2016年10月31日月曜日

なくならない固定資産税の過徴収

 固定資産税の過徴収が全国で次々と明らかになっています。

 2年前に過徴収によって自宅まで差し押さえられたケースが判明したことから問題となり、総務省が全国の自治体に実態を確認するよう異例の通知を出すに至りましたが、今もなお多くの自治体で過徴収が見つかっています。

 いまだに判明していない固定資産税の過徴収は、全国に多く潜んでいるものと思われます。

 長野県原村は9月2日、村内の別荘地にかかる固定資産税に計算ミスが見つかり、平成17年から23年でのべ103件、計約2521万円を過徴収していたと発表しました。

 コンピューターに入力をする際に操作を誤り、それ以来誤ったまま毎年税額を計算していたそうです。

 全額を返還する方針で、10年分の利息など還付にかかる費用を含めて3千万円の補正予算を計上するとしています。

 高知県四万十市は同月6日、市内の8事業所から20年間にわたり計約1900万円の固定資産税を過徴収していたことを明らかにしました。

 利息分を加えた返還費用は約3400万円にも上ります。

 市によれば20年以上過徴収していた可能性も否定できないものの、地方税法や条例によって返還できるのは過去20年までと発表しました。

 過徴収があまりに長期間にわたるため、過去分について納税者が泣き寝入りせざるを得ない事例は全国で発生しています。

 さらに新潟県南魚沼市でも、今月に入って市内の土地1カ所に39年間の過徴収が発覚した。

 本来適用されるはずだった住宅用地の減額特例が反映されなかったそうです。

 地方税法に基づき5年分、さらに市の過誤納金補填金支払要項に基づき10年分の計約1120万円を返還しましたが、残り24年分についての補償はなく、納税者は2千万円以上を「タダ取り」される形となりました。

2016年10月28日金曜日

会社の受動喫煙対策、待ったなし!

 国立がん研究センターが受動喫煙による日本人の肺がんリスクについて、これまでの「ほぼ確実」から「確実」へと評価を引き上げたと発表しました。

 受動喫煙については東京五輪を前に政府も対応に本腰を入れており、職場での企業の対策は昨年6月より「努力義務」へと法改正されていますが、このたびの評価替えはさらに各方面に影響を与えそうです。

 国立がんセンターは肺がんリスク評価の引き上げに伴い、がん予防のガイドラインの記述についても、他人のたばこの煙を「できるだけ避ける」としていた部分から〝できるだけ〟を削除し、「避ける」と明言する形にグレードアップしました。

 これにより喫煙行為について各方面からの〝囲い込み〟がさらに強まることは確実です。

 平成22年に閣議決定された「新成長戦略」では、32年までの目標として「受動喫煙のない職場環境の実現」が掲げられています。

 また、日本は世界保健機関(WHO)が発効した「たばこ規制枠組条約」に世界172カ国とともに締結しており、そのガイドラインにある「すべての屋内の職場、屋内の公共の場及び公共交通機関は禁煙とすべきである」との宣言を守らなければならない義務が生じています。

 こうした現状や世界的な禁煙・分煙の潮流を受けて、厚生労働省は平成22年に、職場における受動喫煙防止対策の方向性として分煙化の促進を推奨しています。

 そして去年からは受動喫煙対策が事業者の努力義務とされたことから、企業が喫煙室を設置するなどの設備投資をしたときに一部費用を助成する制度を設けています。

 規模を問わずほとんどの企業が対象とされ、禁煙室の設備などにかかった費用の2分の1(上限200万円)が助成されます。

 交付は事業所単位であるため、各支店や工場ごとに申請しても最大200万円まで認められるので、対策の折には忘れずに申請したいところです。

2016年10月27日木曜日

住宅リフォーム推進協議会:住宅リフォームポイント制度を要望!

