東芝の例に見られるように粉飾決算は後を絶ちません。
ただ、誰でも粉飾決算をやりたくて、しているわけではありません。
粉飾決算は犯罪ですから、やむを得ず始めたとしても、できるだけ早く切り上げたいと思っているはずです。
しかし、粉飾は一度始めると、なかなか止めることはできません。
粉飾決算には色々なパターンがありますが、最もよくあるのは在庫操作です。
その典型である在庫操作を例にとり、粉飾を止めるのがいかに難しいのか考えてみましょう。
ある会社の第1期が次のような決算状況だったとします。
(1)第1期の正しい損益
売上:1,000 売上原価:1,100(期首在庫500、当期仕入900、期末在庫300) 損益:△100
売上は1,000で、売上原価は1,100ですから、損益は100の赤字です。
赤字は困るので、(2)のように粉飾することにしました。
(2)第1期の粉飾した損益
売上:1,000 売上原価:900(期首在庫500、当期仕入900、期末在庫500) 損益:100
本当の期末在庫は300ですが、500に水増しして、売上原価を900にすると、利益は100になります。
ただ、この操作は一時的に利益を出すための粉飾ですから、利益状況が好転すれば、適正な期末在庫に戻したいと考えています。
そこで、第2期に損益が思惑通り好転すれば、粉飾から脱却できるでしょうか。
(つづく)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
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