2016年9月20日火曜日

「夫婦控除」の創設を検討

 配偶者の収入が一定以下の場合に所得からの控除を認める「配偶者控除」の見直しをめぐり、政府は夫婦合算の所得から一定額を控除する「夫婦控除」の創設を検討していることが分かりました。


 配偶者の年収が増えると税金面で損をすることが女性の就労阻害につながっているとして見直しが検討されてきましたが、新制度によって税負担が増す層がいることや、所得税制の根幹にも関わることから、議論はまだまだ難航が予想されます。

 配偶者控除は、配偶者の年収が103万円以下なら、給与所得控除65万円と基礎控除額38万円の両方が適用されて課税額がゼロになるもの。

 そのため、年収が103万円以下になるようあえて働く時間を減らす人が多く、多く働きたい人にとっての障害となっているとして「103万円の壁」と呼ばれています。

 政府はこの「103万円の壁」が女性の社会進出を阻害する要因になっているとして制度の見直し議論をこれまで続けてきました。

 新しい「夫婦控除」は、夫婦の所得を合算した上で、一定の額を控除するという内容。

 対象は一定以下の所得の夫婦に限るそうです。

 しかしこれまで長くの時間をかけても結論が出なかったように、このまま「夫婦控除」がすんなりと導入されるかには疑問符が付きます。

 新制度では確かに配偶者に課せられた「103万円の壁」を完全に取り払ったかのようにも見えますが、結局夫婦合算での所得を計算する際に、控除が受けられるよう所得調整が行われることに変わりはありません。

 また女性の就労を阻害している要因の一つには、収入が130万円を超えたら社会保険料が自己負担となる「130万円の壁」もあり、103万円の壁だけをなくしても自由な働き方の選択につながるかは不透明です。

 他にも、世帯によっては現在より税負担が増してしまうことや、結婚せずにいる内縁関係の夫婦への対応をどうするかという問題もあります。

 配偶者控除の見直しをめぐってはこれまで長く議論されながらも、結論の出なかった問題だ。

 来年度の税制改正までに踏み込んだ結論が出せるか、道筋は立っていません。

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