設備投資は実物資産に対する効果を期待して行うものであり、金融効果は二次的なものに過ぎません。
また、増収や合理化は経営者のコントロールの範囲内にありますが、金融は経営者がコントロールできるものではありません。
だから、増収や合理化ができるとするなら設備投資をすべきであり、資金調達関連コストは無視できないとしても、設備投資の決定因子とすべきではありません。
あくまで設備投資は実物資産投資が採算に乗るかどうか、つまり営業利益を押し上げられるかどうかを基準に判断すべきものです。
言うまでもなくマイナス金利は資金調達に関連するものですから、それをもって民間の設備投資が増大することは期待できないと思います。
確かに資金がなければ設備投資ができませんから、資金がないことあるいは金利が高いことが設備投資の阻害要因として作用することはあります。
しかし、資金があれば、あるいは金利が低ければ、それで投資が行われるというものではないのです。
これを金融の「ひも理論」と言います。
金融は引っ張るとき(金融引き締め)には効果を発揮するが、押したとき(金融緩和)はさほど力を発揮できないのです。
別の言い方をすれば、金融面でのサポートは設備投資にとって必要条件ではありますが、十分条件ではありません。
政府・日銀が民間の設備投資を促したいのであれば、金融面ではなく実物資産投資が効果を生むような環境を整備することが必要になります。
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