2018年9月30日日曜日

滞納発生額、2年連続減

 国税庁が発表した、国税を期限どおりに払えない「滞納」の最新状況では、新たに発生した滞納額は2年連続で減少し、残高もピーク時から3分の1にまで減少するなど比較的落ち着いた推移を示しました。

 しかし過去のデータを見ると、消費増税が行われた直後には必ず滞納が激増していることから、来年10月の10%への引き上げ後にも再び滞納件数が跳ね上がることが予想されます。

 2017年度に新たに発生した国税の滞納額は6155億円で、前年よりわずかに減少しました。

 17年度末時点での滞納額の残高は8531億円となり、19年連続の減少です。

 年度末での残高がピークだった1998年の2兆8149億円から7割減ったことになります。

 新規発生額は毎年減り続けているわけではないので、国税が督促や差し押さえなどを使って、発生を上回るペースで滞納整理を進めている状況が見てとれます。

 これまでの新規滞納発生額の推移を見ると、ピークだった1992年から増減を挟みながら減少を続けてきたなかで、発生額がぐっと増えた2つの山があることが分かります。

 一度目は98年で、二度目が2015年です。

 この2年の共通点は、消費税率が引き上げられた時期に当たるということ。

 一度目は3%から5%に、二度目は5%から8%に引き上げられ、滞納する事業者が一気に増えたことが、発生額の急増につながりました。

 言うまでもなく、来年10月には8%から10%への消費税率の引き上げが予定されています。

 取引本体の金額が1千万円だとすれば実に100万円の消費税が課されるわけで、消費者としても事業者としても、これまでにない消費税負担が重くのしかかることになります。

 当然、過去2度の増税時と同じように消費税の滞納も一気に増えるでしょう。

 全ての中小企業にとって無関係な話ではありません。

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2018年9月29日土曜日

国税庁:2017年度査察白書を公表!

 国税庁は、2017年度査察白書を公表しました。

 それによりますと、査察で摘発した脱税事件は前年度より30件少ない163件、脱税総額は前年度を16.1%下回る約135億円となりました。

 2017年度(2018年3月までの1年間)に、全国の国税局が査察に着手した件数は174件となり、前年度を4件下回りました。

 また、継続事案を含む163件を処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)し、そのうち69.3%にあたる113件(前年度比19件減)を検察庁に告発しました。

 2017年度は、消費税の輸出免税制度を利用した消費税受還付事案(12件告発)や、自己の所得を秘匿し申告を行わない無申告ほ脱事案(21件告発)に積極的に取り組み、過去5年間で最多の告発を行いました。

 近年、査察における大型事案は減少傾向にあり、2017年度の脱税総額135億900万円は、ピークである1988年度(714億円)の約19%にまで減少しております。

 そして、1件あたり平均の脱税額は8,300万円となり、ここ5年は1億円を下回っております。

 告発分の脱税総額は前年度を26億9,100万円下回る100億100万円、1件あたり平均の脱税額は8,900万円(同9,600万円)となりました。

 告発分を税目別にみてみますと、法人税が前年度から18件減の61件で全体の54%、脱税総額は約57億円で56%を占めました。

 所得税は同8件減の19件(脱税総額約20億円)、相続税は同1件増の3件(同約4億円)、源泉所得税は同2件増の3件(同約3億円)、消費税は同4件増の27件(同約18億円)となり、消費税の脱税額のうち約11億円は消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む)です。

 告発件数の多かった業種・取引をみてみますと、建設業が26件(前年度30件)で最多となり、次いで不動産業が10件(同10件)、人材派遣の5件と続きました。

 なお、査察は脱税でも特に大口・悪質なものが強制調査されますが、2017年度の査察は国際事案(15件告発)や太陽光発電関連事案(7件告発)など近年の社会情勢に即した事案に対しても積極的に取り組み、多数の事案を告発しております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年9月28日金曜日

(後編)2018年度税制改正:国外財産の相続・贈与の納税義務の範囲を見直し

 そして、2018年度税制改正において、相続開始又は贈与の時において国外に住所を有する日本国籍を有しない者等が、国内に住所を有しないこととなった時前15年以内において、国内に住所を有していた期間の合計が10年を超える被相続人又は贈与者から相続若しくは遺贈又は贈与により取得する国外財産については、相続税又は贈与税を課さないことになりました。

 この場合の被相続人又は贈与者は、その期間引き続き日本国籍を有していなかった者であって、その相続開始又は贈与の時において国内に住所を有していないものに限ります。

 ただし、その贈与者が、国内に住所を有しないこととなった日から同日以後2年を経過する日までの間に国外財産を贈与した場合において、同日までに再び国内に住所を有することとなったときにおけるその国外財産に係る贈与税については、この限りではないとされます。

 なお、この改正は、2018年4月1日以後に相続・遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用されますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年9月27日木曜日

(前編)2018年度税制改正:国外財産の相続・贈与の納税義務の範囲を見直し

 2017年度税制改正において、国外財産に対する相続・贈与の納税義務の範囲については、国際的租税回避行為の抑制等の観点から、相続人(受贈者)が日本に住所を有せず、日本国籍を有しない場合でも、被相続人(贈与者)が10年以内に日本に住所があったときは、国内・国外双方の財産が相続税・贈与税の課税対象になるように見直されました。

 しかし、この見直しに対する強い批判を踏まえ、2018年度税制改正において、再度見直しがされました。

 そもそも、改正は課税逃れ防止を目的としたものですが、一方で、高度外国人材の受入れ促進のため、日本国籍を有さずに、一時滞在(国内に住所がある期間が相続開始前15年以内で合計10年以下の滞在)している場合の相続・遺贈の係る相続税は、国内財産のみが課税対象とされました。

