2015年6月30日火曜日

マイナンバー漏洩リスク対策


◎マイナンバーへの国家総動員態勢
10月からのマイナンバー配布に向けて、マイナンバーの周知化情報が溢れ出しました。ネット世界には「マイナンバーの受け取りを拒否しよう」などという書き込みもありますが、マスコミや実業社会、マイナンバーに直接関わる税理士・社労士などの世界では、素直に受け容れることを前提にした情報しか存在しません。疑問を呈することを排除する同質化社会がここにも現れている印象を受けます。
◎マイナンバー漏洩対策は可能か
税理士とその顧客の大半にとっては、独自にマイナンバー漏洩対策を行うことは出来ないと思われます。
ベネッセの顧客情報漏洩事件2070万件というような大量の情報を抱えていないので、情報窃盗の対象にならないだろう、と判断されるものの、クラウドサービスとして給与計算情報をバックアップしているところからの流出は十分考えられます。
流出ルートが不明なまま、流出の事実だけが発覚した場合、漏洩対策不全は、刑事罰や損害賠償のリスクを生み出します。
◎税と社会保険料徴収事務をやめる
漏洩リスクから解放されるようにするには、漏洩リスク対策を完全に実施でき、損害賠償にも備えられる、超大手企業に、給与計算事務等や社会保険事務を全面委託してしまうのが、最善の策です。そして、そのような超大手企業が出現してくるかもしれません。
本当は、民間企業に無償で押し付けている源泉徴収事務や社会保険料徴収事務を廃止して、国家や自治体が直接行ってくれるのがベストです。
◎ベターな策としての情報不取得
マイナンバー情報を得て、使用した後に直ちにその情報を削除して不保持にする、のは煩雑で、ほとんど実行不可能です。
そもそも、マイナンバー情報を得なかったら、何か困るのでしょうか。給与支払や年末調整に差し障りがあるのでしょうか、税理士個人のマイナンバーを知らないまま顧問料の支払が出来ないなんてことになるのでしょうか、マイナンバーを書かなかったら、健康保険証を発行してくれないのでしょうか、多分何も困ることにはならないと思われます。
マイナンバーが本人確認手続を簡略にする利便性を提供するだけだとしたら、その利便性の享受の放棄で済むことです。

2015年6月29日月曜日

女性によるプチ起業の進化と活用


安倍首相は成長戦略の一つとして、「女性の社会進出を促す」とウィメノミクスを掲げています。そのなか、ここ数年で、女性の働きかたの一つとして、「サロネーゼ」が注目を集めています。サロネーゼとは、自宅でサロン(教室)を主催する女性をいい、教室の種類は料理や手芸、フラワーアレンジメント、美容と多岐にわたります。
サロネーゼは知り合いの主婦を生徒に教室を開いているケースが多くを占めますが、なかには予約が8年待ちという繁盛している教室もあります。人気のサロネーゼの一つを例に紹介すると、ここでは収納と掃除のコツを教えています。基本コースでは、玄関収納、掃除の基本、書類整理法といったテーマごとにレッスンを繰り広げます。期間は約1年、10回のレッスンがあります。
このサロンではその日の話が終わると、最後にサロネーゼ自らがこしらえたランチをふるまいます。これもテーブルの装いを学ぶレッスンの一環ですが、和気あいあいと歓談を楽しむ時間があるのも特徴です。こうした「おもてなし」による、生徒の満足度を高める工夫も人気の要因になっています。
ただし、最近では、サロネーゼが雑誌などで取り上げられたこともあり、競争が激しくなっています。教室は自宅で簡単にできることや、テーマは家事や美容などと身近なものをとりあげるため、比較的だれでも参入できます。また、生徒の満足度を上げるための「おもてなし」がコストを増して、利益を圧迫する要因にもなっています。サロネーゼとして生活できるほどの収入を得ているのは、100人中5人程度といわれています。
サロネーゼとして生き残るには激しい競争がありますが、なぜ今、サロネーゼが注目されているのでしょうか。なにより、自分の好きなことや特技を活かし、自分らしい働き方ができる点が、女性にとっての魅力だといわれています。
加え、サロネーゼという働き方は、家庭と仕事を両立に適していることも大きなメリットとして挙げられます。とくに、女性のなかには、家庭と仕事とのバランスを図るため、子育てをしながら外で働くのは難しいと考える人が少なくありません。
とはいえ、ずっと家にいるのでは、社会との接点が薄れてしまうのではないかと不安に思う人もいます。その点、サロネーゼは自宅で子育てや家事の空いた時間を利用して働くことができるため、働くスタイルの選択肢を増やすという意味でも有効です。
こうした、サロネーゼの人気に目を付け、タイアップを実現した企業もあります。キッチンメーカーのクリナップは、日本全国にあるサロンについて、情報を発信する、サロネーゼ検索サイトをオープンしました。さらには、日本橋三越本店の「はじまりのカフェ」に、同社の最新システムキッチンを出展し、そこで人気サロネーゼによる講座を開催しました。ほかには、サロネーゼや化粧品メーカーと共同でコスメを開発し、好評だといいます。
現在、日本では、女性の力を活用することが国策として掲げられています。そのなかで、女性管理職を増やすといったことが一つとしてあります。それとは別に、企業としては、こうした、自宅で働く女性とタイアップすることが新しい活用の形として有効だといえます。
記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

