問題解決の一つの選択肢として活用されているのです。

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2018年10月9日火曜日

事業承継の選択肢としてのM&A その1

 中小企業庁「事業承継ガイドライン」では、親族内・従業員承継で後継経営者が見つからない場合などの選択肢として「社外への引継ぎ」をあげており、引継ぎ先を選定するためのマッチングが合意に至ればM&A等の実行を検討する旨が記載されています。

 こうした背景から、経営資源を次世代に引き継いでいく選択肢の一つとして、中小企業のM&Aへの関心が高まっています。

 2018年版中小企業白書に基づいて中小企業におけるM&Aの実態についてみると、中小企業において実際にM&Aを実施したことのある企業の割合は11.6%と現状はそれほど多くはないものの、直近のM&A実施時期については「2015年以降」と回答した割合が44%を占めており、足もとでM&Aが盛んになっていることがうかがえます。

 買い手企業側のM&Aの実施目的をみると、「売上・市場シェアの拡大」が最も多く、次いで「事業エリアの拡大」となっており、付加価値向上を企図してM&Aを行う企業が多いことがうかがえます。

 一方でM&Aをした相手先(売り手企業側)の経営者年齢についてみると、「60歳代」と「70歳代以上」と合わせた割合が約7割を占めています。

 また、相手先の経営者年齢別に相手先のM&Aの目的をみると、相手先経営者の年齢が「60歳代」や「70歳代以上」の場合、「事業の承継」を目的とする割合が最も高くなっています。

 このことから経営者が高齢となり後継者不在の企業においてはM&Aが活用されていることがうかがえます。

 このように中小企業のM&Aでは、売り手企業側が事業承継を目的としている一方で、買い手企業の多くは事業拡大を目指しており、これらを結び付けていくことがカギとなるのです。(つづく)

2018年10月8日月曜日

(後編)生命保険協会:2019年度税制改正に関する要望を公表!

 また、企業年金保険関係では、公的年金制度を補完する企業年金制度(確定給付企業年金制度、厚生年金基金制度)及び確定拠出年金制度等の積立金に係る特別法人税の撤廃や確定給付企業年金、厚生年金基金における過去勤務債務等に対する事業主掛金等について、早期の年金財政の健全化に資する柔軟な取扱いを可能とすることを要望しております。

 さらに、企業型確定拠出年金制度における退職時の脱退一時金についての支給要件の緩和も要望しております。

 そして、生命保険契約関係では、遺族の生活資金確保のため、相互扶助の原理に基づいて支払われる死亡保険金の相続税非課税限度額について、これまでの限度額である「法定相続人数×500万円」に「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算することを要望しております。

 その他では、生命保険業の法人事業税について、現行の課税方式を維持することなどを税制改正要望に盛り込んでおります。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月3日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年10月7日日曜日

(前編)生命保険協会:2019年度税制改正に関する要望を公表!

 生命保険協会は、2019年度税制改正に関する要望を公表しました。

 それによりますと、重点要望事項として、公的保障を補完する私的保障の役割が重要性を増すなか、少子高齢化の急速な進展やライフスタイルの多様化など、刻々と社会環境が変化しており、持続可能な社会保障制度の確立と国民生活の安定に資するため、国民の自助・自立のための環境を整備する観点から、生命保険料控除制度について、社会保障制度の見直しに応じて、現行制度を拡充することを求めております。

 具体的には、2012年からの契約以降見直された所得税法上及び地方税法上の生命保険・介護医療・個人年金の各保険料控除の最高限度額を、少なくとも所得税を5万円(現行4万円)及び地方税を3.5万円(同2.8万円)とすることのほか、所得税法上の保険料控除の合計適用限度額を少なくとも現行の12万円から15万円に引き上げること(地方税は7万円に据置き)を求めております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月3日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年10月6日土曜日