 しかし、引退後に母国に戻った外国人が死亡した場合にまで、国外財産に日本の相続税を課すのはどうなのかとの声もありました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年9月26日水曜日

外国人の中途採用と就労資格証明書

◆外国人の中途採用

 日本国内における外国人の労働人口は年々増加の一途をたどっています。

 求人募集を行う際、外国人材から応募があることも決して珍しくなくなりました。

 ここで気になるのが、中途採用した外国人が、応募した職種で適法に働けるかどうかという問題です。

 外国人の場合、日本人とは異なり無制限に就労できるわけではありません。

 日本人の配偶者や永住者など、一部就労制限のない身分で滞在している外国人もいますが、そうした方ではない場合、いわゆる「就労ビザ」と呼ばれる就労可能なビザを持っていることが必要です。

 この就労ビザは職種によって15種類以上にも分類されていますので、既に「就労ビザを持っている」外国人を採用しても、本当にその就労ビザで働くことができるのか、不安になってしまうことがあります。

 せっかく働きはじめたのに、実は職務内容が適しておらず、ビザの更新が認められないとなると、会社と本人、双方にとって大きな損失です。

◆就労資格証明書の活用

 そんなときに活用できるのが、「就労資格証明書」です。

 就労資格証明書は、外国人がその就職先で就労することが可能であることを、法務大臣が証明するもので、外国人の住所地を管轄する入国管理局で申請します。

 交付の申請はあくまで任意ですが、この就労資格証明書が交付されれば、その外国人が転職先で行う職務内容に問題ないことが確認できるため、主に転職の場面で利用されています。

◆ビザの更新期限が迫っている場合

 転職に伴い就労資格証明書の交付を行う場合、約1か月から3か月の審査期間を要します。

 そのため、もし採用した時点で既にビザの在留期限が迫っている場合は、就労資格証明書の交付申請をしている間に在留期限が来てしまう可能性がありますので、就労資格証明書の交付申請を経ず、ビザの更新申請(在留期間更新許可申請)を行うことになります。

 いずれの選択をする場合も、転職した事実を入国管理局に対して申告し、転職先での職務内容を丁寧に説明することが求められますので、会社の協力姿勢が極めて重要です。

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2018年9月25日火曜日

中小の電子申告義務化に日税連前向き

 企業規模にかかわらず、すべての税務申告の電子化を義務付けることに、日本税理士会連合会の神津信一会長が前向きな姿勢を示しています。

 大企業については2020年度からの義務化がすでに決定していますが、将来的な中小企業への拡大についても税の専門団体が全面協力を買って出た形です。

 7月下旬に東京・千代田区で開催された日税連の定期総会で、神津会長は「中小企業を活性化する税制の提言を行っていく」と今後の意気込みを語りました。

 さらに、20年度から大企業の電子申告が義務化され、将来的には中小企業にも拡大していくという政府の意向に対して、「すべての申告を電子申告で行うことに、日税連は真摯に対応していく」と全面的に協力する姿勢を示しました。

 大企業の電子申告の義務化は最新の18年度税制改正で盛り込まれたものです。

 20年4月以後に開始する事業年度から適用され、それ以降の紙による申告は「無申告」扱いとなり、各種加算税を課されることになります。

 義務化の対象となるのは、①20年4月以後に始まる事業年度の開始時点に資本金等1億円を超える法人、②相互会社や投資法人、特定目的会社に当たる法人――の2種類で、条件に当てはまる法人はすべての申告をe-Taxで行わなければなりません。

 今回は中小企業に比べて電子申告の利用率が低い大企業のみが対象となりましたが、政府が将来的に中小企業も含めた全申告を電子化しようとしているのは明らかです。

 財務省が策定した計画では、将来的には中小法人にも電子申告を義務化するよう言及し、「将来的に電子申告の義務化が実現されることを前提として、電子申告(e-Tax)の利用率100%」との目標を掲げています。

 18年度税制改正では、紙で申告する中小事業者に対して青色申告特別控除の額を10万円減額する見直しも盛り込まれていて、税申告の全面電子化は既定路線とも言えます。

 日税連が全面的に協力することを表明したことで、その流れがさらに加速しそうです。

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2018年9月24日月曜日

自然災害と中小企業支援策

◆想定できないような災害が増えた?

 近年、急激な天候の変化が大きな自然災害となるケースが増えている感じがします。

 気候変動の影響で台風のルートが変わったり想定を超える雨量で甚大な被害が発生したり、今まで大丈夫であった場所にも被害が及ぶ事があります。

 万が一被害を受けた場合、復旧に費用や時間を要する事がありますが支援策はどのようになっているのでしょうか。

◆災害救助法が適用される災害支援

 この法は、被災された方の状況が著しく困難でかつ多数の世帯の住居が滅失した状態の被災地に都道府県が適用し、自衛隊や日本赤十字に応急的な救助の要請、調整、費用負担を行うとともに被災者の救助や保護の活動を行う事を定めています。

 中小企業向けには、
(1)特別相談窓口の設置
(2)災害復旧貸付の実施
(3)セーフティネット保証4号実施(突発的災害が原因の売上げ減少による融資申請)
(4)既往債務の返済条件緩和
(5)小規模企業共済災害時貸付の適用

さらに激甚災害法に基づき指定されると上記支援策の他に、
(1)災害関係保証(特例)の実施
(2)政府系金融機関の災害復旧貸付の金利引き下げが行われます。

◆保険と共済の適用

 経済産業省が今年の3月に公表した資料によると、中小企業に対する国の支援策は事業者による自助を前提とはするものの、平成28年度の台風10号、平成29年度の九州北部豪雨の被災事業者へのヒアリング結果から、各種災害と保険対象の補償を組み合わせた総合保険や休業補償にかかる商品を活用して損害をカバーしたケースをあげています。

