2017年5月12日金曜日

2016年度税制改正:加算税制度の見直しに注意!

 すでに2016年度税制改正において、国税通則法の一部が改正され、加算税制度の見直しが行われております。

具体的には、

①実地調査に際し、調査に関する一定事項の通知(調査通知)があった以後の修正申告書等に対して、加算税が課される措置

②短期間に繰り返して無申告又は仮装・隠ぺいが行われた場合には、加算税の割合が加重される措置

が設けられました。

 2016年度税制改正後の制度により、すでに法定申告期限等が到来する国税から適用されております。

 上記①の調査通知が新たな加算税賦課の基準とされたことよって、調査通知以後の修正申告には、すべて加算税が賦課されることになります。

 これまで税務調査前に行われていたのは、事前通知であって通知項目は11項目に及びますが、2016年度税制改正では、この事前通知項目から、「実地調査を行う旨」、「調査対象税目」、「調査対象期間」の3項目を抜き出し、これらの3項目を通知すれば通知が完了する形となっております。

 改正前は、会社の顧問税理士等に実地調査を行うための電話があった場合には、事前通知の11項目すべてが伝われば完了しますが、実際には日程調整などに時間を要することもあって、事前通知がすぐに完了することはありませんでした。

 しかし今後は、日程調整等に時間がかかるとしても、実地調査を行うための電話で上記の3項目の通知が済めば、その時点で調査通知については完了し、その後の修正申告に対する加算税賦課要件は完了します。

 これまでは事前通知が完了するまでに修正申告をすることにより、加算税賦課を免れるケースが散見されていましたが、時間がかからない調査通知が設けられたことで、そのような加算税賦課の回避が封じられたことになります。

 また、調査通知以後の修正申告で、調査による更正等を予知してされたものでない場合は、改正前であれば加算税賦課の対象外だったものが、改正後は過少申告加算税が5%の割合で賦課されますので、ご注意ください。


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2017年5月11日木曜日

健康保険 退職後の傷病手当金

◆資格喪失後の継続給付

 健康保険の傷病手当金は、被保険者が業務外の病気やけがの療養の為に働く事ができない期間に給与が受けられない場合、又は給与の支払額が手当金より少ない場合に受給する事ができます。

 傷病手当金が受けられる期間は支給開始時期から最長で1年6ヶ月です。

 この間に復職した期間があって再び同じ傷病で休んだとしても、支給期間は支給開始より1年6ヶ月間の期間に算入されます。

◆資格喪失後の傷病手当金

 退職等で資格喪失した場合でも傷病手当金を受け取れる場合があります。

 資格喪失日の前日(退職日)まで被保険者期間が1年以上あり、その日に傷病手当金を受けているか受けられる状態であれば、資格喪失後も引き続き支給を受ける事ができます。

 これは資格喪失後の継続給付であり、被保険者が出産の為休業する期間に対する出産手当金も同じ制度があります。

◆任意継続被保険者となった時

 退職した時に任意継続被保険者となった場合は、資格喪失時の継続給付に該当すれば任意被保険者であっても傷病手当金を受ける事ができます。

 但し、任意継続被保険者になった後に、病気やけがの療養の為、働く事ができない時であっても傷病手当金を受け取る事はできません。

◆傷病手当金が支給調整される場合

 資格喪失後の継続給付は、資格を喪失した人が老齢年金を受けている時は原則として傷病手当金は受け取れませんが、老齢年金額の360分の1が傷病手当金の日額より少ない時はその差額が支給されます。

 また、退職後に雇用保険の失業給付の基本手当を受けようとしても、傷病手当を受けていれば基本手当を同時には受けられません。

 基本手当の受給要件が「いつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にある事」である為、傷病手当金は受けられないのです(基本手当の受給期間延長はできます)。

 このように退職後の継続給付で傷病手当金を受けている時には支給制限にかかる事もあるので注意が必要です。


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2017年5月10日水曜日

未支給年金の判決と国税庁の整理

◆未払給与・未払年金

 遺族の方に支給される遺族年金は、所得税も相続税も課税されません。

 ただし、相続後に支給を受けるものであっても、その死亡した人に支給されるべき年金給付のうち未だ支給されていなかったもの(未支給年金)があるときには、未払いの給与などと同じように、相続財産になるのではないか、と考えてしまいそうです。

◆未支給年金の相続性

 ところが、未支給年金については、「国民年金」についての最高裁の確定判決があり、未支給年金請求権について、最高裁はその相続性を否定しています。

 国民年金法は、未支給年金を請求できる者の範囲及び順位について、民法の相続人とは異なる定め方をしています。

 一定の遺族が「自己の名」で未支給年金の支給を請求することができるとした国民年金法は、遺族の生活保障を目的とした立場から未支給年金の支給を認めたものと解されています。

