2015年12月25日金曜日

横須賀市が危険空き家を強制解体

壁や屋根の一部が崩落していた空き家の解体に神奈川県横須賀市が着手しました。


周辺住民に危害を与えかねない〝危険空き家〟を行政代執行で解体できる規定を盛り込んだ「空き家対策措置法」に基づく初の取り壊しで、今後同様の措置は各地で起こることが予想されます。

横須賀市は10月下旬、木造平屋建て住宅の解体作業を始めました。

不動産登記簿や住民票、固定資産税課税などの情報をたどっても所有者を特定できなかったため、解体費用150万円は市が負担することになりそうです。

以前から空き家の放置が問題化していたにもかかわらず、所有者の多くが解体せずに放置している理由は、建物を取り壊すと解体費用が掛かるほか、毎年の固定資産税を取り壊し前以上に支出しなければならないためです。

住宅用地の課税額は、敷地200平方メートル以下の部分が更地の固定資産税評価額に比べて6分の1になります。空き家であってもこの特例は適用されてきたため、たとえ建物が朽ちかけていたとしても更地にせずに放置してきたわけです。

しかし、空き家対策措置法の本格施行後は、保安上明らかに問題がある空き家や、そのまま放置すれば衛生面や安全面で大きな問題が出かねない空き家を〝危険空き家〟と判断し、その所有者に対して除却、修繕、立木伐採といった助言、指導、勧告、命令ができるようになったほか、改善を促されたにもかかわらず放置を続けたときには、行政代執行で解体できることとなりました。

さらに、周辺の生活環境の保全のために必要な措置をとるように市町村長から勧告された危険空き家の敷地には住宅用地特例が適用されず、一気に6倍の固定資産税を徴収されることになります。

行政が所有者特定に掛かる時間や事務量負担の増加といった問題をクリアすれば、横須賀市の後に続いて危険空き家の強制解体が続くことは想像に難くありません。空き家を放置している人に対する行政の目は厳しいものになりそうです。

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