政府は3月中旬、日本版「司法取引」制度の開始時期を今年6月1日とする政令を閣議決定しました。
また司法取引の対象となる犯罪に、脱税に関する罪が新たに加えられました。
日本版司法取引は、第三者の犯罪への関与を供述する見返りに、自分の罪が軽くなるというもの。
犯罪捜査の強力な一手となることが期待されますが、一方でえん罪のリスクをはらむことにもなります。
司法取引とは、自身や他者の犯した罪について認めたり詳細を供述したりすることを条件として、罪を軽くする仕組み。
米国では、自身の罪を認める代わりに罪を軽くするタイプの取り引きも導入されていますが、こちらは日本版では取り入れず、あくまで他者の犯罪についての情報提供を材料とする取り引きのみにとどめます。
容疑者や被告が共犯者らの犯罪について供述すれば、検察官が起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりするというものです。
閣議決定された政令では、これまで取り引きの対象に想定していた刑法の贈収賄、組織犯罪処罰法で定める組織的犯罪に加えて、新たに経済関係の罪が加えられました。
そのなかには「租税に関する法律の罪」として、脱税が含まれています。
今後は会社ぐるみの脱税事件などで逮捕された経理担当者が「脱税は社長の指示だった」と供述し、社長が起訴される一方で本人は起訴を免れるといったケースも起こり得そうです。
司法取引の導入で懸念されるのが、虚偽供述などによるえん罪の増加です。
この点について、日本版制度では取り引きの合意に至るまでの協議では必ず弁護士が立ち会い、弁護士の合意も必要となります。
取り引きが成立すれば書面が作成され、情報を提供された当事者の裁判では、当事者と裁判官に書面が開示されるそうです。
もっともこれでえん罪の懸念を完璧に払しょくできるわけではなく、実際の運用には慎重さが求められることになりそうです。
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