2017年3月31日金曜日

個人所得課税 公社債投資信託の税務

 公社債投資信託とは、証券投資信託の1つで、その信託財産を国債、地方債、社債など公社債(債券)に対する投資として運用し、株式、投資口、出資、優先出資等に対する投資として運用しない投資信託です。

 そして、その大部分は、上場又は公募型の公社債投資信託です。

●上場・公募公社債投資信託の譲渡

 平成27年12月31日以前は、当該投資信託を譲渡した場合に生じた譲渡損益は、所得税及び住民税は非課税でした。

 しかし、平成28年1月1日以後においては、当該譲渡損益は、上場株式等に係る譲渡所得等として課税の対象になりました。

●上場・公募公社債投信の償還・解約

 当該投資信託の終了や解約に際して、償還金、解約金が支払われます。

 平成27年12月31日以前は、償還金又は解約金が当該投資信託の元本を超える場合、その超える部分の金額、すなわち償還差益又は解約差益は収益分配金となり、利子所得になっていました。

 また、償還、解約の場合に生じた元本と取得価額の差額(差損・差益)については、株式投資信託の場合と異なり、差益は非課税、差損は生じなかったものとみなされていました。

 しかし、平成28年1月1日以後においては、上場及び公募公社債投資信託の償還・解約があった場合には、当該金額の全部が上場株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされることになりました。

 これにより、昨年までのように、個別元本と取得価額の違いをことさら意識する必要はなくなりました。

●損益通算及び繰越控除

 もちろん、当該投資信託の譲渡による譲渡損、当該投資信託の終了に伴う償還損、解約に伴う解約損が生じた場合には、上場株式等の配当所得及び特定公社債等の利子等(配当等)との損益通算、さらには、一定の要件のもと繰越控除の適用もあります。

 ちなみに、平成28年1月1日以後、上場・公募公社債投資信託は、証券会社等の特定口座内で管理されるようになり、その口座内での通算が可能となりました。

 なお、平成28年1月1日以後は、上場・公募公社債投資信託の収益分配金は、上場株式等に係る配当所得等として申告分離課税の対象となりました。


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2017年3月30日木曜日

私道の相続評価で最高裁が審理差し戻し

 相続した土地のうち、私道として使われている部分の財産評価をめぐって納税者と自治体が争っていた裁判で、最高裁は自治体側の主張を全面的に認めていた高裁判決を破棄し、さらなる検討を命じる審理差し戻しの判決を下しました。

 私道と認定されれば税負担は7~10割減となるため、裁判の結果は不動産相続に大きく影響しそうです。

 相続財産の評価方法を規定した財産評価基本通達では、私道として利用されている宅地を「私道供用宅地」として、

①行き止まりの生活道路など、特定の人間が通行するものについては評価を7割減、

②通り抜け道路のように不特定多数の人間が通行するものについては0円

――で評価すると定めています。

 原告は相続税の申告に当たって、まず②のゼロ評価私道として申告書を提出しましたが、その後①の7割減私道だと修正して申告をし直しました。

 しかし税務署は「アパートの敷地の一部であり、そもそも私道ではない『貸家建付地』である」として減額特例の適用を認めず、更正処分を決定。

 不服とした原告が訴えを起こしたものです。

 地裁、高裁の判決ではともに自治体側の訴えが認められ、納税者が敗れました。

 しかし最高裁では、これらの判断を覆しました。

 私道に当たるかどうかは「建築基準法などの法令の制約の有無だけではない」として、「宅地の位置関係や形状、道路としての利用状況などを踏まえて、総合的に、ほかの用途に転換することが難しいかを考えるべき」との判断を示しました。


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2017年3月29日水曜日

日弁連がステマについて意見書

 日本弁護士連合会(中本和洋会長)は2月中旬、消費者に宣伝と気づかれないように行う宣伝、いわゆる〝ステルスマーケティング(ステマ)〟を、景品表示法が禁止している「一般消費者に誤認されるおそれがある表示」に追加することを求め、消費者庁に意見書を提出しました。

 日弁連はステマを「欺まん的な情報提供」と強く非難しています。

 景品表示法では、消費者が誤認するような表示で自主的かつ合理的な選択を阻害することを禁止しています。

 意見書ではステマについて

①事業者が自ら表示しているにもかかわらず第三者が表示しているかのように誤認させるもの、

②事業者が第三者に表示させるに当たり金銭などの経済的利益を提供しているにもかかわらずその表示をしないもの

――の二つに分け、ともに不当表示に加えるべきだとしました。

 ステマが問題になった例としては、飲食店から依頼を受けた業者が顧客に成りすまし、インターネット上の〝口コミサイト〟に店の推奨記事を書いていたことがありました。

 また、インターネットオークションの運営者から報酬を受けた芸能人が、実際に落札していないのに「落札できた」とブログで報告し、オークションサイトをPRしたケースも発覚しています。


