企業は資産リスクを対価にリターンを獲得します。
ただ、時代の要請や企業自体の変化でリスクを取る資産は変化していきます。
現在、リスクを取る資産を変えつつある百貨店を例にとり、資産リスクの取り方を考えてみましょう。
百貨店の主力商品である衣料部門には多くのアパレルメーカーが出店していますが、百貨店の店頭に並ぶ商品は実は百貨店の在庫ではなく、アパレルメーカーが保有しています。
顧客が店頭に並ぶ商品を購入した段階で、百貨店がメーカーから商品を買い取り、それと同時に百貨店が顧客に販売するという販売形態をとっています。
このシステムを「消化仕入」といいます。
消化仕入では百貨店は商品を購入したと同時に販売できるので、在庫リスクはゼロです。
在庫リスクを取らずに商売ができるのですから、消化仕入は百貨店にとっては実に優れた販売システムです。
一方、アパレルメーカーは百貨店に出店することで、他よりも高い価格で確実に売れるという信頼感があるから、消化仕入などという不利な条件をのむのです。
この場合、百貨店がリターンの対価としてリスクを取る資産は在庫ではなく、ブランドという無形固定資産(百貨店は老舗が多いですから、多くの場合、簿外の資産価値になるでしょう)になります。
百貨店の高いブランド力を背景にしているからこそ、消化仕入システムは成立します。
なお、IFRS(国際会計基準)では在庫リスクを取らない販売は売上としては認められないとして、消化仕入による販売は売上ではなく、利ザヤ分だけの手数料収入となります。
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
0 件のコメント:
コメントを投稿