2014年10月28日火曜日

税務調査と更正・決定

◆申告納税方式とは
具体的には、納付すべき税額は納税者自身の申告によって確定することを原則として、申告に誤りがあると認められる場合又は申告がない場合には、税務署長は前者については「更正」によって、後者については「決定」によって課税標準等又は税額等を確定する方式のことです。
しかし、税務署長が納税者の申告内容を更正、また、申告義務を決定するには、調査なくしてはできません。

◆税務調査の意義
税務調査ですが、具体的には質問検査権の行使であり、納税者を含む関係者への質問、帳簿書類その他の物件の検査、物件の提示若しくは提出を求め、収集した証拠を評価、検証し、その結果として、課税要件事実を充足しているかどうか、すなわち、課税標準等又は税額等を認定する一連の判断過程といえます。

◆当該職員の所轄以外の調査の可否
条文では、調査官を当該職員と規定し、当該職員の調査について、当該職員の所轄以外での質問検査権の行使を制限していませんので、当該職員は所轄以外でも調査はできるものと思われます。
しかし、一方、調査による更正又は決定は、原則、納税者の納税地を所轄する税務署長以外はできません。ですので、当該職員が所轄以外の納税者又は無申告者を調査して、非違事項を認定しても当該職員の税務署長は「更正」又は「決定」はできませんので、事実上、所轄以外での調査はあり得ないことになります。

◆例外的に納税地選択による決定等
当該職員が申告義務を疑って、無申告者の個人事業主の所轄内の事業所に調査に入り、申告義務有りと認定したところ、当該事業主の住所が所轄以外であることが判明した場合ですが、原則、住所が納税地ですので住所地での期限後申告を指導・勧奨することはできても、当該職員の税務署での期限後申告又は決定はできません。
この場合ですが、当該職員は、事業主に対し強制的ではありませんが、事業主が法律上の規定を熟知していないことをいいことに、当該職員の所轄する事業所を納税地とする申請書を提出させて、決定又は期限後申告を勧奨させることもあるようです。
個人の場合は、住所が納税地ですので、安易に調査官の指摘に従うことのないよう留意が必要です。





2014年10月27日月曜日

【時事解説】Google参入でスマホはどう変わるか

グーグルは現在、スマートフォンの開発に取り組んでいます。同社は検索エンジンなど、インターネットの常識を壊す、画期的なサービスを提供してきた会社です。今回も同様で、新しいスマートフォンは、業界の常識を根本から覆す可能性があります。

今回、グーグルが打ち出したコンセプトとは、「自作のスマートフォン」です。モジュールといわれる、レゴ(ブロック)を薄くしたような板をユーザー自身がベースフレーム(外枠)に載せて自分独自のスマートフォンをこしらえるというものです。

一つのモジュールには、スマートフォンに必要な機能(カメラ、メモリ、2次電池、センサーなど)を一つ備えています。


ユーザーは、利用の場面に応じてベースフレームに必要なモジュールを載せて使います。たとえば、旅行に行くときは、カメラを載せ、バッテリーを一つ多く載せる。旅行から帰り、家でゲームでもしながら過ごしたいといったときは、カメラを外し、ゲームに関するモジュールを載せる、といったことが可能になります。

これまでのスマートフォンや携帯電話は、通信事業者がメーカーと協力して、製品の機能を決めていました。開発にあたっては、少しでも数多く売るために、商品のターゲットとなるユーザーのニーズを把握し、ユーザーの最大公約数に合わせて、機能を決めることがよくあります。多めに機能を搭載すれば、それだけたくさんの人に買ってもらえるからです。

ところが、このようなスマートフォンはとかく機能が過剰になり、ユーザーにとって要らない機能がたくさん増えることになります。

スマートフォンは、ユーザーにより、使い方はさまざまです。音楽が好きな人もいれば、外に出て、風景を残しておきたいという人、あるいはビジネス用として、メールやスケジュール管理にのみ利用する人もいます。なかには、スマートフォンはLINEやフェイスブック、ツイッターなどのSNSができれば十分で、さほど機能や性能にはこだわらないという人もいます。

