世界保健機構(WHO)が糖分を多く含む清涼飲料へ20%の「砂糖税」をかけるよう各国に呼び掛けました。
世界的に増加傾向にある糖尿病や肥満を防止するため、値上げによって消費を抑えるのがその目的です。
「健康増進」を理由とした増税は日本でもたばこ税などで近年行われていて、世界的なトレンドといえそうです。
WHOが発表した報告書によると、世界の肥満人口は直近30年で2倍以上に増加し、成人の総人口に占める割合は4割に達しつつあります。
また糖尿病患者も30年余りの間に1億800万人から4億2200万人に増えています。
糖分が多く含まれる清涼飲料の世界的な普及増が背景にあるとして、報告書では、仮に清涼飲料に20%の課税をすると、消費を2割減らすことが可能だと予測しています。
糖分に税金を課する「砂糖税」は決してWHOが最初に言い出したことではありません。
すでにメキシコやフランスなど一部の国では「砂糖税」が実際に導入しており、WHOの推計もそれらの実績を基に予測されたものです。
英国でも2018年から、100ミリリットル中5グラム以上の糖分を含むソフトドリンクを製造・輸入する企業に「砂糖税」を課すことを決定しています。
税収は年間800億円に上る見込みです。
では日本はというと、かつて1901年に砂糖消費税が導入されたことがあります。
当時の砂糖は輸入品が多くぜいたく品とみなされたためですが、砂糖への課税はその後長く続き、89年の消費税開始時まで存在していました。
さらに昨年、厚生労働省の有識者会議で、増大する社会保障費の財源確保策として、砂糖に対する課税が提案されています。
消費を減らして糖尿病リスクを抑制すると同時に、税収を医療費に充てて財源確保にも役立てることを目論んだもので、あまり検討されることもなくお蔵入りとなりました。
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