 住宅リフォーム推進協議会は、2017年度住宅リフォームに関する税制改正・予算に関する要望を公表しました。

 それによりますと、高齢者世代への住生活環境改善の支援として、性能向上リフォームを促進するため、省エネリフォームだけでなく、耐震、バリアフリーといった性能向上リフォームも対象工事としたリフォームポイント制度(仮称)の創設を要望しております。

 高齢者は、所得税の納税額も少なく、リフォーム減税のメリットが受けにくいと指摘し、一定の省エネ性能を有する住宅の新築やエコリフォームに対して、様々な商品等と交換できる「省エネ住宅ポイント制度」のような制度は分かりやすく使いやすいこと、減税制度ではメリットを受けにくい高齢者にとっても有益なものと考えてリフォームポイント制度の創設を要望しております。

 一方、比較的収入が少ない若年層は、新築住宅の取得は困難で、中古住宅購入や親からの相続といったケースが多いことから、中古住宅のリフォームの促進に向け、若年層の多くがリフォームの際に利用している住宅ローンについての更なる減税措置を要望しております。

 現行のリフォーム減税制度のついては、耐震リフォーム減税の対象住宅の要件の変更、不動産取得税の特定措置の延長、住宅ローン減税の期限延長を要望しております。

 耐震リフォームによる所得税及び固定資産税の減税は、現行、新耐震基準以前に建てられた住宅となっていますが、これを2000年の建築基準法の耐震基準改正以前の住宅に変更することを求めております。

 また、住宅ローン減税は、消費税率10%への引上げの2019年10月までの再延期に伴い、消費税増税前の駆込み需要の反動対策として実施している同減税の2019年6月30日となっている適用期限の延長を求めたものです。

 その他、長期優良住宅(増改築)認定を取得した上で、耐震改修や省エネ改修と併せて行う耐久性向上改修を所得税及び固定資産税の減税対象への追加や、現行のリフォーム税制において耐震改修や省エネ改修に関する工事証明書類は別々に定められ、これらを同時に行って税制優遇を受ける場合は、複数の工事証明書類が必要なことから、申請者の手続き負担軽減のため、既存の工事証明書類を統合することなどを求めております。