グーグルが開発する、「自作スマートフォン」は、ユーザーが必要と感じる機能だけを選べるので、操作がシンプルになり使い勝手がよくなります。加えて、不要な機能を落とすことで、価格も安くできます。実際、記者発表で、グーグルは価格について50ドル~だと公表していました。

とくに、注目したいのはグーグルの携帯電話は、スマートフォンのアプリ(アプリケーションソフト)のように、今後、モジュールが第三者により開発され発売されることが予想されます。結果、モジュールを開発し販売するという新しい市場が生まれる可能性もあります。

近年の製品開発は、携帯電話を開発して売るという単純なことだけではなく、一つの商品を開発することで、アプリやモジュールといった関連市場が生まれ、その市場にも利益が多く生まれるところに特徴があります。かつて、iPhoneがヒット商品になったときも、本体だけでなく、アプリや音楽の販売ストアなど、関連するソフトの市場が活性化しています。現代の商品開発は、メインとなる商品の機能や性能だけでなく、製品の周辺にどれだけ利益を生み出せる市場が誕生するか、こうした視点も重要になっています。

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター





2014年10月24日金曜日

産学金官連携による中小企業支援

大企業に比べて経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)に制約がある中小企業においては、大学等の教育機関や公設試験研究機関などと連携を行う産学官連携が求められます。しかしながら、多くの中小企業は産学官連携の潜在的なニーズは認識しているものの、人材面、資金面での余裕のなさを理由として具体的な連携にまで踏み込めないのが実情です。

一方で、地域金融機関は中小企業に関する情報をもつとともに、地域との密接なネットワークを有しています。2003年3月に「リレーションシップバンキング機能強化に関するアクションプログラム」が公表されたのを契機に多くの金融機関が産学官連携に対して支援の取り組みを開始しています。

このように、地域の金融機関が産学官連携推進に向けて積極的にサポートを行う、「産学金官連携」への期待が高まっています。地域金融機関においては、中小企業に対して資金供給などの金融面の支援を行うだけでなく、金融機関がもつネットワークや企業経営に関する知識を生かした情報面の支援も求められているのです。

一方で、金融機関が中小企業への連携支援を行ううえでは課題も存在します。ちゅうごく産業創造センターが2013年度に実施した調査によると、金融機関が連携支援に関わるうえでの課題として、①金融機関内部の推進体制の整備・拡充、②中小企業(取引先)との一層の関係構築、③大学とのネットワーク強化の必要性の3点をあげています。

では、地域金融機関が産学金官連携において中小企業支援を行うには、具体的にどのようなことが求められるのでしょうか。そこで、大阪信用金庫における中小企業支援の取組みについてみていきましょう。

大阪信用金庫では、金融庁が策定した「リレーションシップバンキング機能強化に関するアクションプログラム」の要請を受け、2013年6月に「だいしん産学連携共創機構」を設立しました。これは同信金が地元中小企業と大学との橋渡し役となることを目的として設立されたものです。同機構には取引先の地元中小企業が会員企業として参加し、会員企業からの技術相談に応じるほか、会員企業と産学官連携協定を締結している大阪府立大学との間で新製品・新技術の開発による共同研究や研究シーズの交流などの支援を行っています。

大阪信用金庫では、大学との連携を強化し密接な中小企業支援を行うために同信金の職員を産学連携コーディネーターとして大阪府立大学に常駐派遣しています。このコーディネーターは、大学とのネットワークを活用しつつ会員企業の個別相談への対応を図っています。さらに2013年4月には、株式会社だいしん総合研究所を設立し中小企業へのコンサルティング機能の更なる充実を図っています。

このように地域金融機関が産学金官連携を推進しつつ中小企業支援を行うには、専門的な知識を持つ地域金融機関の職員が中小企業と大学等専門機関の「橋渡し役」となることに加え、経営トップ層のリーダーシップの下、大学も巻き込んだ組織的な対応が求められるのです。

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)




2014年10月23日木曜日

わかりづらい税法用語 「生計を一にする」とは?