2015年6月27日土曜日

外国子会社配当益金不算入制度を見直しへ


2015年度税制改正により、2016年4月1日以後開始する事業年度から、外国子会社配当益金不算入制度について、国際的な二重課税を防止する観点から、外国子会社において損金に算入される配当を対象から除外しますので、該当されます方は、ご注意ください。
ただし、2016年4月1日において有するその外国子会社の株式等に係る配当等の額について、2016年4月1日から2018年3月31日までの間に開始する各事業年度において受け取るものは、これまでどおりの取扱いとなります。
そもそも外国子会社配当益金不算入制度とは、親会社が外国子会社から受け取る配当を益金不算入とする制度です。
対象となる外国子会社は、内国法人の持株割合が25%(租税条約により異なる割合が定められている場合は、その割合)以上で、保有期間が6月以上の外国法人をいい、外国子会社から受け取る配当の額の95%相当額を益金不算入(配当の額の5%相当額は、その配当に係る費用として益金に算入)とします。
具体的には、
①:内国法人が外国子会社(持株割合25%以上等の要件を満たす外国法人)から受ける配当等の額で、その配当等の額の全部又は一部がその外国子会社の本店所在地国の法令において、その外国子会社の所得の金額の計算上損金の額に算入することとされている場合、その受ける配当等の額を同制度の適用対象から除外
②:内国法人が外国子会社から受ける配当等の額で、その配当等の額の一部がその外国子会社の所得の金額の計算上損金の額に算入された場合、その受ける配当等の額のうち、その損金算入額を、上記①により同制度の適用対象から除外する金額とする
③:②の適用を受けた事業年度後の各事業年度に、その損金算入額が増額された場合、その増額された後の損金算入額を同制度の適用対象から除外
④:②の適用は、確定申告書等に②の適用を受けようとする旨並びに②の適用に係る配当等の額及びその計算に関する明細を記載した書類を添付し、一定の書類の保存を要する
⑤:上記①から③までにより、同制度の適用対象から除外する配当等の額に対して課される外国源泉税等の額を外国税額控除の対象とします。

2015年6月26日金曜日

《所得拡大促進税制》で中小企業が留意する点


所得拡大促進税制、正式には、雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除です。
★大企業に配慮した改正
大企業といえども適用要件の1つである①適用年度の給与等支給増加額が基準年度の給与等支給額に対する増加率5%はそのハードルが高く、また、雇用者の新規採用に比して今後もかなりの退職者が見込まれることから、もう1つの適用要件である②平均給与等支給額が前期の平均給与等支給額以上とはならず、結果、この特例が適用できないこととなる事態も想定されることから、平成26年度税制改正で次のような改正が行われました。
1つは、増加率は平成26年度2%、27年度は3%、平成28・29年度5%、そして、もう1つは、継続雇用者をベースにした平均給与等支給額の算定と平均給与等支給額が前期のそれを超えるとする改正です。この2つの改正により、大企業でもこの特例を容易に適用できる環境が整いました。
ちなみに、この継続雇用者とは、雇用保険の加入対象者で給与等の支給を受けた国内雇用者であり、前期と適用年度のいずれの事業年度においても給与等の支給を受けた者です。加えて、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づくところの継続雇用制度の対象者は除く、とされています。
★中小企業への配慮があってしかるべし
いったい何が問題なのか、ですが、対象となる雇用者給与等支給額から、使用人兼務役員の給与等支給額は除かれている、ということです。そして、その上で、適用年度の給与等支給増加額が基準年度の給与等支給額の2%増の要件を満たさなければこの特例が使えない、ということなのです。
仮に、基準年度において、使用人であったものが、その後の適用年度において役員、例えば、取締役経理部長、取締役営業部長といった役員に昇格した場合、当該使用人兼務役員になった者の給与等は基準年度では雇用者給与等支給額に含まれ、一方、適用年度において除かれることになり、適用年度の給与等支給額が基準年度のそれを上回ることにはならず、結果、この特例の適用を受けられない可能性は大となります。
平成26年度の税制改正においては、中小企業のこの点にも配慮した、使用人兼務役員の給与等支給額の取扱いについての改正が望まれたところでした。

