大阪市が独自に定める固定資産税の計算ルールを巡り、大阪地裁は計算方法の一部を違法と認定し、取りすぎていた税額を返還するよう命じる判決を下しました。
同じルールに沿って税額を計算された建物は市内に無数にあるとみられ、今後同様の返還請求が多く起こされることも予想されます。
大阪市を訴えていたのは、市内に賃貸マンションを所有する納税者2人。
それぞれ1999年からの16年分、94年からの21年分の固定資産税額が過大徴収に当たるとして、返還を求めていました。
固定資産税の税額を計算する基礎となる評価額は、原則として国が規定した「固定資産評価基準」が用いられます。
しかし同税が地方税であることから、実際の運用には自治体ごとのローカルルールが用いられることも珍しくなく、大阪市も1979年から、建物の基礎工事で使われるくいの長さや太さに応じた独自の補正率を採用していました。
裁判長は、大阪市の独自の計算ルールについて「合理的な根拠がない」として、計算方法の一部を地方税法に反すると認定。原告の求めに応じて過徴収した税額の全額返還を命じた上で、一部については国家賠償法の時効である20年を超えるとして訴えを退けました。
自治体が定めた固定資産税の規定を巡っては、札幌市でも、同じマンション内にある住宅部分と事務所部分で異なる算定方法を用いたローカルルールが適正かどうかを争う裁判が起こされています。
一審では納税者の主張が認められましたが、控訴審では逆転し、市の計算方法は適法との判断が示されています。
固定資産税は自治体が税額を算定して納付書を送付する「賦課課税方式」を採用していますが、近年になって過徴収が全国で発覚したことから、自身に課された税額を改めて確認する納税者が増えています。
長年にわたって運用されてきた自治体の独自ルールに疑問を提起する動きは今後も増えそうです。
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