2018年12月25日火曜日

ゴーン容疑者逮捕に日本版司法取引

 日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が自身の報酬を過少申告したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕されましたが、これには国内で2例目となる司法取引制度が適用されました。
 
司法取引とは、刑事事件の容疑者や被告が、自分や他人の犯した犯罪行為についての情報を当局に提供する見返りに自身の処分を軽くしてもらう制度です。

 アメリカ映画でなじみのある人も多いでしょう。日本では今年6月に施行されたばかりの新しい制度です。

 対象となる犯罪の範囲は、贈収賄や詐欺、覚せい剤取締法、組織犯罪処罰法など刑事訴訟法に明記されたもののほか、政令で規定した経済犯罪として、独禁法や特許法、会社法の違反、脱税、そして今回ゴーン容疑者の逮捕理由となった金商法の違反などが対象です。

 アメリカで多く適用されている司法取引ですが、その内容は日本とは異なります。

 アメリカ型は自分の犯罪を認めることで罪の軽減を図るものですが、日本型は他人や共犯者の犯罪が対象になっています。

 そのため日本型では、自身の立場を有利にするために「仲間」を陥れるような虚偽の供述を行い、えん罪を生む危険性も指摘されています。

 また、司法取引が有効に活用されていくことは、組織の内部の膿を出すためには期待されるものの、組織のなかで「誰か」が人身御供となってしまうことで、本質が糺されないようでは本末転倒です。

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