派遣社員の3年ルール適用は10月1日から

◆労働者派遣法の改正

 平成27年の労働者派遣法の改正から平成30年9月30日 で3年が経過します。

 10月1日からは、派遣社員の処遇向上を目的として派遣社員の受け入れ期間の上限が3年と定められた、いわゆる「3年ルール」が適用されます。

※3年ルール…平成27年9月30日以降に労働者派遣契約を締結・更新した派遣労働者は、同じ事業所で3年を超えて働くことは基本的にできないというものです。

◆雇用安定措置

 同じ事業所の同じ「課」などに継続して3年派遣される見込みとなった場合は、派遣元事業主(派遣会社)は、次の①から④のいずれかの雇用安定措置を講じる必要があります。

①派遣先への直接雇用の依頼
②新たな派遣先の提供
③派遣元での派遣労働者以外としての無期雇用
④その他雇用の安定を図るための措置

◆派遣先が留意すること

 労働者(派遣社員)は派遣元事業主に対し、雇用安定措置の①~④のうち講じて欲しいものを希望することができます。

 派遣元から派遣先に上記①の依頼があり、直接雇用に結びついた場合には、派遣先において税金や社会保険などの各種手続きが必要となります。

 扶養控除等申告書の提出、マイナンバーの確認、年金手帳の確認や社会保険の加入手続きは速やかに実施することが必要です。

◆消費税の取扱いにも注意

 労働者が引き続き同じ組織(いわゆる「課」など)で同一業務に携わったとしても、派遣と直接雇用の労働者では消費税の取扱いが異なります。

 派遣の時には人材派遣の対価ということで課税仕入れを行っていたものが、直接雇用では不課税取引の「給与」となります。

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2018年10月5日金曜日

小規模事業者の黒字率が上昇

 2017年度の決算で黒字となった小規模事業者の割合は約4割で、徐々に増加傾向にあることが分かりました。

 日本政策金融公庫がまとめたデータで明らかになったものです。

 一方、赤字企業は7年ぶりに増加した前年から、再び減少に転じました。

 調査の対象となったのは、従業者20人未満の製造業、サービス業、情報通信業、建設業、運輸業と、従業者10人未満の卸売業、小売業、飲食店・宿泊業の小規模事業者。4218法人と2193の個人事業者が有効回答を寄せました。

 それによれば17年度に黒字だった小規模事業者の割合は40.7%で、ここ10年で最高を記録しました。

 09年度からは8年連続の増加となります。

 また赤字法人は、前年31.1%で7年ぶりに増加しましたが、17年度は28.6%と再びマイナスに転じたほか、収支ゼロも30.7%と全体の3割を占めました。

 16年度に赤字法人が増加した理由として、日本政策金融公庫は4月の熊本地震や8月に北海道を襲った台風、三菱自動車の燃費不正問題などがマイナスの影響を及ぼしたと分析していました。

 17年度も多くの自然災害が日本列島を襲いましたが、そうしたなかでもトータルしてプラスの結果を示した格好です。

 17年度に増収かつ増益だった企業は全体の12.9%と、1割強にとどまりました。

 減収減益の企業は23.6%で前年から3.5ポイント減少しています。

 増収増益企業の割合は4年ぶりに増加に転じ、逆に減収減益企業は4年ぶりの減少となっています。

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2018年10月4日木曜日

(後編)日本損害保険協会:2019年度税制改正要望を公表!

 しかし、その後も東日本大震災を始め台風や集中豪雨などへの保険金支払が発生しており、異常危険準備金の大幅な取崩しを余儀なくされている状況に加えて、2018年度で火災保険等の積立率の経過措置(3%)が適用期限を迎えることから見直しを求めたものです。

 具体的には、今後の頻発する巨大自然災害への対応に向けて、経過措置を含んだ現行の積立率5%では十分とは言えないとして、6%へ引き上げることを要望しております。

 さらに残高の上限となる洗替保証率についても、1991年の台風19号、そして2004年の複数の台風、2011から2014年の複数の災害への保険金を考慮しますと、現行の30%(業界全体で約6,000億円のレベル)から40%への引上げを要望しております。

 その他、近年頻発する地震への備えとして地震保険の更なる普及のための保険料控除制度の充実、受取配当等の二重課税の排除などをあわせて要望しております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月3日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年10月3日水曜日

(前編)日本損害保険協会:2019年度税制改正要望を公表!

