日本商工会議所は9月中旬、平成28年度税制改正に向けた意見書を公表しました。中小企業の競争力強化と対日投資拡大のために法人実効税率を20%台まで引き下げることに加え、現在資本金1億円以下となっている税法の中小企業基準を、3億円に引き上げるよう求めました。
意見書では、「中小企業」と言っても創業間もないベンチャー企業から地域の経済を支える老舗企業まで多種多様であることを踏まえた上で、現在の「資本金1億円以下」という税法上の中小企業の基準が実態に即していないと指摘。資本金1億円超10億円以下の中堅企業は中小企業にのみ設けられている各種の税制優遇を受けられず、実質的な法人税の負担率が最も高いとして、税制で成長を後押ししていくことが極めて重要だとしました。
具体的には、中小企業の基準を現在の「資本金1億円以下」から「資本金3億円以下」にまで広げた上で、資本金3億円超10億円以下の中堅企業に対して、研究開発税制の上乗せ優遇などの税制上の措置を求めました。これに併せて、法人実効税率のさらなる引き下げや、外形標準課税の課税ベース拡大への反対を訴えています。
また、中小企業の円滑な事業承継を進めるため、承継時の税負担を猶予する「事業承継税制」の拡充を要望しました。現在は発行済議決権株式の3分の2までとされている猶予対象を100%に引き上げ、相続税の納税猶予割合も80%から100%に拡大するよう求めています。さらに、人材が限られる中小企業では兄弟など複数人で経営を行っているケースも多いとして、複数人の承継も制度の対象とするよう要望しました。
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