 今後の税制改正の動向に注目です。

2016年10月26日水曜日

老後のライフ・マネープラン

◆老後破算を防ぐ

 最近、TV、雑誌等で「老後不安」「老後破算」と言う事を聞くことがあります。

 高齢化社会を長生きリスクと考えるならば、対策をしておくことは必要でしょう。

 日本人の平均寿命は男性「80.50歳」女性「86.83歳」となっています。

 男女平均で83.7歳は世界首位です。

 人生80年の老後に備えた必要なお金をどう手当てしてゆくかを考えることは重要ですが、老後の生活を考える際には「どう生きたいか」と言う事もあると思います。

 ライフプランとも言いますが自分の描いたライフデザインを実現する為の準備として考える事が大事でしょう。

◆生活費を考える

 総務省の家計調査によると夫65歳以上、妻60歳以上の高齢者無職世帯の実収入は平均20万7347円、可処分所得は17万7925円となっています。

 消費支出は23万9485円で毎月6万1560円不足となり不足を補う為に貯蓄を取り崩してゆくことになります。

 この調査は平均ですので実際は住む場所や生活ぶり、自宅か賃貸か等で変わります。

 一般的には60歳以降の夫婦の必要経費は次のように計算します。

①夫婦の生活・・・1ヶ月の生活費×12ヶ月×60歳時の夫の平均余命

②夫死亡後の妻の生活・・・1ヶ月の生活費×0.7×12ヶ月×夫死亡時の妻の平均余命

 現在の公的年金の平均受給額は約月22万円(夫40年厚生年金加入、妻専業主婦)で生涯5千万円から6千万円が年金から賄われる想定です。

 現実はこのような条件の方ばかりではありません。

 家計の収支を検討し、まずは支出の把握から始め自分の必要生活費を計算し対策する必要があります。

 また、毎月の生活費以外にも突然の入院や介護、不慮の事態に備えた費用として半年分位のキャッシュが必要でしょう。

◆財形年金制度等の利用

 財形年金制度は勤務している事業主を通じて給与天引きで貯蓄をしてゆく制度です。

 貯蓄型では元利合計550万円まで、保険型では払い込み保険料385万円まで利息も合わせて非課税です。

 自前で行う場合、掛け金が所得控除となる確定拠出年金個人型も注目されてきています。

 どちらも将来の公的年金の補てんとして研究の余地があるでしょう。

2016年10月25日火曜日

相続税額の2割加算と養子

◆指摘の多いのが2割加算

 相続税の基礎控除引き下げにより、課税対象者が大幅に増加し、国税庁では申告書の内容に誤りがあると疑われる場合に、納税者に文書を送付し申告書の見直しを促していますが、特に指摘の多いのが「相続税額の2割加算」のようです。

◆相続税額の2割加算

 「相続税額の2割加算」とは、相続又は遺贈により財産を取得した者が、被相続人の一親等の血族及び配偶者、以外の者である場合に、相続税額を2割加算するとするものです。

 一親等の血族とは父母や子を指します。このため、それ以外の者、すなわち、被相続人の兄弟姉妹が相続等で財産を取得した場合や、血縁関係がない者などに遺贈があった場合等に2割加算があるということになります。

 また、孫も2割加算の対象ですが、被相続人の子が相続開始以前に死亡するなどし、代襲相続人となっている場合には2割加算は不要です。

◆一親等の法定血族でも孫養子は

 一親等の血族には「養子」も含まれますが、例外があり、被相続人の直系卑属で被相続人の養子になっている者、つまり“孫養子”は2割加算対象外に含まれません(代襲相続人は除く)。

 「養子」に2割加算はないが、“孫養子”に限っては2割加算があるというこの取扱いのところに間違いが多いようです。

◆孫養子類似の一親等の法定血族だが

 国税庁の質疑応答事例に「被相続人の直系卑属でない者が養子となっている場合」の事例があり、ここでは「子の配偶者」が養子となっている場合に2割加算がないことを示しています。

 すなわち、“孫養子”以外の「養子」は一親等の血族に含まれるため、例えば、「孫の配偶者」や「養子の養子縁組前の子(養子の連れ子)」が養子となっていても2割加算は不要です。

◆代襲相続でも2割加算される例

 国税庁の質疑応答事例には、代襲相続した孫やひ孫で、遺贈があるので代襲相続人の地位を放棄した場合、この相続放棄者には2割加算除外の適用がない、という珍事例も紹介しています。(代襲相続の規定では放棄をなかったものとするとしていない。)

2016年10月24日月曜日

のれん償却方法の違いから見る企業文化

 現在の日本の会計基準では、M&Aで生じる資産側に発生するのれんについて、20年以内で定期的に償却をすることを定めています。

 一方、IFRS(国際会計基準)や米国会計基準では定期償却はせず、のれんはそのままの金額で資産に残し、買収した事業や企業の収益性が落ちたときに、減損として費用処理するようにしています。

 したがってこの場合、収益性が落ちない限り、のれんの償却は発生しません。

 資産にあるのれんを償却すれば、損益計算書に費用が発生するのに、償却しなければ費用が出ないので、日本の会計基準はM&Aでは不利になると言われています。

 のれんを償却しようがしまいが、会計上の処理方法が違うというだけであり、キャッシュフローには関係なく、企業行動に影響することはありません。

 M&Aをするかしないかは、企業なり事業を手に入れるために投下したキャッシュフローと、獲得した企業や事業が将来獲得するであろうキャッシュフローを比較して判断することですから、会計基準の変更自体は企業に影響を与えないと考えるべきです。

 ただ、会計基準が違えば表示される利益が違ってきますから、株価には影響を与えることはあるかもしれません。

2016年10月21日金曜日

経済産業省:2017年度税制改正要望を公表!

