2014年9月21日日曜日

若年層への資産移転策目白押し

そろったばかりの各省庁の平成27年度税制改正要望には、祖父母・親世代の個人資産を次世代に譲り渡すための改正メニューがずらりと並んでいます。


資産移転の推進を目的に、住宅購入、株投資、教育、結婚、妊娠、出産、育児といったさまざまな場面で使える税優遇を取りそろえる構えです。銀行などで眠っている個人資産を何としてでも市場に回したいという国の意向がはっきりと見えます。

国土交通省は、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置の延長・拡充を求めました。直系尊属から住宅取得目的の資金の贈与を受けた場合に一定額までは課税されないこの制度は、今年で期限切れになる予定でした。国交省は3年間の適用延長と、非課税枠の拡充(最大3千万円)を要望しています。

金融庁はNISA(少額投資非課税制度)について、現行の年間非課税枠の100万円から120万円への引き上げとともに、ジュニアNISAの創設を要望に盛り込んでいます。ジュニアNISAは、未成年者名義の口座で投資した株式や投信について、年間80万円までの投資分の運用益・配当金を最長5年間非課税にするもの。親や祖父母の資金拠出を想定して提言されていることからも、高齢者から未成年者への資産移転のきっかけのひとつになる政策と国が捉えていることが分かります。教育資金を一括贈与した場合の贈与税の非課税措置についても、金融庁は制度の恒久化と対象の拡充を求めています。

内閣府は金融庁とともに、資産移転に関わる税制を提案しました。信託などの機能を使って結婚や妊娠、出産、育児の費用を一括で子や孫に贈与した場合に一定額を非課税にするべきとしています。前述の教育資金一括贈与の特例と類似の制度といえそうです。また、内閣府単体で、子育てに必要な支出を所得税制上の控除対象にすることも要望しました。





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