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2017年3月28日火曜日

個人契約の死亡保険金の課税関係

 日本は世界的に見ても生命保険大国であり、生命保契約の加入率を見てみると男女とも約80%以上の人が加入しています。

 その中でも、大きなウエートを占めているのが、個人が契約している死亡保険金の契約で、その多くが結婚当初に夫を被保険者及び保険契約者(保険料負担者)、妻を保険金受取人とするケースとされます。

 そこで、個人契約の死亡保険金の課税関係の留意点について検討することとします。

Ⅰ 死亡保険金の課税関係

 死亡保険金における課税関係は、被保険者、保険料負担者及び保険金受取人が誰かによって、次のとおりとされます。

(1) 相続税が課税される場合

 被保険者と保険料負担者が同一人物で、保険金受取人が相続人であるときは、その保険金は相続により、相続人以外の者であるときは、遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税対象とされます(相法3①一)。

 なお、相続人が相続によって取得したものとみなされる保険金に限り、法定相続人1人当たり500万円を限度として相続税が非課税財産とされます(相法12①五)。

 ただし、相続を放棄した者及び相続人以外の者が遺贈により受取った生命保険金等には、この非課税枠がありません。

 そこで、相続に該当するかどうかの意味において保険金受取人が誰であるかが重要な問題となります。


(2)贈与税が課税される場合

 被保険者、保険料負担者及び保険金受取人がそれぞれ異なる場合には、その保険金は保険金受取人が保険料負担者から贈与により取得したものとみなされて贈与税の課税対象とされます(相法5①,相基通3-16)。

(3)所得税が課税される場合

 保険料負担者と保険金受取人が同一人物である場合には、保険金受取人自身が負担した保険料の額に対応する部分の金額は、所得税(一時所得)の課税対象とされます(所令183②, 所基通34-4)。


Ⅱ 保険金受取人

(1)原則

 保険金受取人とは、保険契約者によって指定された者があれば、その指定受取人とされます。

 また、指定受取人がいないときは、保険約款等の定めるところにより、次に定める者が保険金受取人とされます(相基通3-11,簡易保険法55①二,団体定期普通保険約款)。

 ① 被相続人の遺族
 ② 被相続人の配偶者、子、父母、祖父母、兄弟姉妹の順序(団体定期普通保険約款)

(2)例外

 保険契約上の保険金受取人以外の者が現実に保険金を取得した場合には、保険証券に記載されている保険金受取人の名義変更の手続きがされなかったことにつき、やむを得ない事情があると認められる場合など現実に保険金を取得した者が、その保険金を取得することにつき相当の理由があると認められるときは、その現実に保険金を取得した者を保険金受取人とすることとされます(相基通3-12)。

 したがって、相当の理由がなく、遺産分割協議により保険契約上の保険金受取人以外の者が保険金を受け取った場合には、保険金受取人がまず保険金の支払いを受け、それを実際の受取人に贈与したものと取り扱われますので留意して下さい。


Ⅲ 保険料負担者

 保険契約では、保険契約者と保険料負担者が同一人物であるケースが一般的だと思われます。

 ただし、支払能力がない専業主婦又は子供を保険契約者としながら、実際はその保険料を父親が負担しているケースも見受けられます。

 この場合には、受取保険金のうち過去の実際の保険料の負担に対応する課税関係(前述したⅠ(2)(3)参照)が生じます。

 税務上では、保険料負担者が保険事故発生時の保険金課税における重要な事実認定の問題とされますので、保険契約締結時からの保険料負担者の実際の負担事実を証する預金通帳(自動引き落とし明細)などの書類の保管が必要とされます。


Ⅳ 相続人が受ける生命保険金の請求権は、被相続人による生前贈与又は遺贈と異なり、保険契約に基づいて被相続人の死亡により発生する権利であり、保険金受取人に発生とともに帰属するものとされます。

 そこで、日本に多数存在する妻のみを保険金受取人として契約されている死亡保険金の契約については、その生活環境の変化及び相続税の納税資金などを考慮し、子供を保険金受取人に加えるなどの見直しを行う必要があるでしょう。

 この場合の保険金受取人の変更手続は、原則として保険契約者の保険会社に対する通知及び保険証券への承認の裏書により行うことができます。

 なお、保険事故発生前に保険金受取人の変更を行っても課税関係は生じません。


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2017年3月27日月曜日

厚生労働省:スイッチOTC薬控除の対象商品名を公表!

 厚生労働省は、同省のホームページにおいて、2016年度税制改正で創設されたスイッチOTC薬控除(セルフメディケーション税制)の対象となる医薬品の具体的な販売商品名リストを公表しております。

 今後も、同特例の対象となる製品に関する新商品の販売や販売中止等による増減があることを踏まえ、必要に応じて2ヵ月に1回のペースで更新する予定としております。


 この特例は、自分や自分と生計を一にする配偶者その他の親族のために「スイッチOTC薬」を購入した場合、年間1万2,000円を超える部分の金額を、8万8,000円を限度としてその年分の総所得金額等から控除できる制度です。

 適用期間は、2017年1月1日から2021年12月31日までの5年間で、現行の医療費控除との選択適用となります。

 今回公表されたリストには、あいうえお順で「販売商品名」のほか、「製造販売業者名」、「成分名」がそれぞれ記載されており、対象製品を個別に確認できますので、該当されます方は、ご確認ください。