 日本損害保険協会は、2019年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、火災保険等に係る異常危険準備金制度の充実を重点要望事項の一つに掲げていることや損害保険業に係る法人事業税の現行課税方式の継続などを要望しております。

 損害保険会社では、発生の時期・規模の予測が困難な巨大自然災害の際にも確実に保険金を支払うという社会的使命を担っていることから、平時から保険料の一定割合を異常危険準備金に積み立てることにより保険金支払原資を確保するように努めております。

 2004年に10個の台風が上陸して発生した災害により、多額の保険金支払と異常危険準備金の取崩しが行われていることから、火災保険について、早期・計画的に異常危険準備金の積増しを行う制度の導入や税制面でも火災保険等の積立率を2005年度税制改正により4%(うち2%は経過措置)への引上げ、さらに2013年度税制改正により5%(うち3%は経過措置)への引上げなどの措置が取られております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年9月3日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


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2018年10月2日火曜日

(後編)2018年度税制改正:生命保険料などの年末調整手続きを電子化へ!

 そして、これらの見直しとともに、住宅ローン控除申告書等に添付すべき住宅ローン控除証明書、年末残高証明書については、それらの証明書の発行者から電子メール等により提供を受けたその住宅ローン控除証明書、年末残高証明書に記載すべき事項が記録された電子データを印刷した書面で、真正性を担保するための所要の措置が講じられているものであれば、住宅ローン控除申告書等に添付することができるようになります。

 これらの改正は、2020年10月1日以後に提出する給与所得者の保険料控除申告書や住宅ローン控除申告書について適用します。

 なお、住宅ローン控除証明書と住宅ローンの年末残高証明書の電子データによる提出は、居住年が2019年以後である者に限られます。

 今後、年末調整手続きの電子化は、保険会社や銀行等の控除関係機関から個人、税務署、雇用主という情報の流れが、基本的にネット上で完結する仕組みになるとみられております。

 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年10月1日月曜日

(前編)2018年度税制改正:生命保険料などの年末調整手続きを電子化へ!

 2018年度税制改正において、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(いわゆる住宅ローン控除)に係る年末調整手続きを電子化することが盛り込まれております。

 現行、住宅ローン控除や生命保険料控除、地震保険料控除を適用するには、年末のローン残高証明書や保険料控除証明書を銀行や生命保険会社等から郵送で受け取り、これら紙の証明書を勤務先に提出する必要があります。

 その際、給与所得者の保険料控除申告書などの関係書類を作成して一緒に提出する必要があり、会社や社員からは、一連の手続きが非常に煩雑であるとの声がありました。

 年末調整手続きの電子化では、生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、住宅ローン控除申告書、住宅ローン控除証明書、住宅ローンの年末残高証明書の5つの年末調整関係書類の書面による提出に代えて、電磁的方法による提供(電子提供)をすることができるように電子化します。

 この目的は、インターネット上で簡単に手続きができるようにすることで個人や企業の利便性を高め、事務負担の軽減を図ることです。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年9月30日日曜日

滞納発生額、2年連続減

 国税庁が発表した、国税を期限どおりに払えない「滞納」の最新状況では、新たに発生した滞納額は2年連続で減少し、残高もピーク時から3分の1にまで減少するなど比較的落ち着いた推移を示しました。

 しかし過去のデータを見ると、消費増税が行われた直後には必ず滞納が激増していることから、来年10月の10%への引き上げ後にも再び滞納件数が跳ね上がることが予想されます。

 2017年度に新たに発生した国税の滞納額は6155億円で、前年よりわずかに減少しました。

 17年度末時点での滞納額の残高は8531億円となり、19年連続の減少です。

 年度末での残高がピークだった1998年の2兆8149億円から7割減ったことになります。

 新規発生額は毎年減り続けているわけではないので、国税が督促や差し押さえなどを使って、発生を上回るペースで滞納整理を進めている状況が見てとれます。

 これまでの新規滞納発生額の推移を見ると、ピークだった1992年から増減を挟みながら減少を続けてきたなかで、発生額がぐっと増えた2つの山があることが分かります。

 一度目は98年で、二度目が2015年です。

 この2年の共通点は、消費税率が引き上げられた時期に当たるということ。

 一度目は3%から5%に、二度目は5%から8%に引き上げられ、滞納する事業者が一気に増えたことが、発生額の急増につながりました。

 言うまでもなく、来年10月には8%から10%への消費税率の引き上げが予定されています。

 取引本体の金額が1千万円だとすれば実に100万円の消費税が課されるわけで、消費者としても事業者としても、これまでにない消費税負担が重くのしかかることになります。

 当然、過去2度の増税時と同じように消費税の滞納も一気に増えるでしょう。

 全ての中小企業にとって無関係な話ではありません。

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2018年9月29日土曜日

国税庁:2017年度査察白書を公表!

