フェイクニュースとは虚構のニュース記事を指し、もともとは楽しみながら読むものが中心でした。
一例を挙げると、数年前、食品偽装が社会問題になったとき、発信されたフェイクニュースには「ステーキと偽り革靴提供 滋賀でも偽装」といった記事がありました。
明らかなウソだとわかるうえで、「靴底のようなステーキ」を想い起こさせる表現を用いて読者の笑いを誘う。
風刺と笑いにフェイクニュースの魅力がありました。
ところが、米国大統領選挙戦のネガティブキャンペーンをはじめ、最近では、フェイクニュースは政敵を失墜させるための道具として利用されるようになり、社会問題になっています。
とくに、米国大統領選挙のときは、ヒラリー・クリントン氏が児童虐待などに関わっているといったフェイクニュースが流れました。
選挙戦でのフェイクニュースは米国だけでなく、フランスの大統領選挙など、米国以外にも広まっています。
このような事態を受けて、フェイクニュースに対する対策も始まっています。
SNSサイトのフェイスブックは、フェイクニュースの拡散を助長しているといった批判を受けたことから、とくに対策に力を入れています。
英国の選挙前には、同国の主要紙に「フェイクニュースを見分けるコツ」といった広告を掲載し、記事の出所を確認するなど、10項目のアドバイスを講じています。
このほかには、グーグルは、信頼できるサイトの情報が検索結果の上位に優先的に表示されるよう検索エンジンのアルゴリズム(演算方法)を見直しました。
最近、フェイクニュースが社会問題になっています。
それでありながら発信が止まらない背景には、フェイクニュースで利益を得られることが一つとしてあります。
稼ぎ技の一例を挙げると、自分でウェブサイトを立ち上げ、そこにバナー広告を張ります。
ウェブサイトを訪れた人が広告をクリックすることでお金が稼げるといった仕組みがあります。
また、多くの人が訪れる人気サイトは、自身のウェブサイトに広告バナーを張ることで、広告掲載料を稼ぐパターンもあります。
フェイクニュースで驚いた人たちがウェブサイトを訪問し、その訪問者数が増えるほど、サイトの運営者に広告料が多く入ります。
ニュースの内容が過激であれば、多くの人の興味をひき、集客にも役立つわけです。
また、ウソの記事や動画について、SNSで影響力のある人に「いいね」を押してもらい拡散するといったことを事業にしている組織もあるといわれています。
フェイクニュースは一部の人の金儲けの手段になっています。
ただ、フェイクニュースを発信し利益を得ている層がいる一方で、見方を変えると、現代は、フェイクニュースのウソを見破ることにビジネスチャンスがあるといえます。
とはいえ、無数のニュースに対して、人力で真偽を見分けるのは困難です。
そこで、韓国の大学では、AI(人工知能)を用いて、フェイクニュースの特徴をとらえ見分けるといった研究を進めているところもあります。
AIは専門知識を要するため、参入障壁は低くありませんが、フェイクニュース対策は確実にニーズが見込めるビジネスといえます。
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
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