2016年12月28日水曜日

所得拡大税制、中小企業優遇を拡大へ

 社員の給料をアップした企業の法人税負担を軽くする「所得拡大促進税制」について、中小企業が2%以上賃上げしたときは最大減税額が22%に拡大されることになりそうです。

 国は減税幅の拡大で中小企業の賃上げを促す狙いです。

 現行制度では、

①給与支給総額が平成24年度から3%増加、

②給与支給総額が前年度以上、

③従業員1人当たりの平均給与が前年度以上

の3要件を満たす企業は、賃上げ総額の10%を法人税額から税額控除(中小企業は税額の最大20%、大企業は10%)できます。

 青色申告をしている個人事業主から大企業まで幅広く利用できる制度です。

 ここでいう「給与」は、所得税法上「給与所得」として課税される賞与や諸手当も含みます。



 これが税制改正により、

給料が前年度比2%以上の条件を満たす中小企業を対象に、

賃上げ総額の最大22%を法人税額から差し引く

ことができるようになります。

 積極的に賃上げに取り組む中小企業の税の軽減効果を大きくすることで、大企業並みの賃上げにつながるようにするとのことです。



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2016年12月27日火曜日

2017年1月1日より、共通報告基準に注意!

 2017年1月1日以後、共通報告基準(CRS)に基づいて、新たに日本の金融機関等に口座開設等をする場合には、金融機関等へ氏名、住所、居住地国等を記載した届出書(新規届出書)の提出が必要となります。


 既に口座開設等をしている場合でも、確認のため金融機関から同様の届出書(任意届出書)の提出を求められる場合があります。


 居住地国が外国の場合には、その居住地国における納税者番号の記載が必要となります。


 CRSとは、外国の金融機関の口座を通じた脱税及び租税回避に対応するため、2014年にOECD(経済協力開発機構)が策定した情報交換に関する国際基準で、各国の税務当局が行う自動的情報交換の対象となる非居住者の口座の特定方法や、情報の範囲等を共通化するものです。


 これを採用することにより、金融機関の事務負担が軽減し、金融資産の情報が効率的に交換されることで、国際的な課税逃れが減少することが期待されています。


 非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準であるCRSには、日本を含む各国がその実施を約束しました。


 この基準に基づき、各国の税務当局は、自国に所在する金融機関等から非居住者が保有する金融口座情報の報告を受け、租税条約等の情報交換規定に基づき、その非居住者の居住地国の税務当局に対しその情報を提供します。


 日本では、平成27年度税制改正により、2017年1月1日以後、新たに金融機関等に口座開設等を行う者等は、金融機関等へ居住地国名等を記載した届出書の提出が必要となり、国内に所在する金融機関等は、2018年以後、毎年4月30日までに特定の非居住者の金融口座情報を所轄税務署長に報告し、報告された金融口座情報は、租税条約等の情報交換規定に基づき、各国税務当局と自動的に交換されます。


 また、日本から外国に対して情報提供を行うとともに、外国から日本に対し、その国の金融機関等に保有される日本居住者の金融口座情報が提供されます。


 各国の税務当局は、それぞれの自国に所在する金融機関から非居住者(個人・法人等)に係る金融口座情報を報告させ、非居住者の各居住地国の税務当局に対して年一回まとめて互いに提供されます。


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2016年12月26日月曜日

預貯金とマイナンバー

◆預貯金のマイナンバー管理

 平成27年8月のマイナンバー法改正に伴い、国税通則法を改正し、銀行等に対し、マイナンバーによって検索できる状態で預貯金情報を管理する義務を課す、としました。

 ただし、9月9日に改正公布されていますが、3年内施行ということで、まだ施行はされていません。

◆現在ある預貯金口座とマイナンバー

 銀行が個人の顧客に支払う利子の課税については、源泉分離課税で課税が終了することから、利子支払調書の提出が免除されており、銀行等の預金口座に関しマイナンバーを付す必要性も法的根拠もありません。

 それで、預金口座へのマイナンバー付番の根拠として、マネーロンダリング対策や、預金保険機構による預金者救済などでの名寄せ、災害時の迅速な対応といった場面で必要だから、との建前を出して、平成30年以降は口座への付番を預金者の任意の協力の下でできることに法制化しました。

◆改正通則法の付番管理

 税務当局には質問検査権があり、金融機関に対し従来より、過去数年間の預貯金情報の照会をしており、マイナンバー付番があれば、そのマイナンバーにより名寄せした情報の開示を金融機関に対して行うことは今後とも可能なところです。

 ところが、金融機関等をあまり信用していないのか、対応に不満があるのか、金融機関からの迅速・的確な回答を確保し、税務調査における預貯金調査の効率性を高める観点から、金融機関に対して、マイナンバーに紐付けて預貯金口座に関する情報を管理するという義務を課すこととしました。