 国税庁は、2017年度査察白書を公表しました。

 それによりますと、査察で摘発した脱税事件は前年度より30件少ない163件、脱税総額は前年度を16.1%下回る約135億円となりました。

 2017年度(2018年3月までの1年間)に、全国の国税局が査察に着手した件数は174件となり、前年度を4件下回りました。

 また、継続事案を含む163件を処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)し、そのうち69.3%にあたる113件(前年度比19件減)を検察庁に告発しました。

 2017年度は、消費税の輸出免税制度を利用した消費税受還付事案(12件告発)や、自己の所得を秘匿し申告を行わない無申告ほ脱事案(21件告発)に積極的に取り組み、過去5年間で最多の告発を行いました。

 近年、査察における大型事案は減少傾向にあり、2017年度の脱税総額135億900万円は、ピークである1988年度(714億円)の約19%にまで減少しております。

 そして、1件あたり平均の脱税額は8,300万円となり、ここ5年は1億円を下回っております。

 告発分の脱税総額は前年度を26億9,100万円下回る100億100万円、1件あたり平均の脱税額は8,900万円(同9,600万円)となりました。

 告発分を税目別にみてみますと、法人税が前年度から18件減の61件で全体の54%、脱税総額は約57億円で56%を占めました。

 所得税は同8件減の19件(脱税総額約20億円)、相続税は同1件増の3件(同約4億円)、源泉所得税は同2件増の3件(同約3億円)、消費税は同4件増の27件(同約18億円)となり、消費税の脱税額のうち約11億円は消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む)です。

 告発件数の多かった業種・取引をみてみますと、建設業が26件(前年度30件)で最多となり、次いで不動産業が10件(同10件)、人材派遣の5件と続きました。

 なお、査察は脱税でも特に大口・悪質なものが強制調査されますが、2017年度の査察は国際事案(15件告発)や太陽光発電関連事案(7件告発)など近年の社会情勢に即した事案に対しても積極的に取り組み、多数の事案を告発しております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年9月28日金曜日

(後編)2018年度税制改正:国外財産の相続・贈与の納税義務の範囲を見直し

 そして、2018年度税制改正において、相続開始又は贈与の時において国外に住所を有する日本国籍を有しない者等が、国内に住所を有しないこととなった時前15年以内において、国内に住所を有していた期間の合計が10年を超える被相続人又は贈与者から相続若しくは遺贈又は贈与により取得する国外財産については、相続税又は贈与税を課さないことになりました。

 この場合の被相続人又は贈与者は、その期間引き続き日本国籍を有していなかった者であって、その相続開始又は贈与の時において国内に住所を有していないものに限ります。

 ただし、その贈与者が、国内に住所を有しないこととなった日から同日以後2年を経過する日までの間に国外財産を贈与した場合において、同日までに再び国内に住所を有することとなったときにおけるその国外財産に係る贈与税については、この限りではないとされます。

 なお、この改正は、2018年4月1日以後に相続・遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用されますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年9月27日木曜日

(前編)2018年度税制改正:国外財産の相続・贈与の納税義務の範囲を見直し

 2017年度税制改正において、国外財産に対する相続・贈与の納税義務の範囲については、国際的租税回避行為の抑制等の観点から、相続人(受贈者)が日本に住所を有せず、日本国籍を有しない場合でも、被相続人(贈与者)が10年以内に日本に住所があったときは、国内・国外双方の財産が相続税・贈与税の課税対象になるように見直されました。

 しかし、この見直しに対する強い批判を踏まえ、2018年度税制改正において、再度見直しがされました。

 そもそも、改正は課税逃れ防止を目的としたものですが、一方で、高度外国人材の受入れ促進のため、日本国籍を有さずに、一時滞在(国内に住所がある期間が相続開始前15年以内で合計10年以下の滞在)している場合の相続・遺贈の係る相続税は、国内財産のみが課税対象とされました。

 しかし、引退後に母国に戻った外国人が死亡した場合にまで、国外財産に日本の相続税を課すのはどうなのかとの声もありました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年9月26日水曜日

