国税当局の調査官が海外資産を持つ人や海外投資をしている人への監視を強めています。
国税庁の発表によると、昨年度の海外関連の所得税実地調査は3145件。
そのなかには「どうせバレないだろう」と安易な考えで無申告だった事例もあります。
会社員Aは海外不動産の譲渡で利益を得たにもかかわらず、税務署にその所得を届け出ませんでした。
海外での取り引きを把握されることはないだろうとAは高を括っていたわけですが、税務署は国内口座に海外から多額の現金が振り込まれている事実を把握し、何らかの所得が発生していた可能性があると判断しました。
金融機関を経由した国外への送金や国外からの現金受領が100万円を超えると、金融機関は現金の動きを記した「国外送金等調書」を税務署に提出することになっているのですが、それによってAの海外での所得が発覚したのです。
また、他国の預金にかかる利子所得を申告していなかったBは、その国の税務当局が日本との租税条約に基づいて利子収入に関する情報を日本の国税当局に提供したことをきっかけに、申告漏れの疑いをもたれて調査を受けました。
その過程で、海外不動産を売却して譲渡益を得ていたにもかかわらず申告していなかったことが発覚。
Bは国外に一定の財産を持っている人に提出が義務付けられている「国外財産調書」を提出していなかったため、加算税を5%分加重され、2900万円の追徴税額を課税されました。
国税当局がいわゆる富裕層の海外資産への課税や監視を強化しているなか、明らかな違法行為である脱税はもちろんのこと、グレーゾーンのスキームにもリスクが伴うことを理解しておきたいところです。
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