 冒頭の改正法です。

◆マイナンバー告知強制があるかも

 預貯金者は金融機関から、保有する預貯金口座について、マイナンバーの告知を求められることが予想されますが、預貯金者における金融機関に対するマイナンバーの告知は、義務ではなく、あくまで任意です。

◆付番促進検討は3年後

 なお、預貯金口座へのマイナンバーの付番が進まないことも考え得るところですが、今般の番号改正法の附則において、本制度施行から3年後の見直し規定が設けられており、その時点で付番の状況等を踏まえ、更なる付番の促進に向けた施策の検討を行うこととされています。

 税金相談

2016年12月22日木曜日

所得税調査で発覚した所得隠匿事例

 平成27年度の所得税調査・消費税調査で発覚した申告漏れ事例を3つ紹介します。

 A氏はタックスヘイブン(租税回避地)であるX国に法人を立ち上げ、知的財産権を譲渡しました。

 法人はその知的財産権を、X国の居住者に買い値の数十倍の価格で転売。

 その利益の一部をA氏が受け取っていました。

 法人は事業実態のないペーパーカンパニーであり、知的財産権の譲渡益は実質的にA氏の所得でした。

 A氏は結局、国税当局から申告漏れ所得に課税されます。

 なお、A氏は「国外財産調書」を提出しておらず、未提出者へのペナルティーである「過少申告加算税額の5%加重」が適用されました。


 次に、個人事業とは別名義での口座の取り引きを隠していた事例を紹介します。

 海外から仕入れた商品のインターネット販売やネットオークションを行っていた個人事業主B氏は、他人名義の口座であれば当局に捕捉されないだろうと判断し、従業員名義の口座でも取引していました。

 従業員名義の口座については申告しなかったそうです。

 従業員の口座に加え、インターネット上の個人認証IDもB氏が管理していたため、当局はすべてB氏の事業上の所得であると判断し、所得税と消費税の追徴課税をしました。


 最後に、架空の領収書で利益を圧縮していた人の事例です。

 不動産譲渡所得があったC氏は、税務署に申告書を提出する際、実際の取り引きよりも低い額が記載された契約書と、架空の領収書を添付しました。

 C氏の狙いは譲渡価格を低くするとともに経費を高くすることによって税額を抑えるというものでした。

 国税当局の追及の結果、不動産の買い主と共謀していたことが発覚しています。

 税金相談

2016年12月21日水曜日

特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例

 平成28年税制改正では、医療保険各法等の規定により療養の給付として支給される薬剤との代替性が特に高い一般用医薬品等の使用を進める観点から、検診等及び予防接種を受けている個人を対象として、特定一般用医薬品等購入費(いわゆるスイッチOTC医薬品の購入費用)について医療費控除の特例制度(いわゆるセルフメディケーション税制)が創設され、平成29年1月1日から適用されることとなりました。

 本稿では、特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例の概要と実務上の留意点について解説します。


Ⅰ 医療費控除の特例の概要

 居住者が平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る特定一般用医薬品等購入費を支払った場合において、その居住者がその年中に健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っているときのその年分の医療費控除については、その者の選択により、その年中に支払った特定一般用医薬品等購入費の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除きます。)の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(その金額が8万8千円を超える場合には、8万8千円)を、その居住者のその年分の総所得金額等から所得控除(以下「医療費控除の特例」といいます。)できることとされます(措法41の17の2①)。

 なお、地方税についても同様とされます(平成28年改正地方法附則4の4)。


Ⅱ 検診等及び予防接種の範囲

 上記Ⅰに掲げる「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組」の範囲とは、

①特定健康審査(いわゆるメタボ健診)、

②定期健康診断(事業主健診)、

③健康診査(いわゆる人間ドック等で医療保険者が行うもの)、

④がん検診又は⑤予防接種(医師の関与があるものに限ります。)

とされます。

Ⅲ 控除対象医薬品の範囲
 上記Ⅰに掲げる「特定一般用医薬品等購入費」とは、その製造販売の承認の申請に際して既に承認を与えられている医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果等が明らかに異なる要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療保険各法等の規定により療養の給付として支給される薬剤との代替性が特に高いものとして一定のものの購入の対価(医薬品の薬効の例:かぜ薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬等)をいいます(措法41の17の2②)。

