2018年9月12日水曜日

【時事解説】内部留保があるから、投資を増やせるのか その2

 「企業経営者は余裕資金(内部留保)が多ければ、工場などの設備投資を増やすでしょうか?」

 このように聞かれると、答えにくいかもしれませんので、少し質問の仕方を変えましょう。

 「設備投資を行う一番の要因は余裕資金が大きいことでしょうか?」この答は簡単です。

 明確に否です。

 カネがあるから設備投資をするというのは合理的な経営判断ではありません。

 設備投資を行うのは、将来の売上が増えたり、経費が削減され、利益が拡大することが見込まれるからです。

 現在、手元に余裕の資金があるかどうかは、設備投資を決定する主要因ではありませんし、また、あってはいけません。

 将来の利益拡大効果が見込まれるにもかかわらず、現在手元に資金がないのであれば、借入を起こして、資金を手当てすればいいだけの話です。

 資金手当ての問題は投資においては二次的な問題に過ぎません。

 投資は今カネがあるから行うのではなく、将来収益が上がると予想できるから行うのです。

 つまり、投資のポイントは入口ではなく、出口です。

 そうした意味で、内部留保(余裕資金)があるから、投資をしろというのは入口の問題に過ぎず、的外れな要請と言わざるを得ません。

 政府がなすべきことは、企業の意思決定に直接介入することではなく、規制緩和や市場拡大など経営者に投資を拡大したいと思わせる経済環境の整備、すなわち魅力ある出口の創出だと思います。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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