 経済産業省は、2017年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、第4次産業革命を中心とした「攻めの経営」の推進の観点から研究開発税制の延長・強化を求めております。

 この背景には、第4次産業革命を強力に推進するため、AI(人工知能)やビッグデータ等を活用した高付加価値なサービス開発を支援する狙いがあるとみられております。

 具体的には、研究開発税制について、AIやビッグデータ等を活用した高付加価値なサービス開発を支援するため、

①「試験研究」の定義中に、「サービス開発」を追加

②増加型の廃止に伴って、総額型の控除率について、試験研究費の増減に準じてメリハリがつく仕組み等を導入

③上乗せ措置のうち、高水準型については延長

④オープンイノベーション型の運用改善を行うこと

などを要望しております。

 研究開発税制において新たに支援すべき「サービス開発」については、サービスは無形性等の特性を持つため、従来、その付加価値はサービス提供者の経験則(「暗黙知」)に依存しており、サービス産業の生産性は低いのが現状です。

 そのため、サービス産業の生産性の向上には、データの収集・分析等の工学的・自然科学的な手法により「暗黙知」を「形式知」に変換することでサービスの付加価値を高める研究開発が必須との考えを示しております。

 「サービス開発」の事例として、飲食サービスでは、従業員の行動に関するあらゆるデータを収集・分析することで、料理の提供時間の短縮や最適化等、付加価値を高めるための研究開発を、農業支援サービスでは、熟練農家の「ノウハウ」を、データとして収集・分析することで、熟練農家の農作業の「判断」を見える化し、若者など非熟練農家の農作業にかかる「判断」を支援するサービスの開発などを例示しております。

 また、2014年度の財務省の報告によりますと、研究開発税制を活用している企業は9,087社あり、そのうち約7割(6,221社)は中小企業(税法上は資本金1億円以下)で、研究開発税制適用額は6,746億円にのぼっております。

今後の税制改正の動向に注目です。

2016年10月20日木曜日

《消費税》 住宅の貸付けと言っても色々です。

 消費税法上、住宅の貸付けは非課税扱いとなることは広く知れ渡っています。

 ただ、その一言では必ずしも解決できないこともありますのでご注意ください。

1.家具付き住宅の場合

 家具、照明器具、エアコンなどの住宅付属設備を含めた全体を貸付けの対価として賃貸借契約を締結している場合は、家賃全体を非課税として扱います。

2.1ヶ月未満の住宅の貸付けの場合

 住宅の貸付けであっても、ウイークリーマンションなどのように1ヶ月未満の貸付けや民泊等は旅館業に係る貸付けに該当するため非課税になりません。

3.駐車場付きの住宅の場合

 戸建住宅のように住宅の敷地の一部にある駐車スペースは、それも含めた全体が住宅の貸付けとして非課税の扱いとなります。

 しかし、賃貸用マンションのように必ずしも駐車スペースが住宅と一体でなく独立した賃貸借の目的の施設となっており、駐車料金として住宅部分とは別に定められている場合は、その駐車料金は課税扱いとなります。

4.賃貸借契約の際に発生する付帯収入

 住宅の賃貸借契約の際に賃貸人が収受する礼金、保証金の償却や更新料のように賃借人に返還しなくてよい部分は、家賃と同様に非課税として扱います。

 敷金など返還を必要とする部分はもともと資産の譲渡に該当しませんので、消費税上課税の対象になりません。

5.共益費や管理費の取扱い

 外灯の電気料、清掃費用や庭木の管理費用などのように、共同住宅でその利用者が共通に使用する施設の応分負担として徴収する共益費や管理費は住宅の貸付けの対価の一部として非課税扱いとなります。

6.賃貸中の住宅を売却した場合

 売却代金のうち、土地の譲渡対価については非課税ですが、建物部分の譲渡対価に対しては課税の対象となります。

 住宅の譲渡代金は土地と建物との一体金額で取引されることが通常ですので、その場合はその譲渡代金を土地と建物に合理的に按分する必要があります。

2016年10月19日水曜日

株主リストの添付が義務化

◎登記悪用の違法行為が後を絶たず

 株主総会議事録を偽造して、役員になりすまして役員変更登記をしたり、本人承諾のない取締役就任登記をしたりして、会社財産を処分するなど、法人登記を悪用した犯罪や違法行為が後を絶たないようです。

