2016年12月21日水曜日

特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例

 平成28年税制改正では、医療保険各法等の規定により療養の給付として支給される薬剤との代替性が特に高い一般用医薬品等の使用を進める観点から、検診等及び予防接種を受けている個人を対象として、特定一般用医薬品等購入費(いわゆるスイッチOTC医薬品の購入費用)について医療費控除の特例制度(いわゆるセルフメディケーション税制)が創設され、平成29年1月1日から適用されることとなりました。

 本稿では、特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例の概要と実務上の留意点について解説します。


Ⅰ 医療費控除の特例の概要

 居住者が平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る特定一般用医薬品等購入費を支払った場合において、その居住者がその年中に健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っているときのその年分の医療費控除については、その者の選択により、その年中に支払った特定一般用医薬品等購入費の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除きます。)の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(その金額が8万8千円を超える場合には、8万8千円)を、その居住者のその年分の総所得金額等から所得控除(以下「医療費控除の特例」といいます。)できることとされます(措法41の17の2①)。

 なお、地方税についても同様とされます(平成28年改正地方法附則4の4)。


Ⅱ 検診等及び予防接種の範囲

 上記Ⅰに掲げる「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組」の範囲とは、

①特定健康審査(いわゆるメタボ健診)、

②定期健康診断(事業主健診)、

③健康診査(いわゆる人間ドック等で医療保険者が行うもの)、

④がん検診又は⑤予防接種(医師の関与があるものに限ります。)

とされます。

Ⅲ 控除対象医薬品の範囲
 上記Ⅰに掲げる「特定一般用医薬品等購入費」とは、その製造販売の承認の申請に際して既に承認を与えられている医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果等が明らかに異なる要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療保険各法等の規定により療養の給付として支給される薬剤との代替性が特に高いものとして一定のものの購入の対価(医薬品の薬効の例:かぜ薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬等)をいいます(措法41の17の2②)。

 厚生労働省では、これらの対象医薬品の

①医薬品の販売名、

②製造販売業者名、

③成分名

を記載した品名一覧表をホームページで公表しており、必要に応じて2か月に1回のペースで公表しています。

 平成29年1月1日より医療費控除の特例の適用を受ける場合には、上記Ⅲに掲げる特定一般用医薬品等購入費の集計が必要となります。

 これら医療費控除の特例の適用に係る証明書類であるレシート及び領収書等には、

①商品名、

②金額、

③商品が医療費控除の特例の対象商品である旨(注)、

④販売店名、

⑤購入日

が明記されたもの(これら①~⑤の事項が明記されていれば、キャッシュレジスターが発行するレシート又は手書きの領収書のいずれも可)とされます(平成28年10月4日事務連絡:厚生労働省医政局経済課)。

(注)上記③に掲げる「対象商品である旨の明記」において、キャッシュレジスターが発行するレシートで対応する場合は、次に掲げる要件が必要とされます。

(イ)商品名の前にマーク(例えば「★」)が付されるとともに、そのマークが付いている商品が医療費控除の特例の対象商品である旨(例えば「★印は医療費控除の特例の対象商品」)がレシートに記載されていること。

(ロ)対象商品のみの合計額が分けて記載されていること。


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