2015年6月5日金曜日

スマイルカーブ


ビジネスにおける儲け方を説明する際に、「スマイルカーブ」という言葉を使うことがあります。人間は笑うと、口の両端が上がり、中ほどは下がります。その笑った時の口の姿がスマイルカーブです。スマイルカーブではビジネスの上流と下流は利益率が高く、中流は利益率が低いことを示します
上流は企画、中流は製造、下流は販売になります。利益率の高いのは上流と下流で、中流では余り利益をあげることはできません。下流を単なる小売と考えると、利益率が高いと断言することにやや躊躇しますが、ここでの下流は単に他から買ってきたありきたりの商品を陳列して販売するものではなく、自ら企画した商品を自ら販売するアップルやユニクロのように顧客をがっちりつかんでいるビジネスを思い浮かべてください。
スマイルカーブの考え方を使うと、現在の時価総額世界一のアップルがなぜ儲かるのかがよくわかります。アップルは中流としての製造は台湾や中国の企業に任せます。儲からない中流は捨て、儲かる上流と下流に資源を集中しているのです。儲けるためには上流では優れた企画力が、下流では抜群のブランド力がなければなりません。アップルは会社の全精力を注ぎこみ、並外れた企画力とブランド力を育て上げているから、比類のない利益をあげることができるのです。
スマイルカーブ理論を会計的な資産効率の側面から見ると次のようにいうことができます。中流の製造事業はどうしても機械などの固定資産や、材料などのたな卸資産を持たなければなりません。しかし、上流と下流はやり方次第で資産を持たずに商売ができます。上流の企画力の資源は人間の頭ですから、貸借対照表上の資産は不要です。下流も強力なブランド力があれば、在庫を持つことなく製品を売り切ることが可能です。事実、アップルの製品は発売と同時に瞬時に売り切れてしまうものが大部分です。抜群の企画力とブランド力は貸借対照表の資産を極小化しながら、利益を極大化できるのです。
企画力とブランド力は一体です。上流の企画力がなければ下流のブランド力も生まれません。アップルは抜群の企画力で卓抜したブランド力を形成し、それをベースにして資産を効率的に利用しながら高い利益をあげる、優れたビジネスモデルを持っているのです。
衣料品で言えば、ユニクロも同様なビジネスモデルを持っています。ユニクロは製造段階も持っており、上流、中流、下流すべてに関わっているところがアップルとは違いますが、上流の企画力に基づいた強力なブランド力が強さの源泉であるところはアップルと同様です。
記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター