国税庁は、これまで給与課税の対象とされていた会社負担の会社役員賠償保険の保険料の税務上の取扱いについて、経済産業省(以下:経産省)からの照会に回答しております。
それによりますと、一定の手続きを行うことにより会社法上適法に負担した場合には、役員個人に対する給与課税を行う必要はない旨を明らかにしております。
具体的に、一定の手続きとは、
①取締役会の承認
②社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意又は社外取締役全員の同意の取得
をいいます。
会社役員賠償責任保険は、会社法上の問題に配慮し、これまで、普通保険約款等において、「株主代表訴訟敗訴時担保部分」を免責する旨の条項を設けた上で、別途、その部分を保険対象に含める旨の特約を付帯する形態で販売されておりました。
また、株主代表訴訟担保特約の保険料についても、会社法上の問題に配慮し、これを会社が負担した場合には、会社から役員に対して経済的利益の供与があったものとして給与課税の対象とされておりました。
このような状況のなか、経産省では、会社が利益相反の問題を解消するための上記の①、②の手続きを行えば、会社が株主代表訴訟敗訴時担保部分に係る保険料を会社法上適法に負担することができるとの解釈を示し、会社が株主代表訴訟敗訴時担保部分に係る保険料を会社法上適法に負担できる場合には、その部分を特約として区分する必要がなくなるとして、経産省は、今後の会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いを国税庁に照会しておりました。
これに対して国税庁は、新たな会社役員賠償責任保険の保険料を会社が上記①及び②の手続きを行うことにより、会社法上適法に負担した場合には、役員に対する経済的利益の供与はないと考えられることから、役員個人に対する給与課税を行う必要はないこと、また、それ以外の会社役員賠償責任保険の保険料を会社が負担した場合には、従前の取扱いのとおり、役員個人に対する給与課税を行う必要があると見解を示しておりますので、該当されます方は、ご確認ください。
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