 ちなみにスイッチOTC薬控除の対象となった医薬品の成分で最も多かったのが消炎鎮痛剤としてシップ薬などに使われるインドメタシンで、「バンテリンコーワパップS」や「サロンパスEX」などがあがっております。

 これに次ぐ成分が、プレドニゾロン吉草酸エステルで、「オイラックスPZ軟膏」や「メンソレータムメディクイックH」などがあがっており、以下、フェルビナクが「ハリックスホグリラ温感」など、イブプロフェンが「ベンザブロックL」などあがっております。


 なお、日本OTC医薬品協会や日本医薬品直販メーカー協議会など5協会で構成する「日本一般用医薬品連合会」も、スイッチOTC薬控除の対象製品のパッケージに表示する共通識別マークを発表しました。

 製品の正面や背面にシール貼付等を含めて表示することにより、対象製品を一目で分かるようにしております。

 ただし、同マークに法定の表示義務はないため、各医薬品メーカーが任意で対象製品に表示するとのことです。

 今後の動向に注目です。


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2017年3月24日金曜日

残業時間の上限規制

◆労働時間の原則

 労働時間は1週40時間、1日8時間の原則(労基法32条)がありますが、労使で時間外労働協定(36協定)を結びこれに定めた通りに時間外労働をする場合には労働時間の延長を認める事としています。

 しかし別途残業時間の上限時間の規制として「労基法36条1項の協定で定める労働時間の限度等に関する基準」が定められています。

 これにおいて通常の労働者は例えば1ヶ月45時間の時間外労働の限度基準が定められています。

 これは基準でありこれを超える時間外協定も許容はされています。

 さらに協定に特別条項を付けると残業時間の制限はなくなり、それが問題視されていました。

 人手不足の昨今、採用も思うようにならず在籍者で業務処理を進めて行かなければならず、結果として36協定の時間設定を長くせざるを得ない企業もあるようです。

◆政府の残業上限規制原案

 政府は「働き方改革」として企業の残業時間を月60時間に制限する上限規制案をまとめました。

 規制の強化で長時間労働の慣行を変えるとし、協定も特別条項にも上限を設け月60時間までとする案になっています。

 企業活動を制限しないよう短期間であれば月60時間超も認め、繁忙の月と普通の月を年間でならし、月平均60時間を超えないように義務づける方向で検討しています。

 規制の対象業種もトラック運送業や建設業も猶予期間を持って対象にしてゆく、研究開発職等は医師との面談、代休等を義務付け上限は設けない方向で検討しています。

◆残業一律上限規制に懸念を示す業界も

 情報処理企業等が加盟する経済団体、新経済連盟では先の案に対して「一律的な規制強化だけでは国際競争力が低下する恐れがある」との意見書を提出しました。

 意見書の中で「人工知能、ロボットの代替等で産業が変わる中、働き方の多様性を確保し雇用の流動性を高める議論は必要」とし、「従業員の健康確保を前提としたうえで柔軟に時間管理できる環境を実現すべき」と主張しています。

 いずれにせよ企業は働く人の健康の上に成り立つのですから労働時間に配慮する事は必要でしょう。



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2017年3月23日木曜日

相互フィードバック

 「相互フィードバック」は、目標管理制度の組織目標への貢献度評価を実施する方法として用いられ、評価の公正性・納得性が確保できるとともに、組織に所属する仲間の信頼関係を強化するメリットがあります。

◆相互フィードバックの必要性

 評価の公正性・納得性を確保するために役立ち、その要件は次の通りです。

①被評価者が公正であると感じ、評価の結果を納得できなければならない。

②そのためには、評価が真摯に、客観的な事実に基づいて実施されなければならない(管理者の好き、嫌いなどの感情に基づく恣意的な評価は、納得性を持たない)

③公正性・納得性の高い評価を実施するには、目標管理制度の運用で評価すべき事柄の事実を知っている、一緒に努力した仲間の真摯な相互フィードバックを評価の根拠とするのが適切である(管理者による評価も、この相互フィードバック情報を根拠とする必要がある)

④相互フィードバックの結果を利用して、組織のメンバーの総意として評価が決定される。

 このような「相互フィードバック」は、評価の公正性・納得性を確保するのに役立つのみならず、仲間が相互に高め合うことを通じて、信頼関係を強化します。

◆相互フィードバックの方法

 組織目標の完了都度、その組織目標からカスケードダウン(段階的順次細分化)した個人目標の担当者が集まり、次の評価の視点で、「評価に値する具体的事実」を端的に捉えた相互フィードバックを実施します。

1.目標達成状況

2.プロセスの創意工夫・能力発揮などの具体的な行動

3.組織目標達成に対する貢献度

4.仲間に対する影響度

◆経営者・管理者の留意点

 「相互フィードバック」は、面倒だと思われがちですが、信頼し合う組織づくりの価値は大きく、目標達成力の向上に貢献します。社員に対して前記要件・方法の繰り返し徹底を図り、浸透させましょう。


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