 保険商品の多様化で細かいニーズに応える事が可能になっているとはいえ、活用のためには事業者も保険商品の内容の理解が必要としています。

 地震や気候の変化にも事業活動を継続していけるよう対策を進めておくことが必要であるとしていますが、上記資料によれば平成28年3月時点では中小企業のBCP(事業継続計画)策定済み企業は15%に留まっているという事です。

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2018年9月23日日曜日

国税庁レポートから読み解く2018年度の重点事項

◆国税庁レポートとは

 国税庁は昭和43年から「日本における税務行政」を毎年刊行していましたが、平成16年以降、それに代わって登場したのが「国税庁レポート」です。

 国税庁ホームページで閲覧することができます。

 国税庁で実施している様々な取組みを納税者に分かりやすく説明することを目的に作成しているので、国税庁の1年間の活動やトピックスが約70ページに凝縮され、読み物としても面白い構成となっています。

◆国税庁の思惑が分かる

 国税庁の使命は「納税者の自発的な納税義務の履行を適切かつ円滑に実現する」ことです。

 適正に申告を行っている納税者に不公平感を与えないよう、適正・公平に課税・徴収に努めるとしています。

 使命を実現するために、当局は様々な施策を試みてきました。中にはあまり成果が上がらなかったものもあり、そうしたものは自然消滅的に施策から消えていきます。

 国税庁レポートを過去と照らし合わせて読み解くと、今年の強力に推し進めたい施策がどのようなものか見えてきます。

◆2018年の重点事項はこれだ!

1.税務行政のスマート化

 ほとんど注目されていませんが、今年7月から事務処理センターの試行運用が全国で展開されています。

 調査担当者が担っていた事務の一部を一元処理するというものですが、裏を返せば、調査担当者は更に調査に集中できることになります。

2.消費税の軽減税率制度への対応

 軽減税率制度の説明会や電話相談センターの専用窓口の設置など、制度の普及に向けた取組みが積極的に行われており、増税の再延長は考えにくい状況です。

 軽減税率制度は2019年10月から、インボイス制度は2023年10月から導入されます。

3.国際的な取引への対応

 昨年7月以降、「国際戦略トータルプラン」に基づき、調査マンパワーを充実させてきました。

 2018年度においても国際税務専門官等の増員を要求しています。

 パナマ文書、パラダイス文書の公開などから国際的にも関心が高い分野であり、調査の増強が見込まれます。

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2018年9月22日土曜日

「消費スタイルの変遷」に売上向上のヒントあり その2

 ここ数年、好景気といわれますが、依然、消費者の財布のひもは固く、売上伸長は簡単にはいきません。

 その中、消費の中心がモノを売る「モノ消費」から、「コト消費」、そして「トキ消費」に移ろうとしています。

 「コト」「トキ」、両者の違いとは? 

 そして、なぜ、いま、コトの一歩先を行くトキ消費に注目が集まるのでしょうか。

 コト消費の代表的なものは体験を伴い、商品を売る「体験型消費」があります。

 一例を挙げると、ある梅酒メーカーでは、手づくりの梅酒や梅シロップを体験する店を開きました。

 顧客は自分の好みに合わせ、梅の種類や砂糖の量を調節し、オリジナルの梅酒をこしらえます。

 このメーカーは梅酒を売るだけでなく、梅酒づくりという楽しい体験を合わせて売ります。これがコト消費です。

 他方、いまそこにしか生まれない「トキ」を楽しむのがトキ消費です。

 ハロウィーンのときの渋谷、最近ではサッカーワールド杯の日本代表への応援など、その時にしか味わえないトキを楽しむものをいいます。

 中でも、多くの人が参加し、盛り上がるお祭りタイプが人気です。

 梅酒づくりはいつでも参加でき、一人でも楽しめますが、サッカーの応援は大会開催期間中、国民の多くが興味をもち、盛り上がることで一体感が生まれ、参加者は他では味わえない深い感動を得ることができます。

 SNSが発達した現在、インターネットを通じてイベントの概要を知ることはできます。

 が、実際に多くの人と参加し、気持ちが一体となる感動はネットだけで得るのは難しいものがあります。

 トキ消費は、SNSが発達した現在ならではの価値があり、今後に期待できる消費の形といえます。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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2018年9月21日金曜日

「消費スタイルの変遷」に売上向上のヒントあり その1

 モノが売れないと悩みを抱える企業が多い現代。

 その中、解決策として注目を集めるのが「コト消費(目に見えるモノではなく形のないコトにお金を支払う消費スタイル)」です。

 さらに、最近は一歩進んだ、「トキ消費」に熱いまなざしが注がれています。

 なぜ、いまトキ消費なのか。

 消費の歴史をさかのぼると見えてくるものがあります。

 かつて人々は車や洋服、宝飾品など、「モノ」を消費してきました。

 ただ、世の中が豊かになると、所有欲を刺激するアプローチでは生活者の食指は動きにくくなります。

 そんな中、モノからコトへ消費の中心が移り、「コト消費」が重要視されるようになります。

 具体的に、コト消費とは体験欲を刺激する体験型消費などが該当します。

 楽しかったコト、心に残るコト、思い出といった、モノを買っただけでは味わえないコトが消費の対象となります。

 ただ、コト消費も最近では出尽くし感があり、新鮮味に欠けつつあります。

 そこで、「コト消費」のさらに一歩先を行く「トキ消費」に注目が集まっています。

 トキ消費とは、いまそこにしか生まれない「トキ」を楽しむという消費の形です。

 代表的なのが、ハロウィーンがあります。

 仮装し、渋谷のスクランブル交差点で、見知らぬ人とハイタッチを交わす。

 そこに集まった人たちが同じ時を過ごすことで、時を共有する喜び、楽しみが生まれます。

 また、旅行では、いつでも訪れることができる名所ではなく、めったに見ることができない「いま」だけの景色を大切な仲間たちと訪れるのがトキ消費になります。

 トキ消費は今後伸びる余地が大きく、売上を伸ばす手段として期待されています。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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2018年9月20日木曜日

