倒壊の危険性や衛生的な問題がある空き家(特定空き家)に対して、自治体が解体の行政代執行をできる規定を盛り込んだ「空き家対策措置法」の全面施行を前に、勧告や代執行の対象になる「特定空き家」の判断基準案を国土交通省が明らかにしました。
特定空き家への国の取り組み方針を規定した「空家等対策の推進に関する特別特措法」(空き家対策措置法)の一部が2月26日に施行され、自治体は空き家の所有者を迅速に特定するため、固定資産税の課税情報を利用できるようになりました。そして空き家対策措置法は5月26日に全面施行されます。
全面施行後は、自治体が特定空き家の所有者に対して、除却・修繕・立木の伐採といった助言、指導、勧告、命令ができるようになります。さらに、改善を促したにもかかわらず放置を続けた場合には行政代執行による解体も認められます。解体費用は取り壊し後に改めて所有者に請求することになるそうです。
空き家の所有者は税負担がこれまでの6倍になる可能性も考慮しなければなりません。地方税法上、家屋が建っている敷地は「住宅用地」として敷地200㎡以下の部分の課税標準額が更地(固定資産税評価額)に比べて6分の1になる特例があります。たとえ空き家であってもこの特例は適用されるため、解体費用だけではなく税金面の負担も考えて、空き家のまま放置している持ち主は多かったのです。しかし空き家対策措置法では、この税優遇を一定の空き家には適用しないという改正を盛り込みました。
行政の指導や勧告、解体命令の対象になる特定空き家に該当するかどうかの判断基準は、国土交通省がこのほど公表した資料「『特定空家等に対する措置』に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)(案)」で明らかになっています。これによると、「ネズミやハエ、シロアリの大量発生」「多数の窓ガラスが割れたまま放置」「外壁が目視でも確認できるほど脱落しそうな状態」などの場合に特定空き家として判断されることになりそうです。
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