ダメになった会社はつぶれ、元気な新しい会社が参入することにより経済を活性化させればよい、というのも市場主義における有力な株式会社論です。
しかし、会社間の労働力移動が簡単ではない日本においては、働く従業員のことを考えれば、会社は存続してもらわなければ困ります。
そう考えると、選択と集中は怖い戦略です。
選択と集中は最も得意とする分野に経営資源を集中するのですから、短期的には利益を極大化させます。
しかし、環境変化には脆弱な戦略であることも事実です。
自社が得意とする分野が社会に受け入れられなくなったときに、代替する手段を持たないからです。
選択と集中を成功させるためには、社会の動きを常にウォッチして、自社の技術力や経営力を見極めながら、次々と集中する分野を選択し、変えていかなければなりません。
それには相当な経営能力が必要となります(たとえば、アップルのスティーブ・ジョブズのような)。
そこまで経営能力に自信のない経営者は多少収益を落としても、何かのときに備えて、経営資源をいくつかに分散しておくのが無難だということになります。
短期的な収益だけを考えれば、経営資源は最も儲かる分野に集中すべきです。
しかし、長期的に業績が落ち込むこともあるかもしれないと考えれば、経営資源はある程度分散しておくべきだということになります。
それに伴う経費もバカになりませんが、その経費は一種の保険と考えられます。
そうした保険をかけておくべきかどうかの選択も経営者の重要な責務です。
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
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