 それで、本年10月1日からの法人登記に際しては、「株主リスト」の添付が要求されるようになりました。

◎商業登記規則等の改正により

 株式会社・投資法人・特定目的会社の登記の申請では、

(1) 登記すべき事項につき株主全員の同意(種類株主全員の同意)を要する場合

(2) 登記すべき事項につき株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合

には、株主リスト提出が要件とされました。

 株主総会決議を省略する場合にも株主リストの添付は必要です。

◎株主リストの記載事項

 添付株主リストには、議決権数上位10名以上又は議決権割合合計が3分の2以上の株主に係る次の事項を記載します。

①株主の氏名又は名称

②住所

③株式数

④議決権数

⑤議決権数割合

⑥以上に関する代表者の証明

(ただし、全株主同意を要する登記では、⑤は不要です。)

 本年10月1日前の株主総会であっても、その日以降の登記申請では、株主リストの添付が必要です。

 種類株式発行会社の場合は、上記③は、「種類株式の種類及び数」となります。

◆別表(二)を代用できる

 法務省のホームページでは、株主リストの書式例・記載例を公表するとともに、企業側の負担を考慮し、同族会社等判定明細書(A)や有価証券報告書の「大株主の状況の欄」(B)などの既存書類を利用できるとしています。

 (A)というのは、法人税申告書の別表(二)のことです。

 上記①~⑤の記載が完全で、そこに代表者の証明がなされれば、要件を具備した書面になります。

 なお、3分の2以上要件の判定に同族関係者の保有株式の合計が必要ですが、別表(二)は同族グループ毎に付番することになっているので、そのままで判定要件具備のようです。

2016年10月18日火曜日

個人型DCが来年改正

 来年から個人型確定拠出年金(DC)の制度が変わります。

 節税効果を売り物に個人の投資行動を促す狙いですが、新しく制度の対象に加わる専業主婦は掛け金に対する所得控除が認められていないなど注意すべき点もあります。

 自民党税制調査会が専業主婦世帯の税負担を軽減する「配偶者控除」の見直しを検討するなど、今後税制が大きく変わる可能性があるだけに、対象者には慎重な判断が求められそうです。

 個人型DCは、

 ①掛け金の全額所得控除、

 ②運用益の非課税、

 ③給付金の税制優遇措置

の3つの税制優遇措置が最大のメリット。

 一方、積立金の運用は加入者自身の責任で行うこと、原則60歳まで引き出せないこと、口座手数料がかかることなど注意点もあります。

 従来は自営業者や企業年金のない会社員が対象でしたが、今回の制度改正で主婦や公務員、すでに企業年金に加入済みの会社員も対象に加わります。

 このうち、所得がない専業主婦では掛け金に対する所得控除が認められていません。

 控除の対象はあくまで加入者本人の掛け金のみで、社会保険料のように配偶者など本人以外の負担を含めることができないためです。

 課税所得が500万円ある対象者が毎月2万3千円を拠出した場合、節税効果は所得税と住民税の合計で年8万2800円。

 30年間で考えると、積立額828万円に対して248万4千円もの効果がある計算ですが、こうしたサラリーマンなど向けの説明を専業主婦層がそのまま受け止めないよう注意が必要と言えます。

 運用益については非課税ですが、利回りや開始時期によって左右される面もあります。

 3号被保険者である専業主婦には「保険料を支払わなくても基礎年金が受け取れるのは不公平」との議論があり、配偶者控除の見直しが進む可能性もあるため、慎重な検討が欠かせません。