 厚生労働省では、これらの対象医薬品の

①医薬品の販売名、

②製造販売業者名、

③成分名

を記載した品名一覧表をホームページで公表しており、必要に応じて2か月に1回のペースで公表しています。

 平成29年1月1日より医療費控除の特例の適用を受ける場合には、上記Ⅲに掲げる特定一般用医薬品等購入費の集計が必要となります。

 これら医療費控除の特例の適用に係る証明書類であるレシート及び領収書等には、

①商品名、

②金額、

③商品が医療費控除の特例の対象商品である旨(注)、

④販売店名、

⑤購入日

が明記されたもの(これら①~⑤の事項が明記されていれば、キャッシュレジスターが発行するレシート又は手書きの領収書のいずれも可)とされます(平成28年10月4日事務連絡:厚生労働省医政局経済課)。

(注)上記③に掲げる「対象商品である旨の明記」において、キャッシュレジスターが発行するレシートで対応する場合は、次に掲げる要件が必要とされます。

(イ)商品名の前にマーク(例えば「★」)が付されるとともに、そのマークが付いている商品が医療費控除の特例の対象商品である旨(例えば「★印は医療費控除の特例の対象商品」)がレシートに記載されていること。

(ロ)対象商品のみの合計額が分けて記載されていること。


 税金相談

2016年12月20日火曜日

貢献度評価への転換

 近年“成果主義評価制度”が広く採用されていますが、さらに、最近ではその“成果”を、“貢献度”を基準として評価する制度である“貢献度評価”へ転換する企業が現われています。

◆“貢献度評価”とは

 “貢献度評価”とは、“成果”を個人やチームの業績を目標達成度などの評価に止まらず、その“成果”がチーム業績に貢献した度合を基準として評価する制度です。

 その評価対象は、結果としての業績のみでなく、成果を生み出した目標達成プロセスでの行動も含まれます。

◆“貢献度評価”のコンセプト

 ゲイリー・ハメル ミシガン大学教授が中心となり、世界トップクラスの経営学者達によって2008年に開催された会議で提唱された「マネジメント20」のコンセプトに基づいています。

 それは、「これからは、人間味あふれる組織が大切である」とされ、それは以下の3点に集約されます。

○チーム業績重視

○チームでの振り返り促進、真摯なフィードバックから社員同士で学び合う

○個別のフィードバックに基づき、チーム全体への貢献度を総意で決定

 これは、心の通い合う「信頼関係」に満ちた職場環境の大切さを説くもので、組織と人について次の3点を指摘しています。

・人材を活かせない場合に悪いのは組織であって人ではない。

・本来、人間は主体的に行動し、創造性も有し、情熱を傾けて仕事をしたいと思っている。

・組織がそれを妨げずに本人の力を解き放つことが大切だ。

◆経営者・管理者の留意点

 “貢献度評価”を導入する際は、「チームとしての目的・目標の達成とチームへの貢献度を重視する」ため、目標設定の段階から、社員が「自分達の目標が、所属する組織やチームの目標に繋がっているか、

 個々の役割に期待されている貢献を目指すものか」を相互に確認しながら目標設定を行なうよう誘導しましょう。

 また、目標達成度の自己評価では、チーム目標への貢献事実に関する仲間からの真摯な相互フィードバックに基づいて行なうよう指導し、その上で上司の評価を行ないましょう。

 税金相談

2016年12月19日月曜日

熊本地震での寄附金控除はふるさと納税ワンストップ特例に注意!

 熊本県では、2016年熊本地震により被害を受けた被災者を支援するため、2016年4月15日から義援金を募集しております。

 当初、義援金の募集については、2016年6月30日までとしておりましたが、被害が甚大で被災地の復旧・復興には期間を要し、今なお不便な生活を強いられている被災者が多数いることや義援金の申出が途切れなくあるなどの現状を踏まえ、2017年3月31日まで募集期間を延長しております。

 そして、個人が熊本県下や大分県下の災害対策本部に対して支払った義援金は、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。

 また、個人が認定NPO法人や一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人に対する寄附をした場合には、上記の寄附金控除に代えて、寄附金特別控除(税額控除)の適用が受けられます。

 いずれの場合も、確定申告によりそれぞれ一定額の所得控除や税額控除を受けることができます。

 ただし、これらの寄附とは別に、ふるさと納税を行っている場合には、注意が必要です。

 「ふるさと納税ワンストップ特例制度」により、一定の要件に該当しますと、確定申告が不要ですが、この特例の適用要件は、

 ①ふるさと納税先の自治体数が5団体以内であること

 ②ふるさと納税の寄附金控除を受ける目的以外で確定申告書の提出を要しない者であること

の2つに該当する必要があります。

 注意点は、「ふるさと納税の寄附金控除を受ける目的以外での確定申告書の提出」であり、これは、ふるさと納税以外の寄附金控除も含まれます。

 つまり、熊本地震の被災地等に寄附を行うなどして、確定申告によって寄附金控除を受ける場合には、ワンストップ特例の要件を満たさないため、ふるさと納税に係る寄附金控除についても確定申告をする必要があります。

 この目的以外の確定申告書の提出には、寄附金控除のほか、例えば医療費控除や適用初年度の住宅ローン控除などが該当することから、これらの適用を受ける場合にも、ワンストップ特例の適用はないものとして、すべて確定申告により控除を受けることになりますので、該当されます方は、ご注意ください。


 税金相談

2016年12月16日金曜日

商業簿記は今日的な論点を追加! 簿記2級が変わりました!