中小企業におけるシニア人材の活躍 その2

 2018年版中小企業白書においてシニア人材が活躍する企業の事例として紹介された株式会社加藤製作所(本社:岐阜県中津川市、従業員107名)の取組みについてみていきましょう。

 株式会社加藤製作所は、1888年に鍛冶屋として創業、戦後からプレス板金加工に事業を展開し、家庭電気器具部品や自動車部品の製造等を行っています。

 同社では2001年頃、地域に若年者が少ないこともあり新卒採用が困難となる中、働く意欲はあるが働く場のないシニア人材が多数いることを知り、当時専務であった現社長が土日祭日だけの短時間勤務でシニア人材を活用することを思い付きました。

 そして、男女を問わず60歳以上に限定したキャッチコピーで求人広告を打ったところ、想定を上回る100名からの応募を得て、うち15名を採用しました。

 その後もシニア人材を継続的に採用し、現在では従業員107名のうち、短時間勤務のシニア人材が54名と約半数を占めるに至っています。

 その過程でシニア人材の活躍の場も広がっており、当初土日祭日限定の勤務であったのが、平日も勤務するシニア人材も増えました。

 同社では掲示物や作業指示書等の文字を大きくし、写真やイラストを増やしてひと目で工程を理解できるようにしています。

 また、シニア人材が操作しやすい工作機械の導入も行うなど、シニア人材が働きやすい職場環境づくりも進めています。

 このようにシニア人材の活躍に向けては、シニア人材が働きやすい職場環境の整備が重要となるのです。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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2018年9月19日水曜日

中小企業におけるシニア人材の活躍 その1

 わが国の生産年齢人口(15~64歳)は、1995年の約8,700万人をピークに減少に転じており、2015年には約7,700万人と20年の間に約1,000万人減少しています。

 その一方で、労働力人口(15歳以上の人口のうち、「就業者」と「完全失業者」を合わせたもの)の推移をみると、1995年から2015年までの減少幅は約42万人に留まっており、生産年齢人口ほどには減少していないことがわかります。

 その背景の一つに65歳以上の労働参加率が高まっていることがあげられます。

 こうした中、中小企業の人材確保においてシニア人材への期待が高まっています。

 2018年版中小企業白書によると、60歳以上の雇用者数は2007年から2017年の10年の間に約330万人増加しており、シニア世代の労働参加が進んでいることが示されています。

 60歳以上の男女の就労希望年齢についてみると、「働けるうちはいつまでも」と回答した割合が28.9%と最も高く、「65歳くらいまで」「70歳くらいまで」がそれぞれ16.6%の順となっており、シニア世代において労働参加の意思が強い者の割合が相応に高いことがわかります。

 シニア世代のうち、収入になる仕事に就くことを希望しながら現在仕事を探していない者に対しその理由を確認したところ、「適当な仕事がありそうにない」と回答した割合が最も高く、そのうち約2割が「勤務時間・賃金などが希望にあう仕事がありそうにない」と回答しています。

 このように中小企業は、賃金・勤務時間などの希望に柔軟に対応しつつ、労働参加の意思が強いシニア世代の雇用の受け皿となることが期待されているのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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2018年9月18日火曜日

(後編)国税庁:e-Taxの利用簡便化をPR!

 「ID・パスワード方式」とは、マイナンバーカード及びICカードリーダライタを持っていないケースについて、税務署で職員との対面による本人確認に基づいて税務署長が通知した「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載されたe-Tax用のID・パスワードのみで、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxによる送信ができるようになります。

 これは、マイナンバーカード及びICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な対応として行うもので、管轄税務署で職員と対面で本人確認を行うため、本人確認ができる書類を持って税務署に行く必要があります。

 なお、2018年1月以降に確定申告会場などで「ID・パスワード方式の届出完了通知」を受け取った人は、既にID・パスワード方式に対応したIDがありますので、手元の申告書等の控えをご確認ください。

 そして、マイナンバーカードやICカードリーダライタを持っていなくても、スマホなどから申告書を作成し、ID・パスワード方式を利用して送信すれば申告が完了しますので、ご利用されます方はあわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2018年9月17日月曜日

(前編)国税庁:e-Taxの利用簡便化をPR!

 国税庁は、2019年1月からe-Taxの利用が簡便化されることをPRしております。

 それによりますと、マイナンバーカードに標準的に搭載される電子証明書やマイナポータルの連携機能の活用などにより、個人納税者のe-Tax利用をより便利にするためのシステム改修を進めており、2019年1月から「マイナンバーカード方式」及び「ID・パスワード方式」の2つの方式が利用できるとしております。

 また、2019年1月から「確定申告書等作成コーナー」において、スマートフォンやタブレットでも所得税の確定申告書の作成が可能になります。

 上記の「マイナンバーカード方式」とは、マイナンバーカードを用いてマイナポータル経由又はe-Taxホームページなどからe-Taxへログインするだけで、より簡単にe-Taxの利用を開始し、申告等データの送信ができるようになります。

 e-Taxを利用するためには、事前に税務署長へ届出をし、e-Tax用のID・パスワードの通知を受け、これらを管理、入力する必要がありますが、マイナンバーカード方式では、そのような手間がなくなります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2018年9月16日日曜日

(後編)経済産業省:IoT税制の概要資料・様式・手引きなどを公表!