◆固有の権利とみなし規定

 従って、年金受給権者の遺族で一定の要件に該当する人は、その人の名前で当該未支給年金の支給を請求することができます。

 遺族の固有の権利に基づいて支払いを受けるものには、保険金や退職金などもあります。

 しかし、保険金や退職金と異なり、未支給年金には、相続財産とみなす規定もないので、相続財産ではなく、その遺族の一時所得の収入金額に該当します。

◆「厚生年金」と「共済年金」の規定ぶり

 これを踏まえ、いろんな未支給年金の課税関係について見てみると、厚生年金法は国民年金法とほぼ同様の規定ぶりになっているので、先の未支給国民年金と課税関係も同様とすべきとなりそうです。

 他方、「共済年金」では、請求権者の範囲及び順位について、民法の相続人とは異なる定め方をしているという点では同じですが、「遺族」がいないときは死亡した者の「相続人」に支給すると、いう規定も置いています。

 そうすると、死亡した者の「相続人」が支給を受けた場合には相続税の課税対象になるとも考えられそうです。

◆国税庁の整理

 ところが、この場合も支給を受けた者の「一時所得」になると、国税庁ホームページでは整理しています。


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2017年5月9日火曜日

地域における事業承継支援体制の構築

 2016年12月に中小企業庁より公表された「事業承継ガイドライン」では、中小企業の事業承継に関する「身近な支援者」として下記の方々を掲げています。

 商工会議所・商工会の経営指導員は日々の巡回指導等を通じて中小企業経営者との間に信頼関係を構築している中小企業にとって身近な存在です。

 地域金融機関は、中小企業に日常的に接して経営状況を把握しており、中小企業に対してきめ細かな経営支援等を実施し得る立場にあります。

 士業専門家としては、税理士、弁護士、公認会計士、中小企業診断士などがあげられます。

 税理士は、顧問契約を通じて日常的に中小企業経営者との関わりが深く、決算支援等を通じ経営にも深く関与しています。

 弁護士は、中小企業や経営者の代理人として、事業承継を進めるにあたり、経営者と共に利害関係者への説明・説得を行い、円滑な事業承継を進める役割を担っています。

 公認会計士は、監査及び会計の専門家として事業承継の様々な場面で、広い見識に基づく支援が期待されています。

 中小企業診断士は、中小企業の様々な経営課題への対応や経営診断等に取り組んでいます。

 また上記の身近な支援者に加え、各都道府県には、事業引継ぎ支援センター、よろず支援拠点などの公的支援機関も整備されています。

 このように、中小企業経営者の周囲には、身近な支援者から公的な支援機関まで、多様な支援機関が存在していることから、中小企業経営者としては、まずは身近な支援機関に声を掛けてみることが、事業承継に向けた準備の第一歩となるのです。

 では、地域における中小企業の事業承継支援にあたっては具体的にどのような取組みが求められるのでしょうか。

 ここでは栃木県における事業承継支援の取組みについてみていきたいと思います。

 栃木県では、2015年12月に施行された「栃木県中小企業・小規模企業の振興に関する条例」の趣旨等を踏まえ、自治体(県及び市町)・商工団体・金融機関及び専門家等が連携して中小企業・小規模企業への支援策を検討・実施する体制を整え、創業から事業承継まで「オールとちぎ」で支援していくことを目的として「とちぎ地域企業応援ネットワーク」を構築しています。

 同ネットワーク内には事業承継支援プロジェクトチームが設けられ、ネットワーク内の各支援者の間で事業承継支援に関する情報共有を図っています。

 また、栃木県では、専門的・実践的分野の深い知識を有するエキスパートを大学、研究機関、民間企業などから幅広く確保・登録し、事業承継等の経営課題を抱えた中小企業に対し、商工会議所・商工会を通じて派遣する「エキスパートバンク制度」を構築して専門家派遣による事業承継支援を行っています。

 エキスパート派遣に係る旅費・謝金などは初回に限りエキスパートバンクが全額負担するため、中小企業は無料(1回)で活用できます。

 この制度ではエキスパートが直接企業を訪問することから、中小企業は自社の秘密を厳守しつつ具体的・実践的な指導を直接受けることができます。

 このように、各々の支援機関は自らの専門分野に責任をもって取り組むことはもちろん、支援機関相互の連携を図りつつ、事業承継支援を切れ目なく行う体制を構築することが求められるのです。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

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2017年5月8日月曜日

会計検査院:租税特別措置(所得税関係)の適用状況等を報告!

 会計検査院は、租税特別措置(所得税関係)の適用状況等についての報告書を公表しました。

 行政機関が行う政策の評価に関する法律により、法人税関係の特別措置については各省庁の政策評価が義務付けられ、また、2010年4月に施行された租特透明化法により、税負担を軽減する法人税関係の特別措置に関しては、適用実態調査結果の国会報告が行われております。

 しかし、所得税関係については政策評価が義務付けられておらず、これまで適用実態調査も行われていませんでした。

 そこで、会計検査院では、関係省庁及び財務省による所得税軽減措置に対する効果等の検証が行われているか、減収見込額が多額に上っている所得税軽減措置が必要最小限のものとなっているかなどに着眼して対象となった109措置の適用状況を検査しました。