◆履歴書に「2級合格」と書いてあっても…

 11月20日は本年最後の日商簿記検定の試験日です。

 会計資格の人気が落ちてきたとはいえ、日商簿記1~4級の年間受験者は約55万人(平成27年)。これは大学入試センター試験の受験者数に匹敵します。

 中でも経理担当者に取得して頂きたいレベルは、まず2級です。

 ただ、履歴書に「簿記2級合格」と書かれていても、その方の実力の程はよくわかりません。

 ある税理士の先生の書籍に書かれていた例ですが、簿記2級を取得し、税理士試験受験経験あるというスタッフさんを採用し、入社初日に「売掛金は借方と貸方のどっち?」と尋ねたところ、「貸方?」という答えが返ってきたそうです。

 就職活動のために「とりあえず勉強した方」は、すぐに知識が抜けてしまうことがあるようです(仕事をしながら学べば良い部分がありますが…)。

 会計事務所に限らず、採用面接の段階で、「売掛金は借方?貸方?」というような、ごく簡単な質問も尋ねるのはこのためです。

◆平成28年に商業簿記の試験範囲見直し!

 とはいえ、簿記学習の範囲と会計実務で求められることが乖離していたという事実もあります。

 そのため、日商簿記2級の試験範囲が見直され、平成28年の試験では商業簿記の次のような論点の入れ替えが行われました(工業簿記は変わりません)。

○試験範囲から除外

 社債、特殊商品販売、繰延資産、本支店会計、手形の裏書・割引、大陸式決算法、特殊仕訳帳、荷為替など手形の扱い

○試験範囲に追加

 売上原価対立法、クレジット売掛金、電子記録債権、引当金、割賦購入、自社利用ソフウェア、資本剰余金からの配当ほか

◆今日的な論点がどんどん追加!

 さらに2級には、平成29年以降も次のような新論点が追加されます。

○平成29年度:連結会計、圧縮記帳、リース会計、外貨建取引

○平成30年度:税効果会計

 合格率も昔のイメージと違います。

 第136回(H26.2)の2級試験の合格率は41.6%であったに対し、ここ3回(第141~143回)の合格率は11.8%、14.8%、25.8%です。

 となると最近の簿記2級の合格者は、かなりの「強者」といえます。

 採用面接で「いつの簿記2級に合格したのですか?」と聞くことも増えるかもしれませんね。


 税金相談

2016年12月15日木曜日

平成28年度地域別最低賃金

◆今年も上がる時給額 上げ幅最大

 最低賃金とは国が賃金の最低限度額を定めた額以上の賃金を労働者に支払わなければならないと言う制度ですが最低賃金の決定は今年も10月に発令されています。

 比較可能な平成14年以降最大の上げ幅です。

 人口減により地方でも人手不足は深刻で最低賃金を引き上げて労働力確保を図る例が目立っています。

 中央最低賃金審議会は平成28年度の地域別最低賃金改定の状況を発表しました。

 都道府県別の引き上げ額は時給25円アップを最高に24円、22円、21円、と上がり幅が分けられ、全国加重平均は823円(25円引き上げ)です。

 若い世代の労働力流出に悩む地域が多く建設、小売業等で深刻化する人手不足の改善につなげるとしています。

◆都市部と地方部の格差は広がる

 最も時給が高いのは東京都の932円、最も低い額は宮崎、沖縄の714円でした。

 10月1日より中旬にかけて発効となります。

 毎年都市部の上がり幅が高いので都市部と地方部の格差は場所によっては縮小しているものの、最高額と最低額の差は最大で218円開いています。

 平成28年の改定額は以下の通りです。

【25円改定】

東京 932円 大阪 883円 愛知 845円
千葉 842円 神奈川930円 埼玉 845円
兵庫 819円

【24円改定】

茨城 771円 京都 831円 静岡 807円
三重 795円 滋賀 788円 栃木 775円
長野 770円 富山 770円 広島 793円

【22円改定】

北海道786円 宮城 748円 群馬 759円
新潟 753円 石川 757円 福井 754円
山梨 759円 岐阜 776円 奈良 762円
和歌山753円 岡山 757円 山口 753円
島根 718円 鳥取 715円 高知 715円
福岡 765円

【23円改定】

香川 742円

【21円改定】

青森 716円 秋田 716円 岩手 716円
山形 717円 福島 726円 愛媛 717円
徳島 716円 島根 718円 長崎 715円
佐賀 715円 熊本 715円 大分 715円
宮崎 714円 鹿児島715円 沖縄 714円


 税金相談


2016年12月14日水曜日

経済同友会:2017年度税制改正要望を公表!