2016年10月17日月曜日

ネット公売にあの人気バンドが……

 税金を滞納した人から国税当局が差し押さえた財産が出品されるネット公売に、有名バンドの名前が登場したことが話題をよびました。

 そのバンドは1990年代に数々のヒット曲を発表した「黒夢」で、公売に出品されたのは同バンドの名称「黒夢」やそのアルファベット表記「KUROYUME」の商標権です。

 黒夢はボーカルの清春(きよはる)さんを中心に結成されたロックバンドで、平成6年のデビュー以降、若者を中心に人気を博しました。

 11年に活動停止しましたが、22年には活動を再開し、23年にはアルバムも発表していました。

 デビュー当時は大手音楽事務所に所属していましたが、現在はボーカルの清春さんが設立したレコード会社が権利関係を管理しているそうです。

 国税当局がネット公売に出品する財産は、原則的に税金の滞納によって差し押さえられた財産。

 不動産や美術品、車といった物品だけでなく、資産価値のある商標権も対象となっています。

 すでに公売は終了しており、「黒夢」は68万1千円で落札されたそうです。

 購入者はインターネットで配信する音楽ファイルやさまざまな商品に名前を使うことができるようになります。

2016年10月14日金曜日

訪日外国人の酒税免除へ

 国税庁と観光庁は、訪日外国人観光客が酒蔵やワイナリーなどで酒類を購入する際に酒税を免税する制度を設けるように税制改正要望に盛り込みました。

 免税して買い求めやすくすることで、酒蔵巡りなど地方の観光振興につなげるなど、日本の酒類に対する認知度を高めるのが狙い。

 訪日外国人観光客向けに消費税抜きで商品を販売できる現行の免税店制度を活用し、免税店制度を使える酒蔵などでは消費税に加えて酒税も抜いて買い物ができるようにします。

 地方の観光振興が主目的のため、ドラッグストアなどで酒類を購入しても酒税は免税されません。

2016年10月13日木曜日

長期保有土地の買替特例延長へ

 国土交通省は税制改正要望で、会社が持っている遊休地を別の資産に買い替えることを後押しする特例措置の期限延長を求めました。

 税の専門家や不動産関係者の間で幾度となく廃止の可能性がささやかれてきましたが、来年3月のタイムリミットが3年間延長されそうです。

 不動産を売却するとその譲渡益が課税対象になり、納税資金を差し引けば手元に残る現金は少なくなります。

 売却で得た利益で別の事業用資産を取得しようとしても、新たに資金調達をする必要性が生じることがあり、土地取引や設備投資に消極的になってしまいかねません。

 そこで、国は少しでも会社が事業用資産を買い替えしやすくなるよう、税制上の特例措置を講じています。

2016年10月12日水曜日

上場株式の相続時評価を1割減

 金融庁は上場株式の相続評価につき、相続してからの価格変動リスクを考慮して、相続時の時価の90%程度に割り引いて評価するべきと、平成29年度の税制改正要望で求めました。

 不動産など他の資産と比べて不利になっている現状を解消して、株式投資への資産の流れを促したい考えです。

 現行制度では、上場株式は原則として相続時点の時価で評価されています。

 一方で、土地は公示地価の80%程度、建物は建築費の50~70%程度が相続税の評価額。実際の取引価格にばらつきがあり、路線価などの算出頻度も少ないことから、価格変動リスクがあると判断されているためです。

 ただ、上場株式も、相続時から遺産分割協議などを経るまでの一定期間譲渡できないのにもかかわらず、市場の急激な変動で価格変動リスクにさらされるケースも多くあります。

2016年10月11日火曜日

国税当局、増員要求で脱税・滞納の監視強化

 国税庁はこのほど、来年度に向けた要望予算額と、機構・定員要求の内容を明らかにしました。

 約1千人の増員を要求するなかで、近年増えている国際的な租税回避とIT化への対応のために、複数の新設ポストを要望しています。

 また全国の国税局や税務署で調査・徴収に当たるための増員を求めました。

 来年度に向け、国税庁が増員要求を行ったのは1107人。

 ただし来年度に1千人強の定員合理化も行う方針であることから、純増要求数は53人となります。

 新設ポストが要望されたのは、パナマ文書で話題となった国際的な租税回避行為への対応や、電子申告推進への対応にかかる部署です。

2016年10月7日金曜日

厚生労働省:2017年度税制改正要望を公表!

