◆贈与の納税猶予は「認定農業者」が要件に
平成28年4月より「農地等の贈与税・相続税の納税猶予及び免除」の規定が一部改正されています。
まず一つ目の改正は、「農地等の贈与税の納税猶予」の適用対象者の見直しです。
改正前の適用対象者は、贈与者の推定相続人で
①贈与日において18歳以上であること、
②3年以上農業に従事していたこと、
③贈与後速やかに農業経営を行うと認められること
を農業委員会が証明した個人、とされていましたが、これに「認定農業者等」であることが要件に加わりました。
「認定農業者」とは、農業経営基盤強化促進法に基づき、農業者が市町村に「農業経営改善計画書」を提出し、その計画書が認定された方々で、この「認定農業者」になると、交付金の受給や融資などの支援措置を受けることができます(27年6月には24万人が認定済)。
今回、この「認定」が贈与税の納税猶予の要件となりました。
漠然とした営農継続ではない、計画的な農業経営が求められることになりそうです。
◆農地集積バンクへの特定貸付けは要件緩和
また、現在、わが国では、農地中間管理機構(農地集積バンク)を通じた農地利用の集約化が進められていますが、改正前には、農地等の贈与税の納税猶予を受けていた農地等を、贈与税の申告期限から10年(又は20年)を経過しないうちに農地集積バンクに貸付けた場合には、納税猶予が継続できる「特定貸付け」制度の適用が受けられず、納税猶予が打ち切られる形となっていました。
これを改め、農地集積バンクへの特定貸付けに限って、この「受贈者の適用期間要件(10年又は20年)」を廃止することとなりました。
◆区分地上権設定による猶予継続の緩和
最後に、相続税・贈与税の納税猶予の打切り事由になる農地の譲渡・貸付けから「区分地上権の設定」が除外されました。
これは、近年、簡易な支柱を立てるタイプの太陽光パネルが発売され、農作物の生育に必要な日照を確保しながら、太陽光パネルの下で耕作することが可能となったことが契機となっています。
農地法ではこの設置につき、区分地上権等を設定することが求められているため、納税猶予が打切りとなってしまうことがネックとなっていました。
改正後は、このタイプの太陽光パネルを設置しても、引き続き営農していれば、納税猶予を継続できます。
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