グーグルは現在、スマートフォンの開発に取り組んでいます。同社は検索エンジンなど、インターネットの常識を壊す、画期的なサービスを提供してきた会社です。今回も同様で、新しいスマートフォンは、業界の常識を根本から覆す可能性があります。
今回、グーグルが打ち出したコンセプトとは、「自作のスマートフォン」です。モジュールといわれる、レゴ(ブロック)を薄くしたような板をユーザー自身がベースフレーム(外枠)に載せて自分独自のスマートフォンをこしらえるというものです。
一つのモジュールには、スマートフォンに必要な機能(カメラ、メモリ、2次電池、センサーなど)を一つ備えています。
ユーザーは、利用の場面に応じてベースフレームに必要なモジュールを載せて使います。たとえば、旅行に行くときは、カメラを載せ、バッテリーを一つ多く載せる。旅行から帰り、家でゲームでもしながら過ごしたいといったときは、カメラを外し、ゲームに関するモジュールを載せる、といったことが可能になります。
これまでのスマートフォンや携帯電話は、通信事業者がメーカーと協力して、製品の機能を決めていました。開発にあたっては、少しでも数多く売るために、商品のターゲットとなるユーザーのニーズを把握し、ユーザーの最大公約数に合わせて、機能を決めることがよくあります。多めに機能を搭載すれば、それだけたくさんの人に買ってもらえるからです。
ところが、このようなスマートフォンはとかく機能が過剰になり、ユーザーにとって要らない機能がたくさん増えることになります。
スマートフォンは、ユーザーにより、使い方はさまざまです。音楽が好きな人もいれば、外に出て、風景を残しておきたいという人、あるいはビジネス用として、メールやスケジュール管理にのみ利用する人もいます。なかには、スマートフォンはLINEやフェイスブック、ツイッターなどのSNSができれば十分で、さほど機能や性能にはこだわらないという人もいます。
グーグルが開発する、「自作スマートフォン」は、ユーザーが必要と感じる機能だけを選べるので、操作がシンプルになり使い勝手がよくなります。加えて、不要な機能を落とすことで、価格も安くできます。実際、記者発表で、グーグルは価格について50ドル~だと公表していました。
とくに、注目したいのはグーグルの携帯電話は、スマートフォンのアプリ(アプリケーションソフト)のように、今後、モジュールが第三者により開発され発売されることが予想されます。結果、モジュールを開発し販売するという新しい市場が生まれる可能性もあります。
近年の製品開発は、携帯電話を開発して売るという単純なことだけではなく、一つの商品を開発することで、アプリやモジュールといった関連市場が生まれ、その市場にも利益が多く生まれるところに特徴があります。かつて、iPhoneがヒット商品になったときも、本体だけでなく、アプリや音楽の販売ストアなど、関連するソフトの市場が活性化しています。現代の商品開発は、メインとなる商品の機能や性能だけでなく、製品の周辺にどれだけ利益を生み出せる市場が誕生するか、こうした視点も重要になっています。
記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター
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