 厚生労働省は、2017年度税制改正要望を公表しました。

 それによりますと、子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設や、保育の受け皿の整備等を促進するための税制上の所要の措置などを要望しております。

 前者は、内閣府との共同要望で、仕事と家庭を両立し、女性の活躍を促進する等の観点から、ベビーシッター等の子育て支援に要する費用の一部について、ベビーシッター等子育て支援に要する費用を対象とする新たな控除制度の創設を求めております。

 認可外保育施設やベビーシッター等に要する費用の一部について、税制上の所要の措置を講ずることで、希望する保育サービス等を利用できない子育て家庭の負担を軽減し、若い世代が安心して結婚し子どもを産み育てやすい環境や女性が働きやすい環境の整備を目指すとしております。

2016年10月6日木曜日

雇用管理改善が人材の定着を促す

◆人手を確保するのに必要なこととは

 景気の緩やかな回復基調の中で有効求人倍率が上昇傾向にある中、特に中小企業の多くで人手不足が常態化することが予想されます。

 厚労省の「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施)の調査結果が発表されました。

 調査結果から見て「今後どのような企業の求人が充足されやすいか」という視点から、企業が労働条件や職場環境等の改善に取り組むことと労働生産性や業績の向上との関連を見てみました。

2016年10月5日水曜日

“三現主義”の難しさ

 “三現主義は、“現地で、現物を見て、現実に即して判断すること”を意味し、“三現主義に基づく的確な状況判断”は全ての経営問題の解決を図るための基礎です。

 「状況判断の誤り」は「誤った対策」に直結し、重大な経営損失を招きます。

◆“三現主義“最大の障害と対応策

 “三現主義“の徹底は、トップから一般社員までの業務に取り組む日常の意識・行動を変える課題であり、容易ではありません。

 “三現主義“の徹底を図るとき、最大の障害は「人間には、思い込み・先入観・憶測で判断する性癖があるため、意識的に見ようとしなければ見えない」と言う障害が存在し、生産・企画業務・営業など全ての職域で次に例示するような“三現主義の徹底と対策の方向性”が必要です。

 [“三現主義”徹底の方法(例示)]

 ①生産現場で不良品や設備故障が発生した時には“三現主義“に基づく的確な状況判断が不可欠です。

2016年10月4日火曜日

2016年度税制改正:通勤手当の非課税限度額引上げ!

 2016年度税制改正において、通勤手当の非課税限度額が月額15万円(改正前10万円)に引き上げられ、2016年1月1日以後に支払われるべき通勤手当から適用されております。

 このうち、政令施行前の1月1日から3月31日までに支払われるべき通勤手当で、改正後の新規定を適用した場合に過納となる税額については、今年の年末調整の際に精算を行います。

具体的な手続き、手順として、

① 既に改正前の非課税規定を適用したところで所得税等の源泉徴収をした(課税された)通勤手当のうち、改正後の非課税規定によって新たに非課税となった部分の金額を計算

② 「2016年分給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿」の「年末調整」欄の余白に「非課税となる通勤手当」と表示して、①の計算根拠及び今回の改正により新たに非課税となった部分の金額を記入

2016年10月3日月曜日

外国人による家事支援サービス

◇外国人による家事支援、ついにスタート

 国家戦略特別区域法の改正で外国人家事使用人の受入れが解禁されたことを受け、7月27日、神奈川県や内閣府などが外国人による家事支援サービスを手掛ける事業者として3社を認定、通知書を交付しました。

 国家戦略特別区域法ではこの外国人家事使用人の受入れを「国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業」と名称付けており、その事業内容を「国家戦略特別区域内において家事支援活動を行う外国人を、本邦の公私の機関が雇用契約に基づいて受け入れる事業」としています。