 対象設備はソフトウェア、器具・備品、機械・装置で、例えば、データ収集機器(センサーなど)、データ分析により自動化するロボット・工作機械、データ連携・分析に必要なシステム(サーバ、AI、ソフトウェアなど)、サーバーセキュリティ対策製品などが該当します。

 IoT税制の適用を受けるためには、事業者はその取組内容に関する事業計画を作成し、認定を受ける必要があります。

 そして、認定計画に含まれる設備に対して税制措置を適用(適用期限は2020年度末まで)します。

 また、Q&AではIoT税制に関する全39問を掲載しており、補助金との併用が可能なことや同一設備に対する複数税制の適用はできませんが、固定資産税の特例措置とは重複して利用することが可能としております。

 さらに、同一設備に対して、特別償却と税額控除を併用することはできませんが、設備ごとに特別償却と税額控除の措置を使い分けることはできると解説しておりますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年9月15日土曜日

(前編)経済産業省:IoT税制の概要資料・様式・手引きなどを公表!

 2018年度税制改正において創設されたIoT投資税制(情報連携投資等の促進に係る税制)と新固定資産税特例の前提となる生産性向上特別措置法の施行にあわせて、経済産業省では、IoT税制の制度概要資料や申請書様式、手引き、Q&Aを公表しております。

 制度概要資料では、データ連携・利活用やセキュリティ、生産性向上目標の認定要件を解説するとともに、申請から税務申告までの手続きの流れを紹介しております。

 IoT税制は、一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたデータ連携・利活用により、生産性を向上させる取組みについて、それに必要となるシステムやセンサー・ロボットなどの導入を支援します。

 青色申告事業者(業種・資本金規模による制限はなし)が、生産性向上特別措置法の認定事業計画(認定革新的データ産業活用計画)に基づいて行う設備投資について、税額控除3%(賃上げを伴う場合は5%)又は特別償却30%を選択できます。

 上記の賃上げとは、継続雇用者給与等支給額が対前年度増加率3%以上を満たした場合をいいます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2018年9月14日金曜日

外国人就労 新たな在留資格の方向

◆経済財政運営と改革の基本方針

 政府は人手不足対策として、外国人材の受け入れを拡大する為、新たな在留資格を創設する方針の原案をまとめました。

 現在単純労働の分野で外国人の就業を原則禁止していますが、医師や弁護士等高度な専門性を持っている人材は積極的に受け入れ家族の帯同も認めています。

 今回の原案による新たな在留資格の対象は、人手の確保が難しい業種の存続、発展の為に外国人材が必要と認められる業種(農業、介護、建設、宿泊、造船)の5分野を想定しています。

◆最長で10年の就労が可能に

 日本では約128万人の外国人が働いています。

 内訳は①永住者や日本人と結婚した人②留学生のアルバイト③技能実習生④専門性の高い技術者、研究者等です。

 今回は技能実習生の在留期間を3年から5年に延長、さらに10年の就労も可能にする事を想定しています。

 技能実習生は現在25万8千人で5年前の5倍に膨らんでいます。

 政府は秋の臨時国会に出入国管理法改正案を提出し来年4月からの導入を目指しています。

 技能実習生は1993年に始まった制度で本来途上国への技術指導が目的でした。

 日本での就労期間が延びるほど、身に付けた技術を母国で活かす機会が遠のきます。

 本来の実習生の趣旨は考慮されてはいるでしょうが今後の法の動きが注目されます。

◆今後の方向性

 今回の方針では新資格を得た人が日本語や専門分野の試験に合格すれば、在留期間の上限を撤廃し、家族の帯同を認める案も上がっているという事です。

 一方で今回の案が技能実習制度を骨抜きにし、事実上の移民政策に繋がるのではという懸念の声も聞こえるそうです。

 法務省では「在留管理インテリジェンス・センター」(仮称)を設けて雇用・婚姻等の情報を一元化し、不法就労を防ぐとしています。

 外国人労働者の離職、転職等を雇用保険を所轄する厚労省との情報共有、婚姻、離婚等の情報は自治体との連携を進めるとの事です。

 また、外国人留学生の勤務先や勤務時間の管理を強化し、1週当たり28時間の勤務時間を超えると在留資格を取り消す方針だという事です。

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2018年9月13日木曜日

義援金と支援金

◆災害への寄附を募る動き

 今年は地震・大雨と災害が続いています。

 被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。

 災害が発生した際、盛んに各団体が寄附を募りますが、その中には「義援金」と「支援金」があるのをご存じでしょうか?

◆義援金は被災者に渡される

 義援金は、「義援金分配委員会」がとりまとめて、配分対象被災地の自治体へ送金されます。

 そこから被災された方々へ直接募金を渡すものとなります。

 義援金の特徴としては「自治体への寄附として扱われる」事です。

 個人が寄附をした場合は「ふるさと納税」の扱いとなりますので、寄附者の所得・控除によって定められている上限金額までの寄附であれば、自己負担を2,000円で済ます事ができます。

