2014年11月25日火曜日

【時事解説】ぶつからない車、技術の最先端とこれから

最近、「ぶつからない車」が話題です。こうした車には、自動ブレーキ機能といって、車両や障害物を認識して衝突を回避する機能が搭載されています。種類も豊富で、「メルセデス・ベンツSクラス」のような超高級車から、「ムーヴ」(ダイハツ工業)や「ワゴンR」(スズキ)といった軽自動車に至るまで、さまざまな新型車が自動ブレーキを搭載するようになりました。国土交通省によると、自動ブレーキ装着車の国内向け生産台数は、2011年は約4万6,000台でしたが、2013年には19万7,000台と約5倍近くまで増加したといいます。

ただし、ぶつからない車といっても、自動車メーカーにより機能、性能が多少異なります。どの車種も障害物を検知して自動でブレーキをかける点は共通していますが、人物を検知できるか、雨天でも性能が劣らないか、時速30㎞よりも早いスピードでも検知できるかなど、グレードにより性能や機能にバラツキがみられます。

加え、課題もいくつか残されています。第一は安全性です。自動ブレーキといっても、まだ完璧なものではありません。2013年11月、自動車メーカーの試乗会では、自動ブレーキを装着している車が障害物を倒して金網に激突した事故が生じました。原因は、事故を起こした車の自動ブレーキは、時速30km以下で作動するようになっているのですが、運転者は係員の説明をよく聞かずに時速30kmを超えるスピードで走らせたため、自動ブレーキが作動しなかったといいます。まだまだ、課題の多いぶつからない車ですが、ビジネスの面で市場規模の拡大には大きな期待が寄せられています。

今後も「ぶつからない車」は販売台数の伸びが予想され、ビジネスチャンスへの期待が高まっています。なかでも、自動車の販売そのものの伸びはもとより、センサーやカメラの分野での成長が期待されています。

自動ブレーキ機能は、障害物などを検知するのに、センサーやカメラを用いています。主なものを挙げると、遠方の障害物でも検知できる「ミリ波レーダー」、人間も検知できる「ステレオカメラ」、価格が安い「赤外線レーダー」などになります。

それぞれ、一長一短があり、ミリ波レーダーは遠方の障害物を検知でき、悪天候にも強いといった点が特徴ですが、コストがかかるのが欠点です。

ステレオカメラは人間を検知できるといった点で優れていますが、一方で、悪天候に弱い、逆光のとき性能が落ちるなどの欠点を有しています。そして、赤外線レーダーは冒頭で触れた事故のように、時速30km以下でないと機能しないといった欠点があります。

市場としては、こうしたセンサーやカメラを製造しているメーカーだけでなく、検知したデータをもとに、どのように車を制御するかといった制御技術を有している企業にも成長が期待できます。

そして、さらに、この先自動ブレーキの性能が高まると、次は自動運転が技術革新の中心になると言われています。高速道路での手放し運転や自動車庫入れ機能は、自動車メーカーの多くは既に開発に成功しています。2020年、東京オリンピックのとき、選手村から競技会場までの限られた区域のなかで、自動運転が実現するようです。そうなると、自動車産業には、ますます多くのビジネスチャンスが生まれる可能性が高まります。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)




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