外国人の中途採用と就労資格証明書

◆外国人の中途採用

 日本国内における外国人の労働人口は年々増加の一途をたどっています。

 求人募集を行う際、外国人材から応募があることも決して珍しくなくなりました。

 ここで気になるのが、中途採用した外国人が、応募した職種で適法に働けるかどうかという問題です。

 外国人の場合、日本人とは異なり無制限に就労できるわけではありません。

 日本人の配偶者や永住者など、一部就労制限のない身分で滞在している外国人もいますが、そうした方ではない場合、いわゆる「就労ビザ」と呼ばれる就労可能なビザを持っていることが必要です。

 この就労ビザは職種によって15種類以上にも分類されていますので、既に「就労ビザを持っている」外国人を採用しても、本当にその就労ビザで働くことができるのか、不安になってしまうことがあります。

 せっかく働きはじめたのに、実は職務内容が適しておらず、ビザの更新が認められないとなると、会社と本人、双方にとって大きな損失です。

◆就労資格証明書の活用

 そんなときに活用できるのが、「就労資格証明書」です。

 就労資格証明書は、外国人がその就職先で就労することが可能であることを、法務大臣が証明するもので、外国人の住所地を管轄する入国管理局で申請します。

 交付の申請はあくまで任意ですが、この就労資格証明書が交付されれば、その外国人が転職先で行う職務内容に問題ないことが確認できるため、主に転職の場面で利用されています。

◆ビザの更新期限が迫っている場合

 転職に伴い就労資格証明書の交付を行う場合、約1か月から3か月の審査期間を要します。

 そのため、もし採用した時点で既にビザの在留期限が迫っている場合は、就労資格証明書の交付申請をしている間に在留期限が来てしまう可能性がありますので、就労資格証明書の交付申請を経ず、ビザの更新申請(在留期間更新許可申請)を行うことになります。

 いずれの選択をする場合も、転職した事実を入国管理局に対して申告し、転職先での職務内容を丁寧に説明することが求められますので、会社の協力姿勢が極めて重要です。

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2018年9月25日火曜日

中小の電子申告義務化に日税連前向き

 企業規模にかかわらず、すべての税務申告の電子化を義務付けることに、日本税理士会連合会の神津信一会長が前向きな姿勢を示しています。

 大企業については2020年度からの義務化がすでに決定していますが、将来的な中小企業への拡大についても税の専門団体が全面協力を買って出た形です。

 7月下旬に東京・千代田区で開催された日税連の定期総会で、神津会長は「中小企業を活性化する税制の提言を行っていく」と今後の意気込みを語りました。

 さらに、20年度から大企業の電子申告が義務化され、将来的には中小企業にも拡大していくという政府の意向に対して、「すべての申告を電子申告で行うことに、日税連は真摯に対応していく」と全面的に協力する姿勢を示しました。

 大企業の電子申告の義務化は最新の18年度税制改正で盛り込まれたものです。

 20年4月以後に開始する事業年度から適用され、それ以降の紙による申告は「無申告」扱いとなり、各種加算税を課されることになります。

 義務化の対象となるのは、①20年4月以後に始まる事業年度の開始時点に資本金等1億円を超える法人、②相互会社や投資法人、特定目的会社に当たる法人――の2種類で、条件に当てはまる法人はすべての申告をe-Taxで行わなければなりません。

 今回は中小企業に比べて電子申告の利用率が低い大企業のみが対象となりましたが、政府が将来的に中小企業も含めた全申告を電子化しようとしているのは明らかです。

 財務省が策定した計画では、将来的には中小法人にも電子申告を義務化するよう言及し、「将来的に電子申告の義務化が実現されることを前提として、電子申告(e-Tax)の利用率100%」との目標を掲げています。

 18年度税制改正では、紙で申告する中小事業者に対して青色申告特別控除の額を10万円減額する見直しも盛り込まれていて、税申告の全面電子化は既定路線とも言えます。

 日税連が全面的に協力することを表明したことで、その流れがさらに加速しそうです。

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2018年9月24日月曜日

自然災害と中小企業支援策

◆想定できないような災害が増えた?