 経済同友会は、2017年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、専業主婦らを優遇する配偶者控除を廃止して、その廃止による約1兆円の税収増財源を子育て世代支援に充てることを求めております。

 また、財政健全化に資する税制との観点から、消費税率10%への引上げを2019年10月に着実に実施することや消費税率10%を超える引上げを早期に検討するよう要望しております。

 そして、女性の勤労促進のため、配偶者控除(配偶者特別控除を含む)の完全廃止を提言しており、理由として、既婚女性が配偶者控除制度等を理由に勤労調整を行っている可能性を指摘しております。

 配偶者控除制度は1961年度税制改正で創設されましたが、その後、この制度が女性の勤労を阻害する要因との見方もあり、配偶者特別控除が導入され、現行税制では、特定の所得以上になっても世帯の手取りが逆転しない仕組みになっているといわれます。

 しかし、既婚女性の給与所得分布によれば、いずれの年齢層でも100万円付近が最も多くなっており、配偶者控除制度等を理由に勤労調整を行っている可能性は否めないとしております。

 そこで、配偶者控除等を廃止することで、勤労調整の要因を取り除くことができ、100万円付近で所得を調整している配偶者等のさらなる就労増が期待できるとしております。

 この配偶者控除廃止により生じる約1兆円の財源を「児童手当」の水準引上げなど子育て世代の支援に使うことを提案し、税制面から、子育てに伴う経済的負担を軽減させ、安心して子供を産み育てることができる環境を作ることが重要との考えを示しております。

 消費税率引上げについては、2019年10月の着実な実施を求め、さらに、消費税率を10%に引き上げただけでは財政健全化を達成することは困難と指摘しております。

 さらなる必要な増収策の財源として、基幹税として国民が広く薄く負担する消費税が望ましいとの考えを示し、消費税率の10%を超える引上げを早期に検討することを求めており、その際は、中小企業の負担へ配慮しながら、毎年1%ずつ自動的に引き上げるスキームも排除しないとしております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

 税金相談

2016年12月13日火曜日

男性の育休取得に助成金

◆男性の育休取得率伸びる

 厚生労働省から「平成27年度雇用均等基本調査」の結果が発表され、育児休業取得割合(取得率)が明らかになりました。

 これによると平成27年度に育児休業を取得した女性の割合は81.5%(前年度は86.6%)で、男性の取得割合は2.65%(前年2.30%)となり、男性は平成8年の調査開始より過去最高になったそうです。

 女性の取得率は平成20年(90.6%)をピークに伸び悩んでおり、ここ9年では最低となっています。


◆育児参加を阻むもの

 男性の取得率が伸びていると言っても政府目標の「2020年に13%」には程遠いと言えるでしょう。

 男性の育児休業取得が進まない背景には一番は男性が育児休業する事への抵抗感が、男性本人、職場の雰囲気、社会一般に根強く存在している事が挙げられます。

 育児休業を取ることが「職場に迷惑をかける」という意識が大きいと言います。

 共働きと専業主婦世帯では考え方も違っているかもしれませんが、子育て支援は会社の問題ではなく個人の問題であると言う考えもあります。

 しかし企業において両立支援に取り組むことは一定の質の職業能力の確保につながり従業員の勤労意欲の動機付けにもなるでしょう。

 少しずつではありますが男性の育児休業取得者は着実に増えてきています。


◆今年度から新設された両立支援助成金

 このような中で「両立支援助成金」の一つとして、男性労働者に育児休業を取得させた事業主に助成をおこなう「出生時両立支援助成金」が今年度から新設されています。

 支給対象者となるのは子の出生後8週間以内に開始する14日以上(中小企業では連続5日以上)の育児休業でありますが、過去3年以内に男性の育児休業取得者が出ている事業主は対象外です。

 支給額は中小企業では1人目が60万円(2人目以降15万円)となっています。

 また、雇用保険の育児休業給付金は「パパ・ママ育休プラス制度」を利用すると子が1歳2ヶ月になる前日までの間、育児休業給付金が支給されます。

 開始から180日までは給与の67%、181日からは50%が支給されます。


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2016年12月12日月曜日

国外居住親族の確認の手間増大

 今年の年末調整では、社員が適用する扶養控除、配偶者控除、障害者控除、配偶者特別控除の対象親族が国外居住者(日本の非居住者)であるなら、会社は「親族関係書類」や「送金関係書類」を社員から受け取る必要があります。