 いわば自分が将来納める税金を、被災地域の救済のための目的税として納める事ができるのです。

 ただし、計算は「ふるさと納税」と同じ扱いになるため、別途ふるさと納税をしている場合は、合算した金額で上限金額を考える必要があります。

◆支援金は支援団体への活動資金に

 支援金は被災者の生活復旧や、避難生活の援助等、各団体が標榜している活動に使われる募金となります。

 組織が活動するにはどうしてもお金が必要ですし、被災者を助ける細やかな活動という面では、各団体への支援金募金は大きな力を発揮します。

 しかし支援金は「団体の活動費」になりますから、寄附した人は、適切に寄附金を使用しているかをチェックする必要があるかもしれません。

 個人から公益法人や認定NPO法人への支援金の寄附は、寄附金税額控除が適用されるケースがあり、通常の寄附金控除と税額控除の選択適用ができます。

 また、寄附先がお住まいの都道府県・市区町村の認定を受けている団体の場合は、住民税の税額控除が受けられます。

 義援金と支援金、どちらも被災者のために、という寄附の意義は変わりません。

 正しい知識と税の控除の仕組みを知って、効率的に支援を行えると良いですね。

2018年9月12日水曜日

【時事解説】内部留保があるから、投資を増やせるのか その2

 「企業経営者は余裕資金(内部留保)が多ければ、工場などの設備投資を増やすでしょうか?」

 このように聞かれると、答えにくいかもしれませんので、少し質問の仕方を変えましょう。

 「設備投資を行う一番の要因は余裕資金が大きいことでしょうか?」この答は簡単です。

 明確に否です。

 カネがあるから設備投資をするというのは合理的な経営判断ではありません。

 設備投資を行うのは、将来の売上が増えたり、経費が削減され、利益が拡大することが見込まれるからです。

 現在、手元に余裕の資金があるかどうかは、設備投資を決定する主要因ではありませんし、また、あってはいけません。

 将来の利益拡大効果が見込まれるにもかかわらず、現在手元に資金がないのであれば、借入を起こして、資金を手当てすればいいだけの話です。

 資金手当ての問題は投資においては二次的な問題に過ぎません。

 投資は今カネがあるから行うのではなく、将来収益が上がると予想できるから行うのです。

 つまり、投資のポイントは入口ではなく、出口です。

 そうした意味で、内部留保(余裕資金)があるから、投資をしろというのは入口の問題に過ぎず、的外れな要請と言わざるを得ません。

 政府がなすべきことは、企業の意思決定に直接介入することではなく、規制緩和や市場拡大など経営者に投資を拡大したいと思わせる経済環境の整備、すなわち魅力ある出口の創出だと思います。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

2018年9月11日火曜日

【時事解説】内部留保があるから、投資を増やせるのか その1

 日本の企業は内部留保をためすぎ、資金を積極的に投資や賃金の増加に振り向けないから、日本経済は低成長にとどまるのだと批判されています。

 また、経済の好循環を持続させるためには、企業の積極的投資増や賃金増加が不可欠だとして、政府側から経済団体に異例の働きかけが行われています。

 しかし、内部留保が多いから、投資を増やせるだろうという議論の展開には違和感を覚えます。

 まず、会計面の整理をしておきましょう。

 新聞等を見ると、「内部留保」という言葉は「余裕資金」と混同して使われている場合が多いようですが、会計的にはその両者は明確に区別されます。

 内部留保とは事業活動によって生じた利益の蓄積であり、会計的には利益剰余金として自己資本を構成します。

 内部留保は貸借対照表の貸方に出てくる項目です。
 
 これに対し、余裕資金は資産の一つとして現金預金(または有価証券)として表示されますから、借方項目になります。

 したがって、内部留保と余裕資金は直接的につながるものではなく、会計的にはまったく別個に存在します。

 貸借対照表の貸方は、資金の調達源泉を示し、内部留保が多ければ、自己資本が多く、財務的に安定していると評価できます。

 しかし、だからといって、必ずしも余裕資金が多いということにはなりません。

 内部留保による利益蓄積を固定資産や在庫につぎ込んでいれば、手持ちの現金が薄いということもあり得るのです。

 このように会計的には内部留保の大きさは余裕資金の大きさを保証するものではありません。

 ただ、内部留保が厚い会社は余裕資金を多額に抱えていることが多いのも事実ですので、以下では、内部留保≒余裕資金として話を進めます。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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2018年9月10日月曜日

(後編)国税不服審判所:裁決事例などを公表!

 そして、法人税法関係では、代表取締役が代表権のない取締役に分掌変更したことに伴って請求人が支給した金員について、実質的に退職したと同様の事情にあるとはいえず、法人税法上の損金算入することができる退職給与に該当しないとした事例があります。

 同事例では、当該取締役は分掌変更により、実質的に退職したと同様の事情にあるとはいえないとしたもので、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を棄却しております。

 また、消費税法関係では、請求人が行った商品券の販売は物品切手の譲渡に該当し、非課税取引に該当するとした事例があります。

 同事例では、請求人は、発行を受けた商品券の同一性を保持しつつも、顧客へ販売していることから、当該商品券の販売は、消費税法別表第一第4号ハに規定する物品切手に該当し、当該取引は非課税取引であるとしたもので、消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分を一部取消しております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年9月9日日曜日

特例承継計画の作成上の留意点

はじめに

 中小企業経営者の高齢化に伴い、今後10年の間に平均引退年齢である70歳を超える経営者が245万人になると推定されています。

 このうち、半数以上が事業承継の準備を終えていない現況にあります。

 そこで、平成30年度税制改正では、円滑な世代交代に向けた集中取組み期間(10年間)の時限措置として、事業承継税制の各種要件の緩和を含む事業承継税制の特例制度が創設されました。

 本稿では、事業承継税制の特例の適用を受ける場合に必要となる特例承継計画の作成上の留意点について解説することとします。

Ⅰ 定義(円滑化規16①)

 「特例承継計画」とは、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けた特例認定承継会社が作成した計画であって、その特例認定承継会社の後継者及び承継時までの経営見通し等が記載されたものとされます。

Ⅱ 確認申請書の提出(措法70の7の5②)

