EU(欧州連合)の執行機関である欧州委員会は、ベルギーで多国籍企業に対して行われている法人税の優遇制度を違法と認定し、優遇を受けた企業に対して追徴金を課すよう同国に命じました。
EUが近年進めている多国籍企業の国際租税回避行為に対する捜査の一環で、企業に課される追徴金は合計約7億ユーロ(約900億円)にも上るそうです。
違法認定されたのは、ベルギーで2005年から導入されている法人税制度で、多国籍企業の特性を利用して、最大で利益の9割を控除できるというもの。
欧州委員会は1年にわたって調査を進めた結果、特定の多国籍企業だけが恩恵を受ける同制度がEU法で禁止されている補助行為に当たると判断しました。
同制度によって少なくとも35社が税優遇を受けていて、米製薬大手ファイザーや、ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)などのほか、ベルギーに進出した日本企業数社も含まれているとのことです。
ベルギーのファンオフェルトフェルト財務相は、追徴金の対象企業に対して「非常に大きな影響を及ぼす」と注意を促す一方で、今後もEUと交渉を継続していく姿勢を明らかにしました。
国ごとの税制の違いを利用した多国籍企業による租税回避行為を問題視する動きは年々高まっています。
多くの企業の租税回避スキームに利用されていたアイルランドは国際社会の批判の高まりを受けて15年に優遇制度を廃止し、昨年10月にはオランダやルクセンブルクでも米スターバックス社などに税優遇を与えていた制度が欧州委員会によって違法認定されました。
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