115億円の追徴課税を巡ってサッポロビール社と国税が争う裁判の判決が下され、東京地裁はサッポロの請求を棄却しました。
判決の詳細は非公開ながら、税法の「立法趣旨」が司法判断の決め手となったことがうかがえます。
サッポロは2013年に「世界初の製法」をうたい、ビール系飲料のなかで最も税率の低い第3のビールとして「極ZERO」を販売。
翌14年、国税庁から「第3のビールではなく発泡酒に当たる可能性がある」と指摘されました。
発泡酒なら酒税は第3のビールの約1.7倍となり、それまで売り上げた分にかかる酒税の差額115億円を納税する義務が生じます。
未納分の税金は、納めるのが遅れるほど延滞税が多くかかります。
同社はこれ以上負担が増えないよう納めるだけ納めておいて、第3のビールだと証明した後に返してもらうという手段をとりました。
しかし国税が返還を拒否したため、両者の対決が始まったのです。
国内大手のビールメーカーが数字上のスペックを見誤ることはなかなか考えにくいことです。
となれば、極ZEROは第3のビールの要件を数字では満たしていながら、裁判では認められなかったということも考えられます。
手掛かりとなるのが、同社の訴えを巡る国税不服審判所の非公開裁決です。
この裁決に当たり審判所は、「その他の発泡性酒類」が規定された06年改正酒税法の立法趣旨に触れています。
改正法で基本税率よりも低い特例的な税率を設けたのは、税率が急激に変われば生産や消費に多大な影響を与えるためであると説明。
その上で「その他の発泡性酒類」の特例税率は、当時販売されていた第3のビールの商品群と「同種の製造方法によるもの」に限定する趣旨があったとしました。
そしてこれらを踏まえると、あくまで推測ですが、『世界初の製法』をうたった極ZEROは法が想定する〝製法〟ではないため「その他の発泡性酒類」に該当しないと結論付けたとみられます。
純粋に原材料の割合などスペック上の理由だけで第3のビールに該当しないのなら、立法趣旨に踏み込む必要はないはずです。
地裁判決についてはまた異なる論拠から判決が出されたのかもしれませんが、審判所と同種の判断がされた可能性は否定できません。
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