2018年5月29日火曜日

【時事解説】利益に対応した経営責任 その2

 しかし、株主の見方は違います。

 経営者は株主から財産を預かって株主財産を増加させることを委託されています。

 外部環境はどうであれ、その中で最高のパフォーマンスを示すのが経営のプロのはずです。

 株価の下落が予想されるなら、事業と関係ない株式はあらかじめ売っておくべきですし、それでもなお所有し続けるなら、株価下落による評価損を補って余りある事業上の利益がもたらされなければなりません。

 経営手腕には単に事業遂行能力だけではなく、外部環境変化への対応能力も含まれているはずだと考えるのです。

 包括利益とは経営を巡るすべての外部環境変化も包含した上で、経営者の経営能力を評価する利益だといえます。

 資産の評価損益も含めて経営者の経営責任を問われるとなると、資産の収益性の検証が重要になります。

 いつか役に立つだろうとか、将来値上がりするだろうから何となく継続保有する、といった漠然とした理由での所有が許されなくなります。

 所有している資産が現在の収益獲得にどのように貢献しているのかということを常にチェックし、資産所有の妥当性を検証しなければなりません。

 日本人は古くから失敗の検証が苦手で、失敗を招いた人間に対する責任追及が甘くなりがちな民族なのではないかと思います。

 自分の責任を追及されたくないのは言うまでもないことですが、自分を引き上げてくれた先輩の責任を問うこともはばかる風潮も根深く存在します。

 しかし、所有資産に内在する赤字も含めた損益が重要視されるようになれば、従来のような微温的態度に終始できなくなり、赤字の原因を生じさせた経営者責任を厳しく追及される局面が増えてくるのかもしれません。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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