◆「生計(せいけい)を一(いつ)にする」
税務の話題の中で「生計を一にする」という表現をよく耳にすると思います。
これは、所得税法、法人税法、相続税法、租税特別措置法などの主要な法令の約40の条文に用いられる税法用語です。


特に所得税法では、雑損控除や医療費控除などの所得控除の要件を構成するとともに、控除対象配偶者、扶養親族などの定義規定、事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例など約20の法令で使われます。


これほど頻繁に税法に登場する「生計を一にする」という用語ですが、実は具体的な定義を定めた規定はありません。


所得税基本通達などに、単身赴任者や生活費・学費の仕送りを受けている者は同一の家屋に起居していなくも「生計を一にする」として取扱うなどの、わずかな例が示されているのみで、実務でも判断に迷うものの一つとなっています。

◆消費段階で同一の財布のもとで生活
判例によれば、「生計を一にする」とは、日常生活の糧を共通にしていること、すなわち消費段階で同一の財布のもとで生活していることと解され、これを社会通念に照らして判断されることとなります。


この場合、同一の家屋で起居している親族が「明らかに互いに独立した生活を営んでいる」という状況証拠が出てこない限りは、これらの親族は、通常は「共通の財布」で生活しているものと推定されます。

◆「明らかに互いに独立した生活」の判断
「明らかに互いに独立した生活を営んでいる」のかどうかは、次のような事項を経済的側面と物理的側面の双方から総合的な見地で判断することになります。


(1)不動産登記の状況(区分所有の場合、独立性が高い)
(2)家賃等の支払いの有無
(3)生活費の負担の状況
(4)家屋の居住状況(玄関、台所、風呂が共有であったり、自由に往来が可能な構造であったりする場合には、独立性が低い)
(5)電気・ガス等のメーター設置状況、電話の使用状況
(6)住民票・国民健康保険上の世帯状況等


◆このような曖昧な概念なのに…
様々なライフスタイルが考えられる現代では「生計を一」の適用範囲も拡大化することが考えられますが、「生計を一にする」こととなったときに、納税者に有利となる規定ばかりでなく、不利となる規定もあるだけに、扱いづらいものとなっています。





2014年10月20日月曜日

ふるさと納税で「お礼」合戦が過熱

生まれ故郷や応援する自治体に寄付をすることで、自分の住む自治体で所得税や個人住民税の税額控除を受けられる「ふるさと納税制度」の「お礼」合戦が過熱しています。
この制度は納税者が思い入れのある自治体に寄付の形で貢献でき、その結果、地方間の税収格差が是正できるとしてスタートしました。寄付をしてくれた人に特産品など「お礼」を贈る自治体が多いことから、納税者の間で認知度が高まっています。
こうした状況下で京都・宮津市は、ふるさと納税制度を利用して1千万円以上寄付した人に対して、日本三景の一つである天橋立を臨む住宅分譲地を無償譲渡する制度を設けました。しかし、総務省から「土地の譲渡は『特別の利益』に当たり、寄付者が税控除を受けられない可能性がある」と指摘を受けたため、その制度の中止を9月下旬に発表しました。
市は、ふるさと納税制度を利用して1千万円以上の寄付をした人に750万円相当の住宅分譲地を「お礼」としてプレゼントするサービスを始めようとしていたのですが、所得税法では「寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるもの」については寄付金としての税控除を受けられないと定められていて、「土地」は高額での換金が可能であることから特典の範囲を逸脱するかもしれないとの指摘を受けました。
一定額以上の寄付に応じてその土地の特産品を贈ることにしている自治体は多く、その種類は肉や米などの食材からイベントチケットや温泉旅館の優待券まで多岐にわたります。利用者が増えるにつれて特典も高額化の傾向にあります。300万円以上の寄付を対象にブランド牛1頭分の牛肉をプレゼントする自治体も登場しました。これによって「持つ地方」と「持たざる地方」の新たな税収格差が生まれる可能性も否定できません。
特典について総務省に名指しで指摘を受けたのは今回の宮津市が初めてですが、自治体による「お礼」合戦の過熱化を懸念する声は各所から挙がっています。