 本来は控除対象でない人を対象親族として報告するケースが相次いでいたため、海外に住んでいる親族の確認方法が厳格化されたものです。

 「親族関係書類」と「送金関係書類」は、親族が本当に社員(国内居住者)と同じ家計で生活し、送金がされているのかを確認するためのもの。

 親族関係書類は、戸籍の附票の写しや親族のパスポート、親族の氏名・住所・生年月日が記載された、外国の政府や公共団体が発行した証明書類を指します。

 送金関係書類は、金融機関が行う為替取引で社員から親族へ支払いが行われたことを示す書類か、クレジットカード会社が発行する、親族が商品を購入し、購入代金に当たる額を居住者から受け取ったことを示す書類などが該当します。

 海外に扶養親族を持つ人が扶養控除や配偶者控除を受けるには、確定申告や源泉徴収、年末調整のときにこれらの書類をそろえて提出しなければなりません。

 書類が外国語で作成されているのなら、訳文を用意して提出します。

 書類をそろえる手間は本人が負いますが、源泉徴収や年末調整をするのは会社です。


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2016年12月9日金曜日

タワマン節税、ついに規制

 政府は平成29年度税制改正大綱に、高層マンションの上層階の固定資産税額引き上げを盛り込む方針を固めました。

 固定資産税評価額と実勢価格の開きを利用した「タワマン節税」に、とうとう課税強化の網がかけられることとなります。

 マンションの固定資産税には「階層」という概念はなく、1階であろうと50階であろうと、同じ面積には同じ税額がかかっています。

 検討している新たな計算方法は、高層階ほど重負担に、低層階ほど軽負担にするというもの。

 おおよそ20階を境界線とし、それより上の階であれば固定資産評価額が現在より高くなるそうです。

 具体的な算定方法などは今後詰めるため、どの階層からどの程度税負担が増えるのかは未確定。

 政府は年末までに骨格を固めて税制改正大綱に盛り込み、早ければ再来年から新制度を開始する方針だとしています。

 今回の改正の目的は「実売価格と固定資産税評価額のギャップ」の解消です。

 50階以上あるようなタワーマンションでは、低層階との価格差が1億円以上開くことも珍しくないため、資産価値に差があるのに固定資産税が同一なのは不公平だという声が挙がっているというのが、与党の説明する見直しの理由です。

 さらに、近年富裕層の間で行われてきた相続税対策の手法である「タワマン節税」が狙い撃ちされることになります。

 不動産を相続財産として評価する際には、固定資産税評価額が算定基礎として用いられます。

 つまり階数やカド部屋といった要素は考慮されません。

 先述したように、マンションの分譲区画の固定資産税評価額は階数にかかわらず同一。それに対し、実際の取引価格は高層階ほど高くなる傾向があります。

 タワマン節税はその差を利用して、相続税負担を抑えるスキームです。


 税金相談


2016年12月8日木曜日

海外居住5年超でも相続税

 富裕層の国境を超えた税逃れを防止する取り組みの一環として、政府は国外に住む人への相続税の課税を強化する方針を固めました。

 保有する海外資産に日本の相続税が課税される要件を見直し、10年を超えて国外に住んでいないときには課税対象になるように変更します。

 現在の制度では、相続人と被相続人の両方が5年を超えて海外に住んでいると、海外資産に対しては日本国内での相続税は課されず、どちらか一方でも日本に住所があるか、海外に居住して5年以内であれば課税対象です。また要件を満たしていても、国内にある財産には日本の相続税がかかります。

 新制度は、現在5年超となっている居住期間の要件を10年超に引き上げるというもの。

 これまでは親子ともに海外に移住して5年を超えれば相続税の対象外となりましたが、今後はたとえ9年住んでいても日本の相続税が課せられることになります。

 近年、日本の資産家の間では、相続税率が著しく低いシンガポールやニュージーランドなどの国外に移住して資産を移し、日本での課税を免れる〝資産フライト〟が増えていました。

 これを受けて昨年7月には、出国時点での含み資産に課税する「国外転出時課税」制度がスタートしています。

 政府は、さらに課税要件となる年数を延ばすことで、税逃れのための海外移住を完全シャットアウトする構えです。


  税金相談

2016年12月7日水曜日

平成28年分 年末調整の留意点

 年末調整は、給与の支払を受ける人の一人一人について、毎月(日)の給料や賞与などの支払の際に源泉徴収をした税額と、その年の給与の総額について納めなければならない税額(年税額)とを比べて、その過不足を精算する手続きです。

 平成28年分の年末調整にあたって留意すべき主な事項は、国外居住親族に係る扶養控除等の適用、通勤手当の非課税限度額の引き上げ、マイナンバーの記載等に関する事項です。


