最近、上場企業の財務指標としてROE(自己資本利益率)がとても注目されています。
ROEは当期純利益を自己資本で割って算出し、株主から預かった資本の効率性を表現する指標ですから、株主が注目するのは当然です。
しかし、ROEだけに執着するのは少し危険なように感じます。
というのは、現状の雰囲気からするとROE重視は永遠に続くと思われるかもしれませんが、注目される財務指標は時代によって変わるからです。
もう一つ注目される財務指標は会社の安定性を判断する自己資本比率です。
自己資本比率は自己資本を総資産で割って算出します。
ROEと自己資本比率では自己資本の位置づけが正反対になります。
自己資本がROEでは分母に、自己資本比率では分子に出てくるからです。
したがって、ROEでは自己資本が少ないことがよく、自己資本比率では多いことが望ましいことになります。
ROEを高くするためには、分子である当期純利益を増やすことが王道ですが、利益を増やすことは簡単ではありません。
そこで、ROE向上を第一義に追求すると、分母である自己資本削減策が浮上し、配当金の増額や自己株式の買い取りなどの株主還元が盛んになります。
余裕資金が豊富にあれば、手持ちのキャッシュで自己株式を買い取り、自己資本を圧縮することができます。
余裕資金がなければ、借入金を借り入れて、自己株式を買い取ることも選択肢になります。
借入金を増やし、自己資本を減らしROEを引き上げるのです。
これがレバレッジ経営です。レバレッジ経営は自己資本を小さくするのですから、自己資本比率は低下します。(つづく)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
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