税目別にみると、国税通則法4件、所得税法2件、法人税法3件、消費税法2件、国税徴収法1件。
法人税法では、会社と国税当局の間で見解が分かれることが多い役員退職金をめぐる事例が追加されています。
役員退職金をめぐる争いは、役職の分掌変更後に支払った金銭を会社の損金にできるか否かで見解が分かれました。
代表取締役だったAさんは入院とその後の通院を契機に平成23年に代表取締役社長を辞任し、代表権のない取締役会長に分掌変更。Aさんは「退職慰労金」を受け取り、会社はその支払い分を損金としています。
税務上、会社の役員が実際に退職していなくても、分掌変更で「役員としての地位または職務の内容が激変したと認められる場合」は、役員退職金として損金にすることが可能となっています。
ただ、Aさんは分掌変更後も仕入れ単価の決定や得意先の接待など経営に深く関わっていました。
また、Aさんの役員給与の額は社長辞任後に半額以下になったものの、後任の代表取締役よりも高額な状態でした。
そのため税務署は、地位や職務が激変したとは認められず、税務上は「退職した事実はない」と判断。
そして、Aさんへの会社の支払いは損金にできる役員退職金ではなく、損金算入が不可の役員給与として課税処分を行いました。
審判所も税務署の処分を適法と判断し、Aさんの主張を退けています。
役員退職金は「適正額」をめぐって国税当局と争いになることも多いのが実情です。
金額が過大と判断されると損金算入が否認されます。
顧問税理士に相談しながら適正額を決めるようにしたいところです。
後継者問題を抱える企業の事業承継・M&Aは、今や税理士事務所でも他人事ではありません。エリアは問いません。ご勇退をお考えの税理士先生、ご連絡ください。
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