経済産業省の調査によると、平成25、26年度のいずれかで賃上げをし、かつ黒字となって法人税を納めた中小企業のうち、所得拡大促進税制を「知らなかった」と答えた企業が半数に上ることが分かりました。将来を見越して増員、賃上げに踏み切る企業が税額控除制度を見逃していたというのでは問題です。
経産省は国内の中小企業と小規模事業者3万社に対して6月にアンケートを実施。回答を寄せた1万380社の結果について発表しました。この中で、平成25年度または26年度のいずれかに賃上げをして、法人税を納付した企業は4964社(48%)。そのうち、所得拡大促進税制を利用した企業は全体で6.3%にとどまりました。
もっとも注目すべきは制度の認知度。100人超の企業では「利用した」と「知っていたが利用しなかった」を合わせると54.9%と、半数以上が少なくとも制度を「知っていた」ということになりますが、20人以下の企業では27.7%で3割にも満たないのです。さらに言えば、20人以下の企業では「知らなかった」に「分からない」を加えると72.3%の企業が、賃上げをして、かつ黒字であるにもかかわらず、本制度を知らず、もしくは理解しなかったため、控除を見逃して法人税を納めていたことになります。
所得拡大促進税制は、平成25年4月1日から28年3月31日までに始まる事業年度に一定条件のもと従業員への賃金を増額した企業は、その支給増加額の10%(中小企業は20%)が税額控除できる制度です。26年度改正で適用期限が平成30年3月末まで延長されました。
さらに、これまで雇用者給与等支給増加額(賃上げ額)の基準雇用者等給与支給額(給与)に対する割合は、26年度は「2%以上」に大幅に引き下げられました。これに加え、雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を上回っていること、平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を上回っていること――の3つが新しい条件です。
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