 平成30年4月1日から平成35年3月31日までの間に「特例承継計画の確認申請書(様式第21)」による申請書に、その申請書の写し1通及び登記事項証明書(確認申請日の前3月以内に作成されたものに限り、特例代表者が確認申請日においてその中小企業者の代表者でない場合にあってはその特例代表者が代表者であった旨の記載のある登記事項証明書を含みます。)を添付して、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県庁に提出します。

Ⅲ 記載事項

 特例承継計画の主な記載事項は、次に掲げるとおりとされます。
 ① 会社:主たる事業内容、資本金額等の総額、常時使用する従業員の数
 ② 特例代表者:申請者の氏名、代表権の有無(「無」の場合は、退任した年月日)
 ③ 特例後継者:株式を承継する予定の後継者の氏名(最大3人まで)
 ④ 特例代表者が有する株式等を特例後継者が取得するまでの期間における経営の計画:株式を承継する時期、経営上の課題、その課題への対応
 ⑤ 特例後継者が株式等を承継した後5年間の経営計画:各年の取組内容、期待できる効果
 ⑥ 認定経営革新等支援機関による所見等:事業承継を行う時期、準備状況、事業承継時までの経営上の課題とその対処方針、事業承継後の事業計画の実現性などの指導・助言の内容

Ⅳ 都道府県知事の確認(円滑化規17④)

 都道府県知事は、上記Ⅱの申請を受けた場合において、その確認をしたときは「施行規則第17条4項の規定による確認書(様式第22)」を申請者である中小企業者に対して交付します。

 また、その確認をしない旨の決定をしたときは「施行規則第17条4項の規定による確認をしない旨の通知書(様式第23)」により申請者である中小企業者に対して通知します。

Ⅴ 特例承継計画の認定(円滑化法12①,円滑化規7⑥)

 特例承継計画の認定を受けようとする特例認定贈与承継会社は、その認定に係る贈与の日の属する年の翌年の1月15日までに、「第一種特例贈与認定中小企業者に係る認定申請書(様式第7の3)」による申請書に、その申請書の写し1通及び上記Ⅳに掲げる確認書(様式第22)等の一定の書類を添付して、都道府県知事に提出することとされます。

おわりに

 特例承継計画に特例後継者として氏名を記載された者でなければ、事業承継税制の特例の認定を受けることはできません。

 また、特例承継計画を提出した場合であっても、特例後継者に株式の承継を行わなくても罰則規定はありませんので、実務上は期日までに特例承継計画の提出をしておくべきでしょう。

 なお、特例承継計画の確認を受けた後に、計画の内容に変更があった場合は、変更申請書(様式第24)を都道府県に提出し確認を受けることができます。

 この変更申請書には、変更事項を反映した計画を記載し、再度認定経営革新等支援機関による指導及び助言を受けることが必要とされます(円滑化規17①一,同規18①⑤)。

 ただし、既に特例認定贈与承継会社の株式の贈与を受けた特例後継者については、変更対象者とされませんので留意して下さい。

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2018年9月8日土曜日

ふるさと納税の返礼ルール厳格化へ

 総務省幹部が「正直者が損をする状態に陥ってしまった」と言って頭を抱えるのが、制度が発足して10年が経ったふるさと納税です。

 受け入れ額は過去最高を更新しましたが、「返礼品競争の自粛」通知を無視して豪華な返礼を続けた自治体が牽引したのが実情。

 総務省は返礼品の金額設定ルールを厳格化する方向で検討しています。

 2017年度のふるさと納税は総額3653億円に上りました。

 前年度比の増加率は28%でしたが、15年度から16年度の72%増と比べると半分以下で伸び悩みが明らかになりました。

 また全1788自治体のうち受け入れ額が増加したのは61%、減少したのは39%で、増加した自治体の割合は前年度よりも11ポイント減りました。

 17年4月の総務大臣通知で、各自治体は返礼率(寄付額に占める返礼品の金額)を3割以下にとどめるよう指示されました。

 このため人気品を返礼するために必要な寄付額をアップするケースが続出。

 子ども向け教育の充実のような、社会的に意義の大きい寄付対象の事業を打ち出すものの、人気だった返礼品の穴埋めにはつながっていません。

 そして結局、通知に従わずに過度な返礼を維持したままの自治体が得をする構図が鮮明になりました。

 返礼率が3割を超えたままで、8月までに見直す予定がない12自治体の受け入れ額は計411億円。

 前年度の2.6倍で、全自治体の増加率28%と比べればその差は歴然としています。

 つまり、「注目を集めるためには後ろ指を差されても高額返礼を続ける方が良い」(12自治体のある首長)と判断しているのです。

 とはいえ、総務省とすれば「財源を確保するために通知をないがしろにするのは、我々を馬鹿にしている」(中堅幹部)と怒り心頭。

 返礼率を強制的に3割以下に抑えることを視野に、新たなルール作りに入っているそうです。

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2018年9月7日金曜日

(前編)国税不服審判所:裁決事例などを公表!

 国税不服審判所は、2017年7月から9月分までの裁決事例を、同所ホームページ上に追加公表しております。

 それによりますと、公表された裁決事例は12事例あがっており、そのうち裁決の6事例において、納税者の主張が何らかの形で認められました。

 国税通則法関係では、請求人が行った期限後申告書の提出は、調査の内容・進捗状況、それに関する請求人の認識、期限後申告に至る経緯、期限後申告と調査の内容との関連性の事情を総合考慮して判断した結果、国税通則法第66条第5項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでない」ことに該当するとして、所得税等に係る無申告加算税を全部・一部取り消しております。

 さらに国税通則法関係において、当初から所得を過少に申告する意図を有していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例があります。

 同事例では、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を有していたことを推認させるものとまではいえず、その他、請求人の上記意図を認めるに足りる証拠はないとして、消費税等に係る重加算税の賦課要件を満たさないと判断しました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年9月6日木曜日

(後編)政府:生産性向上特別措置法により設備投資を支援へ!

