昨今、百貨店のブランド力も落ちてきました。
消費不況と言われていますが、特に百貨店の地盤沈下は顕著です。
在庫リスクを取らない消化仕入では十分な収益を上げることができなくなっているのです。
それに歯止めをかけるべく、トップ企業である三越伊勢丹を筆頭に百貨店は消化仕入からの脱皮を図っています。
消化仕入では在庫リスクはない代わりに、店頭に並ぶ商品を自ら選ぶことはできません。
それでは、顧客のニーズに迅速に応えることはできません。
そこで、百貨店が自らの判断で仕入れて販売する商品のウェートを増加させつつあるのです。
在庫リスクを取る商売は、利益率は向上しますが、売れ残れば損失を背負い込みます。
リスクを取る資産が変わるということは、企業のあり方も大きく変えます。
単に貸借対照表の資産の残高が移動するということだけではなく、営業体制や求められる人材も変わるのです。
従来の百貨店はブランドや立地という無形固定資産に磨きをかける企業でしたが、これからは在庫を充実させる企業に変わります。
最も求められる能力は商品の売れ筋を的確につかむ目利き力になります。
経営者はどの資産でリスクを取ってリターンを上げるのかを明確に認識し、リスクとリターンが見合っているか、あるいは、自社の財務体力に照らして、どこまでリスクを取れるのかを把握しておかなければなりません。
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
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