2014年10月18日土曜日

「法人税減税に対する企業の意識調査」結果を公表!

帝国データバンクは、「法人税減税に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万571社)を公表しました。

それによりますと、法人課税の実効税率が20%台まで引き下げられた場合、減税分の使い道として最も可能性が高い項目を尋ねたところ、「内部留保」が20.5%で最も高く、「社員に還元」17.3%、「人員の増強」14.0%となり、人的投資に使うとする企業は合わせて3割を超えました。

また、「設備投資の増強」14.9%と「研究開発投資の拡大」5.1%を合わせますと20.0%が資本投資に使用すると回答し、「人的投資」と「資本投資」の合計で5割超となり、半数超の企業が前向きで積極的な投資を想定していることが分かりました。

前回調査時(2013年9月)と比べますと、積極投資を行う企業は1.8ポイント増加し、「人員の増強」(前回12.4%)と「社員に還元」(同16.1%)といった人的投資に充てると考える企業が増加しました。


また、「設備投資の増強」と回答した企業が想定する設備投資額の増加額については、「1,000万円~5,000万円未満」が34.0%で最多、次いで、「1,000万円未満」(24.1%)、「1億円以上」(18.4%)、「5,000万円~1億円未満」(14.7%)と続きました。

設備投資の増強を考えている企業では、平均4,353万円の設備投資が見込まれており、帝国データバンクでは、法人税減税による企業の設備投資は総額で6.2兆円増加すると推計しております。

一方、法人税減税の代替財源として議論の俎上にあがっている「外形標準課税の拡大」については反対が41.0%、「租税特別措置の見直し」と「税制優遇措置の段階的縮小」は賛成が、それぞれ40.8%、43.3%となりました。

租税特別措置や税制優遇措置の見直しに賛成している企業に限定しますと、外形標準課税の拡大にも賛成する企業は、4割近くに達しており、特に大企業でその傾向が強くなっております。

2014年10月15日水曜日

平成27年からの贈与税計算 「特例贈与財産」とは

◆平成27年からは「特例贈与」と「一般贈与」
 平成27年からは相続税・贈与税の税制がガラリと変わります。
 相続税は小規模宅地等の特例制度が拡充されるとはいえ、基礎控除額の引き下げ・税率改定と課税強化の方向が鮮明です。
 一方、贈与税は最高税率を引き上げつつも、世代間の早期の資産移転を図るため、「特例贈与」(その年1月1日において20歳以上の者が直系尊属から受けた贈与)により取得した財産(「特例贈与財産」)には、「特例贈与」でない贈与により取得した財産(「一般贈与財産」)よりも、緩和した税率が適用されることになりました。

◆平成27年からの贈与税の速算表
 そのため、平成27年からの贈与については、「一般贈与財産用」と「特例贈与財産用」の2種類の速算法が用いられます。

【H27.1.1以後の贈与 一般贈与財産用】


①200万円以下 10%(控除額)なし
②300万円以下 15%(控除額)10万円
③400万円以下 20%(控除額)25万円
④600万円以下 30%(控除額)65万円
⑤1,000万円以下 40%(控除額)125万円
⑥1,500万円以下 45%(控除額)175万円
⑦3,000万円以下 50%(控除額)250万円
⑧3,000万円超  55%(控除額)400万円

