総務省幹部が「正直者が損をする状態に陥ってしまった」と言って頭を抱えるのが、制度が発足して10年が経ったふるさと納税です。
受け入れ額は過去最高を更新しましたが、「返礼品競争の自粛」通知を無視して豪華な返礼を続けた自治体が牽引したのが実情。
総務省は返礼品の金額設定ルールを厳格化する方向で検討しています。
2017年度のふるさと納税は総額3653億円に上りました。
前年度比の増加率は28%でしたが、15年度から16年度の72%増と比べると半分以下で伸び悩みが明らかになりました。
また全1788自治体のうち受け入れ額が増加したのは61%、減少したのは39%で、増加した自治体の割合は前年度よりも11ポイント減りました。
17年4月の総務大臣通知で、各自治体は返礼率(寄付額に占める返礼品の金額)を3割以下にとどめるよう指示されました。
このため人気品を返礼するために必要な寄付額をアップするケースが続出。
子ども向け教育の充実のような、社会的に意義の大きい寄付対象の事業を打ち出すものの、人気だった返礼品の穴埋めにはつながっていません。
そして結局、通知に従わずに過度な返礼を維持したままの自治体が得をする構図が鮮明になりました。
返礼率が3割を超えたままで、8月までに見直す予定がない12自治体の受け入れ額は計411億円。
前年度の2.6倍で、全自治体の増加率28%と比べればその差は歴然としています。
つまり、「注目を集めるためには後ろ指を差されても高額返礼を続ける方が良い」(12自治体のある首長)と判断しているのです。
とはいえ、総務省とすれば「財源を確保するために通知をないがしろにするのは、我々を馬鹿にしている」(中堅幹部)と怒り心頭。
返礼率を強制的に3割以下に抑えることを視野に、新たなルール作りに入っているそうです。
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