 上記②では、2018年度税制改正において、IoT設備投資(センサー・ロボット等)を行った場合に、特別償却30%又は税額控除3%(賃上げを伴う場合は5%)を選択適用する「情報連携投資等の促進に係る税制」を創設し、こうした取組みに用いる設備等への投資に対する減税措置等の支援を行います。

 また、一定のセキュリティの確認を受けたデータ共有事業者が、国や独立行政法人等に対し、データ提供を要請できる手続きを創設します。

 上記③では、2018年度税制改正において、中小企業が一定の設備を取得した場合の固定資産税を3年間にわたり最大ゼロとする設備投資の支援措置を創設します。

 これは、市町村の導入促進基本計画に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させ、企業の収益向上に直接つながる一定の機械・装置等であって、生産、販売活動等の用に供されるものの課税標準を、市町村の判断において、最初の3年間ゼロから2分の1に軽減します。

 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2018年9月5日水曜日

(前編)政府:生産性向上特別措置法により設備投資を支援へ!

 政府は、昨年取りまとめた「新しい経済政策パッケージ」において、2020年までを「生産性革命・集中投資期間」として、あらゆる政策を総動員するとしており、生産性向上特別措置法により、我が国産業の生産性を短期間に向上させるために必要な支援措置を講じるとしております。

 昨今、IoTやビッグデータ、人工知能などICT分野における急速な技術革新の進展により、産業構造や国際的な競争条件が著しく変化しております。

 法律では、

①プロジェクト型「規制のサンドボックス」制度の創設
②データの共有・連携のためのIoT投資の減税等
③中小企業の生産性向上のための設備投資の促進

について規定しております。

 上記①のプロジェクト型「規制のサンドボックス」制度の創設は、参加者や期間を限定すること等により、既存の規制にとらわれることなく新しい技術等の実証を行うことができる環境を整備することで、迅速な実証及び規制改革につながるデータの収集を可能とします。

 なお、事前相談・申請を一元的に受け付ける窓口を、内閣官房に開設しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月17日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年9月4日火曜日

(後編)国税庁:ICT利用を活用した施策を推進!

 税務署でのICT利用は、税務署のパソコンで申告書を作成して「e-Tax」が419万1千人、同じく「書面での提出」が40万7千人の計459万8千人と、前年分に比べ2.6%減少しました。

 一方、自宅などでのICT利用は、「HP作成コーナーで申告書を作成、書面で提出」が465万人、「同e-Tax」が61万5千人、「民間の会計ソフトで申告書を作成してe-Tax」が402万3千人の計928万9千人で同9.4%増となり、自宅等でのICT利用が増加しております。

 全国拡大後14回目の確定申告となるe-Tax(国税電子申告・納税システム)は、添付書類の提出省略や書面提出に比べて還付金を早期に還付するなどのメリットを積極的に広報するなど普及拡大に努めた結果、e-Taxでの所得税の申告書提出件数が、前年の864万4千人から882万9千人へと2.1%増加しました。

 これは、所得税の確定申告書の提出人員の約4割(40.2%)がe-Taxを利用したことになります。

 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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2018年9月3日月曜日

(前編)国税庁:ICT利用を活用した施策を推進!

 2017年分所得税等の確定申告において、所得税の申告書提出件数が2,197万7千件(前年分比1.3%増)となり、3年連続で増加となりましたが、それでも過去最高の2008年分(2,369万3千件)よりは6.3%下回っております。

 2011年分から横ばいで推移しており、2千万件を超える納税者数に対応するために、国税庁では確定申告における基本方針として、自書申告を推進し、そのためのICT(情報通信技術)を活用した施策に積極的に取り組んでおります。

 国税庁のホームページ上で申告書が作成できる「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxなど、ICTを利用した所得税の確定申告書の提出人員は、全体で1,434万2千人にのぼり、2016年分より7.4%増加しました。

 また、所得税の確定申告書の提出人員に占める割合は、前年より3.7ポイント上昇の65.3%に達しました。

 さらに贈与税の申告においても、提出人員50万7千人のうち74.4%(37万7千人)がICTを利用し、その割合は前年分から2.5ポイント上昇しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年7月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2018年9月2日日曜日

煙草税の最初のターゲットは?

 明治時代に課税されていた「煙草税」で最初に課税対象となったたばこの種類は、キセルを使う刻みたばこ、現在の主流である紙巻きたばこ、水たばこのうちいずれか――。

 税務大学校がホームページに掲載した三択クイズです。

 たばこへの課税は江戸時代から行われていましたが、地方ごとに課税方法にバラつきがありました。

 全国で統一的に課税されたのは煙草税則が施行された明治9年以降のこと。

 流通業者に課税する「煙草営業税」と、たばこに印紙の貼付を義務付けることで製造者に課税する「製造煙草印税」の2種があり、このうち製造煙草印税は課税が始まった当初、課税対象を「製造煙草」としていました。

 その後、16年施行の改正法で刻みたばこを課税対象に絞ったのです。

 すなわち三択の答えは刻みたばこということになります。

 明治初期は刻みたばこが主流だったそうです。

 なお、巻たばこは21年の改正で課税対象に追加されました。

 なお、税の歴史クイズは社会と税の関わりをクイズ形式で紹介するコンテンツで、2カ月に1回のペースで問いが追加されています。

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2018年9月1日土曜日

平成30年9月の税務

9月10日
8月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

10月1日
〇7月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

〇1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>

〇法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>

〇1月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

〇消費税の年税額が400万円超の1月、4月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>

〇消費税の年税額が4,800万円超の6月、7月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(5月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>