【H27.1.1以後の贈与 特例贈与財産用】

①200万円以下 10%(控除額)なし
②400万円以下 15%(控除額)10万円
③600万円以下 20%(控除額)30万円
④1,000万円以下 30%(控除額)90万円
⑤1,500万円以下 40%(控除額)190万円
⑥3,000万円以下 45%(控除額)265万円
⑦4,500万円以下 50%(控除額)415万円
⑧4,500万円超  55%(控除額)640万円

◆同一年で「特例」・「一般」がある場合


 また、同じ年で「一般贈与財産」と「特例贈与財産」を取得する場合には、贈与税額の計算は次のとおりとなります。


(1) 合計贈与価額
   一般贈与財産の価額+特例贈与財産の価額
(2) (1)-基礎控除110万円
(3) (2)×一般税率×(一般贈与財産の価額/合計贈与価額)
(4) (2)×特例税率×(特例贈与財産の価額/合計贈与価額)
(5) (3)+(4)=納付税額



2014年10月11日土曜日

【時事解説】捨てる勇気

 会社経営では他社にはない強みを持つことが重要です。

その強みが競合他社を引き離す武器になり、超過利潤を生みだすからです。

しかし、時代が変わると、その強みがかえって経営変革の足枷になり、苦境の原因となることがあります。

通常の経営では強みを強化することが求められますが、場合によっては強みを捨て去る勇気も必要となるのです。

携帯音楽プレーヤーの開発に関するアップルとソニーから、その教訓を読み取ってみましょう。




 ジョブズは自らが創業したアップルからいったんは追い出されますが、売り上げが伸びず破産寸前になったアップルに呼び戻されます。

ジョブズは復帰後ヒット製品を連発し、瀕死の会社を救い出します。

その中にあって、アップル復活を決定づけたのはiPodの販売です。

iPodはソニーのウォークマンのような携帯音楽プレーヤーとしての単なるハード製品ではありません。

iPodのすごいところはiTunesで楽曲をダウンロードして取り込めるところにあります。

ハードとソフトが一体となって音楽聴取方法を変革し、大ブームを引き起こしたのです。




 しかし、こうした製品を考えたのはジョブズが最初ではありません。

音楽関係者の中には少なからず同様な発想を持った人はいたのだそうです。

その中でも音楽のハードとソフトを一体として開発できると見られていた最有力な会社はソニーでした。

ソニーはどのような判断をしたのでしょうか。




 ソニーはハードとして全世界を席巻した携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」を持ち、ソニーミュージックやソニーピクチャーズといった有力な音楽、映画ソフト部門も所有していました。

音楽のハード部分とソフト部分を一体開発できる会社としてこれほど有力な経営資源を有する会社は他に見当たりません。

では、なぜソニーがiPodのような製品を開発できなかったのでしょうか。




 その一つの大きな理由が「共食いを恐れた」からだというのです。

ウォークマンのようなハードも、音楽、映画ソフトも、それぞれがトップブランドとして世の中に受け入れられています。

ここで、iPodのような画期的製品を発売すれば、iPodは売れるかもしれませんが、間違いなく音楽CDの売り上げは減少します。

これまで会社を支えてきた貴重な収益源が失われてしまうから新製品開発に踏み切れなかった、というのです。




 ジョブズのモットーは「共食いを恐れるな」です。

既存の自社製品の売り上げの減少を恐れて、新製品の開発を控えても、その新製品は必ず他社が開発する。

ジョブズはこう言います。

「自分で自分を食わなければ、誰かに食われるだけだからね」

強力な長所を持つ会社ほど時代の流れに取り残されることが往々にしてあります。

時代の変化によってはかつての強みが弱みに変わることがあるのです。

いつまでも過去の強みに安住していてはいけません。

時代の変化を素早く読み取り、不要の強みを捨て去る勇気が必要なことをジョブズは教えてくれています。


記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター




2014年10月10日金曜日

東京都:固定資産税等の「みなす課税」を実施!