 近年、急激な天候の変化が大きな自然災害となるケースが増えている感じがします。

 気候変動の影響で台風のルートが変わったり想定を超える雨量で甚大な被害が発生したり、今まで大丈夫であった場所にも被害が及ぶ事があります。

 万が一被害を受けた場合、復旧に費用や時間を要する事がありますが支援策はどのようになっているのでしょうか。

◆災害救助法が適用される災害支援

 この法は、被災された方の状況が著しく困難でかつ多数の世帯の住居が滅失した状態の被災地に都道府県が適用し、自衛隊や日本赤十字に応急的な救助の要請、調整、費用負担を行うとともに被災者の救助や保護の活動を行う事を定めています。

 中小企業向けには、
(1)特別相談窓口の設置
(2)災害復旧貸付の実施
(3)セーフティネット保証4号実施(突発的災害が原因の売上げ減少による融資申請)
(4)既往債務の返済条件緩和
(5)小規模企業共済災害時貸付の適用

さらに激甚災害法に基づき指定されると上記支援策の他に、
(1)災害関係保証(特例)の実施
(2)政府系金融機関の災害復旧貸付の金利引き下げが行われます。

◆保険と共済の適用

 経済産業省が今年の3月に公表した資料によると、中小企業に対する国の支援策は事業者による自助を前提とはするものの、平成28年度の台風10号、平成29年度の九州北部豪雨の被災事業者へのヒアリング結果から、各種災害と保険対象の補償を組み合わせた総合保険や休業補償にかかる商品を活用して損害をカバーしたケースをあげています。

 保険商品の多様化で細かいニーズに応える事が可能になっているとはいえ、活用のためには事業者も保険商品の内容の理解が必要としています。

 地震や気候の変化にも事業活動を継続していけるよう対策を進めておくことが必要であるとしていますが、上記資料によれば平成28年3月時点では中小企業のBCP(事業継続計画)策定済み企業は15%に留まっているという事です。

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2018年9月23日日曜日

国税庁レポートから読み解く2018年度の重点事項

◆国税庁レポートとは

 国税庁は昭和43年から「日本における税務行政」を毎年刊行していましたが、平成16年以降、それに代わって登場したのが「国税庁レポート」です。

 国税庁ホームページで閲覧することができます。

 国税庁で実施している様々な取組みを納税者に分かりやすく説明することを目的に作成しているので、国税庁の1年間の活動やトピックスが約70ページに凝縮され、読み物としても面白い構成となっています。

◆国税庁の思惑が分かる

 国税庁の使命は「納税者の自発的な納税義務の履行を適切かつ円滑に実現する」ことです。

 適正に申告を行っている納税者に不公平感を与えないよう、適正・公平に課税・徴収に努めるとしています。

 使命を実現するために、当局は様々な施策を試みてきました。中にはあまり成果が上がらなかったものもあり、そうしたものは自然消滅的に施策から消えていきます。

 国税庁レポートを過去と照らし合わせて読み解くと、今年の強力に推し進めたい施策がどのようなものか見えてきます。

◆2018年の重点事項はこれだ!

1.税務行政のスマート化

 ほとんど注目されていませんが、今年7月から事務処理センターの試行運用が全国で展開されています。

 調査担当者が担っていた事務の一部を一元処理するというものですが、裏を返せば、調査担当者は更に調査に集中できることになります。

2.消費税の軽減税率制度への対応

 軽減税率制度の説明会や電話相談センターの専用窓口の設置など、制度の普及に向けた取組みが積極的に行われており、増税の再延長は考えにくい状況です。

 軽減税率制度は2019年10月から、インボイス制度は2023年10月から導入されます。

3.国際的な取引への対応

 昨年7月以降、「国際戦略トータルプラン」に基づき、調査マンパワーを充実させてきました。

 2018年度においても国際税務専門官等の増員を要求しています。

 パナマ文書、パラダイス文書の公開などから国際的にも関心が高い分野であり、調査の増強が見込まれます。

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2018年9月22日土曜日

「消費スタイルの変遷」に売上向上のヒントあり その2

 ここ数年、好景気といわれますが、依然、消費者の財布のひもは固く、売上伸長は簡単にはいきません。

 その中、消費の中心がモノを売る「モノ消費」から、「コト消費」、そして「トキ消費」に移ろうとしています。

 「コト」「トキ」、両者の違いとは? 