●国外居住親族に係る扶養控除等の適用

 平成28年1月1日以後に支払われる給与等の「源泉徴収」又は「年末調整」において、国外居住親族に係る扶養控除、配偶者控除、障害者控除又は配偶者特別控除の適用を受ける場合には、親族関係書類(親族であることを証明する一定の書類)及び送金関係書類(生活費等に充てるために送金等をしたことを明らかにする一定の書類)の提出又は提示が必要となりました。


●通勤手当の非課税限度額引上げ

 平成28年1月1日以後に支払われるべき通勤手当の非課税限度額が10万円から15万円に引上げられました。

 しかし、4月の改正前に支払われた通勤手当については、改正前の非課税規定を適用したところで所得税及び復興特別所得税の源泉徴収が行われていますので、改正後の非課税規定を適用した場合に過誤となる税額は、本年の年末調整の際に精算する必要があります。

 なお、既に支払われた通勤手当が改正前の非課税限度額以下である人については、この精算の手続きは不要です。

 また、退職した人など本年の年末調整の際に精算する機会のない人については、確定申告により精算することになります。


●年調関係書類に係るマイナンバーの記載

 年末調整関係書類のうち、

①保険料控除申告書、

②配偶者特別控除申告書、

③(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

については、平成28年4月1日以後に提出するものからマイナンバーの記載が不要とされています。

 給与の支払者が個人の場合には、これらの申告書にマイナンバーの付記は不要ですが、法人の場合には付記が必要です。

 なお、平成29年分から給与等の支払者が提供者のマイナンバー等を記載した一定の書類を備えている場合には、申告書への記載は不要とする取扱いが適用されます。


税金相談

2016年12月6日火曜日

文部科学省:2017年度税制改正要望を公表!

 文部科学省は、2017年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、ゴルフ場利用税の廃止を要望しております。

 ゴルフは、リオデジャネイロ五輪で復活し、東京五輪でも実施が決まっており、幅広くゴルフの振興を図り、国民が身近に親しむ環境を整備する上で重要として、ゴルフ競技団体や関係業界等を含め、ゴルフ場利用税の廃止に向けた動きを強めております。

 そもそもゴルフ場利用税は、1940年に国税として導入された入場税でしたが、その後、1954年にパチンコ店やマージャン店などとともに「娯楽施設利用税」という地方税となりました。

 さらに1989年の消費税創設に際して、国税の入場税は廃止され、娯楽施設利用税も、パチンコ・麻雀・射的場などの利用に係るものは廃止されましたが、ゴルフ場の利用行為に対してだけは「ゴルフ場利用税」と名称変更して存続しました。

 国体競技選手、年齢18歳未満の者や70歳以上の高齢者、障害者などは非課税ですが、その他の利用者には、1人1日当たりの施設利用に対し800円(標準税率)から1,200円(制限税率)課税されております。

 こうしたことから、関係者は、スポーツの中でゴルフだけが消費税と施設利用税との二重課税で公平性を欠いているなどとして廃止を主張しております。

 また、1993年に約1,480万人でしたゴルフ場利用者は、2014年には約720万人となり、この間、利用単価も大きく減少しており、業界では少しでも負担を減らしてゴルフ場に客を呼び戻したい事情がある模様です。

 一方、課税側の都道府県と交付金を受ける市町村は、廃止に反対しており、ゴルフ場の開発許可や周辺の道路整備にかかる行政サービスを賄う費用として欠かせないとしております。

 総務省も地方の貴重な財源だとして自治体を後押ししており、ゴルフ場利用税の税収は年間約500億円、うち7割がゴルフ場のある市町村に交付され、財政状況がひっ迫している地方財政にとっては貴重な財源となっております。

 東京五輪のゴルフ競技実施を契機に人気回復などを狙う業界側の廃止要望と財源を守りたい自治体の攻防が見受けられます。

 今後の税制改正の動向に注目です。

2016年12月5日月曜日

年末にできる駆け込み節税

 個人であれば年末、法人であれば事業年度末が近づくと、1年間のおおよその所得額が把握できるようになります。

 所得が多くて多額の納税が必要になりそうなら、経費(損金)や所得控除の対象になる支出を増やして税負担を抑える方法を考えないと損をしかねません。

 年末や決算期の代表的な駆け込み節税策に、各種保険や共済に新たに加入する方法があります。

 生命保険のほか、取引先倒産リスクをカバーする「経営セーフティ共済」、火災保険とセットで加入する地震保険などの商品の1年間の保険料をこの時期に支払うと、来年分も含めて所得控除の対象になります。