東京都は、すでに2014年度の固定資産税・都市計画税の納税通知書を発送済みですが、その中で都内の一部納税者に対し「みなす課税」を実施していることが分かりました。
みなす課税とは、地方税法に定められた土地区画整理事業を執行している市区町村で適用される課税の仕組みで、各地で実施されております。
原則、固定資産の所有者は、毎年1月1日現在の登記簿や土地補充課税台帳、家屋補充課税台帳に所有者として登記、登録されている人ですが、土地区画整理事業等の施行中の土地で、仮換地等の指定があった場合や仮使用地がある場合には、それらを使用・収益することができることとなった日から換地処分の公告がある日や換地計画の認可の公告がある日までの間は、以下の者を所有者とみなすことができるとしております。
①仮換地等にあっては、その仮換地等に対応する従前の土地について登記簿・土地補充課税台帳に所有者として登記・登録されている者
②仮使用地にあっては、土地区画整理法による土地区画整理事業の施行者以外の仮使用地の使用者、を所有者とみなすことができるとされている。

したがいまして、これら仮換地等について、みなす所有者に対して課税される場合があります。
また、換地処分・換地計画の認可の公告があった日から換地・保留地を取得した者が登記簿にその所有者として登記される日までの間は、その換地・保留地を取得した者をもってその所有者としてみなすことができます。
なお、みなす所有者に対して課税されるまでの間は、従前の土地の使用や収益の有無にかかわらず、仮換地等に対応する従前の土地について賦課期日現在の登記簿等に所有者として登記等されている人に対して課税されます。
つまり、土地区画整理事業等は、従前の所有土地について区画や形質の変更をともなうため、事業執行期間中は登記簿に登録された内容と異なる使用実態になります。
今回、東京都のみなす課税の対象となったのは、練馬区土支田中央地区、足立区上沼田南地区・佐野六木地区・花畑北部地区、葛飾区南水元地区、江戸川区篠崎駅東部地区・西部地区、瑞江駅西部地区の4区8地区で、これら地域の詳細は、東京都HPで確認できます。





2014年10月8日水曜日

信託協会:「相続に関する意識調査」結果を公表!

信託協会は、40歳以上の子供がいる既婚者を対象に実施した「相続に関する意識調査」結果を公表しました。
それによりますと、「相続税改正」の認知度が5割であるのに対し、「贈与税改正」の認知度は3割を下回ったことが分かりました。
調査結果(有効回答数3,927人)によりますと、相続財産を「受け取る可能性がある」人は全体の45.2%と半数に近く、男女ともに40代、50代ではその割合が6~7割となりました。ただし、「受け取る可能性がある」人で、対策を「してもらっている」人は19.9%となりました。
具体的な相続対策は、「生前における定期的・計画的な贈与」が62.4%で最も多く、次いで「生命保険の活用」(25.7%)、「遺言書の作成」(25.5%)などが続きました。
相続対策をしてもらっている人は、約2割ですが、「受け取る可能性がある」人の50.9%は「相続対策の必要性を感じている」と回答しております。
そして、必要な対策として43.3%が「遺言書の作成」を挙げております。

同様に、必要な対策として「納税資金の確保」を挙げている人が26.0%いますが、具体的な対策で「納税資金の確保」をしてもらっている人は8.8%となっております。
2015年1月から課税強化される「相続税改正」を「知っている」との回答は50.9%、課税が緩和される「贈与税改正」の認知度は27.3%となりました。
また、「教育資金贈与税非課税制度」(2015年12月31日まで)については、「知っていた」との回答が56.3%となりました。
認知度が5割を超えた「教育資金贈与税非課税制度」ですが、「今後の利用意向」では全体で41.9%となり、40代では男(57.7%)女(57.6%)でした。
制度を利用した(したい)理由としては、「より良い教育を受けさせてあげたい」(42.0%)、「金銭面で希望する進学を諦めさせたくない」(39.9%)、「贈与税の優遇措置が受けられる」(35.4%)などが上位となりました。
今後の動向に注目です。