 そして、なぜ、いま、コトの一歩先を行くトキ消費に注目が集まるのでしょうか。

 コト消費の代表的なものは体験を伴い、商品を売る「体験型消費」があります。

 一例を挙げると、ある梅酒メーカーでは、手づくりの梅酒や梅シロップを体験する店を開きました。

 顧客は自分の好みに合わせ、梅の種類や砂糖の量を調節し、オリジナルの梅酒をこしらえます。

 このメーカーは梅酒を売るだけでなく、梅酒づくりという楽しい体験を合わせて売ります。これがコト消費です。

 他方、いまそこにしか生まれない「トキ」を楽しむのがトキ消費です。

 ハロウィーンのときの渋谷、最近ではサッカーワールド杯の日本代表への応援など、その時にしか味わえないトキを楽しむものをいいます。

 中でも、多くの人が参加し、盛り上がるお祭りタイプが人気です。

 梅酒づくりはいつでも参加でき、一人でも楽しめますが、サッカーの応援は大会開催期間中、国民の多くが興味をもち、盛り上がることで一体感が生まれ、参加者は他では味わえない深い感動を得ることができます。

 SNSが発達した現在、インターネットを通じてイベントの概要を知ることはできます。

 が、実際に多くの人と参加し、気持ちが一体となる感動はネットだけで得るのは難しいものがあります。

 トキ消費は、SNSが発達した現在ならではの価値があり、今後に期待できる消費の形といえます。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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2018年9月21日金曜日

「消費スタイルの変遷」に売上向上のヒントあり その1

 モノが売れないと悩みを抱える企業が多い現代。

 その中、解決策として注目を集めるのが「コト消費(目に見えるモノではなく形のないコトにお金を支払う消費スタイル)」です。

 さらに、最近は一歩進んだ、「トキ消費」に熱いまなざしが注がれています。

 なぜ、いまトキ消費なのか。

 消費の歴史をさかのぼると見えてくるものがあります。

 かつて人々は車や洋服、宝飾品など、「モノ」を消費してきました。

 ただ、世の中が豊かになると、所有欲を刺激するアプローチでは生活者の食指は動きにくくなります。

 そんな中、モノからコトへ消費の中心が移り、「コト消費」が重要視されるようになります。

 具体的に、コト消費とは体験欲を刺激する体験型消費などが該当します。

 楽しかったコト、心に残るコト、思い出といった、モノを買っただけでは味わえないコトが消費の対象となります。

 ただ、コト消費も最近では出尽くし感があり、新鮮味に欠けつつあります。

 そこで、「コト消費」のさらに一歩先を行く「トキ消費」に注目が集まっています。

 トキ消費とは、いまそこにしか生まれない「トキ」を楽しむという消費の形です。

 代表的なのが、ハロウィーンがあります。

 仮装し、渋谷のスクランブル交差点で、見知らぬ人とハイタッチを交わす。

 そこに集まった人たちが同じ時を過ごすことで、時を共有する喜び、楽しみが生まれます。

 また、旅行では、いつでも訪れることができる名所ではなく、めったに見ることができない「いま」だけの景色を大切な仲間たちと訪れるのがトキ消費になります。

 トキ消費は今後伸びる余地が大きく、売上を伸ばす手段として期待されています。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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2018年9月20日木曜日

中小企業におけるシニア人材の活躍 その2

 2018年版中小企業白書においてシニア人材が活躍する企業の事例として紹介された株式会社加藤製作所(本社:岐阜県中津川市、従業員107名)の取組みについてみていきましょう。

 株式会社加藤製作所は、1888年に鍛冶屋として創業、戦後からプレス板金加工に事業を展開し、家庭電気器具部品や自動車部品の製造等を行っています。

 同社では2001年頃、地域に若年者が少ないこともあり新卒採用が困難となる中、働く意欲はあるが働く場のないシニア人材が多数いることを知り、当時専務であった現社長が土日祭日だけの短時間勤務でシニア人材を活用することを思い付きました。

 そして、男女を問わず60歳以上に限定したキャッチコピーで求人広告を打ったところ、想定を上回る100名からの応募を得て、うち15名を採用しました。

 その後もシニア人材を継続的に採用し、現在では従業員107名のうち、短時間勤務のシニア人材が54名と約半数を占めるに至っています。

 その過程でシニア人材の活躍の場も広がっており、当初土日祭日限定の勤務であったのが、平日も勤務するシニア人材も増えました。

 同社では掲示物や作業指示書等の文字を大きくし、写真やイラストを増やしてひと目で工程を理解できるようにしています。

 また、シニア人材が操作しやすい工作機械の導入も行うなど、シニア人材が働きやすい職場環境づくりも進めています。

 このようにシニア人材の活躍に向けては、シニア人材が働きやすい職場環境の整備が重要となるのです。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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