 それによりますと、2010年度から2015年度までの6年間に、政策評価も税制改正要望の際の検証のいずれも行っていないものが80件ありました。

 減収見込額が多額に上っている所得税軽減措置としては、2015年度減収見込額8,910億円の「申告不要配当等特例等」があります。

 同特例は、上場会社から支払を受ける配当等を有する納税者について、各年分の所得税の計算上、これを除外して総所得金額を計算して確定申告することができるとするなどの措置ですが、大口株主等は事業参加的側面が強いことから、同特例は適用できないこととなっております。

 また、2015年度減収見込額1,830億円の「年金控除特例」が取り上げられました。

 この特例は、標準的な年金以下の年金のみで暮らす高齢者世帯に十分な配慮を行うことを目的として、年齢が65歳以上の納税者を対象に、公的年金等からの控除額を上乗せする措置ですが、会計検査院は「申告不要配当等特例等」、「年金控除特例」ともに関係省庁において、国民の納得できる必要最小限のものとなっているかなどの検証が十分にされていないと指摘しております。

 今後の動向に注目です。


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2017年5月2日火曜日

相続課税割合公表値を読む

◆基礎控除引下げの影響の予測と結果

 平成27年1月1日以後の相続から基礎控除額が60%に引下げられています。

 27年中の相続税申告の事績が昨年末に公表され、その制度変更の影響がどう表れているか明らかになりました。

 亡くなられた方について相続税の申告がなされた割合は10年来4.1~4.4%で推移していたところ27年は8.0%と倍近い増加になっています。

 少し前までは、6%ぐらいを予測値としている情報が多かったところです。

◆公表結果値の概要

 死亡者数は年々少しずつ増加し、ここ10年来で2割ぐらい増えてはいるところ、前年比では1.4%程度の増にすぎませんが、課税申告書提出件数は83.2%もの増になっています。

 前年比の申告書の提出を要する課税実増加件数は46,804人で、それに対応する実増加申告財産額は32,276億円で、相続申告増加1件当たり約6,900万円です。

 実増加税収は4,208億円で、相続申告増加1件当たり約899万円です。

◆都道府県別比較をしてみると

 課税申告割合、全国平均の8%に対し、都道府県別に高い方のベスト3をみると、東京15.7%(都内23区では16.7%)、愛知13.8%、神奈川12.4%です。東京の場合は、6.4人に1人の割合で相続課税がなされています。

 低い方のベスト3は、秋田2.2%、青森2.9%、鹿児島3.1%です。秋田の場合は、45.5人に1人の割合で相続課税されています。

◆変化の波と身近な経験的印象

 課税対象となる割合の高い地域が、その割合の増加の程度も高そうに思ってしまいそうですが、課税対象割合の増加率を追ってみると、その高い地域の増加変化率は東京が最低で162%、次いで京都163%、大阪164%で、これがワースト3です。

 逆に、増加変化率のベスト3は、富山246%、秋田244%、青森223%です。

 絶対数では、大都市圏で課税対象者割合が高いと言えるものの、基礎控除引下げの煽りを烈しく受けて変化の波に呑まれているのは地方なのかもしれません。



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2017年5月1日月曜日

パート主婦の扶養の要件

◆103万円の壁とは

 一般的に主婦の方がパートに働きに出ると収入額を意識する事が多いのが103万円の壁と言われるものでしょう。

 給与収入が103万円を超えると夫の収入から配偶者控除38万円が控除されなくなり課税になるからです。

 しかし103万円を超えて141万円までは配偶者特別控除があるので増える所得税は年5万から10万円と言うところです。103万円の壁と言うのは課税が始まる地点と言えます。

 この103万円超は平成30年1月より150万円超に変更されることになっています。配偶者特別控除も201万円までになりますので、課税され始める地点が150万円に変更される事になります。

 企業で扶養手当、家族手当等の名称の賃金で出されている妻の扶養手当支給要件が妻の収入は103万円以下となっている場合、妻が就労制限をかけてしまう事も考えられます。

 政府や経営者団体はこのような場合は基準を検討するように求めています。

◆パートの社会保険加入① 106万円の壁

 昨年の10月に従業員500人超の企業に勤める方に社会保険の加入が適用拡大されました。

 新たに加入対象者になる方は「週20時間以上勤務、月額88,000円以上」となっています。

 年間でみると1,056,000円となり「106万円の壁」等と呼ばれています。

 この対象は従業員500人超の企業ですから中小企業の多くは対象外です。

 一般的には「週の所定労働時間」か「月の所定労働日数」のいずれかが常用労働者の4分の3以上の勤務で加入対象となります。

 平成29年4月から500人以下の事業所でも労使合意がありパートタイマーが適用条件に合えば加入できます。

◆パートの社会保険加入② 130万円の壁

 年収130万円以上になると夫の健康保険の被扶養者から外れます。

 妻の勤め先で社会保険の加入要件に合えば加入するか、又は自身で国民健保、国民年金に加入する事になり、保険料負担が増加します。

 国民年金でも年間20万円位かかります。

 こちらの方が所得税の150万円の壁より意識せざるを得ない壁と言えるかもしれません。


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