2014年10月6日月曜日

減給処分はどこまでできるか

◆問題社員を減給したい
従業員が会社で不祥事を起こし、その人に減給の制裁を課す場合、どの程度の範囲で減給額を決めるのでしょうか。労働基準法第91条は「就業規則で、減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1日の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない」と規定しています。「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない」とは1回の精算事案に対する減給額は平均賃金の1日分の半額以内でなければならないと言う意味です。


又、「総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とは1賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額がその月の賃金支払期における賃金の10分の1以内でなければならないと言う意味です。すなわち1賃金支払期(通常は1ヶ月)のうちに従業員が何回も減給制裁に当たる行為を行い、減給額が多額にわたる場合でも、その月の賃金からの減給額はその月の賃金総額の10分の1の範囲内に留めなくてはならないと言う事になります。

◆違法行為が1つなら1日分の半額まで
労働者の制裁に当たる行為が1つである限り非違行為(非行、違法行為)が重大なものであっても減給額はあくまでも平均賃金の1日の半額以下に留めておく必要があります。平均賃金とはその算定事由が発生した直前の賃金締切日以前3ヶ月間の賃金の総額を総日数で除した額を言います。

◆減額処分が軽いと感じる時は
労働者の非違行為が重大なものでも平均賃金の1日分の半額しか減給できないのは納得しがたいと言う考え方もあります。労働基準法は従業員を働かせながら受け取る権利のある賃金からの減給処分は第91条の範囲に留めましょうと言う趣旨であり、その減給額では少なすぎると言うことであれば他の処分を併せて行うことになります。就業規則に例えば出勤停止期間等が規定されていればそちらも併せて行うことも考えられます。減給の制裁は他の処分までも禁じている訳ではありません。




2014年10月4日土曜日

低迷する所得拡大促進税制の認知度

経済産業省の調査によると、平成25、26年度のいずれかで賃上げをし、かつ黒字となって法人税を納めた中小企業のうち、所得拡大促進税制を「知らなかった」と答えた企業が半数に上ることが分かりました。将来を見越して増員、賃上げに踏み切る企業が税額控除制度を見逃していたというのでは問題です。

経産省は国内の中小企業と小規模事業者3万社に対して6月にアンケートを実施。回答を寄せた1万380社の結果について発表しました。この中で、平成25年度または26年度のいずれかに賃上げをして、法人税を納付した企業は4964社(48%)。そのうち、所得拡大促進税制を利用した企業は全体で6.3%にとどまりました。

もっとも注目すべきは制度の認知度。100人超の企業では「利用した」と「知っていたが利用しなかった」を合わせると54.9%と、半数以上が少なくとも制度を「知っていた」ということになりますが、20人以下の企業では27.7%で3割にも満たないのです。さらに言えば、20人以下の企業では「知らなかった」に「分からない」を加えると72.3%の企業が、賃上げをして、かつ黒字であるにもかかわらず、本制度を知らず、もしくは理解しなかったため、控除を見逃して法人税を納めていたことになります。

所得拡大促進税制は、平成25年4月1日から28年3月31日までに始まる事業年度に一定条件のもと従業員への賃金を増額した企業は、その支給増加額の10%(中小企業は20%)が税額控除できる制度です。26年度改正で適用期限が平成30年3月末まで延長されました。

さらに、これまで雇用者給与等支給増加額(賃上げ額)の基準雇用者等給与支給額(給与)に対する割合は、26年度は「2%以上」に大幅に引き下げられました。これに加え、雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を上回っていること、平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を上回っていること――の3つが新しい条件です。



2014年10月3日金曜日

平成26年10月の税務

10/10
●9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付



10/15
●特別農業所得者への予定納税基準額等の通知



10/31
●8月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>


●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>


●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>

●2月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>

●消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(6月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)