2015年6月25日木曜日

住宅資金贈与の非課税特例をパンフで解説


国税庁が住宅取得等資金贈与の非課税特例の概略をまとめた全8ページのパンフレットをホームページ上に公表しました。
住宅取得等資金贈与の非課税特例は、住宅の新築や増改築を目的とする資金を子や孫などの直系卑属に一括贈与したときに、一定額まで贈与税が非課税になる制度。同様の制度は以前もありましたが、平成27年度税制改正で非課税額の限度などが見直されていて、国税庁のパンフレットでは平成27年1月1日~31年6月30日の贈与に対するこの特例を「新非課税制度」と表現しています。
非課税額は家屋の新築などにかかる契約締結日や家屋の種類によって異なり、省エネ・耐震・バリアフリーなどの性能に優れた住宅については最大3千万円、それ以外の住宅については最大2500万円となっています。
パンフレットでは「新非課税制度のイメージ」として、制度適用後の残額に対する贈与税の計算方法を図解。贈与を受けた住宅取得等資金から新非課税制度の非課税限度額をマイナスし、残った課税財産には、暦年課税では基礎控除(110万円)、相続時精算課税では特別控除(2500万円)が併用できると説明しています。
住宅資金のほか、教育資金や結婚・出産・育児資金を目的とした一括贈与の非課税特例が税制改正で拡充・創設されました。こうした贈与税の非課税特例の充実で、高齢者層から若年層への資産移転を促すとともに、消費の促進で経済の好循環につなげる狙いが政府にはあります。

2015年6月24日水曜日

国外に居住する親族の扶養控除等書類の添付等を義務化


2015年度税制改正において、2016年から日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等が義務付けられます。
具体的には、確定申告において、海外に住む親族(非居住者)に係る扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除又は障害者控除の適用を受ける人(居住者)は、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際提示しなければならない。
上記の「親族関係書類」とは、①戸籍の附票の写しその他国又は地方公共団体が発行した書類で、その非居住者がその居住者の親族であることを証するもの及びその親族の旅券の写し外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類で、その非居住者がその居住者の親族であることを証するものをいいます。
また、「送金関係書類」とは、その年における①金融機関が行う為替取引によりその親族へ支払われたことを明らかにする書類②クレジットカード発行会社のカードを提示してその親族が商品等を購入したこと及びその商品等の購入代金に相当額をその居住者から受領したことを明らかにする書類をいいます。
この改正は、円滑・適正な納税のための環境整備の一環として行われ、その背景には、海外に住む扶養親族を実際より多く届け出ているのではないかと疑われる事例があり、申告時点でチェックし、不正防止につなげるものとみられております。
そして、給与等・公的年金等の源泉徴収において、非居住者である親族に係る扶養控除等の適用を受ける居住者は親族関係書類を、給与等の年末調整において、非居住者である親族に係る扶養控除等の適用を受ける居住者は送金関係書類を、非居住者である配偶者に係る配偶者特別控除の適用を受ける居住者は、親族関係書類及び送金関係書類を、それぞれ提出・提示しなければならず、これらの書類は、確定申告時の添付、提示は不要となります。
なお、親族関係書類や送金関係書類が外国語により作成されている場合には、訳文を添付等する必要があります
この扶養控除等書類の添付等の義務化は、2016年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等並びに2016年分以後の所得税について適用されます

2015年6月23日火曜日

税務調査の概念の修正


『調査』により更正する
税法では、更正処分、再更正処分、再々更正処分は「調査により」行うこととされています。従って、税務調査が終了し、更正処分や修正申告がなされた後、税務署長がそれをさらに変更するような再更正を行うには、再調査が必要です。しかし、再調査は「新たに得られた情報に照らし非違があると認めるとき」にのみ行うこととされています。一度調査が行われたら、余程の新情報がない限り、再調査はありません。
『調査』による減額や繰戻還付
既に行った申告について、納付すべき税額が多すぎた場合、申告書に記載した翌期へ繰り越す欠損金が少なすぎた場合、申告書に記載した還付税額が少なすぎた場合などでは、納税者から税務署長に対し減額更正の請求ができます。また、所得が赤字だった時の、その前の期間への赤字の繰り戻し請求という制度もあります。これらの請求により、税務署長が減額修正、還付処理をする場合には、「調査」し、その「調査」したところにより、処分や還付を行うことになっています。これらの税負担を軽減する処置もそれぞれ「調査」を経て行われることになっていますが、「調査」といっても、机上調査とか電話確認調査とかの程度の「調査」で済ませている事例が多そうです。
『調査』概念の統一性?
「調査」という言葉は税法の中に何回も出てきますが、それらが、同一の意味なのだとすると、減額更正や繰戻還付の請求があって、机上調査で処理が済んだ場合、その年分に関しては一度調査がなされたということなので、もはや「新たな情報」がない以上、通常の税務調査は行えないのか、という疑問が湧きます。税務当局も、こういうことについて、このままでは、まずいと判断したようで、今年の税制改正で、異なる2種類の調査概念を設けることにしました。
『調査(実地の調査に限る)』
机上調査とか電話確認調査とかをもって「調査」としてよい場合と、実地に出向いて行われる臨場調査のみを「調査」という場合とに、法律上の「調査」という言葉を使い分けることになりました。