国税庁はこのほど、来年度に向けた要望予算額と、機構・定員要求の内容を明らかにしました。
約1千人の増員を要求するなかで、近年増えている国際的な租税回避とIT化への対応のために、複数の新設ポストを要望しています。
また全国の国税局や税務署で調査・徴収に当たるための増員を求めました。
来年度に向け、国税庁が増員要求を行ったのは1107人。
ただし来年度に1千人強の定員合理化も行う方針であることから、純増要求数は53人となります。
新設ポストが要望されたのは、パナマ文書で話題となった国際的な租税回避行為への対応や、電子申告推進への対応にかかる部署です。
近年増加している国際取引に関連したポストとしては前年度にも「国際企画調整官」の創設を要望していましたが、今年はさらに「国際課税企画官(仮称)」、局に「統括国税実査官(仮称)」という2つのポストの創設を求めています。
各国の税制の違いを利用した富裕層や大企業の税逃れへの対応は近年の世界的な課題となっており、新たな専担ポストを置くことで複雑な租税回避スキームの情報把握や解明に乗り出す構えです。
またICT化関連でも、庁の長官官房に「サイバーセキュリティ・情報化審議官(仮称)」、東京局に「情報システム部(仮称)」を新たに置くことを求めています。
全国の国税局や税務署に増員を求めたのが、税務調査・滞納徴収にかかる人員数です。
全国の国税局にそれぞれ査察機動専門官と査察情報管理専門官を置くことに加え、税務署にも特別国税調査官を増員することを求めました。
査察は特に悪質な脱税事案に当たる部署であり、特別国税調査官は主に額の大きな法人税案件に関わる部署です。
これらの増員要求からは課税逃れのなかでも特に悪質な案件についての調査を強化するとの姿勢が見てとれます。
0 件のコメント:
コメントを投稿