 必要経費をこの時期にたくさん支出するのもひとつの手です。

 事業用固定資産の修繕を考えているのなら、修繕費用は必要経費として処理できるので、儲けが多かった個人事業主は年をまたがずに年内に支出するようにしましょう。

 所得税として徴収されるより、自分が望む地域に寄付をする「ふるさと納税」を使い、自治体からさまざまな返礼品を受け取る方法もあります。

 ふるさと納税を利用すると、寄付額のうち2千円を超えた金額が、住んでいる場所で納める所得税や個人住民税から差し引けます。

 使える枠は毎年リセットされます。

 年内に結婚して扶養親族が増えれば今年から配偶者控除を使えますが、税額の多寡だけで駆け込み結婚をする人はあまりいません。

 ほかの駆け込み節税策にしても、税金面のお得度だけを考えて無駄な支出をしてしまえば本末転倒です。

 年末の本格的な慌ただしさが来る前におおよその課税所得額を確認し、また節税につながる複数の選択肢を洗い出したうえで、自分にあった節税策を選ぶことが大切です。


税金相談



2016年12月2日金曜日

ついに日本もコーラ税の時代?

 世界保健機構(WHO)が糖分を多く含む清涼飲料へ20%の「砂糖税」をかけるよう各国に呼び掛けました。

 世界的に増加傾向にある糖尿病や肥満を防止するため、値上げによって消費を抑えるのがその目的です。

 「健康増進」を理由とした増税は日本でもたばこ税などで近年行われていて、世界的なトレンドといえそうです。

 WHOが発表した報告書によると、世界の肥満人口は直近30年で2倍以上に増加し、成人の総人口に占める割合は4割に達しつつあります。

 また糖尿病患者も30年余りの間に1億800万人から4億2200万人に増えています。

 糖分が多く含まれる清涼飲料の世界的な普及増が背景にあるとして、報告書では、仮に清涼飲料に20%の課税をすると、消費を2割減らすことが可能だと予測しています。

 糖分に税金を課する「砂糖税」は決してWHOが最初に言い出したことではありません。

 すでにメキシコやフランスなど一部の国では「砂糖税」が実際に導入しており、WHOの推計もそれらの実績を基に予測されたものです。

 英国でも2018年から、100ミリリットル中5グラム以上の糖分を含むソフトドリンクを製造・輸入する企業に「砂糖税」を課すことを決定しています。

 税収は年間800億円に上る見込みです。

 では日本はというと、かつて1901年に砂糖消費税が導入されたことがあります。

 当時の砂糖は輸入品が多くぜいたく品とみなされたためですが、砂糖への課税はその後長く続き、89年の消費税開始時まで存在していました。

 さらに昨年、厚生労働省の有識者会議で、増大する社会保障費の財源確保策として、砂糖に対する課税が提案されています。

 消費を減らして糖尿病リスクを抑制すると同時に、税収を医療費に充てて財源確保にも役立てることを目論んだもので、あまり検討されることもなくお蔵入りとなりました。

2016年12月1日木曜日

預貯金も分割協議の対象に

 被相続人の預貯金は相続人同士で自由に話し合って遺産分割できず、民法で定められた通りに各相続人が受け取るという最高裁の判例が見直されることになりそうです。

 これによって遺産分割で預貯金も不動産や株式などの資産と同様に扱われます。

 遺産相続の際の預貯金の取り分をめぐって争われている審判で最高裁大法廷は10月19日、当事者双方の意見を聞く弁論を開きました。

 大法廷は判例変更が行われる際に開かれるため、判例が変更される可能性が極めて高くなります。

 判例が変更になれば、預貯金が相続人の話し合いで遺産分割することができ、相続人全員の合意がなくても、裁判所の判断で事例に応じた配分が可能になります。

 判決は年内に出される見通し。

 遺産分割は、遺言書がないときや、遺言書に記載されていない財産が見つかると相続人が話し合いによって取り分を決めるのが基本。

 相続人全員の合意が得られず、話し合いが決裂すると、裁判所に判断を仰ぐことになります。

 不動産や株式などについては裁判所に申し立て、取り分を決定することができますが、預貯金については審判の対象外とされ、取り分は民法の規定に従って相続するとされていました。

 それは、最高裁の判決で預貯金のように分けることができる債権は「自動で(法定の相続分を)受け取れる」と示され、この判例に基づき預貯金は原則として、話し合いによる遺産分割の対象に含めてこなかったからです。

 ただし、裁判所の実務では相続人全員の合意があれば、預貯金を遺産分割の対象に含めています。

 例えば、遺族ふたりで法定相続割合が2分の1だったときに、協議の結果、ひとりは預金が7割、もう一人は土地と預金3割を相続するというようなことが行われてきました。

 しかし、相続人全員の合意が得られない場合が問題になっていたのです。